以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下では、印刷用紙9が搬送される方向を「搬送方向」、搬送方向に直交する水平方向を「幅方向」とそれぞれ称する。また、搬送方向の上流側を単に「上流側」と称し、搬送方向の下流側を単に「下流側」と称する。
<1.第1実施形態>
<1−1.印刷システムの構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る印刷システム1の構成を、概念的に示した図である。この印刷システム1は、長尺帯状の基材である印刷用紙9を搬送しつつ、印刷用紙9に対して印刷等の加工を行う加工システムである。
印刷システム1は、搬送機構11、スプライス装置12、印刷装置13、ウェブ位置変更装置14、バッファ装置15、後加工装置16、および、制御部10を有する。
搬送機構11は、印刷用紙9を保持しつつその長手方向である搬送方向に搬送するための機構である。本実施形態の搬送機構11は、巻き出し部111、巻き取り部112、および、各装置間に配置される複数の搬送ローラ113を有する。
巻き出し部111、巻き取り部112および複数の搬送ローラ113にはそれぞれ、動力源となるモータ(図示せず)が連結されている。制御部10がモータを駆動させると、巻き出し部111、巻き取り部112および複数の搬送ローラ113がそれぞれ回転する。これにより、印刷用紙9が搬送方向に搬送される。ただし、複数のローラ113の一部または全部は、モータと連結されず、印刷用紙9の動きに従って回転する従動ローラであってもよい。
複数の搬送ローラ113と、スプライス装置12、印刷装置13、ウェブ位置変更装置14、バッファ装置15および後加工装置16に含まれる種々のローラとは、印刷用紙9の搬送経路を構成する。各搬送ローラ113は、水平軸を中心として回転することによって、印刷用紙9を搬送経路の下流側へ案内する。
印刷用紙9は、巻き出し部111から繰り出され、複数の搬送ローラ113等により構成される搬送経路に沿って、巻き取り部112へ搬送される。搬送後の印刷用紙9は、巻き取り部113へ回収される。
スプライス装置12は、2つの印刷用紙9を繋いで、印刷用紙9同士の繋ぎ目であるスプライス部を形成する装置である。スプライス装置12は、上流側の印刷用紙9の下流側端部と、下流側の印刷用紙9の上流側端部とを、接着剤または接着テープで接続する。
なお、本実施形態の印刷システム1は、自動で2つの印刷用紙9を接続するが、本発明はこれに限られない。スプライス装置12に代えて、手動で2つの印刷用紙を繋ぐための作業スペースが設けられてもよい。
印刷装置13は、スプライス装置12よりも下流側において、印刷用紙9の上面に画像を記録する装置である。すなわち、印刷装置13は、印刷用紙9に対して第1の加工として印刷を行う第1装置である。この印刷装置13は、印刷用紙9の搬送経路の上方に配置された記録ヘッド131を有する。記録ヘッド131は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のインク滴を、順に印刷用紙9の上面に吐出する。
本実施形態の印刷装置13は、印刷用紙9各記録ヘッド131の下方を1回だけ通過する間に、記録ヘッド131からインク滴を吐出することにより、印刷用紙9上に所望の画像パターンを記録する、いわゆるワンパス式のインクジェットプリンタである。
ウェブ位置変更装置14は、搬送経路に沿って長手方向に搬送される長尺帯状の印刷用紙9の幅方向の基準位置を変更する装置である。ウェブ位置変更装置14は、上流側から搬送されてきた印刷用紙9を、幅方向に平行移動させて下流側へと送り出す。これにより、印刷用紙9を、印刷装置13における基準位置に合わせた幅方向の位置から、後加工装置16における基準位置に合わせた幅方向の位置へと、印刷用紙9を移動させる。
印刷装置13や後加工装置16などの長尺帯状の基材に対して加工を行う加工装置では一般的に、通紙方式としてセンター寄せ方式または片側寄せ方式が採用されている。センター寄せ方式とは、搬送方向に略直交する処理可能幅の中央と、基材の幅方向の中央とを略一致させた状態で、基材の搬送および基材に対する加工を行う方式である。すなわち、センター寄せ方式では、処理可能幅の中央を基準位置とする。片側寄せ方式とは、搬送方向に対する処理可能幅の一方側の端部付近の基準位置と基材の幅方向の一方側の端部とを略一致させた状態で、基材の搬送及び基材に対する加工を行う方式である。
本実施形態では、印刷装置13は片側寄せ方式の加工装置であり、後加工装置16はセンター寄せ方式の加工装置である。そのため、印刷装置13と後加工装置16との間で印刷用紙9の幅方向の位置が異なる場合がある。ウェブ位置変更装置14は、印刷装置13と後加工装置16との間において、印刷用紙9の幅方向の位置を変更させる。このように、幅方向の基準位置の異なる2つの加工装置の間にウェブ位置変更装置14を介在させることにより、印刷用紙9に対する2種類の加工を連続して行うことができる。ウェブ位置変更装置14の詳細な構成については、後述する。
バッファ装置15は、ウェブ位置変更装置14と後加工装置16との間において、印刷用紙9の張力を調整する装置である。バッファ装置15は、複数のバッファローラ151とダンサローラ152とを有する。バッファローラ151およびダンサローラ152は、略水平かつ幅方向に沿って配置される。また、バッファローラ151およびダンサローラ152はそれぞれ、搬送方向に沿って上下に互い違いに配置される。
