以下の説明で用いる図中には、後述する軸受(ブシュ100等)の軸方向、周方向及び径方向を、それぞれ矢印S、矢印C及び矢印Rで適宜示している。
以下では、図1から図3までを用いて、本発明に係る軸受の第一実施形態であるブシュ100の構成について説明する。
ブシュ100は、軸部材を回転可能に支持するための部材(軸受)である。ブシュ100は、一枚の矩形板状の部材を屈曲させることで、円筒状に形成される。ブシュ100は、主として本体110及び油溝130を具備する。
本体110は、ブシュ100を形成する主たる部分である。本体110は、主として裏金111及びライニング112を具備する。
裏金111は、本体110のうち外周側(外周面)を形成する部分である。裏金111は所定の厚さを有する板状に形成される。裏金111は比較的硬度の高い金属材料により形成される。
ライニング112は、本体110のうち内周側(内周面)を形成する部分である。ライニング112は、裏金111の一側面(内周面)に所定の厚さになるように積層されることで形成される。ライニング112は、比較的摩擦特性(耐摩耗性、低摩擦性)に優れた金属材料により形成される。
このように本体110は、異なる材料によって形成された裏金111とライニング112が2層に重ねられたバイメタルによって形成されている。
なお以下では、説明の便宜上、本体110のうち、周方向における一端面(図2中の上端面)を周方向第一端面113、周方向において周方向第一端面113と反対側の端面(図2中の下端面)を周方向第二端面114、軸方向における一端面(図2中の左端面)を軸方向第一端面115、軸方向において軸方向第一端面115と反対側の端面(図2中の右端面)を軸方向第二端面116と、それぞれ称する。
本体110は、周方向第一端面113と周方向第二端面114とが突き合わされるように(周方向において対向するように)屈曲され、円筒状に形成される。
油溝130は、本体110(ブシュ100)の内周面に形成され、潤滑油を案内する溝である。油溝130は、本体110の内周面を外周側に向かって凹ませることで形成される。油溝130は、主として直線状油溝131、第一連通油溝132及び第二連通油溝133を具備する。
直線状油溝131は、本体110(ブシュ100)の周方向第一端面113の近傍から、周方向第二端面114の近傍に亘って形成される。直線状油溝131は、軸方向において本体110の中央に形成される。直線状油溝131は、周方向に沿って直線状に延びるように形成される。直線状油溝131は、軸方向幅及び深さが一定となるように形成される。
第一連通油溝132は、直線状油溝131の端部と周方向第一端面113とを連通するように形成される。具体的には、第一連通油溝132の一端部(図2における下端)は、直線状油溝131の一端部(図2における上端)と連通される。また第一連通油溝132の他端部(図2における上端)は、周方向第一端面113と連通される。第一連通油溝132は、軸方向において本体110の中央に形成される。第一連通油溝132は、軸方向幅及び深さが一定となるように形成される。第一連通油溝132は、軸方向幅が直線状油溝131よりも広くなるように形成される。第一連通油溝132は、深さが直線状油溝131と同一となるように形成される。
第二連通油溝133は、直線状油溝131の端部と周方向第二端面114とを連通するように形成される。具体的には、第二連通油溝133の一端部(図2における上端)は、直線状油溝131の他端部(図2における下端)と連通される。また第二連通油溝133の他端部(図2における下端)は、周方向第二端面114と連通される。第二連通油溝133は、第一連通油溝132と対称(図2において上下対称)な形状に形成される。
このように油溝130を形成することで、第一連通油溝132の他端部(図2における上端、すなわち周方向第一端面113と連通された側の端部)の軸方向幅W1は、直線状油溝131の一端部(図2における上端、すなわち第一連通油溝132と連通された側の端部)の軸方向幅W2よりも広くなる。第二連通油溝133についても同様である。
