JP6434766B2 - 鉄筋コンクリート造の設計方法及び鉄筋コンクリート造 - Google Patents

鉄筋コンクリート造の設計方法及び鉄筋コンクリート造 Download PDF

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Description

本発明は、柱と梁との柱梁接合部を備えた鉄筋コンクリート造を設計する鉄筋コンクリート造の設計方法、及び、その設計方法で設計された鉄筋コンクリート造に関する。
鉄筋コンクリート造を設計するため、設計用曲げモーメントに基づいて、梁の曲げに対する断面算定を行う。断面算定は、曲げモーメント、鉄筋の許容引張応力度、梁の応力中心距離及び梁の有効せいの関係から、鉄筋断面積として求められる(非特許文献1)。
非特許文献1における鉄筋断面積とは、複数の梁用の主筋の断面積の合計値である。複数の梁用の主筋の断面積の合計は鉄筋量として、梁用の主筋の本数として換算される。
一般的な鉄筋コンクリート造では、設計用曲げモーメントが梁の付け根部で最大となることから、梁用の主筋の径や本数は、付け根部の設計用曲げモーメントの大きさに基づいて算出される。
鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(日本建築学会2010年2月20日第8版第1刷)第14頁から第16頁
非特許文献1で示される通り、鉄筋断面積は設計用曲げモーメントに基づいて算出されるものであり、一般的には、梁の付け根部が降伏ヒンジとなるように設定される。この付け根部の設計用曲げモーメントの大きさに基づいて、梁用の主筋の径の大きさや本数が算出される。
そのため、梁用の主筋の径の大きさや本数は、付け根部の曲げモーメントが大きいと、1本あたりの梁用の主筋の強度が同一であれば、多くの梁用の主筋が必要とされたり、径の大きな主筋が必要とされたりする。
しかし、梁用の主筋の本数が多く配置できない場合には、梁幅を大きくして配置できるようにするか、主筋量を減らすために梁せいを大きくして梁あるいは柱梁接合部の断面積を大きくしなければならない。柱梁接合部の断面積を大きくすると、梁や柱全体や梁全体の断面積も大きくなり、居住空間が狭くなる。
本発明の目的は、居住空間を広くすることができる鉄筋コンクリート造の設計方法及び鉄筋コンクリート造を提供することにある。
本発明の鉄筋コンクリート造の設計方法は、柱と接合される複数の梁用の主筋を備え、前記梁用の主筋は、普通強度部分と、前記普通強度部分よりも強度が大きい高強度部分とを有し、前記高強度部分は、前記梁用の主筋のうち前記柱と接合される柱梁接合部と前記柱梁接合部から梁長さ方向に沿って突出した高強度領域とに配置され、前記普通強度部分は、前記高強度領域を挟んで前記柱梁接合部とは反対側に位置する普通強度領域に配置された鉄筋コンクリート造を設計する方法であって、前記普通強度部分は降伏点又は0.2%耐力がJISG3112で規定された295MPa(N/mm )以上390MPa(N/mm )以下であり、前記高強度部分は前記普通強度部分よりも降伏点又は0.2%耐力が大きい490MPa(N/mm )以上1000MPa(N/mm )以下であり、前記梁用の主筋は、前記普通強度部分と同じ強度の1本の普通鉄筋を部分焼入れして前記高強度部分とし、前記梁用の主筋の鉄筋量を、降伏ヒンジの位置の曲げモーメントを設計用曲げモーメントとして算定するにあたり、前記降伏ヒンジの位置を前記高強度部分と前記普通強度部分との境界部に設定することを特徴とする。
以上の構成の本発明では、高強度部分は、柱梁接合部を含む高強度領域に配置され、普通強度部分は、高強度領域に隣接した普通強度領域に配置される。そのため、大きな力が鉄筋コンクリート造に生じた際に、柱梁接合部の梁の付け根部ではなく、高強度部分と普通強度部分との境界部に変形が集中する。そこで、本発明では、降伏ヒンジの位置を普通強度部分と高強度部分との境界部に設定した。
