(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
まず本実施の形態の半導体圧力センサ(半導体圧力センサ装置10)の構成について図1〜図4を用いて説明する。
図1および図2を参照して、本実施の形態の半導体圧力センサ装置10を構成する検出用圧力センサ1010は、圧力センサの一例であり、半導体基板であるたとえばシリコン基板11の表面(上側の主表面)に規定された圧力センサ領域16(第1領域)に形成されている。
本実施の形態の検出用圧力センサ1010は、図1中に点線で示す固定電極23bと、固定電極23bの上方に配置された空隙としての真空室51と、真空室51の上方に配置された可動電極39とにより容量性を有している。真空室51は、後述する犠牲膜としての導電膜30dが除去されることにより形成されている。なお図1においては、導電膜30dが除去されることにより形成される真空室51の端部を導電膜端部30eとして表記している。
可動電極39は、図1においては概ね矩形状を有しているが、部分的に突起などを有していてもよい。検出用圧力センサ1010においてはこの可動電極39は、検出用アンカー101(第1のアンカー)を含んでおり、この検出用アンカー101により、(平面視において)複数の領域すなわち可動電極単体102に区画されている。ここでは矩形状を有する複数の可動電極単体102が行列状に配置されている。
したがって、検出用アンカー101を挟んで平面視において互いに隣り合う1対の可動電極単体102同士は、同一の検出用アンカー101の領域を共有するように配置されている。つまりここでは、図1の左右方向に関して2列並ぶ可動電極単体102のそれぞれに挟まれた領域に形成された同一の検出用アンカー101によって、可動電極39(可動電極単体102のそれぞれ)が固定電極23bに対して真空室51を介して支持される。
また図1における複数の可動電極単体102は、たとえば図1の左右方向に関する中央部を図の上下方向に延びる検出用アンカー101に対して対称となるように配置されている。
なお図1における可動電極単体102の端部(導電体端部30eにほぼ等しい)は可動電極39の端部と厳密には一致しておらず、可動電極単体102の端部(導電体端部30eにほぼ等しい)は可動電極39の端部に対して部分的に突起するようにはみ出している。しかし少なくとも平面視における中央部の大半の領域においては検出用アンカー101は可動電極39を複数の可動電極単体102に区画しており、検出用アンカー101は可動電極39を複数の可動電極単体102に分割する境界部の目安とみることができる。このため、ここでは可動電極39の端部の外側に突起した場合にはその突起した領域も含め、図1において線状に延びる検出用アンカー101に囲まれる各領域(すなわち線状に延びる検出用アンカー101により区画される各領域)を可動電極単体102(可動電極39が複数の領域に区画されたもの)と定義することとする。
各可動電極単体102の範囲は真空室51の範囲にほぼ等しい。したがって図1においては縦方向3列、横方向2列の合計6つの可動電極単体102が配置されており、それぞれの可動電極単体102は可動電極39に対して突起した領域を有している。
なお図1においては検出用圧力センサ1010およびこれを構成する可動電極単体102などは矩形の平面形状を有しているが、これに限らず、たとえば円形の平面形状を有していてもよい。たとえば可動電極単体102の平面形状が六角形または円形となれば、これが矩形である場合に比べて可動電極39への圧力印加時の最大応力を小さくすることができる。
シリコン基板11の上側の主表面には、後述するp型ウェル領域12が形成されている。またp型ウェル領域12内のシリコン基板11の表面にはフィールド酸化膜19が形成されている。フィールド酸化膜19の最下部にはチャネルストッパ20が形成されている。
圧力センサ領域16において、フィールド酸化膜19の上には第1ゲート酸化膜22が形成されており、その上には、特に可動電極39の真下の領域(の一部)に固定電極23bが形成されている。固定電極23bを覆うように第1ゲート酸化膜22の上には第1固定電極保護膜25b、第2固定電極保護膜27bがこの順に形成されている。第2固定電極保護膜27bの上に(導電膜30dが除去された)真空室51が形成されており、真空室51の端部(図1の導電膜端部30e)にはサイドウォール酸化膜34が形成されている。さらに真空室51の上にはシリコン酸化膜35およびTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate glass)系の酸化膜38がこの順に形成されている。そしてTEOS系の酸化膜38の上には可動電極39が形成されている。
シリコン酸化膜35およびTEOS系の酸化膜38は、可動電極39の下側の表面に接するように形成されており、これらは犠牲膜としての後述する導電膜30dをエッチング除去して空隙としての真空室51を形成するときに可動電極39を保護する膜として機能する。導電膜30dをエッチングするときに用いるTMAH(Tetra Methyl Ammonium Hydroxide)およびXeF2などによる、多結晶シリコン系の導電膜30dと酸化膜系のシリコン酸化膜35およびTEOS系の酸化膜38とのエッチング選択比は5000以上10000以下程度と十分に高い。このためシリコン酸化膜35およびTEOS系の酸化膜38の厚みは10nm以上50nm以下程度に薄くすることができる。
真空室51は、図2の左右方向に関する中央において、部分的に開口されている。つまりこの部分においては真空室51を形成する元となる犠牲膜としての導電膜30dがパターニングにより除去されることで、その真下の表面が露出するように開口されている。この導電膜30dが除去され開口された領域には、真空室51(導電膜30d)を介することなく固定電極23b上に直接シリコン酸化膜35およびTEOS系の酸化膜38がこの順に形成され、TEOS系の酸化膜38を覆うように他の領域よりも厚く可動電極39が形成されている。このように導電膜30dがパターニングにより部分的に開口されて真空室51が開口された領域を少なくとも部分的に含み、その領域を埋めて下方に突起するように(他の領域よりも厚く)可動電極39が形成されることにより、アンカー部分としての検出用アンカー101が形成されている。ゆえにアンカー部分は可動電極39に含まれている。
圧力センサ領域16において真空室51は、可動電極39と平面視において重なる重畳領域のみならず、そこから重畳領域の外側の非重畳領域に向けて引出すように細長く伸びた引出し領域103を有している。可動電極39を覆うように、TEOS系の酸化膜38の上には第1層間絶縁膜40(層間絶縁膜)および第2層間絶縁膜45(層間絶縁膜)が形成されている。ここで圧力センサ領域16の可動電極39との非重畳領域においては、第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45にエッチングホール46(ホール)が形成されている。つまり図1における可動電極39から外側へ可動電極単体102が突起した引出し領域103に、エッチングホール46が形成されている。
エッチングホール46は上記非重畳領域(引出し領域103)において、第2層間絶縁膜45の最上面から、第2層間絶縁膜45および第1層間絶縁膜40を貫通してその真下の真空室51に達するように形成されている。
なおエッチングホール46は真空室51を貫通するため、実質的には真空室51はエッチングホール46によって開口を形成されることになる。しかしここでは真空室51は上記の検出用アンカー101によって開口されることにより複数の可動電極単体102を区画するのであって、真空室51はエッチングホール46によっては複数の可動電極単体102に区画されないものと定義する。
エッチングホール46はその上方から、(後述するゲート電極30a,30b,30cと同一の層である)導電膜30dをエッチングして除去することにより、導電膜30dの形成されていた領域に空隙(真空室51)を形成する。このためエッチングホール46は真空室51に連通している。
第2層間絶縁膜45の表面上には、第1封止膜49と第2封止膜52bとがこの順に積層されている。第1封止膜49はエッチングホール46の内壁面を覆うように第2層間絶縁膜45上に形成され、第2封止膜52bはエッチングホール46内の第1封止膜49を覆いたとえばエッチングホール46内を充填するように第1封止膜49上に形成されている。
これらの第1封止膜49および第2封止膜52bは、エッチングホール46内に形成されることにより、真空室51とエッチングホール46とを連通する箇所を、真空室51の外側から塞ぐ。このように第1封止膜49および第2封止膜52bは、エッチングホール46内における真空室51に対する封止部(つまり真空室51を外気に対して遮断させる封止部)としての役割を有している。
以上のように、圧力センサ領域16においては圧力センサを覆うように第1層間絶縁膜40、第2層間絶縁膜45、第1封止膜49および第2封止膜52bがこの順に積層されている。ただし第1層間絶縁膜40、第2層間絶縁膜45、第1封止膜49および第2封止膜52bは、可動電極39と平面的に重なる大半の領域(中心部)において除去されており、その結果この領域には可動電極39を露出する圧力センサ開口部54(開口部)が形成されている。
図1および図3を参照して、図2とは異なる方向(断面)から圧力センサ(検出用圧力センサ1010)が形成された領域を見た場合、コンタクトホール41bおよび配線43bが形成されていることがわかる。コンタクトホール41bは第1層間絶縁膜40の最上面からその真下の固定電極23bまたは可動電極39に達するように形成された孔部である。配線43bは、コンタクトホール41bの周囲における第1層間絶縁膜40の最上面の上に形成され、かつコンタクトホール41b内の少なくとも一部を埋めるように形成された導電膜からなり、上記固定電極23bまたは可動電極39と電気的に接続するための部材である。
以降、特に図3を参照して、本実施の形態の半導体圧力センサ装置10は、シリコン基板11の表面には上記の検出用圧力センサ1010が形成される圧力センサ領域16のほかに、MOS領域17(第2領域)が規定されている。MOS領域17には、図3の左右方向に関して互いに間隔をあけて3つのトランジスタが形成されており、これらのうち最も左側はpチャネル型のMOSトランジスタ、最も右側はnチャネル型のMOSトランジスタであり、中央はメモリセルトランジスタとしてのEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)である。このようにMOS領域17は、MOS回路としてのメモリセルトランジスタなどが形成された領域である。
MOS領域17におけるシリコン基板11の表面には、たとえばn型ウェル領域13およびp型ウェル領域14が形成されている。n型ウェル領域13にpチャネル型のMOSトランジスタが、p型ウェル領域14にはEPROMおよびnチャネル型のMOSトランジスタが、それぞれ形成されている。pチャネル型のMOSトランジスタ、EPROM、nチャネル型のMOSトランジスタのそれぞれは、シリコン基板11の表面に形成されたフィールド酸化膜15により互いに平面視において分離されている。
pチャネル型のMOSトランジスタは、1対のp型ソース/ドレイン領域36と、第3ゲート酸化膜29bと、ゲート電極30aとを有している。1対のp型ソース/ドレイン領域36の各々は、互いに間隔をあけてシリコン基板11の表面に形成されている。1対のp型ソース/ドレイン領域36に挟まれるシリコン基板11の表面の上には第3ゲート酸化膜29bを挟んでゲート電極30aが形成されている。ゲート電極30aの側壁にはたとえばTEOS膜としてのサイドウォール酸化膜34が形成されている。
nチャネル型のMOSトランジスタは、1対のn型ソース/ドレイン領域37と、第3ゲート酸化膜29aと、ゲート電極30bと、サイドウォール酸化膜34とを有している。これらの構造は上記のpチャネル型のMOSトランジスタと同様である。
EPROMは、1対のn型ソース/ドレイン領域33を有し、その他、第1ゲート酸化膜22と、フローティングゲート電極(第1電極)としての多結晶シリコン膜23aと、第2ゲート酸化膜25aと、第1シリコン窒化膜27aと、ゲート電極30c(第2電極)とが積層された構造を有している。多結晶シリコン膜23aと、ゲート電極30cとを合わせて、EPROM全体のゲート電極と定義する。上記積層された構造の側壁にはサイドウォール酸化膜34が形成されている。このうち多結晶シリコン膜23aは、圧力センサ領域16の固定電極23bと同一の層として(同一材料により)形成されている。
pチャネル型のMOSトランジスタ、EPROM、nチャネル型のMOSトランジスタ、およびこれらを互いに分離するフィールド酸化膜15を覆うように、薄いシリコン酸化膜35とTEOS系の酸化膜38とがこの順に形成されている。
MOS領域17においても圧力センサ領域16と同様に、上記の各素子を覆うように第1層間絶縁膜40、第2層間絶縁膜45、第3層間絶縁膜49bおよびパッシベーション膜52aがこの順に積層されている。なお第3層間絶縁膜49bは圧力センサ領域16の第1封止膜49と同一の層であり、パッシベーション膜52a(保護膜)は圧力センサ領域16の(層間絶縁膜40,45上に形成される)第2封止膜52bと同一の層である。また第1層間絶縁膜40の最上面からその真下のn型ソース/ドレイン領域33,37、p型ソース/ドレイン領域36に達するようにコンタクトホール41aが形成されており、コンタクトホール41a内の少なくとも一部を埋める導電膜により配線43aが形成されている。配線43aは第1層間絶縁膜40の最上面の一部の領域に形成されている。この第1層間絶縁膜40の最上面の一部の領域における配線43aの一部は、その真上の第2層間絶縁膜45、第3層間絶縁膜49bおよびパッシベーション膜52aが開口されたパッド開口部61により露出されている。
図4を参照して、図1においてはエッチングホール46は各引出し領域103ごとに1つずつ形成されているが、エッチングホール46が各引出し領域103ごとに2つずつ並ぶように形成されてもよい。
また可動電極単体102の引出し領域103の付根部である可動電極引出し付根部106においては、本来ほぼ直交するように屈曲する部分がいわゆるC面形状(図4の縦方向および横方向のそれぞれに対して約45°の方向に延びる形状)である応力緩和面取り109を形成する態様となっていてもよい。
本実施の形態のように引出し領域103の先端部にエッチングホール46が形成されれば、可動電極39に圧力が印加されたときには、可動電極引出し付根部106の検出用アンカーエッジ部分(可動電極引出し付根部106に接する検出用アンカー101の部分)に最大応力が加わる。上記のように応力緩和面取り109を設けることにより、当該応力を緩和することができるため、可動電極39の破損を起こさないために加えることが可能な圧力の最大値が向上する。
ここで圧力センサの駆動原理について簡単に説明する。圧力センサにおいては、可動電極39に外部から加わる圧力により、可動電極39の表面側を圧力センサ開口部54を介して外部空間に開放させる。これにより可動電極39がその厚み方向(上下方向)に変位することで、固定電極23bと可動電極39との間隔が変化する。この間隔の変化を固定電極23bと可動電極39とにより構成される容量値の変化量として検出することにより、加わった圧力の大きさが測定される。また、可動電極39の真下に位置する真空室51の圧力を基準圧力とすることにより、この半導体圧力センサ装置10を絶対圧センサとして機能させることができる。
次に、図5〜図30および図2〜図3を用いて、以上に述べた本実施の形態の検出用圧力センサ1010とMOS回路とを有する半導体圧力センサ(半導体圧力センサ装置10)の製造方法について説明する。
図5および図6を参照して、まずシリコン基板11の表面に、検出用圧力センサ1010が形成される圧力センサ領域16と、メモリセルトランジスタなどのMOS回路が形成されるMOS領域17とが規定される。つまりシリコン基板11の表面のうちどの領域に検出用圧力センサ1010が形成され、どの領域にMOS回路が形成されるかが明確に区別(決定)される。当該区別のためにたとえばシリコン基板11にマーキングがなされてもよい。圧力センサ領域16にはp型ウェル領域12が、MOS領域17にはn型ウェル領域13およびp型ウェル領域14が形成される。
