JP6432967B2 - 溶解性コラーゲン線維多孔体 - Google Patents

溶解性コラーゲン線維多孔体 Download PDF

Info

Publication number
JP6432967B2
JP6432967B2 JP2014099086A JP2014099086A JP6432967B2 JP 6432967 B2 JP6432967 B2 JP 6432967B2 JP 2014099086 A JP2014099086 A JP 2014099086A JP 2014099086 A JP2014099086 A JP 2014099086A JP 6432967 B2 JP6432967 B2 JP 6432967B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
collagen
porous body
collagen fiber
alkali metal
soluble
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014099086A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015213675A (ja
Inventor
貴宏 河上
貴宏 河上
竜 前田
竜 前田
山口 勇
勇 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taki Kasei Co Ltd
Original Assignee
Taki Kasei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taki Kasei Co Ltd filed Critical Taki Kasei Co Ltd
Priority to JP2014099086A priority Critical patent/JP6432967B2/ja
Publication of JP2015213675A publication Critical patent/JP2015213675A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6432967B2 publication Critical patent/JP6432967B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

本発明は、溶解性コラーゲン線維多孔体に関し、とりわけ化粧料及び医療用材料(例えば、創傷被覆材、癒着防止材、美容整形材等)に好適な材料である。
コラーゲンは、生体内のタンパク質の30%を占め、骨格支持及び細胞接着などの機能を有する重要なタンパク質であり、例えば、骨・軟骨、靭帯・腱、角膜実質、皮膚、肝臓、筋肉などの組織は、コラーゲン線維からできている。このコラーゲンから調製されたコラーゲン成形体は、化粧料及び医療用材料として広く用いられている。
特許文献1には、コラーゲン濃度が50mg/ml以上であるコラーゲンの分散液、溶液あるいはその混合物から気泡を除去し、次に凍結乾燥の後、物理架橋や化学架橋による不溶化処理を行い、10%負荷時に10〜30kPaの応力を持ち、表面及び内部にポア構造を持つ細胞培養用担体に関する技術が開示されている。
また、特許文献2には、平均直径が1〜5μmのコラーゲン線維で構成されたとするコラーゲン構造体に関する技術が開示されている。
特許第4915693号公報 国際公開第2013/105665号パンフレット
生体内ではコラーゲンが線維状で存在しているため、生体親和性の観点から、コラーゲン成形体を構成するコラーゲンもアモルファス状ではなく線維状のものであることが好ましいと考えられている。
一方、溶解性の観点から、孔径が大きい多孔質である方が有利である。
しかしながら、従来の技術では、コラーゲン線維で構成され、且つ、孔径が大きい多孔体、とりわけ、三次元の細胞培養が可能なほどの孔径を有した多孔質海綿状の形状からなるコラーゲン線維多孔体(以下「線維マクロ多孔体」ともいう)を製造することは困難であった。ちなみに、三次元の細胞培養が可能な孔径の大きさについては諸説あり、少なくとも50μmあるいは70μmとも言われている。一方、100μmや150μmも提唱されているが、これは充分に円滑な細胞遊走を実現させるためと考えられる。
コラーゲンを線維化させるためには、例えば特開2010−273847号公報に記載のように、中性の緩衝液を用いて、可溶化コラーゲン溶液のイオン強度を適度に高くしpHを中性近傍にすることが重要であることはよく知られており、当該公報には中性の緩衝液としてリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、Tris等の緩衝能を有する塩水溶液が例示され、リン酸緩衝液が好ましいものとして挙げられている。
本願出願人は、線維マクロ多孔体を得るための試みとして次の(a)〜(c)の方法を実施した。
(a) 可溶化コラーゲン溶液にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加してコラーゲンを線維化させた後、凍結乾燥する方法。
