以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図7を参照して、本発明の一実施形態による制御装置100の構成について説明する。なお、制御装置100は、本発明の「空気調和機の制御装置」の一例である。
本実施形態による制御装置100は、図1に示すように、空気調和機1の運転制御を行う機能を有している。また、制御装置100が所定の制御量Pを出力しながら空気調和機1の運転制御を行うことによって、オフィスビルや商業施設などの建築物内における空調環境2(2点鎖線で示す)が、ある決められた温度湿度状態(温湿度条件)に保たれるように構成されている。なお、制御装置100は、空気調和機1とは別個な制御機器として構成されており、内部には空気調和機1の運転制御に関する制御量Pなどを演算(算出)して出力する空調機運転制御部11を含む制御回路が組み込まれている。また、制御装置100は、図示しない箱状の筐体に収納されており、筐体の正面部には、利用者または管理者が操作可能な操作部14が設けられている。そして、制御装置100は、空気調和機1に専用の通信回線1aを介して接続されている。なお、空調機運転制御部11は、本発明の「空気調和機制御部」の一例である。
空気調和機1は、いわゆる蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置からなる。すなわち、空気調和機1は、図示しない圧縮機、四方弁、凝縮器(室外側熱交換器)、膨張弁および蒸発器(室内側熱交換器)が冷媒配管を介して一巡するように接続された冷凍サイクル装置として構成されている。そして、制御装置100からの指令に基づいて四方弁が冷房サイクル側または暖房サイクル側に切り替えられることにより、空気調和機1が冷房運転または暖房運転で運転されるように構成されている。また、このような冷凍サイクル装置においては、二酸化炭素冷媒などの自然冷媒や、オゾン層破壊係数がゼロの代替フロン冷媒が使用可能に構成されている。
ここで、本実施形態では、国際標準化機構の定める国際規格ISO−7730に記載された予測平均温冷感申告(PMV値)に基づいて空調環境2の温度湿度状態が制御されるように構成されている。なお、予測平均温冷感申告(PMV値)は、本発明の「所定の快適指標」の一例である。
具体的には、図2に示すように、空気調和が行われる空調環境2(図1参照)が有する快適性のレベルが、利用者の感覚(温冷感)としての「寒い」(=PMV値換算で「−3」に相当)から「涼しい」、「やや涼しい」および「中立(快適)」(=PMV値換算で「0」に相当)を経て、反対側の「やや暖かい」、「暖かい」および「暑い」(=PMV値換算で「+3」に相当)までの数値範囲のいずれかの数値に該当する場合、制御装置100(図1参照)は、現時点で把握されている快適性のレベルから空調環境2が常に「中立」の状態に向かうように空気調和機1(図1参照)を運転制御するように構成されている。
たとえば、制御装置100側において現時点で把握されている快適性のレベルがPMV値換算で「−2」に対応する涼しい状態であった場合、制御装置100は、現在のPMV値である「−2」の状態から中立に相当する「0」の状態へと空調環境2をシフトさせるような制御量P(図1参照)に基づいて空気調和機1の運転制御を行う。この場合、空気調和機1を暖房運転モードで運転して空調環境2の温度(または湿度)を上昇させるような空気調和制御が行われる。そして、空調環境2の温度(または湿度)が上昇されて、所定時間経過後の時点でのPMV値が「0」近傍の値として検出された場合、制御装置100は、このPMV値≒0に対応する温度湿度状態を極力維持するようにして空気調和機1の運転制御を継続するように構成されている。
また、反対に、制御装置100側において現時点で把握されている快適性のレベルがPMV値換算で「+3」に対応する暑い状態であった場合、制御装置100は、現在のPMV値である「+3」の状態から中立に相当する「0」の状態へと空調環境2をシフトさせるような制御量P(図1参照)に基づいて空気調和機1の運転制御を行う。この場合、空気調和機1を冷房運転モードで運転して空調環境2の温度(または湿度)を低下させる空気調和制御が行われる。そして、空調環境2の温度(または湿度)が低下されて、所定時間経過後の時点でのPMV値が「0」近傍の値として検出された場合、制御装置100は、このPMV値≒0に対応する温度湿度状態を極力維持するようにして空気調和機1の運転制御を継続するように構成されている。
なお、空調環境2(図1参照)には、この予測平均温冷感申告(PMV値)に対応する温度湿度条件が、空気調和の基準値として予め設定されている。また、空気調和が行われる空調環境2のPMV値が中立(快適)を意味する「0」であることは、理論上、空調環境2に対して約95%の利用者(在室者)が快適さを感じる状態に対応している。したがって、PMV値≒0に保たれた空調環境2は、その場に居合わせた大多数(約95%)の利用者が空調環境2に不快さを感じずにほぼ満足した状態にあると考えられている。