具体的には、たとえばp型のシリコン基板を用意し、そのシリコン基板を覆うように、シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜が順番に形成される。次に、圧力センサ領域16のうち検出用圧力センサ1010が形成される領域、およびMOS領域17のうちnチャネル型のトランジスタが形成される領域に位置するシリコン窒化膜を除去するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。
そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとしてエッチング処理を施すことにより、シリコン窒化膜が除去される。次に、エッチングマスクとして用いられたレジストマスクを注入マスクとして用い、p型ウェル領域12,14を形成するためのp型の不純物(たとえばボロン)が注入される。その後、レジストマスクが除去される。
次に、熱酸化処理を施すことによって、シリコン窒化膜が除去された部分にシリコン酸化膜が形成される。これにより、p型ウェル領域12,14の表面に比較的厚いシリコン酸化膜が形成され、続いて、シリコン窒化膜が除去される。次に、比較的厚いシリコン酸化膜を注入マスクとして、n型ウェル領域13を形成するためのn型の不純物(たとえばリン)が注入される。
その後、所定の条件のもとでアニール処理を施すことによって、注入されたp型の不純物とn型の不純物とが活性化されて拡散する。その後、シリコン基板の表面に残されたシリコン酸化膜が除去される。こうして、図5に示すように、圧力センサ領域16では、p型ウェル領域12が形成される。MOS領域17では、n型ウェル領域13とp型ウェル領域14とが形成される。なお上記においては圧力センサ領域16にp型ウェル領域12が形成されるが、圧力センサ領域16にはn型ウェル領域が形成されてもよい。
図7および図8を参照して、次に、たとえば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法を使用して、フィールド酸化膜15,19が形成される工程へと進む。まず、シリコン基板の表面に、下敷酸化膜、多結晶シリコン膜およびシリコン窒化膜(いずれも図示せず)が順番に形成される。次に、所定の写真製版処理を施すことにより、フィールド酸化膜を形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、レジストマスクをエッチングマスクとしてエッチング処理を施すことにより、フィールド酸化膜が形成されるべき部分においてシリコン窒化膜が除去される。続いて、再び写真製版処理を施すことにより、チャネルストッパを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。次に、そのレジストマスクを注入マスクとして、チャネルストッパとなる部分にp型の不純物(たとえばボロン)が注入される。その後、レジストマスクが除去される。
次に、所定の条件のもとで酸化処理を施すことにより、シリコン窒化膜が除去された部分が局所的に酸化されて、フィールド酸化膜15、19が形成される。このとき、注入されたp型の不純物が活性化されてチャネルストッパ20が形成される。その後、残された下敷酸化膜、多結晶シリコン膜およびシリコン窒化膜が除去される。
こうして、図7および図8に示すように、圧力センサ領域16ではフィールド酸化膜19が形成され、MOS領域17ではフィールド酸化膜15、19が形成される。フィールド酸化膜15、19の膜厚は、0.2〜1.0μm程度である。p型ウェル領域12、n型ウェル領域13およびp型ウェル領域14の表面には下敷酸化膜21が位置している。フィールド酸化膜15、19によって規定された領域内に形成されるMOSトランジスタ等の半導体素子が、フィールド酸化膜15、19とその直下に形成されたチャネルストッパ20とによって電気的に絶縁されることになる。
次に図9および図10を参照して、圧力センサ領域16およびMOS領域17に第1導電膜を形成し、当該第1導電膜をパターニングすることにより、第1導電膜パターンを形成する工程へと進む。ここでは圧力センサ領域16における固定電極23bと、MOS領域17におけるEPROMのフローティングゲート電極となる多結晶シリコン膜23aとが、同じ材料によって同一の層として形成される。
具体的には、まず下敷酸化膜などが除去されたシリコン基板11に熱酸化処理を施すことにより、MOS領域17では、露出したシリコン基板11の表面に第1ゲート酸化膜22(膜厚5〜30nm程度)が形成される。これはMOS領域17に形成されるEPROMのゲート酸化膜として機能するものである。これと同時に圧力センサ領域16には、フィールド酸化膜19の表面上に第1ゲート酸化膜22と同一の層としての酸化膜が形成される。
次に、第1ゲート酸化膜22を覆うように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、多結晶シリコン膜(第1導電膜)が形成される。この際に、その多結晶シリコン膜の形成中、または、多結晶シリコン膜の形成直後に、周知の方法によってリンを導入することにより、n型の多結晶シリコン膜として導電性が得られるようにする。次に、写真製版処理を施すことにより、固定電極とフローティングゲートとをパターニングするためのレジストマスクが形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、所定のエッチング処理を施すことにより、圧力センサ領域16では、パターニングされた多結晶シリコン膜からなる固定電極23bが形成される。また、一方のMOS領域17では、EPROMのフローティングゲート電極(第1電極)となる(第1導電膜パターンとしての)多結晶シリコン膜23aのパターン(膜厚50〜300nm程度)が形成される。その後、レジストマスクは除去される。
次に、たとえば、熱酸化法により、MOS領域17では、多結晶シリコン膜23aを覆うように第2ゲート酸化膜25a(膜厚5〜30nm程度)が形成されると同時に、圧力センサ領域16では、固定電極23bを覆うように、第2ゲート酸化膜となる膜と同じ膜からなる第1固定電極保護膜25bが形成される。次に、CVD法により、MOS領域17では、第2ゲート酸化膜25aを覆うように第1シリコン窒化膜27a(膜厚5〜30nm程度)が形成されると同時に、圧力センサ領域16では、第1シリコン窒化膜となる膜と同じ膜からなる第2固定電極保護膜27bが形成される。第1固定電極保護膜25bおよび第2固定電極保護膜27bは、後述する犠牲膜をエッチング処理によって除去する際の固定電極の保護膜となる。
次に、pチャネル型のMOSトランジスタが形成されるn型ウェル領域13を露出し、他の領域を覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクを注入マスクとして、pチャネル型のMOSトランジスタのしきい値電圧を制御するための所定の不純物(たとえばリンなど)が注入される。その後レジストマスクが除去される。また、nチャネル型のMOSトランジスタが形成されるp型ウェル領域14を露出し、他の領域を覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクを注入マスクとして、nチャネル型のMOSトランジスタのしきい値電圧を制御するための所定の不純物(たとえばボロン)が注入される。その後、レジストマスクが除去される。
図11および図12を参照して、次に、MOS領域17のn型ウェル領域13においてpチャネル型のMOSトランジスタが形成される領域と、p型ウェル領域14において、nチャネル型のMOSトランジスタが形成される領域とを露出し、他の領域を覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、エッチング処理を施すことにより、第1ゲート酸化膜22aの部分、第2ゲート酸化膜25aの部分および第1シリコン窒化膜27aの部分が除去されて、シリコン基板11の表面が露出する。その後、レジストマスクは除去される。
次に、熱酸化処理を施すことにより、図12に示すように、n型ウェル領域13においてpチャネル型のMOSトランジスタが形成される領域の表面に第3ゲート酸化膜29b(膜厚5〜30nm程度)が形成され、p型ウェル領域14において、nチャネル型のMOSトランジスタが形成される領域の表面に第3ゲート酸化膜29a(膜厚5〜30nm程度)が形成される。
図13および図14を参照して、圧力センサ領域16およびMOS領域17に第2導電膜としての導電膜30が形成される。この導電膜30は、圧力センサ領域16において後に除去される犠牲膜として形成される導電膜30dと、MOS領域17においてpチャネル型とnチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極30a、30bとなる導電膜30と、EPROMのゲート電極30cとになるべきものである。したがってこれらは同じ材料によって同一の層として形成される。
具体的には、まず、第1シリコン窒化膜27a、第2固定電極保護膜27bおよび第3ゲート酸化膜29a、29bを覆うように、所定の導電膜30が形成される。この導電膜30は、多結晶シリコン膜(膜厚50〜300nm程度)とタングステンシリサイド(WSi2)膜(膜厚50〜300nm程度)との2層構造の積層膜、いわゆるポリサイド膜として構成される。多結晶シリコン膜は、CVD法によって形成され、その形成中、または、形成直後に、リンを導入することによってn型の多結晶シリコン膜とされる。タングステンシリサイド膜は、スパッタ法、または、CVD法によって、多結晶シリコン膜を覆うように形成される。
次に、EPROMのゲート電極をパターニングするためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、エッチング処理を施すことによりEPROMのゲート電極がパターニングされる。図14に示すように、MOS領域17におけるEPROM(メモリセルトランジスタ)形成領域では、導電膜30、第1シリコン窒化膜27a、第2ゲート酸化膜25a、多結晶シリコン膜23のパターンおよび第1ゲート酸化膜22にエッチング処理が施される。このように導電膜30がパターニングされる結果、フローティングゲート電極23a(第1電極)およびその上方に配置されるゲート電極30c(第2電極)が形成される。これにより、ゲート電極30cを含む、EPROMのゲート電極が形成される。
図15および図16を参照して、まずMOS領域17においては、上記のEPROMのゲート電極をパターニングするためのパターニングのためのレジストマスクが除去された後、EPROMのゲート電極を注入マスクとしてn型の不純物(たとえばヒ素)を注入することにより、n型ソース/ドレイン領域33が形成される。n型ソース/ドレイン領域33は、図16に示されるEPROMに対応する。
次に、pチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極、nチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極および犠牲膜をパターニングするためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして導電膜30にエッチング処理が施される。このように導電膜30がパターニングされる結果、図16に示すように、MOS領域17では、nチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極30bと、pチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極30aとが形成される。また図15および図16に示すように、圧力センサ領域16では、犠牲膜としての導電膜30dが形成される。後述するように、この導電膜30dを除去して空隙を形成することによって、真空室が形成されることになる。
レジストマスクが除去された後、所定の条件のもとで熱処理を施すことにより、第1ソース・ドレイン領域33が活性化され、薄い酸化膜32が形成される。
このように、導電膜30dが、ゲート電極30a、30b、30cとなる導電膜30を形成する工程と、その導電膜30にエッチング処理を施すことによってゲート電極30a、30b、30cを形成する工程とにおいて同時に、第2導電膜パターンとして形成される。
なお導電膜30をパターニングして第2導電膜パターンを形成する工程においては、導電膜30dはこれが除去されその真下の表面が露出するように開口された部分を形成するように、つまり図15および図16の左右方向に関して複数のパターンに分割されるように形成される。たとえば図15の左右方向の中央部に上記導電膜30dの開口された部分が形成されている。このように犠牲膜のパターンは、あらかじめ開口された部分を有するように形成される。
図17および図18を参照して、次に、nチャネル型MOSトランジスタが位置する部分のみを露出し、他の領域を覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクおよびゲート電極30bを注入マスクとして、n型の不純物(たとえばリン)を注入することにより、LDD(Lightly Doped Drain)領域が形成される。その後、レジストマスクが除去される。次に、ゲート電極30a、30b、30c、導電膜30dを覆うように、たとえばTEOS膜(図示せず)が形成される。そして、そのTEOS膜の全面に異方性のドライエッチング処理を施すことにより、ゲート電極30a、30b、30cおよび導電膜30dのそれぞれの側壁面にサイドウォール酸化膜34が形成される。特に、導電膜30dの側壁面にもサイドウォール酸化膜34が形成されることによって、導電膜30d周辺の段差が軽減されることになる。また特に導電膜30dの側部に形成されるサイドウォール酸化膜34により、後工程で形成される可動電極39の支持部分のエッジ形状が丸められるため、可動電極39に圧力が印加され撓んだ際に可動電極39のエッジ部分への応力集中を緩和させることができ、その信頼性が向上する。
次に、p型ウェル領域14において、nチャネル型のMOSトランジスタが配置されている部分を露出し、他の領域を覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクおよびゲート電極30bを注入マスクとして、n型の不純物(たとえばリンなど)を注入することにより、n型ソース/ドレイン領域37が形成される。その後、そのレジストマスクが除去される。次に、n型ウェル領域13においてpチャネル型のMOSトランジスタが形成される領域を露出し、他の領域を覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクおよびゲート電極30aを注入マスクとして、p型の不純物(たとえば二フッ化ボロン)を注入することにより、p型ソース/ドレイン領域36が形成される。
次に、そのレジストマスクが除去された後、所定の条件のもとでアニール処理を施すことにより、n型ソース/ドレイン領域37およびp型ソース/ドレイン領域36が活性化される。このアニール処理の際に熱酸化処理が併せてなされることにより、ゲート電極30a、30b、30c、導電膜30dを覆うように薄いシリコン酸化膜35が形成される。この薄いシリコン酸化膜35は、上記の第3ゲート酸化膜29bおよび薄い酸化膜32と一体となるように形成されるため、図17および図18においては第3ゲート酸化膜29bおよび薄い酸化膜32が消失している。