(b) 可溶化コラーゲン溶液にPBSを添加してコラーゲンを線維化させた後、線維化コラーゲンをエタノールシリーズ(エタノール濃度を段階的に高めたエタノールと水との混合液。エタノール濃度:50%、70%、90%、100%)で脱水・脱塩し、次に溶媒をt-ブタノールに置換し、凍結させた後、凍結乾燥する方法。
(c) 可溶化コラーゲン溶液を凍結乾燥した後、PBSでコラーゲンを線維化させる方法。
しかしながら、上記(a)〜(c)のいずれの方法においても線維マクロ多孔体は得られなかった。
即ち、(a)の方法では、線維化したコラーゲンが凍結乾燥時に濃縮した高濃度の塩によって非線維化(脱線維化)してしまい、また孔径も小さいものであった。特許文献1に記載の細胞培養用担体も(a)の方法と同様の方法で製造するため、コラーゲンが線維状のものであるとは云い難かった。
また、(b)の方法では、コラーゲン線維からなる多孔体が得られたが、三次元の細胞培養が可能なほどの大きさの孔径を有していなかった。これはt-ブタノールの凍結結晶が水の凍結結晶ほど大きくなかったためと考えられる。ちなみに、水溶媒の可溶化コラーゲン溶液をそのまま凍結乾燥すると、三次元の細胞培養が可能な大きさの孔径を有する多孔体が得られるが、非線維状(アモルファス状)で溶解しているコラーゲンがそのまま凍結乾燥されるため非線維状(アモルファス状)のものとなることが知られている。
また、(c)の方法では、安定した形状のものが得られなかった。
特許文献2に記載のコラーゲン構造体については、その実施例1に係る電子顕微鏡像の図3及び図4から判断すると、孔径が50μmを十分に下回るほど小さいものであった。
本発明は、コラーゲン線維で構成され、且つ、三次元の細胞培養が可能な多孔質海綿状の形状からなり、溶解性を有するコラーゲン成形体の提供を課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、意外にも、アルカリ金属重炭酸塩によって析出させた線維化コラーゲンを凍結乾燥することによって、コラーゲンが線維構造を保ちながらも、三次元の細胞培養が可能な多孔質海綿状(スポンジ状)の形状を有した溶解性コラーゲン成形体が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は下記の通りである。
[1]コラーゲン線維で構成され、且つ、三次元の細胞培養が可能な多孔質海綿状の形状からなることを特徴とする溶解性コラーゲン線維多孔体。
[2]前記溶解性コラーゲン線維多孔体の電子顕微鏡像における、最表面に観察される孔の数が少なくとも30個である一定区画内において、当該孔の最大個数がnであるときに、平均孔径={Σ(孔iの最大幅+孔iの最小幅)/2}/n(但し、i=1〜n)の数式によって算出される平均孔径が、50〜300μmの範囲である上記[1]記載のコラーゲン多孔体。
[3]可溶化コラーゲン溶液とアルカリ金属重炭酸塩とを混合して線維化コラーゲンを析出させる第一工程、凍結乾燥する第二工程を含むことを特徴とする、上記[1]又は[2]記載の溶解性コラーゲン線維多孔体の製造方法。
[4]アルカリ金属重炭酸塩の適用量が、コラーゲンの分子量を30万としたときに、アルカリ金属重炭酸塩/可溶化コラーゲン溶液中のコラーゲン(モル比)=3×102〜3×104の範囲である上記[3]記載の溶解性コラーゲン線維多孔体の製造方法。
本発明の溶解性コラーゲン線維多孔体は、コラーゲン線維で構成され、且つ、三次元の細胞培養が可能な多孔質海綿状の形状からなるため、生体親和性に優れ、また、溶解性も有しており、さらに細胞が内部にまで進入できるものである。したがって、化粧料(例えば、用時調製型化粧料等)及び医療用材料(例えば、創傷被覆材、癒着防止材、美容整形材等)に好適な材料である。
本発明の実施例1における溶解性コラーゲン線維多孔体を金属製ピンセットでつまんだときの写真である。 本発明の実施例1における溶解性コラーゲン線維多孔体の電子顕微鏡像(倍率:100倍)である。 図2の最表層の孔だけを識別できるように最表層の孔の内側を塗りつぶしたものである。 本発明の比較例1における非線維化コラーゲン多孔体を金属製ピンセットでつまんだときの写真である。 本発明の比較例2におけるコラーゲン線維多孔体を金属製ピンセットでつまんだときの写真である。 本発明の比較例2におけるコラーゲン線維多孔体の電子顕微鏡像(倍率:100倍)である。
以下、線維マクロ多孔体である本発明の溶解性コラーゲン線維多孔体(以下、「本発明の多孔体」という)について詳細に説明する。
本発明の多孔体は、コラーゲン線維で構成され、且つ、三次元の細胞培養が可能な多孔質海綿状の形状からなることを特徴とするものである。尚、本発明の多孔体は、溶解性の特性を発揮させるため、架橋処理が施されないものであることが望ましい。架橋処理としては、例えば、γ線照射、電子線照射、プラズマ照射、UV照射又は熱脱水等による物理的架橋処理、水溶性化学架橋剤又は気化能を有する化学架橋剤による化学的架橋処理が挙げられる。