このように構成されたブシュ100において、油溝130はブシュ100の内周面を周方向に沿って直線状に延びるように形成される。油溝130の第一連通油溝132と第二連通油溝133とは、一対の突き合わせ面(周方向第一端面113及び周方向第二端面114)において対向するように配置される。これによって、第一連通油溝132と第二連通油溝133との間で潤滑油が流通可能となる。
以下では、図4及び図5を用いて、上述の如く構成されたブシュ100の製造方法について説明する。
図4に示すように、ブシュ100は、主として準備工程S1、油溝形成工程S2、切断工程S3及び屈曲工程S4を経て製造される。
準備工程S1は、コイル状の板状部材Pを準備する工程である。ここで「板状部材P」とは、油溝130が形成される前であり、ブシュ100の1個分の大きさに切断される前かつ円筒状に屈曲される前の、板状の本体110(ブシュ100)である。具体的には、準備工程S1において、裏金111とライニング112からなる板状部材Pが準備される(図5(a)参照)。
準備工程S1が行われた後、油溝形成工程S2が行われる。
油溝形成工程S2は、準備工程S1において準備された板状部材Pに油溝130を形成する工程である。具体的には、コイル状の板状部材Pの先端を平板状になるように引き出し、当該先端部分にプレス加工を施すことで、当該板状部材Pの内周面(ライニング112側の面)を凹ませ、油溝130が形成される。この際、直線状油溝131、第一連通油溝132及び第二連通油溝133が同時に形成される(図5(b)参照)。
油溝形成工程S2が行われた後、切断工程S3が行われる。
切断工程S3は、油溝形成工程S2において油溝130が形成された板状部材Pを、ブシュ100の1個分の大きさの平板(本体110)になるように切断する工程である。具体的には、切断工程S3において、裏金111とライニング112からなる板状部材P(バイメタル)を適宜の寸法に切断することで、矩形平板状の本体110が形成される(図6(a)参照)。この際、本体110の周方向第一端面113と油溝130の第一連通油溝132とが連通するように、板状部材Pが切断される。また、本体110の周方向第二端面114と油溝130の第二連通油溝133とが連通するように、板状部材Pが切断される。
切断工程S3が行われた後、屈曲工程S4が行われる。
屈曲工程S4は、平板状の本体110を円筒状に屈曲させる工程である。具体的には、周方向第一端面113と周方向第二端面114とが突き合わされるように、本体110が円筒状に屈曲される。この際、ライニング112が内周側を向くように屈曲される。このようにして、ブシュ100が形成される(図6(b)参照)。
このように構成されたブシュ100では、一対の突き合わせ面(周方向第一端面113及び周方向第二端面114)において対向するように配置された第一連通油溝132と第二連通油溝133との間を潤滑油が流通することができる(図7(a)参照)。これによって、潤滑油は油溝130によってブシュ100の内周面全域に亘って適宜案内され、当該ブシュ100の内周面を適宜潤滑することができる。
ここで、ブシュ100を円筒状に屈曲する際に、一対の突き合わせ面(周方向第一端面113及び周方向第二端面114)が軸方向にずれた場合を想定する(図7(b)参照)。この場合、当該一対の突き合わせ面において対向するように配置された第一連通油溝132と第二連通油溝133も軸方向にずれる。しかし、本実施形態においては、第一連通油溝132及び第二連通油溝133は、直線状油溝131よりも軸方向幅が広くなるように形成されている。言い換えると、油溝130の端部の軸方向幅は、その手前の部分の軸方向幅よりも広くなるように形成されている。したがって、第一連通油溝132と第二連通油溝133が軸方向に多少ずれたとしても、潤滑油が流通するのに十分な程度に当該第一連通油溝132と第二連通油溝133を対向させることができる。これによって、潤滑油は油溝130内を円滑に流通することができる。
以上の如く、本実施形態に係るブシュ100は、周方向に対向する周方向第一端面113及び周方向第二端面114(一対の突き合わせ面)と、内周面に形成され、前記一対の突き合わせ面のうち一方と連通された油溝130(第一の油溝)と、前記内周面に形成され、前記一対の突き合わせ面のうち他方と連通され、前記一対の突き合わせ面において油溝130と対向するように形成された油溝130(第二の油溝)と、を具備するブシュ100であって、油溝130は、直線状油溝131(第一の部分)と、直線状油溝131の端部と前記突き合わせ面とを連通するように形成され、前記突き合わせ面と連通された端部の幅W1が、直線状油溝131の前記端部の幅W2よりも広くなるように形成された第一連通油溝132及び第二連通油溝133(第二の部分)と、を具備するものである。