図1中に矢印で示すように、ダンサローラ152が上下に移動することにより、印刷用紙9の張力を調整できる。また、ダンサローラ152が上下に移動することにより、バッファ装置15内で保持される印刷用紙9の長さを調節できる。これにより、上流側における印刷用紙9の搬送速度と、下流側における印刷用紙9の搬送速度とに一時的に差が生じた場合であっても、上流側と下流側との搬送速度の差を吸収し、印刷用紙9の張力を一定に保つことができる。
後加工装置16は、印刷用紙9に対して第2の加工を行う第2装置である。後加工装置16は、バッファ装置15よりも下流側に配置される。後加工装置16は、例えば、シール層と台紙層とを有するシール基材のハーフカット加工装置、印刷用紙の型抜きを行う型抜き装置、または、印刷装置13における印刷面と反対側の面に印刷を行う他の印刷装置である。
なお、後加工装置16は、印刷用紙9を所定の長さに裁断する裁断装置、または、印刷用紙9を所定の長さごとに折る折り機等の加工装置であってもよい。その場合、加工後の印刷用紙9を巻き取る必要がないため、搬送機構11が巻き取り部112を有さない。
制御部10は、印刷システム1内の各部を動作制御するための制御手段である。図1中に概念的に示したように、本実施形態の制御部10は、CPU等の演算処理部101、RAM等のメモリ102、およびハードディスクドライブ等の記憶部103を有するコンピュータにより構成されている。また、制御部10は、搬送機構11、スプライス装置12、印刷装置13、ウェブ位置変更装置14、バッファ装置15および後加工装置16の各部と、それぞれ電気的に接続されている。
制御部10は、記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムPやデータDを、メモリ102に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムPおよびデータDに基づいて、演算処理部101が演算処理を行うことにより、印刷装置13内の各部を動作制御する。これにより、印刷装置13における印刷工程が進行する。なお、制御部10は、電子回路により構成されていてもよい。
なお、本実施形態では、搬送機構11、スプライス装置12、印刷装置13、ウェブ位置変更装置14、バッファ装置15および後加工装置16のそれぞれの動作が1つの制御部10により制御されるが、本発明はこの限りではない。各装置11〜16がそれぞれ別の制御部に接続されていてもよい。
<1−2.ウェブ位置変更装置の構成>
次に、ウェブ位置変更装置14の構成について、図2〜図4を参照しつつ説明する。図2は、ウェブ位置変更装置14の斜視図である。図3は、ウェブ位置変更装置14の上面図である。図4は、ウェブ位置変更装置14の使用時の様子を示した図である。
図2および図3に示すように、ウェブ位置変更装置14は、静止部20と回動部30とを有する。静止部20は、ケーシング21および静止ローラ22を有する。回動部30は、回動台31、2つのガイドローラ32,33、固定板34、第1ガイド板35および第2ガイド板36を有する。
ケーシング21は、静止ローラ22および回動部30を収容する筐体である。静止ローラ22は、ケーシング21に回転軸が固定される従動ローラである。静止ローラ22は、その回転軸が、略水平かつ幅方向に沿って配置される。本実施形態では、静止ローラ22は、幅方向に延び、搬送経路に対して垂直に配置される基準部材である。
回動台31は、2つのガイドローラ32,33の間に位置し、印刷用紙9の下面に沿って平板状に拡がっている。回動台31の下方には、回動機構311が設けられている。回動機構311は、制御部10からの指令に従って駆動し、回動台31を、ガイドローラ32の中央付近を中心として幅方向に回動させる。図3には、回動部30が無回転位置に配置された様子が示されている。回転機構311により、回動台31の長手方向が搬送経路に沿う無回転位置から、回動台31の搬送方向に対する角度が変動する。
ガイドローラ32,33、固定板34、第1ガイド板35および第2ガイド板36はそれぞれ、回動台31に固定される。したがって、ガイドローラ32,33はそれぞれ、その回転軸が静止ローラ22に対して平行となる無回転位置から、当該回転軸の搬送方向に対する角度を変更可能である。また、固定板34、第1ガイド板35および第2ガイド板36はそれぞれ、回動台31と共に回動し、無回転位置から、搬送方向に対する角度が変動する。
2つのガイドローラ32,33のうち、回動台31の上流側の端部付近に配置されるものを第1ガイドローラ32と称する。また、2つのガイドローラ32,33のうち、回動台31の下流側の端部付近に配置されるものを第2ガイドローラ33と称する。ガイドローラ32,33は、回動台31に回転軸が固定される従動ローラである。ガイドローラ32,33は、略水平かつ回動台31の短手方向に沿って配置される。
固定板34、第1ガイド板35および第2ガイド板36はそれぞれ、回動台31の上面に沿って、かつ、2つのガイドローラ32,33の下方に配置される。また、固定板34、第1ガイド板35および第2ガイド板36はそれぞれ、その上面が、印刷用紙9が配置される配置面となっている。固定板34、第1ガイド板35および第2ガイド板36は、回動台31の長手方向に上流側から下流側へ向かって順に配置される。すなわち、固定板34、第1ガイド板35および第2ガイド板36は、搬送方向に互いに隣接する。
