JP6434767B2 - 鉄筋コンクリート造の設計方法及び鉄筋コンクリート造 - Google Patents

鉄筋コンクリート造の設計方法及び鉄筋コンクリート造 Download PDF

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Description

本発明は、ト形接合又はL形接合の柱梁接合部を備え、梁用の主筋の端部が柱梁接合部に接合される鉄筋コンクリート造を設計する鉄筋コンクリート造の設計方法、及びその設計方法で設計された鉄筋コンクリート造に関する。
鉄筋コンクリート造の梁は、最大級の外力作用時に柱梁接合部の梁の付け根部での降伏を想定している。梁用の主筋は、ト形接合又はL形接合の柱梁接合部内で、コンクリートと付着されるが、梁用の主筋のコンクリートとの付着が劣化して抜け出しすることがないように、主筋の端部は柱梁接合部に定着していなければならない。
そのため、従来、梁用の主筋の端部は、ト形接合又はL形接合の柱梁接合部の内部で、90°に折り曲げられるか、あるいは、主筋の端部に定着板と称する円板が取り付けられて直線定着されている(非特許文献1及び非特許文献2)。
非特許文献1や非特許文献2では、梁用の主筋のコンクリートとの定着条件が定められており、そのうち、直線定着の長さは、鉄筋の種類と、鉄筋の直径と、コンクリートの設計基準強度とに基づき、下記の表1より定められる。なお、表1において、dは鉄筋の直径を示す。
Figure 0006434767
鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説(日本建築学会2010年) 機械式鉄筋定着工法設計指針(一般財団法人日本建築総合試験所2010年)
鉄筋コンクリート造では、主筋に使用される鉄筋が高強度のほど、直線定着の長さLを長くする必要がある。
しかしながら、非特許文献1や非特許文献2では、最大級の外力が作用した時の降伏位置を柱梁接合部の梁の付け根部としているため、梁用の主筋に高強度の鉄筋を使用するには、柱梁接合部の内部での直線定着長さが長くなり、柱梁接合部の大きさを大きくする必要がある。例えば、強度が685MPa(N/mm)の鉄筋では、表1で示す値よりもさらに長い直線定着長さLが必要である。
そのため、梁用の主筋の一端部側がト形接合又はL形接合の柱梁接合部の付け根部から梁長さ方向に沿った位置で降伏する場合に、柱梁接合部の大きさを大きくすることなく、合理的に設計できることが望まれている。
本発明の目的は、梁用の主筋の一端部側がト形接合又はL形接合の柱梁接合部に接合される場合において、梁用の主筋が高強度であっても、柱梁接合部を大きく設計しなくても済む鉄筋コンクリート造の設計方法及び鉄筋コンクリート造を提供することにある。
本発明の鉄筋コンクリート造の設計方法は、柱と接合される梁用の主筋を備え、前記梁用の主筋は、普通強度部分と、前記普通強度部分よりも強度が大きい高強度部分とを有し、前記高強度部分は、前記梁用の主筋の一端部側が前記柱と接合されるト形接合又はL形接合の柱梁接合部と前記柱梁接合部の付け根部から梁長さ方向に沿って突出した高強度領域とに配置され、前記普通強度部分は、前記高強度領域を経て前記柱梁接合部とは反対側に位置する普通強度領域に配置され鉄筋コンクリート造を設計する方法であって、前記梁用の主筋のコンクリートへの定着長さを求めるにあたり、前記梁用の主筋のコンクリートへの定着長さの測定位置の起点を最大級の外力が作用した時の降伏位置とし、前記降伏位置を前記柱梁接合部の前記梁の付け根部から前記高強度部分と前記普通強度部分との境界部まで離した位置とすることを特徴とする。
従来では、梁の付け根部で梁用の主筋が降伏する設計としているため、定着長さを測る起点を柱梁接合部の梁の付け根部とされている。しかし、梁用の主筋の降伏位置を柱梁接合部の梁の付け根部から離した鉄筋コンクリート造では、従来の設計法と同様に、最大級の外力が作用した時に、梁用の主筋が降伏して、コンクリートが破損する部位が梁の付け根部より中央寄りに生じるが、梁の付け根部から降伏位置までのコンクリートの損傷は軽微なものとなる。そのため、本発明では、梁用の主筋のコンクリートへの定着長さの測定位置の起点を降伏位置、つまり、高強度部分と普通強度部分との境界部とした。
従って、本発明では、梁用の主筋に高強度の鉄筋を使用しても、主筋のうち柱梁接合部内で接合される部分の長さを長くすることを要しないので、柱梁接合部の大きさ自体を大きくしなくてもよい。