本発明の多孔体は、溶解性を有するものであり、例えば、水性溶媒への溶解性として次のような特性を有する。即ち、コラーゲンの等電点付近の水性溶媒に対しては徐溶性となる傾向があるが、等電点から遠ざかるにつれて溶解性が向上する傾向を示す。具体例を示すと、コラーゲン線維が酸可溶化コラーゲン又は酵素可溶化コラーゲンに由来する場合は、水性溶媒の酸性度が大きくなるにつれて溶解速度が向上する傾向を示す。上記溶解特性を活かした用途に関する好適な一形態は、例えば、用時調製型化粧料として本発明の多孔体を用いる場合において、コラーゲンの溶解速度を遅くして緩徐的にコラーゲンを皮膚に作用させたいときは本発明の多孔体を溶解させる化粧水として弱酸性のものを用い、速やかに作用させたいときは酸性度の高い化粧水を用いるものである。ここで、水性溶媒としては、水を含有した溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、水、水溶液、緩衝液等を挙げることができる。
また、本発明の多孔体は、本技術分野において、当業者であれば大きな孔径を有すると認められるものである。孔径の大きさを的確に表現するのは困難であるが、例えば、三次元の細胞培養が可能かどうかが1つの指標になり得る。三次元の細胞培養では、細胞が基材内部にまで進入できるように、円滑な細胞遊走に適した孔径の連続孔を有する多孔質海綿状の構造であることが求められる。本発明の多孔体は、三次元の細胞培養が可能な多孔質海綿状の構造を有しているものであるが、このことを明白に示したのが次の実験であった。即ち、本発明の多孔体をγ線架橋して細胞培養に供したところ、培養後の多孔体についてその上面から下面まで顕微鏡の焦点位置を動かすと、いずれの焦点位置においても細胞が均一に分布していたことが確認された。
孔径に関する好適な一形態は、本発明の多孔体の電子顕微鏡像において、最表面に観察される孔の数が少なくとも30個である一定区画内において、当該孔の最大個数がnであるときに、平均孔径={Σ(孔iの最大幅+孔iの最小幅)/2}/n(但し、i=1〜n)の数式によって算出される平均孔径が、50〜300μmの範囲となるものである。上記平均孔径のより好適な範囲は、70〜250μmである。尚、上記孔としては、完全孔が対象であり、区画境界線によって孔が分断された不完全孔は含まれない。
本発明の多孔体は、溶液に浸す前の乾燥状態においては力学的強度に優れており、例えば、圧縮、伸張等の外力に対する抵抗力が大きいものである。また、金属製ピンセットで取り扱っても外観的にはほとんど損傷しないものである。これは、コラーゲンが線維化していることによるものと考えられる。
本発明の多孔体の用途としては、化粧料及び医療用材料が例示できるが、これらに限定されるものではない。化粧料としては、例えば、用時調製型化粧料等が挙げられ、医療用材料としては、例えば、創傷被覆材、癒着防止材、美容整形材等が挙げられる。
次に、本発明の多孔体の製造方法について説明する。
本発明の多孔体の製造方法は、可溶化コラーゲン溶液とアルカリ金属重炭酸塩とを混合して線維化コラーゲンを析出させる第一工程、次に、凍結乾燥する第二工程を含むことを特徴とするものである。尚、第一工程においてコラーゲン線維が析出した混合液はゲル状を呈するので、以下では当該混合液を「線維化コラーゲンゲル」と称する。
可溶化コラーゲン溶液とは、コラーゲンが溶解した水溶液のことである。当該コラーゲンとしては、3重らせん構造を有する水溶性のコラーゲンであることが好ましい。尚、可溶化コラーゲン溶液には、一部にペプチド、アミノ酸、ゼラチン等が含まれていても構わないが、それらは極力排除されていることが好ましい。
3重らせん構造を有する水溶性のコラーゲンは、哺乳類、魚介類、鳥類、爬虫類等の生物原料のコラーゲン含有組織から公知の方法によって取得することができるものであり、例えば、[1]希酸により抽出する方法によって得られる酸可溶化コラーゲン、[2]酵素で可溶化処理する方法によって得られる酵素可溶化コラーゲン、[3]アルカリで可溶化処理する方法によって得られるアルカリ可溶化コラーゲン等が挙げられる。酸可溶化コラーゲン及び酵素可溶化コラーゲンは酸性条件では可溶性であり、アルカリ可溶化コラーゲンはアルカリ性条件では可溶性であるが、いずれのコラーゲンも可溶化コラーゲン溶液のイオン強度及びpHを適切な範囲に設定すると線維化することが知られている。
コラーゲンの種類としては、ヒトとの共通のウイルスを有さない魚類由来のコラーゲンが特に好適であり、各種用途への適用性の観点から変性温度が比較的高いものが好ましく、好例としてはオレオクロミス属由来のコラーゲンである。オレオクロミス属の中でも中国から東南アジアにかけて食用として主力に養殖されており入手が容易であるテラピアが特に好ましい。さらに、コラーゲンの抗原決定基であるテロペプタイドが除去されたアテロコラーゲンが好適である。コラーゲンのタイプについても特に制限は無いが、生物体内での存在量が多いI型が好ましい。
ここで、前記[2]の酵素可溶化コラーゲンの取得法について説明する。該取得法は、特に限定されることはなく、常法に従えばよい。例えば、特開2006−257014号公報又は特開2010−193808号公報等に記載の方法を挙げることができる。取得法の一態様を鱗の例で簡単に説明すると、酸によって脱灰した鱗をペプシン等のプロテアーゼを用いて処理することによりコラーゲンをアテロ化し、必要に応じて精製処理を行うことで、酵素可溶化コラーゲンを取得することができる。精製処理には、例えば、塩析、又は、特開2013−116875号公報に記載のpHが7以下の活性炭を用いる方法を適用することができる。