固定板34は、回動台31に対して移動不可能に固定される。一方、第1ガイド板35および第2ガイド板36は、図2中に破線で示した移動機構350,360により、回動台31に対して回動台31の短手方向に移動可能に支持される。すなわち、当該移動機構350は第1ガイド板35を、移動機構360は第2ガイド板36を、それぞれ幅方向に移動させる。移動機構350,360は、例えば、モータの動力をボールねじを用いて直線運動に変換する機構により実現することができる。
また、第1ガイド板35および第2ガイド板36はそれぞれ、第1固定部材37および第2固定部材38を有する。第1固定部材37は、第1ガイド板35の配置面に印刷用紙9を固定するための部材である。第2固定部材38は、第2ガイド板36の配置面に印刷用紙9を固定するための部材である。第1固定部材37および第2固定部材38は、2つのガイドローラ32,33の間に、搬送方向に間隔をあけて配置される。
図2中に拡大して示すように、本実施形態のガイド板35,36は、それぞれ、スプライス部90の切断時にカッター等の刃物を接触させる刃受け部351,361を有する。第1ガイド板35の下流側端部に設けられた刃受け部351と第2ガイド板36の上流側端部に設けられた刃受け部361とが対向することにより、カッターを受けるための刃受け溝39となる。なお、刃受け溝39に代えて、単に第1ガイド板35および第2ガイド板36の間に、カッターが通過するための間隙を刃受け部として設けてもよい。
図1に示すように、ウェブ位置変更装置14には、第1ガイドローラ32の上方から印刷用紙9が供給される。そして、印刷用紙9は、第1ガイドローラ32および第2ガイドローラ33の下側に接触しながら搬送された後、上方へ向かい、静止ローラ22の上側を通って下流側へと搬送される。
第1ガイドローラ32と第2ガイドローラ33との間において、印刷用紙9は、固定板34、第1ガイド板35および第2ガイド板36の上面に沿って搬送される。印刷用紙9の搬送時には、第1固定部材37および第2固定部材38は、印刷用紙9の上方であって印刷用紙9と接触しない位置に配置される。また、後述する印刷用紙9の貼り替え時には、第1固定部材37および第2固定部材38は、印刷用紙9を上方から第1ガイド板35および第2ガイド板36へと押しつけて固定する。
ウェブ位置変更装置14では、印刷用紙9の搬送時には、上流側の基準位置、下流側の基準位置、および、搬送される印刷用紙9の幅によって、回動部30の無回転位置からの回動角度を調整する。本実施形態では、上記の通り、上流側の印刷装置13は片側寄せ方式の加工装置であり、下流側の後加工装置16はセンター寄せ方式の加工装置である。
ここで、印刷装置13における基準位置を第1位置P1と称する。また、後加工装置16における基準位置を第2位置P2と称する。第2位置P2は、第1位置P1に対して幅方向一方側に位置する。ウェブ位置変更装置14では、図4に示すように、回動部30の上流側の端部では第1位置P1に印刷用紙9の幅方向他方側の端部を略一致させるとともに、回動部30の下流側の端部では、第2位置P2に印刷用紙9の幅方向の中央を略一致させるように、回動部30を回動させる。
このようにガイドローラ32,33の角度を調整することにより、ウェブ位置変更装置14は、印刷用紙9の幅方向の位置を変更する。
<1−3.ウェブ位置変更装置の動作について>
続いて、ウェブ位置変更装置14におけるスプライス部90の貼り替え工程について、図5〜図10を参照しつつ説明する。図5は、ウェブ位置変更装置14を用いたスプライス部の貼り替え作業の流れを示すフローチャートである。図6〜図10は印刷用紙9のスプライス部の貼り替え時の様子を示した図である。
まず、印刷用紙9のスプライス部の上流側の幅が、スプライス部の下流側の幅よりも大きい場合について、図5〜図8を参照しつつ説明する。なお、本願において、印刷用紙の「幅方向の長さ」を、単に、印刷用紙の「幅」と称する。
印刷用紙9の変更時には、初めに、印刷装置13の上流側において、印刷用紙9の搬送を停止させた状態で、スプライス装置12は、使用中の印刷用紙91の上流側端部と新たな印刷用紙92の下流側端部とを貼り合わせ、スプライス部90を形成する(ステップS101)。すなわち、スプライス部90は、幅の異なる2つの印刷用紙9を貼り合わせた繋ぎ目である。
このとき、印刷装置13は片側寄せ方式の装置であるため、ステップS101では、下流側の印刷用紙91の幅方向他方側の端部と、上流側の印刷用紙92の幅方向他方側の端部とが略一致するようにスプライス部90が形成される。
制御部10は、スプライス装置12においてスプライス部が形成されたと判断すると、搬送機構11によって印刷用紙9を一定距離搬送させた後(ステップS102)、搬送機構11による印刷用紙9の搬送を停止する(ステップS103)。
ステップS102において、制御部10は、印刷用紙9の搬送距離が、ステップS101におけるスプライス部90の形成位置から、ウェブ位置変更装置14の第1ガイド板35および第2ガイド板36の境界までの距離と略同一になるように、印刷用紙9の搬送距離を設定する。これにより、ステップS103において、スプライス部90が2つのガイドローラ32,33の間に配置される位置で、印刷用紙9の搬送が停止される。本実施形態では特に、図6に示すように、スプライス部90が第1ガイド板35および第2ガイド板36の境界に配置される。
本実施形態では、スプライス装置12とウェブ位置変更装置14との間に、バッファ装置15等の搬送距離に影響を与える装置が介在しない。そのため、スプライス装置12のスプライス部90を形成した位置と、ウェブ位置変更装置14のガイド板35,36の境界位置との間における印刷用紙9の搬送距離を把握し易い。すなわち、ステップS103