図19および図20を参照して、次に、シリコン酸化膜35を覆うようにTEOS系の酸化膜38が形成される。続いて、そのTEOS系の酸化膜38を覆うように、圧力センサ領域16において、可動電極となるべき導電性の多結晶シリコン膜が形成される。次に、写真製版処理を施すことにより、導電膜30dの一部を覆い、他の領域を露出するレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、エッチング処理を施すことにより、露出している多結晶シリコン膜が除去され、導電膜30dを覆う可動電極39が形成される。その後、レジストマスクが除去される。このとき、導電膜30d周辺の段差がサイドウォール酸化膜34によって軽減されていることで、クラックまたはカバレッジの不足によるシールド膜39の断線が防止されて、シールド膜39の膜厚設定の範囲を広げることができる。
また、圧力センサ領域16では、第1固定電極保護膜25b、第2固定電極保護膜27bおよび導電膜30dは、それぞれMOS領域17における第2ゲート酸化膜25a、第1シリコン窒化膜27aおよびゲート電極30a、30b、30cを形成する工程と同時に形成される。さらに、熱処理条件もMOS領域17に形成されるMOSトランジスタ等の条件が適用される。このため、圧力センサとしては、大幅な変更には制約があるものの、MOS領域に形成されるMOSトランジスタ等の半導体素子の仕様に合わせた変更が可能である。
また、シールド膜39および酸化膜38のそれぞれの膜厚を調整することによって、可動電極39の初期の容量値(可動電極の反り量)に対する感度特性を制御することができる。特に、可動電極39は検出用圧力センサ1010において最も重要な構成要素であるダイヤフラムとなるため、可動電極39の形成工程はたとえばMOS領域17の一部の領域と同一の層として成膜することなく、可動電極39のみを形成する工程として独立している。これにより、可動電極39を形成するための処理条件の制御が容易となり、形成される圧力センサの感度などの特性を精密に制御することができる(感度を高めることができる)。
具体的には、たとえば可動電極39の厚みは50〜1500nm程度であるが、この厚みについてもMOS領域17に形成される他の薄膜の厚みに拘束されることなく自由に設定することができる。
ところで可動電極39を形成するための多結晶シリコン膜の形成時には、導電膜30dが開口された部分(図15の中央部など)を上方から埋めるように成膜される。これにより導電膜30dが開口された部分においても可動電極39と同一の多結晶シリコン膜が可動電極39に対して図の下方に突出するように形成される。このように多結晶シリコン膜が下方に突出した部分は、アンカー部分すなわち検出用アンカー101として形成される。検出用アンカー101は可動電極39と一体として形成されるため、検出用アンカー101は(これがたとえばその真下のTEOS系の酸化膜38に固定されれば)可動電極39を下方から支持することができる。導電膜30dが開口された部分を埋めるように形成された領域を少なくともその一部に含むように、検出用アンカー101が形成される。
図21および図22を参照して、次にTEOS系の酸化膜38および可動電極39を覆うように、第1層間絶縁膜40(層間絶縁膜)が形成される。第1層間絶縁膜40は、たとえばTEOS膜、BPSG(Boro Phospho Silicate Glass)膜およびTEOS膜の積層構造とされる。なお第1層間絶縁膜としては、これらの膜に限られず、他の酸化膜を適用してもよい。このように第1層間絶縁膜40を複数の異なる絶縁膜を積層するように形成することにより、TEOS系の酸化膜38と第1層間絶縁膜40のTEOS膜との親和性が良好になる。このため圧力センサ領域16とMOS領域17との第1層間絶縁膜40を同時に形成することが可能となるため、圧力センサ領域16の形成プロセスとMOS領域17の形成プロセスとの親和性が高くなり、プロセスが容易になる。
また、第1層間絶縁膜40に平坦化処理として、BPSG膜にエッチバック処理を施してもよい。また、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を施してもよい。
次に、写真製版処理を施すことにより、コンタクトホールを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、MOS領域17に形成される半導体素子の仕様に合わせた条件のもとでエッチング処理が施される。これにより、MOS領域17では、第1層間絶縁膜40等を貫通してn型ソース/ドレイン領域33、n型ソース/ドレイン領域37、p型ソース/ドレイン領域36のそれぞれの一部を露出するコンタクトホール41aが形成される。一方、圧力センサ領域16では、固定電極23bおよび可動電極39の一部を露出するコンタクトホール41bが形成される。その後、レジストマスクが除去される。
この場合のエッチング処理については、ウェットエッチングとドライエッチングを組み合わせたエッチング処理を施すことによって、コンタクトホール41a、41bを形成するようにしてもよい。この場合、コンタクトホール41a、41bは、図22に示されるような開口部の上部において広がりを有するコンタクトホールとなる。また、ドライエッチングのみによるエッチング処理によってコンタクトホール41a、41bを形成するようにしてもよい。
図23および図24を参照して、次に配線と、その上部を覆う第2層間絶縁膜が形成される工程へと進む。まず、金属膜を用いた配線が形成される。第1層間絶縁膜40を覆うように、バリアメタル膜とアルミニウムシリコン銅(AlSiCu)膜(いずれも図示せず)が形成される。バリアメタル膜として、たとえば、チタンナイトライド(TiN)膜が適用される。次に、そのアルミニウムシリコン銅膜等をパターニングすることにより、MOS領域17ではEPROMなどのトランジスタに接続されたものを含む配線43a(トランジスタ配線部)が形成され、圧力センサ領域16では可動電極39に接続されたものを含む配線43b(可動電極配線部)が形成される。より具体的には、アルミニウムシリコン銅膜上にレジストマスクを形成し、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、アルミニウムシリコン銅膜およびバリアメタル膜にエッチング処理を施し、その後、レジストマスクを除去することによって、配線43aと配線43bが形成される。配線43aは、n型ソース/ドレイン領域33、n型ソース/ドレイン領域37およびp型ソース/ドレイン領域36のそれぞれと電気的に接続される。配線43bは、可動電極39に電気的に接続される。
なお配線としては、コンタクトホール41a、41bにタングステンプラグを形成し、その後、バリアメタルおよびアルミニウム銅(AlCu)膜を形成してパターニングするようにしてもよい。このような構成の場合において適したバリアメタルとして、チタンシリサイド(TiSi2)またはコバルトシリサイド(CoSi2)膜等がある。
次に、配線43aおよび配線43bを覆うように、第2層間絶縁膜45(層間絶縁膜)が形成される。第2層間絶縁膜45は、MOS領域17に形成される半導体素子の仕様に合わせた条件のもとで形成される。第2層間絶縁膜45としては、たとえばプラズマCVD法により形成された、P−TEOS(Plasma CVD- Tetra Ethyl Ortho Silicate glass)膜等が適している。なお平坦化のために、SOG(Spin on Glass)膜を含むP−TEOS/SOG/P−TEOSの3層の積層構造を採用してもよい。また、第1層間絶縁膜の場合と同様にCMP処理を施してもよい。
図25および図26を参照して、次に、写真製版処理を施すことにより、エッチングホールを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、圧力センサ領域16の第1および第2層間絶縁膜(層間絶縁膜)の部分に、犠牲膜である導電膜30dに達するようにエッチング処理が施される。これにより、圧力センサ領域16では、可動電極39の外側に、犠牲膜をエッチングするためのエッチングホール46(ホール)が形成される。その後、レジストマスクが除去される。
次に、エッチングホール46を介してウェットエッチング処理を施すことにより、多結晶シリコン膜とタングステンシリサイド(WSi2)膜との2層構造である犠牲膜としての導電膜30dが除去される。これにより、導電膜30dが形成されていた領域すなわち可動電極39と固定電極23bとに挟まれる領域には空隙50が形成される。このエッチング処理には、たとえばウェットエッチングのTMAHが用いられる。またエッチングホール46は空隙50に連通することになる。
また、薬液(TMAH)によるエッチング処理では、第2層間絶縁膜45および第1層間絶縁膜40を形成している酸化膜のエッチングレートに対して、犠牲膜30dを形成する多結晶シリコン膜とタングステンシリサイド(WSi2)膜との積層膜のエッチングレートは5000〜10000倍程度(エッチング選択比5000〜10000程度)である。このため、MOS領域に形成される半導体素子の仕様に合わせた条件のもとで形成された第2層間絶縁膜45および第1層間絶縁膜40によって、MOS領域17に形成される素子および圧力センサ領域16を保護することが可能である。
上記のように、エッチングホール46を形成して導電膜30dを除去し空隙50を形成する工程は、配線43a,43bを形成する工程の後になされている。なお、導電膜30dを除去する処理としては、ウェットエッチング処理の他に、二フッ化キセノン(XeF2)等を用いたドライエッチング処理を施してもよい。
また上記のように、可動電極39の上に第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45が形成された後に導電膜30dをエッチングすることにより、エッチングホール46の形成時に可動電極39は第1層間絶縁膜40などによる厚い保護を受けることができる。つまり可動電極39がエッチングホール46の形成時および導電膜30dの除去時には厚い第1層間絶縁膜40などに保護された状態であるため、可動電極39がエッチングされるなどの不具合が抑制できる。またこの保護膜としての層間絶縁膜40,45はMOS領域17の層間絶縁膜40,45と同一の層として同時に形成されるため、圧力センサ領域16の形成工程にMOS標準プロセスが積極的に適用されて、製造工程の増加を抑えて、生産コストの削減に寄与することができる。
図27および図28を参照して、次に、導電膜30dを除去することによって形成された空隙50を真空室とする処理が施される。まず、たとえば、第2層間絶縁膜45を形成するときと同様のプラズマCVD法を用いて、P−TEOS膜が圧力センサ領域16およびMOS領域17の全面に成膜される。これにより、エッチングホール46の少なくとも一部(たとえば内壁面)を塞ぐ第1封止膜49と第3層間絶縁膜49bとが形成される。ここで圧力センサ領域16の第1封止膜49と、MOS領域17の第3層間絶縁膜49bとは同一材料による同一の層である。このときのプラズマCVD法により第1封止膜49および第3層間絶縁膜49bの成膜は、減圧(たとえば1.3×102Pa以上1.3×104Pa以下)された状況下でなされる。したがって空隙50は上記のように減圧された真空室51となるとともに、真空室51はエッチングホール46内の第1封止膜49により外部に対して封止された空間となる。
図29および図30を参照して、次に、開口部が形成される部分を露出するレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、ドライエッチング処理またはドライエッチング処理とウェットエッチング処理とを組み合わせたエッチング処理が施される。
これにより、圧力センサ領域16において圧力センサ開口部が形成される領域に位置する第1封止膜49、第2層間絶縁膜45および第1層間絶縁膜40の部分が除去される。圧力センサ領域16においてこれらが除去されるのは、可動電極39の真上の領域の少なくとも一部であり、これにより圧力センサ領域16においては圧力センサ開口部54(開口部)が形成され、可動電極39が露出した状態となる。
またMOS領域17においてパッド開口部が形成される領域に位置する第1封止膜49および第2層間絶縁膜45の部分が除去される。これにより、当該領域においては配線43aが露出した状態となったパッド開口部61が形成される。
図2および図3を再度参照して、その後、プラズマCVD法によって、MOS領域17に形成される半導体素子の仕様に合わせた条件(比較的低い温度条件等)のもとで、第1封止膜49および第3層間絶縁膜49bを覆うように、パッシベーション膜となる膜厚0.5〜1.0μm程度のシリコン窒化膜(図示せず)が形成される。
次に、圧力センサ領域16においては圧力センサ開口部54が形成される部分を露出し
、またMOS領域17においてはパッド開口部61が形成される部分を露出するレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとしてドライエッチング処理を施すことによって、圧力センサ開口部54およびパッド開口部61が形成される領域に位置するシリコン窒化膜の部分が除去される。これにより、MOS領域17では保護膜としてのパッシベーション膜52aが形成され、圧力センサ領域16ではエッチングホール46をさらに塞ぐ第2封止膜52bが形成される。パッシベーション膜52aおよび第2封止膜52bは同一材料による同一の層である。このように保護膜と同一の層として第2封止膜が形成されるため、これらが別工程で形成される場合に比べて工程数を削減することができる。
以上により、真空室51が、第1封止膜49と第2封止膜52bとによって二重に封止されている。つまりエッチングホール46内に充填される封止部は、材質の異なる複数の薄膜(第1封止膜49および第2封止膜52b)が積層されることにより形成されている。これにより、信頼性の高い真空封止が可能になる。
以上のように、特に図29および図2を参照して、本実施の形態の製造方法によれば、検出用アンカー101が、可動電極39を複数の可動電極単体102に区画することにより、区画された複数の可動電極単体102のうち互いに隣り合う1対の可動電極単体102が同一の検出用アンカー101を共有するように形成される。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態においては、検出用アンカー101により複数に区画された可動電極単体102のうち、たとえば図1の平面図における左右方向または上下方向に関して互いに隣り合う1対の可動電極単体102同士が同一の検出用アンカー101を共有するように形成される。このため、たとえば個々の可動電極単体102ごとに別個の検出用アンカー101が配置される場合に比べて、検出用アンカー101が占めるべき面積の効率を高めることができる。したがって、検出用アンカー101が占める平面積を小さくすることができる。これにより、圧力センサ全体の平面積を小さくすることができる。また検出用アンカー101の面積が小さくなる分だけ、当該検出用アンカー101に含まれる寄生容量に起因するセンサ容量の増加を抑制することができる。
また本実施の形態においては、上記検出用アンカー101は、あらかじめ犠牲膜(導電膜30d)が(少なくとも部分的に)除去されることで開口された部分が写真製版技術およびエッチングにより寸法精度高く形成され、その部分を埋めるように形成されている。その結果、検出用アンカー101は、あらかじめ真空室51が開口された部分を埋めるように形成された構成を有している。
このため検出用アンカー101は、たとえばこれを形成するための溝の形成時のエッチング時間により面積が変化するなどの不具合なく、必要最小限の幅および面積を有するように高い寸法精度で形成することができる。その結果、当該検出用アンカー101を含む圧力センサ全体の面積も必要最小限にすることができる。またこのように予めパターニングされた導電膜30dのエッチングにより真空室51が形成されるため、導電膜30dのエッチング時間に応じて真空室51の面積が変化するなどの不具合なく、寸法精度の高い真空室51を形成することができる。
本実施の形態においては、平面視において検出用アンカー101で囲まれた領域の導電膜30d(犠牲膜)を完全に除去して空隙50を形成することにより形成される真空室51の範囲として、可動電極単体102の範囲が決定されている。このため、可動電極単体102の空隙50(真空室51)の平面積を高精度に制御することができる。
