JP6438299B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン(Lithium ion)二次電池に関する。
特許文献1には、リチウムイオン二次電池が開示されている。リチウムイオン二次電池は、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵及び放出する正極活物質層及び負極活物質層と、リチウムイオンが溶解した電解液とを備える。電解液は、多孔質のセパレータ(separator)に含浸されることが多い。
特許文献1に開示された技術は、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命を向上することを目的とし、この目的を達成するために、特性の異なる2種類の気孔を有し、かつ、電解液にフッ素化エーテルが含まれるという技術である。
特開2013−37905号公報 特開2014−112526号公報 特開2013−211095号公報 特開2011−129352号公報
ところで、近年、スマートフォン、タブレットPC等の携帯型電子機器(モバイル機器)向けのバッテリ用途では、コスト競争が激化している。このような状況下、正極材料として、例えば上記特許文献1に記載されているような固溶体酸化物を用いると、コストが上昇するため、コバルト酸リチウム(LiCoO:LCO)等のリチウムを含む遷移金属酸化物という既存の材料を用い、高電圧化を図るということが行われている。
また、最近では、各種目的があるが、ハイドロフルオロエーテルを含む電解液が各種提案されている(例えば、特許文献2〜4を参照)。このような電解液を、リチウムを含む遷移金属酸化物を正極材料として用いたリチウムイオン二次電池に用いた場合、サイクル寿命および高温保存時の貯蔵特性が低下する、という問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、正極材料としてリチウムを含む遷移金属酸化物を用い、且つ、ハイドロフルオロエーテルを含む電解液を用いた場合に、サイクル寿命と高温保存時の貯蔵特性を共に向上させることが可能な、新規かつ改良されたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、リチウムを含む遷移金属酸化物を正極活物質として含む正極と、ハイドロキシフルオロエーテルを含む電解液とを備えるリチウムイオン二次電池において、前記電解液が、下記一般式(1)で示される構造を有する第1の添加剤と、下記一般式(2)〜(4)で示される構造を有する第2〜第4の添加剤のうちのいずれか一種と、を含むことを特徴とする、リチウムイオン二次電池が提供される。
・・・一般式(1)
上記一般式(1)において、R1〜R3は、各々独立して炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、またはフッ素原子を表し、R4は、炭素数1〜8のアルキレン基、またはエーテル基を有する炭素数4〜8のアルキレン基を表し、
・・・一般式(2)
上記一般式(2)において、R5は、炭素数2〜6の不飽和炭化水素、または炭素数6〜12のアリーレン基を表し、R6〜R8は、各々独立して炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数2〜6のアルケニル基を表し、
・・・一般式(3)
上記一般式(3)において、R12、R13は、各々独立して水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R14は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、または炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基を表し、
・・・一般式(4)
上記一般式(4)において、R15、R16は、各々独立して水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R17は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、または炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基を表し、nは1又は2である。
この観点によれば、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命と高温保存時の貯蔵特性が向上する。
ここで、第1の添加剤は、電解液の総質量に対して0.10〜1.00質量%の質量比で電解液に含まれ、第2の添加剤は、電解液の総質量に対して0.07〜1.00質量%の質量比で電解液に含まれ、第3の添加剤は、電解液の総質量に対して0.07〜1.00質量%の質量比で電解液に含まれ、第4の添加剤は、電解液の総質量に対して0.10〜0.60質量%の質量比で電解液に含まれていてもよい。
この観点によれば、第1〜第4の添加剤が上記特定の質量比で電解液に含まれることにより、サイクル寿命および高温保存時の貯蔵特性がさらに向上する。
また、遷移金属酸化物が、Li・Co系複合酸化物であってもよい。
この観点によれば、遷移金属酸化物がLi・Co系複合酸化物である場合、上述したサイクル寿命および高温保存時の貯蔵特性の低下がより顕著となるため、サイクル寿命および高温保存時の貯蔵特性の向上効果が高まる。
以上説明したように本発明によれば、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命と高温保存時の貯蔵特性が共に向上する。
本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池を示す断面図である。 本発明の実施例1および比較例1のリチウムイオン二次電池を60℃で24時間貯蔵後のLiCoO粒子表面の皮膜様態を示すSEM写真である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[リチウムイオン二次電池の構成]
まず、図1に基づいて、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10の構成について説明する。
リチウムイオン二次電池10は、正極20と、負極30と、セパレータ層40とを備える。リチウムイオン二次電池10の充電到達電圧(酸化還元電位)は、例えば4.3V(vs.Li/Li)以上5.0V以下、特に4.5V以上5.0V以下となる。リチウムイオン二次電池10の形態は、特に限定されない。即ち、リチウムイオン二次電池10は、円筒形、角形、ラミネート(laminate)形、ボタン(button)形等のいずれであってもよい。
(正極20)
正極20は、集電体21と、正極活物質層22とを備える。集電体21は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、アルミニウム(aluminium)、ステンレス(stainless)鋼、及びニッケルメッキ(nickel coated)鋼等で構成される。
正極活物質層22は、少なくとも正極活物質を含み、導電剤と、結着剤とをさらに含んでいてもよい。正極活物質は、本実施形態では、リチウムを含む遷移金属酸化物を用いている。リチウムを含む遷移金属酸化物としては、例えば、LiCoO等のLi・Co系複合酸化物、LiNiCoMn等のLi・Ni・Co・Mn系複合酸化物、LiNiO等のLi・Ni系複合酸化物、LiMn等のLi・Mn系複合酸化物等が考えられる。ここで、リチウムを含む遷移金属酸化物がLiCoO等のLi・Co系複合酸化物の場合、上述したサイクル寿命および高温保存時の貯蔵特性の低下がより顕著となる。そのため、後述する添加剤を使用すると、サイクル寿命および高温保存時の貯蔵特性を飛躍的に向上させることができる。なお、正極活物質の含有比(含有量)は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池の正極活物質層に適用可能な含有比であればよい。また、これらの化合物を単独又は複数混合して用いてもよい。