においてより適切な位置で印刷用紙9の搬送を停止できる。
次に、制御部10は、バッファ装置15のダンサローラ152を移動させて、バッファ装置15における印刷用紙9の張力をOFFにする(ステップS104)。その後、図7に示すように、ウェブ位置変更装置14の回動部30を無回転位置へと戻す(ステップS105)。これにより、ガイドローラ32,33の角度が搬送方向に対して略垂直となる。
そして、固定部材37,38を移動させて、幅の異なる2つの印刷用紙92,91をそれぞれガイド板35,36に固定させる(ステップS106)。固定部材37,38の移動は、手動で行うものであってもよいし、制御部10が自動で行うものであってもよい。このとき、第1固定部材37は、スプライス部90の上流側の印刷用紙92を第1ガイド板35に当接させて固定する。また、第2固定部材38は、スプライス部90の下流側の印刷用紙91を第2ガイド板36に当接させて固定する。
続いて、オペレータが、スプライス部90を切断する(ステップS107)。本実施形態では、ステップS103において適切な位置で印刷用紙9の搬送を停止しているため、図7に示すように、スプライス部90は第1ガイド板35と第2ガイド板36との境界に位置する。このため、カッターを刃受け溝39に沿わせてスプライス部90を切断できる。
上流側の印刷用紙92と下流側の印刷用紙91とを切断した後、図8に示すように第2ガイド板36を幅方向にスライドさせる。そして、上流側の印刷用紙92の下流側端部と、下流側の印刷用紙91の上流側端部とを接着剤や接着テープで固定し、貼り直す(ステップS108)。すなわち、印刷用紙9の切断部を、ステップS107以前とは異なる位置で貼り合わせる。本実施形態では、後加工装置16がセンター寄せ方式の装置であるため、上流側の印刷用紙92の幅方向の中央と、下流側の印刷用紙91の幅方向の中央とが略一致するように、第2ガイド板36の移動量が調節される。なお、第2ガイド板36は、本実施形態のように制御部10により自動で移動されるものであってもよいし、オペレータが手動で移動させるものであってもよい。
このように、印刷用紙91,92をそれぞれガイド板35,36に固定し、いずれかのガイド板35,36を幅方向に移動させることにより、印刷用紙9の繋ぎ目であるスプライス部90を容易に貼り替えることができる。スプライス部90を貼り替えることにより、スプライス部90の前後において、幅方向の位置の安定しない領域が長く生じるのが抑制される。また、下流側のガイドローラ33よりも上流側においてスプライス部90を貼り替えるため、上流側の印刷用紙92の幅が下流側の印刷用紙91の幅よりも大きい場合であっても、ウェブ位置変更装置14付近において、一時的に上流側の印刷用紙92が搬送経路からはみ出すのが抑制される。したがって、ウェブ位置変更装置14において、印刷用紙91,92のスプライス部90付近における幅方向位置の調整をスムーズに行うことができる。
ここで、第2位置P2は、第1位置P1に対して幅方向一方側に配置されている。このため、ステップS108の印刷用紙9の貼り替え時において、第2ガイド板36は、印刷用紙9の搬送時に配置される通常位置から幅方向一方側に移動される。
基準位置を第1位置P1から第2位置P2へと変更する際、用紙幅の狭い下流側の印刷用紙91は、用紙幅の広い上流側の印刷用紙92と比べて、ウェブ位置変更装置14における幅方向の移動距離が大きい。そのため、このように、ステップS108の印刷用紙9の貼り替え時に、移動距離の大きい下流側の印刷用紙91が固定される第2ガイド板36を移動方向である幅方向一方側へと移動することが好ましい。これにより、貼り替えによって印刷用紙91の幅方向の移動量を低減でき、ウェブ位置変更装置14における幅方向位置の調整をスムーズに行うことができる。
また、ステップS104において印刷用紙9にかかる張力をOFFにすることにより、ステップS105およびステップS108における回動部30または第2ガイド板36の動作に伴う印刷用紙9の動きをスムーズにできる。これにより、回動部30または第2ガイド板36の動作により、印刷用紙9に破れやシワ等が発生するのが抑制される。
印刷用紙9の貼り替えが完了したら、各固定部材37,38による印刷用紙9の固定を解除し、印刷用紙9をガイド板35,36から解放し、印刷用紙9をガイド板35,36から離間させる(ステップS109)。そして、第2ガイド板36を通常位置へと戻す。
その後、バッファ装置15のダンサローラ152を駆動させ、印刷用紙9にかかる張力をONにする(ステップS110)。印刷用紙9に張力が与えられた後で、制御部10は、印刷用紙9の搬送を再開する(ステップS111)。また、ガイドローラ32,33の角度を再調整する(ステップS112)。
続いて、印刷用紙9のスプライス部90の上流側の幅が、スプライス部の下流側の幅よりも小さい場合について、上記の場合と異なる点について、図9〜図10を参照しつつ、説明する。
上流側の印刷用紙92の幅が、下流側の印刷用紙91の幅よりも小さい場合、ステップS106において回動部30を無回転位置へと戻すと、図9に示す状態となる。そして、ステップS107においてスプライス部90が切断される。その後、図10に示すように、第1ガイド板35を幅方向一方側にスライドさせ、2つの印刷用紙91,92を貼り直す(ステップS108)。このとき、上流側の印刷用紙91の幅方向の中央と、下流側の印刷用紙92の幅方向の中央とが略一致するように、第1ガイド板35の移動量が調節される。