したがって、上記の制御手法を実現するために、制御装置100は、図1に示すように、PMV値算出部10と、空調機運転制御部11と、補正量算出部12と、記憶部13と、操作部14とを備えている。また、空調環境2には、空調環境2の環境状態(温度湿度状態)を検出するための複数のセンサ類3(破線で囲む)が所定箇所に設けられている。ここで、センサ類3には、室内温度センサ4、室内湿度センサ5、室内輻射温度センサ6および気流センサ7などが含まれており、センサ類3により、空調環境2のPMV値を把握(算出)するための環境側の要素が取得されるように構成されている。また、空調環境2のPMV値を把握(算出)するための人間側の要素としては、利用者(在室者)の着衣量および活動量が挙げられる。この利用者の着衣量および活動量については、空調環境2の大きさ(広さ)や利用者数(平均値または定員数)および利用者の年齢層の情報などに基づき、別途、制御装置100に対して設定されている。
PMV値算出部10は、センサ類3による空調環境2の環境状態の検出結果および利用者の着衣量および活動量(設定値)に基づいて、現在の空調環境2が有するPMV値を算出する役割を有している。なお、PMV値の算出式は、国際規格ISO−7730に記載されているので、ここでは説明を省略する。また、空調機運転制御部11は、PMV値算出部10により算出された現在のPMV値に基づいて空気調和機1に対して運転制御を行う際の制御量Pを算出するとともに、算出された制御量Pに基づいて空気調和機1に対する運転指令(運転信号)を出力する役割を有している。なお、運転指令の内容としては、運転モード(冷房運転/暖房運転/送風運転/ドライ運転)、目標温度(乾球温度)、目標湿度(相対湿度)および送風機風量などが含まれる。また、操作部14は、空調環境2の管理者(ユーザ)による所定の機器操作を受け付けることが可能に構成されており、操作部14からの機器操作によっても空気調和機1が運転制御可能であるように構成されている。
ここで、本実施形態では、操作部14は、快適性操作パネル20と、補正量設定パネル30とを含んでいる。快適性操作パネル20は、図3に示すように、予測平均温冷感申告(PMV値)に対応する温度湿度条件が空気調和の基準値として設定された空調環境2に対して、利用者(ユーザ)の個人的な「暑い」・「寒い」などの温冷感を受け付ける機能を有している。具体的には、表示部としての快適性操作パネル20は操作画面21を有しており、操作画面21には、利用者の温冷感に基づき現在の空調環境2を評価するための温感ボタンとして、「暑い」という温冷感を入力する際に押下されるボタン画像22と、「寒い」という温冷感を入力する際に押下されるボタン画像23とが設けられている。また、快適性操作パネル20(操作画面21)はタッチパネル式であり、利用者がボタン画像22またはボタン画像23に指などを触れて軽く押下することにより、ボタン画像22または23が押下された旨が受け付けられるように構成されている。なお、快適性操作パネル20は、本発明の「快適性入力部」の一例であり、補正量設定パネル30は、本発明の「設定部」の一例である。
また、操作画面21には、「ON」と記載されたボタン画像24が設けられている。ボタン画像24は、ボタン画像22または23の押下に基づく制御内容(後述するPMV値の補正量Qに基づく補正運転制御)を空気調和機1の運転制御に反映させる際に予め押下されるように構成されている。したがって、操作画面21では、ボタン画像24が予め押下された状態でボタン画像22または23が押下された場合に、ボタン画像22または23に対応した制御内容が空気調和機1の運転制御に反映されるように構成されている。また、操作画面21には、「設定画面」と記載されたボタン画像25が設けられており、ボタン画像25が押下された場合に、操作画面21から補正量設定パネル30(図4参照)を構成する設定画面31(図4参照)へと表示内容が切り替えられるように構成されている。
補正量設定パネル30は、図4に示すように、設定画面31を有している。設定画面31は、前述のボタン画像22または23(図3参照)の押下に基づく制御内容(後述するPMV値の補正量Qおよび補正量Qが加味された補正運転制御の継続時間(時間Ta))を予め設定することが可能に構成されている。
また、図1に示すように、補正量算出部12は、快適性操作パネル20を介して受け付けられた利用者の温冷感に基づいて、PMV値算出部10により算出された現在のPMV値に対する補正量Qを算出する役割を有している。また、記憶部13には、補正量設定パネル30を介して予め設定された制御内容(後述するPMV値の補正量Qおよび補正量Qが加味された補正運転制御の継続時間(時間Ta))が記憶されている。
ここで、本実施形態では、空調環境2に入室していた利用者が快適性操作パネル20におけるボタン画像22(図3参照)またはボタン画像23(図3参照)を押下した際、空気調和機1に対して次のような運転制御(補正運転制御)が一時的に行われるように構成されている。なお、以下に説明する運転制御(補正運転制御)が行われる前提として、空気調和機1に対する所定の運転制御が行われて空調環境2がPMV値≒0に対応する温度湿度状態に保たれていたとする。
利用者がボタン画像22またはボタン画像23(図3参照)を押下した場合、制御装置100における空調機運転制御部11は、この快適性操作パネル20(図3参照)により受け付けられた利用者の「暑い」・「寒い」などの温冷感に応じて空調環境2に設定されている予測平均温冷感申告(PMV値)に基づく制御量Pを時間Ta(たとえば10分間)だけ一時的に補正した状態で空気調和機1の補正運転制御を行うように構成されている。言い換えると、空調機運転制御部11は、制御量Pを時間Taだけ一時的に補正した状態で空気調和機1の補正運転制御を時間Taだけ継続するとともに、時間Ta経過後は、この時間Taだけ一時的に補正された制御量Pから快適性操作パネル20により利用者の温冷感が受け付けられる前の状態を基準とした制御量Pに変更して空気調和機1の運転制御を継続するように構成されている。なお、時間Taは、本発明の「所定時間」の一例である。
