JP6437287B2 - 加熱調理用食品セット及びこれを用いた加熱調理食品の調理方法 - Google Patents
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しかしながら、予め食材に調味液をかけてから電子レンジで加熱調理を行うと、調味液に含まれる塩分等の影響からか、加熱調理後の食材が水っぽいものとなってしまい、好ましい食味が得られない場合があった。また、同様に、予め食材に調味液をかけてからフライパンで加熱調理した場合も同様に加熱調理後の食材が水っぽいものとなってしまう傾向があった。
(1)食材と、容器詰め調味液とを少なくとも含む、加熱調理用食品セットであって、
前記食材100質量部に対し前記調味液を1質量部以上30質量部以下含み、
前記調味液は、食塩を5質量%以上15質量%以下及び熱水溶解性増粘剤を含み、
前記調味液の粘度が、品温20℃で0.1Pa・s以上300Pa・s以下であり、かつ、
100質量部の前記調味液と20質量部の水とで混合物を調製した後、90℃以上100℃以下で5分間加熱し、次いで20℃に冷却した時の粘度が、加熱前の前記混合物の20℃における粘度よりも高い、
加熱調理用食品セット、
(2)(1)記載の加熱調理用食品セットにおいて、
前記調味液に含む熱水溶解性増粘剤が、ジェランガム及び/又はタピオカ澱粉である、
加熱調理用食品セット、
(3)(1)又は(2)記載の加熱調理用食品セットにおいて、
前記熱水溶解性増粘剤の含有量が、調味液100質量部に対し0.05質量部以上8質量部以下である、
加熱調理用食品セット、
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載の加熱調理用食品セットにおいて、
前記加熱調理用食品セットに含む食材が、魚介類、畜肉類、野菜類から選択される一種又は二種以上である、
加熱調理用食品セット、
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載の加熱調理用食品セットにおいて、
前記加熱調理用食品セットの食材の含有量が、50g以上300g以下である、
加熱調理用食品セット、
(6)(1)乃至(5)のいずれかに記載の加熱調理用食品セットを用いた加熱調理食品の調理方法であって、
食材を調味液に接触した状態で加熱調理する工程を有する、
加熱調理食品の調理方法、
である。
その結果、加熱調理器等を用いて製したメニューの更なる充実とそのような調理食品の需要拡大が期待される。
本発明の加熱調理用食品セットは、食材と、容器詰め調味液とを少なくとも含む、加熱調理用食品セットであって、前記食材100質量部に対し前記調味液を1質量部以上30質量部以下含み、前記調味液は、食塩を5%以上15%以下及び熱水溶解性増粘剤を含み、前記調味液の粘度が、品温20℃で0.1Pa・s以上300Pa・s以下であり、かつ、100質量部の前記調味液と20質量部の水とで混合物を調製した後、90℃以上100℃以下で5分間加熱し、次いで20℃に冷却した時の粘度が、加熱前の前記混合物の20℃における粘度よりも高いものであることを特徴とする。
本発明の加熱調理用食品セットとは、上述した容器詰め調味液と、食材とをともに組み合わせてセットとするものである。
セットの形態は、例えば、食材を入れた包装容器の外装に容器詰め調味液を添付する形態や、一つの包装容器内に食材と別途包装容器に充填した容器詰め調味液の両方を入れた形態などとすることができる。
本発明の加熱調理用食品セットに含有する食材は、いずれのものでもよいが、魚介類、畜肉類、野菜類から選択される一種又は二種以上であると、加熱調理することにより、食材と調味液が一体感を有し、好ましい食味を得られる本願発明の効果が得られやすい。
ここで、魚介類としては、スズキ、イワシ、ブリ、サバ、タコ、イカ、アサリ等が挙げられる。前記魚介類は、加熱調理時に手軽に用いることが可能なことから、常法により予め喫食サイズにカット処理されたものを用いるとよい。
蓄肉類としては、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉等が挙げられる。前記畜肉類は、前記魚介類と同様に、加熱調理時に手軽に用いることが可能なことから、常法により予め喫食サイズにカット処理されたものを用いるとよい。