次に、複数の可動電極単体102は平面視において検出用アンカー101に対して対称となるように配置されるため、検出用アンカー101は各可動電極39をバランスよく支持することができる。
次に、本実施の形態においては、エッチングホール46が可動電極39の外側の非重畳領域に形成されている。たとえば可動電極に貫通孔が形成され、それを覆うように形成された粘性流動可能な膜がエッチングされることにより当該貫通孔に達するエッチングホールが形成され、さらにエッチングホールを塞ぐ封止膜が形成される場合は、可動電極の上にそれとは異なる材質からなる厚い膜が積層される。この場合、可動電極のたわみが大きくなり、可動電極の温度特性が複雑になる。このため、可動電極と固定電極との間の容量値変化として圧力センサの圧力変化を検出するときの温度補償を行なう回路も複雑になり、圧力センサ全体の平面積が大きくなる可能性がある。
しかし本実施の形態においては、可動電極39の上にはエッチングホールおよびそれを塞ぐ封止膜が形成されない。この場合、可動電極単体102に対してたとえば平面視における最大寸法(円形であれば直径)が1μm程度のエッチングホール46が1つ形成されるだけでもその下の導電膜30dをエッチングすることができ、形成された空隙50を可動電極39の上に積層されない封止部により最適な膜厚で封止することでエッチングホール46を充填すればよい。このことから、エッチングホール46を塞ぎ真空室51を封止する第1封止膜49および第2封止膜52bの厚みを自由に設定することができ、より信頼性の高い封止部を形成することができる。
また可動電極39の上にはエッチングホール46が形成されず何も乗らないため、可動電極39の応力特性等の制御が容易になる。さらに可動電極39の上にはエッチングホール46が形成されず何も乗らないため可動電極39を平坦な形状にすることができ、可動電極39の応力特性、温度特性の制御が容易になるとともに、可動電極39の製造工程をより単純化できる。
ただし本件においても、最終製品においては可動電極39上には圧力センサ開口部54が形成されるため何も乗らないものの、少なくとも導電膜30dが除去されるまでの間は可動電極39が厚い層間絶縁膜40,45で覆われる。このため上記のように、この可動電極39上の層間絶縁膜40,45を導電膜30d除去時の保護膜として利用することができる。
またエッチングホール46は固定電極23bに対してもその外側に形成されている。このためエッチングホール46は固定電極23bの表面の凹凸の影響を受けずに平坦な形状に形成される。このことから可動電極39もエッチングホール46による表面の凹凸の影響を受けずに平坦な形状に形成することができる。
また本実施の形態においては、固定電極23bがフローティングゲート電極23aと同一の層として、第1固定電極保護膜25bが第2ゲート酸化膜25aと同一の層として、第2固定電極保護膜27bが第1シリコン窒化膜27aと同一の層として、それぞれ同時に形成される。さらに導電膜30dがゲート電極30a,30b,30cと同一の層として形成され、圧力センサ領域16の封止部49,52bがMOS領域17の保護膜49b,52aと同一の層として、それぞれ同時に形成される。
つまり圧力センサ領域16の検出用圧力センサ1010を形成するために固定電極23b、第1固定電極保護膜25b、第1シリコン窒化膜27aを独立して形成する必要がないことを意味している。したがって、圧力センサ領域16の形成工程にMOS標準プロセスが積極的に適用されて、製造工程の増加を抑えて、生産コストの削減に寄与することができる。このことから、MOSプロセスとの親和性の高い圧力センサ領域16のプロセスとなるため、圧力センサ領域16とMOS領域17との双方を有する半導体圧力センサ装置10を容易に形成することができる。
また配線43a,43bの形成後に第2層間絶縁膜45およびエッチングホール46が形成され、導電膜30dが除去される。これにより、層間絶縁膜40,45または導電膜30dのエッチング時に配線43a,43bにレジストが入り込むなどの不具合が発生する可能性を低減することができるため、プロセス中の配線43a,43bの取り扱いが容易になる。
また犠牲膜としての導電膜30dを固定電極23bと可動電極39との間に挟むことにより、ウェット処理の際に可動電極39が表面張力の影響により固定電極23に固着してしまういわゆるスティッキングを抑制するための処理が不要となるため、工程数を削減することができ、当該工程中の配線43a,43bの取り扱いが容易になる。このように配線43a,43bの形成後にエッチングホール46が形成される。このため、エッチングホール46形成時などに配線43a,43bを覆いながらエッチングホール形成などの各ウェット処理を行なうことにより配線43a,43bへのダメージを抑制することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態の半導体圧力センサ装置10を構成する参照用圧力センサ1000は、圧力センサの一例であるが、実施の形態1の検出用圧力センサ1010とは以下に述べる点において異なっている。
図31を参照して、本実施の形態の半導体圧力センサ装置10を構成する参照用圧力センサ1000は、実施の形態1と同様に各可動電極単体102を行列状に配置されるように区画する検出用アンカー101(第1のアンカー)を有している。しかしこれに加え、参照用圧力センサ1000は、各可動電極単体102内において、可動電極39がアンカー部分としての参照用アンカー100(第2のアンカー)を有している。
具体的には、図32を参照して、左側の検出用圧力センサ領域16aに形成されている検出用圧力センサ1010は、たとえば図3の圧力センサ領域16と基本的に同様の構成を有している。つまり図32の検出用圧力センサ領域16aは図3の圧力センサ領域16と同様に検出用アンカー101が形成されており、これに囲まれることにより可動電極単体102が形成されるが、各可動電極単体102内にはアンカー部分が形成されていない。
これに対して図32の右側の参照用圧力センサ領域16bにおいては、参照用圧力センサ1000が形成されている。参照用圧力センサ領域16bにおける構成は基本的に検出用圧力センサ領域16a(図3の圧力センサ領域16)と同様である。ただし参照用圧力センサ1000には検出用アンカー101に加え、可動電極単体102の中央部に参照用アンカー100が形成されている。
参照用アンカー100の構成は基本的に検出用アンカー101と同様であり、空隙としての真空室51が開口された部分を可動電極39が埋めるように下方(シリコン基板11側)に延びる態様を有している。
図31および図33を参照して、参照用アンカー100は、真空室51の開口された部分が可動電極単体102を区画する端部として形成されるのではなく、たとえば可動電極単体102内に環状の平面形状を構成するように形成されている。このため参照用アンカー100は、可動電極単体102内において内周側と外周側とを区画している。図31においては参照用アンカー100は矩形の平面形状を有するように形成されるがこれに限られず、参照用アンカー100はたとえば六角形または円形の平面形状を有するように形成されてもよい。また平面視における参照用アンカー100としての真空室51の開口された部分の内部(平面視における参照用アンカー100の矩形状に囲まれた領域)においては、導電膜30dが除去されずに残存しているが、このような構成を有していることが好ましい。
図32を再度参照して、本実施の形態の半導体圧力センサ装置10の圧力センサ領域16は、検出用圧力センサ1010と参照用圧力センサ1000とが組み合わせられた(これら双方のセンサがたとえば横に並ぶように組み合わせられるように配置された)構成を有していてもよい。
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
上記のように半導体圧力センサ装置10は、可動電極39と固定電極23bとの間隔の変化を容量値の変化量として検出することで、可動電極39に加わった圧力測定される。ここでたとえば図32の検出用圧力センサ1010には実際には以下の各容量が含まれる。すなわち固定電極23bと真空室51との間に位置する第1固定電極保護膜25bの容量値Aおよび第2固定電極保護膜27bの容量値Bと、可動電極39と真空室51との間に位置するシリコン酸化膜35およびTEOS系の酸化膜38の容量値Cと、真空室51の容量値Dとである。これらの容量値の合成により、検出用圧力センサ1010全体の容量値が求められる。
このうち、可動電極39に加わる外部の圧力に応じて容量値が変化するのは真空室51の容量値Dだけである。このため可動電極39に加わる圧力値をより高精度に測定するためには、容量値A〜Cのそれぞれの初期値を正確に把握する必要がある。
ところが、たとえば第1固定電極保護膜25bは、第2ゲート酸化膜25aおよび第1固定電極保護膜25bを形成する際の膜厚ばらつきのために、容量値Aの初期値を正確に把握することは困難である。第2固定電極保護膜27bは、これと同一の層の第1シリコン窒化膜27aを形成する際の膜厚ばらつき、および導電膜30d(犠牲膜)を除去する際の第2固定電極保護膜27bの膜減り量のばらつきのために、容量値Bの初期値を正確に把握することは困難である。また可動電極保護膜となる圧力センサ領域16のシリコン酸化膜35およびTEOS系の酸化膜38を形成する際の膜厚ばらつきおよび導電膜30dをエッチング除去する際の圧力センサ領域16のシリコン酸化膜35およびTEOS系の酸化膜38の膜減り量のばらつきのために、容量値Cの初期値を正確に把握することは困難である。さらに外部の圧力によって容量値が変化する真空室51では、導電膜30dと同一の層としてのゲート電極30cを形成する際の膜厚ばらつきのために、容量値Dの初期値を正確に把握することが困難である。
そこで本実施の形態においては、このような容量値の初期値のばらつきを相殺するために、圧力センサ領域16において、圧力センサ開口部54を有する検出用圧力センサ1010が形成された検出用圧力センサ領域16aの周囲(近く)に、圧力センサ開口部54を有する参照用圧力センサ1000が形成された参照用圧力センサ領域16bが配置されている。つまり半導体圧力センサ装置10が、検出用圧力センサ領域16aと参照用圧力センサ領域16bとが組み合わせられた構成を有している。
参照用圧力センサ1000においては、可動電極単体102内に参照用アンカー100が形成されるため、外部の圧力の変化が生じても、可動電極39と固定電極23bとの間隔が検出用圧力センサ1010に比べて変化しにくい。このため検出用圧力センサ1010の容量値の変化から参照用の圧力センサの容量値の変化を差し引くことにより、容量値A〜Dの初期値のばらつきを相殺することができる。その結果、精度の高い圧力値を測定することができる。
なお本実施の形態においては、各可動電極単体102に対して1つずつの(矩形状の)参照用アンカー100が形成された例が示されているが、これに限らず、可動電極単体102に対して複数の参照用アンカー100が形成されてもよい。
平面視における参照用アンカー100としての真空室51の開口された部分の内部(平面視における参照用アンカー100の矩形状の内部)においては、導電膜30dが除去されずに残存することにより、当該残存する領域についても参照用アンカー100と同様に可動電極39の上下方向に関する動きを抑制することができる。このため、可動電極39の上下方向に関する動きを抑制する効果をいっそう高めることができる。
(実施の形態3)
図34を参照して、本実施の形態の第1例の可動電極単体102は、基本的に図1および図4に示す実施の形態1の可動電極単体102と同様の構成を有しており、実施の形態1と同様の引出し領域103にエッチングホール46が形成されている。しかし図34においては引出し領域103の(図34の上下方向に関する)幅が、図1および図4の引出し領域103における引出し領域103の幅よりも小さくなっている。この点において図34は図1および図4と異なっているが、他の点については基本的に図1および図4と同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
このようにするだけでも可動電極単体102の可動電極引出し付根部106の応力集中を緩和することができる。具体的には、エッチングホール46内を充填する封止部の封止状態をより良好にする観点から、エッチングホール46の平面視における最大寸法(円形であれば直径)は1.0μm以下にすることが好ましい。この場合、エッチングホール46が形成される引出し領域103の幅も1μm程度にすることにより可動電極引出し付根部106の応力を緩和することができる。
図35を参照して、本実施の形態の第2例の可動電極単体102は、基本的に図1および図4に示す実施の形態1の可動電極単体102と同様の構成を有しており、実施の形態1と同様の引出し領域103にエッチングホール46が形成されている。しかし図35においては、エッチングホール46が平面視において可動電極39と同一層(同一材料)により囲まれるように形成されている。言い換えれば、エッチングホール46は可動電極39の一部の領域を貫通するように形成されている。このエッチングホール46を囲む可動電極39と同一の材料の領域は、封止領域補強部105として形成されている。この点において図35は図1および図4と異なっているが、他の点については基本的に図1および図4と同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
このようにすれば、エッチングホール46の周囲が酸化膜または窒化膜のみにより覆われる場合に比べて、エッチングホール46内に充填される封止部(第1封止膜49および第2封止膜52b)の強度を向上することができ、真空室51の封止部の信頼性を向上することができる。
次に、図36を参照して、たとえば図1などに示す実施の形態1の検出用アンカー101(または実施の形態2の参照用アンカー100)の断面形状を拡大すれば、検出用アンカー101における可動電極39の最上面は、可動電極39の検出用アンカー101以外の領域の最上面に比べて下方(シリコン基板11側)に窪んだ凹部を形成していることがわかる。これは検出用アンカー101が形成される領域においては導電膜30d(真空室51)が開口されており、検出用アンカー101以外の領域においては真空室51の厚み分よりも上方に可動電極39が形成されるために、両領域の間に段差が生じるためである。
しかしこの検出用アンカー101の表面の凹部は、可動電極39に圧力が加わった際に応力集中する可能性がある。また検出用アンカー101の形成される部分においては可動電極39と固定電極23bとの間に薄いシリコン酸化膜35およびTEOS系の酸化膜38のみが介在するため、これらの薄い酸化膜が容量性を持つことにより検出用アンカー101が大きな寄生容量を有するようになる可能性がある。
そこで図37を参照して、本実施の形態の第3例においては、検出用アンカー101(参照用アンカー100)がその幅方向(図37の左右方向)に関する左右両端部のみ、真空室51が開口された部分を有し、検出用アンカー101の上記端部以外の領域については導電膜30dが開口されずに残存された残存領域107を有する構成とする。このようにアンカー部分は、少なくともその一部に導電膜30d(空隙50)が開口された部分を含んでいればよい。ただし残存領域107は犠牲膜としての導電膜30dと同一の層(同一材料)に限らず、可動電極39と同一の層(同一材料)として形成されてもよい。この点において図37は図36と異なっているが、他の点については基本的に図36と同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
このようにアンカー部分の一部のみに真空室51の開口された部分が形成されれば、アンカー部分の中央部において可動電極39は、アンカー部分以外の真空室51が開口されない領域とほぼ同じ高さの表面を有するように形成される。真空室51の開口された部分が非常に狭くなる(検出用アンカー101の幅方向の端部のみとなる)ため、可動電極39は検出用アンカー101の真上のほぼ全体においてその表面高さを検出用アンカー101以外の領域とほぼ同じ高さにすることができる。したがって検出用アンカー101の最上面を(その全体にわたり)ほぼ平坦にすることができる。