したがって、特定の利用者の温冷感に応じて補正された新たな制御量Pに基づく空調機運転制御部11による空気調和機1の運転制御(補正運転制御)は一時的でかつ時間Taしか継続されないので、時間Ta経過後は、それまで一時的に補正された新たな制御量Pに基づく補正運転制御が解除されるとともに空調環境2に対して元々設定されていたPMV値を基準とした空気調和機1の運転制御(通常運転制御)が継続されるように構成されている。
この点について、具体例を挙げて説明する。たとえば、空調環境2が現時点でPMV値≒0に対応する温度湿度状態に保たれていたとする。すなわち、この状態では、PMV値≒0に対応する制御量Pに基づいて空気調和機1の通常運転制御が行われている。そして、空調環境2に利用者A(図5参照)が入室した際、利用者Aにとってこの空調環境2が暑く感じたとする。このため、利用者Aが「暑い」という自己の温冷感を指定するためにボタン画像22(図3参照)を2回分押下したとする。
この場合、図5に示すように、時間t1において「暑い」を示すボタン画像22(図3参照)を2回押下した場合に対応する補正量Qが、現在のPMV値(=0)に加算される。本実施形態では、ボタン画像22の1回の押下につき補正量Qが「+0.2」加算されるように設定されているので、2回分の押下操作では補正量Qは現在のPMV値に対して「+0.4」だけ加算される。これにより、利用者Aがボタン画像22を2回押下した時間t1でのPMV値がそれまでの「0」から「+0.4」へと変更される。したがって、制御装置100では、現在の空調環境2のPMV値が「+0.4」の状態にあると把握される。
これにより、補正量算出部12(図1参照)においては、変更されたPMV値=+0.4に基づいて空気調和機1に対して運転制御を行う際の新たな制御量Pが算出されるとともに、算出された新たな制御量Pに基づいて空気調和機1に対する運転指令(運転信号)が空調機運転制御部11から出力される。したがって、「暑い」を示すボタン画像22が2回押下された場合には、制御装置100は、補正がなされた現在(時間t1)のPMV値である「+0.4」の状態から中立である「0」の状態へと空調環境2をシフトさせるような新たな制御量Pのもとでの一時的な補正運転制御を空気調和機1に対して行う。この場合、空気調和機1を冷房運転モードに設定して空調環境2の温度(または湿度)を低下させる空気調和制御が時間Ta(この場合10分間)だけ行われる。このように、本実施形態では、PMV値を「+0.4」から「0」に向けて遷移させるのに必要な新たな制御量Pは、快適性操作パネル20により受け付けられた利用者の温冷感に応じた補正値Q(=0.4)に基づいて補正されるように構成されている。
また、図5に示すように、時間t1から時間Ta(10分間)が経過した時間t2において、一時的に補正された新たな制御量Pに基づく補正運転制御が解除されるとともに、快適性操作パネル20により利用者の温冷感が受け付けられる前の状態を基準とした制御量P(空調環境2に対して元々設定されていたPMV値を基準とした場合に時間t2において取得されるPMV値に対応した制御量P)へと変更される。なお、時間Taの期間中においては、補正運転制御の進行とともにPMV値も「+0.4」から徐々に「0」へと近付けられていく。また、10分後の時間t2において補正運転制御が解除された際には、その時点での空調環境2が有するPMV値が補正されない状態で補正量算出部12(図1参照)により算出される。したがって、時間t2以降は、この元々のPMV値を基準とした制御量Pを開始点として中立状態に向けた空気調和機1の運転制御が継続される。また、時間t2以降は、空調環境2に居合わせた大多数の利用者に対して快適性が確保されるような運転制御が行われる。
なお、上記とは反対に、空調環境2に利用者B(図5参照)が入室した際、利用者Bにとってこの空調環境2が寒く感じたとする。このため、利用者Bが「寒い」という自己の温冷感をボタン画像23(図3参照)を2回分押下したとする。
この場合、図5に示すように、時間t3において「寒い」を示すボタン画像23を2回押下した場合に対応する補正量Qが、現在のPMV値(=0)に加算される。本実施形態では、ボタン画像23の1回の押下につき補正量Qが「−0.3」加算されるように設定されているので、2回分の押下操作では補正量Qは現在のPMV値に対して「−0.6」だけ加算される。これにより、利用者Bがボタン画像23を2回押下した時点でのPMV値がそれまでの「0」から「−0.6」へと変更される。したがって、制御装置100では、現在の空調環境2のPMV値が「−0.6」の状態にあると把握される。
これにより、補正量算出部12(図1参照)においては、変更されたPMV値=−0.6に基づいて空気調和機1に対して運転制御を行う際の新たな制御量Pを算出するとともに、算出された新たな制御量Pに基づいて空気調和機1に対する運転指令(運転信号)が空調機運転制御部11から出力される。したがって、「寒い」を示すボタン画像23(図3参照)が2回押下された場合には、制御装置100は、補正がなされた現在(時間t3)のPMV値である「−0.6」の状態から中立である「0」の状態へと空調環境2をシフトさせるような新たな制御量Pのもとでの一時的な補正運転制御を空気調和機1に対して行う。この場合、空気調和機1を暖房運転モードに設定して空調環境2の温度(または湿度)を上昇させる空気調和制御が時間Ta(この場合15分間)だけ行われる。すなわち、本実施形態では、PMV値を「−0.6」から「0」に向けて遷移させるのに必要な新たな制御量Pは、快適性操作パネル20により受け付けられた利用者の温冷感に応じた補正値Q(=−0.6)に基づいて補正されるように構成されている。
