JP6972533B2 - おにぎり用冷凍具材 - Google Patents
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Description
また、特許文献2では、加熱調理された原料を冷却しておにぎり用の具材を調製する際、ゼラチン、卵白粉末等の結着剤を加えることにより、おにぎりを喫食する際に、具がボロボロと崩れるのを防ぐことが開示されている。
さらに、特許文献3には、調味した野菜、魚介、海藻、漬物等を細片とし、塩分およびデンプン、ゼラチン等の増粘剤を添加して冷凍した食品をおにぎりの具として用いること、ならびに、前記食品を、切り離しができる複数の収納部を有するトレーの各収納部に一つずつ充填することが記載されている。
特許文献4には、カレールー、シチュー、中華ルー、焼き肉等の液汁を含有する惣菜を充填内包させたおにぎりを製造する際、前記液汁がおにぎり本体に浸透するのを防止するため、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガムおよびグアーガム等の食品ゲル化剤を混入させることが記載されている。
また、おにぎり用具材は、調理された後、喫食されるまでに溶けることが好ましいが、おにぎり用具材が溶け易いと、具材に含まれる液体が米飯にしみ込むという問題を生じる。
さらに、調理されたおにぎりを喫食する際に具材がボロボロとこぼれないよう、おにぎり用具材には、具材をまとめるために粘着性を付与することが好ましい。しかし、具材が粘着性を有すると、トレー等の容器から具材を取り出すことが困難となることがある。
従って、おにぎり用冷凍具材には、米飯中での溶け易さ、米飯への具材中の液体のしみ込みにくさ、容器からの取り出し易さ、および具材のまとまりのすべてをバランスよく満たすことが要求される。
また、特許文献2には、具材がまとまり、崩れにくいことが記載されているが、容器からの取り出し易さ、米飯に包んだ際の溶け易さ、および具材中の液体のしみ込みにくさについては、何ら開示されていない。
さらに、特許文献3には、トレーの各収納部に充填された冷凍食品の取り出し易さ、および喫食時の具材の状態についての記載はなく、特許文献4には、おにぎりに充填内包された惣菜に含まれる液汁が、ペーストとなり、おにぎり本体への浸透が防止されることが記載されてはいるが、容器からの取り出し易さや具材の溶け易さに関する記載はない。
[1]増粘剤の1種以上と、ゲル化剤の1種以上とを含有する、おにぎり用冷凍具材。
[2]増粘剤がウェランガムおよびローカストビーンガムからなる群より選択される少なくとも1種である、[1]に記載の具材。
[3]ゲル化剤が寒天である、[1]または[2]に記載の具材。
[4]増粘剤がウェランガムであり、ゲル化剤が寒天である、[1]に記載の具材。
[5]ウェランガムおよび寒天の含有量が、具材中の液体の総重量に対して0.8重量%〜4.2重量%である、[4]に記載の具材。
[6]ウェランガムと寒天の含有量比(ウェランガム:寒天)が、重量比にて3:1〜1:4である、[4]または[5]に記載の具材。
[7]寒天の重量平均分子量が50,000〜200,000である、[3]〜[6]のいずれかに記載の具材。
[8]25℃〜30℃において、粘性が3.5kPa〜16.5kPaであり、粘着性が23g〜175gである、[1]〜[7]のいずれかに記載のおにぎり用具材。
本発明の具材に含有される増粘剤は、液体を増粘する性質を有し、食品添加物として使用可能であり、20℃において、0.2重量%の濃度で増粘効果を示すが、ゲルを形成するには至らないものをいう。
また、本発明の具材に含有されるゲル化剤とは、一定温度以上への昇温とその後の冷却により液体をゲル化して固化する性質を有し、食品添加物として使用可能であり、20℃において、0.3重量%の濃度でゲルを形成し得るものをいう。
また、本発明の具材に含有されるゲル化剤としては、寒天、ゼラチン、デンプン、加工デンプン、カラギーナン、ペクチン、カードラン等が挙げられる。これらのうち、寒天が好ましい。
ウェランガムとしては、アルカリゲネス(Alcaligenes)属細菌の培養液より分離して得られたものや、工業的に製造されたものを用いることができ、重量平均分子量が400,000〜700,000程度のものを用いることができる。
寒天としては、アガロースのみにより構成されるもの、およびアガロースとアガロペクチンとにより構成されるもののいずれも用いることができ、後者については、アガロースおよびアガロペクチンの構成比は特に限定されない。
また、テングサ、オゴノリ等の紅藻類の粘液質を凍結乾燥して製造したものや、工業的に製造したものを用いることができる。
本発明の目的には、重量平均分子量が30,000〜400,000程度のものを用いることができるが、食感に及ぼす影響を考慮すると、重量平均分子量が50,000〜200,000程度の低分子量の寒天を用いることがより好ましい。
上記したウェランガムおよび寒天の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法により測定される。
