JP6434782B2 - カチオン変性セルロース由来のセルロースナノファイバーを添加して抄紙した紙およびその製造方法 - Google Patents

カチオン変性セルロース由来のセルロースナノファイバーを添加して抄紙した紙およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カチオン変性セルロース由来のセルロースナノファイバーを添加して抄紙した紙と、その製造方法に関する。
近年、紙の製造においては、紙への古紙配合率の増加、紙の製造の高速化、中性抄紙化、ワイヤーパートのツインワイヤー化、紙の高灰分化などの傾向があり、これらにおいてはパルプおよび填料(もしくは灰分)の歩留りの低下が問題になりやすい。一方、歩留りの向上を目的として、歩留剤を多用すると、紙料が強く凝集しすぎ、紙の地合の悪化が問題となる。
これに対し、本出願人は、濃度2%(w/v)の水分散液におけるB型粘度(60rpm、20℃)が500〜7000mPa・sであり、適度な粘調性を有するセルロースナノファイアバーを、カルシウムイオンまたはカルシウムを含む無機粒子と酸性物質とを含有する紙料に添加することで、紙料の歩留りの向上と、紙の地合の良さとを両立させた(特許文献1)。
特許第5528760号明細書
特許文献1の方法では、地合を良好に保ちながら、歩留りの高い紙が得られる。本発明では、さらに、高い歩留りを維持しながら、層間強度(内部結合強さ)を改良した紙の製造方法を提供する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、カルシウムイオンまたはカルシウムを含む無機粒子を含有する紙料に添加するセルロースナノファイバーとして、カチオン変性したセルロースを解繊して得たものを用いることにより、層間強度の高い紙が得られることを見出した。よって、本発明は、これらに限定されないが、以下を含む。
(1)カルシウムを含む無機粒子を含有する紙料またはカルシウムイオンを含有する紙料に、カチオン変性されたセルロースを解繊することにより得られたセルロースナノファイバーを添加して抄紙することを含む、紙の製造方法。
(2)セルロースナノファイバーが、濃度1%(w/v)の水分散液において500〜2000mPa・sのB型粘度(60rpm、20℃)を有する、(1)に記載の方法。
(3)カチオン変性されたセルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度が、0.02〜0.50である、(1)または(2)に記載の方法。
(4)カチオン変性されたセルロースの解繊が、高圧ホモジナイザーでの処理である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5)セルロースナノファイバーが添加される紙料のカルシウムイオン濃度が、10〜3000ppmである、請求項(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6)カルシウムを含む無機粒子を含有する紙料またはカルシウムイオンを含有する紙料に、酸性物質を添加した後、セルロースナノファイバーを添加することを含む、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
本発明により、層間強度の高い紙を得ることができる。紙の層間強度を高めることにより、例えば、紙をオフセット印刷に用いた際に、紙剥けを防止することができる。また、例えば、紙を塗工紙の原紙として用いた際に、印刷用塗工紙の耐ブリスター性を高めることができる。
本発明では、カチオン変性されたセルロースを用いてセルロースナノファイバーを調製し、これをカルシウムイオンまたはカルシウムを含む無機粒子を含有する紙料に添加する。
(セルロースナノファイバー)
本発明に用いられるセルロースナノファイバーは、カチオン変性されたセルロースを、ナノオーダーの繊維幅まで解繊することにより得たものである。
セルロースのカチオン変性とは、セルロースにカチオン性の基を導入することをいう。セルロースのカチオン変性は、例えば、次のような方法で行うことができる:
水及び/又は炭素数1〜4のアルコールの存在下で、セルロース原料に、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハライドなどのカチオン化剤と、触媒である水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を反応させることによって、カチオン変性されたセルロース(以下、単に「カチオン変性セルロース」と呼ぶこともある。)を得ることができる。なお、この方法において、反応させるカチオン化剤の添加量や、水及び/又は炭素数1〜4のアルコールの組成比率をコントロールすることによって、カチオン変性セルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度を調整することができる。
カチオン変性セルロースにおけるグルコース単位当たりのカチオン置換度は、0.02〜0.50であることが好ましい。セルロースにカチオン置換基を導入することで、セルロース同士を電気的に反発させることができ、これにより、ナノオーダーの繊維幅へと容易に解繊(「ナノ解繊」と呼ぶ。)することができるようになる。グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.02より小さいと、十分にナノ解繊することができない。一方、グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.50より大きいと、セルロースが溶媒中で膨潤または溶解し、「ファイバー」の形態にならない場合がある。
