以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(コイル部品の概要)
図1〜図3を参照して、本実施形態に係るコイル部品及びコイル部品を含む電源装置の構成を説明する。図1及び図2は、本実施形態に係るコイル部品を含んで構成される電源装置の一部を示している。また、図3は、コイル部品の分解斜視図である。本実施形態で説明する電源装置としては、例えば、車載用のスイッチング電源装置が挙げられる。なお、説明のために、各図にXYZ軸を示している。
電源装置1は、筐体2と、筐体2の内面に収容される回路基板3と、回路基板3に形成された端子31,32に対して接続され、回路基板3に搭載される出力チョーク4を含んで構成される。筐体2は、箱状の本体部21と本体部21を覆う蓋部とによって構成されるが、図1では、本体部21側のみを示している。筐体2の本体部21の底面の表側は、電子部品の取り付けのための凹凸が設けられている。また、筐体2の内部は大電流が流れ高温となることから、本体部21の底面の裏側に空冷のフィン22が取り付けられている。
出力チョーク4は、図3に示すように、コイル部品5と、一対の磁性体コア部材6A,6Bと、を含んで構成される。また、コイル部品5は、第1コイル巻線7と、第2コイル巻線8と、ボビン9と、を含んで構成される。第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8は、それぞれ有端リング状の板状の巻線部材が間隔を空けて並設されると共にこれらが軸線Aに沿った所定の巻き方向となるように連結されたものであって、ボビン9の内側に挿入されていてコイル部品5を形成する。また、コイル部品5を挟み込むように一対の磁性体コア部材6A,6Bが配置されることで、出力チョーク4が形成される。出力チョーク4は、後述の押圧部材25〜27によって、筐体2の本体部21に対して押圧されている。
以下、上記の出力チョーク4を構成する各部品について説明すると共に、上記の出力チョーク4を含む電源装置1の組立方法を説明する。
(第1コイル巻線)
第1コイル巻線7について図4を参照しながら説明する。図4は、第1コイル巻線7の構成を説明する斜視図である。
図4に示すように、第1コイル巻線7は、略円環状であって、間を隔てて並設された有端リング状の2つの巻線部材71,72を、所定の巻き方向に連なるように連結させたものである。この有端リング状の巻線部材71,72はいわゆるC字状を呈していて、中央に円形状の開口701,702を有している。巻線部材71と巻線部材72とは、この開口701,702が連通するように重なっている。また、巻線部材71,72は、それぞれ1ターンの巻線であり、一端と他端との間には、それぞれ内周から外周まで延びるスリットが形成されている。
さらに、巻線部材71の一端部には、開口701の軸線Aから外方へ突出する第1の端子部73が一体的に設けられている。そして、巻線部材71の他端部はU字状の接続部74を介して巻線部材72の一端部に連結されている。巻線部材72の他端部には、開口702の軸線Aから外方へ突出する第2の端子部75が一体的に設けられている。第2の端子部75は、第2コイル巻線8と接続される。
上記の構成を有する第1コイル巻線7では、第1の端子部73が第1コイル巻線7の始端、第2の端子部75が第1コイル巻線7の終端になっている。そして、第1の端子部73に電流を入力した場合、電流は、巻線部材71、接続部74、巻線部材72の順で流れ、第2の端子部75から出力される。
また、第1コイル巻線7の巻線部材71には、第1の端子部73とは別に、巻線部材71の周縁から軸線Aに対して外方へ突出する放熱端子部76が一体的に設けられている。放熱端子部76は、第1の端子部73及び第2の端子部75の突出方向(+Y側)とは逆側(−Y側)に突出している。この放熱端子部76は、巻線部材71からの放熱を促進するために設けられているが、詳細は後述する。なお、放熱端子部76が設けられる位置は上記の構成に限定されない。
第1コイル巻線7の巻線部材71の外周には、外周の一部を直線状に切り欠いた切り欠き部77A,77Bが設けられる。同様に、巻線部材72の外周にも外周の一部を直線状に切り欠いた切り欠き部78A,78B(切り欠き部78Bは図4では図示せず)が設けられる。巻線部材71に設けられる切り欠き部77Aと、巻線部材72に設けられる切り欠き部78Aとは、平面視において重なる位置とされている。同様に、巻線部材71に設けられる切り欠き部77Bと、巻線部材72に設けられる切り欠き部78Bとは、平面視において重なる位置とされている。また、切り欠き部77A及び77Bと、78A及び78Bとは、それぞれ軸線Aを挟んで対向する位置に、それぞれの端面が平行となるように設けられている。第1コイル巻線7では、この切り欠き部77A,77B,78A,78Bが設けられていることにより、切り欠き部77Aと77Bとの間の距離(78Aと78Bとの間の距離)が巻線部材71(72)の最小径となる。すなわち、この切り欠き部77Aと77Bとの間の距離(78Aと78Bとの間の距離)が第1コイル巻線7の最小径となる。
