JP6686612B2 - 箱型断面部材及びその設計方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の鋼板を溶接して断面略矩形状に組み合わせた箱型断面部材及びその設計方法に関する。
従来から、異種鋼材からなるボックス柱を建築構造物の外周部の側柱に適用することで、側柱に作用する外力に対して効率的に抵抗させるとともに、側柱重量の軽減による建築構造物のコストの低減を図るものとして、特許文献1に開示される異種鋼材ボックス柱が提案されている。
特許文献1に開示される異種鋼材ボックス柱は、建築構造物の外周部の側柱として、板厚が一様な異種鋼材からなるボックス柱が用いられる。特許文献1に開示される異種鋼材ボックス柱は、外力の緩いX軸と平行な二面にSS41鋼の普通鋼が用いられるとともに、外力の厳しいY軸と平行な二面に60キロ鋼の高張力鋼が用いられることを特徴とする。
特開平4−366257号公報
ここで、特許文献1に開示される異種鋼材ボックス柱は、外力の緩い二面には普通鋼が用いられて、外力の厳しい二面にのみ重点的に高張力鋼が用いられることで、側柱に作用する外力に対してボックス柱が効率的に抵抗できるものとする。
しかし、特許文献1に開示される異種鋼材ボックス柱は、異種鋼材からなるボックス柱の板厚が一様であるため、外力の緩い二面の普通鋼と、外力の厳しい二面の高張力鋼とで、互いの板厚が同一となっている。そして、特許文献1に開示される異種鋼材ボックス柱は、箱型断面を形成する普通鋼と高張力鋼とを接合するための具体的な溶接方法等が何ら開示されていない。
このため、特許文献1に開示される異種鋼材ボックス柱は、例えば、箱型断面を形成する普通鋼と高張力鋼とを完全溶込溶接で接合する場合に、普通鋼の板厚と高張力鋼の板厚とが同一となることで、溶接量が過大となってボックス柱の製作効率が低下するだけでなく、サブマージアーク溶接等の大入熱溶接により接合した場合の溶接金属や鋼材の溶接熱影響部の靭性低下も懸念される。また、特許文献1に開示される異種鋼材ボックス柱は、例えば、高張力鋼として超高強度鋼を用いて、普通鋼と超高強度鋼との溶接部をオーバーマッチングとした場合には、溶接量が過大となることで、さらに超高強度鋼を溶接するための溶接施工管理が煩雑化するとともに、溶接金属の割れ防止及び溶接継手の強度確保の観点から、大入熱サブマージアーク溶接の適用は極めて困難であった。
そして、特許文献1に開示される異種鋼材ボックス柱は、普通鋼及び高張力鋼の板厚が同一で断面正方形状に形成されるため、普通鋼と高張力鋼とで互いの幅厚比を異ならせるものではない。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであって、その目的とするところは、高強度鋼板と低強度鋼板とを適切な板厚や幅厚比で組み合わせることで、設計自由度を向上させて、溶接量の削減と溶接施工管理の省力化等を実現した箱型断面部材を提供することにある。
第1発明に係る箱型断面部材は、複数の鋼板を溶接して断面略矩形状に組み合わせた箱型断面部材であって、互いに対向する一方の側面で一対となった高強度鋼板と、互いに対向する他方の側面で一対となった低強度鋼板とを備え、前記低強度鋼板は、前記高強度鋼板よりも低い降伏強度とした鋼材が用いられて、前記高強度鋼板及び前記低強度鋼板は、前記低強度鋼板の板厚が前記高強度鋼板の板厚よりも小さいことを特徴とする。
発明に係る箱型断面部材は、第発明において、前記高強度鋼板及び前記低強度鋼板は、前記高強度鋼板と前記低強度鋼板との溶接部に設けられる溶接金属の材料としての引張強度が、前記低強度鋼板の鋼材の引張強度と同等以上で、かつ、前記高強度鋼板の鋼材の引張強度よりも低いことを特徴とする。
発明に係る箱型断面部材は、第1発明又は第2発明において、前記低強度鋼板の側端部に、前記高強度鋼板に溶接するための開先が形成されることを特徴とする。
発明に係る箱型断面部材は、第1発明〜第発明の何れかにおいて、前記高強度鋼板及び前記低強度鋼板は、前記高強度鋼板に引張強度が780N/mm2以上の超高強度鋼の鋼材が用いられるとともに、前記低強度鋼板の降伏強度に対する前記高強度鋼板の降伏強度の比率が、630/500以上、880/325以下となることを特徴とする。
発明に係る箱型断面部材は、第1発明〜第発明の何れかにおいて、前記高強度鋼板及び前記低強度鋼板は、一対の前記高強度鋼板と一対の前記低強度鋼板とに取り囲まれて形成された中空部に、コンクリートが充填されることを特徴とする。
発明に係る箱型断面部材は、第1発明〜第発明の何れかにおいて、前記高強度鋼板及び前記低強度鋼板は、前記高強度鋼板の鋼材の降伏強度Fhと、前記高強度鋼板の一方の側面での幅寸法B及び板厚thと、前記低強度鋼板の鋼材の降伏強度Flと、前記低強度鋼板の他方の側面での奥行寸法D及び板厚tlとが、下記(1)式の関係を満足することを特徴とする。
