以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略す場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電磁機器2および側壁部4の分解斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る電磁機器2の固定構造体1の分解斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る電磁機器2の固定構造体1の平面図および断面図である。図3(a)は平面図である。図3(b)は、基台3および側壁部4を図3(a)に示す切断面線A−Aで切断して見た断面図である。図3(c)は、基台3、側壁部4、コイル成形体16およびコア15を図3(a)に示す切断面線B−Bで切断して見た断面図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る電磁機器2、基台3および側壁部4の平面図および断面図である。図4(a)は平面図である。図4(b)は、基台3、側壁部4、コイル成形体16およびコア15を図4(a)に示す切断面線C−Cで切断して見た断面図である。
本実施の形態において電磁機器2は、車載用電磁機器であり、具体的には電力供給によって磁場を形成するリアクトル、トランスなどである。本実施の形態における電磁機器2の固定構造体1は、電磁機器2を自動車、自動二輪車、列車など乗り物の内部で位置決めして保持した状態で設置するものである。以下、電磁機器2の固定構造体1を単に「固定構造体1」と称する。
固定構造体1は、基台3と、電磁機器2と、側壁部4と、樹脂部材5と、ばね部材6とを備える。基台3は、平面状の載置面11が形成される。電磁機器2は、載置面11に配置され、2つのコア15およびコイル成形体16を有する。2つのコア15およびコイル成形体16は、載置面11に垂直な方向に組み合わされる。側壁部4は、基台3の載置面11に垂直に、載置面11から延びて形成される。また側壁部4は、電磁機器2が配置される内部空間12を載置面11に平行な方向において規定する。樹脂部材5は、側壁部4のうち内部空間12に臨む複数の内壁部分13において、側壁部4および電磁機器2に接触して配置される。ばね部材6は、内部空間12に配置された電磁機器2を、載置面11に垂直な方向において基台3に押圧する。
載置面11に垂直な方向を「垂直方向Z」と称する。垂直方向Zのうち、載置面11から遠ざかる向きを「垂直方向一方Z1」と称し、載置面11に近づく向きを「垂直方向他方Z2」と称する。電磁機器2の一部を成すコイル成形体16は、導線が巻回されることによって形成されたコイル17と、コイル17を覆う絶縁体18とを有する。絶縁体18は樹脂によって形成される。本実施の形態において絶縁体18は、コイル17の周囲に射出成形によって形成され、かつ側壁部4と一体に形成される。これによって、コイル17と、コイル17に密着しコイル17を保持する絶縁体18と、側壁部4とは、一体の部品として形成される。
コイル成形体16は、円環状かつ平板状に形成され、厚み方向を垂直方向Zに一致させて配置される。コイル成形体16の中央には垂直方向Zに貫通する貫通孔21が形成される。コイル成形体16を成す導線の端部は、厚み方向に垂直な半径方向のうちの一方向外方に突出して形成される。また導線の端部は、外部電源に接続されるときに電力供給路の一部を成す端子22として形成される。コイル成形体16の中心から端子22が突出する一方向を「突出方向X」と称し、突出方向Xのうち端子22が突出する向きを「突出方向一方X1」と称し、突出方向Xのうち突出方向一方X1と反対の向きを「突出方向他方X2」と称する。
図5は、本発明の実施の形態1に係る固定構造体1の斜視図である。図6および図7は、本発明の実施の形態1に係る固定構造体1の側面図である。図8は、本発明の実施の形態1におけるコイル成形体16および側壁部4の平面図である。図9および図10は、本発明の実施の形態1におけるコイル成形体16および側壁部4の側面図である。図11は、本発明の実施の形態1におけるコイル成形体16および側壁部4の斜視図である。