降伏ヒンジの位置を梁の柱梁接合部の付け根部ではなく、この付け根部から離れた境界部とすることで、設計用曲げモーメントの大きさが小さくてもよい。つまり、設計用曲げモーメントは、柱梁接合部の付け根部で最も大きく、柱梁接合部から離れるに従って大きさは小さくなるため、降伏ヒンジを、付け根部ではなく、付け根部から離れた境界部とすることで、設計用曲げモーメントのモーメント値が小さくなり、その分、鉄筋量が少なくてすむ。
従って、本発明では、鉄筋量が少なくてすむので、梁や柱梁接合部の断面積を大きくすることを要せず、そのため、居住空間を広いものにできる。
しかも、降伏点又は0.2%耐力がJISG3112で規定される1本の普通鉄筋を部分焼入れして普通強度部分と高強度部分とを形成しているので、柱梁接合部に配置される高強度部分の太さを太くすることを要しない。そのため、この点からも、柱梁接合部の断面積を大きくすることを要しない。しかも、普通強度部分と高強度部分とが1本の鉄筋から構成されるので、現場での取り扱いが容易となる。
本発明では、前記主筋の前記柱梁接合部の付け根部の応力が前記高強度部分の降伏点以下である。
この構成では、主筋の柱梁接合部の付け根部の応力が高強度部分の降伏点以下であるため、設定した降伏ヒンジ位置より先に柱梁接合部の付け根部が降伏しない。そのため、鉄筋コンクリート造自体の規準を満たすことができる。
本発明の鉄筋コンクリート造は、前述の構成の鉄筋コンクリート造の設計方法で設計されたことを特徴とする。
この構成では、前述と同様の効果を奏することができる。
本発明の第1実施形態にかかるコンクリート造の概略図。 (A)は主筋の位置と設計用曲げモーメントとの関係を示すモーメント分布図、(B)は主筋の概略正面図、(C)は主筋の概略断面図。 試験体を示す正面図。 試験体を示す平面図。 (A)は第1実施形態に対応する試験体の梁の断面図、(B)従来例に対応する試験体の梁の断面図。 (A)は第1実施形態に対応する試験体の層せん断力と層間変形角との関係を示すグラフ、(B)は従来例に対応する試験体の層せん断力と層間変形角との関係を示すグラフ。 本発明の第2実施形態を示すもので、図2に相当する図。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図面の図1から図6に基づいて説明する。
図1には第1実施形態の全体構成が示されている。
図1において、建物は、複数の梁2と、梁2と接合する複数の柱3とを備えた複数階建ての鉄筋コンクリート造であり、鉄筋構造1にコンクリート体100が打設されている。
梁2と柱3とが接合された柱梁接合部200の形態としては、十字形接合S1やト形接合S2があるが、本実施形態では、他の接合に適用されるものでもよい。
梁2の鉄筋構造1は、水平方向に延びて配筋された複数の梁用の主筋21と、主筋21の軸方向と交差する平面内において主筋21を囲んで等間隔に配筋されて梁2のせん断強度を補強する複数の梁用のせん断補強筋22とを備える。
水平方向に隣合う主筋21は、継手4で接合されている。継手4は、機械式継手や、それ以外の継手でもよい。あるいは、端部同士を重ね合わせ、針金等で結線する構成でもよい。さらには、端部同士を突き合わせて溶接等で接合する構成でもよい。
柱3の鉄筋構造1は、垂直方向に延びて所定間隔を空けて配筋された複数の柱用の鉄筋材31と、鉄筋材31の軸方向と交差する平面内において鉄筋材31を囲んで等間隔に鉄筋材31の延出方向に配筋されて柱3のせん断強度を補強する複数の柱用のせん断補強筋32とを備える。鉄筋材31及びせん断補強筋32は普通鉄筋である。
なお、図1は、本実施形態の概略を示すものであるため、主筋21や鉄筋材31の本数や配列は、後述する図2(B)とは異なる。
十字形接合S1を含む領域において、主筋21は、その中央部分に高強度部分211があり、その両端部にそれぞれ普通強度部分212がある。