本発明では、前記普通強度部分は降伏点又は0.2%耐力がJISG3112で規定され、前記高強度部分は前記普通強度部分よりも降伏点又は0.2%耐力が大きく設定され、
前記梁用の主筋は、前記普通強度部分と同じ強度の1本の普通鉄筋を部分焼入れして前記高強度部分とする構成が好ましい。
この構成では、降伏点又は0.2%耐力がJISG3112で規定される1本の普通鉄筋を部分焼入れして普通強度部分と高強度部分とを形成しているので、柱梁接合部に配置される高強度部分の径を太くすることを要しない。そのため、この点からも、柱梁接合部の断面積を大きくすることを要しない。しかも、普通強度部分と高強度部分とが1本の鉄筋から構成されるので、現場での取り扱いが容易となる。
本発明の鉄筋コンクリート造は、前述の鉄筋コンクリート造の設計方法で設計されたことを特徴とする。
この構成の発明では、前述の効果と同じ効果を奏することができる。
本発明の第1実施形態にかかるコンクリート造の全体を示す概略図。 (A)はト形接合の柱梁接合部を示す断面図、(B)は梁の断面図。 本発明の第2実施形態にかかるコンクリート造を示すもので、図2に相当する図。 本発明の第3実施形態にかかるコンクリート造を示すもので、図2(A)に相当する図。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ここで、各実施形態の説明において、同一構成要素は同一符号を付して説明を省略する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図面の図1及び図2に基づいて説明する。
図1には本実施形態の全体構成が示されている。
図1において、建物は、複数の梁2と、梁2と接合する複数の柱3とを備えた複数階建ての鉄筋コンクリート造であり、鉄筋構造1にコンクリート体100が打設されている。
梁2と柱3とが接合された柱梁接合部200の形態としては、十字形接合S1やト形接合S2があるが、本実施形態は、ト形接合S2に適用される。
梁2の鉄筋構造1は、水平方向に延びて配筋された複数の梁用の主筋21と、主筋21の軸方向と交差する平面内において主筋21を囲んで等間隔に配筋されて梁2のせん断強度を補強する複数の梁用のせん断補強筋22とを備える。
水平方向に隣合う主筋21は、上下一対配置されており、かつ、端部同士が継手4で接合されている。継手4は、機械式継手や、それ以外の継手でもよい。あるいは、端部同士を重ね合わせ、針金等で結線する構成でもよい。さらには、端部同士を突き合わせて溶接等で接合する構成でもよい。
柱3の鉄筋構造1は、垂直方向に延びて所定間隔を空けて配筋された複数の柱用の鉄筋材31と、鉄筋材31の軸方向と交差する平面内において鉄筋材31を囲んで等間隔に鉄筋材31の延出方向に配筋されて柱3のせん断強度を補強する複数の柱用のせん断補強筋32とを備える。鉄筋材31及びせん断補強筋32は、降伏点又は0.2%耐力がJISG3112で規定されている普通鉄筋である。普通鉄筋の降伏点又は0.2%耐力は、例えば、295MPa(N/mm)以上390MPa(N/mm)以下、例えば、345MPa(N/mm)の異形鉄筋(SD345)を例示できる。
十字形接合S1を含む領域において、主筋21は、その中央部分に高強度部分211があり、その両端部にそれぞれ普通強度部分212がある。高強度部分211と普通強度部分212との境界部Qが降伏ヒンジの位置である。
高強度部分211は、十字形接合S1と十字形接合S1から梁長さ方向に沿った高強度領域210Aとに配置される。普通強度部分212は、高強度領域210Aを経て十字形接合S1とは反対側に位置する普通強度領域210Bに配置されている。高強度部分211及び普通強度部分212は、1本の鉄筋から一体に形成されている。
普通強度部分212は、降伏点又は0.2%耐力がJISG3112で規定されている。
高強度部分211は、普通強度部分212より高強度である。例えば、高強度部分211の降伏点又は0.2%耐力は、490MPa(N/mm)以上1000MPa(N/mm)以下、例えば、685MPa(N/mm)である。普通強度部分212の降伏点又は0.2%耐力は、295MPa(N/mm)以上390MPa(N/mm)以下である。
以上の構成の主筋21は、普通強度部分212と同じ強度の1本の普通鉄筋の異形鉄筋(SD345)を部分焼入れして高強度部分211にする。
図2(A)にはト形接合S2の柱梁接合部200が拡大して示され、図2(B)には梁2の断面が示されている。なお、図2(A)(B)では、断面を示すハッチの図示が省略され、図2(A)では、梁2のせん断補強筋22と柱3の鉄筋材31及びせん断補強筋32との図示が省略されている。