ここで、第2位置P2は、第1位置P1に対して幅方向一方側に配置されている。このため、ステップS108の印刷用紙9の貼り替え時において、第1ガイド板35は、印刷用紙9の搬送時に配置される通常位置から幅方向一方側に移動される。
基準位置を第1位置P1から第2位置P2へと変更する際、用紙幅の狭い上流側の印刷用紙92は、用紙幅の広い下流側の印刷用紙91と比べて、ウェブ位置変更装置14における幅方向の移動距離が大きい。このように、ステップS108の印刷用紙9の貼り替え時には、移動距離の大きい上流側の印刷用紙92が固定される第1ガイド板35を、移動方向である幅方向一方側へと移動することが好ましい。これにより、ウェブ位置変更装置14における幅方向位置の調整をスムーズに行うことができる。
このように、本実施形態では、幅の異なる2つの印刷用紙92,91を固定する2枚のガイド板35,36の双方を幅方向に移動できる。これにより、幅広の印刷用紙91から幅狭の印刷用紙92へ切り替わる場合と、幅狭の印刷用紙91から幅広の印刷用紙92へ切り替わる場合と、のいずれの場合においても、2つの印刷用紙91,92のうち、幅の小さいものを、ウェブ位置変更装置14における移動方向である幅方向一方側へとずらして、2つの印刷用紙91,92を貼り合わせることができる。
これにより、ウェブ位置変更装置14において、スプライス部90付近における幅方向の移動距離を小さくし、ウェブ位置変更装置14における幅方向の移動をよりスムーズに行うことができる。また、ガイド板35,36の移動用の空間は、ガイド板35,36の幅方向の一方側のみに設ければよい。そのため、ウェブ位置変更装置14の幅方向の大きさを抑制できる。
<2.第2実施形態>
図11〜図15は、本発明の第2実施形態に係るウェブ位置変更装置14Aにおける印刷用紙9Aのスプライス部90Aの貼り替え時の様子を示した図である。本実施形態のウェブ位置変更装置14Aは、第1実施形態に係るウェブ位置変更装置14と同様の装置構成をしている。本実施形態のウェブ位置変更装置14Aでは、回動部30Aの上流側の端部では第1位置P1Aに印刷用紙9Aの幅方向の中央を略一致させるとともに、回動部30Aの下流側の端部では第2位置P2Aに印刷用紙9Aの幅方向の一方側の端部を略一致させるように、回動部30Aを回動させる。ここで、第2位置P2Aは、第1位置P1Aに対して幅方向一方側に位置する。
上記の第1実施形態では、ウェブ位置変更装置14の上流側に片側寄せ方式の加工装置が配置され、ウェブ位置変更装置14の下流側にセンター寄せ方式の加工装置が配置されていた。この第2実施形態では、ウェブ位置変更装置14Aの上流側にセンター寄せ方式の加工装置が配置され、ウェブ位置変更装置14Aの下流側に片側寄せ方式の加工装置が配置される。
まず、印刷用紙9Aのスプライス部90Aより上流側の幅が、スプライス部90Aより下流側の幅よりも大きい場合について、図11〜図13を参照しつつ、説明する。ここでは、このウェブ位置変更装置14Aにおいても、スプライス部90Aの貼り替え時の流れは第1実施形態と同様であるため、ステップS103〜S108についてのみ、図面を参照しつつ説明する。
ウェブ位置変更装置14Aの上流側では、下流側の印刷用紙91Aの幅方向中央と、上流側の印刷用紙92Aの幅方向中央とが略一致するようにスプライス部90Aが形成されている。スプライス部90Aが搬送され、ウェブ位置変更装置14Aへと達すると、搬送機構による印刷用紙9Aの搬送が停止される(ステップS103)。この際、図11に示すように、スプライス部90Aが第1ガイド板35Aおよび第2ガイド板36Aの境界に配置される。
次に、印刷用紙9Aの張力をOFFとした(ステップS104)後、図12に示すように、ウェブ位置変更装置14Aの回動部30Aを無回転位置へと戻す(ステップS105)。そして、固定部材37A,38Aにより上流側の印刷用紙92Aおよび下流側の印刷用紙91Aが第1ガイド板35Aおよび第2ガイド板36Aに固定される(ステップS106)。
続いて、オペレータが、スプライス部90Aを切断する(ステップS107)。スプライス部90Aの切断後、図13に示すように第2ガイド板36Aを幅方向にスライドさせる。そして、上流側の印刷用紙92Aの下流側端部と、下流側の印刷用紙91Aの上流側端部とを固定する(ステップS108)。このとき、上流側の印刷用紙92Aの幅方向一方側の端部と、下流側の印刷用紙91Aの幅方向一方側の端部とが略一致するように、第2ガイド板36Aの移動量が調節される。
このように、印刷用紙92A,91Aをそれぞれガイド板35A,36Aに固定し、いずれかのガイド板35A,36Aを幅方向に移動させることにより、印刷用紙9Aの繋ぎ目であるスプライス部90Aを容易に貼り替えることができる。これにより、ウェブ位置変更装置14Aにおいて、印刷用紙91A,92Aのスプライス部90A付近における幅方向位置の調整をスムーズに行うことができる。
上記の通り、第2位置P2Aは、第1位置P1Aに対して幅方向一方側に配置されている。ステップS108の印刷用紙9Aの貼り替え時において、第2ガイド板36Aは、印刷用紙9Aの搬送時に配置される通常位置から幅方向一方側に移動される。
基準位置を第1位置P1Aから第2位置P2へと変更する際、用紙幅の狭い下流側の印刷用紙91Aは、用紙幅の広い上流側の印刷用紙92Aと比べて、ウェブ位置変更装置14Aにおける幅方向の移動距離が大きい。そのため、このように、ステップS108の印刷用紙9Aの貼り替え時に、移動距離の大きい下流側の印刷用紙91Aが固定される第2ガイド板36Aを移動方向である幅方向一方側へと移動することが好ましい。これにより、貼り替えによって印刷用紙91Aの幅方向の移動量を低減でき、ウェブ位置変更装置14Aにおける幅方向位置の調整をスムーズに行うことができる。