高強度部分211は、十字形接合S1と十字形接合S1から梁長さ方向に沿った高強度領域210Aとに配置される。普通強度部分212は、高強度領域210Aを挟んで十字形接合S1とは反対側に位置する普通強度領域210Bに配置されている。高強度部分211及び普通強度部分212は、1本の鉄筋から一体に形成されている。
普通強度部分212は、降伏点又は0.2%耐力がJISG3112で規定されている。
高強度部分211は、普通強度部分212より高強度である。
例えば、高強度部分211の降伏点又は0.2%耐力は、490MPa(N/mm)以上1000MPa(N/mm)以下である。普通強度部分212の降伏点又は0.2%耐力は、295MPa(N/mm)以上390MPa(N/mm)以下である。
以上の構成の主筋21は、普通強度部分212と同じ強度の1本の普通鉄筋(SD345)を部分焼入れして高強度部分211にする。
ト形接合S2を含む領域において、主筋21は、その一端部分に高強度部分211があり、その他端部に普通強度部分212がある。
高強度部分211は、ト形接合S2とト形接合S2から梁長さ方向に沿った高強度領域210Aとに配置される。普通強度部分212は、高強度領域210Aを挟んでト形接合S2とは反対側に位置する普通強度領域210Bに配置されている。
次に、第1実施形態において、鉄筋コンクリート造を設計する方法について説明する。
図2では、設計用曲げモーメント分布が(A)に示され、主筋の概略正面図が(B)に示され、概略断面図が(C)に示されている。
図2(B)に示される通り、主筋21は、上下にそれぞれ水平に配置された上部21A及び下部21Bと、上部21A及び下部21Bの間の高さ位置に配置された側部21Cとからなる。
主筋21のうち十字形接合S1から外れた位置には、上部21A、下部21B及び側部21Cの外周部分を覆うようにせん断補強筋22が複数配置されている。これらのせん断補強筋22は、梁の長手方向に沿って互いに等間隔に配置されている。
せん断補強筋22は、普通鉄筋の降伏点又は0.2%耐力(345MPa(N/mm))よりも大きい降伏点又は0.2%耐力(1275MPa(N/mm))を有するウルボン1275(高周波熱錬(株)の商品名)を用いることが好ましい。なお、本実施形態では、ウルボン1275に代えて普通鉄筋と同じ降伏点又は0.2%耐力を有するせん断補強筋を用いてもよい。
図2(A)で示される設計用曲げモーメント分布は、隣合う主筋21の普通強度部分212の接続部分で0となり、図2(B)の左側に配置された柱梁接合部200の梁2の付け根部Rに向かうに従って大きくなる。なお、図2(A)で示される設計用曲げモーメントは、常時(自重)荷重のモーメントに外力モーメントを加えたものである。設計用曲げモーメントは通常の設計手法によって求められる。
主筋21の鉄筋量の算定は、鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(日本建築学会2010年2月20日第8版第1刷)第14頁から第16頁に準拠する。
梁の引張鉄筋比が釣合鉄筋比以下のときは、許容曲げモーメント(設計用曲げモーメント)は次式による。
M=aj ……式(A)
ここで、aは引張鉄筋断面積であり、fは鉄筋の許容引張応力度であり、jは梁の応力中心距離である。引張鉄筋断面積aは、主筋21が上下に分かれて複数本ずつ配置されている場合には、上下それぞれ配置された主筋21の断面積の合計値である。
dを梁の有効せい(圧縮縁から引張鉄筋の重心までの距離で、曲げモーメントが作用したときに下側の鉄筋が引張応力となる場合には、下側の主筋の重心Gから梁上面までの寸法(図3(C)参照))とすると、jは(7/8)dあるいは0.9dとしてもよい。許容引張応力度fは、鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説で規定された下記の表から求められる。例えば、SD345の主筋21では、短期許容引張応力度は345N/mmである。
Figure 0006434766
