WO2023188024A1 - 機械式鉄筋定着工法の定着耐力の算定(評価)方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械式鉄筋定着における推定される定着耐力の算定の精度を高める。 【解決手段】鉄筋コンクリート造の定着部材2内に定着金物40を端部に取り付けた主筋11を配し、定着金物40によって定着させる機械式鉄筋定着において、主筋11に生じた引張力Tに対して定着部材2がコーン状破壊により定着破壊するときの推定される定着耐力Pnを算定する方法であって、コーン状破壊の破壊形状として想定される円錐形状50の側面の面積と、コーン状破壊に対するコンクリートの引張強度との乗積に基づいて定着耐力Pnを算定する。
Description
本発明は、定着金物を取り付けた鉄筋端部をコンクリート内に配して定着させる機械式鉄筋定着工法に関し、より詳細には、定着耐力を算定する方法に関する。
従来、鉄筋コンクリート構造物に用いられる鉄筋の定着工法として、定着鉄筋の端部を90度や180度に折り曲げてフックを形成した折り曲げ定着工法が、一般的に用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。しかし、近年、構造物の高層化に伴い配筋が過密化・複雑化しコンクリート打設が困難になる問題や、鉄筋の高強度化に伴い折り曲げ加工が困難になる問題等が生じていた。
これらの問題を解決する工法として、定着鉄筋の端部に定着金物を取り付けて定着する機械式鉄筋定着工法が行われている(例えば、特許文献2参照)。この工法がなされた鉄筋コンクリート造の定着部材内では、定着長として必要な鉄筋部分と定着金物が定着部となり、定着鉄筋に作用する引張力に対し、上記鉄筋部分の付着力と上記定着金物の支圧力とにより抵抗する。
この抵抗する力を定着鉄筋に作用する引張力が超えると、定着部周囲の定着部材(コンクリート)が破壊されることにより、定着力が喪失される定着破壊が生じる。定着破壊時には鉄筋部分の付着力がほとんどなくなり、定着金物の支圧力による定着耐力が得られる。定着破壊として、定着部材が定着金物から円錐状にかき出されるコーン状破壊と鉄筋端部近傍のコンクリートの破壊に起因して側面かぶり部分が押し出される側面剥離破壊が知られている。コーン状破壊時の定着耐力を算定するために次の式(a)が存在し(非特許文献1)、側面剥離破壊時の定着耐力を算定するために次の式(b)が存在している(非特許文献2)。
(数a)
P=γ・0.31√Fc・Ac ・・・(a)
P:コーン状破壊時の定着耐力(N)
γ:ひび割れの低減係数
Fc:コンクリートの設計基準強度(N/mm2)
(0.31√Fc:コーン状破壊に対するコンクリートの引張強度)
Ac:コーン状破壊面の有効水平投影面積(mm2)
(数b)
P=k・ab・σstd ・・・(b)
P:側面剥離破壊時の定着耐力(N)
k:補強筋による拘束効果の影響を表す係数
ab:鉄筋の断面積(mm2)
σstd:無補強時の定着破壊時鉄筋応力度(N/mm2)
P=γ・0.31√Fc・Ac ・・・(a)
P:コーン状破壊時の定着耐力(N)
γ:ひび割れの低減係数
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Ac:コーン状破壊面の有効水平投影面積(mm2)
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P=k・ab・σstd ・・・(b)
P:側面剥離破壊時の定着耐力(N)
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日本建築学会 各種合成構造設計指針・同解説(2010年改定)
(財)国土開発技術研究センター New RC研究開発概要報告書