発明に係る箱型断面部材の設計方法は、複数の鋼板を溶接して断面略矩形状に組み合わせた箱型断面部材の設計方法であって、互いに対向する一方の側面で一対となった高強度鋼板と、互いに対向する他方の側面で一対となった低強度鋼板とを組み合わせるときに、前記低強度鋼板に前記高強度鋼板よりも低い降伏強度とした鋼材が用いられて、前記低強度鋼板の板厚を前記高強度鋼板の板厚よりも小さくし、前記高強度鋼板の鋼材の降伏強度Fhと、前記高強度鋼板の一方の側面での幅寸法B及び板厚thと、前記低強度鋼板の鋼材の降伏強度Flと、前記低強度鋼板の他方の側面での奥行寸法D及び板厚tlとが、下記(1)式の関係を満足するように、前記高強度鋼板及び前記低強度鋼板の幅厚比を設計することを特徴とする。
Figure 0006686612
第1発明〜第発明によれば、相対的に降伏強度の高い高強度鋼板と相対的に降伏強度の低い低強度鋼板とを適切に組み合わせることで、鉛直荷重及び所定の方向性を持つ地震等による水平荷重(曲げモーメント)に対して効率的に抵抗させることが可能となる。そして、鉛直荷重及び所定の方向性を持つ地震等による水平荷重(曲げモーメント)に効率的に抵抗させるために、高強度鋼板の降伏強度及び幅厚比と、低強度鋼板の降伏強度及び幅厚比とを、互いに独立して設定して適切に組み合わせることができるため、箱型断面部材の設計自由度を向上させることが可能となる。
発明〜第発明によれば、低強度鋼板の板厚を高強度鋼板の板厚よりも小さくして、低強度鋼板の側端部に形成された開先に溶接金属が設けられることで、溶接量を削減して製作効率を向上させると同時に、溶接金属の引張強度を高強度鋼板の引張強度よりも低くして、溶接金属の割れ防止を実現しながら、さらに低強度鋼板の引張強度を溶接金属の引張強度と同等以下とすることで、溶接施工管理の省力化と溶接継手の強度確保を実現することが可能となる。
特に、第発明によれば、溶接金属の材料としての引張強度が、溶接金属が設けられる低強度鋼板の引張強度と同等以上となるため、溶接部をオーバーマッチングとした理想的な溶接状態とすることが可能となる。また、相対的に降伏強度の低い低強度鋼板が用いられるため、溶接金属の引張強度は低強度鋼板の引張強度と同等以上でよく、溶接金属の割れ防止が容易となり、結果として溶接前後の予熱、後熱及びパス間温度等の管理も容易となり、溶接施工管理の省力化を実現することが可能となる。
特に、第発明によれば、相対的に板厚が小さい何れか一方の低強度鋼板又は高強度鋼板の側端部に形成された開先に溶接金属が設けられて、相対的に板厚が大きい何れか他方の高強度鋼板又は低強度鋼板の内面に溶接されることで、板厚が大きい鋼板の側端部に開先が形成されて当該開先内に溶接金属が設けられる場合と比較して、溶接量が削減されるため、箱型断面部材の製作効率を向上させることが可能となる。さらに、サブマージアーク溶接等の大入熱溶接により接合した場合においても、溶接量や溶接入熱が削減されるため、溶接金属及び鋼材の溶接熱影響部の靭性改善も期待できる。
特に、第発明によれば、低強度鋼板に超高強度鋼が用いられることなく、高強度鋼板にのみ引張強度が780N/mm2以上の超高強度鋼が用いられるとともに、低強度鋼板の降伏強度に対する高強度鋼板の降伏強度の比率が、特に、630/500以上、880/325以下となることで、高強度鋼板に超高強度鋼が用いられる場合であっても、高強度鋼板に比べて引張強度が低い溶接材料を用いることで溶接金属の割れ防止及び溶接施工管理が容易となって、大入熱サブマージアーク溶接等を実施することも可能となる。
特に、第発明によれば、高強度鋼板と低強度鋼板とで形成された中空部にコンクリートが充填されることで、この中空部が、充填されたコンクリートで補強されるため、柱部材及び柱部材に梁部材が連結される箇所等で十分な剛性を発揮することが可能となる。
特に、第発明、第発明によれば、低強度鋼板の幅厚比を高強度鋼板の幅厚比に対して各々の降伏強度比の平方根に応じて小さくすることで、鉛直荷重や地震等による水平荷重が柱部材等に作用した場合にも、相対的に降伏強度が低い低強度鋼板の早期の局部座屈による耐荷能力の低下を防止することができる。さらに、低強度鋼板が高強度鋼板に先行して降伏した後も、柱部材等に作用する鉛直荷重や地震等による水平荷重を、低強度鋼板及び高強度鋼板の双方に安定して負担させるものとなるため、箱型断面部材全体の耐荷能力及び塑性変形性能を向上させることが可能となる。
