JP5649474B2 - 静電容量型圧力センサおよび静電容量型圧力センサの製造方法 - Google Patents
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Description
このような圧力センサは、たとえば、基板を部分的に薄く加工して形成されたダイヤフラムを受圧部として備え、ダイヤフラムが圧力を受けて変形するときに発生する応力や変位を検出する。
特許文献1に記載の圧力センサを製造するためには、まず、第1の基板の表面に、所定領域を取り囲むようにLOCOS酸化膜を形成し、このLOCOS酸化膜の表面に対して第2の基板を接合する。これにより、前記所定領域には、2枚の基板の間に空間が形成される。そして、第1の基板において、LOCOS酸化膜が形成された表面とは反対側の表面を、LOCOS酸化膜が露出するまで切削研磨する。この結果、第1の基板においてLOCOS酸化膜に取り囲まれた残存部分が、ダイヤフラムとなる。
また、1つの圧力センサを製造するために2枚の基板を用いる分だけ、圧力センサの製造工程数が増えてしまう。特に、2枚の基板で静電容量型圧力センサを製造するためには、ダイヤフラムを有する第1の基板と、空間を挟んでダイヤフラムに対向する部分を有する第2の基板との両方に電極を形成しなければならない。
また、本発明の別の目的は、低コストかつ小型な静電容量型圧力センサを簡単に製造することができる静電容量型圧力センサの製造方法を提供することである。
また、1枚の半導体基板によって静電容量型圧力センサが構成されることから、2枚の半導体基板を接合することで静電容量型圧力センサを構成する場合に比べて、静電容量型圧力センサを小型にすることができる。
また、本発明の静電容量型圧力センサの製造方法は、半導体基板において、前記半導体基板の表面の所定の領域を取り囲む環状トレンチを形成するトレンチ形成工程と、前記環状トレンチに分離絶縁層を埋め込むトレンチ埋め込み工程と、前記所定の領域に所定の深さの孔を形成する工程と、前記孔内にエッチング剤を導入して前記孔の下の基板材料をエッチングすることにより、前記孔の下方に、前記分離絶縁層が露出される基準圧室を形成し、前記基準圧室の上方にダイヤフラムを形成するエッチング工程と、前記孔内に埋め込み材を配置する工程とを含む。
また、孔内に埋め込み材を配置することによって、孔の下の基準圧室を密閉することができる。これにより、完成した静電容量型圧力センサは、基準圧室内の圧力を基準圧力としておくことにより、ダイヤフラムが受ける圧力を基準圧力に対する相対的な圧力として検出することができる。より具体的には、ダイヤフラムは、基準圧室側の圧力と、基準圧室とは反対側の圧力との差に応じて変形する。これにより、ダイヤフラムと、基準圧室の底面との間の距離が変化する。その結果、ダイヤフラムと、基準圧室の底面との間の静電容量が変化する。この静電容量を検出することによって、ダイヤフラムが受ける圧力を検出できる。
この場合、静電容量型圧力センサが完成すると、環状トレンチに埋め込まれた分離絶縁層が、基準圧室の底面よりも浅い位置まで半導体基板内に延びて、基準圧室よりも狭い領域を区画する。換言すれば、基準圧室は、分離絶縁層よりも広い領域にわたって形成される。その結果、分離絶縁層の外周領域に外周膜が形成されるので、ダイヤフラム、分離絶縁層および外周膜を含む可動膜が形成される。この可動膜はダイヤフラムよりも大きく、ダイヤフラムをその中央領域に有することになる。したがって、分離絶縁層に区画されたダイヤフラムの変位量が大きくなるので、その分、微小な圧力変動に対するダイヤフラムの応答性が良くなる。そのため、静電容量型圧力センサの感度を向上できる。
孔の側壁に側壁絶縁層が予め形成されるので、孔内に導入されるエッチング剤が孔の側壁(ダイヤフラム部分)をエッチングしてしまうことを防止できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る圧力センサの製造過程で用いられるシリコン基板の概略平面図である。
1枚の低抵抗のシリコン基板2(半導体基板)上に、多数の圧力センサ1が一括して形成される。圧力センサ1は、シリコン基板2に規則的に配列された複数の矩形領域3にそれぞれ形成される。図1の例では、各矩形領域3は、平面視略正方形状であり、互いに間隔を開けて行列状に配列されている。矩形領域3の形状はこれに限るものではなく、たとえば略長方形状であってもよい。低抵抗のシリコン基板2は、具体的には、P型またはN型の不純物を添加しながら結晶成長させたシリコンからなる。シリコン基板2は、たとえば、比抵抗が5〜25mΩ・cmのものであることが好ましい。
