JP2018159420A - 軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑油が保持し易く、かつ油膜を形成しやすい軸受を提供する。
【解決手段】内周面120に潤滑油を保持する油たまり121が形成された軸受100であって、前記内周面120は、軸方向における所定の範囲に設定される領域であって、周方向の少なくとも一部に前記油たまり121が形成されている領域である油たまり形成領域T1と、前記油たまり形成領域T1以外の範囲に設定される領域であって、周方向の全域に亘って前記油たまり121が形成されていない領域である平滑領域T2と、を有し、前記内周面120の軸方向幅のうち、前記油たまり形成領域T1が占める割合は6割以下となるように設定した。
【選択図】図2

Description

本発明は、軸部材を回転可能に支持する軸受の技術に関する。
従来、軸部材を回転可能に支持する軸受の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1には、軸部材を支持する軸受(すべり軸受)に関する技術(具体的には、軸受に用いられる薄板状の摺動部材に関する技術)が開示されている。当該摺動部材の摺動面(焼結合金層)には、表面全体にわたって油たまりとなる多数の半球状の凹部が形成されている。このように、摺動面の全域に亘って凹部を形成することで、当該摺動面において潤滑油を保持し易くすることができる。
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、摺動面の全域に凹部を形成した場合、当該摺動面において潤滑油を保持し易くなる一方で、油膜圧力を発生させる(油膜を形成する)ための滑らかな摺動面(平面)が確保し難くなる。このため、軸受としての性能(耐焼付き性、耐摩耗性)が低下するおそれがある。
特開2009−2410号公報
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、潤滑油が保持し易く、かつ油膜を形成しやすい軸受を提供することである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、摺動面に潤滑油を保持する潤滑油保持部が形成された軸受であって、前記摺動面は、軸方向における所定の範囲に設定される領域であって、周方向の少なくとも一部に前記潤滑油保持部が形成されている領域である第一領域と、前記第一領域以外の範囲に設定される領域であって、周方向の全域に亘って前記潤滑油保持部が形成されていない領域である第二領域と、を有し、前記摺動面の軸方向幅のうち、前記第一領域が占める割合は6割以下となるように設定されるものである。
請求項2においては、前記第一領域は、前記摺動面に1箇所設定され、前記摺動面の軸方向幅のうち、前記第一領域が占める割合は5割以下となるように設定されるものである。
請求項3においては、前記第一領域は、前記摺動面の軸方向の一端部及び他端部の2箇所に設定され、前記摺動面の軸方向幅のうち、前記第一領域が占める割合は6割以下となるように設定されるものである。
請求項4においては、前記第一領域は、前記摺動面の軸方向の両端部以外の2箇所に設定され、前記摺動面の軸方向幅のうち、前記第一領域が占める割合は4割以下となるように設定されるものである。
請求項5においては、前記第一領域は、前記摺動面の軸方向の両端部以外の3箇所以上に設定され、前記摺動面の軸方向幅のうち、前記第一領域が占める割合は5割以下となるように設定されるものである。
請求項6においては、前記潤滑油保持部は、軸方向の長さに対して周方向の長さが長い形状に形成されるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、潤滑油を保持し易く、かつ油膜を形成し易くすることができる。
請求項2においては、潤滑油を保持し易く、かつ油膜を形成し易くすることができる。
請求項3においては、摺動面の軸方向中央に油膜を集中させ、油膜厚さを確保し易くすることができる。
請求項4においては、摺動面における油膜の均等化を図ることができる。
請求項5においては、摺動面における油膜の均等化を図ることができる。
請求項6においては、より効果的に油膜を形成し易くすることができる。
本発明の第一実施形態に係る軸受の使用状態を示す断面図。 (a)第一実施形態に係る軸受の展開模式図。(b)第一変形例に係る軸受の展開模式図。 (a)第二変形例に係る軸受の展開模式図。(b)第三変形例に係る軸受の展開模式図。 (a)第四変形例に係る軸受の展開模式図。(b)第五変形例に係る軸受の展開模式図。 (a)第二実施形態に係る軸受の展開模式図。(b)第六変形例に係る軸受の展開模式図。 (a)第三実施形態に係る軸受の展開模式図。(b)第四実施形態に係る軸受の展開模式図。 (a)第五実施形態に係る軸受の展開模式図。(b)第七変形例に係る軸受の展開模式図。 第八変形例に係る軸受の展開模式図。 油たまりの形状の例を示した図。 油たまりの断面形状を示した図。 油たまりの断面形状の例を示した図。