また、第1コイル巻線7の巻線部材71には上面(巻線部材72側とは逆側の面)から上方へ突出する突起部79が形成されている。これは、後述のボビン9に取り付けた際に第1コイル巻線7が回動することを規制するために設けられている。
上記の第1コイル巻線7では、第1の端子部73、巻線部材71、接続部74、巻線部材72、及び第2の端子部75が、電流の流れを構成する巻線部として機能する。また、第1の端子部73及び第2の端子部75のように他の部品との間の電気の入出力のための接続を行わない端子部である放熱端子部76が、第1コイル巻線7からの放熱を行うための放熱部として機能する。
以上の構成を有する第1コイル巻線7は、電気伝導性が高い一枚の板材(銅板、アルミニウム板等)を打ち抜き加工することで形成可能である。また、突起部79は押し出し加工等で形成することができる。なお、第1コイル巻線7はこのような折り曲げコイルに限られず、例えば、コイル部材と連結部とをネジ留めしたものであってもよいし、溶接したものであってもよい。また、リベットで固定してもよい。
(第2コイル巻線)
第2コイル巻線8について図5を参照しながら説明する。図5は、第2コイル巻線8の構成を説明する斜視図である。第2コイル巻線8の形状は第1コイル巻線7と類似しているが一部が異なる。
図5に示すように、第2コイル巻線8は、略円環状であって、間を隔てて並設された有端リング状の2つの巻線部材81,82を、所定の巻き方向に連なるように連結させたものである。この有端リング状の巻線部材81,82はいわゆるC字状を呈していて、中央に円形状の開口801,802を有している。巻線部材81と巻線部材82とは、この開口801,802が連通するように重なっている。また、巻線部材81,82は、それぞれ1ターンの巻線であり、一端と他端との間には、それぞれ内周から外周まで延びるスリットが形成されている。
さらに、巻線部材81の一端部には、開口801の軸線Aから外方へ突出する第1の端子部83が一体的に設けられている。第1の端子部83は、第1コイル巻線7の第2の端子部75と連結される。巻線部材81の他端部はU字状の接続部84を介して巻線部材82の一端部に連結されている。巻線部材82の他端部には、開口802の軸線Aから外方へ突出する第2の端子部85が一体的に設けられている。
上記の構成を有する第2コイル巻線8では、第1の端子部83が第2コイル巻線8の始端、第2の端子部85が第2コイル巻線8の終端になっている。そして、第1の端子部83に電流を入力した場合、電流は、巻線部材81、接続部84、巻線部材82の順で流れ、第2の端子部85から出力される。
また、第2コイル巻線8の巻線部材81には、第1の端子部83とは別に、巻線部材81の周縁から軸線Aに対して外方へ突出する放熱端子部86が一体的に設けられている。放熱端子部86は、第1の端子部83及び第2の端子部85の突出方向(+Y側)とは逆側(−Y側)に突出している。この放熱端子部86は、巻線部材81からの放熱を促進するために設けられているが、詳細は後述する。第2コイル巻線8の放熱端子部86の位置は、第1コイル巻線7と第2コイル巻線8とを軸線Aに沿って重ねた場合に、平面視において、第1コイル巻線7の放熱端子部76とは異なる位置に形成される。なお、放熱端子部86が設けられる位置は上記の構成に限定されない。
また、第1コイル巻線7と同様に、第2コイル巻線8の巻線部材81,82の外周には、外周の一部を直線状に切り欠いた切り欠き部87A,87B,88A,88Bが設けられる。巻線部材81に設けられる切り欠き部87Aと、巻線部材82に設けられる切り欠き部88Aとは、平面視において重なる位置とされている。同様に、巻線部材81に設けられる切り欠き部87Bと、巻線部材82に設けられる切り欠き部88Bとは、平面視において重なる位置とされている。また、切り欠き部87Aと87Bとの間の距離(88Aと88Bとの間の距離)が第2コイル巻線8の最小径となる。この点も第1コイル巻線7と同様である。
また、第2コイル巻線8の巻線部材82には下面(巻線部材81側とは逆側の面)から下方へ突出する突起部が形成されている(図示せず)。これは、後述のボビン9に取り付けた際に第2コイル巻線8が回動することを規制するために設けられている。
上記の第2コイル巻線8では、第1の端子部83、巻線部材81、接続部84、巻線部材82、及び第2の端子部85が、電流の流れを構成する巻線部として機能する。また、第1の端子部83及び第2の端子部85のように他の部品との間の電気の入出力のための接続を行わない端子部である放熱端子部86が、第2コイル巻線8からの放熱を行うための放熱部として機能する。
以上の構成を有する第2コイル巻線8は、電気伝導性が高い一枚の板材(銅板、アルミニウム板等)を打ち抜き加工することで形成可能である。なお、第2コイル巻線8はこのような折り曲げコイルに限られず、例えば、コイル部材と連結部とをネジ留めしたものであってもよいし、溶接したものであってもよい。また、リベットで固定してもよい。
(ボビン)