上記算定式(a)と上記算定式(b)には連続性がなく、定着耐力算定のためにはそれぞれの算定式による検討が必要であった。また、これらの算定式はコンクリート構造物の各種接合部における実験によって導いた式であり、実験範囲を越える場合は算定ができず、新たな実験にて検証する必要があった。特に上記算定式(b)では、接合部条件、定着長さ、使用材料等の実験範囲が限定的であった。
上記算定式(a)では、コーン状破壊に対するコンクリートの引張強度(0.31√Fc)に、コーン状破壊面の面積ではなくコーン状破壊面の有効水平投影面積(Ac)を乗じた積に基づいて、コーン状破壊耐力Pを算定している。
例えば図7(A)に示すように、柱10と梁20が連結されたト形の接合部30内に、定着金物40を取り付けた梁の上側主筋21の先端部が配された場合において、上側主筋21に引張力Tが作用しコーン状破壊面Csが生じるときのコーン状破壊耐力Pの算定では、図7(B)に示すように、コーン状破壊面Csを柱10の側面に投影した部分Cpの面積が用いられている。そのため算定の精度を落としていた。
また、上記算定式(a)で用いられる、ひび割れの低減係数(γ)は、例えば、コンクリート構造物の接合部に定着する場合コーン状破壊面に横切るひび割れを考慮した係数であって、実験で求めた値を近似したものである。そのため、算定式の適用が、この算定式を導いた実験範囲内に限定されたり、低減係数(γ)により、算定される定着耐力が実際の定着耐力より過小評価となったりしていた。
本発明は上記課題の少なくとも1つを解決するためになされたものであって、本発明の一態様に係る機械式鉄筋定着の定着耐力算定方法は、鉄筋コンクリート造の定着部材内に定着金物を端部に取り付けた定着鉄筋を配し、定着金物によって定着させる機械式鉄筋定着において、定着鉄筋に生じた引張力に対して定着部材がコーン状破壊により定着破壊するときの推定される定着耐力を算定する方法であって、コーン状破壊の破壊形状として想定される円錐状形状の側面の面積と、コーン状破壊に対するコンクリートの引張強度との乗積に基づいてコーン状破壊のみならず側面剥離破壊を含む定着耐力を算定することを特徴とする。
上記構成によれば、多様な条件の下での定着耐力の算定に適用することができる。また、コーン状破壊の破壊形状として円錐状形状を想定してその側面の面積を定着耐力の算定に用いることにより、算定の精度を高めることができる。
好ましくは、上記定着耐力算定方法において、
上記円錐状形状の側面のうち上記定着部材内にある定着部材内側面の割合に関する係数を上記乗積に乗じて、定着耐力の基準値を算出する基準値算出工程と、
上記円錐状形状の定着部材内側面のうち、上記定着鉄筋及び定着金物を中心として対称な形状を有する部分を対称部とするとともに上記対称部を除いた部分を非対称部とし、上記非対称部の割合に関する係数を上記定着耐力の基準値に乗じることにより上記非対称部の非対称性により喪失する喪失耐力値とし、これを上記基準値から差し引いて定着耐力の下限値を算出する下限値算出工程と、
上記円錐形状の定着部材内側面を横切る補強鉄筋の伝達力により定着耐力に寄与できる割合に関する係数を上記喪失耐力値に乗じることにより上記補強鉄筋の伝達力に基づく算入耐力値とし、これを上記下限値に加えて、推定される定着耐力の値を算定する推定耐力値算定工程と、を備えたことを特徴とする。
上記円錐状形状の側面のうち上記定着部材内にある定着部材内側面の割合に関する係数を上記乗積に乗じて、定着耐力の基準値を算出する基準値算出工程と、
上記円錐状形状の定着部材内側面のうち、上記定着鉄筋及び定着金物を中心として対称な形状を有する部分を対称部とするとともに上記対称部を除いた部分を非対称部とし、上記非対称部の割合に関する係数を上記定着耐力の基準値に乗じることにより上記非対称部の非対称性により喪失する喪失耐力値とし、これを上記基準値から差し引いて定着耐力の下限値を算出する下限値算出工程と、