カチオン変性セルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度は、以下の方法によって測定することができる:
試料(カチオン変性セルロース)を乾燥させた後に、全窒素分析計TN−10(三菱化学)で窒素含有量を測定し、次式により算出する。なお、ここでいう置換度とは、無水グルコース単位1モル当たりのカチオン性置換基のモル数の平均値を表している:
カチオン置換度=(162×N)/(1−151.6×N)
N:窒素含有量。
カチオン変性に用いるセルロース原料は、特に限定されず、例えば、晒又は未晒木材パルプ、精製リンター、酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等の天然セルロース;セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体等の何らかの溶媒に溶解し、改めて紡糸することにより得られた再生セルロース;上記セルロース系素材を、加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解等によって解重合処理することにより得た微細セルロース;及び、上記セルロース系素材を、爆砕処理、振動ボールミル処理等、機械的に処理して得た微細セルロース、などを用いることができる。
このようにして得たカチオン変性セルロースを、機械的にナノオーダーの繊維幅へと解繊することにより、本発明に用いるセルロースナノファイバーを得ることができる。解繊には、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。高圧ホモジナイザーとは、ポンプにより流体を加圧しながら、流路中の非常に微細な間隙から噴出させることにより、粒子間の衝突、圧力差による剪断力等の総合エネルギーによって乳化、分散、解細、粉砕、超微細化等を行う装置である。ホモジナイザーによる処理条件としては、特に限定されるものではないが、圧力条件としては、30MPa以上が好ましく、100MPa以上がさらに好ましく、140MPa以上がさらに好ましい。また、高圧ホモジナイザーでの解繊・分散処理に先立って、必要に応じて、高速剪断ミキサーなどの公知の混合、撹拌、乳化、分散装置を用いて、カチオン変性セルロースに予備処理を施してもよい。解繊時は、溶媒として、水を用いることが好ましい。
ナノ解繊により得られるセルロースナノファイバーは、幅2〜100nm、長さ1〜5μm程度のセルロースのミクロフィブリルである。本発明では、特に、濃度2%(w/v)(すなわち、100mlの分散液中に2gのセルロースナノファイバー(乾燥質量)が含まれる)の水分散液におけるB型粘度(60rpm、20℃)が500〜7000mPa・s、となるようなセルロースナノファイバーを用いることが好ましい。こうしたセルロースナノファイバーは、適度な粘調性を有しており、所望の濃度に調整することができる。セルロースナノファイバーのB型粘度は、比較的低い方が取り扱いが容易であるため好ましく、具体的には、濃度1%(w/v)水分散液におけるB型粘度(60rpm、20℃)が、500〜3000mPa・s程度が好ましく、500〜2000mPa・s程度がより好ましく、500〜1500mPa・s程度がより好ましく、500〜1000mPa・s程度がさらに好ましい。
本発明のセルロースナノファイバーの水分散液のB型粘度は、公知の手法により測定することができる。例えば、東機産業社のVISCOMETER TV−10粘度計を用いて測定することができる。
(セルロースナノファイバーを含有する紙)
本発明のセルロースナノファイバーを紙料に添加することにより、層間強度に優れた紙を得ることができる。紙におけるセルロースナノファイバーの好ましい含有量は、紙の乾燥質量当たりのセルロースナノファイバーの乾燥質量に基づいて、0.001〜10質量%であり、好ましくは0.01〜5質量%であり、さらに好ましくは0.01〜1質量%である。0.001質量%以上であれば、灰分に対する歩留向上効果を確認することができ、10質量%以下であれば、濾水度が極端に悪化することがないため、好ましい。
また、必要に応じて、セルロースナノファイバーを紙料に添加して抄紙して得た紙(セルロースナノファイバーを内添した紙)に、さらにセルロースナノファイバーを外添してもよい。この場合の片面当たりの塗布量としては、セルロースナノファイバーの固形分質量として、0.01〜10g/m2が好ましい。更にセルロースナノファイバーを内添または外添した上に、炭酸カルシウムやカオリン、二酸化チタンなどの顔料およびバインダーを含有する塗料を塗工しても良い。
本発明のセルロースナノファイバーを含有する紙は公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。抄紙機としては、長網型、オントップツインワイヤー型、ギャップフォーマー型、円網型、多層型などが挙げられる。
本発明の紙は、パルプ成分として、化学パルプ(針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)または未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)または未晒クラフトパルプ(LUKP)等)、機械パルプ(グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等)、脱墨パルプ(DIP)等の再生パルプを単独または任意の割合で混合して使用してもよい。特に炭酸カルシウムなどの含カルシウム無機物質を多く含む雑誌古紙を原料の一部とした再生パルプを一部用いることは好ましい。