以下では、図中の矢印C、矢印R及び矢印Sで示した方向を、それぞれ後述する軸受100(シャフト2)の軸方向、径方向及び周方向と定義して説明を行う。
まず、図1を用いて、本発明の第一実施形態に係る軸受100が使用されている状態について説明する。
軸受100は、軸部材(本実施形態においては、後述するシャフト2)を滑らかに回転可能に支持するものである。本実施形態に係る軸受100は、自動車が具備する変速装置(例えば、オートマチックトランスミッション(A/T)、無段変速機(CVT)等)に設けられるものとする。軸受100は、前記変速装置のハウジング1に取り付けられると共に、シャフト2を回転可能に支持する。
ハウジング1は、前記変速装置に設けられる種々の軸部材や歯車等を支持する部材である。ハウジング1には、シャフト2を挿通可能な軸受部1aが形成される。軸受部1aは、軸方向に沿ってハウジング1を貫通するように形成される。軸受部1aは、軸方向視において円形断面を有するように形成される。
軸受100は、略円筒状に形成される。軸受100の外周面110がハウジング1の軸受部1aに嵌め込まれることで、当該軸受100はハウジング1に固定される。
シャフト2は、回転することで駆動力を伝達する部材である。シャフト2は、軸受100に挿通されることで、当該軸受100の内周面120によって回転可能に支持される。シャフト2の中心(軸心)には、潤滑油を案内するための油路である軸方向油路2aが形成される。また当該シャフト2には、当該軸方向油路2aからシャフト2の外周面(軸受100の軸方向中央部と対向する部分)まで潤滑油を案内するための油路である径方向油路2bが形成される。
このように構成された軸受100には、シャフト2の油路(軸方向油路2a及び径方向油路2b)を介して潤滑油が供給される。具体的には、前記自動車のエンジンが始動すると、当該エンジンの駆動力や電気モータの駆動力等によってオイルポンプが作動する。当該オイルポンプによって潤滑油が圧送され、軸方向油路2a及び径方向油路2bを介して軸受100へと潤滑油が供給される。
軸受100へと供給された潤滑油によって、当該軸受100の内周面120とシャフト2との間に潤滑油の膜(油膜)が形成される。シャフト2は、当該油膜を介して軸受100に回転可能に支持される。また、軸受100は油膜を介してシャフト2を支持するため、当該軸受100とシャフト2との間での焼き付きの発生を抑制することができる。
次に、図2(a)を用いて、軸受100の詳細な構成について説明する。
軸受100の内周面120には、複数の油たまり121が形成される。
油たまり121は、軸受100の内周面120を凹ませるようにして形成された凹部である。油たまり121は、周方向に細長い略楕円形状に形成される。具体的には、油たまり121は、軸方向の長さ(幅)に対して周方向の長さ(幅)が長くなるように形成される。油たまり121の周方向の幅は、軸方向の幅の2倍以上になるように形成されることが望ましい。
本実施形態において、複数の油たまり121は、軸受100の内周面120のうち、所定の範囲に形成される。以下、当該油たまり121が形成される範囲について具体的に説明する。
図2(a)に示すように、内周面120には、軸方向において大きく2つの領域(油たまり形成領域T1及び平滑領域T2)が設定される。
油たまり形成領域T1は、油たまり121が形成される領域である。油たまり形成領域T1は、内周面120の軸方向中央部に1つ設定される。
当該1つの油たまり形成領域T1には、複数の油たまり121が周方向に並んで形成される。当該油たまり121は、周方向に適宜の間隔をあけて形成される。当該油たまり形成領域T1においては、内周面120の周方向に沿って、一対(2つ)の油たまり121及び1つの油たまり121が交互に形成されている。
なお、図2(a)はあくまで模式図であり、油たまり121の個数は当該図2(a)に示したものに限定しない。また、全ての油たまり121を互い違いに(周方向に位相をずらして)配置してもよい。
平滑領域T2は、内周面120のうち油たまり形成領域T1以外の領域であり、油たまり121が形成されない領域である。平滑領域T2においては、周方向の全域に亘って油たまり121が形成されていない。平滑領域T2は、内周面120の軸方向両端部(一端部及び他端部の2箇所)に設定される。