続いて、印刷用紙9Aのスプライス部90Aの上流側の幅が、スプライス部90Aの下流側の幅よりも小さい場合について、図14〜図15を参照しつつ、説明する。
下流側の印刷用紙91Aの用紙幅が、上流側の印刷用紙92Aの幅よりも大きい場合、ステップS106において回動部30Aを無回転位置へと戻すと、図14に示す状態となる。そして、ステップS107においてスプライス部90Aが切断される。その後、図15に示すように、第1ガイド板35Aを幅方向一方側にスライドさせ、2つの印刷用紙91A,92Aを貼り直す(ステップS108)。このとき、上流側の印刷用紙92Aの幅方向一方側の端部と、下流側の印刷用紙91Aの幅方向一方側の端部とが略一致するように、第1ガイド板35Aの移動量が調節される。
基準位置を第1位置P1Aから第2位置P2Aへと変更する際、用紙幅の狭い上流側の印刷用紙92Aは、用紙幅の広い下流側の印刷用紙91Aと比べて、ウェブ位置変更装置14Aにおける幅方向の移動距離が大きい。そのため、このように、ステップS108の印刷用紙9Aの貼り替え時に、移動距離の大きい上流側の印刷用紙92Aを、移動方向である幅方向一方側へと移動することが好ましい。これにより、ウェブ位置変更装置14Aにおける幅方向位置の調整をスムーズに行うことができる。
<3.第3実施形態>
<3−1.ウェブ位置変更装置の構成>
図16は、本発明の第3実施形態に係るウェブ位置変更装置14Bの斜視図である。ウェブ位置変更装置14Bについて、第1実施形態のウェブ位置変更装置14と共通する構成については、説明を省略する。
図16に示すように、ウェブ位置変更装置14Bは、静止部20Bと回動部30Bとを有する。静止部20Bは、ケーシング21Bおよび静止ローラ22Bを有する。回動部30Bは、回動台31B、第1ガイドローラ32B、第2ガイドローラ33Bおよび固定ガイド板34Bを有する。
ガイドローラ32B,33Bおよび固定ガイド板34Bはそれぞれ、回動台31Bに固定される。したがって、ガイドローラ32B,33Bおよび固定ガイド板34Bはそれぞれ、回動台31Bと共に回動し、各々の幅方向に対する角度が変動する。
固定ガイド板34Bは、回動台31Bの上面に沿って、かつ、2つのガイドローラ32B,33Bの下方に配置される。また、固定ガイド板34Bは、その上面が、印刷用紙9Bが配置される配置面となっている。なお、固定ガイド板34Bは、回動台31Bに対して移動不可能に固定される。
また、固定ガイド板34Bは、第1固定部材37Bおよび第2固定部材38Bを有する。第1固定部材37Bおよび第2固定部材38Bは、固定ガイド板34Bの配置面に印刷用紙9Bを固定するための部材である。第1固定部材37Bおよび第2固定部材38Bは、2つのガイドローラ32B,33Bの間に配置される。
図16中に拡大して示すように、本実施形態の固定ガイド板34Bは、第1固定部材37Bおよび第2固定部材38Bの間に、スプライス部90Bの切断時にカッター等の刃物を接触させる刃受け溝39Bを有する。なお、刃受け溝39Bに代えて、単に第1固定部材37Bおよび第2固定部材38Bの間に、カッターが通過するための間隙を刃受け部として設けてもよい。
本実施形態のウェブ位置変更装置14Bでは、回動部30Bの上流側の端部では第1位置P1Bに印刷用紙9Bの幅方向他方側の端部を略一致させるとともに、回動部30Bの下流側の端部では第2位置P2Bに印刷用紙9Bの幅方向の中央を略一致させるように、回動部30Bを回動させる。ここで、第2位置P2Bは、第1位置P1Bに対して幅方向一方側に位置する。
<3−2.ウェブ位置変更装置の動作について>
続いて、ウェブ位置変更装置14Bにおけるスプライス部90Bの貼り替え工程について、図17〜図21を参照しつつ説明する。図17〜図21は印刷用紙9Bのスプライス部の貼り替え時の様子を示した図である。
まず、印刷用紙9Bのスプライス部90Bの上流側の幅が、スプライス部90Bの下流側の幅よりも大きい場合について、図17〜図19を参照しつつ説明する。ここでは、このウェブ位置変更装置14Bにおいても、スプライス部90Bの貼り替え時の流れは第1実施形態と同様であるため、ステップS103〜S108についてのみ、説明する。
ウェブ位置変更装置14Bの上流側では、下流側の印刷用紙91Bの幅方向他方側と、上流側の印刷用紙92Bの幅方向他方側とが略一致するようにスプライス部90Bが形成されている。スプライス部90Bが搬送され、ウェブ位置変更装置14Bへと達すると、搬送機構による印刷用紙9Bの搬送が停止される(ステップS103)。この際、図17に示すように、スプライス部90Bが刃受け溝39B上に配置される。
次に、印刷用紙9Bの張力をOFFとした(ステップS104)後、図18に示すように、ウェブ位置変更装置14Bの回動部30Bを無回転位置へと戻す(ステップS105)。そして、固定部材37B,38Bにより上流側の印刷用紙92Bおよび下流側の印刷用紙91Bが固定ガイド板34Bに固定される(ステップS106)。このとき、第1固定部材37Bは、スプライス部90Bの上流側の印刷用紙92Bを固定ガイド板34Bに固定する。また、第2固定部材38Bは、スプライス部90Bの下流側の印刷用紙91Bを固定ガイド板34Bに固定する。