本発明を適用した箱型断面部材が用いられた柱部材を示す斜視図である。 本発明を適用した箱型断面部材が用いられた柱部材を示す平面図である。 本発明を適用した箱型断面部材が断面略正方形状に形成されて高強度鋼板の板厚を相対的に大きくした状態を示す平面図である。 本発明を適用した箱型断面部材が断面略長方形状に形成されて高強度鋼板の板厚を相対的に大きくした状態を示す平面図である。 (a)は、本発明を適用した箱型断面部材で低強度鋼板の板厚を相対的に大きくして断面略正方形状に形成された状態を示す平面図であり、(b)、(c)は、その断面略長方形状に形成された状態を示す平面図である。 (a)は、本発明を適用した箱型断面部材のレ形の開先を示す拡大平面図であり、(b)は、そのV形の開先を示す拡大平面図である。 (a)は、本発明を適用した箱型断面部材で低強度鋼板の板厚を相対的に大きくして低強度鋼板に形成された開先を示す拡大平面図であり、(b)は、その高強度鋼板に形成された開先を示す拡大平面図である。
以下、本発明を適用した箱型断面部材1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した箱型断面部材1は、図1に示すように、主に、超高層ビル等の建築物に設けられて、複数の鋼板を溶接して断面略矩形状に組み合わせることで、建築物の高さ方向Zに延びる柱部材8等として用いられる。
本発明を適用した箱型断面部材1は、建築物の柱部材8として用いられる場合に、図2に示すように、建築物の高さ方向Zに対する断面形状を略矩形状として、建築物の外周部80に配置されるとともに、1個の柱部材8に1個又は複数個の梁部材7が連結される。
本発明を適用した箱型断面部材1は、建築物の外周部80から内部81へ奥行方向Yに延びる内側梁部材71、及び、建築物の外周部80に沿って幅方向Xに延びる外側梁部材72が、複数個の梁部材7の各々として、1個の箱型断面部材1に連結される。
本発明を適用した箱型断面部材1は、例えば、建築物の外周部80に配置されて、1個の箱型断面部材1に3個の梁部材7が連結される場合には、1個の内側梁部材71及び2個の外側梁部材72が、1個の箱型断面部材1に連結される。
このとき、本発明を適用した箱型断面部材1は、幅方向Xでは両側に2個の外側梁部材72が設けられるものの、奥行方向Yでは片側にのみ1個の内側梁部材71が設けられる。例えば、奥行方向Yに設けられた内側梁部材71が大スパン梁で、当該内側梁部材71に作用する荷重が大きい場合には、箱型断面部材1では、内側梁部材71から奥行方向Yに作用するX軸周りの曲げモーメントMxが、幅方向Xに作用するY軸周りの曲げモーメントMyよりも大きくなる。一方で、箱型断面部材1の幅方向X及び奥行方向Yにおける各々1個の梁部材7から柱部材8に作用する曲げモーメントが同程度の場合には、箱型断面部材1では、1個の内側梁部材71により奥行方向Yに作用するX軸周りの曲げモーメントMxが、2個の外側梁部材72により幅方向Xに作用するY軸周りの曲げモーメントMyよりも小さいものとなる。
なお、本発明を適用した箱型断面部材1は、建築物の外周部80のうち、特に、角部に配置される場合には、2個の外側梁部材72が互いに略直交して1個の箱型断面部材1に連結されてもよい。このとき、本発明を適用した箱型断面部材1は、X軸周りの曲げモーメントMx及びY軸周りの曲げモーメントMyの何れか一方が何れか他方よりも大きくなってもよい。
本発明を適用した箱型断面部材1は、図3に示すように、互いに対向する一方の側面で一対となった高強度鋼板2と、互いに対向する他方の側面で一対となった低強度鋼板3とを備え、一対の高強度鋼板2と一対の低強度鋼板3とが互いに組み合わせて用いられる。
本発明を適用した箱型断面部材1は、主に、一対の高強度鋼板2を奥行方向Yで互いに離間させるとともに、一対の低強度鋼板3を幅方向Xで互いに離間させる。なお、本発明を適用した箱型断面部材1は、一対の高強度鋼板2を幅方向Xで互いに離間させるとともに、一対の低強度鋼板3を奥行方向Yで互いに離間させてもよい。
本発明を適用した箱型断面部材1は、主に、各々の高強度鋼板2と各々の低強度鋼板3とが、高さ方向Zに連続させたシーム溶接で接合される。本発明を適用した箱型断面部材1は、高さ方向Zに対する断面形状を略正方形状等として、一対の高強度鋼板2と一対の低強度鋼板3とで断面略矩形状に取り囲まれて、略中空状の中空部4が形成される。
高強度鋼板2は、低強度鋼板3よりも高い降伏強度Fhとした鋼材が用いられて、主に、引張強度が780N/mm2以上の超高強度鋼の鋼材が用いられる。各々の高強度鋼板2は、幅方向Xの両側端に側端部2aが形成されて、一方の側端部2aから他方の側端部2aまで幅方向Xに連続することで、幅方向Xで所定の幅寸法Bとなる。