また、ウェランガムと寒天とは、これらの含有量比(ウェランガム:寒天)が重量比にて3:1〜1:4となるように、本発明の具材に含有させることが好ましく、2:1〜1:2となるように含有させることがより好ましい。
また、解凍された後において、テクスチャーアナライザー(英弘精機株式会社等)を用い、25℃〜30℃で後述する条件および方法で測定される粘着性が、23g〜175gであることが好ましく、25g〜140gであることがより好ましい。
なお、混合加熱工程の後冷凍工程の前において、冷凍効率等の観点から、必要に応じて冷却を行ってもよい。前記冷却は、充填工程の前または後のいずれに行ってもよい。
なお、調理の際の簡便性等の観点から、本発明の具材は、一食分ずつ容器に充填されることが好ましい。
容器の開口部の形状は円形、楕円形、多角形等任意でよいが、冷凍後の具材の取り出し易さの観点から、容器開口部から底面にかけて内径が小さくなる形状が好ましい。
また、必要に応じて冷凍前に行う冷却は、通常の冷却手段、たとえば送風冷却、流水冷却等により行うことができる。
さらに、本発明の具材は、各種食材、調味料等の食品添加物、および増粘剤の1種以上とゲル化剤の1種以上とを混合し、通常の方法により調理して、カレー、ビビンバ、角煮、麻婆豆腐、餃子等の各種惣菜を調製し、加熱後、冷凍して、本発明の具材とすることもできる。
本発明の具材における液体含有量は、通常10重量%〜90重量%であり、20重量%〜70重量%であることが好ましい。
なお、本発明の具材において、具材中の液体の融点は、たとえば、熱分析装置SII EXSTAR6000(セイコーインスツル株式会社)にて、アルミ容器(P/N SSC000E033 AL70−CPSULE)を用い、リファレンスとしてアルミ粉50mgを用いて、昇温速度=1℃/分、開始温度=−25℃、終了温度=15℃、試料量=50±2mgの条件下に測定される。
また、具材中に植物油脂が含まれる場合には、植物油脂の含有量も具材中の液体の融点に影響する。
米飯中での溶け易さの観点からは、具材中の液体における植物油脂の含有量は、3.0重量%〜26.0重量%であることが好ましい。
表1に示す組成の調味液を調製し、該調味液50重量%を固形分50重量%と混合し、おにぎり用冷凍具材を調製した。その際、表2に示す増粘剤とゲル化剤とを、調味液に対して表2に示す含有量および含有量比となるように添加して加熱後冷却し、ポリプロピレン製の直径55mmの半球状トレーに25gずつ充填して冷凍し、それぞれ実施例1〜3とした。
また、増粘剤としてウェランガム、ゲル化剤として低分子量寒天を、調味液に対して表3に示す含有量および含有量比となるように添加し、実施例1〜3と同様におにぎり用冷凍具材を調製して、実施例4〜10とした。
なお、表2および3に示す増粘剤およびゲル化剤として、下記の原料を使用した。
(1)ウェランガム:「ビストップW」、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
(2)ローカストビーンガム:「LBG−3」、株式会社タイショーテクノス製
(3)低分子量寒天:「ウルトラ寒天UX−30」、伊那食品工業株式会社製、重量平均分子量=50,000〜100,000
(4)一般寒天:「伊那寒天 UZ−5」、伊那食品工業株式会社製、重量平均分子量=200,000〜400,000
また、上記評価結果を総合して、おにぎりの具材として好ましいかどうかを評価し、下記評価基準に従って評価し、評価結果は、表2および3に併せて示した。
5点:米飯へのしみ込みが非常に少なく、液状部分がほぼ残っている。
4点:米飯へのしみ込みが少なく、液状部分が残っている。
3点:米飯へのしみ込みがあるが、ある程度液状部分が残り、許容の範囲内である。
2点:米飯へのしみ込みが多く、液状部分があまり残っていない。
1点:米飯へのしみ込みが非常に多く、液状部分がほぼ残っていない。
5点:容器への付着性がほぼなく、取り出しが非常に容易である。
4点:容器への付着性が低く、取り出しが容易である。
3点:容器への付着性があるが、ある程度は取り出し易く、許容の範囲内である。
2点:容器への付着性が高く、取り出しが困難である。
1点:容器への付着性が非常に高く、取り出しが不可能である。
5点:具材と液状部分が一体になっており、非常に分離しがたい。
4点:具材と液状部分が一体になっており、分離しがたい。
3点:具材と液状部分がある程度は一体になっており、少し分離するが許容の範囲内
である。
2点:具材と液状部分があまり一体になっておらず、分離し易い。
1点:具材と液状部分が一体になっておらず、非常に分離し易い。
5点:適度な粘性を有し、かつ口中における広がりが非常によい。
4点:ほぼ適度な粘性を有し、かつ口中における広がりがよい。
3点:液状部分の粘性はやや高いが、ある程度口中において広がり、許容の範囲内
である。
2点:液状部分の粘性(保形性)が高く、口中において広がりにくい。
1点:液状部分の粘性(保形性)が非常に高く、口中において広がらない。
◎:各要素をバランスよく満たし、おにぎり用具材として好ましい。