填料としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、ホワイトカーボン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、炭酸カルシウム/シリカ複合体、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化亜鉛などの無機填料;尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、及び微小中空微粒子等の有機填料;古紙を再生する工程や紙を製造する工程で発生したスラッジを焼却して得られる再生填料;及び、再生填料の表面を炭酸カルシウムやシリカ、水酸化アルミニウムなどで被覆した填料などの公知の填料を単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、カルシウムを含む無機粒子や有機無機複合体が好ましく、特に、填料または古紙由来の灰分として、炭酸カルシウムが存在することが望ましい。
セルロースナノファイバーを添加して抄紙した紙の灰分の範囲としては、5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%であることがさらに好ましい。本発明において灰分は、JIS P 8251に規定される紙および板紙の灰分試験方法に準拠し、燃焼温度を525±25℃に設定した方法で測定される。なお、顔料およびバインダーを含有する塗料を塗工した場合には、塗工層も含めて灰分が測定される。
(セルロースナノファイバーの添加条件)
本発明では、セルロースナノファイバーを、カルシウムを含む無機粒子を含有する紙料、またはカルシウムイオンを含有する紙料に添加する。紙料に含有される「カルシウムを含む無機粒子」とは、例えば、上述の無機填料や有機無機複合体填料において、カルシウム元素を含むものをいう。好ましくは、炭酸カルシウムを含む無機粒子である。紙料中では、これらの無機粒子由来のカルシウム元素は、好ましくは解離して、カルシウムイオンの状態で存在する。カルシウムを含む無機粒子に代えて又は加えて、紙料中に、塩化カルシウム水溶液などのカルシウムイオンを含む溶液を添加してもよい。また、炭酸カルシウム等のカルシウム元素を含む無機填料または有機無機複合体填料を含む古紙由来の脱墨パルプを紙料に添加することにより、カルシウムを含む無機粒子を含有する紙料を調製してもよいし、さらにそこに硫酸バンドを添加することによって、カルシウム元素をカルシウムイオンとして紙料中に溶解させてもよい。
本発明のセルロースナノファイバーによる効果は、特にカルシウムの存在下で大きくなる。その範囲は紙料中のカルシウムイオンの濃度として10〜3000ppmであることが好ましく、50〜2000ppmであることがより好ましく、50〜1000ppmであることが最も好ましい。10ppm以上であれば、セルロースナノファイバーのカルシウムイオンを介した凝集効果が促進されるため好ましく、また、3000ppm以下であれば、抄紙機でのスケールトラブルが発生しにくいため好ましい。
紙料中のカルシウムイオン濃度は、以下の方法で測定することができる:
紙料を5Bのろ紙でろ過して得たろ液について、多項目分析計(DR.LANGE製 LASA30)を用いた比色定量法にて、硬度測定キットを用いて遊離カルシウムイオン濃度を測定する。
紙料のカルシウムイオン濃度の調整方法としては、カルシウムを含む無機粒子、好ましくは炭酸カルシウムを含む無機粒子に対して酸性物質を添加することにより、カルシウムを解離させて、カルシウムイオン濃度を上昇させることが効果的である。酸性物質としては、硫酸や塩酸、硝酸などを用いることができるが、紙パルプ分野で一般的に用いられている硫酸バンドを用いることが経済的にも好ましい。酸性物質とセルロースナノファイバーの添加方法については、特に限定は無いが、酸性物質を添加してカルシウムイオン濃度を上昇させた後にセルロースナノファイバーを添加したほうが、前述のようにカルシウムイオンを介した凝集促進効果が大きくなる。尚、酸性物質の一部を分割してセルロースナノファイバーの添加後に添加しても良い。酸性物質の添加量としては、例えば硫酸バンドの場合、市販硫酸バンド(8%酸化アルミニウム品)をパルプスラリーの絶乾固形分に対して0.01〜5質量%の範囲で添加することが好ましく、0.05〜3質量%がより好ましい。酸性物質が多すぎると、炭酸カルシウムの溶解を促進し過ぎて遊離したカルシウムイオンによるスケールが問題となり、少なすぎるとカルシウムイオンの溶解が不十分で、添加する効果を十分に発揮できない。
また、本発明のセルロースナノファイバーを添加する場所としては、原料となる上記各パルプまたはパルプの混合物、填料、各種製紙用添加剤等が添加された紙料であれば特に制限はない。添加する際のパルプ濃度には、特に制限がないが、均一に混合するという観点から0.1〜10質量%、より好ましくは、0.5〜5質量%程度の濃度のパルプに、セルロースナノファイバーを添加することが好ましい。セルロースナノファイバーは、各完成パルプから抄紙機のヘッドボックスに至る工程の何れの場所にも添加することができるが、添加する場所から抄紙するまでの間の電気伝導度が10〜3000mS/mである場合に本発明の歩留向上効果が発揮されやすくなるので好ましく、30〜1000mS/mがより好ましく、100〜500mS/mがさらに好ましい。10mS/m以上であれば、セルロースナノファイバーの添加によるpH変動の影響が小さく、抄造が安定化するので好ましい。3000mS/m以下であれば、系内のコロイド物質が析出しにくく、系が安定となるので好ましい。