図2(A)において、高強度部分211は、ト形接合S2とト形接合S2から梁長さ方向に沿った高強度領域210Aとに配置される。普通強度部分212は、高強度領域210Aを経てト形接合S2とは反対側に位置する普通強度領域210Bに配置されている。
高強度部分211のうちト形接合S2の内部に配置された部分の先端部分は、90°折り曲げられたフック状とされる。
ここで、折り曲げされた先端部側の余長(曲げ開始点から先端までの長さ)をL、定着起点から曲げ開始点までの直線部分の長さをLとし、曲げ部(一方の曲げ開始点から他方の曲げ開始点まで)の長さをMとすると、高強度部分211の定着長さLは、L=L+L+Mである。
直線部分の長さLは、ト形接合S2に配置された領域の長さL21と高強度領域210Aに配置された領域の長さL22との合計の長さ(L=L21+L22)である。
図2(B)において、梁2の上部と下部に梁用の主筋21がそれぞれ4本配置されている。上部に配置された主筋21と下部に配置された主筋21とは、それぞれ同じ高さ位置に配置され、水平方向に隣合う主筋21と等間隔とされる。
次に、第1実施形態において、鉄筋コンクリート造を設計する方法について説明する。
本実施形態における定着長さLは、非特許文献1及び非特許文献2に基づいて求められる。非特許文献1及び非特許文献2から、従来の定着長さの測定位置は梁2の付け根部である。
付け根部からの梁主筋の定着の検討において、直線部分(定着起点から折り曲げ開始点まで)の長さLあるいは投影定着長さ(定着起点から鉄筋外面までの長さ)Lが規定される。
直線部分の長さLは、フック付き定着の長さとして規定されており、また、投影定着長さLは、柱せいをDとすると、3/(4D)以上である。余長Lは、梁主筋の直径をdとすると、8d以上必要とされる。そして、定着起点から鉄筋先端までの全長は、直線定着の長さLが表1に示す長さ以上と規定されていることから、例えば、降伏点又は0.2%耐力が345MPa(N/mm)の異形鉄筋(SD345)を用い、コンクリートの設計基準強度Fcが30〜36(N/mm)である場合には、30dである。
鉄筋強度に比例して直線部分の長さLが定まる。本実施形態では、主筋21のうち高強度部分211の降伏点又は0.2%耐力と、公知資料である鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(日本建築学会)で示される計算方法とに基づいて直線部分の長さLを求める。
鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(日本建築学会)によると、異形鉄筋による引張鉄筋の必要定着長さをlab、付着割裂の規準となる強度をf(f=(Fc/40)+0.9)、仕口面における鉄筋の応力度をσ、異形鉄筋の呼び名に用いた数値(mm)をd、定数をα、Sを定数とすると、lab={α(S・σ・d)}/(10f)である。
例えば、コンクリートの設計基準強度Fcが30〜36(N/mm)で、高強度部分211の降伏点又は0.2%耐力(鉄筋の応力度σ)が685MPa(N/mm)の主筋21を用いる場合では、鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(日本建築学会)より、定数αは横補強筋で拘束されたコア内に定着する場合に1.0であり、定数Sは直線定着において耐震部材(柱、大梁、等)の場合に1.25であり、表1より、Fcが30であるから、
ab÷d=α×S×σ÷(10f)=1.0×1.25×685÷(10×(30/40+0.9)≒51.9となる。この数値を切り上げると(lab÷d)は55となり、本実施形態の直線部分の定着長さLは55となる。
降伏点又は0.2%耐力が345MPa(N/mm)の梁主筋を用いる場合の直線定着長さLは、表1から30dであり、降伏点又は0.2%耐力が685MPa(N/mm)の定着長さLは、従来の場合に比べて、1.8倍(≒55÷30)となる。
高強度部分211のコンクリートへの直線部分の長さLの測定位置の起点は、地震、その他の外力が作用した時の降伏位置であり、本実施形態では、高強度部分211と普通強度部分212との境界部Qである。