導電剤は、例えばケッチェンブラック(Ketjenblack)、アセチレンブラック(acetylene black)等のカーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛等であるが、正極の導電性を高めるためのものであれば特に制限されない。導電剤の含有量は特に制限されず、リチウムイオン二次電池がとりうる含有量であればよい。
結着剤は、例えばポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、エチレンプロピレンジエン(ethylene−propylene−diene)三元共重合体、スチレンブタジエンゴム(Styrene−butadiene rubber)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile−butadiene rubber)、フッ素ゴム(fluororubber)、ポリ酢酸ビニル(polyvinyl acetate)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ニトロセルロース(cellulose nitrate)等であるが、正極活物質及び導電剤を集電体21上に結着させることができるものであれば、特に制限されない。結着剤の含有量も特に制限されず、リチウムイオン二次電池がとりうる含有量であればよい。
正極活物質層22の密度(g/cm)は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池がとりうる値であってもよい。なお、正極活物質層22の密度は、正極活物質層22の圧延後の面密度を正極活物質層22の圧延後の厚さで除算することで得られる。
正極活物質層22は、例えば、以下の製法により作製される。すなわち、まず、正極活物質、導電剤、及び結着剤を乾式混合することで正極合剤を作製する。ついで、正極合剤を適当な有機溶媒に分散させることで正極合剤スラリー(slurry)を形成し、この正極合剤スラリーを集電体21上に塗工し、乾燥、圧延することで正極活物質層が形成される。
(負極30)
負極30は、集電体31と、負極活物質層32とを含む。集電体31は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、及びニッケルメッキ鋼等で構成される。
負極活物質層32は、リチウムイオン二次電池の負極活物質層として使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、負極活物質層32は、負極活物質を含み、バインダをさらに含んでいてもよい。負極活物質は、例えば、黒鉛活物質(人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛を被覆した天然黒鉛等)、ケイ素もしくはスズもしくはそれらの酸化物の微粒子と黒鉛活物質との混合物、ケイ素もしくはスズの微粒子、ケイ素もしくはスズを基本材料とした合金、及びLiTi12等の酸化チタン系化合物等が考えられる。ケイ素の酸化物は、SiO(0≦x≦2)で表される。負極活物質としては、これらの他に、例えば金属リチウム等が挙げられる。バインダは、正極活物質層22を構成するバインダと同様のものでもある。正極活物質とバインダとの質量比は特に制限されず、従来のリチウムイオン二次電池で採用される質量比が本実施形態でも適用可能である。
結着剤は、正極活物質層22を構成する結着剤と同様のものでもある。負極活物質層32を集電体31上に塗布する際に、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(以下、CMC)を結着剤の質量の1/10以上同質量以下で併用してもよい。増粘剤を含めた結着剤の含有量も特に制限されず、リチウムイオン二次電池がとりうる含有量であればよい。
負極活物質層32の密度(g/cm)も特に制限されず、リチウムイオン二次電池がとりうる含有量であればよい。なお、負極活物質層32の密度は、負極活物質層32の圧延後の面密度を負極活物質層32の圧延後の厚さで除算することで得られる。
負極活物質層32は、例えば、以下の製法により作製される。すなわち、まず、負極活物質、及び結着剤を適当な溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidone)や水)に分散させることでスラリーを形成し、このスラリーを集電体31上に塗工し、乾燥させることで形成される。
(セパレータ層40)
セパレータ層40は、セパレータと、電解液とを含む。
(セパレータ)
セパレータは、特に制限されず、リチウムイオン二次電池のセパレータとして使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。なお、セパレータの厚みも特に制限されない。
(電解液)
電解液は、リチウム塩と、溶媒と、第1の添加剤と、第2〜第4の添加剤のうちの少なくともいずれか一種とを含む。
(リチウム塩)
リチウム塩は、電解液の電解質となるものである。このようなリチウム塩としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の他、LiClO、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiSOCF、LiN(SOCF)、LiN(SOCFCF)、LiC(SOCFCF、LiC(SOCF、LiI、LiCl、LiF、LiPF(SOCF)、LiPF(SOCF等が挙げられる。これらのリチウム塩のうち、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiSbFが特に好ましい。これらのリチウム塩が電解液に溶解される場合、電池特性が特に向上する。電解液は、これらのリチウム塩のうちいずれか1種類が溶解していてもよく、複数種類のリチウム塩が溶解していてもよい。
リチウム塩の濃度(電解液に複数種類のリチウム塩が溶解している場合には、リチウム塩の濃度の総和)は、0.85〜1.60mol/Lであることが好ましく、0.90〜1.40mol/Lであることがより好ましい。リチウム塩の濃度がこのような範囲のときに、電池特性が特に向上する。
(溶媒)
溶媒は、リチウムイオン二次電池に使用される各種の非水溶媒を含む。本実施形態の溶媒には、ハイドロフルオロエーテル(HFE)を必須成分として含むが、その他の成分としては、従来からリチウム二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。また、非水溶媒として、鎖状炭酸エステル及びフルオロ炭酸エチレンの少なくとも一種類以上が含まれることがさらに好ましい。これらの非水溶媒を含むことで、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命がさらに向上する。
ハイドロフルオロエーテルは、エーテルの水素の一部をフッ素に置換することで、耐酸化性が向上したものである。