JP6430040B2 - イミノ二酢酸型キレート樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Description
これらの状況において、排水をキレート樹脂で処理することにより金属イオンを吸着除去する試みが行われている。キレート樹脂が有する官能基構造により金属イオンとの錯体形成能が異なるため、イミノ二酢酸基、ポリアミン基、アミノリン酸基、イソチオニウム基、ジチオカルバミン酸基、グルカミン基等の官能基をもつキレート樹脂が市販されている。これらの中でも多くの金属に対して錯体形成能を有するイミノ二酢酸基が広く利用されている。例えば、特許文献1では、ポリエチレンイミンを表面に持つキレート樹脂にイミノ二酢酸を導入してキレート作用をより強くすることが記載されており、特許文献2では、イミノ二酢酸基とアミノ基を樹脂担体に導入し結合させたキレート樹脂について開示されている。特許文献3では、ポリアミン系高分子が不溶性の担体に固定された高分子固定型金属吸着材において、ポリアミン系高分子の一級アミノ基がN−カルボキシメチル化されてイミノ二酢酸基となっている金属吸着剤について開示されている。特許文献4では、イミノ二酢酸又はN−メチル−D−グルカミン又はポリエチレンイミンから選択される官能基を有するキレート剤、特許文献5では、ポリエチレンイミノ二酢酸のキレート化剤がそれぞれ開示されている。
しかし、現在、汎用されているイミノ二酢酸基を有するキレート樹脂は、必ずしも満足な吸着効果が得られていないことが実情である。そこで、従来の金属イオン吸着に用いられているイミノ二酢酸基を有するキレート樹脂に対して、簡便に効率良く製造でき、効率的な吸着、分離することが可能なキレート樹脂が要望されている。
500mLの4つ口フラスコに脱塩水100g、硫酸アンモニウム64.0g、ポリアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物水溶液(ポリマー濃度20質量%、重量平均分子量80万)1.00gを投入し、撹拌し、溶解させ、重合浴とした。N−ビニルホルムアミド33.4g、ジビニルベンゼン2.80g、アクリロニトリル4.00g、アゾ系重合開始剤2、2’−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業(株)製)0.12gを混合し、モノマー溶液とした。モノマー溶液と重合浴を混合、窒素でフラスコ内を置換しながら180rpmで撹拌した。30分後昇温し、45℃で3時間、続いて60℃で2時間重合した。重合後濾過、水洗、濾過し、含水状態の重合体球状粒子88.9gを得た。固形分率は38.8%であった。このようにして得られた反応生成物51.6gを4口フラスコに入れ、48質量%水酸化ナトリウム水溶液46.8gを加え、撹拌しながら80℃で7時間加水分解した。水洗、濾過し、含水状態のポリビニルアミン球状粒子19.7gを得た。顕微鏡観察の結果、50μm〜2mmの球状粒子が観察された。このようにして得られた重合体粒子をポリビニルアミン架橋重合体粒子1とする。
3000mLの4つ口フラスコに脱塩水961g、硫酸アンモニウム640g、ポリアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物水溶液(ポリマー濃度20質量%、重量平均分子量80万)4.0gを投入し、撹拌し、溶解させ、重合浴とした。N−ビニルホルムアミド360g、ジビニルベンゼン20.0g、アクリロニトリル20.0g、アゾ系重合開始剤2、2’−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業(株)製)1.2gを混合し、モノマー溶液とした。モノマー溶液と重合浴を混合、窒素でフラスコ内を置換しながら110rpmで撹拌した。30分後昇温し、50℃で3時間、続いて60℃で1時間重合した。重合後濾過、水洗、濾過し、含水状態の重合体球状粒子1107gを得た。固形分率は31.0%であった。このようにして得られた反応生成物645gを4口フラスコに入れ、48質量%水酸化ナトリウム水溶液468gを加え、撹拌しながら80℃で6時間加水分解した。水洗、濾過し、含水状態のポリビニルアミン球状粒子689gを得た。顕微鏡観察の結果、50μm〜2mmの球状粒子が観察された。このようにして得られた重合体粒子をポリビニルアミン架橋重合体粒子2とする。