上記円錐形状の定着部材内側面を横切る補強鉄筋の伝達力により定着耐力に寄与できる割合に関する係数を上記喪失耐力値に乗じることにより上記補強鉄筋の伝達力に基づく算入耐力値とし、これを上記下限値に加えて、推定される定着耐力の値を算定する推定耐力値算定工程と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、推定される定着耐力の算定において、定着部材内の破壊面の面積と、定着部材内の破壊面の対称部及び非対称部と、円錐状形状の定着部材内側面を横切る補強鉄筋の伝達力とを考慮することにより、定着耐力の算定の精度をより高めることができる。
本発明によれば、推定される定着耐力の算定の精度を高めることができる。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る機械式鉄筋定着の定着耐力算定方法について、図1~図3、図6を参照して説明する。本実施形態は、鉄筋コンクリート構造物の柱梁接合部における定着耐力の算定に本発明を適用したものである。
以下、本発明の第1実施形態に係る機械式鉄筋定着の定着耐力算定方法について、図1~図3、図6を参照して説明する。本実施形態は、鉄筋コンクリート構造物の柱梁接合部における定着耐力の算定に本発明を適用したものである。
図6に示す鉄筋コンクリート構造物1は、柱10、梁20、及び柱10と梁20が連結される柱梁接合部30を有している。柱梁接合部30は、梁20の端部と柱10が連結されたト形接合部30aと、柱10の上端部と梁20が連結されたT形接合部30bと、柱10の上端部と梁20の端部が連結されたL形接合部30cを含む。
図2は、本実施形態に係わるL形接合部30cの構造を示すが、柱10の図示を一部省略している。
梁20は、同一水平面において互いに平行をなして延びる複数(本実施形態では4本)の上側主筋21と、その下方の他の水平面において互いに平行をなして延びる複数(本実施形態では4本)の下側主筋22とを有している。上側主筋21及び下側主筋22はコンクリートCnに埋設されており、L形接合部30c内において、各上側主筋21の先端には垂直下方に折り曲げられたフック21aが形成され、各下側主筋22の先端にも垂直上方に折り曲げられたフック22aが形成されている。
梁20は、同一水平面において互いに平行をなして延びる複数(本実施形態では4本)の上側主筋21と、その下方の他の水平面において互いに平行をなして延びる複数(本実施形態では4本)の下側主筋22とを有している。上側主筋21及び下側主筋22はコンクリートCnに埋設されており、L形接合部30c内において、各上側主筋21の先端には垂直下方に折り曲げられたフック21aが形成され、各下側主筋22の先端にも垂直上方に折り曲げられたフック22aが形成されている。
柱10は、仮想矩形の隅角部と辺部にそれぞれ配置された複数の主筋11(定着鉄筋)を備えているが、図2では、L形接合部30cにおける梁の主筋21,22の先端側の隅部(外側隅部)に配置された2つの主筋11のみを示している。柱10は、複数の主筋11を囲む矩形形状のせん断補強筋12(補強鉄筋)を複数備え、せん断補強筋12は主筋11の長手方向に間隔を置いて配置されている。主筋11とせん断補強筋12は、その交差部において番線等により連結されコンクリートCnに埋設されている。
本実施形態では、主筋11にはネジフシを有するネジ鉄筋が用いられているが、縦リブと横フシを有する通常の異形鉄筋が用いられてもよい。L形接合部30c内において各主筋11の先端部には、主筋10の径方向に突出する鍔部41を有する定着金物40が取り付けられている。これにより、L形接合部30cでは、主筋10と定着金物40とによる機械式鉄筋定着がなされている。
図1は、定着金物40を取り付けた主筋11をコンクリートCnの直方体状の定着部材2内に配した場合を示している。定着部材2内では、定着長として必要な長さを有する主筋11の定着長部分11aと定着金物40とが定着部40Aとなっている。主筋11の軸方向に作用する引張力Tに対し、定着長部分11aの付着力と定着金物40の支圧力とによって抵抗し、引張力Tが定着耐力を超えると定着破壊であるコーン状破壊が生じ、定着部材2が定着金物40から円錐状にかき出される。