アルカリ金属重炭酸塩としては、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムが好ましい。尚、本発明は、本発明の効果を損なわない範囲に限り、アルカリ金属炭酸塩の混入を排除するものではない。
アルカリ金属重炭酸塩の適用量については、線維化コラーゲンを析出させ、本発明の多孔体が最終的に得られる範囲であれば特に限定はない。アルカリ金属重炭酸塩の量が少なすぎると、コラーゲンの線維化が不十分となり、一方、多すぎると、第二工程の凍結乾燥時にコラーゲンが非線維化(脱線維化)する恐れがある。したがって、本発明の多孔体が得られるようにアルカリ金属重炭酸塩の適用量を適宜設定することが望ましい。アルカリ金属重炭酸塩の適用量に関する好適な一形態を例示すると、コラーゲンの分子量を30万としたときに、アルカリ金属重炭酸塩/可溶化コラーゲン溶液中のコラーゲン(モル比)=3×102〜3×104の範囲となる量である。
第一工程における可溶化コラーゲン溶液とアルカリ金属重炭酸塩との混合方法については特に制限は無いが、例えば、作業性の観点から、アルカリ金属重炭酸塩として、アルカリ金属重炭酸塩の水溶液を用いることが好ましい。
次に、第一工程で得られた線維化コラーゲンゲルを凍結乾燥する第二工程を行う。凍結乾燥方法は公知の方法を採用すればよい。また、凍結乾燥条件は、常法により多孔体が得られるように適宜設定すればよいが、例えば、凍結温度は-20〜-60℃の範囲が好ましく、凍結乾燥時間は1〜60時間が好ましい。
本発明の多孔体を得るためには、線維状のコラーゲンが凍結乾燥時に非線維化(脱線維化)しないようにすることが肝要である。例えば、コラーゲンを線維化させるためにPBSを用いた場合、凍結乾燥時に濃縮されたPBSによってコラーゲンが非線維化(脱線維化)してしまう。そこで、凍結乾燥時に非線維化(脱線維化)しないようにコラーゲンの線維化におけるPBSの量を減少させると、今度は線維化が不十分となる。
一方、アルカリ金属重炭酸塩は水の凍結結晶(氷)の結晶成長を阻害しないと推定され、また、アルカリ金属重炭酸塩はPBSに比べると低濃度でもコラーゲンを線維化させることができるため、コラーゲン線維で構成され、且つ、三次元の細胞培養が可能な多孔質海綿状の形状からなる本発明の多孔体を得ることができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。尚、実施例において%は、特に断らない限り全て質量%を示す。また、電子顕微鏡として、日本電子(株)製 分析走査電子顕微鏡 JSM-6010LAを用い、金属製ピンセットとして、無鈎・直型のステンレス製ピンセットを用いた。
〔実施例1〕
可溶化コラーゲン溶液として、テラピアの鱗から製造された多木化学(株)製「セルキャンパス FD-08G」スポンジ品をpH3のHCl溶液に溶解し、コラーゲン濃度を1.1%に調製した無色透明溶液(以下、「コラーゲン溶液A」という)を用いた。
コラーゲン溶液A 9容量部に対し、重炭酸ナトリウム水溶液 1容量部を、重炭酸ナトリウム/コラーゲン溶液A中のコラーゲン(モル比)=1.5×103となるように添加し、線維化コラーゲンを析出させた。次に、当該線維化コラーゲンを含有した線維化コラーゲンゲルを12wellプレートに2mlずつ分注した後、-35℃・3時間で凍結乾燥して、コラーゲン線維で構成された溶解性コラーゲン線維多孔体を得た。
得られた多孔体は、金属製ピンセットで取り扱っても変形することはなかった(図1)。金属製ピンセットによる損傷は、外観的には認められなかった。
また、図2の最表層の孔だけを識別できるように、最表層の孔の内側を塗りつぶしたのが図3である。図3を用いて、完全孔(区画境界線により分断されていない孔)のすべてについて、最大幅と最小幅を計測し、前記数式より平均孔径を算出したところ、平均孔径は115.0μmであった。
〔比較例1〕
コラーゲン溶液A 9容量部と10倍濃い濃度に作製したPBS 1容量部とを混合し、線維化コラーゲンを析出させた。次に、当該線維化コラーゲンを含有した線維化コラーゲンゲルを12wellプレートに2mlずつ分注した後、-35℃・3時間で凍結乾燥して、非線維化コラーゲンで構成された非線維化コラーゲン多孔体を得た。
得られた多孔体は、図4に示したように、湾曲するなど形状に変形が認められたものであった。
〔比較例2〕
コラーゲン溶液A 9容量部と10倍濃い濃度に作製したPBS 1容量部とを混合し、線維化コラーゲンを析出させた。次に、当該線維化コラーゲンを含有した線維化コラーゲンゲルの溶媒を、エタノールと水との混合によるエタノールシリーズ(エタノール濃度:50%、70%、90%、100%)で順次脱塩・脱水した後、溶媒をt-ブタノールに置換し、-35℃・3時間で凍結乾燥して、コラーゲン線維で構成されたコラーゲン線維多孔体を得た。
得られた多孔体は、金属製ピンセットで取り扱っても変形することはなかった(図5)が、図6に示したように、電子顕微鏡像(倍率:100倍)では孔の存在が明確に認められないほどの小さな孔で構成された多孔体であった。