また、図5に示すように、時間t3から時間Ta(15分間)が経過した時間t4において、一時的に補正された新たな制御量Pに基づく補正運転制御が解除されるとともに、快適性操作パネル20により利用者の温冷感が受け付けられる前の状態を基準とした制御量P(空調環境2に対して元々設定されていたPMV値を基準とした場合に時間t4において取得されるPMV値に対応した制御量P)へと変更される。なお、時間Taの期間中においては、補正運転制御の進行とともにPMV値も「−0.6」から徐々に「0」へと近付けられていく。また、10分後の時間t4において補正運転制御が解除された際には、その時点での空調環境2が有するPMV値が補正されない状態で補正量算出部12(図1参照)により算出される。したがって、時間t4以降は、この元々のPMV値を基準とした制御量Pを開始点として中立状態に向けた空気調和機1の運転制御が継続される。また、時間t4以降は、空調環境2に居合わせた大多数の利用者に対して快適性が確保されるような運転制御が行われる。
このように、制御装置100による空気調和機1の運転制御においては、利用者の温冷感に関する個人差に応じて空調環境2の温度湿度状態を一時的に各人の快適性(温冷感)に合わせるような空気調和制御が行われる。
また、本実施形態では、一時的に補正された制御量Pに基づく空気調和機1の補正運転制御が時間Ta(たとえば最初の10分間)の範囲内で継続されている状態で、空調環境2に対する利用者の「暑い」・「寒い」などの温冷感が快適性操作パネル20におけるボタン画像22またはボタン画像23(図3参照)により再び受け付けられた場合、空調機運転制御部11は、受け付けられた温冷感に応じて現在出力中の制御量Pをさらに補正するとともに、さらに補正された新たな制御量Pに基づいて空気調和機1の補正運転制御を新たな時間Ta(たとえば10分間)だけ継続させるように構成されている。
具体的には、図6に示すように、利用者Cにより時間t5において「暑い」を示すボタン画像22(図3参照)が1回押下されたことに伴う補正量Qを加味した補正運転制御が開始された後、利用者Cが依然として空調環境2に暑さを感じた場合に時間Ta未満(10分未満)の時間t6において利用者Cによりボタン画像22が再び1回押下される。そして、さらに、時間t6から起算して時間Ta未満である時間t7において利用者Cによりボタン画像22が再び1回押下されたとする。このような場合、最後にボタン画像22が押下された時間t7を起点として時間Ta(この場合10分間)だけ補正運転制御が継続されるように構成されている。そして、時間t7から10分が経過した時間t8において、この補正運転制御が解除されるように構成されている。また、時間t8以降は、空調環境2に居合わせた大多数の利用者に対して快適性が確保されるような運転制御が行われる。このように、制御装置100では、利用者の温冷感を繰り返し受け付けて空気調和機1の運転制御に利用者の温冷感を効果的に反映させる工夫が図られている。
なお、制御装置100では、図4に示すように、快適性操作パネル20による利用者の「暑い」・「寒い」などの温冷感の入力操作にあたって、ボタン画像22およびボタン画像23の押下に伴うPMV値の補正量Qおよび補正量Qが加味された補正運転制御の継続時間(時間Ta)の各々が予め設定可能に構成されている。すなわち、操作画面21における「設定」と記載されたボタン画像25(図3参照)を押下して図3に示した操作画面21(快適性操作パネル20)の状態から図4に示した設定画面31(補正量設定パネル30)へと操作部14の表示状態を切り替えることによって、設定画面31において、PMV値の補正量Qおよび補正運転制御の継続時間としての時間Taが、それぞれ、管理者(ユーザ)側で設定されるように構成されている。
たとえば、図4に示す例では、暑く感じるときに「暑い」を示すボタン画像22(図3参照)が1回押下された際に、PMV値が補正量Qとして「+0.2」だけ変更され、この状態で時間Taが「10分間」に指定されて補正運転制御が行われる設定内容になっている。また、寒く感じるときに「寒い」を示すボタン画像23(図3参照)が1回押下された際に、PMV値が補正量Qとして「−0.3」だけ変更され、この状態で時間Taが「15分間」に指定されて補正運転制御が行われる設定内容になっている。
なお、設定画面31には、「OK」と記載されたボタン画像32と、「戻る」と記載されたボタン画像33とが設けられている。ボタン画像32は、PMV値の補正量Qおよび補正運転制御の継続時間(時間Ta)に関する設定内容を空気調和機1の運転制御に反映させる際に押下されるように構成されている。したがって、操作画面31では、PMV値の補正量Qおよび補正運転制御の継続時間(時間Ta)が入力された状態でボタン画像32が押下された場合に、各設定内容が記憶部13(図1参照)に記憶されるように構成されている。また、ボタン画像33が押下された場合に、操作画面31から快適性操作パネル20(図3参照)を構成する操作画面21(図3参照)へと表示内容が切り替えられるように構成されている。