続いて、オペレータが、スプライス部90Bを切断する(ステップS107)。上流側の印刷用紙92Bと下流側の印刷用紙91Bとを切断した後、第2固定部材38Bによる印刷用紙91Bの固定を解除し、下流側の印刷用紙91Bを固定ガイド板34Bから解放する。そして、図19に示すように下流側の印刷用紙91Bを幅方向にスライドさせる。そして、上流側の印刷用紙92Bの下流側端部と、下流側の印刷用紙91Bの上流側端部とを接着剤や接着テープで固定し、貼り直す(ステップS108)。すなわち、印刷用紙9の切断部を、ステップS107以前とは異なる位置で貼り合わせる。本実施形態では、上流側の印刷用紙92Bの幅方向の中央と、下流側の印刷用紙91Bの幅方向の中央とが略一致するように、下流側の印刷用紙91Bを移動させる。
基準位置を第1位置P1Bから第2位置P2Bへと変更する際、用紙幅の狭い下流側の印刷用紙91Bは、用紙幅の広い上流側の印刷用紙92Bと比べて、ウェブ位置変更装置14Bにおける幅方向の移動距離が大きい。そのため、このように、ステップS108の印刷用紙9Bの貼り替え時に、移動距離の大きい下流側の印刷用紙91Bを、移動方向である幅方向一方側へと移動することが好ましい。これにより、ウェブ位置変更装置14Bにおける幅方向位置の調整をスムーズに行うことができる。
続いて、印刷用紙9Bのスプライス部90Bの上流側の幅が、スプライス部90Bの下流側の幅よりも小さい場合について、図20〜図21を参照しつつ、説明する。
下流側の印刷用紙91Bの用紙幅が、上流側の印刷用紙92Bの幅よりも大きい場合、ステップS106において回動部30Bを無回転位置へと戻すと、図20に示す状態となる。そして、ステップS107においてスプライス部90Bが切断される。
その後、第1固定部材37Bによる印刷用紙9Bの固定を解除し、下流側の印刷用紙91Bを固定ガイド板34Bから離間させ、解放する。そして、図21に示すように、上流側の印刷用紙92Bを幅方向一方側にスライドさせ、2つの印刷用紙91B,92Bを貼り直す(ステップS108)。このとき、上流側の印刷用紙92Bの幅方向の中央と、下流側の印刷用紙91Bの幅方向の中央とが略一致するように、上流側の印刷用紙92Bの移動量が調節される。
基準位置を第1位置P1Bから第2位置P2Bへと変更する際、用紙幅の狭い上流側の印刷用紙92Bは、用紙幅の広い下流側の印刷用紙91Bと比べて、ウェブ位置変更装置14Bにおける幅方向の移動距離が大きい。そのため、このように、ステップS108の印刷用紙9Bの貼り替え時に、移動距離の大きい上流側の印刷用紙92Bを、移動方向である幅方向一方側へと移動することが好ましい。これにより、ウェブ位置変更装置14Bにおける幅方向位置の調整をスムーズに行うことができる。
このように、印刷用紙91B,92Bをそれぞれ固定ガイド板34Bに固定し、印刷用紙91B,92Bのいずれか一方を幅方向に移動させることにより、印刷用紙9Bの繋ぎ目であるスプライス部90Bを容易に貼り替えることができる。これにより、ウェブ位置変更装置14Bにおいて、印刷用紙91B,92Bのスプライス部90B付近における幅方向位置の調整をスムーズに行うことができる。
<4.第4実施形態>
図22〜図26は、本発明の第4実施形態に係るウェブ位置変更装置14Cにおける印刷用紙9Cのスプライス部90Cの貼り替え時の様子を示した図である。本実施形態のウェブ位置変更装置14Cは、第3実施形態に係るウェブ位置変更装置14Bと同様の装置構成をしている。本実施形態のウェブ位置変更装置14Cでは、回動部30Cの上流側の端部では第1位置P1Cに印刷用紙9Cの幅方向の中央を略一致させるとともに、回動部30Cの下流側の端部では第2位置P2Cに印刷用紙9Cの幅方向の一方側の端部を略一致させるように、回動部30Cを回動させる。ここで、第2位置P2Cは、第1位置P1Cに対して幅方向一方側に位置する。
まず、印刷用紙9Cのスプライス部90Cの上流側の幅が、スプライス部90Cの下流側の幅よりも大きい場合について、説明する。ここでは、このウェブ位置変更装置14Cにおいても、スプライス部90Cの貼り替え時の流れは第1実施形態と同様であるため、ステップS103〜S108についてのみ、図面を参照しつつ説明する。
ウェブ位置変更装置14Cの上流側では、下流側の印刷用紙91Cの幅方向の中央と、上流側の印刷用紙92Cの幅方向の中央とが略一致するようにスプライス部90Cが形成されている。スプライス部90Cが搬送され、ウェブ位置変更装置14Cへと達すると、搬送機構による印刷用紙9Cの搬送が停止される(ステップS103)。この際、図22に示すように、スプライス部90Cが刃受け溝39C上に配置される。
次に、印刷用紙9Cの張力をOFFとした(ステップS104)後、図23に示すように、ウェブ位置変更装置14Cの回動部30Cを無回転位置へと戻す(ステップS105)。そして、固定部材37C,38Cにより上流側の印刷用紙92Cおよび下流側の印刷用紙91Cが固定ガイド板34Cに固定される(ステップS106)。このとき、第1固定部材37Cは、スプライス部90Cの上流側の印刷用紙92Cを固定ガイド板34Cに固定する。また、第2固定部材38Cは、スプライス部90Cの下流側の印刷用紙91Cを固定ガイド板34Cに固定する。
続いて、オペレータが、スプライス部90Cを切断する(ステップS107)。上流側の印刷用紙92Cと下流側の印刷用紙91Cとを切断した後、第2固定部材38Cによる印刷用紙9Cの固定を解除し、下流側の印刷用紙91Cを固定ガイド板34Cから離間させ、解放する。そして、図24に示すように下流側の印刷用紙91Cを幅方向にスライドさせる。そして、上流側の印刷用紙92Cの下流側端部と、下流側の印刷用紙91Cの上流側端部とを接着剤や接着テープで固定し、貼り直す(ステップS108)。すなわち、印刷用紙9Cの切断部を、ステップS107以前とは異なる位置で貼り合わせる。本実施形態では、上流側の印刷用紙92Cの幅方向一方側の端部と、下流側の印刷用紙91Cの幅方向一方側の端部とが略一致するように、下流側の印刷用紙91Cを移動させる。