前述の式(A)の算定の他、梁は次の条件に従うことが求められる。
長期荷重時に正負最大曲げモーメントを受ける部分の引張鉄筋断面積は0.004bd(bは梁幅)又は存在応力によって必要とされる量の4/3倍のうち、小さい方の数値以上とする。
主要な梁は、全スパンにわたり複筋梁とする。
主筋は、D13(Dは呼び名)以上の異形鉄筋とする。
主筋のあきは、25mm以上かつ異形鉄筋の径(呼び名の数値mm)の1.5倍以上とする。
主筋の配置は、特別な場合を除いて2段以下とする。
Mは、図2(A)で示される設計用曲げモーメントのグラフから求められるモーメント値である。モーメント値Mは、降伏ヒンジの位置Qでの値であり、本実施形態では、降伏ヒンジの位置Qは高強度部分211と普通強度部分212との境界部である。
なお、主筋21の柱梁接合部200の付け根部Rの応力は、高強度部分211の降伏点以下である。
図2(A)で示される設計用曲げモーメントでは、最大値が梁の左側の付け根部Rの位置であり、最小値が梁の右側の付け根であり、これらの中間位置(隣合う主筋21の普通強度部分同士が接合される位置の近傍(梁の中央部付近))で0となる。降伏ヒンジの位置Qは付け根部Rより小さな値となる。
図2(B)に示される通り、隣合う柱3の間の互いに対向する垂直面間寸法Cや、付け根部Rから降伏ヒンジの位置Qまでの寸法Sは設計者により曲げモーメント分布に基づいて適宜設定されている。設計用曲げモーメントの付け根部Rでの値と、モーメント値が0となる位置の付け根部Rからの寸法とは、事前の解析等により降伏ヒンジの位置を検討する時点で既知の数値である。そのため、降伏ヒンジの位置Qでのモーメント値Mは、これらの数値の比に基づいて求められる数値を利用してもよい。
本実施形態では、主筋21の鉄筋量を図2(A)の設計用曲げモーメントの降伏ヒンジの位置Qでの値から算定する。
鉄筋量は引張鉄筋断面積aから求められる。鉄筋本数は、断面積aから1本あたりの主筋21の断面積を除算することで求められる。
このような計算に基づいて、主筋21の断面積を求め、さらに、断面積から主筋21の径及び本数を求める。例えば、梁の中心から上側の鉄筋量が906mmであり、下側の鉄筋量が906mmであり、上下の鉄筋量がそれぞれ906mm必要とされた場合、上部21Aの主筋21として、中央に2本のD13(SD345)の主筋21を配置し、両角部にそれぞれ1本のD16(SD345)の主筋21を配置し、下部21Bの主筋21として、中央にD13の主筋21を2本配置し、両角部にD13の主筋21を1本ずつ配置し、側部21Cの主筋21を上下左右にD16の主筋21を1本ずつ配置する(図2(C)参照)。
次に、本実施形態の効果を確認するための実験例について説明する。
図3、図4及び図5は試験体を示す。
図3及び図4において、試験体は、複数の梁用の主筋21と複数の柱用の鉄筋材31とにコンクリート体100が打設されたものである。主筋21は、SD345の鉄筋の一部を焼入れして高強度部分を形成する。
梁の幅寸法2Y0は250mmであり、高さ寸法2Z0は400mmである。梁の有効せいdは346mmである。
複数の主筋21の外周部には複数のせん断補強筋22が等間隔に配置されている。せん断補強筋22はSBPD1275からなる。隣合うせん断補強筋22の間隔は、150mmである。
主筋21の両端部には梁用端鋼板250が設けられており、鉄筋材31の両端部には柱用端鋼板260が設けられている。梁用端鋼板250は、490mm×390mm×25mmの寸法の鋼板である。柱用端鋼板260は、660mm×760mm×25mmの寸法の鋼板である。
主筋21と鉄筋材31との柱梁接合部200は、縦寸法2X1が350mmであり、横寸法2Y1が350mmであり、高さ寸法2Z1が400mmである。
複数の鉄筋材31の外周部には複数のせん断補強筋32が等間隔に配置されている。せん断補強筋32はSBPD1275からなる。