このように構成することにより、油溝130内の潤滑油を円滑に流通させることができる。すなわち、一対の突き合わせ面における油溝130(第一連通油溝132及び第二連通油溝133)の端部の幅W1を広く確保することで、ブシュ100の製造時等に当該一対の突き合わせ面が互いにずれたとしても、当該第一連通油溝132と第二連通油溝133を対向させ易くする(対向する部分の幅を確保し易くする)ことができる。これによって、当該突き合わせ面において潤滑油の流通が阻害されるのを防止することができる。
また、前記第一の油溝は、前記内周面において前記第二の油溝と連通するように形成されている(一体の油溝130として形成されている)ものである。
このように構成することにより、内周面において、潤滑油を円滑に流通させることができる。これによって、内周面を効果的に潤滑させることができる。
また、ブシュ100は、裏金111と、裏金111の内周側に積層され、前記内周面を形成するライニング112(摺動層)を具備するものである。
このように構成することにより、内周面(ライニング112)に油溝130を形成するため、油溝130を形成しながらも強度を確保することができる。
また、本実施形態に係るブシュ100の製造方法は、板状部材Pを準備する準備工程S1と、準備工程S1の後で、板状部材Pの一側面に油溝130(第一の油溝)を形成する油溝形成工程S2(第一油溝形成工程)と、準備工程S1の後で、板状部材Pの一側面に油溝130(第二の油溝)を形成する油溝形成工程S2(第二油溝形成工程)と、油溝形成工程S2の後で、板状部材Pを切断することにより、油溝130が周方向第一端面113(一の端面)と連通すると共に油溝130が周方向第一端面113と反対側に位置する周方向第二端面114(他の端面)と連通するような本体110を形成する切断工程S3と、切断工程S3の後で、周方向第一端面113と周方向第二端面114とを突き合わせるように、かつ付き合わされた周方向第一端面113及び周方向第二端面114において油溝130が対向するように、本体110を円筒状に屈曲させる屈曲工程S4と、を具備するブシュ100の製造方法であって、油溝130は、直線状油溝131(第一の部分)と、直線状油溝131の端部と前記端面とを連通するように形成され、前記端面と連通された端部の幅W1が、直線状油溝131の前記端部の幅W2よりも広くなるように形成された第一連通油溝132及び第二連通油溝133(第二の部分)と、を具備するものである。
このように構成することにより、油溝130内の潤滑油を円滑に流通させることができる。すなわち、ブシュ100の製造時等に周方向第一端面113と周方向第二端面114とが互いにずれたとしても、第一連通油溝132と第二連通油溝133を対向させ易くする(対向する部分の幅を確保し易くする)ことができる。
なお、周方向第一端面113及び周方向第二端面114は、本発明に係る一対の突き合わせ面並びに一の端面及び他の端面の実施の一形態である。
また、油溝130は、本発明に係る第一の油溝及び第二の油溝の実施の一形態である。
また、直線状油溝131は、本発明に係る第一の部分の実施の一形態である。
また、第一連通油溝132及び第二連通油溝133は、本発明に係る第二の部分の実施の一形態である。
また、ライニング112は、本発明に係る摺動層の実施の一形態である。
また、油溝形成工程S2は、本発明に係る第一油溝形成工程及び第二油溝形成工程の実施の一形態である。
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、油溝130は第一連通油溝132及び第二連通油溝133を具備するものとしたが、第一連通油溝132又は第二連通油溝133のいずれか一方のみを具備する構成とすることも可能である。