ここで、検出用アンカー101の幅方向の端部における真空室51の開口された部分の幅を、可動電極39および酸化膜35,38の厚みの和の2倍程度以下にすれば、可動電極39の表面は全体にほぼ平坦にすることができる。
可動電極39と固定電極23bとの間に薄いシリコン酸化膜35およびTEOS系の酸化膜38のみが介在するとはいえ、導電膜30dの開口される部分の幅が狭い(0.2〜0.8μm程度)ことにより寄生容量を小さくすることができる。
また導電膜30dはMOS領域17のゲート電極30a〜30cと同一の層として形成されるため、導電膜30dの開口された部分には導電膜30dの側部に形成されるサイドウォール酸化膜34が配置される。したがって、当該サイドウォール酸化膜34が配置される面積分だけ導電膜30dの開口された部分の面積が小さくなるため、可動電極39と固定電極23bとの間に薄いシリコン酸化膜35およびTEOS系の酸化膜38のみを介する領域の幅をより狭くすることができる。したがって、当該領域における寄生容量をさらに小さくできるとともに、(圧力が印加される)可動電極39の上面をより平坦にすることができる。可動電極39の上面がより平坦になることから、可動電極39に過大な圧力が加わった際に可動電極39の応力集中を抑制することができる。
さらに、検出用アンカー101の中央部は導電膜30dとしての残存領域107が配置されるため、この領域においては、検出用アンカー101の左右両端部に比べて、可動電極39と固定電極23bとの間隔が大きくなる。ここで可動電極39と残存領域107とにより形成される容量、および固定電極23bと残存領域107とにより形成される容量は考慮しなくてよい。したがって当該中央部における寄生容量の値を小さくすることができるため、検出用アンカー101全体の寄生容量の値を小さくし、可動電極39に加わる圧力の変化に対する感度(容量変化率)を高くすることができる。
さらに図38を参照して、本実施の形態の第4例においては、検出用アンカー101(参照用アンカー100)が形成される部分において固定電極23が配置されない構成を有している。つまり固定電極23は可動電極39の可動部分と対向する、正規の検出用圧力センサ1010を構成する部分のみに形成されている。この点において図38は図36と異なっているが、他の点については基本的に図36と同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
可動電極39(検出用アンカー101)の最上面に凹部が形成されることが問題にならない場合には、検出用アンカー101(参照用アンカー100)の部分に固定電極23bを形成しない構成としてもよい。このようにすれば、当該部分に固定電極23bが形成されない分だけその真上の可動電極39が図の下方(シリコン基板11側)に窪むことになるが、検出用アンカー101(参照用アンカー100)の部分には寄生容量がまったく発生しなくなる。このため圧力センサ全体の容量が可動電極39の(アンカー部分を除く)可動部分の容量値となり、可動電極39に加わる圧力の変化に対する感度(容量変化率)を高くすることができる。
なお図36〜図38は、基本的に図33中に点線で囲まれた領域AおよびB(検出用アンカー101または参照用アンカー100)を示している。上記のように特に図37においてはアンカー部分の一部に犠牲膜が配置されているため、本実施の形態のように、犠牲膜が開口された部分がアンカー部分の一部のみに含まれる態様であってもよい。
(実施の形態4)
本実施の形態の半導体圧力センサ装置10においては、MOS領域17のトランジスタの上に形成される配線が実施の形態1の配線43aの1層のみならず2層積層された構成を有しており、この点において実施の形態1の半導体圧力センサ装置10と異なっている。以下、図39〜図43を用いて、本実施の形態の検出用圧力センサ1010とMOS回路とを有する半導体圧力センサ(半導体圧力センサ装置10)の製造方法の第1例について説明する。なお、製造工程における各構成について、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付し、必要である場合を除いてその説明を繰り返さないこととする。また本実施の形態においては実施の形態1の図2の領域に相当する領域には当該配線が現れないことからその図示を省略し、実施の形態1の図3の領域に相当する領域のみ示しながら説明する。
図39を参照して、途中まで実施の形態1の製造工程と同様の処理がなされ、実施の形態1の図24の工程と同様に配線43aおよび配線43bが形成された後、これらを覆うように第2層間絶縁膜55(層間絶縁膜)が形成される。第2層間絶縁膜55としては、たとえばプラズマCVD法により形成された、P−TEOS膜等が適している。なお平坦化のために、SOG膜を含むP−TEOS/SOG/P−TEOSの3層の積層構造を採用してもよい。図39においては一例として、下層から順にP−TEOS層55a、SOG層55bおよびP−TEOS層55cの3層からなる第2層間絶縁膜55が図示されている。また、第1層間絶縁膜の場合と同様にCMP処理を施してもよい。
図40を参照して、次に、写真製版処理を施すことにより、コンタクトホールを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして第2層間絶縁膜55に、たとえばMOS領域の配線43aに達するようにコンタクトホール56aが形成される。コンタクトホール56aの形成時の処理は、たとえば図22のコンタクトホール41a,41bの形成時の処理と同様である。
次に、図24の配線43a,43bの形成時の処理と同様の処理により、コンタクトホール56aに配線56が形成される。この配線56が、配線43a,43b(1層目の配線:第1配線)に対する2層目の配線(第2配線)となる。なお図示されないが、圧力センサ領域16についてもたとえば配線43bに達するように形成されたコンタクトホールに配線56と同一の層としての第2配線が形成されてもよい。
図41を参照して、配線56を覆うように、第3層間絶縁膜57が形成される。第3層間絶縁膜57としては、たとえばプラズマCVD法により形成された、P−TEOS膜等が適している。なお平坦化のために、SOG膜を含むP−TEOS/SOG/P−TEOSの3層の積層構造を採用してもよい。また、第1層間絶縁膜の場合と同様にCMP処理を施してもよい。
次に、写真製版処理を施すことにより、エッチングホールを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、第1、第2および第3層間絶縁膜(層間絶縁膜)の部分に、犠牲膜である導電膜30dに達するようにエッチング処理が施される。これにより、圧力センサ領域16では、可動電極39の外側に、犠牲膜をエッチングするためのエッチングホール46(ホール)が形成される。その後、レジストマスクが除去される。
次に、図26の空隙50の形成時の処理と同様の処理により、エッチングホール46を介してウェットエッチング処理を施すことにより、導電膜30d(犠牲膜)が除去され、図26と同様に空隙50が形成される。
図42を参照して、次に、導電膜30dを除去することによって形成された空隙50を真空室とする処理が施される。まず、たとえば、第3層間絶縁膜57を形成するときと同様のプラズマCVD法を用いて、P−TEOS膜が圧力センサ領域16およびMOS領域17の全面に成膜される。これにより、エッチングホール46の少なくとも一部(たとえば内壁面)を塞ぐ第1封止膜49と第3層間絶縁膜49bとが形成される。これにより図28の工程と同様に、空隙50は減圧された真空室51となるとともに、真空室51はエッチングホール46内の第1封止膜49により外部に対して封止された空間となる。
次に、図30の圧力センサ開口部54およびパッド開口部61の形成時の処理と同様の処理がなされることにより、圧力センサ領域16における圧力センサ開口部54と、MOS領域17におけるパッド開口部61とが形成される。
図43を参照して、その後、プラズマCVD法によって、実施の形態1と同様に、第1封止膜49および第3層間絶縁膜49bを覆うように、パッシベーション膜52aおよび第2封止膜52bが形成される。
次に、本実施の形態の第1例の作用効果を説明する。
本実施の形態においても実施の形態1と同様に、配線43a,43b,56の形成後に第3層間絶縁膜57およびエッチングホール46が形成される。このため配線の層数にかかわらず(たとえ2層以上であっても)、実施の形態1と同様にプロセス中の配線43a,43b,56の取り扱いが容易になるという作用効果を奏する。
ただし上記の第1例においては、MOS領域17の配線56の形成後に圧力センサ領域16の導電膜30d除去用のエッチングホール46が形成されている。しかし以下の第2例のように、MOS領域17の配線56を形成するためのコンタクトホール56aとエッチングホール46とが同時に形成され、配線56と第1封止膜49とが同時に形成されてもよい。以下、図44〜図46を用いて、本実施の形態の検出用圧力センサ1010とMOS回路とを有する半導体圧力センサ(半導体圧力センサ装置10)の製造方法の第2例について説明する。
図44を参照して、途中まで実施の形態1の製造工程と同様の処理がなされ、図39と同様に第2層間絶縁膜55が形成される。その後、写真製版処理を施すことにより、コンタクトホールおよびエッチングホールを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして第2層間絶縁膜55のMOS領域17には、図40のコンタクトホール56aと同様のコンタクトホール46aが形成されると同時に、第2層間絶縁膜55の圧力センサ領域16には、図41のエッチングホール46と同様のものが形成される。その後、レジストマスクが除去される。
エッチングホール46およびコンタクトホール46aは、それぞれが形成される圧力センサ領域16およびMOS領域17に形成される素子の仕様に合わせた条件のもとで形成される。コンタクトホール46aの形成は、図22のコンタクトホール41bの形成時の処理と同様の処理によりなされる。またエッチングホール46の形成は、図26のエッチングホール46の形成時の処理と同様の処理によりなされる。
次に、図26の配線43a,43bの形成時の処理と同様の処理により、エッチングホール46を介してウェットエッチング処理を施すことにより、導電膜30d(犠牲膜)が除去され、図26と同様に空隙50が形成される。
図45を参照して、次に、図24の配線43a,43bの形成時の処理と同様の処理により、コンタクトホール46aに配線56が形成されると同時に、エッチングホール46には配線56と同一の層(同一材料)としての第1金属封止膜56bが形成される。配線56は配線43aと電気的に接続される。
第1金属封止膜56bは、たとえばスパッタリング法によりアルミニウムシリコン銅膜等を形成することにより得られる。スパッタリング法の処理は真空中で行なうため、空隙50は上記のように減圧された真空室51となるとともに、真空室51はエッチングホール46内の第1金属封止膜56bにより外部に対して封止された空間となる。
図46を参照して、次に、開口部が形成される部分を露出するレジストマスク(図示せず)が形成され、そのレジストマスクをエッチングマスクとして図30の圧力センサ開口部54の形成時の処理と同様の処理がなされる。これにより、圧力センサ領域16において圧力センサ開口部が形成される領域に位置する第2層間絶縁膜45および第1層間絶縁膜40の部分が除去され、圧力センサ開口部54が形成される。
その後、実施の形態1と同様に、プラズマCVD法によって、MOS領域17に形成される半導体素子の仕様に合わせた条件(比較的低い温度条件等)のもとで、第1金属封止膜56bおよび第2配線56を覆うように、層間絶縁膜55上にパッシベーション膜となる膜厚0.5〜1.0μm程度のシリコン窒化膜(図示せず)が形成される。その後レジストマスク(図示せず)を用いて実施の形態1と同様の処理がなされることにより、圧力センサ開口部54およびパッド開口部61が形成される領域に位置するシリコン窒化膜の部分が除去される。これにより、MOS領域17では保護膜としてのパッシベーション膜52aが形成され、圧力センサ領域16ではエッチングホール46をさらに塞ぐ第2封止膜52bが形成される。パッシベーション膜52aおよび第2封止膜52bは同一材料による同一の層である。
以上により、本実施例においては真空室51が第1金属封止膜56bと第2封止膜52bとによって二重に封止される(封止部は、材質の異なる複数の薄膜が積層されることにより形成される)。これにより、信頼性の高い真空封止が可能になる。
次に、本実施の形態の第2例の作用効果を説明する。
以上に述べた本実施の形態の第2例は、第1例に加えて、圧力センサ領域16のエッチングホール46および第1金属封止膜56bがMOS領域17のコンタクトホール46aおよび配線56と同一の層として形成される。このため、圧力センサ領域16の形成工程にMOS標準プロセスがより積極的に適用されて、製造工程の増加を抑えて、生産コストの削減にいっそう寄与することができる。このことから、MOSプロセスとの親和性の高い圧力センサ領域16のプロセスとなるため、圧力センサ領域16とMOS領域17との双方を有する半導体圧力センサ装置10を容易に形成することができる。
なお本実施の形態においても、実施の形態2,3で述べた各構成を適宜適用してもよい。また以上の説明においてはMOS領域17のみの配線を複数層としているが、圧力センサ領域16の可動電極39に接続される配線も複数層としてもよい。
(実施の形態5)
本実施の形態の半導体圧力センサ装置10においては、基本的に実施の形態1の半導体圧力センサ装置10と同様の構成を有するが、実施の形態1の半導体圧力センサ装置10と比較して以下の点が異なっている。以下、一部実施の形態1の記載と重複する箇所もあるが、図47〜図49を用いて、本実施の形態の検出用圧力センサ1010が形成される第1領域16の構成について説明する。
図47〜図48を参照して、本実施の形態の半導体圧力センサ装置10を構成する検出用圧力センサ1010は、圧力センサの一例であり、実施の形態1と同様に圧力センサ領域16(第1領域)に形成されている。
本実施の形態の検出用圧力センサ1010は、図47中に点線で示す拡散層固定電極18(固定電極)と、拡散層固定電極18の上方に配置された空隙としての真空室51と、真空室51の上方に配置された可動電極39とにより容量性を有している。真空室51は、後述する犠牲膜としての導電膜23cが除去されることにより形成されている。なお図47においては、導電膜23cが除去されることにより形成される真空室51の端部を導電膜端部23eとして表記している。
本実施の形態においても実施の形態1と同様に、真空室51は、これを形成する元となる導電膜23cがパターニングにより(少なくとも部分的に)除去され開口された領域を埋めて下方に突起するように(厚く)可動電極39が形成されることにより、アンカー部分として可動電極39を支持する検出用アンカー101が形成されている。検出用アンカー101は、平面視において可動電極39を複数の可動電極単体102に区画している。したがって、検出用アンカー101を挟んで平面視において互いに隣り合う1対の可動電極単体102同士は、同一の検出用アンカー101の領域を共有するように配置されている。
圧力センサ領域16においては、シリコン基板11の上側の主表面には、上記のたとえばn型不純物により形成された拡散層固定電極18と、実施の形態1と同様のp型ウェル領域12とが形成されている。また拡散層固定電極18内およびp型ウェル領域12内のシリコン基板11の表面の一部にはフィールド酸化膜19が形成されている。
圧力センサ領域16において、複数の可動電極単体102のそれぞれと平面視において重なる拡散層固定電極18の(大半の)平坦な領域(固定電極用平坦領域108)が、当該圧力センサの固定電極として用いられる。各固定電極用平坦領域108は、フィールド酸化膜19によって区画されている(囲まれている)。