Claims (3)

  1. コラーゲン線維で構成され、且つ、三次元の細胞培養が可能な多孔質海綿状の形状からなることを特徴とする溶解性コラーゲン線維多孔体。
    ただし、前記溶解性コラーゲン線維多孔体の電子顕微鏡像における、最表面に観察される孔の数が少なくとも30個である一定区画内において、当該孔の最大個数がnであるときに、
    平均孔径={Σ(孔iの最大幅+孔iの最小幅)/2}/n(但し、i=1〜n)
    の数式によって算出される平均孔径が、50〜300μmの範囲である。
    なお、前記多孔質海綿状の形状の範疇からは、次の形状は除かれる。すなわち、50〜2000μmの範囲のコントロ−ルされた孔径を有し、且つ、該孔は一方の面より他方の面に真直で連通し、且つ実質的に各孔相互は独立的に存在している多孔質海綿状の形状。
  2. 可溶化コラーゲン溶液とアルカリ金属重炭酸塩とを混合して線維化コラーゲンを析出させる第一工程、
    凍結乾燥する第二工程
    を含むことを特徴とする、請求項1記載の溶解性コラーゲン線維多孔体の製造方法。
  3. アルカリ金属重炭酸塩の適用量が、コラーゲンの分子量を30万としたときに、アルカリ金属重炭酸塩/可溶化コラーゲン溶液中のコラーゲン(モル比)=3×102〜3×104の範囲である請求項2記載の溶解性コラーゲン線維多孔体の製造方法。
JP2014099086A 2014-05-12 2014-05-12 溶解性コラーゲン線維多孔体 Active JP6432967B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014099086A JP6432967B2 (ja) 2014-05-12 2014-05-12 溶解性コラーゲン線維多孔体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014099086A JP6432967B2 (ja) 2014-05-12 2014-05-12 溶解性コラーゲン線維多孔体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015213675A JP2015213675A (ja) 2015-12-03
JP6432967B2 true JP6432967B2 (ja) 2018-12-05