主筋11に引張力Tが生じた際の定着部材2内では、定着部40Aに伝わる付着力と支圧力は、コーン状破壊時に破壊面となる部位の応力を通して支持され、その応力がコンクリート強度を超えるとコーン状破壊が生じることになる。
そこで、コーン状破壊の破壊形状として円錐形状50(円錐状形状)を想定すれば、円錐形状50の側面51が、想定される破壊面となり、コーン状破壊の耐力(終局時の鉄筋定着耐力)は、側面51の面積とコンクリート引張強度の積で算定できる。尚、円錐形状50は、側面51が主筋11に対して45度の傾斜角となるよう規定されている。
同様に、図2に示すL形接合部30cにおける場合には、L形接合部30cを定着部材2として、外側隅部の主筋11に生じる引張力Tにより生じるコーン状破壊の破壊形状として円錐形状50を想定すると、円錐形状50は、L形接合部30cすなわち定着部材2内に収まっていない。想定される破壊面は、定着部材2内に収まる円錐形状50の側面51i(定着部材内側面)となり、図3(A)に示すような形状となる。そのため、定着耐力の算定では、定着部材2内に収まる側面51iを想定破壊面として考慮する必要がある。
そこで、図2に示す主筋11の引張力Tによるコーン状破壊時の推定される定着耐力Pnについて、円錐形状50の側面51に対する定着部材2内に収まる側面51iの面積の割合に関する係数をCとすれば、次の式(1-1)を上限式として上限値maxPnを求めることができ、次の式(1-2)を基準式として基準値Pn0を求めることができる。
(数1-1)
上限式:maxPn=A×B ・・・(1-1)
(数1-2)
基準式:Pn0=A×B×C ・・・(1―2)
A:破壊形状として想定された円錐形状の側面の面積
B:想定破壊面と定着鉄筋との角度を考慮したコンクリートの引張強度
C:円錐形状の側面の面積に対する定着部材内に収まる側面の面積の割合に関する係数
(数1-1)
上限式:maxPn=A×B ・・・(1-1)
(数1-2)
基準式:Pn0=A×B×C ・・・(1―2)
A:破壊形状として想定された円錐形状の側面の面積
B:想定破壊面と定着鉄筋との角度を考慮したコンクリートの引張強度
C:円錐形状の側面の面積に対する定着部材内に収まる側面の面積の割合に関する係数
上記式(1)の算出において考慮された定着部材2内に収まる側面51i(想定破壊面)は、図3(B)に示すように、主筋11及び定着金物40を中心として対称な形状を有する部分である対称部51aと、非対称な形状を有する部分である非対称部51b(定着部材2内に収まる側面51iから対称部51aを除いた部分)とを有している。対称部51aでは、その形状の対称性により定着耐力を確保できるものの、非対称部51bでは、その形状の非対称性により定着耐力を喪失する。
そのため、定着耐力Pnの算定においては、定着部材2内に収まる側面51iに対する非対称部51bの割合に対応する、非対称部51bの非対称性により喪失する喪失耐力値を、上記式(1―2)で求めた基準値Pn0から差し引く必要がある。
そこで、側面51iに対する非対称部51bの面積の割合に関する係数Dを上記式(1―2)で求めた基準値Pn0に乗じたものを、非対称部51bの非対称性により喪失する喪失耐力値D*Pn0とし、これを上記基準値Pn0から差し引く次の式(2)を下限式として、下限値minPnを求めることができる。
(数2)
下限式:minPn=(1-D)×Pn0 ・・・(2)
D:定着部材内に収まる側面の面積に対する非対称部の面積の割合に関する係数
(数2)
下限式:minPn=(1-D)×Pn0 ・・・(2)
D:定着部材内に収まる側面の面積に対する非対称部の面積の割合に関する係数