圧力センサ領域16において、フィールド酸化膜19または拡散層固定電極18(固定電極用平坦領域108)の上には第1ゲート酸化膜22が形成されており、その上に真空室51(その範囲は可動電極単体102の範囲にほぼ等しい)が、さらにその上にはシリコン酸化膜35およびTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate glass)系の酸化膜38がこの順に形成されている。そしてTEOS系の酸化膜38の上には可動電極39が形成されている。
本実施の形態においても、圧力センサ領域16の可動電極39との非重畳領域において、(圧力センサを覆う)第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45には、可動電極単体102(真空室51)に達する(連通する)ように、エッチングホール46が形成されている。
エッチングホール46はその上方から、後述するフローティングゲート電極(第1電極)としての多結晶シリコン膜23aと同一の層(同じ膜からなる部分)である導電膜23c(犠牲膜)をエッチングして除去することにより、導電膜23cの形成されていた領域に空隙(真空室51)を形成する。このためエッチングホール46は真空室51に連通している。また第1封止膜49および第2封止膜52bは、真空室51をその外側から封止する封止部として、エッチングホール46を充填するように形成されている。第1層間絶縁膜40などは、可動電極39と平面的に重なる大半の領域(中心部)において除去されており、その結果この領域には可動電極39を露出する圧力センサ開口部54(開口部)が形成されている。
本実施の形態において、検出用アンカー101はフィールド酸化膜19の真上に形成されている。
図47および図49(特に図49)を参照して、本実施の形態の半導体圧力センサ装置10は、実施の形態1と同様に、圧力センサ領域16のほかに、MOS領域17(第2領域)が規定されている。
図49におけるMOS領域17の構成は、実施の形態1の図3のMOS領域17の構成と同様であるため詳細な説明を省略するが、簡単に述べると以下のとおりである。トランジスタとして、pチャネル型のMOSトランジスタと、EPROMと、nチャネル型のMOSトランジスタとが形成されている。pチャネル型のMOSトランジスタはn型ウェル領域13に、EPROMとnチャネル型のMOSトランジスタとはp型ウェル領域14に、それぞれ形成されている。またこれらのトランジスタを覆うように第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45が形成されている。
ここでは圧力センサ領域16のn型の拡散層固定電極18(固定電極)が、シリコン基板11内のn型ウェル領域13(拡散層)と同一の層として形成されている。
なおここではトランジスタ(pチャネル型のMOSトランジスタ、nチャネル型のMOSトランジスタおよびEPROM)が形成されるMOS領域17の構成については基本的に実施の形態1と同様であるため、その図示が省略されている。
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
次に、図50〜図75および図48〜図49を用いて、以上に述べた本実施の形態の検出用圧力センサ1010とMOS回路とを有する半導体圧力センサ(半導体圧力センサ装置10について説明する。
図50および図51を参照して、図5および図6と同様に、たとえばp型のシリコン基板が用意され、まずシリコン基板11の表面に、検出用圧力センサ1010が形成される圧力センサ領域16と、メモリセルトランジスタなどのMOS回路が形成されるMOS領域17とが規定される。圧力センサ領域16にはp型ウェル領域12および拡散層固定電極18が、MOS領域17にはn型ウェル領域13およびp型ウェル領域14が形成される。
具体的には、図5および図6の工程と同様にレジストマスク(図示せず)が形成され、そのレジストマスクを注入マスクとして用い、n型ウェル領域13および拡散層固定電極18を形成するためのn型の不純物(たとえばリン)が形成される。その後、所定の条件のもとでアニール処理などがなされることにより、シリコン基板11の表面からシリコン基板11内に、圧力センサ領域16においては固定電極としての拡散層固定電極18が、MOS領域17においてはn型ウェル領域13が、同一工程により(拡散層として)形成される。
図52および図53を参照して、図7および図8の工程と同様の処理がなされることにより、所望の領域にフィールド酸化膜15,19が形成される。特に圧力センサ領域16に形成される拡散層固定電極18およびフィールド酸化膜19の上、およびMOS領域17に形成されるn型ウェル領域13およびp型ウェル領域14の上には下敷酸化膜21が形成される。ただし下敷酸化膜21は、チャネルストッパ20の形成後に除去される。
図54および図55を参照して、圧力センサ領域16およびMOS領域17に第1導電膜を形成し、当該第1導電膜をパターニングさせることにより、導電膜パターンを形成する工程へと進む。ここでは圧力センサ領域16における導電膜23cと、MOS領域17におけるEPROMのフローティングゲート電極となる多結晶シリコン膜23aとが、同じ材料によって同一の層として形成される。
具体的には、まず図9および図10の工程と同様に下敷酸化膜などが除去されたシリコン基板11に熱酸化処理を施すことにより、MOS領域17および圧力センサ領域16ともに、露出したシリコン基板11の表面またはフィールド酸化膜19の表面上に第1ゲート酸化膜22が形成される。
次に、第1ゲート酸化膜22を覆うように多結晶シリコン膜(第1導電膜)が形成され、これに導電性不純物が注入されさらにパターニングされる。これにより、圧力センサ領域16では、パターニングされた多結晶シリコン膜からなる、犠牲膜としての導電膜23cが形成される。また、一方のMOS領域17では、EPROMのフローティングゲート電極(第1電極)となる(導電膜パターンとしての)多結晶シリコン膜23aのパターン(膜厚50〜300nm程度)が形成される。(導電膜パターンとしての)導電膜23cのパターンは、フィールド酸化膜19上に乗り上げるように形成されることが好ましい。その後、レジストマスクは除去される。その後、図9および図10の工程と同様に、第2ゲート酸化膜25a、第1シリコン窒化膜27a、第1保護膜25b(第1固定電極保護膜25bと同一材料)、第2保護膜27b(第2固定電極保護膜27bと同一材料)が形成され、かつMOS領域17のトランジスタの閾値電圧を制御するための所定の不純物が注入される。
なお多結晶シリコン膜23aおよび導電膜23cのパターンを形成する工程においては、導電膜23cはこれが開口された部分を形成するように、つまり図54の左右方向に関して複数のパターンに分割されるように形成される。たとえば図54の左右方向の中央部の、フィールド酸化膜19の上に導電膜23cが除去されその真下の表面が露出されるように開口された部分が形成されている。このように犠牲膜のパターンは、あらかじめ開口された部分を有するように形成される。
図56および図57を参照して、次に、図11および図12の工程と同様に、第3ゲート酸化膜29a,29bが形成される。
図58および図59を参照して、次に、図13および図14の工程と同様に、圧力センサ領域16およびMOS領域17に第2導電膜としての導電膜30が形成される。
次に、図13および図14の工程と同様に、導電膜30がパターニングされることにより、EPROMのゲート電極がパターニングされる。これにより、MOS領域17においてEPROMのフローティングゲート電極23aの上方に配置されるゲート電極30c(第2電極)が形成される。これにより、ゲート電極30cを含む、EPROMのゲート電極が形成される。
図60および図61を参照して、次に、図15および図16の工程と同様に、導電膜30のパターニングにより、圧力センサ領域16における導電膜30が除去される。またMOS領域17における導電膜30のパターニングの結果、実施の形態1と同様に、nチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極30bと、pチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極30aとが形成される。圧力センサ領域16においては、導電膜30の除去により露出される第2保護膜25bを覆うように、またMOS領域17においてはゲート電極30a,30b,30cを覆うように、図15および図16と同様に、薄い酸化膜32が形成される。
図62および図63を参照して、次に、図17および図18の工程と同様に、特にMOS領域17のゲート電極30a,30b,30cにサイドウォール酸化膜34が形成され、さらにその後、ゲート電極30a,30b,30cを覆うように薄いシリコン酸化膜35が形成される。この薄いシリコン酸化膜35は、上記の第1保護膜25b、第3ゲート酸化膜29bおよび薄い酸化膜32と一体となるように形成されるため、図62および図63においては第1保護膜25b、第3ゲート酸化膜29bおよび薄い酸化膜32が消失している。
図64および図65を参照して、図19および図20の工程と同様に、シリコン酸化膜35を覆うようにTEOS系の酸化膜38が形成され、そのTEOS系の酸化膜38を覆うように、圧力センサ領域16において、(導電膜23cの上に)可動電極39が形成される。
ここでも実施の形態1と同様に、可動電極39の形成工程はたとえばMOS領域17の一部の領域と同一の層として成膜することなく、可動電極39のみを形成する工程として独立している。また可動電極39を形成するための多結晶シリコン膜の形成時には、犠牲膜(導電膜23c)が開口された部分(図64のフィールド酸化膜19の真上など)を上方から埋めるように成膜される。これにより、導電膜23cが開口された部分においては、可動電極39と同一の多結晶シリコン膜が可動電極39に対して図の下方に突出するように形成される。このように多結晶シリコン膜が下方に突出した部分は、アンカー部分すなわち検出用アンカー101として形成され、可動電極39を下方から支持することができる。導電膜23cが開口された部分を埋めるように形成された領域を少なくともその一部に含むように、検出用アンカー101が形成される。
以上により、圧力センサ領域16において、拡散層固定電極18のうち特にフィールド酸化膜19に囲まれた固定電極用平坦領域108を固定電極とし、かつこれに対向する可動電極39を有する構成が形成される。
図66および図67を参照して、図21および図22の工程と同様に、TEOS系の酸化膜38および可動電極39を覆うように、第1層間絶縁膜40(層間絶縁膜)が形成され、コンタクトホール41a,41bが形成される。
図68および図69を参照して、図23および図24の工程と同様に、配線43a,43bが形成され、それらを覆うように、第2層間絶縁膜45(層間絶縁膜)が形成される。
図70および図71を参照して、図25および図26の工程と同様に、エッチングホールを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そのレジストマスクをエッチングマスクとして、圧力センサ領域16の第1および第2層間絶縁膜(層間絶縁膜)の部分に、犠牲膜である導電膜23cに達するようにエッチング処理が施される。これにより、圧力センサ領域16では、可動電極39の外側に、犠牲膜をエッチングするためのエッチングホール46(ホール)が形成される。その後、レジストマスクが除去される。
次に、エッチングホール46を用いてウェットエッチング処理を施すことにより、多結晶シリコン膜の犠牲膜としての導電膜23cが除去される。これにより、導電膜23cが形成されていた領域すなわち第1ゲート酸化膜22と薄いシリコン酸化膜35とに挟まれる領域には空隙50が形成される。このエッチング処理には、たとえばウェットエッチングのTMAHが用いられる。
このように、本実施の形態においても、可動電極39の上に第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45が形成された後に、また配線43a,43bが形成された後に、犠牲膜としての導電膜23cがエッチングされる。
図72および図73を参照して、図27および図28の工程と同様に、第1封止膜49と第3層間絶縁膜49b(同一の層)とが圧力センサ領域16およびMOS領域17の全面に成膜される。たとえばプラズマCVD法を用いて圧力センサ領域16に形成される第1封止膜49(封止部)がエッチングホール46の少なくとも一部(たとえば内壁面)を塞ぐ。これにより空隙50は減圧された真空室51となるとともに、真空室51はエッチングホール46内の第1封止膜49により外側から塞がれ、外部に対して封止された空間となる。
図74および図75を参照して、図29および図30の工程と同様に、圧力センサ領域16の第2層間絶縁膜45および第1層間絶縁膜40の部分に圧力センサ開口部54(開口部)が形成されて可動電極39が露出する。またMOS領域17においては配線43aが露出した状態となったパッド開口部61が形成される。
図48および図49を再度参照して、その後、実施の形態1と同様に、第1封止膜49および第3層間絶縁膜49bを覆うように、パッシベーション膜となるシリコン窒化膜(図示せず)が形成される。これが実施の形態1と同様にパターニングされることにより、MOS領域17では保護膜としてのパッシベーション膜52aが形成され、圧力センサ領域16ではエッチングホール46をさらに塞ぐ第2封止膜52bが形成される。真空室51は、第1封止膜49と第2封止膜52bとによって二重に封止される。
以上のように、特に図74および図48を参照して、本実施の形態の製造方法によれば、検出用アンカー101が、可動電極39を複数の可動電極単体102に区画することにより、区画された複数の可動電極単体102のうち互いに隣り合う1対の可動電極単体102が同一の検出用アンカー101を共有するように形成される。
なお、これ以外の本実施の形態の製造方法の工程は、実施の形態1の製造方法の工程とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
次に、(特に実施の形態1〜4と比較しながら)本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態においては、基本的に実施の形態1と同様の作用効果のほかに、以下の各作用効果を奏する。
たとえば実施の形態1〜4においては、圧力センサ領域16のほぼ全面に大きなフィールド酸化膜19が形成されており、そのフィールド酸化膜19の上(シリコン基板11の上)に固定電極23bが形成され、固定電極23bの上に犠牲膜としての導電膜30dが形成されている。固定電極23bはMOS領域17(のシリコン基板11の上)に形成されるフローティングゲート電極23a(第1電極)と同一の層であり、導電膜30dはMOS領域17のフローティングゲート電極23aよりもさらに上方のゲート電極30c(第2電極)と同一の層である。
この場合、圧力センサ領域16に形成される検出用圧力センサ1010が、MOS領域17に形成されるトランジスタよりもかなり上方に形成されるという問題がある。
しかし本実施の形態においては、圧力センサ領域16の固定電極が、シリコン基板11の表面からシリコン基板11内に形成された拡散層固定電極18として形成される。拡散層固定電極18は、MOS領域17の拡散層であるn型ウェル領域13と同一の層として形成される。さらに本実施の形態の犠牲膜は、MOS領域17においてゲート電極30cよりも下方の層であるフローティングゲート電極23aと同一の層として形成され、その上に可動電極39が形成される。このように固定電極がシリコン基板11内に形成されるため、実施の形態1のように圧力センサが形成される領域においてフィールド酸化膜19が厚く形成される態様とする必要がなくなる。
このことと、圧力センサ領域16において導電膜30dが形成される必要がなくなることとから、圧力センサ領域16における検出用圧力センサ1010のシリコン基板11に対する高さを、実施の形態1に比べて低くすることができる。