ここで、油たまり形成領域T1の軸方向幅は、内周面120の軸方向幅の5割以下となるように設定されている。すなわち、油たまり形成領域T1が、内周面120においてあまり大きな割合を占めないように設定されている。特に本実施形態においては、油たまり121が周方向に細長く形成されているため、油たまり形成領域T1の軸方向幅(内周面120において占める割合)を抑え易い。
このように、第一実施形態に係る軸受100においては、内周面120の1箇所に油たまり形成領域T1が設定され、また、内周面120の軸方向幅のうち、当該油たまり形成領域T1が占める割合は5割以下となるように設定されている。
このように構成された軸受100によってシャフト2を支持する場合、油たまり形成領域T1(油たまり121)に潤滑油を保持することができるため、潤滑油が不足し難くなる。特に本実施形態にかかる油たまり121は、周方向に分断されるようにして複数形成されている。このため、当該油たまり121内の潤滑油が、重力によって下方へと流出するのを防止することができ、当該油たまり121における潤滑油の保持力を高めることができる。これによって、エンジンの始動直後など、オイルポンプからの潤滑油が供給されていない状態においても、当該油たまり121に保持された潤滑油によって潤滑を行うことができる。
また、シャフト2が回転する際には、平滑領域T2において、周方向全域に亘って途切れることなく油膜を発生させることができる。これによって、耐焼付き性及び耐摩耗性を確保することができる。特に本実施形態においては、内周面120の軸方向中心を挟んで油たまり形成領域T1及び平滑領域T2が対称に設定されているため、当該軸方向に油膜を略対称(概ね対称)に形成させることができ、安定した耐焼付き性及び耐摩耗性を確保することができる。さらに本実施形態においては、油たまり121を内周面120の軸方向中央に集中して形成することで、内周面120の両端部(平滑領域T2)で油膜を発生させることができ、シャフト2の片当たりに対しても高い耐焼付き性等を発揮することができる。さらにまた、本実施形態のように、シャフト2に形成された油路(径方向油路2b、図1参照)が内周面120の軸方向中央部と対向する場合には、当該径方向油路2bからの潤滑油を油たまり形成領域T1(油たまり121)に案内し易くすることができる。
また、軸方向において、内周面120のうち油たまり形成領域T1が占める割合を5割以下に抑えることで、油膜を形成するための平滑面(平滑領域T2)を広く確保することができる。これによって、耐焼付き性及び耐摩耗性を効果的に確保することができる。
以下では、上述の第一実施形態の変形例(第一変形例から第五変形例まで)について説明する。
まず、図2(b)を用いて、第一変形例に係る軸受100について説明する。図2(b)に示す第一変形例に係る軸受100においては、油たまり形成領域T1が、内周面120の軸方向中途部、より具体的には紙面やや右方に偏った位置に1つ設定されている。また、油たまり形成領域T1には、複数の油たまり121が周方向に1列に並んで形成されている。
このように、油たまり形成領域T1は、必ずしも内周面120の軸方向中央に設定される必要はなく、任意の位置に設定することが可能である。例えば、シャフト2に形成された油路(径方向油路2b、図1参照)に応じた位置に設定することで、潤滑油を油たまり形成領域T1(油たまり121)に案内し易くすることができる。
次に、図3(a)を用いて、第二変形例に係る軸受100について説明する。図3(a)に示す第二変形例に係る軸受100においては、油たまり形成領域T1が、内周面120の軸方向中央部に1つ設定されている。当該油たまり形成領域T1に形成されている油たまり121は、内周面120の軸方向中心(油たまり形成領域T1の軸方向中心)を挟んで非対称な位置に形成されている。このように、油たまり121は、油たまり形成領域T1内において、任意の位置に形成することができる。
次に、図3(b)を用いて、第三変形例に係る軸受100について説明する。図3(b)に示す第三変形例に係る軸受100においては、油たまり形成領域T1が、内周面120の軸方向端部に1つ設定されている。このように、油たまり形成領域T1を、内周面120の軸方向幅の中途部ではなく、端部に設定することも可能である。
次に、図4(a)を用いて、第四変形例に係る軸受100について説明する。図4(a)に示す第四変形例に係る軸受100においては、油たまり形成領域T1が、内周面120の軸方向中央部に1つ設定されている。当該油たまり形成領域T1には、複数の油たまり121が周方向に2列に並んで形成されている。
ここで、本実施形態においては、図4(a)に示すように、油たまり121の間に、油たまり121が形成されていない領域tが多少あったとしても、当該油たまり121が形成された領域を1つの油たまり形成領域T1とみなすものとする。具体的には、領域tの軸方向幅が、内周面120の軸方向幅の4割以下である場合、当該油たまり121が形成された領域を1つの油たまり形成領域T1とみなすことができる。