本実施の形態においてコイル成形体16および側壁部4は、一体に形成される。これは、たとえば射出成形などによって形成される。図8〜図11に示すように、電磁機器2は露出部23を有する。露出部23は、側壁部4よりも突出方向Xに突出して露出する。また露出部23は、電磁機器2への電力供給路の一部を成す端子22を含み、側壁部4の一部と一体に形成される。
コイル成形体16の端子22は2つで、2つの端子22は、垂直方向Zおよび突出方向Xに垂直な方向に互いに離れて配置される。以下、垂直方向Zおよび突出方向Xの両方に垂直な方向を「離間方向Y」と称する。コイル成形体16のうち露出部23とは反対の、突出方向他方X2の端部は、側壁部4の一部と一体に形成される。
図1に示すように、コア15は垂直方向Zに分離可能な2つの部品によって構成される。コア15のうち、垂直方向一方Z1に位置する部品を「第1部品31」と称し、垂直方向他方Z2に位置する部品を「第2部品32」と称する。本実施の形態において第1部品31および第2部品32は、互いに同一の大きさおよび形状に形成される。第1部品31および第2部品32は、垂直方向Zに見ておよそ長方形に形成され、長方形の角部は面取りされた形状を成す。第1部品31の垂直方向一方Z1の表面と、第2部品32の垂直方向他方Z2の表面とは、平面状に形成される。
第1部品31には、垂直方向他方Z2に延びて形成される2つの外脚部と、同じく垂直方向他方Z2に延びて形成される中央脚とが形成される。第1部品31に形成される外脚部を「第1外脚部35」と称し、第1部品31に形成される中央脚を「第1中央脚33」と称する。第1外脚部35は離間方向に離れて2つ形成され、第1部品31の離間方向両端部に形成される。第1中央脚33は、第1部品31の離間方向中央部に形成される。第1中央脚33は、垂直方向に見て円形に形成され、コイル成形体16に形成される貫通孔21に挿入して配置される。第1外脚部35の垂直方向他方Z2の端面と、第1中央脚33の垂直方向他方Z2の端面とは、同一平面に沿って形成される。
第1外脚部35のうち、第1中央脚33に臨む部分はコイル成形体16に沿う円弧状に形成される。離間方向に離れる2つの第1外脚部35と、離間方向中央の第1中央脚33とが第1部品31に形成された結果、第1外脚部35と第1中央脚33との間には溝が形成される。溝を垂直方向一方から規定する部分を「第1底部34」と称すると、第1底部34は載置面11に平行な平面状に形成される。第1底部34を垂直方向に見たときの形状は、コイル成形体16を垂直方向に見たときの形状に対応する。コイル成形体16のうち少なくとも一部は、第1部品31に形成される溝に配置される。
第2部品32には、垂直方向一方Z1に延びて形成される2つの外脚部と、同じく垂直方向一方Z1に延びて形成される中央脚とが形成される。第2部品32に形成される外脚部を「第2外脚部42」と称し、第2部品32に形成される中央脚を「第2中央脚36」と称する。第2外脚部42は離間方向に離れて2つ形成され、第2部品32の離間方向両端部に形成される。第2中央脚36は、第2部品32の離間方向中央部に形成される。第2中央脚36は、垂直方向に見て円形に形成され、コイル成形体16に形成される貫通孔21に挿入して配置される。第2外脚部42の垂直方向一方Z1の端面と、第2中央脚36の垂直方向一方Z1の端面とは、同一平面に沿って形成される。
第2外脚部42のうち、第2中央脚36に臨む部分はコイル成形体16に沿う円弧状に形成される。離間方向に離れる2つの第2外脚部42と、離間方向中央の第2中央脚36とが第2部品32に形成された結果、第2外脚部42と第2中央脚36との間には溝が形成される。溝を垂直方向一方から規定する部分を「第2底部41」と称すると、第2底部41は載置面11に平行な平面状に形成される。第2底部41を垂直方向に見たときの形状は、コイル成形体16を垂直方向に見たときの形状に対応する。コイル成形体16のうち少なくとも一部は、第2部品32に形成される溝に配置される。