野菜類としては、例えば、葉菜類である白菜、キャベツ、小松菜、チンゲン菜、レタス、ホウレンソウ、シュンギク、バジル、水菜、ツルムラサキ等、花菜類であるブロッコリー、カリフラワー、菜の花、つくし等、根菜類であるジャガイモ、サツマイモ等の芋類、ダイコン、人参、カブ等、果菜類であるナス、ズッキーニ、ピーマン等が挙げられる。前記野菜類は、加熱調理時に手軽に用いることが可能なことから、常法により予め殺菌処理、カット処理されたものであるとよい。
本発明の加熱調理用食品セットに含有する容器詰め調味液は、食材を調味するための調味液が容器詰めされたものである。調味液は、常法により、原料を撹拌混合して調製したものであればよい。
本発明に用いる調味液の食塩含有量は、5%以上15%以下である。食塩含有量が下限よりも少ない場合には、塩味が不足し、好ましい食味が得られない恐れがある。一方、食塩含有量が上限を超える場合には、塩味が強すぎてしまい、その結果、好ましい食味が得られない恐れがある。
本発明に用いる調味液は、増粘剤として、少なくとも熱水溶解性増粘剤を含有する。
熱水溶解性増粘剤とは、加熱前では20℃において増粘剤の多くあるいは全部が水に溶解していないために増粘効果が発揮されず、90℃に加熱すると水に溶解することにより増粘作用が発揮され、その後20℃に冷却した場合においても増粘作用が発揮されるものである。
このような熱水溶解性増粘剤としては、熱水溶解性を有するジェランガム又はタピオカ澱粉を挙げることができる。本発明においては、前述した熱水溶解性増粘剤のうち、少なくとも1種を調味液に含有するとよい。
本発明に用いる調味液中に熱水溶解性増粘剤を配合しない場合には、後述する加熱による調味液の粘度増加が得られず、その結果、加熱調理後に食材と調味液との一体感が不足し、好ましい食味が得られないものとなる。
本発明の調味液に用いる、熱水溶解性増粘剤の含有量は、調味液100部に対し、0.05部以上8部以下であるとよく、0.1部以上5部以下であるとよい。熱水溶解性増粘剤の含有量が前記範囲内であると、加熱調理した際に食材と調味液が一体感を有した好ましい食味を得る効果が得られやすい。
本発明の調味液には、後述する調味液の粘度を調整するために、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の増粘剤を配合するとよい。増粘剤の種類としては、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、及び糊化澱粉からなる群から選択される少なくとも1種以上を用いることができる。
本発明に用いる調味液の品温20℃における粘度は、0.1Pa・s以上300Pa・s以下であり、0.5Pa・s以上150Pa・s以下であるとよい。
調味液の粘度が下限よりも低い場合には、調味液を食材にかけたりからめたりして接触させた際に食材表面から垂れ落ちてしまい、その結果、加熱調理後に食材と調味液との一体感が不足し、好ましい食味が得られない恐れがある。
一方、調味液の粘度が上限よりも高い場合には、調味液を食材にかけたりからめたりして接触させた際に、調味液が食材全体となじみにくく、その結果、加熱調理後に食材と調味液との一体感が不足し、好ましい食味が得られない恐れがある。
本発明に用いる調味液は、100質量部の調味液と20質量部の水とで混合物を調製した後(加水後加熱前)、90℃以上100℃以下で5分間加熱し、次いで20℃に冷却した時(加水・加熱後)の粘度が、加水後加熱前の前記混合物の20℃における粘度よりも高いものである。
前記加水・加熱後の粘度が加水後加熱前の前記混合物の20℃における粘度よりも低いものであると、調味液を食材にかけて加熱調理後に、食材と調味液との一体感が得られないものとなり、好ましい食味を得ることができない。
なお、本発明においては、上述の加水前の調味液の20℃における粘度と、調味液に加水した混合物の加熱前及び加温後冷却した時の20℃における粘度との関係をそれぞれ規定している。これは、加熱における調理時の一連の状態変化、すなわち、加熱前の常温状態から、加熱による食材からの離水水分と混合し、その後常温近くまで冷却されるという一連の状態変化を経る調味液の状態を規定していることを意味する。
なお、本発明の上述した調味液の粘度の測定は、BH型粘度計を用い、回転数20rpmの条件で、粘度が1.5Pa・s未満の時ローターNo.2、1.5Pa・s以上の時ローターNo.4を使用し、測定開始後ローターが10回転した時の示度により求めた値である。
本発明の調味液には、本発明の効果を損なわない範囲で、食酢、かんきつ類果汁、食塩、砂糖類、香辛料等を配合することができる。なかでも、食酢を配合することにより、食材および調味液の食味が際立ち、加熱調理後に食材と調味液との一体感を得られやすくなる。