このように、1つの油たまり形成領域T1において、油たまり121が形成されていない領域が多少あってもよい。
次に、図4(b)を用いて、第五変形例に係る軸受100について説明する。図4(b)に示す第五変形例に係る軸受100においては、油たまり形成領域T1が、内周面120の軸方向中央部に1つ設定されている。当該油たまり形成領域T1には、複数の油たまり121が周方向に3列に並んで形成されている。また中央の列の油たまり121に比べて、紙面左側及び右側の列の油たまり121は細長い(軸方向幅が狭い)形状に形成されている。
このように、複数の油たまり121を全て同じ形状に形成する必要はなく、互いに異なる形状に形成することも可能である。また、1つの油たまり形成領域T1に形成される油たまり121の列の数も、任意に決定することができる。
以上の如く、第一実施形態に係る軸受100は、内周面120(摺動面)に潤滑油を保持する油たまり121(潤滑油保持部)が形成された軸受100であって、前記内周面120は、軸方向における所定の範囲に設定される領域であって、周方向の少なくとも一部に前記油たまり121が形成されている領域である油たまり形成領域T1(第一領域)と、前記油たまり形成領域T1以外の範囲に設定される領域であって、周方向の全域に亘って前記油たまり121が形成されていない領域である平滑領域T2(第二領域)と、を有し、前記内周面120の軸方向幅のうち、前記油たまり形成領域T1が占める割合は6割以下となるように設定されるものである。
このように構成することにより、潤滑油を保持し易く、かつ油膜を形成し易くすることができる。すなわち、油たまり121によって潤滑油を保持しながらも、当該油たまり121が形成される油たまり形成領域T1の範囲を制限することで、油膜を形成するための平滑面(平滑領域T2)を確保することができる。
また、前記油たまり形成領域T1は、
前記内周面120に1箇所設定され、
前記内周面120の軸方向幅のうち、前記油たまり形成領域T1が占める割合は5割以下となるように設定されるものである。
このように構成することにより、潤滑油を保持し易く、かつ油膜を形成し易くすることができる。特に、油たまり121を1箇所の油たまり形成領域T1に集中して配置することで、他の領域(平滑領域T2)を比較的幅広く確保し易くすることができ、ひいては油膜を形成し易くすることができる。
また、前記油たまり121は、軸方向の長さに対して周方向の長さが長い形状に形成されるものである。
このように構成することにより、より効果的に油膜を形成し易くすることができる。すなわち、油たまり121を細長い形状(幅狭形状)にすることで、油たまり形成領域T1を狭め易くすることができ、ひいては平滑面(平滑領域T2)を確保し易くすることができる。
なお、本実施形態に係る内周面120は、本発明に係る摺動面の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る油たまり121は、本発明に係る潤滑油保持部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る油たまり形成領域T1は、本発明に係る第一領域の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る平滑領域T2は、本発明に係る第二領域の実施の一形態である。
以下では、図5(a)を用いて、第二実施形態に係る軸受200について説明する。なお、第一実施形態に係る軸受100と同様に、第二実施形態に係る軸受200は外周面(不図示)及び内周面220を具備し、当該内周面220には複数の油たまり221が形成される。
本実施形態に係る軸受200においては、2つの油たまり形成領域T1が、内周面220の軸方向両端部にそれぞれ設定されている。当該2つの油たまり形成領域T1の軸方向幅は、略同一となるように設定されている。すなわち、当該油たまり形成領域T1は、軸方向に略対称に設定されている。
また、2つの油たまり形成領域T1の軸方向幅の合計値は、内周面120の軸方向幅の6割以下となるように設定されている。
このように油たまり形成領域T1を設定することで、平滑領域T2を内周面220の軸方向中央に広く確保することができる。これによって、内周面220の軸方向中央に油膜を集中させ、油膜厚さを確保し易くすることができ、ひいては安定した耐焼付き性及び耐摩耗性を確保することができる。またこのように安定した耐焼付き性及び耐摩耗性を確保することができるため、内周面120における油たまり形成領域T1の割合(6割以下)を、第一実施形態(5割以下)よりも大きくすることができる。