各々の高強度鋼板2は、略平板状に形成された鋼板が用いられて、高強度鋼板2の板厚thが所定の大きさとなる。各々の高強度鋼板2は、箱型断面部材1の幅方向Xに延びる一方の側面で、各々の高強度鋼板2に所定の幅厚比(B/th)の鋼板が用いられることで、一方の側面での幅寸法B及び板厚thが所定の大きさとなる。
高強度鋼板2は、例えば、最小で630N/mm2の降伏強度Fhの鋼材が用いられるとともに、最大で880N/mm2の降伏強度Fhの鋼材が用いられることが想定される。また、高強度鋼板2は、例えば、9mm〜100mm程度の板厚thの鋼材が用いられることが想定される。
低強度鋼板3は、高強度鋼板2よりも低い降伏強度Flとした鋼材が用いられて、主に、引張強度が590N/mm2以下の高強度鋼等の鋼材が用いられる。各々の低強度鋼板3は、奥行方向Yの両側端に側端部3aが形成されて、一方の側端部3aから他方の側端部3aまで奥行方向Yに連続することで、奥行方向Yで所定の奥行寸法Dとなる。
各々の低強度鋼板3は、略平板状に形成された鋼板が用いられて、低強度鋼板3の板厚tlが所定の大きさとなる。各々の低強度鋼板3は、箱型断面部材1の奥行方向Yに延びる他方の側面で、各々の低強度鋼板3に所定の幅厚比(D/tl)の鋼板が用いられることで、他方の側面での奥行寸法D及び板厚tlが所定の大きさとなる。
低強度鋼板3は、例えば、最小で325N/mm2の降伏強度Flの鋼材が用いられるとともに、最大で500N/mm2の降伏強度Flの鋼材が用いられることが想定される。また、低強度鋼板3は、例えば、9mm〜100mm程度の板厚tlの鋼材が用いられることが想定される。
高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、低強度鋼板3の板厚tlが高強度鋼板2の板厚thよりも小さくなることで、低強度鋼板3の板厚tlと高強度鋼板2の板厚thとが相対的に異なる大きさとなる。高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、これに限らず、高強度鋼板2の板厚thが低強度鋼板3の板厚tlよりも小さくなることで、低強度鋼板3の板厚tlと高強度鋼板2の板厚thとが相対的に異なる大きさとなってもよい。
高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、例えば、低強度鋼板3に最大で500N/mm2の降伏強度Flの鋼材が用いられて、かつ、高強度鋼板2に最小で630N/mm2の降伏強度Fhの鋼材が用いられることで、低強度鋼板3の降伏強度Flに対する高強度鋼板2の降伏強度Fhの比率(Fh/Fl)が、630/500以上となる。
高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、例えば、低強度鋼板3に最小で325N/mm2の降伏強度Flの鋼材が用いられて、かつ、高強度鋼板2に最大で880N/mm2の降伏強度Fhの鋼材が用いられることで、低強度鋼板3の降伏強度Flに対する高強度鋼板2の降伏強度Fhの比率(Fh/Fl)が、880/325以下となる。
高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、高強度鋼板2に引張強度が780N/mm2以上の超高強度鋼の鋼材が用いられることが望ましい。このとき、高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、低強度鋼板3の降伏強度Flに対する高強度鋼板2の降伏強度Fhの比率(Fh/Fl)が、特に、630/500以上、880/325以下となることが望ましい。
また、高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、高強度鋼板2の降伏強度Fhと、高強度鋼板2の幅寸法B及び板厚thと、低強度鋼板3の降伏強度Flと、低強度鋼板3の奥行寸法D及び板厚tlとが、下記(1)式の関係を満足することが望ましい。
Figure 0006686612
上記(1)式は、板要素の材軸方向に圧縮応力が作用した場合の板要素の局部座屈耐力の基本式(下記(2)式)に基づき、相対的に降伏強度Flが低い低強度鋼板3での早期の局部座屈に起因する箱型断面部材1全体の耐荷能力の低下を防止するために、低強度鋼板3の座屈応力度と降伏強度の比σcr,l/Fl(下記(3)式)が、高強度鋼板2の座屈応力度と降伏強度の比σcr,h/Fh(下記(4)式)に比べて同等以上となるという条件式(下記(5)式)を解くことにより、導出されたものである。
Figure 0006686612
ただし、σcr:座屈応力度
k:座屈係数
E:ヤング係数
ν:ポアソン比
t:板要素の板厚
b:板要素の幅
Figure 0006686612
ただし、σcr,l:低強度鋼板の座屈応力度