また犠牲膜をフローティングゲート電極と同一の層としての導電膜23cとすることにより、実施の形態1のようにフローティングゲート電極上のゲート電極30cと同一の層としての導電膜30dとする場合に比べて、犠牲膜の部分の厚みを薄くすることができる。これにより、検出用圧力センサ1010の可動電極39と拡散層固定電極18との(厚み方向の)間隔を薄くすることができる。したがって、当該圧力センサのセンサ容量を実施の形態1よりも大きくすることができ、かつ可動電極39に加わる圧力の変化に対する感度を実施の形態1よりも高めることができる。したがって半導体圧力センサ全体の平面積を小さくすることができる。
また本実施の形態において、検出用アンカー101はフィールド酸化膜19の真上に形成されている。検出用アンカー101の部分は基本的に容量を形成しないため、圧力センサの容量は、固定電極用平坦領域108と、その真上に配置され圧力変化に対して動く可動電極39とにより構成されている。
可動電極39と平面的に重なる圧力センサの形成領域以外は厚いフィールド酸化膜19で覆われることにより、圧力センサの形成領域以外における寄生容量を小さくすることができる。これにより、ほぼ正規の圧力センサの領域のみによりセンサ容量を構成することができるため、可動電極39に加わる圧力変化に対する容量値の変化をより大きくすることができる。
また、検出用アンカー101がフィールド酸化膜19の上に、固定電極が拡散層固定電極18(固定電極用平坦領域108)として形成されることにより、可動電極単体102の可動電極39の断面形状を、たとえば図48に示すようにその端部において下方に窪んだ凹形状にすることができる。これにより、たとえば半導体ウェハのプロセスにおいて生じる各条件のばらつきなどで可動電極39を構成する膜特性が変化した場合に、可動電極39の断面形状が凸形状となる不具合を抑制することができる。したがって可動電極39に加わる圧力の制御が容易になり、圧力センサ領域16の形成工程にMOS標準プロセスが積極的に適用可能な範囲を広げることができる。これにより、圧力センサ領域16のプロセスをよりMOSプロセスとの親和性の高いものとすることができるとともに、製造工程の増加を抑えて、生産コストの削減に寄与することができる。
なお本実施の形態においても、実施の形態1〜4にて述べた各構成を適宜組み合わせて適用してもよい。たとえば上記においては検出用アンカー101について説明しているが、参照用アンカー100についても本実施の形態をそのまま適用可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態の半導体圧力センサ装置10においては、基本的に実施の形態5の半導体圧力センサ装置10と同様の構成を有するが、実施の形態5の半導体圧力センサ装置10と比較して以下の点が異なっている。以下、一部実施の形態1,5の記載と重複する箇所もあるが、図76〜図77を用いて、本実施の形態の検出用圧力センサ1010が形成される第1領域16の構成について説明する。なお第2領域(MOS領域17)の構成は基本的に上記の各実施の形態1〜5(図49およびこれの製造方法を示す図51〜図75の奇数番号の各図)と同じであるため、ここでは省略する。
図76〜図77を参照して、本実施の形態の半導体圧力センサ装置10を構成する検出用圧力センサ1010は、圧力センサの一例であり、実施の形態1と同様に圧力センサ領域16(第1領域)に形成されている。
本実施の形態の検出用圧力センサ1010は、図76中に点線で示す拡散層固定電極18(固定電極)と、拡散層固定電極18の上方に配置された空隙としての真空室51と、真空室51の上方に配置された可動電極39とにより容量性を有している。真空室51は、後述する犠牲膜としての導電膜30dが除去されることにより形成されている。なお図76においては、導電膜30dが除去されることにより形成される真空室51の端部を導電膜端部30eとして表記している。
本実施の形態においても実施の形態1と同様に、真空室51は、これを形成する元となる導電膜30dがパターニングにより(少なくとも部分的に)除去され開口された領域を埋めて下方に突起するように(厚く)可動電極39が形成されることにより、アンカー部分として可動電極39を支持する検出用アンカー101が形成されている。検出用アンカー101は、平面視において可動電極39を複数の可動電極単体102に区画している。したがって、検出用アンカー101を挟んで平面視において互いに隣り合う1対の可動電極単体102同士は、同一の検出用アンカー101の領域を共有するように配置されている。
圧力センサ領域16において、フィールド酸化膜19または拡散層固定電極18(固定電極用平坦領域108)の上には第1保護膜25b、第2保護膜27bがこの順に形成されており、その上に真空室51(その範囲は可動電極単体102の範囲にほぼ等しい)が、さらにその上にはシリコン酸化膜35およびTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate glass)系の酸化膜38がこの順に形成されている。そしてTEOS系の酸化膜38の上には可動電極39が形成されている。
本実施の形態においても、圧力センサ領域16の可動電極39との非重畳領域において、(圧力センサを覆う)第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45には、可動電極単体102(真空室51)に達する(連通する)ように、エッチングホール46が形成されている。
エッチングホール46はその上方から、実施の形態1と同様に後述するゲート電極(第2電極)としてのゲート電極30cと同一の層(同じ膜からなる部分)である導電膜30d(犠牲膜)をエッチングして除去することにより、導電膜30dの形成されていた領域に空隙(真空室51)を形成する。このためエッチングホール46は真空室51に連通している。また第1封止膜49および第2封止膜52bは、真空室51をその外側から封止する封止部として、エッチングホール46を充填するように形成されている。第1層間絶縁膜40などは、可動電極39と平面的に重なる大半の領域(中心部)において除去されており、その結果この領域には可動電極39を露出する圧力センサ開口部54(開口部)が形成されている。
本実施の形態において、検出用アンカー101はフィールド酸化膜19の真上に形成されている。
本実施の形態の半導体圧力センサ装置10は、実施の形態1と同様に、圧力センサ領域16のほかに、MOS領域17(第2領域)が規定されている。
図49におけるMOS領域17の構成は、実施の形態1の図3のMOS領域17の構成と同様であるため詳細な説明を省略するが、簡単に述べると以下のとおりである。トランジスタとして、pチャネル型のMOSトランジスタと、EPROMと、nチャネル型のMOSトランジスタとが形成されている。pチャネル型のMOSトランジスタはn型ウェル領域13に、EPROMとnチャネル型のMOSトランジスタとはp型ウェル領域14に、それぞれ形成されている。またこれらのトランジスタを覆うように第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45が形成されている。
EPROMにはフローティングゲート電極(第1電極)としての多結晶シリコン膜23aと、その上の第2ゲート酸化膜25aと、第1シリコン窒化膜27aと、ゲート電極30c(第2電極)とが積層された構造を有している。多結晶シリコン膜23aと、ゲート電極30cとを合わせて、EPROM全体のゲート電極と定義する。
ここでは圧力センサ領域16のn型の拡散層固定電極18(固定電極)が、シリコン基板11内のn型ウェル領域13(拡散層)と同一の層として形成されている。
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態5の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
次に、図78〜88、図77および図55〜図75中の奇数番号の各図を用いて、以上に述べた本実施の形態の検出用圧力センサ1010とMOS回路とを有する半導体圧力センサ(半導体圧力センサ装置10)について説明する。
図78および図55を参照して、図5および図6と同様に、たとえばp型のシリコン基板が用意され、まずシリコン基板11の表面に、検出用圧力センサ1010が形成される圧力センサ領域16と、メモリセルトランジスタなどのMOS回路が形成されるMOS領域17とが規定される。圧力センサ領域16にはp型ウェル領域12および拡散層固定電極18が、MOS領域17にはn型ウェル領域13およびp型ウェル領域14が形成される。
具体的には、図5および図6の工程と同様にレジストマスク(図示せず)が形成され、そのレジストマスクを注入マスクとして用い、n型ウェル領域13および拡散層固定電極18を形成するためのn型の不純物(たとえばリン)が形成される。その後、所定の条件のもとでアニール処理などがなされることにより、シリコン基板11の表面からシリコン基板11内に、圧力センサ領域16においては固定電極としての拡散層固定電極18が、MOS領域17においてはn型ウェル領域13が、同一工程により(拡散層として)形成される。
図52および図53(図7および図8)の工程と同様の処理がなされることにより、所望の領域にフィールド酸化膜15,19および下敷酸化膜21が形成される。ただし下敷酸化膜21は、チャネルストッパ20の形成後に除去される。
圧力センサ領域16およびMOS領域17に第1導電膜を形成し、当該第1導電膜をパターニングさせる工程へと進む。ここでは圧力センサ領域16における導電膜23cと、MOS領域17におけるEPROMのフローティングゲート電極となる多結晶シリコン膜23aとが、同じ材料によって同一の層として形成される。
具体的には、MOS領域17の図55の工程において、MOS領域17には第1ゲート酸化膜22が形成されるが、これと同時に、圧力センサ領域16にはいったん、露出したシリコン基板11の表面またはフィールド酸化膜19の表面上に第1ゲート酸化膜22(図示せず)が形成される。
次に、第1ゲート酸化膜22を覆うように多結晶シリコン膜(第1導電膜)が形成され、これに導電性不純物が注入されさらにパターニングされる。これにより、圧力センサ領域16では、パターニングされた多結晶シリコン膜からなる、導電膜23c(図示せず)が形成される。また一方のMOS領域17では、EPROMのフローティングゲート電極(第1電極)となる多結晶シリコン膜23aのパターン(膜厚50〜300nm程度)が形成される。導電膜23cのパターンは、フィールド酸化膜19上に乗り上げるように形成されることが好ましい。その後、レジストマスクは除去され、圧力センサ領域16の第1ゲート酸化膜22および導電膜23cは除去される。以上によりMOS領域17に多結晶シリコン膜23aのパターンが形成される。
その後、図9および図10の工程と同様に、第2ゲート酸化膜25a、第1シリコン窒化膜27a、第1保護膜25b(第1固定電極保護膜25bと同一材料)、第2保護膜27b(第2固定電極保護膜27bと同一材料)が形成され、かつMOS領域17のトランジスタの閾値電圧を制御するための所定の不純物が注入される。
図79および図57を参照して、次に、図11および図12の工程と同様に、(MOS領域17の所定領域における第1ゲート酸化膜22a、第2ゲート酸化膜25aおよび第1シリコン窒化膜27aが除去された上で)第3ゲート酸化膜29a,29bが形成される。
図80および図59を参照して、次に、図13および図14の工程と同様に、圧力センサ領域16およびMOS領域17に第2導電膜としての導電膜30が形成される。
次に、図13および図14の工程と同様に、導電膜30がパターニングされることにより、EPROMのゲート電極がパターニングされる。これにより、MOS領域17においてEPROMのフローティングゲート電極23aの上方に配置されるゲート電極30c(第2電極:導電膜パターン)が形成される。これにより、ゲート電極30cを含む、EPROMのゲート電極が形成される。
図81および図61を参照して、次に、図15および図16の工程と同様に、圧力センサ領域16における導電膜30のパターニングにより、犠牲膜としての導電膜30dのパターン(導電膜パターン)が形成される。またMOS領域17における導電膜30のパターニングの結果、実施の形態1と同様に、nチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極30bと、pチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極30aとが形成される。圧力センサ領域16においては導電膜30dを覆うように、またMOS領域17においてはゲート電極30a,30b,30cを覆うように、図15および図16と同様に、薄い酸化膜32が形成される。
なお導電膜30dのパターンを形成する工程においては、導電膜30dはこれが開口された部分を形成するように、つまり図81の左右方向に関して複数のパターンに分割されるように形成される。たとえば図81の左右方向の中央部の、フィールド酸化膜19の上に導電膜30dが除去されその真下の表面が露出されるように開口された部分が形成されている。このように犠牲膜のパターンは、あらかじめ開口された部分を有するように形成される。
図82および図63を参照して、次に、図17および図18の工程と同様に、ゲート電極30a,30b,30cおよび導電膜30dにサイドウォール酸化膜34が形成され、さらにその後、ゲート電極30a,30b,30c、導電膜30dを覆うように薄いシリコン酸化膜35が形成される。この薄いシリコン酸化膜35は、上記の第3ゲート酸化膜29bおよび薄い酸化膜32と一体となるように形成されるため、図82および図63においては第3ゲート酸化膜29bおよび薄い酸化膜32が消失している。
図83および図65を参照して、図19および図20の工程と同様に、シリコン酸化膜35を覆うようにTEOS系の酸化膜38が形成され、そのTEOS系の酸化膜38を覆うように、圧力センサ領域16において、(導電膜30dの上に)可動電極39が形成される。
ここでも実施の形態1と同様に、可動電極39の形成工程はたとえばMOS領域17の一部の領域と同一の層として成膜することなく、可動電極39のみを形成する工程として独立している。また可動電極39を形成するための多結晶シリコン膜の形成時には、犠牲膜(導電膜30d)が開口された部分(図78のフィールド酸化膜19の真上など)を上方から埋めるように成膜される。これにより、導電膜30dが開口された部分においては、可動電極39と同一の多結晶シリコン膜が可動電極39に対して図の下方に突出するように形成される。このように多結晶シリコン膜が下方に突出した部分は、アンカー部分すなわち検出用アンカー101として形成され、可動電極39を下方から支持することができる。導電膜30dが開口された部分を埋めるように形成された領域を少なくともその一部に含むように、検出用アンカー101が形成される。
以上により、圧力センサ領域16において、拡散層固定電極18のうち特にフィールド酸化膜19に囲まれた固定電極用平坦領域108を固定電極とし、かつこれに対向する可動電極39を有する構成が形成される。
図84および図67を参照して、図21および図22の工程と同様に、TEOS系の酸化膜38および可動電極39を覆うように、第1層間絶縁膜40(層間絶縁膜)が形成され、コンタクトホール41a,41bが形成される。
図85および図69を参照して、図23および図24の工程と同様に、配線43a,43bが形成され、それらを覆うように、第2層間絶縁膜45(層間絶縁膜)が形成される。
図86および図71を参照して、図25および図26の工程と同様に、エッチングホールを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そのレジストマスクをエッチングマスクとして、圧力センサ領域16の第1および第2層間絶縁膜(層間絶縁膜)の部分に、犠牲膜である導電膜30dに達するようにエッチング処理が施される。これにより、圧力センサ領域16では、可動電極39の外側に、犠牲膜をエッチングするためのエッチングホール46(ホール)が形成される。その後、レジストマスクが除去される。