また、本実施形態では、時間Ta経過後に補正運転制御が行われた状態から補正運転制御が行われない状態(通常運転制御)に制御内容が戻される際にも以下のような制御手法が適用されるように構成されている。
すなわち、空調機運転制御部11は、時間Ta経過後、時間Taだけ一時的に補正された制御量Pを、快適性操作パネル20により利用者の温冷感が受け付けられる前の状態を基準とした制御量Pに向けて段階的に戻しながら空気調和機1の運転制御を行うように構成されている。また、この際、1回または複数回にわたってボタン画像22または23が押下された際の補正量Q(累積値)の大きさに応じて、補正運転制御における制御量Pを、利用者の温冷感が受け付けられる前の状態を基準とした制御量Pに向けて段階的に戻しながら空気調和機1の運転制御が行われるように構成されている。
たとえば、空調環境2に利用者D(図7参照)が入室した際、利用者Dにとってこの空調環境2が非常に暑く感じたとする。このため、利用者Dが「暑い」という自己の温冷感を指定するためにボタン画像22(図3参照)を10回押下したとする。
この場合、図7に示すように、時間t9において「暑い」を示すボタン画像22を10回押下した場合に対応する補正量Qが、現在のPMV値(=0)に加算される。この場合、補正量Qは現在のPMV値に対して「+2.0(=0.2×10)」が加算される。したがって、空調機運転制御部11においては、時間t9において変更されたPMV値=+2.0から中立である「0」の状態へと空調環境2をシフトさせるような新たな制御量Pのもとでの補正運転制御を空気調和機1に対して時間Ta(10分間)だけ行う。この場合、空気調和機1を冷房運転モードで運転して空調環境2の温度(または湿度)を低下させるような空気調和制御が行われる。ただし、先の利用者A(図5参照)がボタン画像22を2回押下した場合の冷房運転よりもより強力に空調環境2を冷却するような補正運転制御が時間Taだけ行われる。なお、時間Taの期間中においては、補正運転制御の進行とともにPMV値も徐々に「0」へと近付けられていく。
そして、時間t9から時間Ta(10分間)が経過した時間t10において、一時的に補正された新たな制御量Pに基づく補正運転制御が解除される。ここで、本実施形態では、補正が加味された新たな制御量Pに基づく補正運転制御のもとでの冷房運転を即座に停止することは行わない。すなわち、「+2.0」から「0」へと遷移するように空調環境2を強力に冷却していた状態から、この冷却する程度を徐々に(段階的に)緩和するような運転制御が時間t10から時間t11までの期間で行われる。たとえば、空気調和機1からの吹き出し空気温度を段階的に緩めたり、風量を段階的に減少させたりする制御が行われる。これにより、利用者Dにとっては、時間Ta経過後にそれまで快適に冷えていた空調環境2の温度(冷えた状態)が急激に緩むような感覚を味わうことが回避される。また、空調環境2は、このような冷え具合の程度を段階的に低下(緩和)させるような空気調和機1の運転制御に基づいて、本来設定されている中立状態(PMV値≒0)に対応する温度湿度状態に戻されるように構成されている。
これにより、補正量Qが相対的に大きい場合(たとえば、ボタン画像22または23が6回以上の複数回にわたって押下された場合)には、特定の利用者Dの温冷感を反映した時間Taにわたる空気調和機1の補正運転制御から、元々の基準値として設定されていたPMV値(予測平均温冷感申告)に基づく通常運転制御へと制御内容を段階的に戻すことが可能となる。その一方で、別な利用者A〜C(図5および図6参照)による温冷感に対応する補正量Qが相対的に小さい場合(たとえば、ボタン画像22または23が1回〜5回程度しか押下されていない場合)には、時間Ta経過後に制御内容について時間をかけて段階的に戻すことなく空調環境2に元々設定されていたPMV値(予測平均温冷感申告)に基づく通常運転制御に即座に切り替えることが可能であるように構成されている。また、図7においても、時間t11以降は、空調環境2に居合わせた大多数の利用者に対して快適性が確保されるような運転制御が行われる。
なお、図6および図7では、利用者CおよびDが「暑い」を示すボタン画像22(図3参照)を間欠的にかまたは連続的に押下した場合のその後の制御装置100による空気調和機1の運転制御内容のみを示したが、利用者が「寒い」を示すボタン画像23(図3参照)を間欠的にかまたは連続的に押下した場合のその後の制御装置100による空気調和機1の運転制御内容についても、マイナス値を有する補正量Qが都度PMV値に加算されて補正運転制御が行われるとともに、補正運転制御の解除後は、補正量Qの大きさに応じて加温(暖房)する程度を徐々に(段階的に)緩和するような運転制御が行われる。また、同じ利用者がボタン画像22および23を交えて押下した場合にも、各々の温冷感に応じた正の値または負の値の補正量Qが、温冷感を入力したタイミングでその時点でのPMV値に加算される。本実施形態による制御装置100は、上記のように構成されている。
次に、図1〜図3および図8を参照して、本実施形態による制御装置100によって空気調和機1の運転制御が行われる際の空調機運転制御部11の処理フローについて説明する。なお、以下では、空気調和機1(図1参照)が空調環境2(図1参照)に設定された予測平均温冷感申告(PMV値)に基づいて運転制御されている際に、利用者の温冷感が受け付けられた場合の空調機運転制御部11の処理動作について説明を行う。