Fl:低強度鋼板の降伏強度
k:座屈係数
E:ヤング係数
ν:ポアソン比
tl:低強度鋼板の板厚
D:低強度鋼板の奥行寸法
Figure 0006686612
ただし、σcr,h:高強度鋼板の座屈応力度
Fh:高強度鋼板の降伏強度
k:座屈係数
E:ヤング係数
ν:ポアソン比
th:高強度鋼板の板厚
B:高強度鋼板の幅寸法
Figure 0006686612
このとき、高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、低強度鋼板3の降伏強度Flが、高強度鋼板2の降伏強度Fhよりも低い場合で、例えば、低強度鋼板3の板厚tlが高強度鋼板2の板厚thよりも小さいときであっても、高強度鋼板2の幅厚比(B/th)との関係で、低強度鋼板3の幅厚比(D/tl)は、高強度鋼板2の幅厚比(B/th)に対して各々の降伏強度比の平方根(√(Fl/Fh))に応じて小さくなる。したがって、上記(1)式の条件を満足する箱型断面部材1では、図2に示すように、鉛直荷重や地震等による水平荷重が柱部材8等に作用した場合にも、相対的に降伏強度が低い低強度鋼板3の早期の局部座屈による耐荷能力の低下を防止できる。さらに、低強度鋼板3が高強度鋼板2に先行して降伏した後も、柱部材8等に作用する鉛直荷重や地震等による水平荷重を、低強度鋼板3及び高強度鋼板2の双方に安定して負担させることができる。これにより、箱型断面部材1全体の耐荷能力及び塑性変形性能を向上させることが可能となる。
高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、高強度鋼板2の降伏強度Fh、幅寸法B及び板厚thと、低強度鋼板3の降伏強度Fl、奥行寸法D及び板厚tlとが、上記(1)式の関係を満足する範囲で、断面略正方形状に形成される。また、高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、図4、図5に示すように、高強度鋼板2の降伏強度Fh、幅寸法B及び板厚thと、低強度鋼板3の降伏強度Fl、奥行寸法D及び板厚tlとが、上記(1)式の関係を満足する範囲で、断面略長方形状に形成されてもよい。高強度鋼板2及び低強度鋼板3が断面略長方形状の場合、例えば、アスペクト比(D/B)は、0.5以上、2.0以下の範囲が望ましい。
高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、図4(a)に示すように、奥行方向Yが長手方向となる断面略長方形状に形成される場合に、幅方向Xに延びる短辺側に一対の高強度鋼板2が配置されるとともに、奥行方向Yに延びる長辺側に一対の低強度鋼板3が配置される。高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、図4(b)に示すように、幅方向Xが長手方向となる断面略長方形状に形成される場合に、奥行方向Yに延びる短辺側に一対の低強度鋼板3が配置されるとともに、幅方向Xに延びる長辺側に一対の高強度鋼板2が配置される。
高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、図3、図4に示すように、低強度鋼板3の板厚tlが高強度鋼板2の板厚thよりも小さくなるだけでなく、図5に示すように、低強度鋼板3の板厚tlが高強度鋼板2の板厚thよりも大きくなってもよい。そして、高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、低強度鋼板3の板厚tlが高強度鋼板2の板厚thよりも大きい場合にも、高強度鋼板2の降伏強度Fh及び幅厚比(B/th)と、低強度鋼板3の降伏強度Fl及び幅厚比(D/tl)とが、上記(1)式の関係を満足することが望ましい。
ここで、高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、図3〜図5に示すように、断面略矩形状に組み合わせた高強度鋼板2と低強度鋼板3とが、サブマージアーク溶接等のシーム溶接によって溶接部5で接合される。このとき、高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、図6に示すように、高強度鋼板2の内面2b又は低強度鋼板3の内面3bに溶接するための開先50が、低強度鋼板3の側端部3a又は高強度鋼板2の側端部2aに形成される。
開先50は、相対的に板厚が小さい何れか一方の低強度鋼板3の側端部3a又は高強度鋼板2の側端部2aに形成されて、例えば、図6(a)に示すように、レ形に形成されるほか、図6(b)に示すように、V形に形成される。また、開先50は、必要に応じて、ルート面やルート間隔を設ける等、適宜の形状で形成されてもよく、裏当金51を設けてもよい。