次に、エッチングホール46を用いてウェットエッチング処理を施すことにより、多結晶シリコン膜の犠牲膜としての導電膜30dが除去される。これにより、導電膜30dが形成されていた領域すなわち第1保護膜27bと薄いシリコン酸化膜35とに挟まれる領域には空隙50が形成される。このエッチング処理には、たとえばウェットエッチングのTMAHが用いられる。
このように、本実施の形態においても、可動電極39の上に第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45が形成された後に、また配線43a,43bが形成された後に、犠牲膜としての導電膜30dがエッチングされる。
図87および図73を参照して、図27および図28の工程と同様に、第1封止膜49と第3層間絶縁膜49b(同一の層)とが圧力センサ領域16およびMOS領域17の全面に成膜される。たとえばプラズマCVD法を用いて圧力センサ領域16に形成される第1封止膜49(封止部)がエッチングホール46の少なくとも一部(たとえば内壁面)を塞ぐ。これにより空隙50は減圧された真空室51となるとともに、真空室51はエッチングホール46内の第1封止膜49により外側から塞がれ、外部に対して封止された空間となる。
図88および図75を参照して、図29および図30の工程と同様に、圧力センサ領域16の第2層間絶縁膜45および第1層間絶縁膜40の部分に圧力センサ開口部54(開口部)が形成されて可動電極39が露出する。またMOS領域17においては配線43aが露出した状態となったパッド開口部61が形成される。
図77および図49を再度参照して、その後、実施の形態1と同様に、第1封止膜49および第3層間絶縁膜49bを覆うように、パッシベーション膜となるシリコン窒化膜(図示せず)が形成される。これが実施の形態1と同様にパターニングされることにより、MOS領域17では保護膜としてのパッシベーション膜52aが形成され、圧力センサ領域16ではエッチングホール46をさらに塞ぐ第2封止膜52bが形成される。真空室51は、第1封止膜49と第2封止膜52bとによって二重に封止される。
以上のように、特に図88および図77を参照して、本実施の形態の製造方法によれば、検出用アンカー101が、可動電極39を複数の可動電極単体102に区画することにより、区画された複数の可動電極単体102のうち互いに隣り合う1対の可動電極単体102が同一の検出用アンカー101を共有するように形成される。
なお、これ以外の本実施の形態の製造方法の工程は、実施の形態1の製造方法の工程とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
次に、(特に実施の形態1〜4と比較しながら)本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態においては、基本的に実施の形態1と同様の作用効果のほかに、以下の各作用効果を奏する。
本実施の形態においても、実施の形態5と同様に、圧力センサ領域16の固定電極が、シリコン基板11の表面からシリコン基板11内に形成された拡散層固定電極18として形成される。拡散層固定電極18は、MOS領域17の拡散層であるn型ウェル領域13と同一の層として形成される。このため、犠牲膜がゲート電極30cと同一の層として形成されるとはいえ、圧力センサ領域16にMOS領域17のフローティングゲート電極と同一の層を形成する必要がなくなる。また本実施の形態においても、実施の形態5と同様に、固定電極がシリコン基板11内に形成されるため、実施の形態1のように圧力センサが形成される領域においてフィールド酸化膜19が厚く形成される態様とする必要がなくなる。
したがって本実施の形態においても、圧力センサ領域16における検出用圧力センサ1010のシリコン基板11に対する高さを、実施の形態1に比べて低くすることができる。
また本実施の形態においても、検出用アンカー101はフィールド酸化膜19の真上に形成されている。このため実施の形態5と同様に、圧力センサの形成領域以外における寄生容量を小さくすることができる。
なお本実施の形態においても、実施の形態1〜4にて述べた各構成を適宜組み合わせて適用してもよい。たとえば上記においては検出用アンカー101について説明しているが、参照用アンカー100についても本実施の形態をそのまま適用可能である。
(実施の形態7)
図89および図90を参照して、本実施の形態の半導体圧力センサ装置10においては、特に圧力センサ領域(検出用圧力センサ1010)において基本的に実施の形態6の半導体圧力センサ装置10と同様の構成を有している。しかし本実施の形態においては、検出用圧力センサ1010はMOS領域17の(図49に示す)フローティングゲート電極としての多結晶シリコン膜23aと同一の層としての固定電極23bが形成されている。MOS領域17の(図49に示す)ゲート電極30cと同一の層としての導電膜30d(犠牲膜)が除去されることにより真空室51が形成されている。
固定電極23bは、シリコン基板11の表面のシリコン基板11内に形成されたたとえばn型の不純物領域18(実施の形態5,6の拡散層固定電極18に相当)の表面(実施の形態5,6の固定電極用平坦領域108に相当する領域)の上に、第1ゲート酸化膜22を介在して形成されている。この固定電極23bは、正規の圧力センサを構成する領域108の表面上から、図90の中央部のフィールド酸化膜19の真上に乗り上げることにより、当該フィールド酸化膜19上の検出用アンカー101によって区画された複数(2つ)の可動電極単体102と重なる領域間を繋ぐように連続している。
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態6の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
本実施の形態においても、基本的には実施の形態6と同様の作用効果を奏する。また本実施の形態の構成上の特徴についても、実施の形態1〜4にて述べた各構成を適宜組み合わせて適用してもよい。たとえば上記においては検出用アンカー101について説明しているが、参照用アンカー100についても本実施の形態をそのまま適用可能である。
(実施の形態8)
本実施の形態の半導体圧力センサ装置10を構成する検出用圧力センサ1100は圧力センサの一例であるが、実施の形態1の検出用圧力センサ1010とは以下に述べる点において異なっている。
図91〜図94を参照して、本実施の形態の第1例における半導体圧力センサ装置10は、圧力センサとして、検出用圧力センサ1100(図91,92)と、参照用圧力センサ1000(図93,94)とが(たとえば図32に示すように横に並ぶように)組み合わせられた構成を有している。
図91を参照して、検出用圧力センサ1100は、基本的に実施の形態1の検出用圧力センサ1010と同様の構成を有している。すなわち検出用圧力センサ1010は各可動電極単体102を区画する検出用アンカー101(第1のアンカー)を有している。しかし検出用圧力センサ1100は検出用アンカー101に加え、各可動電極単体102内において、可動電極39がアンカー部分としての検出用中央アンカー110(第2のアンカー)を有している。
具体的には、図92を参照して、検出用圧力センサ1100には検出用アンカー101に加え、可動電極単体102内(たとえば中央部)に検出用中央アンカー110が形成されている。
検出用中央アンカー110の構成は基本的に検出用アンカー101と同様であり、空隙としての真空室51が開口された部分を可動電極39が埋めるように下方(シリコン基板11側)に延びる態様を有している。ただし検出用中央アンカー110は、真空室51の開口された部分が可動電極単体102を区画する端部として形成されるのではなく、可動電極単体102内に平面状(ある一点を中心にある面積分だけ広がるように伸びる形状)の平面形状を構成するように形成される。検出用中央アンカー110は、平面視において最大の寸法(円形であれば直径、正方形であれば1辺など)が概ね4μm以上であることが好ましい。その結果、当該検出用中央アンカー110は可動電極単体102内においてたとえば柱状に形成されている。
図93および図94を参照して、参照用圧力センサ1000は、実施の形態2の参照用圧力センサ1000と同様に、各可動電極単体102を区画する検出用アンカー101(第1のアンカー)に加え、各可動電極単体102内において、可動電極39がアンカー部分としての参照用アンカー100(第2のアンカー)を有している。この参照用圧力センサ1000の構造は、参照用アンカー100の平面形状が八角形状である点を除いて、これが矩形の平面形状を有する実施の形態2と異なっているが、基本的に実施の形態2(図31,33)と同様であるため詳細な説明を省略する。
本実施の形態の第1例においては、検出用圧力センサ1100の可動電極単体102内におけるアンカー部分すなわち検出用中央アンカー110の面積よりも、参照用圧力センサ1000の可動電極単体102内におけるアンカー部分すなわち参照用アンカー100の面積の方が大きくなっている。このため図93および図94においては各可動電極単体102内に1つずつの参照用アンカー100が形成されているが、各可動電極単体102内に複数の参照用アンカー100が形成されてもよい。
図91,92,95,96を参照して、本実施の形態の第2例における半導体圧力センサ装置10は、圧力センサとして、検出用圧力センサ1100(図91,92)と、参照用圧力センサ1000(図95,96)とが(たとえば図32に示すように横に並ぶように)組み合わせられた構成を有している。検出用圧力センサ1100の構成については上記本実施の形態の第1例と同様であるため、詳細な説明を省略する。
図95および図96を参照して、参照用圧力センサ1000は、各可動電極単体102を区画する検出用アンカー101(第1のアンカー)に加え、各可動電極単体102内において、可動電極39がアンカー部分としての検出用中央アンカー110(第2のアンカー)を有している。この検出用中央アンカー110の構造は、上記本実施の形態の第1例の検出用中央アンカー110と同様の柱状(ある一点を中心にある面積分だけ広がるように伸びる平面形状を有し、かつ厚み方向下方に延びる柱状)となっている。
本実施の形態の第2例においても、検出用圧力センサ1100の可動電極単体102内におけるアンカー部分すなわち検出用中央アンカー110の面積よりも、参照用圧力センサ1000の可動電極単体102内におけるアンカー部分すなわち検出用中央アンカー110の面積の方が大きくなっている。このため、参照用圧力センサ1000の可動電極単体102内には、検出用圧力センサ1100の可動電極単体102内よりも多くの複数(ここでは5つずつ)の検出用中央アンカー110が形成されている。
以上の各点について、本実施の形態の各例は上記の各実施の形態と異なるが、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。基本的に上記の各実施の形態の作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
本実施の形態においては、検出用圧力センサ1100の可動電極単体102内にも、参照用圧力センサ1000の可動電極単体102内と同様に、犠牲膜が開口された部分を可動電極39が埋める構成を有するアンカー部分(検出用中央アンカー110)が形成されている。このため検出用圧力センサ1100は、可動電極単体102内にアンカー部分を有さない検出用圧力センサ1000に比べて、可動電極39に加わる圧力変化による可動電極39と固定電極23bとの距離が変化しても圧力センサのセンサ容量の値の変化を直線的にすることができる。言い換えれば、可動電極39と固定電極23bとの距離の変化によるセンサ容量の値の急激な変化を抑制することができる。
ただし検出用圧力センサ1100は可動電極単体102内にアンカー部分を有するため、検出用圧力センサ1010に比べて、可動電極39に加わる圧力の変化に対する感度が低くなる。このため参照用圧力センサ1000の可動電極単体102内のアンカー部分の面積を検出用圧力センサ1100の可動電極単体102内のアンカー部分の面積よりも大きくする。このようにすれば、参照用圧力センサ1000においても検出用圧力センサ1100と同様に圧力変化に対して容量値を変化しにくくすることができる。参照用圧力センサ1000の可動電極単体102内のアンカー部分の面積を検出用圧力センサ1100の可動電極単体102内のアンカー部分の面積よりも大きくする方法としては、図93のようにたとえば環状の参照用アンカー100を(複数)形成してもよいし、図95のようにたとえば柱状の検出用中央アンカー110を(複数)形成してもよい。
本実施の形態の構成上の特徴についても、実施の形態1,3〜6にて述べた各構成を適宜組み合わせて適用してもよい。たとえば上記においては固定電極23bはEPROMのフローティングゲート電極としての多結晶シリコン膜23aと同一の層として形成しているが、実施の形態5,6と同様に、固定電極がEPROMの形成されるn型ウェル領域13と同一の層として形成されてもよい。
(実施の形態9)
以上に述べた、可動電極39が検出用アンカー101により複数の可動電極単体102に区画される構成の圧力センサを有する半導体圧力センサ装置10においては、可動電極単体102が以下のような構成を有していてもよい。
図97および図98を参照して、本実施の形態の第1例および第2例の可動電極単体102は、基本的に図1および図4に示す実施の形態1の可動電極単体102と同様の構成を有しているが、1つの可動電極単体102から複数(図97では2つ、図98では4つ)の引出し領域103が伸びている。この点において本実施の形態は、1つの可動電極単体102から1つの引出し領域103のみが伸びている上記の他の実施の形態と異なっている。
より具体的には、図97を参照して、本実施の形態の第1例においては、可動電極単体102の右側の端部に、図97の上下方向に関して互いに間隔をあけて2つの引出し領域103が伸びており、それぞれの引出し領域103にエッチングホール46が形成されている。
一方、図98を参照して、本実施の形態の第2例においては、平面視において可動電極単体102の中心線lに対して互いに対称となるように、可動電極単体102の互いに対向する右側および左側の端部に、図98の上下方向に関して互いに間隔をあけて2つずつ、合計4つの引出し領域103が伸びており、それぞれの引出し領域103にエッチングホール46が形成されている。したがってそれぞれのエッチングホール46は、中心線lに対して互いに対称となる位置に形成されている。
この点において本実施の形態は上記の各実施の形態と異なっているが、他の点については基本的に上記の各実施の形態と同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。基本的に上記の各実施の形態の作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
たとえば図97のように、可動電極単体102の平面視における一方向(右側)側に複数のエッチングホール46を複数形成することにより、エッチングホール46に連通される犠牲膜のエッチングホール46を介したエッチング除去がより短時間でなされる。これは各可動電極単体102当たりのエッチングホール46の数が実施の形態1などに比べて増えるためである。
また図98のように可動電極単体102の中心線lに対して互いに対称な位置に複数のエッチングホール46が形成されれば、各可動電極単体102当たりのエッチングホール46の数が増えるとともに、平面視におけるエッチングホール46の配置位置のバランスが良好となる。このため犠牲膜を除去する効率がさらに良くなり、犠牲膜を除去するために要する時間をより短縮させることができる。このためエッチングホール46を形成する工程における(エッチング時の)保護膜の厚みを薄くすることができる。
以上に述べた各実施の形態の開示内容は、たとえ上記において明記されていなくても、技術的に矛盾しなければ、適宜組み合わせることが可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。