本発明の容器詰め調味液の包装形態としては、一回の加熱調理で用いる調味液の適量が分かりやすく、加熱調理時に食材にかけやすいことから、小袋入りの形態とするとよい。前記小袋への調味液充填量は、5g以上20g以下であるとよい。
包装容器の素材としては、通常用いられる素材であればいずれのものでもよく、樹脂製パウチ等を用いることができる。
加熱調理用食品セットは、例えば、食材を入れた包装容器の外装に容器詰め調味液を添付する方法や、一つの包装容器内に食材と別途包装容器に充填した容器詰め調味液の両方を入れる方法等により製造することができる。
包装容器としては、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂製袋や発泡スチロール製のトレー等を用いることができる。
本発明の加熱調理用食品セットにおいては、食材100部に対し調味液を1部以上30部以下含み、1部以上20部以下であるとよい。
食材に対する調味液の含有量が下限よりも少ない場合は、食材と調味液との一体感が不足し、上限よりも多い場合は、食塩等の配合量過多の影響により、好ましくない食味となる恐れがあるためである。
本発明の加熱調理用食品セットに含有する食材の含有量は、食材と調味液が一体感を有し、好ましい食味を得ることができ、さらに、加熱調理に適した量であることから、50g以上300g以下であるとよく、50g以上200g以下であるとよい。
加熱調理用食品セットを用いた加熱調理食品の調理方法は、食材を調味液に接触した状態で加熱調理する工程を有することを特徴とする。食材を調味液に接触させる方法としては、食材に調味液をかけたりあえたりする方法等が挙げられる。
また、前記加熱調理する方法は、前述の調味液を接触させた食材に対し、食材の中心温度が75℃以上程度となるように、常法により加熱調理すればよく、例えば、500w×3分程度の電子レンジ加熱を施す、あるいは、フライパン等の加熱調理器具に前記食材を投入し、加熱を施すことにより行うことができる。これにより、食材と調味液が一体感を有し、好ましい食味を有する、加熱調理食品を得ることができる。
<調味液の製造>
撹拌タンクに下記原料を投入して撹拌することにより、調味液を製した。次いで、得られた調味液10gをポリエチレン製の小袋容器に密封充填して容器詰めすることにより、容器詰め調味液を得た。なお、調味液の食塩含有量は7%であった。
食用油脂(サラダ油) 10%
食酢(酸度5%) 5%
醤油(食塩含有量16%) 30%
食塩 2%
キサンタンガム 0.2%
ジェランガム 0.2%
清水 残余
――――――――――――――――――――
計 100%
ブリの切り身(100g)発砲スチロール製トレーに載置し、フィルムを用いて密封充填した。次いで、食材を充填したトレー外装に、前記得られた容器詰め調味液を添付することにより、加熱調理用食品セットを製した。得られた加熱調理用食品セットは、食材100部に対する調味液の含有量が10部であった。
得られた調味液の20℃における粘度(Pa・s)を、BH型粘度計(東京計器(株)製)を用いて、ローター:No.4及び回転数:20rpmの測定条件で測定した。
次に、調味液100質量部に清水20質量部を加えてガラス棒で撹拌し均一に混合した後、20℃における粘度(Pa・s)を、上記と同様の条件で上記粘度計を用いて測定した(加水後加熱前粘度)。次いで、前記混合物40mLを50mL容のポリプロピレン容器(Falconコニカルチューブ50mL)に移した。次に、前記ポリプロピレン容器を95℃以上100℃以下で5分間加熱した。次いで20℃に水冷した時の粘度(Pa・s)(加水・加熱後粘度)を、上記と同様の条件で上記粘度計を用いて測定することにより、加熱による調味液の粘度変化を測定した。
実施例1の<調味液の製造>において、熱水溶解性増粘剤(ジェランガム)を配合せず、キサンタンガムを配合する以外は、実施例1と同様に調味液を製し、加熱調理用食品セットを得た。
なお、実施例1と同様に、得られた容器詰め調味液の品温20℃における粘度を測定したところ、0.5Pa・s以上150Pa・s以下であり、加水加熱による調味液の粘度変化を測定したところ、加水加熱後の粘度は加熱前よりも低かった。
実施例1の<加熱調理用食品セットの製造>において、食材100部に対する調味液の含有量が50部となるように調味液の含有量を変更する以外は、実施例1と同様に製し、加熱調理用食品セットを得た。
実施例1の<調味液の製造>において、食塩含有量を2%に調整する以外は、実施例1と同様に調味液を製し、加熱調理用食品セットを得た。