このようなハイドロフルオロエーテルとしては、正極材料の充電電圧及び電流密度に対する耐性等を鑑みると、2,2,2−トリフルオロエチルメチルエーテル(CFCHOCH)、2,2,2−トリフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(CFCHOCHF)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメチルエーテル(CFCFCHOCH)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル(CFCFCHOCHF)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル(CFCFCHOCFCFH)、1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル(HCFCFOCH)、1,1,2,2−テトラフルオロエチルエチルエーテル(HCFCFOCHCH)、1,1,2,2−テトラフルオロエチルプロピルエーテル(HCFCFOC)、1,1,2,2−テトラフルオロエチルブチルエーテル(HCFCFOC)、1,1,2,2−テトラフルオロエチルイソブチルエーテル(HCFCFOCHCH(CH)、1,1,2,2−テトラフルオロエチルイソペンチルエーテル(HCFCFOCHC(CH)、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル(HCFCFOCHCF)、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル(HCFCFOCHCFCFH)、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル((CFCHOCH)、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテル((CFCHCFOCH)、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル(CFCHFCFOCH)、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルエチルエーテル(CFCHFCFOCHCH)及び2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルジフルオロメチルエーテル(CFCHFCFCHOCHF)等が挙げられる。ハイドロフルオロエーテルは、これらの物質のいずれか1つから構成されていてもよいが、これらの物質の混合物であってもよい。ハイドロフルオロエーテルの体積比は、特に制限されるものではないが、電解液の溶媒の総体積に対して10〜60体積%とすることができ、30〜50体積%がより好ましい。ハイドロフルオロエーテルの体積比がこのような範囲のときに、電池特性が特に向上する。
HFE以外の非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
鎖状炭酸エステルは、鎖状構造を有する炭酸エステルである。鎖状炭酸エステルとしては、例えば炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、及び炭酸ジエチル等が挙げられる。電解液には、これらの鎖状炭酸エステルのうちいずれか1種以上が含まれていることが好ましい。鎖状炭酸エステルの体積比は、電解液の溶媒の総体積に対して5〜60体積%が好ましく、20〜50体積%がより好ましい。鎖状炭酸エステルの体積比がこのような範囲のときに、電池特性が特に向上する。
フルオロ炭酸エチレンの体積比は、電解液の溶媒の総体積に対して10〜30体積%が好ましく、15〜20体積%がより好ましい。モノフルオロ炭酸エチレンの体積比がこのような範囲のときに、サイクル寿命が特に向上する。
(第1の添加剤)
第1の添加剤は、以下の一般式(1)で表される構造を有するジシランである。電解液は、1種類の第1の添加剤を含んでいてもよく、複数種類の第1の添加剤を含んでいてもよい。
・・・一般式(1)
上記一般式(1)において、R1〜R3は、各々独立して炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、またはフッ素原子を表す。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2級ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2級ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、2級ヘキシル、ヘプチル、2級ヘプチル、オクチル、2級オクチル、2−メチルペンチル、2−エチルヘキシル等が挙げられる。炭素数2〜8のアルケニル基としては、例えば、1,3−ブタジエニル、1,2−プロパジエニル、1,4−ペンタジエニル、ビニレン、プロペニレン、イソプロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、1−プロペニレン−2,3−ジイル、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、ペンチニレン、ヘキシニレン等が挙げられる。炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル等が挙げられる。炭素数6〜8のアリール基としては、例えば、フェニル、トルイル、キシリル等が挙げられる。
また、R4は、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキニレン基、またはエーテル基を有する炭素数4〜8のアルキレン基を表す。炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、2−メチルブチレン等が挙げられる。炭素数2〜8のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、ヘプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン、エチン−1,2−ジイル等が挙げられる。エーテル基(例えばチオエーテル基を含む、酸素と硫黄のいずれかもしくは両方の元素を含むエーテル基)を有する炭素数4〜8のアルキレン基としては、例えば、4−オキサヘプチレン、5−オキサノニレン等が挙げられる。ここに例示した置換基の一部の水素がハロゲン化されていても構わない。
第1の添加剤の好ましい具体例としては、1,2−ビス(ジフロロメトキシシリル)エタン、1,3−ビス(ジフロロメチルシリル)プロピン、1,2−ビス(ジフルオロメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジフルオロエチルシリル)エタン、1−ジフルオロメチルシリル−2−ジフルオロエチルシリルエタン、1−ジフルオロメチルシリル−2−ジフルオロプロピルシリルエタン、1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラプロピルジシロキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラブチルジシロキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラペンチルジシロキサン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラヘキシルジシロキサン、1,2−ビス(フルオロジメチルシリル)エタン、1,2−ビス(フルオロジエチルシリル)エタン、1、2−ビス(フルオロジプロピルシリル)エタン、1,2−ビス(フルオロジブチルシリル)エタン、1−フルオロジメチルシリル−2−フルオロエチルシリルエタン、1,3−ビス(フルオロジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(フルオロジエチルシリル)プロパン、1,3−ビス(フルオロジプロピルシリル)プロパン、1,3−ビス(フルオロジブチルシリル)プロパン等、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラプロピルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラブチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラペンチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラヘキシルジシロキサン、1,3−ジエチニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエチニル−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジエチニル−1,1,3,3−テトラプロピルジシロキサン、1,3−ジエチニル−1,1,3,3−テトラペンチルジシロキサン等、2−((2−(2−エトキシジフルオロシリル)エチル)チオ)プロピオジフルオロシラン、2,2’−(エチレンジチオ)ビス(ジフルオロエチルシラン)等が挙げられる。