Family

ID=54751171

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014099086A Active JP6432967B2 (ja) 2014-05-12 2014-05-12 溶解性コラーゲン線維多孔体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6432967B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6758616B2 (ja) * 2016-02-23 2020-09-23 国立大学法人 新潟大学 細胞培養方法及び培養組織
US20210001005A1 (en) * 2017-09-29 2021-01-07 National Agriculture And Food Research Organization Method for producing collagen vitrigel, method for producing purified collagen vitrigel, and collagen vitrigel and purified collagen vitrigel produced by said methods

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0491272A (ja) * 1990-08-04 1992-03-24 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 再生コラーゲン繊維およびその製造法
US5206028A (en) * 1991-02-11 1993-04-27 Li Shu Tung Dense collagen membrane matrices for medical uses
JP3170693B2 (ja) * 1992-07-09 2001-05-28 株式会社高研 細胞培養用コラ−ゲン担体及びその製造方法
JPH0770600A (ja) * 1993-09-02 1995-03-14 Showa Denko Kk コラーゲン粉末
JP2003325652A (ja) * 2002-05-16 2003-11-18 Gunze Ltd 細胞組込型培養皮膚
GB0415080D0 (en) * 2004-07-05 2004-08-04 Ucl Biomedica Plc Methods for preparing tissue equivalent implants and products thereof
JP5008284B2 (ja) * 2005-09-09 2012-08-22 グンゼ株式会社 組織再生用基材
EP1902739A1 (en) * 2006-09-20 2008-03-26 Centre National De La Recherche Scientifique (Cnrs) Synthetic multi-layer structures comprising biopolymer fibres
JP2010273847A (ja) * 2009-05-28 2010-12-09 Tokyo Institute Of Technology 高密度多孔質複合体
JP5875034B2 (ja) * 2011-02-02 2016-03-02 学校法人日本大学 多孔質立体構造体及びその利用
EP2803371B1 (en) * 2012-01-12 2019-10-30 Nippi Incorporated Collagen structure, and method for producing collagen structure

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015213675A (ja) 2015-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6433465B2 (ja) 高強度キチン複合材料および製造方法
JP4064435B2 (ja) コラーゲンゲルおよびその製造方法
KR101060910B1 (ko) 실크단백질을 이용한 인공고막 및 그 제조방법
JP5991624B2 (ja) コラーゲン非線維化成形体及びその製造方法
WO2015127711A1 (zh) 丝胶蛋白水凝胶的制备方法及其应用
JP5633880B2 (ja) コラーゲン成形体及びその製造方法
CN104144715A (zh) 胶原蛋白结构体及胶原蛋白结构体的制造方法
CN109640694A (zh) 使用丝衍生蛋白质增强伤口愈合的方法
JP7062667B2 (ja) コラーゲンヒドロゲルの製造方法
JP2005334625A (ja) 伸縮性コラーゲン成形体、その製造方法および用途
JP2006257013A (ja) 魚鱗由来コラーゲンゲルとその作成方法
JP7478099B2 (ja) コラーゲン生体材料及びコラーゲン生体材料を製造する方法
JP6429490B2 (ja) コラーゲン線維架橋多孔体
JP2016069783A (ja) コラーゲンファイバー
JP6432967B2 (ja) 溶解性コラーゲン線維多孔体
CN105148325B (zh) 一种新的角膜组织修复材料及其制备方法
KR102194155B1 (ko) 온도 감응성 폴리머가 접합된 홍합 접착 단백질을 포함하는 온도 감응성 생체 소재
JP2012001859A (ja) コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体及びその製造方法
US20130230573A1 (en) Collagen structures and method of fabricating the same
KR100605382B1 (ko) 멍게 또는 미더덕-유래 셀룰로오스 막을 포함하는 피부상처 보호막 및 골형성 유도막
JP5981421B2 (ja) 組織修復用の高密度フィブリル状コラーゲンマトリックスおよびその調製方法
JP2017086066A (ja) 線状コラーゲン架橋多孔体
JPWO2003094985A1 (ja) 人工細胞外マトリックス及びその製造方法
JP2008110207A (ja) 生体注入材、及び美容・医療用バルク材
WO2002102845A1 (en) Process for producing silk fibroin-origin functional polypeptide and utilization thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170403

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171221

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180305

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180409

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180628

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181101

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181101

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6432967

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250