○:一部の要素については満たしていないが、おにぎり用具材としては許容範の囲内
である。
△:複数の要素において満足できず、おにぎり用具材として好ましくない。
×:複数の要素における評価が劣り、おにぎり用具材として非常に好ましくない。
粘性および粘着性についての測定結果は、表3に併せて示した。また、剥離性についての測定結果は、表4に示した。
(1)使用機器
動的粘弾性測定装置:NDS−1000(株式会社MKTタイセー)
(2)測定条件
測定温度:25℃
モード:圧縮
振幅:40μm
周波数:2.0Hz
センサー面積:176.715mm2
反復数:3回
(3)サンプル条件
トレーに入ったサンプルを25℃のインキュベーターに入れて解凍、調温し、分析 直前にこれを取り出し、機器にセットして分析した。
(1)使用機器
測定装置:テクスチャーアナライザーTA.XT.plus(英弘精機株式会社)
プランジャー:P/20 20mmアルミニウム
(2)測定条件
測定温度:25℃
プランジャー下降速度:20mm/s
試料への侵入速度:1mm/s
試料への侵入後のプランジャーの上昇速度:20mm/s
試料への侵入距離:5mm
試料接触後の上昇距離:90mm
(3)サンプル条件
トレーに入ったサンプルを25℃のインキュベーターに入れて解凍、調温し、分析 直前にこれを取り出し、機器にセットして分析した。
(4)解析条件
プランジャーを引き上げる際の負のピークトップの応力の絶対値を粘着性とした。
(1)使用機器
測定装置:テクスチャーアナライザーTA.XT.plus(英弘精機株式会社)
プランジャー:P/25 25mmアルミニウム
(2)測定条件
測定温度:25℃
プランジャー下降速度:20mm/s
試料への侵入速度:2mm/s
試料への侵入後のプランジャーの上昇速度:20mm/s
試料への侵入距離:10mm
試料接触後の上昇距離:90mm
(3)サンプル条件
トレーに入ったサンプルを−18℃のインキュベーターに入れて調温し、分析直前 にこれを取り出し、トレーを37℃のウォーターバスに10秒浸け、充填口を下にし て機器にセットし分析した。
(4)解析条件
得られた波形の最初のピークの最大応力を、おにぎり用冷凍具材をトレーから剥離 する為に必要な力として解析した。
増粘剤としてウェランガムを用い、ゲル化剤として一般寒天を用いた場合には、米飯へのしみ込みにくさ、トレーからの取り出し易さ、具材のまとまりの要件はほぼ満たすが、品質(食感)において、液状部分の粘性がやや高いと評価された。
増粘剤としてウェランガムを用い、ゲル化剤として低分子量寒天を用いた場合には、米飯へのしみ込みにくさ、トレーからの取り出し易さ、具材のまとまりの要件をすべてバランスよく満たし、また品質(食感)が非常に良好であり、おにぎり用具材として好ましいと評価された。
また、表3に示された結果から、おにぎり用冷凍具材の米飯へのしみ込みにくさ、トレーからの取り出し易さ、具材のまとまり、および品質(食感)は、おにぎり用冷凍具材の解凍後の粘性および粘着性により、制御され得ることが示唆された。
さらに表4に示され結果から、増粘剤としてウェランガムを用い、ゲル化剤として低分子量寒天を用いた場合には、解凍後に適度な剥離性を示すおにぎり用冷凍具材が得られ、トレーからの取り出し易さが良好となることが示唆された。
Claims (9)
- 増粘剤の1種以上と、ゲル化剤の1種以上とを含有する、おにぎり用冷凍具材であって、
前記増粘剤が、20℃において、0.2重量%の濃度で増粘効果を示すが、ゲルを形成するには至らないものであり、前記ゲル化剤が、昇温とその後の冷却により液体をゲル化して固化する性質を有し、20℃において、0.3重量%の濃度でゲルを形成し得るものである、おにぎり用冷凍具材。 - 増粘剤がウェランガムおよびローカストビーンガムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の具材。
- ゲル化剤が寒天、ゼラチン、デンプン、加工デンプン、カラギーナンおよびペクチンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の具材。
- ゲル化剤が寒天である、請求項1または2に記載の具材。
- 増粘剤がウェランガムであり、ゲル化剤が寒天である、請求項1に記載の具材。
- ウェランガムおよび寒天の含有量が、具材中の液体の総重量に対して0.8重量%〜4.2重量%である、請求項5に記載の具材。
- ウェランガムと寒天の含有量比(ウェランガム:寒天)が、重量比にて3:1〜1:4である、請求項5または6に記載の具材。
- 寒天の重量平均分子量が50,000〜200,000である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の具材。
- 25℃〜30℃において、粘性が3.5kPa〜16.5kPaであり、粘着性が23g〜175gである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の具材。
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