本実施形態の第1の添加剤の好ましい具体例の構造を例示すると、以下の化学式(1−1)〜(1−9)で示される構造を有するジシランで示され、化学式(1−1)〜(1−4)で示される構造を有するジシランが特に好適である。以下、化学式(1−1)で示される構造を有する添加剤を添加剤(1−1)、化学式(1−2)で示される構造を有する添加剤を添加剤(1−2)、化学式(1−3)で示される構造を有する添加剤を添加剤(1−3)、化学式(1−4)で示される構造を有する添加剤を添加剤(1−4)とも称する。
(第2の添加剤)
第2の添加剤は、以下の一般式(2)で示される構造を有するジシランである。電解液は、1種類の第2の添加剤を含んでいてもよく、複数種類の第2の添加剤を含んでいてもよい。
・・・一般式(2)
上記一般式(2)において、R5は、炭素数2〜6の不飽和炭化水素、または炭素数6〜12のアリーレン基を表す。炭素数2〜6の不飽和炭化水素としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等が挙げられる。炭素数6〜12のアリーレン基としては、1,2−フェニレン、1,4−フェニレン、(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジイル等が挙げられる。これら置換基の一部の水素がハロゲン化されていても構わない。
また、R6〜R8は、各々独立して炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数2〜6のアルケニル基を表す。炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、2−プロピニル、3−フロロプロピル、3−フロロブチル、4−フロロブチル等が挙げられる。炭素数2〜6のアルケニル基としては、1,3−ブタジエニル、1,2−プロパジエニル、1,4−ペンタジエニル、ビニレン、プロペニレン、イソプロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン等が挙げられる。これら置換基の一部の水素がハロゲン化されていても構わない。
第2の添加剤の好ましい具体例としては、ビス(トリメチルシリル)アセチレンジカルボキシレート、ビス(エチルジメチルシリル)アセチレンジカルボキシレート、ビス(ジメチルプロピルシリル)アセチレンジカルボキシレート、ビス(ジメチルブチルシリル)アセチレンジカルボキシレート、ビス(ジメチルビニルシリル)アセチレンジカルボキシレート、フマル酸ビス(トリメチルシリル)、マレイン酸ビス(トリメチルシリル)、フタル酸ビス(トリメチルシリル)、イソフタル酸ビス(トリメチルシリル)、テレフタル酸ビス(トリメチルシリル)、イタコン酸ビス(トリメチルシリル)等が挙げられる。
本実施形態の第2の添加剤の好ましい具体例の構造を例示すると、以下の化学式(2−1)〜(2−2)で示される。以下、化学式(2−1)で示される構造を有する添加剤を添加剤(2−1)、化学式(2−2)で示される構造を有する添加剤を添加剤(2−2)とも称する。
(第3の添加剤)
第3の添加剤は、以下の一般式(3)で示される構造を有する不飽和リン酸エステル化合物である。電解液は、1種類の第3の添加剤を含んでいてもよく、複数種類の第3の添加剤を含んでいてもよい。
・・・一般式(3)
上記一般式(3)において、R12、R13は、各々独立して水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基を表す。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2級ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2級ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、2級ヘキシル、ヘプチル、2級ヘプチル、オクチル、2級オクチル、2−メチルペンチル、2−エチルヘキシル等が挙げられる。ここで、R12およびR13としては、リチウムイオンの移動への悪影響が少なく充電特性が良好であることから、水素原子、メチル、エチル、プロピルが好ましく、水素原子、メチルが更に好ましく、水素原子が最も好ましい。
また、R14は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、または炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基を表す。炭素数1〜8のアルキル基および炭素数2〜8のアルケニル基としては、上記一般式(1)のR1〜R3の説明で例示した炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基等が挙げられる。炭素数2〜8のアルキニル基としては、例えば、エチニル、2−プロピニル(プロパギルともいう)、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、1,1−ジメチル−2−プロピニル等が挙げられる。炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基としては、例えば、クロロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3−フルオロプロピル、2−クロロプロピル、3−クロロプロピル、2−クロロ−2−プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、2−クロロブチル、3−クロロブチル、4−クロロブチル、3−クロロ−2−ブチル、1−クロロ−2−ブチル、2−クロロ−1,1−ジメチルエチル、3−クロロ−2−メチルプロピル、5−クロロペンチル、3−クロロ−2−メチルプロピル、3−クロロ−2,2−ジメチル、6−クロロヘキシル等が挙げられる。ここで、R14としては、非水電解液二次電池の内部抵抗が小さくなることから、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、2−プロピニル、3−クロロプロピル、3−クロロブチル、4−クロロブチルが好ましく、メチル、エチル、プロピル、2−プロピニルが更に好ましく、エチル、2−プロピニルが最も好ましい。
第3の添加剤の好ましい具体例のうち、R12及びR13が水素原子である化合物としては、例えば、メチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、エチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、プロピルビス(2−プロピニル)フォスフェート、ブチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、ペンチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、アリルビス(2−プロピニル)フォスフェート、トリス(2−プロピニル)フォスフェート、2−クロロエチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、2,2,2−トリフルオロエチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、2,2,2−トリクロロエチルビス(2−プロピニル)フォスフェート等が挙げられる。