図3(a)に示すように、個々の圧力センサ1は、矩形領域3に相当する大きさのシリコン基板2を含んでいる。シリコン基板2の表面4は、被覆層5で被覆されている。さらに、被覆層5の表面には、絶縁層6が形成されている。被覆層5および絶縁層6は、たとえば、いずれも、酸化シリコン(SiO2)からなる。シリコン基板2の裏面7は、露出面である。
分離絶縁層10は、平面視でダイヤフラム9を区画する円環状の縦壁である。分離絶縁層10の内周縁とダイヤフラム9の輪郭Lとは一致している(図2参照)。
分離絶縁層10は、シリコン基板2の表面4の被覆層5から連続して、基準圧室8の底面よりも浅い位置(基準圧室8の天面から下側へ少しはみ出た位置)までシリコン基板2内に延びている。分離絶縁層10は、シリコン基板2の厚さ方向に対する直交方向において、基準圧室8よりも狭い領域を区画している。換言すれば、基準圧室8が分離絶縁層10よりも広い領域にわたって形成されている。これにより、分離絶縁層10の外周領域(ダイヤフラム9とは反対側の外側領域)が、ダイヤフラム9と略等しい膜厚を有する外周膜状部22となる。したがって、ダイヤフラム9、分離絶縁層10および外周膜状部22を含む可動膜23が構成されている。可動膜23は、ダイヤフラム9と略等しい膜厚を有する薄膜である。可動膜23は、全体が基準圧室8との対向方向に変位可能である。ダイヤフラム9は、可動膜23の中央領域に位置にしているので、ダイヤフラム9の変位量は可動膜23の中で最も大きい。
ダイヤフラム9には、平面視円形の貫通孔12が、ダイヤフラム9の輪郭L(換言すれば、分離絶縁層10の内周縁)よりも内側の全域にわたって、所定の等間隔を隔てて多数形成されている(図2参照)。この実施形態では、複数の貫通孔12は、平面視において規則配列されている。全ての貫通孔12は、シリコン基板2における表面4の被覆層5と基準圧室8との間の部分(被覆層5も含む)を貫通し、基準圧室8に連通している。各貫通孔12の直径は、この実施形態では、たとえば、0.5〜1μmである。また、各貫通孔12の深さは、この実施形態では、たとえば、3〜5μmである。
図3(a)に示すように、第1金属配線16、第2金属配線17、第1金属端子18および第2金属端子19は、窒化シリコン(SiN)からなるパッシベーション膜20により被覆されている。ただし、第1金属端子18は、図3(a)の切断面には表れていない。パッシベーション膜20には、第1金属端子18および第2金属端子19をそれぞれパッドとして露出させる開口21が形成されている。図2では、パッシベーション膜20の図示が省略されている。
絶縁層6の表面には、ソース側金属配線35およびドレイン側金属配線36を覆うように、パッシベーション膜20が形成されている。ここでは、集積回路領域27に配置された構成要素群を集積回路部28と呼ぶ。
圧力センサ1を製造するには、図4Aに示すように、シリコン基板2(ウエハ)が準備される。この時点でのシリコン基板2の厚さは、この実施形態では、約300μmである。具体的には、直径が6インチで厚さが約625μmのシリコン基板2、または、直径が8インチで厚さが約725μmのシリコン基板2のいずれかを選択して、300μmまで薄くした後の状態が、図4Aに示されている。
次いで、このレジストパターン(図示せず)をマスクとするプラズマエッチングにより、被覆層5が選択的に除去される。図4Bでは、プラズマエッチングが終了した状態が示されており、被覆層5には、円環状の開口41が形成されている。
次いで、レジストパターン45をマスクとする異方性のディープRIEにより、シリコン基板2が掘り下げられる。
次いで、図4I(a)に示すように、シリコン基板2の表面4側から各貫通孔12内にエッチング剤が導入される(等方性エッチング)。たとえば、プラズマエッチング等のドライエッチングを適用する場合にはエッチングガスが貫通孔12に導入される。また、ウェットエッチングを適用する場合にはエッチング液が貫通孔12に導入される。これにより、被覆層5と各貫通孔12の内側面の保護薄膜13とをマスクとして、シリコン基板2における各貫通孔12の下(厳密には、各貫通孔12の底の周囲)の基板材料が等方的にエッチングされる。具体的には、各貫通孔12の底を起点として、シリコン基板2が、その厚さ方向と、厚さ方向に直交する方向とにエッチングされる。さらに、シリコン基板2では、環状トレンチ42(分離絶縁層10)の下方側において、環状トレンチ42より広い領域がエッチングされる。