鉄筋材31は、D19(SD345)からなり、柱の外周に沿って16本が配置される。鉄筋材31は、その全長寸法3Lが1860mmであり、梁の下縁から下端までの寸法3L1が850mmであり、梁の上縁から上端までの寸法3L2が610mmである。
梁用の主筋21は、高強度部分211と、高強度部分211の両端にそれぞれ配置された普通強度部分212とからなる。高強度部分211は、柱梁接合部200と柱梁接合部200からそれぞれ梁の長さ方向に沿った高強度領域200Aに配置されている。
高強度部分211の長さ寸法2L1は986mmであり、普通強度部分212の長さ寸法2L2は、632mmである。
高強度部分211と普通強度部分212との境界部と、柱梁接合部200の梁の付け根との間の寸法Sは、318mmである。
コンクリート体100のコンクリート強度は、40.2N/mmであり、ヤング率は2.78×10N/mmであり、最大強度時ひずみは2406μである。
試験体の柱の軸力比は0.16であり、柱梁接合部の補強量は0.32%であり、柱梁曲げ強度比は2.07であり、接合部せん断余裕度は1.23である。
本実施形態に対応した試験体の鉄筋量は、図2(A)の設計用曲げモーメントと式(A)から、主筋21の上下の鉄筋量が求められる。
付け根部Rの曲げモーメントとして予め設定された値が127.2kN・mであり、付け根部Rから曲げモーメントが0となる位置(加圧点)までの寸法が1425mmであり、付け根部Rから降伏ヒンジの位置Qまでの寸法Sが318mmであると、降伏ヒンジの位置Qでの曲げモーメントの値Mは、これらの数値の比から、127.2×(1425−318)/1425≒98.8(kN.m)となる。
以上の通り、降伏ヒンジの位置Qでの曲げモーメントの値Mが98.8kN・mであり、許容引張応力度fは、SD345の主筋21で引張強度が345N/mmである(表1参照)。梁の有効せいdは、346mmである。
式(A)から、M=ajであるため、98.8=a×345×346×0.9であり、この式から、梁2の上半分に配置された主筋21の鉄筋量aは911mmである。ここで、使用できる鉄筋は径寸法の規格が決まっているので、鉄筋量aに近づくように、既存の径寸法の鉄筋を選択する。つまり、断面積が127mmのD13(SD345)の鉄筋を4本、断面積が199mmのD16(SD345)を2本用いると、これらの主筋21の鉄筋量の合計が906mmであり、計算で求めた鉄筋量にきわめて近い。そして、図5(A)で示される通り、上部21Aの中央に2本のD13(SD345)の主筋21を配置し、上部の左右角部にそれぞれ1本ずつのD16(SD345)の主筋21を配置し、側部21Cのうち上側の左右にD16の主筋21を1本ずつ配置する。同様に、梁2の下半分に配置された主筋21の鉄筋量aは911mmとなる。
これに対して、従来の設計手法により鉄筋量が求められた従来例の試験体について説明する。
試験体は、梁用の主筋の構成以外は図3及び図4で示される試験体と基本的に同じ構成である。
従来例に対応する試験体では、コンクリート体100のコンクリート強度は、39.2N/mmであり、ヤング率は2.90×10N/mmであり、最大強度時ひずみは2319μである。
試験体の柱の軸力比は0.16であり、柱梁接合部の補強量は0.32%であり、柱梁曲げ強度比は2.04であり、接合部せん断余裕度は1.25である。
従来例に対応した試験体の鉄筋量は、図2(A)の設計用曲げモーメントと式(A)から求められる。
従来例に対応する試験体では、本実施形態と対応する試験体とは使用される鉄筋から異なるため、圧縮縁から主筋(引張鉄筋)の重心までの距離である梁の有効せいdは343mmである。従来例では、降伏ヒンジの位置が付け根部Rであり、この付け値部Rでの曲げモーメントの値が127.2kN・mである。
許容引張応力度fは、表1から、345N/mmである。
式(A)から、M=ajであるため、127.2=a×345×343×0.9であり、この式から鉄筋量aは1194mmである。