また、ブシュ100には連続した1本の油溝130ではなく、複数の(複数に分離した)油溝を形成することも可能である。この場合、複数の油溝のうち一の油溝が周方向第一端面113及び周方向第二端面114と連通される構成や、複数の油溝のうち一の油溝が周方向第一端面113と連通され、他の油溝が周方向第二端面114と連通される構成とすることが可能である。
また、油溝形成工程S2において、油溝130はプレス加工によって形成されるものとしたが、油溝130の形成方法はこれに限るものではなく、例えば切削加工等によって形成することも可能である。
また、油溝形成工程S2の後で切断工程S3を行うものとしたが、ブシュ100の製造方法はこれに限るものではなく、例えば、板状部材Pをブシュ100の1個分の大きさに切断する切断工程を行った後に、油溝130を形成する油溝形成工程を行うことも可能である。
また、ブシュ100(本体110)は裏金111とライニング112が2層に重ねられたバイメタルによって形成されるものとしたが、3層以上のバイメタルによって形成されていてもよい。また、ブシュ100は金属材料に限らず、種々の材料を用いて形成することも可能である。
また、油溝130は周方向に沿って直線状に形成されるものとしたが、油溝130の形状はこれに限るものではなく、適宜屈曲や分岐するように形成することも可能である。
また、第一連通油溝132(第二連通油溝133)は軸方向幅が一定(W1)となるように形成されるものとしたが、周方向に沿って軸方向幅が変化するように形成することも可能である。図8(a)には、このような第一連通油溝132及び第二連通油溝133の例(第一変形例)を示している。
図8(a)に示す第一変形例では、周方向第一端面113に向かうにつれて、第一連通油溝132の軸方向幅が徐々に広がるように形成されている。第一連通油溝132の周方向第一端面113側の端部の軸方向幅W1は、直線状油溝131の第一連通油溝132側の端部の軸方向幅W2よりも広くなるように形成されている。第二連通油溝133についても同様である。
また、直線状油溝131は軸方向幅が一定(W2)となるように形成されるものとしたが、周方向に沿って軸方向幅が変化するように形成することも可能である。図8(b)には、このような直線状油溝131の例(第二変形例)を示している。
図8(b)に示す第二変形例では、周方向第一端面113及び周方向第二端面114に向かうにつれて、直線状油溝131の軸方向幅が徐々に狭まるように形成されている。直線状油溝131の第一連通油溝132側の端部の軸方向幅W2は、第一連通油溝132の周方向第一端面113側の端部の軸方向幅W1よりも狭くなるように形成されている。第二連通油溝133についても同様である。
また、直線状油溝131と第一連通油溝132(第二連通油溝133)は深さが同一となるように形成されるものとしたが、異なる深さに形成することも可能である。図9には、このような油溝130の例(第三変形例)を示している。
図9に示す第三変形例では、直線状油溝131に比べて、第一連通油溝132及び第二連通油溝133の深さが深くなるように形成されている。より具体的には、第一連通油溝132の周方向第一端面113側の端部の径方向深さD1は、直線状油溝131の第一連通油溝132側の端部の径方向深さD2よりも深くなる。第二連通油溝133についても同様である。これによって、一対の突き合わせ面(周方向第一端面113及び周方向第二端面114)が径方向に多少ずれたとしても、潤滑油が流通するのに十分な程度に第一連通油溝132と第二連通油溝133を対向させることができる。これによって、潤滑油は油溝130内を円滑に流通することができる。
なお、第三変形例において、さらに周方向に沿って第一連通油溝132(第二連通油溝133)や直線状油溝131の深さが変化するように形成することも可能である。例えば、第一連通油溝132を、周方向第一端面113側に向かって徐々に深くなるように形成することも可能である。
以下では、本発明の他の実施形態(第二実施形態から第八実施形態まで)について説明する。なお、以下で説明する実施形態では、その他の実施形態と同様の構成については同様の符号を付して説明を適宜省略する。
まず、図10を用いて第二実施形態に係るブシュ200について説明する。ブシュ200は、主として本体210及び油溝230を具備する。