本実施の形態において第1部品31および第2部品32は、同一の形状および大きさに形成され、垂直方向一方Z1と垂直方向他方Z2とを反転させた姿勢で配置される。また第1部品31および第2部品32は、それぞれ突出方向Xに垂直な平面に関して面対称の形状に形成され、かつ離間方向に垂直な平面に関しても面対称の形状に形成される。第1部品31はコイル成形体16よりも垂直方向一方Z1に配置され、第2部品32はコイル成形体16よりも垂直方向他方Z2に配置される。
第1部品31および第2部品32をそれぞれコイル成形体16に近接させて配置した結果、第1中央脚33の垂直方向他方Z2の表面と第2中央脚36の垂直方向一方Z1の表面とは接触する。また第1外脚部35の垂直方向他方Z2の表面と第2外脚部42の垂直方向一方Z1の表面とは接触する。第1部品31および第2部品32が互いに接触して配置された状態において、互いに接触した面を「接面14」と称する。第1部品31および第2部品32は接面14で互いに接触して配置されることによって、コイル成形体16との位置関係が決定される。
次に、側壁部4について説明する。図2および図3に示すように、側壁部4は、螺子45によって基台3に固定される。基台3は電磁機器2から発生する熱を外部に放熱するヒートシンクとして機能する。側壁部4は、コイル成形体16と一体に形成され、コア15の第1部品31および第2部品32がコイル成形体16を垂直方向両側から挟んで互いに固定され、かつ側壁部4が基台3に対して螺子45で固定されることによって、コイル成形体16およびコア15を有する電磁機器2は基台3に対して固定される。
側壁部4は、内部空間12を突出方向一方X1から規定する端子側部材43と、端子側部材43に対向し、内部空間12を突出方向他方X2から規定する対向部材44とを有する。端子側部材43と対向部材44とは、突出方向Xに離れて形成される。端子側部材43は、コイル成形体16の露出部23の突出方向一方X1への露出を許容し、コイル成形体16の、具体的には露出部23と一体化されている。対向部材44は、コイル成形体16のうち、突出方向他方X2の端部と一体化されている。
端子側部材43および対向部材44が規定する内部空間12は、垂直方向Zに見ておよそ長方形を成す。長方形の角の位置において側壁部4は、コア15の面取りされた角部を覆う。側壁部4のうち、長方形の4つの角の位置は、内壁部分13であり、この部分に樹脂部材5が配置される。図4(b)に示すように、樹脂部材5は、コア15を成す2つの部品、すなわち第1部品31および第2部品32の両方に接触して配置される。
図4(b)に基づいて、内壁部分13近傍のコア15について具体的に説明する。電磁機器2を載置面11に垂直に見たときのコア15の外周部は、内壁部分13の近傍において、載置面11に垂直に並ぶ第1部品31と第2部品32とによって構成される。第1部品31および第2部品32は接面14において互いに接触する。内壁部分13の近傍において、第1部品31および第2部品32の外周部は、接面14に連なる。樹脂部材5は、第1部品31および第2部品32の接面14に連なる、両方の部品の外周面に接触して配置される。
内壁部分13には、コイル成形体16の中央から離れる向きに凹む凹部が形成される。図4(b)に示すように、側壁部4を垂直方向Zに見て凹部を外方から規定する部分は、内壁部分13に面するコア15の表面から予め定める距離D1、離れて形成される。これによって内壁部分13に面するコア15の表面の外方には、垂直方向一方Z1に開放する空間が形成される。凹部に樹脂部材5を配置するときには、開放されている垂直方向一方Z1から、凹部にノズルを挿入し、ノズルを経由して樹脂部材5の前駆体を注入する。樹脂部材5は、常温硬化型樹脂によって形成される。