300mLの4つ口フラスコに脱塩水99.1g、硫酸アンモニウム64.2g、ポリアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物水溶液(ポリマー濃度20質量%、重量平均分子量80万)1.1gを投入し、撹拌し、溶解させ、重合浴とした。N−ビニルホルムアミド35.2g、ジビニルベンゼン2.41g、アクリロニトリル2.41g、アゾ系重合開始剤2、2’−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業(株)製)0.12gを混合し、モノマー溶液とした。モノマー溶液と重合浴を混合、窒素でフラスコ内を置換しながら180rpmで撹拌した。30分後昇温し、45℃で3時間、続いて60℃で2時間重合した。重合後濾過、水洗、濾過し、含水状態の重合体球状粒子97.3gを得た。固形分率は35.3%であった。このようにして得られた反応生成物56.7gを4口フラスコに入れ、48質量%水酸化ナトリウム水溶液46.8gを加え、撹拌しながら80℃で6時間加水分解した。水洗、濾過し、含水状態のポリビニルアミン球状粒子55.4gを得た。顕微鏡観察の結果、50μm〜2mmの球状粒子が観察された。このようにして得られた重合体粒子をポリビニルアミン架橋重合体粒子3とする。
500mLの4つ口フラスコに脱塩水100g、硫酸アンモニウム64.0g、ポリアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物水溶液(ポリマー濃度20質量%、重量平均分子量80万)1.00gを投入し、撹拌し、溶解させ、重合浴とした。N−ビニルホルムアミド33.4g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ネオアリルP−30、ダイソー(株)製)1.00g、アクリロニトリル1.00g、アゾ系重合開始剤2、2’−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業(株)製)0.12gを混合し、モノマー溶液とした。モノマー溶液と重合浴を混合、窒素でフラスコ内を置換しながら180rpmで撹拌した。30分後昇温し、40℃で3時間、続いて70℃で2時間重合した。重合後濾過、水洗、濾過し、含水状態の重合体球状粒子210gを得た。固形分率は15.7%であった。このようにして得られた反応生成物150gを4口フラスコに入れ、48質量%水酸化ナトリウム水溶液14.0gを加え、撹拌しながら80℃で5時間加水分解した。水洗、濾過し、含水状態のポリビニルアミン球状粒子253gを得た。顕微鏡観察の結果、50μm〜2mmの球状粒子が観察された。このようにして得られた重合体粒子をポリビニルアミン架橋重合体粒子4とする。
ポリビニルアミン架橋重合体粒子1を10.1g(乾燥質量2.81g)、脱イオン水40.0g、モノクロロ酢酸ナトリウム17.5gを200mLセパラブルフラスコに加え、撹拌しながら80℃に加温した。撹拌開始1時間後、24質量%水酸化ナトリウム水溶液25.0gを添加し、その後3時間80℃のまま加熱撹拌した。放冷の後、濾過にてイミノ二酢酸型キレート樹脂20.3g(乾燥質量8.44g)を得た。ポリビニルアミン架橋重合体粒子1g(乾燥質量)に対し、2.0gのナトリウム型カルボキシメチル基が導入されていた。即ち、ナトリウム型カルボキシメチル基が、導入後の乾燥質量に対して67質量%導入されていた。このキレート樹脂を製造実施例1とする。