このように求められた鉄筋量に基づいて、主筋21Pを配置すると、断面積が199mmのD16(SD345)の主筋21Pを6本用いることになる。これらの主筋21Pの配列を図5(B)に示す。
図5(B)に示される通り、上部21Aの中央及び両角部に4本の主筋21Pを配置し、下部21Bの中央及び両角部に4本の主筋21Pを配置し、側部21Cに上下左右に主筋21Pを1本ずつ配置した。
本実施形態に対応する試験体と従来例に対応する試験体とのそれぞれに実験を行った。
実験は、試験体の梁端と柱端との合計4点を支点とし、柱下端をピン支持とし、柱上端に三軸一点クレビスを設け、梁の両端にそれぞれジャッキを取り付けた。軸力及び水平力は柱頭から導入し、変位制御で正負交互繰り返して載荷として、層せん断力と層間変形角との関係を調べた。主筋の降伏の判断は鉄筋のひずみゲージで行った。
図6には層せん断力と層間変形角との関係が示されている。(A)が実施形態に対応した試験体のグラフであり、(B)が従来例に対応した試験体のグラフである。
図6(A)と図6(B)とを対比すると、層間変形角が±1.0%の範囲Tでは、実施形態に対応する試験体と従来例に対応する試験体とでは、層せん断力にかわりがない。
層間変形角は、概ね±1.0%の範囲Tが設計上重要な範囲あるため、この範囲Tで、両者に差異がないことにより、本実施形態の設計方法を用いて設計された鉄筋コンクリート造に問題がないことがわかる。
従って、第1実施形態では、次の効果を奏することができる。
(1)降伏ヒンジの位置Qの曲げモーメントを設計用曲げモーメントとして算定するにあたり、降伏ヒンジの位置Qを、梁の柱梁接合部200の付け根部Rではなく、この付け根部Rから離れた高強度部分211と普通強度部分212との境界部とした。つまり、降伏ヒンジの位置Qを、付け根部ではなく、付け根部から離れた境界部とすることで、設計用曲げモーメントが小さくなり、その分、鉄筋量が少なくてすむ。鉄筋量が少なくてすむので、梁や柱梁接合部の断面積を大きくすることを要せず、そのため、居住空間を広いものにできる。
(2)主筋21は、普通強度部分212と同じ強度の1本の普通鉄筋を部分焼入れして高強度部分211としたから、柱梁接合部に配置される高強度部分の太さを太くすることを要しない。そのため、現場での取り扱いが容易となる。
(3)主筋21の柱梁接合部200の付け根部Rの応力が高強度部分211の降伏点以下であるため、大きな外力が作用したとき、設計通りに高強度部分211と普通強度部分212との境界部で降伏させることができるから、建物自体の規準を満たすことができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態を図7に基づいて説明する。
第2実施形態は、主筋21の構成が第1実施形態とは異なり、他の構成は第1実施形態と同じである。第2実施形態の説明では、第1実施形態と同一の構成要素は同一符号を付して説明を省略する。
図7(B)に示される通り、主筋21Pは、降伏点又は0.2%耐力がJISG3112で規定される普通鉄筋から構成されるものであり、普通鉄筋の降伏点又は0.2%耐力は、295MPa(N/mm)以上390MPa(N/mm)以下である。
主筋21Pの長さ寸法は、第1実施形態の主筋21と同じであり、主筋21Pの配置位置は、主筋21と同様、上部21Aの4本、下部21Bに4本、側部21Cに左右2本ずつである。
本実施形態では、普通強度部分212は、前述の主筋21Pから構成され、高強度部分211は、これらの主筋21Pと4本の補強筋21Qとから構成されている。
補強筋21Qは、十字形接合S1と十字形接合S1から梁長さ方向に沿った高強度領域210Aとに配置される。
補強筋21Qは、主筋21Pと同じ材料からなる普通鉄筋から構成される。補強筋21Qは、例えば、側部21Cの間に配置されるものであり(図7(C)参照)、その本数は、後述するように、設計用曲げモーメントに基づいて設定される。