本実施の形態において4つに設定される複数の内壁部分13は、垂直方向Zに見たときに、電磁機器2の中央部を外方から囲む。これによって、内壁部分13に樹脂部材5が配置されると、樹脂部材5は電磁機器2の載置面11に平行な全ての方向への変位を阻止する。またコア15がおよそ長方形に形成される場合、長方形の4つの角の位置は、コイル成形体16およびコア15の稼動によって生じる磁場に対して、部材の有無が影響しにくい位置である。
樹脂部材5は、外圧によって変形可能に形成される。換言すれば、使用環境として想定される温度範囲において、樹脂部材5はゴム弾性を示す弾性部材である。これによって樹脂部材5は、コア15が温度変化によって膨張または収縮したときに、常に側壁部4およびコア15の両方に接触した状態を保ち、電磁機器2を保持する。樹脂部材5は、電磁機器2を垂直方向Zに見たときの外周部を全周にわたって覆うのではなく、互いに離れた複数の内壁部分に配置されるので、仮に電磁機器2の温度変化によって電磁機器2および樹脂部材5に体積変化が生じたとしても、膨張および収縮の変化を弾性部材である樹脂部材5が吸収する。したがって、側壁部4と樹脂部材5との接触、および樹脂部材5と電磁機器2との接触は、常に保たれる。
また樹脂部材5は、第1部品31および第2部品32の接面14を垂直方向Zに跨いで配置され、第1部品31のうち接面14に連なる外周面と、第2部品32のうち接面14に連なる外周面との両方に接触して配置される。これによって樹脂部材5は、第1部品31が第2部品32から垂直方向一方Z1に離れることを阻止する。
側壁部4は、突起部47を含む。突起部47は、載置面11に垂直な方向における、第1部品31および第2部品32の互いの接面14の位置と、載置面11の位置との中間の位置において、内壁部分13から内部空間12側に突出して形成される。樹脂部材5は、突起部47よりも垂直方向一方Z1から、突起部47に接触して配置される。側壁部4に突起部47が形成されることによって、樹脂部材5は少ない量で、第1部品31および第2部品32の接面14の近傍に位置することが可能となる。
図12は、本発明の実施の形態1における電磁機器2および側壁部4の斜視図である。図13は、本発明の実施の形態1における電磁機器2をテープ26で固定した状態における電磁機器2および側壁部4の斜視図である。側壁部4のうち端子側部材43と対向部材44とは、突出方向Xに予め定める間隔D2をあけて配置される。これによって端子側部材43と対向部材44との間には、端子側部材43と対向部材44とによって突出方向X両側から規定される開口部48が形成される。開口部48の間隔は、コア15を成す第1部品31および第2部品32の互いの位置を固定するためのテープ26の幅よりも広く設定される。テープ26は、第1部品31および第2部品32を巻回することによって互いの位置を固定する。端子側部材43と対向部材44とが、予め定める間隔D2をあけて配置されることによって、テープ26を第1部品31および第2部品32に巻回させることが容易になる。
コア15を成す第1部品31および第2部品32にテープ26が巻き付けられると、コイル成形体16は第1部品31および第2部品32によって固定される。この状態で側壁部4を基台3に固定することによって、側壁部4、コイル成形体16およびコア15は基台3に対して位置決めされる。側壁部4は、4つのボス部46を有する。螺子45によって側壁部4の4つのボス部46を垂直方向一方Z1から基台3に取り付けることによって、側壁部4は、基台3に対して固定される。4つのボス部46は、内壁部分13よりも外方の、長方形の4つの角部近傍に設けられる。その結果、側壁部4を基台3に取り付ける螺子45は、電磁機器2によって生じる磁場に部材の有無が影響しにくい位置に配置される。