第3の添加剤の好ましい具体例のうち、R12がメチルでありR13が水素原子である化合物としては、例えば、メチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、エチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、プロピルビス(1−メチル−2−プロピル)フォスフェート、ブチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、ペンチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、アリルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、2−プロピニルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、トリス(1−メチル−1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、2−クロロエチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、2,2,2−トリフルオロエチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、2,2,2−トリクロロエチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート等が挙げられる。
第3の添加剤の好ましい具体例のうち、R12及びR13がメチルである化合物としては、例えば、メチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、エチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、プロピルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、ブチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、ペンチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、アリルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、2−プロピニルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、トリス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、2−クロロエチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、2,2,2−トリフルオロエチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、2,2,2−トリクロロエチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート等が挙げられる。
上記第3の添加剤の好ましい具体例のなかでも、メチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、エチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、プロピルビス(2−プロピニル)フォスフェート、ブチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、ペンチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、トリス(2−プロピニル)フォスフェート、2−クロロエチルビス(2−プロピニル)フォスフェートが好ましく、エチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、プロピルビス(2−プロピニル)フォスフェート、ブチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、トリス(2−プロピニル)フォスフェートが更に好ましく、エチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、トリス(2−プロピニル)フォスフェートが特に好ましい。
本実施形態の第3の添加剤の好ましい具体例の構造を例示すると、以下の化学式(3−1)〜(3−8)で示される構造を有するジシランで示され、化学式(3−1)〜(3−2)で示される構造を有するジシランが特に好適である。以下、化学式(3−1)で示される構造を有する添加剤を添加剤(3−1)、化学式(3−2)で示される構造を有する添加剤を添加剤(3−2)とも称する。
(第4の添加剤)
第4の添加剤は、以下の一般式(4)で示される構造を有する不飽和リン酸エステル化合物である。電解液は、1種類の第4の添加剤を含んでいてもよく、複数種類の第4の添加剤を含んでいてもよい。
・・・一般式(4)
上記一般式(4)において、R15、R16は、各々独立して水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基を表す。炭素数1〜8のアルキル基としては、上記一般式(1)のR1〜R3の説明で例示した炭素数1〜8のアルキル基等が挙げられる。ここで、R15およびR16としては、リチウムイオンの移動への悪影響が少なく充電特性が良好であることから、水素原子、メチル、エチル、プロピルが好ましく、水素原子、メチルが更に好ましく、水素原子が最も好ましい。
また、R17は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、または炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基を表す。炭素数1〜8のアルキル基および炭素数2〜8のアルケニル基としては、上記一般式(1)のR1〜R3の説明で例示した炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基等が挙げられる。炭素数2〜8のアルキニル基および炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基としては、上記一般式(3)のR14の説明で例示した炭素数2〜8のアルキニル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。ここで、R17としては、非水電解液二次電池の内部抵抗が小さくなることから、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、2−プロピニル、3−クロロプロピル、3−クロロブチル、4−クロロブチルが好ましく、メチル、エチル、プロピル、2−プロピニルが更に好ましく、メチル、エチルが最も好ましい。
また、nは1又は2である。ここで、原料となるアルキンジオールからのリン酸エステル反応が容易であり高収率で得られることから、nは2であることが好ましい。
第4の添加剤の好ましい具体例のうち、nが1である化合物としては、例えば、2−ブチン−1,4−ジオールテトラメチルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラエチルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラプロピルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトライソプロピルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラブチルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラペンチルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラキス(2−プロピニル)ジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラキス(3−クロロプロピル)ジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラキス(3−クロロブチル)ジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラキス(4−クロロブチル)ジフォスフェート等が挙げられ、中でも、2−ブチン−1,4−ジオールテトラメチルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラエチルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラプロピルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラキス(2−プロピニル)ジフォスフェートが好ましく、2−ブチン−1,4−ジオールテトラメチルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラキス(2−プロピニル)ジフォスフェートが更に好ましい。