上記式(2)の算出では、非対称部51bでは非対称性により定着耐力を喪失するとしたが、図2に示すように、定着部材2内の側面51i(想定破壊面)を横切るせん断補強筋12(補強鉄筋)の伝達力Trが存在する場合、主筋11とせん断補強筋12の力の釣り合いにより、伝達力Trは、側面51iにおける釣合力Tbを算入耐力として定着耐力Pnに寄与できる。
そこで、伝達力Trによる定着耐力Pnへの寄与割合に関する係数Eを上記喪失耐力値D*Pn0に乗じて、せん断補強筋12の伝達力Trに基づく算入耐力値D*E*Pn0とし、これを上記(2)で求めた下限値minPnに加える次の式(3)を推定耐力式として、推定される定着耐力Pnの値を算定することができる。
(数3)
推定耐力式:Pn={1-D×(1-E)}×Pn0 ・・・(3)
E:非対称性による喪失耐力値のうち、定着部材内の側面を横切る補強鉄筋の伝達力により定着耐力に寄与できる割合に関する係数
(数3)
推定耐力式:Pn={1-D×(1-E)}×Pn0 ・・・(3)
E:非対称性による喪失耐力値のうち、定着部材内の側面を横切る補強鉄筋の伝達力により定着耐力に寄与できる割合に関する係数
上記実施形態によれば、コーン状破壊の破壊形状として円錐形状50を想定してその側面51の面積を、推定される定着耐力Pnの算定に用いることにより、従来のようなコーン状破壊面の有効水平投影面積を用いる場合に比べ、定着耐力の算定の精度を高めることができる。
また、推定される定着耐力Pnの算定に、定着部材2内に収まる側面51i(想定破壊面)の面積、側面51iの対称部51aと非対称部51b、及び側面51iを横切るせん断補強筋12の伝達力Trを考慮することにより、定着耐力の算定の精度をより高めることができる。
さらに、想定される破壊時の定着耐力を理論式である推定耐力式にて算定するため、多様な条件の下でのコーン状破壊の定着耐力の算定に適用することができるとともに、側面剥離破壊等の定着耐力の算定にも適用することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態については、上記実施形態と異なる構成だけを説明することとし、同様な構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
[第2実施形態]
図4、図5は、本発明の第2実施形態を示す。本実施形態は、第1実施形態とは柱梁接合部内の位置が異なる柱主筋の定着耐力を算定するものである。
図4、図5は、本発明の第2実施形態を示す。本実施形態は、第1実施形態とは柱梁接合部内の位置が異なる柱主筋の定着耐力を算定するものである。
図4に示すL形接合部30cにおいて、柱10と梁20のなす内角側の隅部(内側隅部)に配された主筋11に生じる引張力Tにより、コーン状破壊が生じる場合を想定する。このとき想定される円錐形状50は、L形接合部30cに収まらず、一部がL形接合部30cに隣接する梁20の内部に及ぶ。
すなわち、本実施形態ではL形接合部30cと梁20が定着部材2となっており、この定着部材2の形状に基づき、上記基準式(式(1―2))における定着部材内に収まる側面の面積の割合に関する係数Cが決定されることになる。
本実施形態で想定される破壊面である、定着部材2内に収まる側面51iは、図5(A)に示すような形状であって、図5(B)に示す対称部51a及び非対称部51bを有する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
上記実施形態では、コーン状破壊の破壊形状として想定される円錐形状50は、側面51が主筋11に対して45度の傾斜角となるよう規定されているが、その他の傾斜角で規定してもよい。
上記実施形態では、コーン状破壊の破壊形状として円錐形状50を円錐状形状として想定したが、円錐状形状は、円錐台形状、その他の形状であってもよい。
上記実施形態では、柱10の主筋11の機械式鉄筋定着の定着耐力の算定ついて説明したが、その他の鉄筋であってもよい。