ばね部材6は、コイル成形体16、コア15および側壁部4が基台3に取り付けられた状態で、コア15を成す第1部品31を基台3に向かって押圧する板ばねである。コイル成形体16、コア15および側壁部4が基台3に取り付けられた状態で、コア15の垂直方向Zの寸法は、側壁部4の垂直方向Zの寸法に一致する。この寸法を「側壁部の高さH」と称する。基台3には、螺子45によってばね部材6を取り付けるための螺合部51が形成される。螺合部51は、側壁部4よりも突出方向他方X2に設けられる。離間方向において螺合部51は、側壁部4の離間方向中央部に配置される。螺合部51の垂直方向Zの寸法は、側壁部の高さHに一致する。ばね部材6は、垂直方向一方Z1から螺合部51に対して螺子止めされ、これによって基台3に取り付けられ、また同時にコア15を基台3に向かって押圧する。
ばね部材6は、コア15を垂直方向Zに見たときの、第1部品31の中央部を押圧する。電磁機器2は、載置面11に平行な方向において樹脂部材5によって位置ずれが阻止されるので、ばね部材6のみによって位置が固定されるわけではない。したがってばね部材6のみによって電磁機器2を保持する場合に比べて、ばね部材6のばね付勢による押圧力を小さく設定することができる。コア15の垂直方向一方Z1の表面の一部は、ばね部材6に覆われることなく垂直方向一方Z1に露出する。
このような構成とすることによって、実施の形態1によれば、電磁機器2は、載置面11に平行な方向において樹脂部材5によって位置決めされ、保持される。したがって電磁機器2が温度が上昇したときに、樹脂部材5が変形することによって電磁機器2の膨張を許容できる。したがって、温度変化による膨張によって電磁機器2に局所的な負荷が生じることを防ぐことができる。これによって、電磁機器2の破損を防ぐことができる。
また電磁機器2は、載置面11に垂直な方向において、ばね部材6によってばね付勢されることによって基台3に押圧して固定される。これによって、載置面11に垂直な方向における電磁機器2の熱膨張は、ばね部材6の弾性変形によって許容され、かつ保持される。電磁機器2は、樹脂部材5によっても保持されているので、載置面11に平行な方向における位置ずれの防止を、ばね部材6によるばね付勢とそれによる摩擦力によって実現する必要がない。したがって、ばね部材6によるばね付勢のみによって電磁機器2を固定する場合に比べて、ばね部材6によるばね付勢を弱く設定することが可能となる。ゆえに、ばね部材6のばね付勢によって電磁機器2が破損するおそれを低減できる。
またコイル成形体16および側壁部4は一体化され、コア15の取付け、側壁部4の基台3への取付け、樹脂部材5の形成およびばね部材6の取付けの順序で組立が完了する。したがってばね付勢に逆らって電磁機器2を組み込む必要がない。したがってばね部品の間に電磁機器2を挿入するような場合に比べて、作業上に困難性がなく、容易に組み立てることができる。
また電磁機器2は、基台3に接触して配置されるので、電磁機器2から熱が発生する場合に、基台3を介して放熱することができる。
また実施の形態1によれば、電磁機器2は、樹脂部材5によって2つ以上の部品が保持されるので、複数の部品の互いの位置関係を樹脂部材5によって固定することができる。したがって、電磁機器2を安定して保持できる。
また実施の形態1によれば、側壁部4は電磁機器2の露出部23の外方への露出を許容するので、電磁機器2が側壁部4よりも外方に露出しない場合に比べて、側壁部4を含む全体を小形化できる。またコイル成形体16の突出方向一方X1の露出部23と、突出方向他方X2の端部とが、側壁部4と共に固定されるので、コイル成形体16の位置を安定に固定でき、電磁機器2を安定に保持できる。
また実施の形態1によれば、露出部23は、電磁機器2への電力供給路の一部を成す端子22を含むので、電磁機器2に対する通電のための接続を容易にすることができる。
また実施の形態1によれば、樹脂部材5は、常温硬化型樹脂によって形成されるので、樹脂部材5の前駆体を配置してから、固化によって樹脂部材5が形成されるまでに加熱昇温などの工程を必要としないので、電磁機器2に温度の負荷がかかることを防ぐことができる。