なお、実施例1と同様に、得られた容器詰め調味液の品温20℃における粘度を測定したところ、0.5Pa・s以上150Pa・s以下であった。
実施例1の<調味液の製造>において、食塩含有量を20%に調整する以外は、実施例1と同様に調味液を製し、加熱調理用食品セットを得た。
なお、実施例1と同様に、得られた容器詰め調味液の品温20℃における粘度を測定したところ、0.5Pa・s以上150Pa・s以下であった。
実施例1の<加熱調理用食品セットの製造>において、食材100部に対する調味液の含有量を0.1部に変更する以外は、実施例1と同様に製し、加熱調理用食品セットを得た。
熱水溶解性増粘剤の有無、食材に対する調味液含有量、調味液中の食塩含有量が、得られる加熱調理用食品セットを喫食した際の食材と調味液との一体感の食味に与える影響を検討するため、実施例1、比較例1〜5により得られた加熱調理用食品セットを加熱調理し、下記基準により評価を行った。
具体的には、加熱調理用食品セットを開封し、前記食品セットに含有する食材をフライパンに投入し、前記食材に前記調味液を掛け、次いで、食材中心品温が75℃1分以上となるように中火で加熱調理することにより、加熱調理食品を製した。結果を表1に示す。
○:食材と調味液が一体感を有し、好ましい食味を得ることができる。
△:食材と調味液の一体感がやや不足するものの、問題のない範囲である。
×:食材と調味液の一体感が不足している。
一方、比較例1〜5により得られた加熱調理用食品セットは、調理後の喫食時に、食材と調味液との一体感が不足し、好ましい食味を得られないものであった。
実施例1の<調味液の製造>において、食塩含有量を10%に変更し、さらに、<加熱調理用食品セットの製造>において、食材を畜肉(豚肉100g、実施例1と同様に喫食サイズにカット)に変更する以外は、実施例1と同様にして加熱調理用食品セットを製した。
実施例1の<調味液の製造>において、食塩含有量を8%に変更し、さらに、<加熱調理用食品セットの製造>において、食材を野菜(キャベツ100g、4cm角にカットし殺菌処理したもの)に変更し、加熱調理方法を電子レンジ加熱調理(500w×2分、電子レンジ加熱可能容器に投入)に変更した以外は、実施例1と同様にして加熱調理用食品セットを製した。
実施例1の<加熱調理用食品セットの製造>において、食材100部に対する調味液の含有量を5部に変更する以外は、実施例1と同様に加熱調理用食品セットを製した。
実施例1の<加熱調理用食品セットの製造>において、食材100部に対する調味液の含有量を20部に変更する以外は、実施例1と同様に加熱調理用食品セットを製した。
実施例1の<調味液の製造>において、熱水溶解性増粘剤の種類をタピオカ澱粉に変更し、配合量を1%に変更する以外は、実施例1と同様に加熱調理用食品セットを製した。
なお、実施例1と同様に、得られた容器詰め調味液の品温20℃における粘度を測定したところ、5Pa・sであった。また、同様に加熱による調味液の粘度変化を測定したところ、加熱後の粘度は加熱前よりも高かった。
Claims (4)
- 食材と、容器詰め調味液とを少なくとも含む、加熱調理用食品セットであって、
前記食材100質量部に対し前記調味液を1質量部以上30質量部以下含み、
前記調味液は、食塩を5質量%以上15質量%以下及び熱水溶解性増粘剤として少なくともジェランガムを含み、
熱水溶解性増粘剤の含有量が、調味液100質量部に対し0.05質量部以上8質量部以下であり、
前記調味液の粘度が、品温20℃で0.1Pa・s以上300Pa・s以下であり、かつ、
100質量部の前記調味液と20質量部の水とで混合物を調製した後、90℃以上100℃以下で5分間加熱し、次いで20℃に冷却した時の粘度が、加熱前の前記混合物の20℃における粘度よりも高い、
加熱調理用食品セット。 - 請求項1記載の加熱調理用食品セットにおいて、
前記加熱調理用食品セットに含む食材が、魚介類、畜肉類、野菜類から選択される一種又は二種以上である、
加熱調理用食品セット。 - 請求項1又は2記載の加熱調理用食品セットにおいて、
前記加熱調理用食品セットの食材の含有量が、50g以上300g以下である、
加熱調理用食品セット。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の加熱調理用食品セットを用いた加熱調理食品の調理方法であって、
食材を調味液に接触した状態で加熱調理する工程を有する、
加熱調理食品の調理方法。
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