図7(A)で示される設計用曲げモーメント分布は、図2(A)で示される設計用曲げモーメント分布と同じである。
モーメント値Mは、降伏ヒンジの位置Qでの値であり、本実施形態では、降伏ヒンジの位置Qは高強度部分211と普通強度部分212との境界部である。
本実施形態では、主筋21Pの鉄筋量を第1実施形態と同様の方法で算出する。寸法Sの区間では、柱梁接合部200の付け根部Rの曲げモーメントに対して、逆算して求められる応力が鉄筋の降伏点以下となるような鉄筋量とすればよい。その結果、左右に隣合う側部21Cを構成する主筋21Pの間に2本ずつの補強筋21Qを配置することで(図7(C)参照)、普通強度部分212より強度の大きな高強度部分211を設定することができた。
従って、第2実施形態では、次の効果を奏することができる。
(4)梁用の主筋21Pの鉄筋量を、降伏ヒンジの位置Qの曲げモーメントを設計用曲げモーメントとして算定するにあたり、降伏ヒンジの位置Qを補強の境界部に設定したから、設計用曲げモーメントのモーメント値が小さくなり、その分、鉄筋量が少なくてすむ。
(5)主筋21Pの柱梁接合部200の付け根部Rの応力が配置した鉄筋の降伏点としたので、設定した降伏ヒンジの位置Qより先に柱梁接合部200の付け根部Rが降伏しないため、鉄筋コンクリート造自体の規準を満たすことができる。
(6)普通強度の領域より鉄筋の数を増やして高強度の領域を形成した。そのため、1本の普通鉄筋の一部を焼入れして高強度部分211を形成する場合に比べて、鉄筋の製造コストを下げることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明では、建築構造物以外にも、橋等の土木構造物にも適用することができる。
本発明は、鉄筋コンクリート造の建築構造物や土木構造物に利用することができる。
1…鉄筋構造、2…梁、3…柱、21…梁用の主筋、22…梁用のせん断補強筋、31…柱用の鉄筋材、32…柱用のせん断補強筋、211…高強度部分、212…普通強度部分、S1…十字形接合(柱梁接合部)、210A…高強度領域、100…コンクリート体、R…付け根部、Q…降伏ヒンジの位置

Claims (3)

  1. 柱と接合される複数の梁用の主筋を備え、前記梁用の主筋は、普通強度部分と、前記普通強度部分よりも強度が大きい高強度部分とを有し、前記高強度部分は、前記梁用の主筋のうち前記柱と接合される柱梁接合部と前記柱梁接合部から梁長さ方向に沿って突出した高強度領域とに配置され、前記普通強度部分は、前記高強度領域を挟んで前記柱梁接合部とは反対側に位置する普通強度領域に配置された鉄筋コンクリート造を設計する方法であって、
    前記普通強度部分は降伏点又は0.2%耐力がJISG3112で規定された295MPa(N/mm )以上390MPa(N/mm )以下であり、前記高強度部分は前記普通強度部分よりも降伏点又は0.2%耐力が大きい490MPa(N/mm )以上1000MPa(N/mm )以下であり、
    前記梁用の主筋は、前記普通強度部分と同じ強度の1本の普通鉄筋を部分焼入れして前記高強度部分とし、
    前記梁用の主筋の鉄筋量を、降伏ヒンジの位置の曲げモーメントを設計用曲げモーメントとして算定するにあたり、前記降伏ヒンジの位置を前記高強度部分と前記普通強度部分との境界部に設定する
    ことを特徴とする鉄筋コンクリート造の設計方法。
  2. 請求項1に記載された鉄筋コンクリート造の設計方法において、
    前記主筋の前記柱梁接合部の付け根部の応力が前記高強度部分の降伏点以下である
    ことを特徴とする鉄筋コンクリート造の設計方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された鉄筋コンクリート造の設計方法で設計されたことを特徴とする鉄筋コンクリート造。
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