本体210は、凹部217、凸部218及び貫通孔219を具備する。
凹部217は、本体210の周方向第一端面113に形成される。凹部217は、周方向第一端面113が略円弧状(略円形状)に凹むように形成される。凹部217は、周方向第一端面113の軸方向中央を挟んで2つ形成される。
凸部218は、本体210の周方向第二端面114に形成される。凸部218は、周方向第二端面140が略円弧状(略円形状)に突出するように形成される。凸部218は、周方向第二端面140の軸方向中央を挟んで2つ形成される。凸部218は、凹部217に対応するように、当該凹部217の軸方向位置と同一位置に形成される。当該凸部218は、本体210が円筒状に屈曲された際に、凹部217に係合される。
貫通孔219は、本体210を貫通するように形成される。貫通孔219は、本体210の周方向第一端面113近傍に形成される。貫通孔219は、後述する油溝230(第一V字油溝231)内に形成される。当該貫通孔219を介して、潤滑油がブシュ200の外部と油溝230との間を流通することができる。例えば、ブシュ200の外部からの潤滑油が貫通孔219を介して油溝230へと供給される。
油溝230は、主として第一V字油溝231、第一連通油溝232、第二V字油溝233及び第二連通油溝234を具備する。
第一V字油溝231は、本体210の周方向略中央部から周方向第一端面113近傍に亘って形成される。第一V字油溝231は、周方向第一端面113側が尖った略V字状に形成される。第一V字油溝231の一端部(周方向第一端面113側の端部)は、周方向第一端面113近傍まで延びるように形成される。第一V字油溝231の他端部(2つに分岐した側の端部)は、それぞれ本体210の軸方向第一端面115及び軸方向第二端面116と連通する。
第一連通油溝232は、第一V字油溝231の一端部と周方向第一端面113とを連通するように形成される。第一連通油溝232は、本体210の軸方向中央(2つの凹部217の間)に形成される。第一連通油溝232の軸方向幅は、第一V字油溝231の一端部(周方向第一端面113側の端部)の軸方向幅よりも広くなるように形成される。第一連通油溝232は、凹部217の周方向略中央部(凹部217のうち最も軸方向幅が広い部分)よりも周方向第一端面113側に位置するように形成される。これによって、凹部217との干渉を避けながら、第一連通油溝232の軸方向幅をできるだけ広く確保することができる。
第二V字油溝233は、本体210の周方向中途部から周方向第二端面114近傍に亘って形成される。第二V字油溝233は、周方向第二端面114側が尖った略V字状に形成される。第二V字油溝233の一端部(周方向第二端面114側の端部)は、周方向第二端面114近傍まで延びるように形成される。第二V字油溝233の他端部(2つに分岐した側の端部)は、それぞれ本体210の軸方向第一端面115及び軸方向第二端面116と連通する。第二V字油溝233の周方向に沿った長さは、第一V字油溝231の周方向に沿った長さよりも短くなるように形成される。
第二連通油溝234は、第二V字油溝233の一端部と周方向第二端面114とを連通するように形成される。第二連通油溝234は、本体210の軸方向中央に形成される。第二連通油溝234の軸方向幅は、第二V字油溝233の一端部(周方向第二端面114側の端部)の軸方向幅よりも広くなるように形成される。
次に、図11を用いて第三実施形態に係るブシュ300について説明する。ブシュ300は、主として本体310及び油溝330を具備する。
本体310は、凸部317、凹部318及び切欠部319を具備する。
凸部317は、本体310の周方向第一端面113に形成される。凸部317の形状は、第二実施形態に係る凸部218(図10参照)と略同一である。
凹部318は、本体310の周方向第二端面114に形成される。凹部318の形状は、第二実施形態に係る凹部217(図10参照)と略同一である。
切欠部319は、本体310の軸方向第二端面116に形成される。切欠部319は、軸方向第二端面116が略半円状に凹むように形成される。切欠部319は、軸方向第二端面116のうち、周方向第二端面114近傍に形成される。