溶接部5は、相対的に板厚が小さい何れか一方の低強度鋼板3の側端部3a又は高強度鋼板2の側端部2aに開先50が形成されて、相対的に板厚が大きい何れか他方の高強度鋼板2の内面2b又は低強度鋼板3の内面3bとの間に溶接金属Wが設けられる。溶接部5は、例えば、低強度鋼板3の板厚tlが高強度鋼板2の板厚thよりも小さくなる場合に、低強度鋼板3の側端部3aに開先50が形成されて、高強度鋼板2の内面2bと開先50との間に溶接金属Wが設けられる。
溶接金属Wは、入熱させて開先50に設けられる前の状態で、溶接金属Wの材料としての引張強度Fu,wが所定の大きさとなる。溶接金属Wは、主に、材料としての引張強度Fu,wが、低強度鋼板3の鋼材の引張強度Fu,lと同等以上で、かつ、高強度鋼板2の鋼材の引張強度Fu,hよりも低くなる(Fu,l≦Fu,w<Fu,h)。溶接金属Wは、例えば、低強度鋼板3の引張強度Fu,lが490N/mm2で、高強度鋼板2の引張強度Fu,hが950N/mm2のときに、材料としての引張強度Fu,wが490N/mm2以上、950N/mm2未満となる。
高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、図2に示すように、主に、建築物の柱部材8として用いられるため、一対の高強度鋼板2と一対の低強度鋼板3とに取り囲まれて形成された中空部4にコンクリート40が充填されることが望ましい。高強度鋼板2及び低強度鋼板3は、例えば、柱部材8の中空部4に、無筋コンクリート又は鉄筋コンクリート等によってコンクリート40が充填される。
本発明を適用した箱型断面部材1は、柱部材8等として用いられるため、例えば、X軸周りの曲げモーメントMxがY軸周りの曲げモーメントMyよりも大きいものとなって、柱部材8等に発生する曲げモーメントが、所定の方向性を持つものとなる。このとき、本発明を適用した箱型断面部材1は、曲げモーメントMxが大きい奥行方向Yに一対の高強度鋼板2を配置するとともに、曲げモーメントMyが小さい幅方向Xに一対の低強度鋼板3を配置することができる。
これにより、本発明を適用した箱型断面部材1は、相対的に降伏強度Fhの高い高強度鋼板2と相対的に降伏強度Flの低い低強度鋼板3とを適切に組み合わせることで、鉛直荷重及び所定の方向性を持つ地震等による水平荷重(曲げモーメント)に対して効率的に抵抗させることが可能となる。そして、本発明を適用した箱型断面部材1は、鉛直荷重及び所定の方向性を持つ地震等による水平荷重(曲げモーメント)に効率的に抵抗させるために、高強度鋼板2の降伏強度Fh及び幅厚比(B/th)と、低強度鋼板3の降伏強度Fl及び幅厚比(D/tl)とを、互いに独立して設定して適切に組み合わせることができるため、箱型断面部材1の設計自由度を向上させることが可能となる。
ここで、本発明を適用した箱型断面部材1は、図6に示すように、低強度鋼板3の板厚tlを高強度鋼板2の板厚thよりも小さくして、溶接金属Wの材料としての引張強度Fu,wが、低強度鋼板3の鋼材の引張強度Fu,lと同等以上で、かつ、高強度鋼板2の鋼材の引張強度Fu,hよりも低くなる(Fu,l≦Fu,w<Fu,h)。そして、本発明を適用した箱型断面部材1は、特に、板厚tlが小さい低強度鋼板3の側端部3aに形成された開先50に溶接金属Wが設けられて、板厚thが大きい高強度鋼板2の内面2bに溶接される。
これにより、本発明を適用した箱型断面部材1は、溶接金属Wの材料としての引張強度Fu,wが、溶接金属Wが設けられる低強度鋼板3の引張強度Fu,lと同等以上となるため、溶接部5をオーバーマッチングとした理想的な溶接状態とすることが可能となる。また、本発明を適用した箱型断面部材1は、低強度鋼板3に超高強度鋼が用いられることなく、相対的に降伏強度Flの低い低強度鋼板3が用いられるため、溶接金属Wの材料としての引張強度は低強度鋼板3の引張強度と同等以上でよく、溶接金属Wの割れ防止が容易となり、結果として溶接前後の予熱、後熱及びパス間温度等の管理が容易となり、溶接施工管理の省力化を実現することが可能となる。
本発明を適用した箱型断面部材1は、低強度鋼板3に超高強度鋼が用いられることなく、高強度鋼板2にのみ引張強度が780N/mm2以上の超高強度鋼が用いられるとともに、低強度鋼板3の降伏強度Flに対する高強度鋼板2の降伏強度Fhの比率(Fh/Fl)が、特に、630/500以上、880/325以下となることが望ましい。このとき、本発明を適用した箱型断面部材1は、高強度鋼板2に超高強度鋼が用いられる場合であっても、高強度鋼板2に比べて引張強度が低い溶接材料を用いることで溶接金属Wの割れ防止及び溶接施工管理が容易となることで、大入熱サブマージアーク溶接等を実施することも可能となる。