紙料の電気伝導度は、例えば、pH/導電率計(ホリバ製 D−54SE)を用いるなどして測定することができる。
抄紙時のpHは、5〜10が好ましく、6〜9がより好ましい。pHが5以上であれば、セルロースナノファイバーの分散性が良好であるため好ましく、pHが10以下であれば、凝集促進効果が良好となるため好ましい。pHの調整方法としては、硫酸などの鉱酸や硫酸バンド、炭酸ガスの吹き込みなどを用いることができる。また、必要に応じて上記のpH範囲となるように水酸化ナトリウムや炭酸水素ナトリウムなどといったアルカリを添加することができる。
さらに、本発明の紙は、必要に応じて、硫酸バンドや、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム、アルミナゾル等のアルミニウム化合物;硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物;シリカゾル等の内添助剤;AKD(アルキルケテンダイマー)、ASA(アルケニル無水コハク酸)、石油系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤など各種内添サイズ剤;紙力増強剤;歩留向上剤;濾水性向上剤;紫外線防止剤;退色防止剤;各種澱粉類;着色剤、染料;消泡剤;嵩高剤;蛍光増白剤;消泡剤;pH調整剤;ピッチコントロール剤;スライムコントロール剤;ポリアクリルアミド、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチエンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物、及びこれらの誘導体あるいは変性物等の各種化合物等を含有してもよい。
(表面処理)
本発明のセルロースナノファイバーを添加して抄紙した紙は、表面に、顔料を含まない表面処理剤を塗布してもよい。表面処理剤としては、表面強度やサイズ性の向上の観点から、水溶性高分子を主成分とする表面処理剤が望ましい。水溶性高分子としては、澱粉、酸化澱粉、加工澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の表面処理剤として通常使用されるものを単独で、あるいは混合して使用することができる。また、表面処理剤として、水溶性高分子の他に、耐水化及び表面強度の向上を目的とする紙力増強剤や、サイズ性付与を目的とする外添サイズ剤を用いてもよい。水溶性高分子を用いる場合には、水溶性高分子とセルロースナノファイバーとを混合して塗工することもできる。水溶性高分子とセルロースナノファイバーとを混合して塗工した場合、水溶性高分子単独の場合と比べ、平滑度、透気抵抗度が高く、オフセット印刷に用いた場合のインキ着肉性、裏抜け防止が良好な紙を得ることができる。本発明の紙にはまた、表面に、顔料を含む塗工層を設けてもよい。
(用途)
本発明のセルロースナノファイバーを添加して抄紙した紙の種類、坪量等には制限はなく、上質紙、印刷用紙、新聞用紙、情報用紙、包装用紙、塗工紙用原紙、板紙など各種用途に使用することができる。
(作用)
本発明により、紙の層間強度が向上するという利点が得られる理由は明白ではないが、例えば以下のように考えられる:
層間強度は繊維間の水素結合数が多いほど高くなると考えられる。本発明のカチオン変性セルロース由来のセルロースナノファイバーは電荷的にパルプ繊維と定着しやすく、パルプ繊維同士を結び付ける役割を果たし、パルプ繊維間の水素結合数が増える事で層間強度が向上したと考えられる。
以下に実施例にて本発明をより詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない
(製造例1)
パルプを撹拌することができるパルパーに、パルプ(LBKP、日本製紙(株)製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で24g加え、パルプ固形濃度が15質量%となるように水を加えた。その後、30℃で30分撹拌した後に70℃まで昇温し、カチオン化剤として3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを190g(有効成分換算)添加した。1時間の反応の後に、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカチオン置換度0.04のカチオン変性されたセルロースを得た。その後、カチオン変性セルロースを水で固形濃度1%(w/v)とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、140MPaの圧力で5回処理し、カチオン変性セルロース由来のセルロースナノファイバー分散液を得た。得られた分散液のB型粘度(60rpm、20℃)を、東機産業社のVISCOMETER TV−10を用いて測定した。
(製造例2)
解繊処理において、高圧ホモジナイザーの代わりに、回転刃ミキサー(周速37m/s、日本精機製作所社、処理時間30分)を用いた以外は、製造例1と同様にしてカチオン変性セルロース由来のセルロースナノファイバー分散液を得た。
(製造例3)