油溝330は、主として第一直線状油溝331、第一連通油溝332、第二直線状油溝333及び第二連通油溝334を具備する。
第一直線状油溝331は、本体310の周方向中途部(周方向中央部よりも周方向第一端面113側)から周方向第一端面113近傍に亘って形成される。第一直線状油溝331は、本体310の軸方向中央に形成される。第一直線状油溝331は、周方向に沿って延びる直線状に形成される。第一直線状油溝331の軸方向幅は一定となるように形成される。
第一連通油溝332は、第一直線状油溝331と周方向第一端面113とを連通するように形成される。第一連通油溝332は、本体310の軸方向中央に形成される。第一連通油溝332の軸方向幅は、第一直線状油溝331の軸方向幅よりも広くなるように形成される。
第二直線状油溝333は、本体310の周方向略中央部から周方向第二端面114近傍に亘って形成される。第二直線状油溝333は、本体310の軸方向中央に形成される。第二直線状油溝333は、周方向に沿って延びる直線状に形成される。第二直線状油溝333の軸方向幅は一定(第一直線状油溝331の軸方向幅と同一)となるように形成される。第二直線状油溝333の周方向に沿った長さは、第一直線状油溝331の周方向に沿った長さよりも長くなるように形成される。
第二連通油溝334は、第二直線状油溝333と周方向第二端面114とを連通するように形成される。第二連通油溝334は、本体310の軸方向中央に形成される。第二連通油溝334の軸方向幅は、第二直線状油溝333の軸方向幅よりも広くなるように(第一連通油溝332の軸方向幅と同一となるように)形成される。
次に、図12を用いて第四実施形態に係るブシュ400について説明する。ブシュ400は、主として本体410及び油溝430を具備する。
本体410は、切欠部419を具備する。
切欠部419は、本体410の軸方向第一端面115に形成される。切欠部419は、軸方向第一端面115が略半円状に凹むように形成される。切欠部419は、軸方向第一端面115のうち、周方向第一端面113近傍に形成される。
油溝430は、主として第一Y字油溝431、第一連通油溝432、第二Y字油溝433及び第二連通油溝434を具備する。
第一Y字油溝431は、本体410の周方向略中央部から周方向第一端面113近傍に亘って形成される。第一Y字油溝431は、周方向第二端面114側が2つに分岐した略Y字状に形成される。第一Y字油溝431の一端部(周方向第一端面113側の端部)は、周方向第一端面113近傍まで延びるように形成される。第一Y字油溝431の他端部(2つに分岐した側の端部)は、それぞれ軸方向に広がるように形成される。当該第一Y字油溝431の他端部は、軸方向第一端面115及び軸方向第二端面116と連通しないように形成される。
第一連通油溝432は、第一Y字油溝431と周方向第一端面113とを連通するように形成される。第一連通油溝432は、本体410の軸方向中央に形成される。第一連通油溝432の軸方向幅は、第一Y字油溝431の一端部(周方向第一端面113側の端部)の軸方向幅よりも広くなるように形成される。
第二Y字油溝433は、本体410の周方向中途部から周方向第二端面114近傍に亘って形成される。第二Y字油溝433は、周方向第一端面113側が2つに分岐した略Y字状に形成される。第二Y字油溝433の一端部(周方向第二端面114側の端部)は、周方向第二端面114近傍まで延びるように形成される。第二Y字油溝433の他端部(2つに分岐した側の端部)は、それぞれ軸方向に広がるように形成される。当該第二Y字油溝433の他端部は、軸方向第一端面115及び軸方向第二端面116と連通しないように形成される。第二Y字油溝433の周方向に沿った長さは、第一Y字油溝431の周方向に沿った長さよりも短くなるように形成される。
第二連通油溝434は、第二Y字油溝433と周方向第二端面114とを連通するように形成される。第二連通油溝434は、本体410の軸方向中央に形成される。第二連通油溝434の軸方向幅は、第二Y字油溝433の一端部(周方向第二端面114側の端部)の軸方向幅よりも広くなるように形成される。
次に、図13を用いて第五実施形態に係るブシュ500について説明する。ブシュ500は、主として本体510、油溝530及び油溜まり550を具備する。