以下では、図5(b)を用いて、上述の第二実施形態の変形例(第六変形例)について説明する。
第六変形例に係る軸受200においては、第二実施形態(図5(a))と異なり、2つの油たまり形成領域T1が、内周面220の中心を挟んで非対称に設定されている。具体的には、図5(b)に示した例では、紙面左側の油たまり形成領域T1の幅よりも、紙面右側の油たまり形成領域T1の幅の方が大きくなるように設定されている。このように、2つの油たまり形成領域T1は、非対称に設定されていてもよい。
以上の如く、第二実施形態に係る前記油たまり形成領域T1は、
前記内周2120の軸方向の一端部及び他端部の2箇所に設定され、
前記内周面220の軸方向幅のうち、前記油たまり形成領域T1が占める割合は6割以下となるように設定されるものである。
このように構成することにより、内周面220の軸方向中央に油膜を集中させ、油膜厚さを確保し易くすることができる。
以下では、図6(a)を用いて、第三実施形態に係る軸受300について説明する。なお、第一実施形態に係る軸受100と同様に、第三実施形態に係る軸受300は外周面(不図示)及び内周面320を具備し、当該内周面320には複数の油たまり321が形成される。
本実施形態に係る軸受300においては、2つの油たまり形成領域T1が、内周面320の軸方向の中途部(内周面320の軸方向両端部から離れた位置)に設定されている。2つの油たまり形成領域T1は、内周面320の軸方向中心を挟んで互いに対称な位置に設定されている。
また、2つの油たまり形成領域T1の軸方向幅の合計値は、内周面320の軸方向幅の4割以下となるように設定されている。
このように油たまり形成領域T1を設定することで、内周面320の一部(たとえば中央部分)に平滑領域T2を集中させるのではなく、当該内周面320の軸方向に分散して設定することができる。これによって、当該内周面320の軸方向幅における油膜の均等化を図る(できるだけ均等に発生させる)ことができ、ひいては内周面320全域に亘って負荷容量を確保することができる。
以上の如く、第三実施形態に係る前記油たまり形成領域T1は、
前記内周面320の軸方向の両端部以外の2箇所に設定され、
前記内周面320の軸方向幅のうち、前記油たまり形成領域T1が占める割合は4割以下となるように設定されるものである。
このように構成することにより、内周面320における油膜の均等化を図ることができる。
なお、第三実施形態に係る2つの油たまり形成領域T1は、内周面320の軸方向中心を挟んで対称に設定されるものとしたが、非対称に設定することも可能である。
以下では、図6(b)を用いて、第四実施形態に係る軸受400について説明する。なお、第一実施形態に係る軸受100と同様に、第四実施形態に係る軸受400は外周面(不図示)及び内周面420を具備し、当該内周面420には複数の油たまり421が形成される。
本実施形態に係る軸受400においては、3つの油たまり形成領域T1が、内周面420の軸方向の中途部(内周面420の軸方向両端部から離れた位置)に設定されている。3つの油たまり形成領域T1は、内周面420の軸方向中心を挟んで互いに対称な位置に設定されている。
また、3つの油たまり形成領域T1の軸方向幅の合計値は、内周面420の軸方向幅の5割以下となるように設定されている。
このように油たまり形成領域T1を設定することで、内周面420の一部(たとえば中央部分)に平滑領域T2を集中させるのではなく、当該内周面420の軸方向に分散して設定することができる。これによって、当該内周面420の軸方向幅における油膜の均等化を図る(できるだけ均等に発生させる)ことができ、ひいては内周面420全域に亘って負荷容量を確保することができる。
以上の如く、第四実施形態に係る前記油たまり形成領域T1は、
前記内周面420の軸方向の両端部以外の3箇所以上に設定され、
前記内周面420の軸方向幅のうち、前記油たまり形成領域T1が占める割合は5割以下となるように設定されるものである。
このように構成することにより、内周面420における油膜の均等化を図ることができる。
なお、第四実施形態に係る2つの油たまり形成領域T1は、内周面420の軸方向中心を挟んで対称に設定されるものとしたが、非対称に設定することも可能である。
以下では、図7(a)を用いて、第五実施形態に係る軸受500について説明する。なお、第一実施形態に係る軸受100と同様に、第五実施形態に係る軸受500は外周面(不図示)及び内周面520を具備し、当該内周面520には複数の油たまり521が形成される。
本実施形態において、複数の油たまり521は、内周面520において周方向に沿って1列に並ぶように形成されることで、油たまり群Aを形成している。さらに本実施形態においては、内周面520に3つ(3列)の油たまり群Aが形成されている。油たまり群Aは、隣接する列の油たまり群Aに幅同士が重複しないように、軸方向に適宜間隔をおいて形成されている。