また実施の形態1によれば、側壁部4は、突起部47を含むので、載置面11に垂直な方向において、樹脂部材5が突起部47よりも載置面11側に移動することを阻止できる。複数の部品の互いの接面14を跨いで樹脂部材5を配置するときに、突起部47を形成しない場合に比べて、樹脂部材5の分量を少なくすることが可能となる。
また実施の形態1によれば、複数の内壁部分13は、垂直方向Zに見たときに、電磁機器2の中央部を外方から囲む。これによって、内壁部分13に樹脂部材5が配置されると、樹脂部材5は電磁機器2の載置面11に平行な全ての方向への変位を阻止できる。また樹脂部材5は、電磁機器2の外周部を全周にわたって覆うのではなく、互いに離れた複数の位置に配置されるので、電磁機器2の外周部を全周にわたって覆う場合に比べて、電磁機器2および樹脂部材5の熱膨張を柔軟に許容できる。したがって電磁機器2にかかる負荷を低減し、電磁機器2が破損するおそれを低減できる。
また実施の形態1によれば、樹脂部材5は、外圧によって変形可能に形成されるので、樹脂部材5は、コア15が温度変化によって膨張または収縮したときに、常に側壁部4およびコア15の両方に接触した状態を保つことができる。したがって、振動の激しい環境において電磁機器2が使用されても、電磁機器2の振動を樹脂部材5が低減することができる。
また実施の形態1によれば、電磁機器2の垂直方向一方Z1の表面の一部は、ばね部材6に覆われることなく垂直方向一方Z1に露出するので、電磁機器2から垂直方向一方Z1への放熱を許容できる。したがって、電磁機器2の劣化を抑制することができる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2による固定構造体1Bを図に基づいて以下に説明する。実施の形態2は、先に説明した実施の形態1に類似しており、以下、実施の形態1に対する実施の形態2の相違点を中心に説明する。
図14は、本発明の実施の形態2に係る固定構造体1Bの分解斜視図である。実施の形態2において側壁部4Bは、基台3Bと一体に形成される。基台3Bおよび側壁部4Bは、樹脂によって形成されても良いし、非磁性体の金属によって形成されても良い。側壁部4Bは、電磁機器2Bを突出方向他方X2、離間方向一方および離間方向他方から電磁機器2Bを覆う。側壁部4Bには突出方向一方X1において、コイル成形体16Bの露出部23の露出を許容する切欠き52が形成される。コイル成形体16Bは、突出方向Xにおいて端子22を含む露出部23が側壁部4Bよりも突出方向一方X1に露出するけれども、突出方向他方X2においてコイル成形体16Bは、側壁部4Bが形成する内部空間12内に配置され、側壁部4Bよりも外方に露出することはない。
このような構成とすることによって、実施の形態2によれば、側壁部4Bを螺子45によって基台3Bに取り付ける作業が不要になるので、実施の形態1に係る固定構造体1Bに比べて、組立の作業効率を向上させることができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3による固定構造体1Cを図に基づいて以下に説明する。実施の形態3は、先に説明した実施の形態1に類似しており、以下、実施の形態1に対する実施の形態3の相違点を中心に説明する。
図15は、本発明の実施の形態3に係る固定構造体1Cの分解斜視図である。側壁部4Cは基台3Cから離れて形成され、基台3Cに対して螺子45によって取付けられる。また側壁部4Cは、電磁機器2Cを突出方向他方X2、離間方向一方および離間方向他方から電磁機器2Cを覆う。側壁部4Cには突出方向一方X1において、コイル成形体16Cの露出部23の露出を許容する切欠き52が形成される。コイル成形体16Cは、突出方向Xにおいて端子22を含む露出部23が側壁部4Cよりも突出方向一方X1に露出するけれども、突出方向他方X2においてコイル成形体16Cは、側壁部4Cが形成する内部空間12内に配置され、側壁部4Cよりも外方に露出することはない。このような構成とすることによって、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4による固定構造体1Dを図に基づいて以下に説明する。実施の形態4は、先に説明した実施の形態1に類似しており、以下、実施の形態1に対する実施の形態4の相違点を中心に説明する。