また、第4の添加剤の好ましい具体例のうち、nが2である化合物としては、例えば、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラメチルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラエチルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラプロピルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトライソプロピルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラブチルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラペンチルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラキス(2−プロピニル)ジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラキス(3−クロロプロピル)ジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラキス(3−クロロブチル)ジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラキス(4−クロロブチル)ジフォスフェート等が挙げられ、中でも、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラメチルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラエチルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラプロピルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラキス(2−プロピニル)ジフォスフェートが好ましく、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラメチルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラキス(2−プロピニル)ジフォスフェートが更に好ましい。
本実施形態の第4の添加剤の好ましい具体例の構造を例示すると、以下の化学式(4−1)〜(4−4)で示される構造を有するジシランで示され、化学式(4−1)〜(4−2)で示される構造を有するジシランが特に好適である。以下、化学式(4−1)で示される構造を有する添加剤を添加剤(4−1)、化学式(4−2)で示される構造を有する添加剤を添加剤(4−2)とも称する。
(第1〜第4の添加剤による作用メカニズム)
上述した第1の添加剤と、第2〜第4の添加剤のうちの少なくとも一種とを電解液に添加することで、サイクル寿命と貯蔵特性が共に向上する理由としては、詳細は明らかではないが、本発明者らは、以下のように推察している。すなわち、第1〜第4の添加剤が電解液中に含まれるHFEよりも優先的に(例えば、溶媒よりも低い電位で)分解する、もしくは添加剤が正極活物質表面に吸着する。この第1〜第4の添加剤自体あるいは、それらの分解生成物が正極活物質を覆うことで、HFEの分解を抑制する。例えば、第1〜第4の添加剤自体あるいは、それらの分解生成物が正極活物質を覆うことで、HFEと正極活物質との接触を抑制する。これにより、溶媒(特に、ハイドロフルオロエーテル)の分解生成物由来の高抵抗の皮膜が正極活物質上に形成されることを抑制し、サイクル特性の低下や貯蔵中の電解液(HFE)の分解ガスの発生が抑制される。第1〜第4の添加剤の添加効果をより詳細に説明すれば以下の通りである。第1の添加剤の末端シリル基は、LiPF6電解質の一部もしくは電解液中に僅かに遊離するフッ酸と相互作用し易い傾向があり、その結合解離点を起点に正極上で第2〜第4の添加剤よりも分解、皮膜形成する。2つのシリル基の間にある不飽和基(アルキニル基等)も皮膜形成に寄与する。その次に、第2の添加剤が分解作用すると思われ、構造中のカルボニル基が皮膜のイオン伝導を付与すると思われる。第3、第4の添加剤は、第1、第2の添加剤よりも化学構造上に安定であり、相対的に耐電圧がある。第1の添加剤由来の皮膜に、第3、第4の添加剤がホスホン酸部位によって正極活物質へ吸着しながら取り込まれ、結果、HFEの接触を抑制する緻密で低抵抗な皮膜を形成したと思われる。
(第1〜第4の添加剤の含有量)
第1の添加剤は、電解液の総質量に対して0.10〜1.00質量%の質量比で電解液に含まれることが好ましく、0.20〜0.80質量%で含まれることがより好ましく、0.40〜0.80質量%で含まれることが更に好ましい。第1の添加剤の含有量が0.10〜1.00質量%であると、サイクル寿命および貯蔵特性が著しく向上し、第1の添加剤の含有量の範囲が狭まるほど、サイクル寿命および貯蔵特性の向上効果がより高まる。
第2の添加剤は、電解液の総質量に対して0.07〜1.00質量%の質量比で電解液に含まれることが好ましく、0.07〜0.60質量%で含まれることがより好ましく、0.10〜0.60質量%で含まれることが更に好ましい。第2の添加剤の含有量が0.07〜1.00質量%であると、サイクル寿命および貯蔵特性が著しく向上し、第2の添加剤の含有量の範囲が狭まるほど、サイクル寿命および貯蔵特性の向上効果がより高まる。
第3の添加剤は、電解液の総質量に対して0.07〜1.00質量%の質量比で電解液に含まれることが好ましく、0.07〜0.07〜0.60質量%で含まれることがより好ましく、0.10〜0.60質量%で含まれることが更に好ましい。第3の添加剤の含有量が0.07〜1.00質量%であると、サイクル寿命および貯蔵特性が著しく向上し、第3の添加剤の含有量の範囲が狭まるほど、サイクル寿命および貯蔵特性の向上効果がより高まる。
第4の添加剤は、電解液の総質量に対して0.10〜0.60質量%の質量比で電解液に含まれることが好ましく、0.10〜0.40質量%で含まれることがより好ましい。第4の添加剤の含有量が0.10〜0.60質量%であると、サイクル寿命および貯蔵特性が著しく向上し、第4の添加剤の含有量の範囲が狭まるほど、サイクル寿命および貯蔵特性の向上効果がより高まる。
なお、電解液には、第1〜第4の添加剤以外の各種の添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、負極作用添加剤、正極作用添加剤、エステル系の添加剤、炭酸エステル系の添加剤、硫酸エステル系の添加剤、リン酸エステル系の添加剤、ホウ酸エステル系の添加剤、酸無水物系の添加剤、及び電解質系の添加剤等が挙げられる。これらのうちいずれか1種を電解液に添加しても良いし、複数種類の添加剤を電解液に添加してもよい。
以上のように、本実施形態の電解液は、第1の添加剤と、第2〜第4の添加剤のうちの少なくともいずれか一種とを含むことにより、リチウムを含む遷移金属酸化物を正極活物質として含む正極と、ハイドロキシフルオロエーテルを含む電解液とを用いたリチウム二次電池のサイクル寿命と貯蔵特性を著しく向上させることができる。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