本体510は、第一実施形態に係る本体110(図2参照)と略同様に形成される。
油溝530は、主として直線状油溝531、第一連通油溝532、第二連通油溝533及び傾斜油溝534を具備する。
直線状油溝531、第一連通油溝532及び第二連通油溝533は、第一実施形態に係る直線状油溝131、第一連通油溝132及び第二連通油溝133(図2参照)と略同様に形成される。
傾斜油溝534は、周方向に対して所定角度だけ傾斜して、直線状に延びるように形成される。傾斜油溝534の一端部は軸方向第一端面115と連通される。傾斜油溝534の他端部は軸方向第二端面116と連通される。当該傾斜油溝534の中央部は、直線状油溝531の中央部と連通される。
油溜まり550は、ブシュ500(本体510)の内周面に形成される窪みである。油溜まり550は、本体510の内周面を球面状に凹ませることで形成される。油溜まり550は、本体510の全域に亘って、互いに所定の間隔をあけて複数形成される。なお、図13においては、複数の油溜まり550のうち一部のみを図示している。当該油溜まり550に潤滑油を保持することで、ブシュ500を効果的に潤滑することができる。
なお、図13においては、本体510の端面(周方向第一端面113や軸方向第一端面115等)や油溝530の近傍にまで油溜まり550を形成した様子を示しているが、当該本体510の端面や油溝530を避けて(所定間隔をあけて)油溜まり550を形成してもよい。
次に、図14を用いて第六実施形態に係るブシュ600について説明する。ブシュ600は、主として本体610、油溝630及び油溜まり650を具備する。
本体610は、貫通孔617を具備する。貫通孔617は、本体610を貫通するように形成される。貫通孔617は、本体610の周方向中途部及び周方向第二端面114近傍(2箇所)に形成される。貫通孔617は、後述する油溝630(直線状油溝631)内に形成される。
油溝630は、主として直線状油溝631、第一連通油溝632、第二連通油溝633及び分岐油溝634を具備する。
直線状油溝631は、本体610(ブシュ600)の周方向第一端面113の近傍から、周方向第二端面114の近傍に亘って形成される。直線状油溝631は、軸方向において本体610の中央に形成される。直線状油溝631は、周方向に沿って直線状に延びるように形成される。直線状油溝631の中途部(周方向略中央部及び周方向第二端面114近傍)には、他の部分よりも軸方向幅が広い拡幅部631aが形成される。当該拡幅部631a内には、貫通孔617が形成される。
第一連通油溝632及び第二連通油溝633は、第一実施形態に係る第一連通油溝132及び第二連通油溝133(図2参照)と略同様に形成される。
分岐油溝634は、直線状油溝631から軸方向両側に分岐するように形成される。分岐油溝634は、直線状油溝631から軸方向両側に向かうにつれて周方向第一端面113側に延びるように(軸方向に対して傾斜するように)形成される。分岐油溝634の軸方向両端部は、軸方向第一端面115及び軸方向第二端面116にそれぞれ連通される。分岐油溝634は、周方向に沿って複数(4箇所)形成される。
油溜まり650は、第五実施形態に係る油溜まり550(図13参照)と略同様に形成される。
次に、図15を用いて第七実施形態に係るブシュ700について説明する。ブシュ700は、主として本体710及び油溝730を具備する。
本体710は、第一実施形態に係る本体110(図2参照)と略同様に形成される。
油溝730は、主として第一傾斜油溝731、第一連通油溝732、第二傾斜油溝733、第三傾斜油溝734及び第二連通油溝735を具備する。
第一傾斜油溝731は、周方向に対して所定角度だけ傾斜して、直線状に延びるように形成される。第一傾斜油溝731の一端部は周方向第一端面113の近傍まで延びるように形成される。第一傾斜油溝731の他端部は軸方向第一端面115と連通される。第一傾斜油溝731の中途部には、他の部分よりも幅が広い拡幅部731aが形成される。
第一連通油溝732は、第一傾斜油溝731の一端部(周方向第一端面113側の端部)と周方向第一端面113とを連通するように形成される。第一連通油溝732は、本体710の軸方向中央よりも軸方向第二端面116側に形成される。