ポリビニルアミン架橋重合体粒子1を100.0g(乾燥質量31.2g)、脱イオン水100.0g、モノクロロ酢酸ナトリウム131.6g、48質量%水酸化ナトリウム水溶液89.3gを500mLセパラブルフラスコに加え、40℃にて22時間撹拌した。放冷の後、濾過にてイミノ二酢酸型キレート樹脂186.0g(乾燥質量84.1g)を得た。ポリビニルアミン架橋重合体粒子1g(乾燥質量)に対し、1.7gのナトリウム型カルボキシメチル基が導入されていた。即ち、ナトリウム型カルボキシメチル基が、導入後の乾燥質量に対して63質量%導入されていた。このキレート樹脂を製造実施例2とする。
ポリビニルアミン架橋重合体粒子2を52.6g(乾燥質量10.0g)、脱イオン水142g、モノクロロ酢酸ナトリウム79.8gを500mLセパラブルフラスコに加え、撹拌しながら80℃に加温した。撹拌開始1時間後、24質量%水酸化ナトリウム水溶液89gを添加し、その後5時間80℃のまま加熱撹拌した。放冷の後、濾過にてイミノ二酢酸型キレート樹脂93.6g(乾燥質量31.7g)を得た。ポリビニルアミン架橋重合体粒子1g(乾燥質量)に対し、2.17gのナトリウム塩型カルボキシメチル基が導入されていた。即ち、ナトリウム塩型カルボキシメチル基が、導入後の乾燥質量に対して68.5質量%導入されていた。このキレート樹脂を製造実施例3とする。
ポリビニルアミン架橋重合体粒子3を10.0g(乾燥質量2.34g)、脱イオン水40.1g、モノクロロ酢酸ナトリウム17.52gを200mLセパラブルフラスコに加え、撹拌しながら80℃に加温した。撹拌開始1時間後、24質量%水酸化ナトリウム水溶液25gを添加し、その後5時間80℃のまま加熱撹拌した。放冷の後、濾過にてイミノ二酢酸型キレート樹脂24.5g(乾燥質量8.06g)を得た。ポリビニルアミン架橋重合体粒子1g(乾燥質量)に対し、2.44gのナトリウム塩型カルボキシメチル基が導入されていた。即ち、ナトリウム塩型カルボキシメチル基が、導入後の乾燥質量に対して71.0質量%導入されていた。このキレート樹脂を製造実施例4とする。
ポリビニルアミン架橋重合体粒子4を20.0g(乾燥質量5.86g)、脱イオン水100.0g、モノクロロ酢酸ナトリウム60.6g、炭酸カリウム68.9gを500mLセパラブルフラスコに加え、80℃にて7時間撹拌した。放冷の後、濾過にてイミノ二酢酸型キレート樹脂157.4g(乾燥質量11.5g)を得た。ポリビニルアミン架橋重合体粒子1g(乾燥質量)に対し、1.0gのナトリウム型カルボキシメチル基が導入されていた。即ち、ナトリウム型カルボキシメチル基が、導入後の乾燥質量に対して50質量%導入されていた。このキレート樹脂を製造実施例5とする。
硫酸銅5水和物をイオン交換水に溶かし、銅イオン113.6ppm溶解液を500mL調製した。水にて湿潤状態の製造実施例1のイミノ二酢酸型キレート樹脂を、前記銅イオン溶解液200gに100mg添加し、撹拌子を用いて40rpmにて撹拌した。撹拌開始24時間後に上澄み液をサンプリングし、0.2μmフィルターで濾過、得られた液の銅イオンの残量を原子吸光分光光度計(AA−6800、(株)島津製作所製使用)にて測定した。測定値から、キレート樹脂湿潤あるいは乾燥質量1gに対する吸着量(g)を求めた。又、製造実施例2、3、4のイミノ二酢酸型キレート樹脂についても同様な試験を実施した。結果を表1に示す。