図16は、本発明の実施の形態4における電磁機器2D、基台3および側壁部4の平面図および断面図である。図16(a)は平面図である。図16(b)は、基台3、側壁部4、コイル成形体16およびコア15Dを図16(a)に示す切断面線D−Dで切断して見た断面図である。図17は、本発明の実施の形態4に係る固定構造体1Dの斜視図である。図18は、本発明の実施の形態4におけるコア15の分解斜視図である。
電磁機器2Dの2つのコア15Dのうち少なくとも一方の部品は、2つの外脚部を含む。本実施の形態では、第1部品31Dおよび第2部品32Dの両方が、それぞれ2つの外脚部を含む。2つの外脚部は、載置面11に垂直に延びて形成される。また2つの外脚部は、離間方向において互いに離れて設けられる。具体的には2つの外脚部は、コア15Dを構成する第1部品31Dの第1外脚部35D、および第2部品32Dの第2外脚部42Dである。
第1部品31Dの第1中央脚33Dが第1底部34Dから垂直方向Zに延伸する長さは、第1部品31Dの第1外脚部35Dが第1底部34Dから垂直方向Zに延伸する長さよりも短く設定される。また第2部品32Dの第2中央脚36Dが第2底部41Dから垂直方向Zに延伸する長さは、第2部品32Dの第2外脚部42Dが第2底部41Dから垂直方向Zに延伸する長さよりも短く設定される。これによって、固定構造体1Dが組み立てられた状態において第1中央脚33Dは、第2中央脚36Dと予め定める間隔D3をあけて配置される。
ばね部材6Dは、2つの押圧部53A、53Bを含む。2つの押圧部53A、53Bは、2つの外脚部35D、42Dが互いに離れる離間方向に、互いに離れて設けられる。離間方向一方の押圧部53Aは離間方向一方の外脚部35D、42Dを載置面11に向かって押圧し、離間方向他方の押圧部53Bは離間方向他方の外脚部35D、42Dを載置面11に向かって押圧する。
押圧部53A、53Bは、ばね部材6Dを構成する板ばねの一部として形成される。押圧部53A、53Bは、コア15Dの突出方向X中央部を押圧する。本実施の形態ではコア15Dの突出方向X中央部はテープ26が巻回されるので、押圧部53A、53Bはテープ26の表面部を垂直方向Zに押圧する。ばね部材6Dは、螺子45によって螺合部51に固定される。螺合部51は、側壁部4よりも突出方向他方X2に設けられる。離間方向において螺合部51は、側壁部4の離間方向中央部に配置される。これによって、仮に螺合部51を螺子45によって固定するときに、ばね部材6Dが螺合部51を中心に載置面11に平行な方向にわずかに位置ずれしたとしても、2つの押圧部53A、53Bのうちの一方は、垂直方向Zに見て側壁部4に形成される開口部48に重なる。したがって押圧部53A、53Bが側壁部4を押圧することは避けられる。
このような構成とすることによって、実施の形態4によれば、電磁機器2Dを成す部品の2つの外脚部35D、42Dは、それぞれ押圧部53A、53Bに押圧されるので、電磁機器2Dの部品のうち2つの外脚部35D、42Dを除く他の部分に曲げ応力が発生することを防ぐことができる。これによって、ばね部材6Dによるばね付勢によって電磁機器2Dの部品に生じる機械的な負荷を小さくすることが可能となる。したがって、電磁機器2Dの部品に曲げ応力が発生する場合に比べて、電磁機器2Dの劣化を抑制することができる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5による固定構造体1を図に基づいて以下に説明する。実施の形態5は、先に説明した実施の形態1に類似しており、以下、実施の形態1に対する実施の形態5の相違点を中心に説明する。