図8に示すように、まず、ステップS1では、空調機運転制御部11(図1参照)により、快適性操作パネル20(図3参照)における温感ボタンとしてのボタン画像22(図3参照)またはボタン画像23(図3参照)が利用者(ユーザ)によって押下されたか否かが判断されるとともに、ボタン画像22またはボタン画像23が利用者によって押下されたと判断されるまで、ステップS1の判断が繰り返される。
ステップS1において、ボタン画像22またはボタン画像23が利用者によって押下されたと判断された場合、ステップS2では、空調機運転制御部11により、PMV値算出部10(図1参照)により現時点(ボタン画像22またはボタン画像23が利用者によって押下された時点)で把握されている空調環境2の快適性のレベル(PMV値(図2参照))がPMV値算出部10から取得される。
そして、ステップS3では、ステップS2でPMV値算出部10から取得された現在の空調環境2のPMV値に対して、ステップS1で押下されたボタン画像22またはボタン画像23に対応するPMV値の補正量Qが加算される。たとえば、ステップS2において取得されたPMV値が「0」であり、利用者の温冷感としての「暑い」を示すボタン画像22が3回押下された場合に対応する補正量Qが「+0.6(=0.2×3)」である場合には、PMV値は、現在の「0」から「+0.6」へと変更される。また、たとえば、ステップS2において取得されたPMV値が「0」であり、利用者の温冷感としての「暑い」を示すボタン画像23が6回押下された場合に対応する補正量Qが「−1.8(=−0.3×6)」である場合には、PMV値は、現在の「0」から「−1.8」へと変更される。
そして、ステップS4では、空調機運転制御部11の指令に基づき、補正量算出部12において、変更されたPMV値に基づく空気調和機1(図1参照)に対する新たな制御量Pが算出される。その後、ステップS5では、ステップS4で算出された新たな制御量Pに基づいて空気調和機1に対する補正運転制御が開始される。
そして、ステップS6では、空調機運転制御部11により、時間Ta(たとえば10分間)が経過したか否かが判断されるとともに、時間Taが経過したと判断されるまでこの判断が繰り返される。すなわち、本実施形態では、ステップS6の判断が繰り返される間、空調機運転制御部11は、快適性操作パネル20(図3参照)により受け付けられた利用者の「暑い」または「寒い」などの温冷感に応じて空調環境2に設定されている予測平均温冷感申告(PMV値)に基づく制御量Pを時間Ta(10分間)だけ一時的に補正した状態で空気調和機1の補正運転制御を継続することになる。
また、ステップS6において、空調機運転制御部11により時間Ta(10分間)が経過したと判断された場合、ステップS7では、空調機運転制御部11により、PMV値算出部10(図1参照)により現時点(ステップS6にて時間Taだけ補正運転制御が行われた直後の時点)で把握されている空調環境2(図1参照)の快適性のレベル(PMV値)がPMV値算出部10から再び取得される。
そして、ステップS8では、空調機運転制御部11の指令に基づき、補正量算出部12において、再取得されたPMV値に基づく空気調和機1に対する新たな制御量Pが算出(再計算)される。その後、ステップS9では、ステップS8で算出(再計算)された新たな制御量Pに基づいて空気調和機1に対する通常運転制御が行われる。
すなわち、本実施形態では、時間Ta経過後は、この時間Taだけ一時的に補正された制御量Pから快適性操作パネル20により利用者の温冷感が受け付けられる前の状態を基準とした新たな制御量Pに変更して空気調和機1の運転制御が継続されるとともに、本制御フローが終了される。なお、ステップS7〜S9の処理においては、元々のPMV値を基準とした通常運転制御への運転制御の戻し方は、ステップS3〜S5において補正運転制御に加味された補正量Qの大きさに応じて異ならせるような制御処理を含んでいる。すなわち、補正量Qが相対的に大きい場合には補正運転制御から通常運転制御へと制御内容を段階的に戻す処理が行われる。また、補正量Qが相対的に小さい場合には補正運転制御から通常運転制御へと制御内容を段階的に戻さない処理が行われる。また、本制御フロー終了後は、所定の制御周期が経過した後に、再び、図8に示した本制御フローが実行される。
本実施形態では、上記のように、快適性操作パネル20におけるボタン画像22またはボタン画像23により受け付けられた利用者の「暑い」または「寒い」などの温冷感に応じて、空調環境2に予め設定されている予測平均温冷感申告(PMV値)に基づく制御量Pを時間Taだけ一時的に補正した状態で空気調和機1の運転制御を行う空調機運転制御部11を備える。これにより、特定の利用者A〜Dの温冷感に応じて補正された制御量Pに基づく空気調和機1の運転制御(補正運転制御)は、一時的でかつ時間Taしか継続されないので、時間Ta経過後はそれまでの補正された制御量Pに基づく運転制御が解除されるとともに空調環境2に元々設定されていたPMV値(予測平均温冷感申告)に基づく空気調和機1の運転制御(通常運転制御)を継続させることが可能となる。すなわち、利用者一個人が有する温冷感を加味した空気調和機1の運転制御は一時的なものであり、その後は大多数の利用者が有する平均的な温冷感(予測平均温冷感申告)に基づく運転制御が継続されるので、大多数の利用者にとっては快適性操作パネル20を介して温冷感を指定する必要はない。これにより、快適性操作パネル20の操作が煩雑になるのを抑制しつつ、空調環境2に対して利用者の温冷感に基づく空調制御を適切に行うことができる。