ト形接合S2の内部での主筋21の配置を、本実施形態の場合と降伏点又は0.2%耐力が345MPa(N/mm)の梁主筋を用いる従来例の場合とで同じにすると、本実施形態の高強度部分211の直線部分の必要定着長さLのうちト形接合S2に配置された領域の長さL21は、従来例の必要部分の直線定着長さと同じである。そして、直線部分の長さLは、本実施形態は従来例に対して約1.8倍であるため、本実施形態での高強度部分211の高強度領域210Aに配置された領域の長さL22は、従来例の直線定着長さの約1.8倍あればよい。つまり、主筋21の高強度部分211と普通強度部分212との境界部Qの位置が、梁2の付け根部Rから従来例の直線部分の必要定着長さの約0.8倍分だけ離れた位置より長ければ、降伏点又は0.2%耐力が685MPa(N/mm)の鉄筋を梁主筋に用いても、配筋状態は、降伏点又は0.2%耐力が345MPa(N/mm)の鉄筋を用いた場合と変わらないということになる。
本実施形態の効果を確認するために、実験を行った。
実験は、本実施形態と従来例とに対応する試験体をそれぞれ作製した。これらの試験体にジャッキを取り付け、軸力及び水平力を柱頭から導入し、変位制御で正負交互繰り返して、想定する変形(層間変形角が1.0%程度)より、かなり大きく変形するまで載荷した。その際の破壊状況を目視すると、従来例の試験体では、柱梁接合部において、亀裂が生じた。これに対して、本実施形態の試験体では、柱梁接合部だけでなく、梁のうち高強度部分と普通強度部分との境界部まで大きな亀裂が生じることがなかった。
従って、第1実施形態では、次の効果を奏することができる。
(1)普通強度部分212と高強度部分211とを有する梁用の主筋21を備え、外力が作用した時の降伏位置を柱梁接合部200の梁2の付け根部Rから高強度部分211と普通強度部分212との境界部Qまで離した鉄筋コンクリート造を設計するにあたり、梁用の主筋21のコンクリートへの定着を検討する際の直線部分の長さLあるいは投影定着長さLの測定位置の起点を降伏位置とした。そのため、梁用の主筋21の強度を大きくしても、柱梁接合部200内で接合される主筋21の長さを長くすることを要しないので、設計時に柱梁接合部200の大きさ自体を大きくしなくてもよい。
(2)1本の普通鉄筋を部分焼入れして普通強度部分212と高強度部分211とを形成したから、主筋21の現場での取り扱いが容易となる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図3に基づいて説明する。
第2実施形態は、第1実施形態とは梁用の主筋の構造が異なるもので、他の構成は第1実施形態と同じである。
図3(A)は図2(A)に対応した図であり、図3(B)は図2(B)に対応した図である。
図3(A)(B)において、第2実施形態では、梁2の上部には4本の梁用の主筋21Aと1本の補強筋21Qとが同一高さに配置され、梁2の下部には4本の梁用の主筋21Aと1本の補強筋21Qとが同一高さに配置されている。
主筋21Aは、降伏点又は0.2%耐力がJISG3112で規定される普通鉄筋あるいは高強度鉄筋から構成されるものであり、普通鉄筋の降伏点又は0.2%耐力は、295MPa(N/mm)以上390MPa(N/mm)以下、高強度鉄筋の降伏点又は0.2%耐力は、490MPa(N/mm)以上1000MPa(N/mm)以下である。普通鉄筋の降伏点又は0.2%耐力は、例えば、295MPa(N/mm)以上390MPa(N/mm)以下、例えば、345MPa(N/mm)の異形鉄筋(SD345)を例示できる。
主筋21Aの形状は、第1実施形態の主筋21と同じであり、ト形接合S2の内部に配置された部分のうち先端部分は90°折り曲げられたフック状とされる。
補強筋21Qは、最大級の外力が作用した時の降伏位置をト形接合S2の柱梁接合部200の付け根部Rから離れた位置となるように補強するために用いられる。本実施形態では、補強筋21Qは、ト形接合S2とト形接合S2から梁長さ方向に沿った高強度領域210Aとに配置される。つまり、高強度領域210Aでは、主筋21Aと補強筋21Qとから上下で5本ずつ、合計10本の鉄筋が配置され、普通強度領域210Bでは、主筋21Aが上下で4本ずつ、合計8本の鉄筋が配置されている。
補強筋21Qは、主筋21Aと同じ材料からなる普通鉄筋から構成されるものであり、第1実施形態の高強度部分211と同様の形状とされる。つまり、補強筋21Qは、ト形接合S2の内部に配置された部分のうち先端部分が90°折り曲げられたフック状とされる。
補強筋21Qと主筋21Aのうち補強筋21Qと重なる部分とは、第1実施形態の高強度部分211に相当する部分であり、これらの部分のうち梁2の付け根部Rから補強筋21Qの端縁に相当する境界部Qまでの領域が高強度領域210Aを構成する。
補強筋21Q及び主筋21Aのうち境界部Qに相当する位置は、外力が作用した時の降伏位置とされる。