硫酸銅5水和物をイオン交換水に溶かし、銅イオン113.6ppm溶解液を500mL調製した。水にて湿潤状態のイミノ二酢酸型キレート樹脂ムロキレート(比較品)を、前記銅イオン溶解液200gに100mg添加し、撹拌子を用いて40rpmにて撹拌した。撹拌開始24時間後に上澄み液をサンプリングし、0.2μmフィルターで濾過、得られた液の銅イオンの残量を原子吸光分光光度計(AA−6800、(株)島津製作所製使用)にて測定した。測定値から、キレート樹脂湿潤あるいは乾燥質量1gに対する吸着量(g)を求めた。結果を表1に示す。
35質量%塩化鉄(III)溶液をイオン交換水に溶かし、鉄(III)イオン120.8ppmを500mL調整した。水にて湿潤状態の製造実施例1のイミノ二酢酸型キレート樹脂を、前記溶解液200gに100mg添加し、撹拌子を用いて40rpmにて撹拌した。撹拌開始24時間後に上澄み液をサンプリングし、0.2μmフィルターで濾過、得られた液の鉄イオンの残量を原子吸光分光光度計(AA−6800、(株)島津製作所製使用)にて測定した。測定値から、キレート樹脂湿潤あるいは乾燥質量1gに対する吸着量(g)を求めた。結果を表1に示す。
35質量%塩化鉄(III)溶液をイオン交換水に溶かし、鉄(III)イオン120.8ppmを500mL調整した。水にて湿潤状態のイミノ二酢酸型キレート樹脂ムロキレート(比較品)を、前記溶解液200mgに100mg添加し、撹拌子を用いて40rpmにて撹拌した。撹拌開始24時間後に上澄み液をサンプリングし、0.2μmフィルターで濾過、得られた液の鉄イオンの残量を原子吸光分光光度計(AA−6800、(株)島津製作所製使用)にて測定した。測定値から、キレート樹脂湿潤あるいは乾燥質量1gに対する吸着量(g)を求めた。結果を表1に示す。
塩化亜鉛をイオン交換水に溶かし、亜鉛イオン105.1ppm溶解液を500mL調製した。水にて湿潤状態の製造実施例1のイミノ二酢酸型キレート樹脂を、前記亜鉛イオン溶解液200gに100mg添加し、撹拌子を用いて40rpmにて撹拌した。撹拌開始24時間後に上澄み液をサンプリングし、0.2μmフィルターで濾過、得られた液の亜鉛イオンの残量を原子吸光分光光度計(AA−6800、(株)島津製作所製使用)にて測定した。測定値から、キレート樹脂湿潤あるいは乾燥質量1gに対する吸着量(g)を求めた。結果を表1に示す。
塩化亜鉛をイオン交換水に溶かし、銅イオン105.1ppm溶解液を500mL調製した。水にて湿潤状態のイミノ二酢酸型キレート樹脂ムロキレート(比較品)を、前記銅イオン溶解液200gに100mg添加し、撹拌子を用いて40rpmにて撹拌した。撹拌開始24時間後に上澄み液をサンプリングし、0.2μmフィルターで濾過、得られた液の亜鉛イオンの残量を原子吸光分光光度計(AA−6800、(株)島津製作所製使用)にて測定した。測定値から、キレート樹脂湿潤あるいは乾燥質量1gに対する吸着量(g)を求めた。結果を表1に示す。
Claims (3)
- ポリビニルアミン架橋重合体粒子が有する一級アミノ基にナトリウム塩型カルボキシメチル基を、導入後の乾燥質量に対して50質量%以上導入したことを特徴とするキレート樹脂。
- N−ビニルカルボン酸アミドと架橋性単量体を含有し、水に対し30〜100質量%の塩を含有する塩水中で分散剤存在下、懸濁重合して得た架橋重合体粒子を加水分解してポリビニルアミン架橋重合体粒子とした後、該ポリビニルアミン架橋重合体粒子が有する一級アミノ基にカルボキシメチル基を導入したことを特徴とするキレート樹脂の製造方法。
- N−ビニルカルボン酸アミドと架橋性単量体を含有する塩水中で分散剤存在下、懸濁重合して得た架橋重合体粒子を加水分解してポリビニルアミン架橋重合体粒子とした後、該ポリビニルアミン架橋重合体粒子が有する一級アミノ基にナトリウム塩型カルボキシメチル基を、導入後の乾燥質量に対して50質量%以上導入したことを特徴とするキレート樹脂の製造方法。
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