油たまり群Aにおいて、周方向に隣接する油たまり521の間隔D(隣接する油たまり221の中心間の距離)は、内周面520の周方向長さ(周長)の3割以上の長さとなるように設定される。すなわち、隣接する油たまり521同士があまり近づきすぎないように形成されている。
また、隣接する油たまり群Aの油たまり521は、周方向に互い違いに形成されている。具体的には、一方の油たまり群Aの油たまり521と、他方の油たまり群Aの油たまり521が、周方向に位相をずらした状態で形成されている。この際、一方の油たまり群Aの油たまり521と、他方の油たまり群Aの油たまり521が、周方向に交互に形成されている。
このように構成された軸受500によってシャフト2を支持する場合、油たまり521に潤滑油を保持することができるため、潤滑油が不足し難くなる。
また、シャフト2の回転に応じて油たまり521から流出した潤滑油は、周方向に隣接する油たまり521との間の平滑面において油膜圧力を発生させ、油膜を形成する。ここで、本実施形態においては、隣接する油たまり521の間隔Dを大きく(内周面520の周長の3割以上)確保しているため、当該油膜圧力を発生させ易い(油膜を形成し易い)。これによって、安定した耐焼付き性及び耐摩耗性を確保することができる。
特に本実施形態では、隣接する油たまり群Aの油たまり521を互い違いに形成することで、当該油たまり521が内周面520の一部分に集中するのを避け、当該内周面520において平滑面を確保し易くすることができる。これによって、耐焼付き性及び耐摩耗性を効果的に確保することができる。
なお、本実施形態では、周方向に隣接する油たまり521の間隔Dとは、隣接する油たまり521の中心間の距離であるものとして説明したが、例えば隣接する油たまり521の向かい合う端部間の距離を間隔Dとすることも可能である。すなわち、隣接する油たまり521の間の平滑面の長さを、内周面520の周方向長さ(周長)の3割以上の長さとなるように設定することも可能である。このように構成することで、平滑面を広く確保し易くなる。
以下では、上述の第五実施形態の変形例(第七変形例及び第八変形例)について説明する。
まず、図7(b)を用いて、第七変形例に係る軸受500について説明する。図7(b)に示す第七変形例においては、第四実施形態に係る軸受400(図6(b)等参照)と同様に、油たまり形成領域T1及び平滑領域T2を設定している。すなわち、油たまり形成領域T1の軸方向幅の合計値は、内周面520の軸方向幅の5割以下となるように設定されている。すなわち、油たまり形成領域T1が、内周面520においてあまり大きな割合を占めないように設定されている。このために、油たまり521は、軸方向幅を適宜狭めて形成されている。
このように油たまり形成領域T1及び平滑領域T2を設定することで、油膜を形成するための平滑面(平滑領域T2)を広く確保することができる。これによって、耐焼付き性及び耐摩耗性を効果的に確保することができる。
次に、図8を用いて、第八変形例に係る軸受500について説明する。図8に示す第八変形例においては、第五実施形態に係る軸受500(図7(a)参照)とは異なり、隣接する油たまり群Aの油たまり521は、周方向に互い違いに形成されておらず、同じ周方向位置に形成されている。このように、油たまり521の周方向における位置は任意に決定することができる。
以上の如く、本実施形態に係る軸受500は、内周面520に潤滑油を保持する油たまり521(潤滑油保持部)が形成された軸受500であって、周方向に沿う列上に前記油たまり521を複数形成することによって油たまり群A(潤滑油保持部群)が形成され、前記油たまり群Aにおいて、周方向に隣接する前記油たまり521は、前記内周面520の周方向長さの3割以上の長さだけ互いに間隔Dをあけて形成されるものである。
このように構成することにより、潤滑油を保持し易く、かつ油膜を形成し易くすることができる。すなわち、油たまり521によって潤滑油を保持しながらも、隣接する油たまり521の間の平滑面を広く確保することで、油膜の形成を促すことができる。
また、前記油たまり群Aは軸方向に複数列形成され、軸方向に隣接する前記油たまり群Aは、互いに間隔をあけて形成されるものである。
このように構成することにより、より効果的に油膜を形成し易くすることができる。すなわち、隣接する油たまり群Aの間に平滑面を確保することで、油膜の形成を促すことができる。
また、前記油たまり521は、軸方向の長さに対して周方向の長さが長い形状に形成されるものである。
このように構成することにより、より効果的に油膜を形成し易くすることができる。すなわち、油たまり521を細長い形状(幅狭形状)にすることで、油たまり群Aの幅を狭め易くすることができ、ひいては隣接する油たまり群Aの間の平滑面を確保し易くすることができる。