また、本実施形態では、制御量Pが時間Taだけ一時的に補正された状態で時間Ta継続されるように空気調和機1の運転制御(補正運転制御)を構成し、時間Ta経過後、時間Taだけ一時的に補正された制御量Pから快適性操作パネル20(ボタン画像22またはボタン画像23)により利用者の温冷感が受け付けられる前の状態を基準とした制御量Pに変更して空気調和機1の運転制御(通常運転制御)を行うように空調機運転制御部11を構成する。これにより、時間Ta経過後は、PMV値(予測平均温冷感申告)に基づく制御量Pが特定の利用者A〜Dの温冷感に応じて補正された状態での空気調和機1の運転制御が空調機運転制御部11により完全に解除されるとともに、特定の利用者の温冷感が受け付けられる前の空調環境2に元々設定されていたPMV値(予測平均温冷感申告)に基づく空気調和機1の運転制御に容易に復帰させることができる。
また、本実施形態では、一時的に補正された制御量Pに基づく空気調和機1の運転制御が継続中の状態で、空調環境2に対する利用者Cの温冷感が快適性操作パネル20(ボタン画像22またはボタン画像23)により繰り返し受け付けられた場合、受け付けられた温冷感に応じて制御量Pをさらに補正するとともに、さらに補正された新たな制御量Pに基づいて空気調和機1の運転制御を時間Taだけ継続させる制御を行うように空調機運転制御部11を構成する。これにより、特定の利用者Cの温冷感を繰り返し受け付けて空気調和機1の運転制御に効果的に反映させることができる。そして、特定の利用者Cにより最後に快適性操作パネル20を介して受け付けられた機器操作から起算して時間Ta経過後は、他の大多数の利用者が有する平均的な温冷感に基づく空気調和機1の運転制御に復帰させることができる。したがって、空調環境2に対する特定の利用者Cの快適性を損なうことなく、他の大多数の利用者に対する快適性操作パネル20の操作の煩雑さを容易に抑制することができる。
また、本実施形態では、時間Ta経過後、時間Ta一時的に補正された制御量Pを快適性操作パネル20により利用者の温冷感が受け付けられる前の状態を基準とした制御量Pに向けて段階的に戻しながら空気調和機1の運転制御を行うように空調機運転制御部11を構成する。これにより、時間Ta経過後において、空調環境2に元々設定されていたPMV値(予測平均温冷感申告)に基づく空気調和機1の運転制御に向けて制御内容を急激に変更することが回避されるので、利用者D以外の大多数の利用者が急激な運転制御の変更に起因した空調環境2の変動に不快感を覚えるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、補正運転制御における新たな制御量Pは、快適性操作パネル20により受け付けられた利用者A〜Dの温冷感に応じた補正値Qに基づいて補正されるように構成されている。そして、補正量Qの大きさ(「暑い」または「寒い」の温冷感を受け付けた回数)に応じて、新たな制御量Pを段階的に戻しながら空気調和機1の運転制御を行うように空調機運転制御部11を構成する。これにより、補正量Q(温冷感を受け付けた回数)が相対的に大きい場合には、特定の利用者A〜Dの温冷感を反映した空気調和機1の運転制御(補正運転制御)から空調環境2に元々設定されていたPMV値(予測平均温冷感申告)に基づく運転制御へと制御内容を段階的に戻すことができる。また、補正量Q(「暑い」または「寒い」の温冷感を受け付けた回数)が相対的に小さい場合には、制御内容について時間をかけて段階的に戻すことなく空調環境2に元々設定されていたPMV値(予測平均温冷感申告)に基づく運転制御(通常運転制御)に即座に切り替えることができるので、他の大多数の利用者にとって快適な空調環境2を迅速に提供することができる。
また、本実施形態では、補正運転制御における新たな制御量Pは、快適性操作パネル20により受け付けられた利用者の温冷感に応じた補正値Qに基づいて補正されるように構成されている。そして、利用者(管理者)により補正量Qが予め設定可能に構成された補正量設定パネル30を備える。これにより、PMV値(予測平均温冷感申告)に基づく制御量Pに対する補正量Qを、補正量設定パネル30を介して予め所望の大きさに設定することができるので、利用者の温冷感を詳細に数値化することができる。したがって、予め設定された補正量Qに基づいて、快適性操作パネル20により受け付けられる利用者の温冷感を空気調和機1の運転制御に適切に反映させることができる。また、PMV値(予測平均温冷感申告)に基づく制御量Pに対する補正量Qを、補正量設定パネル30を介して予め所望の大きさに設定することができるので、快適性操作パネル20に利用者の温冷感を入力する回数を減らすこともできる。これによっても、快適性操作パネル20の操作の煩雑さを回避することができる。