図19は、本発明の実施の形態5における電磁機器2E、基台3および側壁部4の平面図および断面図である。図19(a)は平面図である。図19(b)は、基台3、側壁部4、コイル成形体16およびコア15Eを図19(a)に示す切断面線E−Eで切断して見た断面図である。図20は、本発明の実施の形態5におけるコア15の分解斜視図である。
本実施の形態において第1部品31Eと第2部品32Eとの互いの接面14は、載置面11に垂直な方向において、側壁部4の中央位置よりも載置面11側に近接して配置される。具体的には第1部品31Eは、いわゆるE型コアであり、第2部品32Eは、いわゆるI型コアである。第1部品31Eの第1外脚部35Eが第1底部34Eから垂直方向Zに延伸する寸法は、コイル成形体16の垂直方向Zの寸法よりも大きく設定される。第2部品32Eは、板状の部材として形成される。垂直方向Zに見たときの第1部品31Eおよび第2部品32Eは、互いに同じ形状および大きさに形成される。第1部品31Eは、第1中央脚33Eおよび第1外脚部35Eによって第2部品32Eに接触する。
このような構成とすることによって、実施の形態5によれば、第1部品31Eおよび第2部品32Eの互いの接面14よりも載置面11に近い位置に、樹脂部材5の移動を阻止する突起部47を設けなくても、少ない分量の樹脂部材5によって2つ以上の部品を接触固定することができる。
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態5による固定構造体1を図に基づいて以下に説明する。実施の形態6は、先に説明した実施の形態1に類似しており、以下、実施の形態1に対する実施の形態6の相違点を中心に説明する。
図21は、本発明の実施の形態6における電磁機器2F、基台3および側壁部4の平面図および断面図である。図21(a)は平面図である。図21(b)は、基台3、側壁部4、コイル成形体16およびコア15Fを図21(a)に示す切断面線F−Fで切断して見た断面図である。図22は、本発明の実施の形態6におけるコア15の分解斜視図である。
本実施の形態において第1部品31Fと第2部品32Fとの互いの接面14は、載置面11に垂直な方向において、側壁部4の中央位置よりも載置面11から遠い位置に配置される。具体的には第1部品31Fは、いわゆるI型コアであり、第2部品32Fは、いわゆるE型コアである。第2部品32Fの第2外脚部42Fが第2底部41Fから垂直方向Zに延伸する寸法は、コイル成形体16の垂直方向Zの寸法よりも大きく設定される。第1部品31Eは、板状の部材として形成される。垂直方向Zに見たときの第1部品31Eおよび第2部品32Fは、互いに同じ形状および大きさに形成される。第2部品32Fは、第2中央脚36Fおよび第2外脚部42Fによって第2部品32Fに接触する。
このような構成とすることによって、実施の形態5によれば、樹脂部材5の前駆体を載置面11に近づけて配置する必要がないので、部品どうしの接面14が載置面11の近くに位置する場合に比べて、樹脂部材5の形成にかかる作業性を向上させることができる。
実施の形態1〜実施の形態6においてコア15、15D、15E、15Fを成す第1部品31、31D、31E、31Fおよび第2部品32、32D、32E、32Fのいずれか一方には、垂直方向Zに見たときの中央部に中央脚が形成されるけれども、中央脚は形成されずいわゆるU型コアとしてもよい。たとえば、第1部品31、31D、31E、31Fに第1外脚部35、35D、35E、35Fが形成され、第1部品31、31D、31E、31Fのうち第1外脚部35、35D、35E、35Fを除く他の部分は、全てが平面状の底部を成してもよい。また第1部品31、31D、31E、31Fおよび第2部品32、32D、32E、32Fのいずれか一方が板状の部材として形成される場合にも、他方は中央部に中央脚を持たず、外脚部のみを形成し、いわゆるU型コアとしてもよい。
尚、それぞれの実施の形態は、本発明に係る技術を具体化するために例示するものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。