また、本実施形態の第七変形例に係る軸受500(図7(b)参照)において、前記内周面520の軸方向幅のうち、前記油たまり群Aが形成される領域(油たまり形成領域T1)の占める割合は6割以下となるように設定されるものである。
このように構成することにより、潤滑油を保持し易く、かつ油膜を形成し易くすることができる。すなわち、油たまり521によって潤滑油を保持しながらも、当該油たまり521が形成される油たまり形成領域T1の範囲を制限することで、油膜を形成するための平滑面(平滑領域T2)を確保することができる。
次に、油たまり121(油たまり221)の形状(内周側から見た形状)について説明する。なお、以下においては第一実施形態に係る油たまり121の形状について説明するが、その他の実施形態に係る油たまり(油たまり221等)についても同様である。
上記第一実施形態においては、油たまり121の形状として、図9(a)に示したような略楕円形状を例示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、油たまり121は、軸方向の長さ(幅)に対して周方向の長さ(幅)が長く形成されていればよい。例えば、油たまり121は、周方向に長く形成されたひし形に形成してもよい(図9(b)参照)。また、当該ひし形の各頂点をR形状に形成してもよい(図9(c)参照)。また、周方向に対向する一対の半円を線分で結んだオーバル状に形成してもよい(図9(d)参照)。また、周方向に長く形成された六角形状に形成してもよい(図9(e)参照)。また、周方向に非対称な形状に形成してもよい(図9(f)参照)。なお、第二実施形態に係る油たまり221についても同様である。
次に、油たまり121(油たまり221)の断面形状(軸方向に垂直な断面における形状)について説明する。なお、以下においては第一実施形態に係る油たまり121の断面形状について説明するが、その他の実施形態に係る油たまり(油たまり221等)についても同様である。
図10に示すように、第一実施形態に係る油たまり121は、先鋭形状の工具(刃具)Eにより軸受100の内周面120を切削する切削加工により形成することが可能である。この場合、油たまり121の形状(内周側から見た形状)は、図9(b)又は図9(C)のような形状(略ひし形)になる。このように切削加工により油たまり121を形成することで、プレス加工等により形成する場合に比べて応力集中が少なく、素材割れの発生を抑制できる。
当該切削加工においては、工具Eを所定の回転軸回りに回転(図10に示す例では、軌跡L1に沿う時計回りに回転)させながら軸受100の内周面120に接触させることで、当該内周面120の表面を削り取る。このため、油たまり121の断面形状(軸方向に垂直な断面における形状)は略円弧状となる。
ここで、第一実施形態に係る油たまり121は周方向に細長い形状(図9等参照)に形成されるものとした。しかし、当該油たまり121を、例えば周方向に細長くない形状(円形状等)に形成する場合には、図10の軌跡L2で示したように、工具Eの回転半径を、軌跡L1よりも小さく設定することになる。この場合、軌跡L2と内周面120(平滑面)との角度βは、軌跡L1と内周面120(平滑面)との角度αよりも大きくなる。
言い換えれば、本実施形態では、油たまり121を周方向に細長い形状とすることで、油たまり121と内周面120(平滑面)との角度αを小さく抑えることができる。このように、当該角度αを小さく抑えることで、くさび効果による油膜圧力の発生を促すことができ、ひいては耐焼付き性及び耐摩耗性を効果的に確保することができる。
なお、図10では油たまり121の断面形状が略円弧状に形成された例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、油たまり121は、断面視において直線的な形状であってもよい(図11(a)参照)。また、油たまり121は、周方向に非対称な形状であってもよい(図11(b)参照)。また、油たまり121は、断面視矩形状に形成してもよい(図11(b)参照)。このような矩形状の油たまり121を形成することで、潤滑油の保持量の増加を図ることができる。
以上、本発明の実施形態及び変形例を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態及び変形例において示した油たまり121(その他の油たまり221等も含む)の形状、個数、大きさ等は一例であり、適宜変更することが可能である。また、複数の油たまり121を、互いに異なる形状、大きさ等に形成してもよい。