また、本実施形態では、制御量Pに対する補正量Qの設定に加えて、時間Taを予め設定可能であるように補正量設定パネル30を構成する。これにより、特定の利用者A〜Dの温冷感を反映した空気調和機1の運転制御(補正運転制御)を一時的に継続する継続時間(時間Ta)を、補正量設定パネル30を介して予め所望の長さに設定することができるので、大多数の利用者が有する平均的な温冷感に基づく空気調和機1の運転制御時間に対する特定の利用者の温冷感を反映した空気調和機1の運転制御時間の割合を適切に設定することができる。したがって、現在の空調環境2が大多数の利用者にとって不快にならない(快適性を損ねない)範囲で、特定の利用者A〜Dの快適性についても満足させることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、ボタン画像22を押下して「暑い」という温冷感を入力した場合の制御量Pを10分だけ一時的に補正するとともに、ボタン画像23を押下して「寒い」という温冷感を入力した場合の制御量Pを15分だけ一時的に補正するように構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明の「所定時間」は、上記した10分や15分以外であってもよい。また、「暑い」場合と「寒い」場合とで本発明の「所定時間」を異ならせた例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、「暑い」場合と「寒い」場合とで同じ時間Taにより制御量Pを一時的に補正するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、ボタン画像22を押下して「暑い」という温冷感を入力した場合のPMV値の補正量Qを「+0.2」に設定するとともに、ボタン画像23を押下して「寒い」という温冷感を入力した場合のPMV値の補正量Qを「−0.3」に設定するように構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、補正量Qは、上記した「暑い」という温冷感を入力した場合の「+0.2」や、「寒い」という温冷感を入力した場合の「−0.3」以外であってもよい。
また、上記実施形態では、時間Ta経過後、時間Taだけ一時的に補正された制御量Pを快適性操作パネル20により利用者の温冷感が受け付けられる前の状態に段階的に戻しながら空気調和機1の運転制御を行うように空調機運転制御部11を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、快適性操作パネル20の操作回数(ボタン画像22または23の押下回数)に関係なく、時間Taだけ一時的に補正された制御量Pを、時間Ta経過後に快適性操作パネル20により利用者の温冷感が受け付けられる前の状態を基準とした制御量Pに直接的にかつ短時間で戻すように構成してもよい。
また、上記実施形態では、快適性操作パネル20をタッチパネル式の操作画面21を用いて構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、利用者(ユーザ)の個人的な「暑い」・「寒い」などの温冷感を入力するための物理的な温感ボタンを有するリモコン装置を用いて、本発明の「快適性入力部」を構成してもよい。また、この場合、リモコン装置には、温冷感を受け付ける快適性入力用領域と、温感ボタンに対応するPMV値の補正量Qや補正量Qが加味された補正運転制御の継続時間(時間Ta)を予め設定可能な設定用領域とを設けるようにすればよい。
また、上記実施形態では、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置を使用して空気調和機1を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、空気調和機1は、吸収式冷凍機であってもよい。
また、上記実施形態では、ボタン画像22またはボタン画像23を押下することによって利用者の「暑い」または「寒い」などの温冷感を受け付けるように快適性操作パネル20を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、快適性操作パネル20にマイクロフォンを設けておき、制御装置100側で利用者の「暑い」、「暖かい」、「涼しい」または「寒い」などの発声内容を音声認識する方法を利用して、利用者の温冷感を受け付けるように構成してもよい。また、たとえば、快適性操作パネル20にカメラ(撮像部)を設けておき、利用者の身振り手振り(ジェスチャー)を画像認識した結果に基づいて利用者の温冷感を判別可能に受け付けるように構成してもよい。また、センサ類3のひとつとして空調環境2にカメラ(撮像部)を設置しておき、利用者の暑さ寒さに関連する行動や身振り手振りを画像認識した結果に基づいて利用者の温冷感を判別可能に受け付けるように構成してもよい。また、マイクロフォンやカメラなどを組み合わせて用いることによって利用者の温冷感を受け付けるように本発明の「快適性入力部」を構成してもよい。
また、上記実施形態では、オフィスビルや商業施設などの建築物内における空調環境2に対して空気調和機1による空気調和を行う場合に本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。仮設置型の空間や、移動するバスや列車などの輸送機器における客室内に作られる空調環境2に対して、本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、説明の便宜上、空調機運転制御部11の空気調和機1の運転に関する制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、空調機運転制御部11の処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。