基準位置を第1位置P1Cから第2位置P2Cへと変更する際、用紙幅の狭い下流側の印刷用紙91Cは、用紙幅の広い上流側の印刷用紙92Cと比べて、ウェブ位置変更装置14Cにおける幅方向の移動距離が大きい。そのため、このように、ステップS108の印刷用紙9Cの貼り替え時に、移動距離の大きい下流側の印刷用紙91Cを、移動方向である幅方向一方側へと移動することが好ましい。これにより、ウェブ位置変更装置14Cにおける幅方向位置の調整をスムーズに行うことができる。
続いて、印刷用紙9Cのスプライス部90Cの上流側の幅が、スプライス部90Cの下流側の幅よりも小さい場合について、図25〜図26を参照しつつ、説明する。
下流側の印刷用紙91Cの用紙幅が、上流側の印刷用紙92Cの幅よりも大きい場合、ステップS106において回動部30Cを無回転位置へと戻すと、図25に示す状態となる。そして、ステップS107においてスプライス部90Cが切断される。
その後、第1固定部材37Cによる印刷用紙9Cの固定を解除し、上流側の印刷用紙92Cを固定ガイド板34Cから離間させ、解放する。そして、図26に示すように、上流側の印刷用紙92Cを幅方向一方側にスライドさせ、2つの印刷用紙91C,92Cを貼り直す(ステップS108)。このとき、上流側の印刷用紙92Cの幅方向一方側の端部と、下流側の印刷用紙91Cの幅方向一方側の端部とが略一致するように、上流側の印刷用紙92Cの移動量が調節される。
基準位置を第1位置P1Cから第2位置P2Cへと変更する際、用紙幅の狭い上流側の印刷用紙92Cは、用紙幅の広い下流側の印刷用紙91Cと比べて、ウェブ位置変更装置14Cにおける幅方向の移動距離が大きい。そのため、このように、ステップS108の印刷用紙9Cの貼り替え時に、移動距離の大きい上流側の印刷用紙92Cを、移動方向である幅方向一方側へと移動することが好ましい。これにより、ウェブ位置変更装置14Cにおける幅方向位置の調整をスムーズに行うことができる。
このように、印刷用紙91C,92Cをそれぞれ固定ガイド板34Cに固定し、印刷用紙91C,92Cのいずれか一方を幅方向に移動させることにより、印刷用紙9Cの繋ぎ目であるスプライス部90Cを容易に貼り替えることができる。これにより、ウェブ位置変更装置14Cにおいて、印刷用紙91C,92Cのスプライス部90C付近における幅方向位置の調整をスムーズに行うことができる。
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
図27は、変形例に係るウェブ位置変更装置14Dの斜視図である。図27の例では、ウェブ位置変更装置14Dは、固定ガイド板34Dに印刷用紙を固定するための固定部材37Dを1つだけ有する。このウェブ位置変更装置14Dでは、固定ガイド板34Dは、固定部材37Dの上流側および下流側にそれぞれ、上流側刃受け溝391Dおよび下流側刃受け溝392Dを有する。
上流側の印刷用紙の幅が下流側の印刷用紙の幅よりも大きい場合、スプライス部の貼り替え時に、幅の狭い下流側の印刷用紙を移動させることが好ましい。そのため、この場合、スプライス部が下流側刃受け溝392D上に配置される位置で、印刷用紙を固定部材37Dにより固定ガイド板34Dに固定する。このようにすれば、幅の広い上流側の印刷用紙を固定部材37Dにより固定し、幅の狭い下流側の印刷用紙を幅方向に移動しやすい。
一方、上流側の印刷用紙の幅が下流側の印刷用紙の幅よりも小さい場合、スプライス部の貼り替え時に、幅の狭い上流側の印刷用紙を移動させることが好ましい。そのため、この場合、スプライス部が上流側刃受け溝391D上に配置される位置で、印刷用紙を固定部材37Dにより固定ガイド板34Dに固定する。このようにすれば、幅の広い下流側の印刷用紙を固定部材37Dにより固定し、幅の狭い上流側の印刷用紙を幅方向に移動しやすい。
図27の例のように、ウェブ位置変更装置の有する固定部材は、1つであってもよい。また、ウェブ位置変更装置の有する固定部材は、3つ以上であってもよい。その場合、上流側の印刷用紙および下流側の印刷用紙の少なくとも一方が2つ以上の固定部材で固定されてもよい。
上記の実施形態では、スプライス部を切断する位置に、刃受け部として刃受け溝が設けられていたが、本発明はこの限りではない。刃受け部として、刃受け溝に代えて間隙が設けられてもよい。また、ガイド板に刃受け部が設けられていなくてもよい。
上記の実施形態では、固定部材を有するガイド板が2つのガイドローラの間に配置されていたが、本発明はこの限りではない。ガイド板は、2つのガイドローラの上流側に配置されていてもよい。また、ガイド板の一部分は、下流側のガイドローラよりも下流側にはみ出していてもよい。少なくとも2つの固定部材が、基材の位置変更を完了する位置である静止ローラよりも上流側に配置されていればよい。
また、上記の実施形態の印刷システムは、長尺帯状の基材である印刷用紙を処理対象とするものであった。しかしながら、本発明の加工システムは、一般的な紙以外のシート状の基材(例えば、樹脂製のフィルム等)を処理対象とするものであってもよい。また、第1装置および第2装置の双方が、印刷以外の処理を行う装置であってもよい。
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。