また、等方性エッチングの結果、各貫通孔12の底の周囲の基板材料がエッチングされる。これにより、基準圧室8が完成した状態で、各貫通孔12の内壁に形成された筒状の保護薄膜13の底側の部分は、ダイヤフラム9から基準圧室8内に突出し、基準圧室8の底面に対して、所定の間隔を隔てて上から対向している。また、分離絶縁層10の下端部も、ダイヤフラム9から基準圧室8内に突出し、基準圧室8の底面に対して、所定の間隔を隔てて上から対向している。そのため、基準圧室8は、完全な円筒形状ではなく、その天面部分において、各貫通孔12および分離絶縁層10の位置で内側(下側)に凹んでいる。
まず、図4Kに示すように、シリコン基板2の被覆層5の表面に、窒化シリコン(SiN)からなる窒化膜48が形成される。
次いで、残った窒化膜48をマスクにして、その周囲のシリコン基板2の表面部を酸化して窒化膜48の周りにLOCOS層29を形成する。その後、窒化膜48およびその下の被覆層5を除去して、前述したゲート酸化膜32をたとえば熱酸化法によって新たに形成する。ゲート酸化膜32が形成された状態が、図4M(b)に示されている。シリコン基板2においてゲート酸化膜32が形成された領域(LOCOS層29によって分離された領域)が、集積回路領域27となる。
次いで、図4O(b)に示すように、シリコン基板2の表面上に、レジストパターン51が形成される。レジストパターン51は、集積回路領域27に対応した1つの開口52を有している。そして、シリコン基板2の表層部に、レジストパターン51およびゲート電極33をマスクとして、不純物(たとえば、砒素(As)イオン)が注入される。これにより、集積回路領域27におけるシリコン基板2の表層部には、ゲート電極33を挟んで対向する領域にソース30とドレイン31とが形成される。
次いで、図3(a)に示すように、フォトリソグラフィにより、開口(コンタクトホール)53が、絶縁層6および被覆層5を貫通するように形成される。コンタクトホール53は、ダイヤフラム9の一部を露出させる位置に形成される。同時に、別のコンタクトホール53が、絶縁層6および被覆層5を貫通するように形成される。このコンタクトホール53は、残余部分11の一部を露出させる位置に形成される。同時に、図3(b)に示すように、ソース30およびドレイン31のためのコンタクトホール54が形成される。コンタクトホール54は、絶縁層6およびゲート酸化膜32を貫通して、ソース30およびドレイン31の各一部を露出させるように形成される。なお、図示していないが、同じ工程において、ゲート電極33につながるコンタクトホールが、絶縁層6を貫通するように形成される。
次いで、フォトリソグラフィにより、アルミニウム堆積膜55上にレジストパターン(図示せず)が形成され、その後、このレジストパターンをマスクとするプラズマエッチングにより、アルミニウム堆積膜55が選択的に除去される。これにより、第1金属配線16、第2金属配線17、第1金属端子18および第2金属端子19が同時に形成される(図2参照)。この際、第1金属配線16は、対応するコンタクトホール53を介してダイヤフラム9に接続され、第2金属配線17は、対応するコンタクトホール53を介して残余部分11に接続される。同時に、集積回路部28のソース30、ドレイン31およびゲート電極33のそれぞれにつながる金属配線(前述したソース側金属配線35やドレイン側金属配線36等)や金属端子(図示せず)も形成される。その後、このレジストパターンは、剥離される。
以上により、図2および図3に示す圧力センサ1が得られる。パッシベーション膜20に開口56を形成して開口56からダイヤフラム9を露出させるのは、ダイヤフラム9を撓みやすくするためである。ダイヤフラム9上にパッシベーション膜20が存在すると、ダイヤフラム9が撓みにくくなり、圧力センサ1の感度が下がる。
また、環状トレンチ42に埋め込まれた分離絶縁層10が、基準圧室8の底面よりも浅い位置までシリコン基板2内に延びて、基準圧室8よりも狭い領域を区画する。換言すれば、基準圧室8は、分離絶縁層10よりも広い領域にわたって形成される。その結果、分離絶縁層10の外周領域(ダイヤフラム9とは反対側の外側領域)に外周膜状部22が形成されるので、ダイヤフラム9、分離絶縁層10および外周膜状部22を含む可動膜23が形成される。この可動膜23はダイヤフラム9よりも大きく、ダイヤフラム9をその中央領域に有することになる。したがって、分離絶縁層10に区画されたダイヤフラム9の変位量が大きくなるので、その分、微小な圧力変動に対するダイヤフラム9の応答性が良くなる。そのため、圧力センサ1の感度を向上できる。
また、ダイヤフラム9に第1金属配線16を接続し、シリコン基板2において分離絶縁層10によってダイヤフラム9から絶縁された残余部分11に第2金属配線17を接続することにより、残余部分11の固定電極11Aおよびダイヤフラム9のそれぞれを電極とする簡素な構成の静電容量型圧力センサ1を簡単に製造することができる。