また、上記実施形態及び変形例において示した油たまり形成領域T1及び平滑領域T2の個数、範囲等は一例であり、適宜変更することが可能である。
また、上記実施形態及び変形例において示した油たまり群Aの個数、配置等は一例であり、適宜変更することが可能である。
また、上記第五実施形態(図7参照)において、油たまり521が周方向に沿って真っ直ぐ1列に並ぶことによって、油たまり群Aが形成された例を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、油たまり群Aは、複数の油たまり521が1列に並んでいるものであれば、軸線方向に多少(周方向において一部重複する程度であれば)ずれていてもよい。
また、上記実施形態においては、軸受100は自動車が具備する変速装置に設けられるものとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、種々の用途に用いることが可能である。その他の実施形態に係る軸受200等についても同様である。
また、上記実施形態においては、軸受100の内周面120とシャフト2とが摺動する例を説明したが、本発明はこれに限るものではなく、軸受100の外周面110と他の部材とが摺動するものであってもよい。この場合、当該外周面110に、上記実施形態と同様の油たまりを形成することができる。その他の実施形態に係る軸受200等についても同様である。
また、上記実施形態においては、油たまり121(その他の油たまり221等も含む)を切削加工により形成する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、種々の加工方法によって形成することが可能である。
また、上記第五実施形態の第七変形例(図7(b)参照)に示したように、第一実施形態から第四実施形態までの構成と、第五実施形態の構成と、を組み合わせることも可能である。例えば、第一実施形態(例えば図2(a)参照)における油たまり形成領域T1に形成された油たまり121同士の間隔を、第五実施形態のように内周面220の周方向長さ(周長)の3割以上の長さとなるように設定することも可能である。
なお、上記実施形態では、説明の簡略化のため、軸受100の軸方向端部には面取りが施されていないものとして説明を行っている。この場合、軸受100全体の軸方向幅は内周面120の軸方向幅と等しいため、当該軸方向幅を基準として油たまり121の配置等を説明した。
しかし、軸受100の軸方向端部に面取りを施す場合には、軸受100全体の軸方向幅ではなく、内周面120(具体的には、軸受100の内側の面(内側を向いた面)のうち、面取り部分を除く部分)の軸方向幅を基準として油たまり121の配置等が決定される。その他の実施形態に係る軸受200等についても同様である。
1 ハウジング
2 シャフト
100 軸受
120 内周面
121 油たまり

Claims (6)

  1. 摺動面に潤滑油を保持する潤滑油保持部が形成された軸受であって、
    前記摺動面は、
    軸方向における所定の範囲に設定される領域であって、周方向の少なくとも一部に前記潤滑油保持部が形成されている領域である第一領域と、
    前記第一領域以外の範囲に設定される領域であって、周方向の全域に亘って前記潤滑油保持部が形成されていない領域である第二領域と、
    を有し、
    前記摺動面の軸方向幅のうち、前記第一領域が占める割合は6割以下となるように設定される、
    軸受。
  2. 前記第一領域は、
    前記摺動面に1箇所設定され、
    前記摺動面の軸方向幅のうち、前記第一領域が占める割合は5割以下となるように設定される、
    請求項1に記載の軸受。
  3. 前記第一領域は、
    前記摺動面の軸方向の一端部及び他端部の2箇所に設定され、
    前記摺動面の軸方向幅のうち、前記第一領域が占める割合は6割以下となるように設定される、
    請求項1に記載の軸受。
  4. 前記第一領域は、
    前記摺動面の軸方向の両端部以外の2箇所に設定され、
    前記摺動面の軸方向幅のうち、前記第一領域が占める割合は4割以下となるように設定される、
    請求項1に記載の軸受。
  5. 前記第一領域は、
    前記摺動面の軸方向の両端部以外の3箇所以上に設定され、
    前記摺動面の軸方向幅のうち、前記第一領域が占める割合は5割以下となるように設定される、
    請求項1に記載の軸受。
  6. 前記潤滑油保持部は、
    軸方向の長さに対して周方向の長さが長い形状に形成される、
    請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の軸受。
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