上記実施形態では、L形接合部30cの機械式鉄筋定着の定着耐力の算定ついて説明したが、ト形接合部30a、T形接合部30b、その他の定着部材に適用してもよい。
上記実施形態では、コーン状破壊の破壊形状として想定される円錐形状50は、側面51が主筋11に対して45度の傾斜角となるよう規定されているが、その他の傾斜角で規定してもよい。
上記実施形態では、コーン状破壊の破壊形状として円錐形状50を円錐状形状として想定したが、円錐状形状は、円錐台形状、その他の形状であってもよい。
上記実施形態では、柱10の主筋11の機械式鉄筋定着の定着耐力の算定ついて説明したが、その他の鉄筋であってもよい。
上記実施形態では、L形接合部30cの機械式鉄筋定着の定着耐力の算定ついて説明したが、ト形接合部30a、T形接合部30b、その他の定着部材に適用してもよい。
本発明は、機械式鉄筋定着工法における定着耐力を算定する方法に適用することができる。
1 鉄筋コンクリート構造物
2 定着部材
10 柱
11 主筋(定着鉄筋)
11a 定着長部分
12 せん断補強筋
20 梁
21 上側主筋
21a フック
22 下側主筋
22a フック
30 柱梁接合部
30a ト形接合部
30b T形接合部
30c L形接合部
40 定着金物
40A 定着部
41 鍔部
50 円錐形状
51 円錐形状の側面
51i 定着部材内に収まる側面(定着部材内側面、想定破壊面)
51a 対称部
51b 非対称部
Cn コンクリート
Cs コーン状破壊面
Cp コーン状破壊面を投影した部分
T 引張力
Tr 伝達力
Tb 釣合力
2 定着部材
10 柱
11 主筋(定着鉄筋)
11a 定着長部分
12 せん断補強筋
20 梁
21 上側主筋
21a フック
22 下側主筋
22a フック
30 柱梁接合部
30a ト形接合部
30b T形接合部
30c L形接合部
40 定着金物
40A 定着部
41 鍔部
50 円錐形状
51 円錐形状の側面
51i 定着部材内に収まる側面(定着部材内側面、想定破壊面)
51a 対称部
51b 非対称部
Cn コンクリート
Cs コーン状破壊面
Cp コーン状破壊面を投影した部分
T 引張力
Tr 伝達力
Tb 釣合力
Claims (2)
- 鉄筋コンクリート造の定着部材内に定着金物を端部に取り付けた定着鉄筋を配し、定着金物によって定着させる機械式鉄筋定着において、定着鉄筋に生じた引張力に対して定着部材がコーン状破壊により定着破壊するときの推定される定着耐力を算定する方法であって、
コーン状破壊の破壊形状として想定される円錐状形状の側面の面積と、コーン状破壊に対するコンクリートの引張強度との乗積に基づいてコーン状破壊のみならず側面剥離破壊を含む定着耐力を算定することを特徴とする機械式鉄筋定着の定着耐力算定方法。 - 請求項1に記載の定着耐力算定方法において、
上記円錐状形状の側面のうち上記定着部材内にある定着部材内側面の割合に関する係数を上記乗積に乗じて、定着耐力の基準値を算出する基準値算出工程と、
上記円錐状形状の定着部材内側面のうち、上記定着鉄筋及び定着金物を中心として対称な形状を有する部分を対称部とするとともに上記対称部を除いた部分を非対称部とし、上記非対称部の割合に関する係数を上記定着耐力の基準値に乗じることにより上記非対称部の非対称性により喪失する喪失耐力値とし、これを上記基準値から差し引いて定着耐力の下限値を算出する下限値算出工程と、
上記円錐形状の定着部材内側面を横切る補強鉄筋の伝達力により定着耐力に寄与できる割合に関する係数を上記喪失耐力値に乗じることにより上記補強鉄筋の伝達力に基づく算入耐力値とし、これを上記下限値に加えて、推定される定着耐力の値を算定する推定耐力値算定工程と、
を備えたことを特徴とする機械式鉄筋定着の定着耐力算定方法。
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