また、シリコン基板2において基準圧室8が形成される領域以外の集積回路領域27に集積回路部28を形成すれば、圧力センサ1および集積回路部28を同一のシリコン基板2(厳密には、同一の矩形領域3)に形成することができる(図2および図3(b)参照)。
たとえば、ダイヤフラム9の形状に関し、四角形状(四隅が直角であってもよいし、丸められていてもよい)の方が、円形状よりも感度が高い。その理由として、四角形状の方が、四隅の分だけ円形状よりも面積が大きいことが挙げられる。ダイヤフラム9の面積が大きくなるほどダイヤフラム9が撓みやすくなり、その分、ダイヤフラム9と固定電極11Aとの間隔(基準圧室8の深さ)が変化しやすくなるので、圧力センサ1の感度が高くなる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
2 シリコン基板
4 表面
8 基準圧室
9 ダイヤフラム
10 分離絶縁層
11 残余部分
12 貫通孔
13 保護薄膜
14 充填体
16 第1金属配線
17 第2金属配線
27 集積回路領域
28 集積回路部
42 環状トレンチ
Claims (10)
- 内部に基準圧室が形成された半導体基板と、
前記半導体基板の一部からなり、前記基準圧室を区画するように前記半導体基板の表層部に形成され、前記基準圧室に連通した貫通孔が形成されたダイヤフラムと、
前記貫通孔内に配置された埋め込み材と、
前記ダイヤフラムの周囲を取り囲んで前記基準圧室に露出され、当該ダイヤフラムを前記半導体基板の他の部分から分離する分離絶縁層とを含む、静電容量型圧力センサ。 - 前記ダイヤフラムに接続された第1配線と、
前記半導体基板において前記分離絶縁層によって前記ダイヤフラムから絶縁された部分に接続された第2配線とをさらに含む、請求項1に記載の静電容量型圧力センサ。 - 前記分離絶縁層が、前記基準圧室の底面よりも浅い位置まで前記半導体基板内に延びており、前記基準圧室よりも狭い領域を区画している、請求項1または2に記載の静電容量型圧力センサ。
- 前記貫通孔の側壁を覆うように筒状に形成され、前記ダイヤフラムから前記基準圧室内に突出した側壁絶縁層をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の静電容量型圧力センサ。
- 前記半導体基板に形成された集積回路デバイスを有する集積回路部をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の静電容量型圧力センサ。
- 半導体基板において、前記半導体基板の表面の所定の領域を取り囲む環状トレンチを形成するトレンチ形成工程と、
前記環状トレンチに分離絶縁層を埋め込むトレンチ埋め込み工程と、
前記所定の領域に所定の深さの孔を形成する工程と、
前記孔内にエッチング剤を導入して前記孔の下の基板材料をエッチングすることにより、前記孔の下方に、前記分離絶縁層が露出される基準圧室を形成し、前記基準圧室の上方にダイヤフラムを形成するエッチング工程と、
前記孔内に埋め込み材を配置する工程とを含む、静電容量型圧力センサの製造方法。 - 前記トレンチ形成工程は、前記環状トレンチを、前記半導体基板において前記基準圧室の底面となる予定の部分より浅くなるように形成する工程を含み、
前記エッチング工程は、前記基準圧室が前記環状トレンチの下方で前記環状トレンチよりも広い領域に至るように、前記孔の下の基板材料を等方性エッチングする工程を含む、請求項6に記載の静電容量型圧力センサの製造方法。 - 前記ダイヤフラムに第1配線を接続する工程と、
前記半導体基板において前記分離絶縁層によって前記ダイヤフラムから絶縁された部分に第2配線を接続する工程とをさらに含む、請求項6または7に記載の静電容量型圧力センサの製造方法。 - 前記エッチング工程は、
前記孔の側壁に側壁絶縁層を形成する工程と、
前記孔内にエッチング剤を導入して前記半導体基板の材料を等方性エッチングする工程とを含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載の静電容量型圧力センサの製造方法。 - 前記半導体基板において前記基準圧室が形成される領域以外の領域に集積回路デバイスを形成する工程をさらに含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載の静電容量型圧力センサの製造方法。
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