また、本発明を適用した箱型断面部材1は、相対的に板厚が小さい何れか一方の低強度鋼板3の側端部3a又は高強度鋼板2の側端部2aに形成された開先50に溶接金属Wが設けられて、相対的に板厚が大きい何れか他方の高強度鋼板2の内面2b又は低強度鋼板3の内面3bに溶接部5で溶接される。これにより、本発明を適用した箱型断面部材1は、相対的に板厚が小さい開先50に溶接金属Wが設けられることで、板厚が大きい部分に溶接金属Wが設けられる場合と比較して溶接量が削減されるため、箱型断面部材1の製作効率を向上させることが可能となる。さらに、サブマージアーク溶接等の大入熱溶接により接合した場合においても、溶接量や溶接入熱が削減されるため、溶接金属W及び鋼材の溶接熱影響部の靭性改善も期待できる。
本発明を適用した箱型断面部材1は、特に、低強度鋼板3の板厚tlを高強度鋼板2の板厚thよりも小さくして、低強度鋼板3の側端部3aに形成された開先50に溶接金属Wが設けられることで、溶接量を削減して製作効率を向上させると同時に、溶接金属Wの引張強度Fu,wを高強度鋼板2の引張強度Fu,hよりも低くして、溶接金属Wの割れ防止を実現しながら、さらに低強度鋼板3の引張強度Fu,lを溶接金属Wの引張強度Fu,wと同等以下とすることで、溶接施工管理の省力化と溶接継手の強度確保を実現することが可能となる。
本発明を適用した箱型断面部材1は、必要に応じて、図7に示すように、低強度鋼板3の板厚tlを高強度鋼板2の板厚thよりも大きくしてもよい。このとき、本発明を適用した箱型断面部材1は、図7(a)に示すように、板厚tlの大きい低強度鋼板3に開先50が形成される場合は、低強度鋼板3の引張強度Fu,lが溶接金属Wの引張強度Fu,wと同等以下となるため、溶接施工管理の省力化を実現することが可能となる。これに対して、本発明を適用した箱型断面部材1は、図7(b)に示すように、板厚thの小さい高強度鋼板2に開先50が形成される場合は、板厚が小さい開先50に溶接金属Wが設けられることで、溶接量を削減して箱型断面部材1の製作効率を向上させることが可能となる。
また、本発明を適用した箱型断面部材1は、図2に示すように、主に、建築物の柱部材8として用いられて、高強度鋼板2と低強度鋼板3とで形成された中空部4にコンクリート40が充填される。これにより、本発明を適用した箱型断面部材1は、中空部4が充填されたコンクリート40で補強されるため、柱部材8及び柱部材8に梁部材7が連結される箇所等で十分な剛性を発揮することが可能となる。
ここで、本発明を適用した箱型断面部材1の設計方法は、一対の高強度鋼板2と一対の低強度鋼板3とをシーム溶接して断面略矩形状に組み合わせるときに、高強度鋼板2及び低強度鋼板3の組み合わせを適切に設計するためのものである。このとき、本発明を適用した箱型断面部材1の設計方法は、特に、高強度鋼板2の降伏強度Fhと、高強度鋼板2の幅寸法B及び板厚thと、低強度鋼板3の降伏強度Flと、低強度鋼板3の奥行寸法D及び板厚tlとが、上記(1)式の関係を満足するように、高強度鋼板2の幅厚比(B/th)及び低強度鋼板3の幅厚比(D/tl)を設計する。このとき、本発明を適用した箱型断面部材1の設計方法は、主に、低強度鋼板3の板厚tlと高強度鋼板2の板厚thとが相対的に異なる大きさの箱型断面部材1の設計に用いられるが、低強度鋼板3の板厚tlと高強度鋼板2の板厚thとが略同一の箱型断面部材1の設計に用いられてもよい。
本発明を適用した箱型断面部材1は、高強度鋼板2に用いられる超高強度鋼が、低強度鋼板3よりも高い降伏強度Fhとなるものの、高強度鋼板2と低強度鋼板3の各々の降伏強度と幅厚比の組合せが適切でない場合には、柱部材8等に作用する鉛直荷重等によって、相対的に降伏強度が低い低強度鋼板3が降伏した後、早期に局部座屈が発生する虞がある。また、本発明を適用した箱型断面部材1は、低強度鋼板3の塑性化後の変形性能は大きいのに対して、高強度鋼板2に用いられる超高強度鋼の塑性化後の変形性能は一般的に乏しいものとなる。
本発明を適用した箱型断面部材1は、幅方向Xに一対の低強度鋼板3が配置されるため、柱部材8等に作用する鉛直荷重及びX軸周りの曲げモーメントMxに対して、高強度鋼板2となる超高強度鋼が降伏する前に、低強度鋼板3が先行して降伏するものとなる。このとき、本発明を適用した箱型断面部材1は、高強度鋼板2の降伏強度Fh及び幅厚比(B/th)と、低強度鋼板3の降伏強度Fl及び幅厚比(D/tl)とを、上記(1)式の関係を満足するように設定することで、低強度鋼板3が高強度鋼板2に先行して降伏するものの、低強度鋼板3の幅厚比(D/tl)が高強度鋼板2の幅厚比(B/th)に対して各々の降伏強度比の平方根(√(Fl/Fh))に応じて小さいものとなるため、低強度鋼板3に早期の局部座屈を生じさせないものとなる。