次に、リチウムイオン二次電池10の製造方法について説明する。正極20は、以下のように作製される。まず、正極活物質、導電剤、及び結着剤を混合したものを、溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン)に分散させることでスラリーを形成する。次いで、スラリーを集電体21上に形成(例えば塗工)し、乾燥させることで、正極活物質層22を形成する。なお、塗工の方法は、特に限定されない。塗工の方法としては、例えば、ナイフコーター(knife coater)法、グラビアコーター(gravure coater)法等が考えられる。以下の各塗工工程も同様の方法により行われる。次いで、プレス(press)機により正極活物質層22を上記の範囲内の密度となるようにプレスする。これにより、正極20が作製される。
負極30も、正極20と同様に作製される。まず、負極活物質及び結着剤を混合したものを、溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン)に分散させることでスラリーを形成する。次いで、スラリーを集電体31上に形成(例えば塗工)し、乾燥させることで、負極活物質層32を形成する。次いで、プレス機により負極活物質層32を上記の範囲内の密度となるようにプレスする。これにより、負極30が作製される。
セパレータ40aは、以下のように作製される。まず、多孔質層42を構成する樹脂と、水溶性有機溶媒とを5〜10:90〜95の質量比で混合することで、塗工液を作製する。ここで、水溶性有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、トリプロピレングリコール(TPG)等が考えられる。ついで、この塗工液を基材41の両面または片面に1〜5μmの厚さで形成(例えば塗工)する。次いで、塗工液が塗工された基材41を凝固液で処理することで、塗工液中の樹脂を凝固させる。ここで、塗工液が塗工された基材41を凝固液で処理する方法としては、例えば、塗工液が塗工された基材41を凝固液に含浸させる方法、塗工液が塗工された基材41に凝固液を吹きつける方法等が考えられる。これにより、セパレータ40aが作製される。ここで、凝固液は、例えば、上記の水溶性有機溶媒に水を混合させたものである。水の混合量は、凝固液の総体積に対して40〜80体積%が好適である。次いで、セパレータ40aを水洗、乾燥することで、セパレータ40aから水及び水溶性有機溶媒を除去する。
次いで、セパレータ40aを正極20及び負極30で挟むことで、電極構造体を作製する。多孔質層42が基材41の一方の面にのみ形成されている場合、負極30を多孔質層42に対向させる。次いで、電極構造体を所望の形態(例えば、円筒形、角形、ラミネート形、ボタン形等)に加工し、当該形態の容器に挿入する。次いで、当該容器内に上記組成の電解液を注入することで、セパレータ40a内の各気孔に電解液を含浸させる。これにより、リチウムイオン二次電池が作製される。
[リチウムイオン二次電池の用途]
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10の用途としては特に制限されないが、例えば、スマートフォンやタブレットPC等のモバイル機器のバッテリのように、コストダウン要求が強い用途に使用すると好適である。
次に、実施例を説明する。なお、以下の各実施例における各パラメータ(例えば孔径)は、上述した装置により測定された。
[実施例1]
本発明者は、第1の添加剤と、第2〜第4の添加剤のうちの少なくともいずれか一種との添加によるサイクル寿命および高温保存時の貯蔵特性の改善効果を確認するために、以下に説明する実施例1を行った。
(リチウムイオン二次電池の作製)
まず、本発明者は、実施例1のリチウムイオン二次電池を以下のように作製した。正極については、まず、LiCoOを98質量%、ポリフッ化ビニリデン1質量%、ケッチェンブラック1質量%をN−メチル−2−ピロリドンに分散させることで、スラリーを形成した。次いで、スラリーを集電体であるアルミニウム集電箔上に塗工し、乾燥させることで、正極活物質層を形成した。次いで、プレス機により正極活物質層をプレスすることで、正極活物質層の密度を4.0g/cmとした。これにより、正極を作製した。
負極については、ケイ素合金(ケイ素が70atom%)/人造黒鉛を質量比30/70で混合した負極活物質90質量%、ポリアクリル酸7質量%、導電カーボン2質量%を水に分散させることで、スラリーを形成した。次いで、スラリーを集電体であるアルミニウム集電箔上に塗工し、乾燥させることで、負極活物質層を形成した。次いで、プレス機により負極活物質層をプレスすることで、負極活物質層の密度を1.45g/cmとした。これにより、負極を作製した。
次いで、セパレータ(三菱樹脂製、商品名「セパレント」、厚み20μm)を正極及び負極で挟むことで、電極構造体を作製した。次いで、電極構造体を試験容器に挿入した。一方、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチルメチルスルホン(EMS)、ジメチルカーボネート(DMC)、HFEとしてH(CFCHO(CF)Hを12:3:45:40の体積比で混合した溶媒に、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を1.3mol/Lの濃度となるように溶解することで、基本電解液を作製した。次いで、基本電解液に添加剤(1−1)及び(3−1)を添加することで実験電解液を作製した。添加剤(1−1)は、実験電解液の総質量に対して0.20質量%で実験電解液に含まれ、添加剤(3−1)は、実験電解液の総質量に対して0.20質量%で実験電解液に含まれるようにした。
次いで、試験容器内に電解液を注入し、開口部を封止することで、実施例1のリチウムイオン二次電池を作製した。
(サイクル試験)
つぎに、実施例1のリチウムイオン二次電池について、サイクル試験を行った。具体的には、初めに、25℃の温度環境下、電池電圧が4.4Vとなるまで0.2mA/cmで定電流定電圧充電を行い、電池電圧が3.0Vとなるまで放電を行った。この25℃の温度環境下での充放電を2回実施した。次いで、45℃の温度環境下、電池電圧が4.4Vとなるまで2mA/cmで定電流定電圧充電を行い、電池電圧が3.0Vとなるまで2mA/cmで定電流放電を行う充放電サイクルを300サイクル行った。そして、各サイクルでの放電容量(mAh)を測定した。放電容量の測定は、TOSCAT3000 東洋システム株式会社により行われた。表1に、45℃の温度環境下での初回放電容量を100としたときの300サイクル後の容量維持率を、サイクル試験の結果として示した。
(貯蔵試験)
また、実施例1のリチウムイオン二次電池について、貯蔵試験を行った。具体的には、初めに、25℃の温度環境下、電池電圧が4.4Vとなるまで0.2mA/cmで定電流定電圧充電を行い、電池電圧が3.0Vとなるまで放電を行った。この25℃の温度環境下での充放電を2回実施し、2回目の放電容量を初期値(100)とした。次いで、25℃の温度環境下、電池電圧が4.4Vとなるまで0.2mA/cmで定電流定電圧充電を行った後に、槽内温度60℃の恒温槽に移し、30日間放置した。さらに、槽内温度25℃の恒温槽に移して12時間放置後、電池電圧が3.0Vとなるまで電流密度0.2mA/cmで放電を行った。このときの放電容量を残存容量とし、この残存容量を、60℃の恒温槽に貯蔵前の容量、すなわち、25℃の温度環境下での2回目の放電容量の初期値(100)に対する容量比で表1に示した。また、60℃の恒温槽に貯蔵前の電池容積に対する残存容量を測定する前の電池容積の増加量を、貯蔵前の電池容積を100としたときの容積増加率として表1に示した。
[実施例2〜実施例18、比較例1〜10]
基本電解液の組成、基本電解液に添加する添加剤の種類及び添加量を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。なお、表1中に他の添加剤として記載されているSN、VC、PSとは、それぞれ、スクシノニトリル、ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトンのことを示す。
なお、参考までに、実施例1および比較例1のリチウムイオン二次電池を60℃で24時間貯蔵後のLiCoO粒子表面の皮膜様態を示すSEM写真を図2に示す。図2に示すように、比較例1のリチウムイオン二次電池では、LiCoO粒子の表面に、SEM画像撮影の際のビーム痕(図2の比較例1のSEM画像の四角で囲った部分)が観察された。これは、LiCoO粒子の表面に、HFE由来の皮膜(例えばHFEの分解生成物)が形成されていることを示唆している。