ここで、折り曲げされた先端部側の余長(曲げ開始点から先端までの長さ)をL、定着起点から曲げ開始点までの直線部分の長さをLとし、曲げ部(一方の曲げ開始点から他方の曲げ開始点まで)の長さをMとすると、主筋21A及び補強筋21Qの定着長さLは、L=L+L+Mある。
また、定着起点から曲げ開始点までの直線部分の長さをLは、ト形接合S2に配置された領域の長さL21と高強度領域210Aに配置された領域の長さL22との合計の長さ(L=L21+L22)である。
第2実施形態における鉄筋コンクリート造の設計方法は、第1実施形態と同様であり、補強筋21Q及び主筋21Aのうち補強筋21Qに相当する部分の降伏点又は0.2%耐力と、鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(日本建築学会)とに基づいて、直線部分の定着長さLを求める。
従って、第2実施形態では、次の効果を奏することができる。
(3)最大級の外力が作用した時の降伏位置を梁用の主筋21Aのうちト形接合S2の柱梁接合部200の付け根部から離れた位置となるように補強筋21Qで補強された鉄筋コンクリート造を設計するにあたり、梁用の主筋21Aのコンクリートへの定着長さの測定位置の起点を降伏位置とした。そのため、梁用の主筋21の強度を大きくしても、柱梁接合部200内で接合される主筋21Aの長さを長くすることを要しないので、設計時に柱梁接合部200の大きさ自体を大きくしなくてもよい。
(4)普通強度領域210Bより鉄筋の数を増やして高強度領域210Aを形成した。そのため、1本の普通鉄筋の一部を焼入れして高強度部分211を形成する場合に比べて、鉄筋の製造コストを下げることができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図4に基づいて説明する。
第3実施形態は、第1実施形態とは梁用の主筋の構造が異なるもので、他の構成は第1実施形態と同じである。
即ち、第1実施形態では、梁用の主筋21の端部がト形接合S2の柱梁接合部200の内部で、90°に折り曲げられて形成されているのに対して、第3実施形態では、主筋21の端部に定着板が取り付けられている点で相違する。
図4は図2(A)に相当する図である。
図4において、梁用の主筋21は、その一端部分に高強度部分211があり、その他端部分に普通強度部分212がある。
高強度部分211は、ト形接合S2とト形接合S2から梁長さ方向に沿った高強度領域210Aとに配置される。普通強度部分212は、高強度領域210Aを挟んでト形接合S2とは反対側に位置する普通強度領域210Bに配置されている。高強度部分211及び普通強度部分212は、1本の鉄筋から一体に形成されている。
高強度部分211のうちト形接合S2の内部に配置された部分のうち先端部分には定着板としての円板25が設けられている。
ここで、直線定着の長さLは、高強度部分211のうちト形接合S2に配置された領域の長さL21と高強度領域210Aに配置された領域の長さL22との合計の長さ(L=L21+L22)である。高強度部分211のうちト形接合S2に配置された領域の長さL21は、高強度部分211のうち梁2の付け根部Rと円板25の前面との間の寸法である。
梁2の上部と下部に梁用の主筋21がそれぞれ4本配置されている。
次に、第3実施形態において、鉄筋コンクリート造を設計する方法について説明する。
本実施形態における直線部分の長さLは、鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(日本建築学会)に基づいて求められる。
非特許文献1及び非特許文献2から、従来の定着長さの測定位置は梁の付け根部である。付け根部が測定起点とされる直線部分の長さLは、柱せいをDとすると、3/(4D)以上であり、梁主筋の直径をdとすると、12d以上必要とされる。そして、表1から、直線部分の長さLは、例えば、降伏点又は0.2%耐力が345MPa(N/mm)の異形鉄筋(SD345)を用い、コンクリートの設計基準強度Fcが30〜36(N/mm)である場合には、30dである。
本実施形態では、主筋21のうち高強度部分211の降伏点又は0.2%耐力と、鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(日本建築学会)で示される計算方法とから、直線部分の定着長さLを求める。
つまり、第3実施形態では、第1実施形態と同様に、異形鉄筋による引張鉄筋の必要定着長さをlab、付着割裂の規準となる強度をf(f=(Fc/40)+0.9)、仕口面における鉄筋の応力度をσ、異形鉄筋の呼び名に用いた数値(mm)をd、定数をα、Sを定数とすると、lab={α(S・σ・d)}/(10f)の式から、必要定着長さlabを求めるが、第1実施形態と異なり、定数Sは0.7となる。