これにより、本発明を適用した箱型断面部材1は、低強度鋼板3の幅厚比(D/tl)を高強度鋼板2の幅厚比(B/th)に対して各々の降伏強度比の平方根(√(Fl/Fh))に応じて小さいものとして、変形性能の大きい低強度鋼板3の早期の局部座屈を抑制することで、低強度鋼板3が降伏強度Flに達した後も、柱部材8等に作用する鉛直荷重等を高強度鋼板2に分配し、高強度鋼板2及び低強度鋼板3の双方に鉛直荷重等を負担させるものとなり、箱型断面部材1全体の耐荷能力及び塑性変形性能を向上させることが可能となる。
また、本発明を適用した箱型断面部材1は、柱部材8等に作用するY軸周りの曲げモーメントMyに対しては、降伏強度Flの低い低強度鋼板3の両端が、降伏強度Fhの高い高強度鋼板2で拘束されることで、低強度鋼板3に局部座屈が発生することが抑制される。これにより、本発明を適用した箱型断面部材1は、柱部材8等に作用するX軸周りの曲げモーメントMx及びY軸周りの曲げモーメントMyの何れに対しても、低強度鋼板3の早期の局部座屈の発生が抑制されて、箱型断面部材1全体の耐荷能力及び塑性変形性能を向上させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。
1 :箱型断面部材
2 :高強度鋼板
2a :側端部
2b :内面
3 :低強度鋼板
3a :側端部
3b :内面
4 :中空部
40 :コンクリート
5 :溶接部
50 :開先
51 :裏当金
7 :梁部材
71 :内側梁部材
72 :外側梁部材
8 :柱部材
80 :外周部
81 :内部
W :溶接金属
X :幅方向
Y :奥行方向
Z :高さ方向

Claims (7)

  1. 複数の鋼板を溶接して断面略矩形状に組み合わせた箱型断面部材であって、
    互いに対向する一方の側面で一対となった高強度鋼板と、互いに対向する他方の側面で一対となった低強度鋼板とを備え、
    前記低強度鋼板は、前記高強度鋼板よりも低い降伏強度とした鋼材が用いられて、
    前記高強度鋼板及び前記低強度鋼板は、前記低強度鋼板の板厚が前記高強度鋼板の板厚よりも小さいこと
    を特徴とする箱型断面部材。
  2. 前記高強度鋼板及び前記低強度鋼板は、前記高強度鋼板と前記低強度鋼板との溶接部に設けられる溶接金属の材料としての引張強度が、前記低強度鋼板の鋼材の引張強度と同等以上で、かつ、前記高強度鋼板の鋼材の引張強度よりも低いこと
    を特徴とする請求項記載の箱型断面部材。
  3. 記低強度鋼板の側端部に、前記高強度鋼板に溶接するための開先が形成されること
    を特徴とする請求項1又は2記載の箱型断面部材。
  4. 前記高強度鋼板及び前記低強度鋼板は、前記高強度鋼板に引張強度が780N/mm2以上の超高強度鋼の鋼材が用いられるとともに、前記低強度鋼板の降伏強度に対する前記高強度鋼板の降伏強度の比率が、630/500以上、880/325以下となること
    を特徴とする請求項1〜の何れか1項記載の箱型断面部材。
  5. 前記高強度鋼板及び前記低強度鋼板は、一対の前記高強度鋼板と一対の前記低強度鋼板とに取り囲まれて形成された中空部に、コンクリートが充填されること
    を特徴とする請求項1〜の何れか1項記載の箱型断面部材。
  6. 前記高強度鋼板及び前記低強度鋼板は、前記高強度鋼板の鋼材の降伏強度Fhと、前記高強度鋼板の一方の側面での幅寸法B及び板厚thと、前記低強度鋼板の鋼材の降伏強度Flと、前記低強度鋼板の他方の側面での奥行寸法D及び板厚tlとが、下記(1)式の関係を満足すること
    を特徴とする請求項1〜の何れか1項記載の箱型断面部材。
    Figure 0006686612
  7. 複数の鋼板を溶接して断面略矩形状に組み合わせた箱型断面部材の設計方法であって、
    互いに対向する一方の側面で一対となった高強度鋼板と、互いに対向する他方の側面で一対となった低強度鋼板とを組み合わせるときに、前記低強度鋼板に前記高強度鋼板よりも低い降伏強度とした鋼材が用いられ、前記低強度鋼板の板厚を前記高強度鋼板の板厚よりも小さくし、前記高強度鋼板の鋼材の降伏強度Fhと、前記高強度鋼板の一方の側面での幅寸法B及び板厚thと、前記低強度鋼板の鋼材の降伏強度Flと、前記低強度鋼板の他方の側面での奥行寸法D及び板厚tlとが、下記(1)式の関係を満足するように、前記高強度鋼板及び前記低強度鋼板の幅厚比を設計すること
    を特徴とする箱型断面部材の設計方法。
    Figure 0006686612
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