第二傾斜油溝733は、周方向に対して所定角度だけ傾斜して、直線状に延びるように形成される。第二傾斜油溝733は、第一傾斜油溝731と平行に形成される。第二傾斜油溝733は、第一傾斜油溝731よりも周方向第二端面114側に形成される。第二傾斜油溝733の一端部は軸方向第二端面116と連通される。第二傾斜油溝733の他端部は軸方向第一端面115と連通される。第一傾斜油溝731の中途部には、他の部分よりも幅が広い拡幅部733aが形成される。
第三傾斜油溝734は、周方向に対して所定角度だけ傾斜して、直線状に延びるように形成される。第三傾斜油溝734は、第一傾斜油溝731及び第二傾斜油溝733と平行に形成される。第三傾斜油溝734は、第二傾斜油溝733よりも周方向第二端面114側に形成される。第三傾斜油溝734の一端部は軸方向第二端面116と連通される。第二傾斜油溝733の他端部は周方向第二端面114の近傍まで延びるように形成される。
第二連通油溝735は、第三傾斜油溝734の他端部(周方向第二端面114側の端部)と周方向第二端面114とを連通するように形成される。第二連通油溝735は、軸方向において、第一連通油溝732と同一の位置(本体710の軸方向中央よりも軸方向第二端面116側)に形成される。第二連通油溝735の軸方向幅は、第一連通油溝732の軸方向幅と同一となるように形成される。
次に、図16を用いて第八実施形態に係るブシュ800について説明する。ブシュ800は、主として本体810及び油溝830を具備する。
本体810は、貫通孔817を具備する。貫通孔817は、本体810を貫通するように形成される。貫通孔817は、本体810の周方向中途部及び周方向第二端面114近傍(2箇所)に形成される。貫通孔817は、後述する油溝830(直線状油溝831)内に形成される。
油溝830は、主として直線状油溝831、第一連通油溝832、第二連通油溝833、第一分岐油溝834及び第二分岐油溝835を具備する。
直線状油溝831は、第六実施形態に係る直線状油溝631と略同様に形成される。直線状油溝831は、本体810の軸方向中央より、やや軸方向第一端面115側に偏った位置に形成される。直線状油溝831の中途部には、直線状油溝631と同様に、拡幅部831aが2箇所形成される。当該拡幅部831a内には、貫通孔817が形成される。
第一連通油溝832は、直線状油溝831の一端部(周方向第一端面113側の端部)と周方向第一端面113とを連通するように形成される。第一連通油溝832の軸方向幅は、周方向第一端面113側に向かうにつれて徐々に広くなるように形成される。
第二連通油溝833は、直線状油溝831の他端部(周方向第二端面114側の端部)と周方向第二端面114とを連通するように形成される。第二連通油溝833の軸方向幅は、第一連通油溝832の周方向第一端面113側の端部と略同一となるように形成される。
第一分岐油溝834は、直線状油溝831から軸方向両側に分岐するように形成される。第一分岐油溝834は、直線状油溝831から軸方向両側に向かうにつれて周方向第一端面113側に延びるように(軸方向に対して傾斜するように)形成される。第一分岐油溝834の軸方向両端部は、それぞれ軸方向第一端面115及び軸方向第二端面116の近傍まで延びるように形成される。第一分岐油溝834は、直線状油溝831を基準にして軸方向に非対称となるように形成される。具体的には、第一分岐油溝834のうち直線状油溝831よりも軸方向第一端面115側に位置する部分は、軸方向第二端面116側に位置する部分よりも短く形成される。第一分岐油溝834は、周方向に沿って2箇所形成される。
第二分岐油溝835は、直線状油溝831から軸方向両側に分岐するように形成される。第二分岐油溝835は、直線状油溝831から軸方向両側に向かうにつれて周方向第一端面113側に延びるように(軸方向に対して傾斜するように)形成される。第二分岐油溝835の軸方向両端部は、それぞれ軸方向第一端面115及び軸方向第二端面116と連通するように形成される。第二分岐油溝835は、周方向に沿って2箇所形成される。また第二分岐油溝835は、周方向に沿って第一分岐油溝834と交互に配置される。