例えば、コンクリートの設計基準強度Fcが30〜36(N/mm)で高強度部分211の降伏点又は0.2%耐力が685MPa(N/mm)の主筋21を用いる場合では、lab÷d=α×S×σ÷(10f)=1.0×0.7×685÷(10×(30/40+0.9)=29.0となる。この数値を切り上げるとlabは30となり、本実施形態の直線部分の長さLは30となる。
降伏点又は0.2%耐力が345MPa(N/mm)の梁主筋を用い端部に定着板を取り付ける場合の直線定着長さLは、lab÷d=α×S×σ÷(10f)=1.0×0.7×345÷(10×(30/40+0.9)=14.6となる。この数値を切り上げると、labは15となり、降伏点又は0.2%耐力が685MPa(N/mm)の定着長さLは、従来の場合に比べて、2.0倍(=30÷15)となる。
高強度部分211のコンクリートへの直線部分の長さLの測定位置の起点は、地震、その他の外力が作用した時の降伏位置であり、本実施形態では、高強度部分211と普通強度部分212との境界部Qである。
ト形接合S2の内部での主筋21の配置を、本実施形態の場合と降伏点又は0.2%耐力が345MPa(N/mm)の梁主筋を用いる従来例の場合とで同じにすると、本実施形態の高強度部分211の直線部分の長さLのうちト形接合S2に配置された領域の長さL21は、従来例の直線定着長さと同じである。そして、直線部分の長さLは、本実施形態は従来例に対して2.0倍であるため、本実施形態での高強度部分211の高強度領域210Aに配置された領域の長さL22は、従来例の直線定着長さの2.0倍である。つまり、主筋21の高強度部分211と普通強度部分212との境界部Qの位置は、梁2の付け根部Rから従来例の直線定着長さの1.0倍分だけ離れた位置より長ければ、配筋状態は、従来例と変わらないということになる。
従って、第3実施形態では、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明では、建築構造物以外にも、橋等の土木構造物にも適用することができる。
前記実施形態では、ト形接合S2の柱梁接合部200に適用したが、本発明では、最上階の梁と柱とを接合するL形接合の柱梁接合部に適用することができる。
本発明は、コンクリート造の建築構造物や土木構造物に利用することができる。
1…鉄筋構造、2…梁、3…柱、21,21A…梁用の主筋、21Q…補強筋、100…コンクリート体、211…高強度部分、212…普通強度部分、S2…ト形接合、200…柱梁接合部、210A…高強度領域、210B…普通強度領域、R…付け根部、Q…境界部、L…定着長さ、L…直線部分の長さ、D…柱せい

Claims (3)

  1. 柱と接合される梁用の主筋を備え、前記梁用の主筋は、普通強度部分と、前記普通強度部分よりも強度が大きい高強度部分とを有し、前記高強度部分は、前記梁用の主筋の一端部側が前記柱と接合されるト形接合又はL形接合の柱梁接合部と前記柱梁接合部の付け根部から梁長さ方向に沿って突出した高強度領域とに配置され、前記普通強度部分は、前記高強度領域を経て前記柱梁接合部とは反対側に位置する普通強度領域に配置され鉄筋コンクリート造を設計する方法であって、
    前記梁用の主筋のコンクリートへの定着長さを求めるにあたり、
    前記梁用の主筋のコンクリートへの定着長さの測定位置の起点を最大級の外力が作用した時の降伏位置とし、前記降伏位置を前記柱梁接合部の前記梁の付け根部から前記高強度部分と前記普通強度部分との境界部まで離した位置とする
    ことを特徴とする鉄筋コンクリート造の設計方法。
  2. 請求項1に記載された鉄筋コンクリート造の設計方法において、
    前記普通強度部分は降伏点又は0.2%耐力がJISG3112で規定され、前記高強度部分は前記普通強度部分よりも降伏点又は0.2%耐力が大きく設定され、
    前記梁用の主筋は、前記普通強度部分と同じ強度の1本の普通鉄筋を部分焼入れして前記高強度部分とする
    ことを特徴とする鉄筋コンクリート造の設計方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された鉄筋コンクリート造の設計方法で設計されたことを特徴とする鉄筋コンクリート造。
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