パルプを撹拌することができるパルパーに、パルプ(日本製紙(株)製)を乾燥質量で200g加え、水酸化物イオン濃度が3.75mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を装入してパルプ濃度が5質量%となるように調整した。当該混合物を室温(25℃)にて2時間撹拌した後、酸で中和し、水洗した。得られたアルカリ処理したパルプ5g(絶乾)を、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシラジカル(TEMPO、Sigma Aldrich社)3.9mgと臭化ナトリウム755mgを溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を5.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHは低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムが消費され、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプを分離し、パルプを十分に水洗することで酸化されたパルプを得た。前記酸化パルプを水で固形濃度1%(w/v)に調整し、高圧ホモジナイザー(20℃、140MPa)で5回処理して、TEMPO酸化セルロースナノファイバー分散液を得た。なお、上記のTEMPO酸化では、パルプにカルボキシル基(アニオン性基)が導入されるので、TEMPO酸化セルロースナノファイバーは、「アニオン変性」されたセルロースを解繊することにより得られたセルロースナノファイバーということができる。
(製造例4)
パルプのカチオン変性を行わずに、水で固形濃度1%(w/v)とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、140MPaの圧力で5回処理して分散液を得た。
製造例1〜4の方法により、濃度1%(w/v)におけるB型粘度(60rpm、20℃)が300〜3000mPa・sである分散液が得られた。このうち、B型粘度(60rpm、20℃)が500〜2000mPa・sの範囲内の分散液は、流動性が良好であり、内添薬品として使用しやすかった。
(実施例1)
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、CSF(カナダ標準フリーネス)330ml)のスラリーに、カルシウムイオン濃度が100ppmとなるように塩化カルシウム水溶液を添加し、スリーワン・モーターにて500rpmの速度で撹拌した。調製したスラリーをダイナミックドレネージジャー(DDJ)(バッフル付き、200メッシュワイヤー、回転数800rpm)にとり、上記の製造例1により製造したセルロースナノファイバーを対固形分で1%添加し、その10秒後に更に歩留剤(ハイモ社製 ND300)を対固形分で0.01%添加し、紙料とした。10秒後にろ水を開始し、ろ水開始5秒後より30秒間のろ水を採取し、pH/導電率計(ホリバ製 D−54SE)を用いて電気伝導度を測定した。また、絶乾固形分を測定し、紙料歩留を以下の式により算出した:
紙料歩留り=(1−ろ水中の固形分質量/総固形分質量)×100。
更に同じく調製した紙料を用いてJIS P 8209に基づいて手抄きシートを作成し、坪量、紙厚、密度、層間強度を測定した。層間強度は、TAPPI No.18に基づいて測定した。
(実施例2)
セルロースナノファイバーを対固形分で5%添加した以外は、実施例1と同様に評価した。
(比較例1)
セルロースナノファイバーを添加しなかった以外は、実施例1と同様に評価した。
(比較例2)
製造例1のセルロースナノファイバー分散液に代えて製造例3の分散液を用いた以外は、実施例1と同様に評価した。
(比較例3)
製造例1のセルロースナノファイバー分散液に代えて製造例3の分散液を用いた以外は、実施例2と同様に評価した。
(比較例4)
製造例1のセルロースナノファイバー分散液に代えて製造例4の分散液を用いた以外は、実施例1と同様に評価した。
(比較例5)
製造例1のセルロースナノファイバー分散液に代えて製造例4の分散液を用いた以外は、実施例2と同様に評価した。

Claims (5)

  1. カルシウムを含む無機粒子を含有する紙料またはカルシウムイオンを含有する紙料に、カチオン変性されたセルロースを解繊することにより得られたセルロースナノファイバーを添加して抄紙することを含
    セルロースナノファイバーが添加される紙料のカルシウムイオン濃度が、10〜3000ppmである、紙の製造方法。
  2. セルロースナノファイバーが、濃度1%(w/v)の水分散液において500〜2000mPa・sのB型粘度(60rpm、20℃)を有する、請求項1に記載の方法。
  3. カチオン変性されたセルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度が、0.02〜0.50である、請求項1または2に記載の方法。
  4. カチオン変性されたセルロースの解繊が、高圧ホモジナイザーでの処理である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. カルシウムを含む無機粒子を含有する紙料またはカルシウムイオンを含有する紙料に、酸性物質を添加した後、セルロースナノファイバーを添加することを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
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