表1中の添加剤の添加量の数値は、実験電解液(基本電解液+添加剤)の総質量に対する質量%を示す。また、「−」は添加剤を添加していないことを示す。したがって、比較例1は第1〜第4の添加剤をいずれも添加していない(実施例1の基本電解液をそのまま実験電解液としている)。
表1に示すように、第1の添加剤と、第2〜第4の添加剤のうちの少なくともいずれか一種とを添加した実施例1〜18の場合、300サイクル後の容量維持率が高くなり、且つ、電池の容積増加率も小さく、貯蔵後の残存容量も大きくなった。この結果より、
基本電解液に、第1の添加剤と、第2〜第4の添加剤のうちの少なくともいずれか一種とを添加することにより、サイクル寿命および貯蔵特性が飛躍的に向上することがわかった。また、実施例8〜10、実施例15〜18の結果から、第1の添加剤の添加量の範囲が0.10〜1.00質量%、0.20〜0.80質量%、0.40〜0.80質量%と狭まって行くにつれ、サイクル寿命および貯蔵特性の向上効果がより高まっていくこともわかった。
[実施例19]
(リチウムイオン二次電池の作製)
本発明者は、各添加剤の他構造の効果や含有量の好適範囲を確認するために、以下に説明する実施例19〜44及び比較例11を行った。実施例19のリチウムイオン二次電池は、基本電解液の組成、基本電解液に添加する添加剤の種類及び添加量を表2に示すように変更した他は、実施例1と同様の処理により作製した。
(サイクル試験)
つぎに、実施例1のリチウムイオン二次電池について、サイクル試験を行った。具体的には、初めに、25℃の温度環境下、電池電圧が4.4Vとなるまで0.2mA/cmで定電流定電圧充電を行い、電池電圧が3.0Vとなるまで放電を行った。この25℃の温度環境下での充放電を2回実施した。次いで、45℃の温度環境下、電池電圧が4.4Vとなるまで2mA/cmで定電流定電圧充電を行い、電池電圧が3.0Vとなるまで2mA/cmで定電流放電を行う充放電サイクルを200サイクル行った。そして、各サイクルでの放電容量(mAh)を測定した。放電容量の測定は、TOSCAT3000 東洋システム株式会社により行われた。表2に、45℃の温度環境下での初回放電容量を100としたときの200サイクル後の容量維持率を、サイクル試験の結果として示した。
(貯蔵試験)
また、実施例1のリチウムイオン二次電池について、貯蔵試験を行った。具体的には、初めに、25℃の温度環境下、電池電圧が4.4Vとなるまで0.2mA/cmで定電流定電圧充電を行い、電池電圧が3.0Vとなるまで放電を行った。この25℃の温度環境下での充放電を2回実施し、2回目の放電容量を初期値(100)とした。次いで、25℃の温度環境下、電池電圧が4.4Vとなるまで0.2mA/cmで定電流定電圧充電を行った後に、槽内温度65℃の恒温槽に移し、15日間放置した。さらに、槽内温度25℃の恒温槽に移して12時間放置後、電池電圧が3.0Vとなるまで電流密度0.2mA/cmで放電を行った。このときの放電容量を残存容量とし、この残存容量を、65℃の恒温槽に貯蔵前の容量、すなわち、25℃の温度環境下での2回目の放電容量の初期値(100)に対する容量比で表2に示した。また、65℃の恒温槽に貯蔵前の電池容積に対する残存容量を測定する前の電池容積の増加量を、貯蔵前の電池容積を100としたときの容積増加率として表2に示した。
[実施例20〜実施例44、比較例11]
基本電解液に添加する添加剤の種類及び添加量を表2に示すように変更した他は、実施例19と同様の処理を行った。
表2中の数値は、実験電解液(基本電解液+添加剤)の総質量に対する質量%を示す。また、「−」は添加剤を添加していないことを示す。したがって、比較例11は第1の添加剤のみを添加しており、第2〜第4の添加剤を添加していない。
表2の結果から、第1の添加剤の種類については、(1−4)>(1−3)>(1−1)>(1−2)の順でサイクル寿命および貯蔵特性の向上効果が高いことがわかった。また、実施例23、26〜31の結果から、第2の添加剤の添加量の範囲が0.07〜1.00質量%、0.07〜0.60質量%、0.10〜0.60質量%と狭まって行くにつれ、サイクル寿命および貯蔵特性の向上効果がより高まっていくこともわかった。さらに、実施例22、32〜38の結果から、第3の添加剤の添加量の範囲が0.07〜1.00質量%、0.07〜0.60質量%、0.10〜0.60質量%と狭まって行くにつれ、サイクル寿命および貯蔵特性の向上効果がより高まっていくこともわかった。また、実施例25、39〜44の結果から、第4の添加剤の添加量の範囲が0.10〜0.60質量%、0.10〜0.40質量%と狭まって行くにつれ、サイクル寿命および貯蔵特性の向上効果がより高まっていくこともわかった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 リチウムイオン二次電池
20 正極
21 集電体
22 正極活物質層
30 負極
31 集電体
32 負極活物質層
40 セパレータ層

Claims (2)

  1. リチウムを含む遷移金属酸化物を正極活物質として含む正極と、ハイドロフルオロエーテルを含む電解液とを備えるリチウムイオン二次電池において、
    前記電解液が、
    下記一般式(1)で示される構造を有する第1の添加剤と、
    下記一般式(2)〜(4)で示される構造を有する第2〜第4の添加剤のうちのいずれか一種と、
    を含み、
    前記遷移金属酸化物が、Li・Co系複合酸化物であることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
    ・・・一般式(1)
    前記一般式(1)において、R1〜R3は、各々独立して炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、またはフッ素原子を表し、R4は、炭素数1〜8のアルキレン基、またはエーテル基を有する炭素数4〜8のアルキレン基を表し、
    ・・・一般式(2)
    前記一般式(2)において、R5は、炭素数2〜6の不飽和炭化水素、または炭素数6〜12のアリーレン基を表し、R6〜R11は、各々独立して炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数2〜6のアルケニル基を表し、
    ・・・一般式(3)
    前記一般式(3)において、R12、R13は、各々独立して水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R14は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、または炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基を表し、
    ・・・一般式(4)
    前記一般式(4)において、R15、R16は、各々独立して水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R17は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、または炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基を表し、nは1又は2である。
  2. 前記第1の添加剤は、前記電解液の総質量に対して0.10〜1.00質量%の質量比で前記電解液に含まれ、
    前記第2の添加剤は、前記電解液の総質量に対して0.07〜1.00質量%の質量比で前記電解液に含まれ、
    前記第3の添加剤は、前記電解液の総質量に対して0.07〜1.00質量%の質量比で前記電解液に含まれ、
    前記第4の添加剤は、前記電解液の総質量に対して0.10〜0.60質量%の質量比で前記電解液に含まれることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
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