次に、ボビン9の構成について図6及び図7を用いて説明する。図6は、ボビン9の斜視図である。また、図7(A)は、ボビン9の平面図であり、図7(B)は、ボビン9の右側面図である。
ボビン9は、図6及び図7に示すように、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8の軸線A方向に沿って延びて、軸線Aを挟んで対向配置された2つの側壁部91,92と、側壁部91,92の図示上方側の端部同士をそれぞれ連結する連結部93(第1の連結部)と、側壁部91,92の図示下方側の端部同士を連結する連結部94(第2の連結部)と、第1コイル巻線7の放熱端子部76の一部を囲うスペーサ部95(第1のスペーサ部)と、第2コイル巻線8の放熱端子部86の一部を囲うスペーサ部96(第2のスペーサ部)と、を含んで構成される。このうち、2つの側壁部91,92及び2つの連結部93,94がボビン9の本体部を構成する。
上記のボビン9は、絶縁性の材料により構成され、例えばPBT(Poly Butylene Terephthalate)樹脂やPPS(Poly Phenylene Sulfide)樹脂等が、耐熱性、耐薬品性、難燃性、寸法安定性等の特性に優れていることから好適に用いられる。
ボビン9の側壁部91,92は略平板状且つ同一形状の部材からなり、長手方向が軸線A方向となるように設けられる。より具体的には、側壁部91,92のうち、軸線A側の面は平らであるが、軸線A側の面とは逆側の面は、軸線A方向から見たときに円弧を形成するように緩やかに曲がっている。
また、連結部93,94は、平板状且つ同一形状の部材からなり中心に開口901,902をそれぞれ有するリング状の形状をなしている。この開口901,902は、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8をボビン9に対して取り付けたときに、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8の開口と連通し、さらに磁性体コア部材6A,6Bの脚部をこの開口に挿入可能とするために設けられている。なお、ボビン9の開口901,902の内径は、後述の第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8に設けられる開口の内径よりも小さくされている。
連結部93,94には、軸線Aに対して外方へ突出するガイド部93A,94A,94Bが一体的に設けられる。このガイド部93A,94A,94Bは、磁性体コア部材6A,6Bをコイル部品5に対して取り付ける際に磁性体コア部材6A,6Bの位置決めがなされると共に、磁性体コア部材6A,6Bが振動等により動くことを防止する。
また、図7(B)に示すように、連結部93には、第1コイル巻線7に設けられた突起部79を収容可能な凹部931が形成されている。同様に、連結部94には、第2コイル巻線8に設けられた突起部を収容可能な凹部941が形成されている。凹部931,941は、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8の軸線Aに沿った回転を規制する機能を有する。
ボビン9において、側壁部91,92及び連結部93,94により囲まれた領域は、図7(B)に示すように、略矩形状の開口99を形成する。この開口99には、ボビン9に対して第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8が挿入される。このとき、側壁部91と側壁部92との距離は、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8の最小径と略同一であることが好ましい。
また、ボビン9の側壁部91のうち軸線A側(すなわち開口99側)の内面91Aには、軸線Aの延びる方向へ突出する突起部97A,97B,97Cが設けられる。また、側壁部92のうち軸線A側の内面92Aには、軸線Aの延びる方向へ突出する突起部98A,98B,98Cが設けられる。突起部97Aと突起部98Aとは、軸線A方向における高さ位置が同じであり、突起部97Aと突起部98Aとがそれぞれ対向して配置されている。同様に、突起部97Bと突起部98Bと、及び、突起部97Cと突起部98Cと、はそれぞれ軸線A方向における高さ位置が同じであり、それぞれ対向して配置されている。突起部97Aの先端と突起部98Aの先端とを結ぶ距離、突起部97Bの先端と突起部98Bの先端とを結ぶ距離、及び、突起部97Cの先端と突起部98Cの先端とを結ぶ距離は、それぞれ第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8の外径よりも小さくされている。これにより、突起部97A,97B,97C,98A,98B,98Cは、ボビン9の内側に第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8を取り付ける際に、コイル巻線をボビン9の内側の所定の位置に適切に載置するための巻線ガイドとして機能すると共に、載置後のコイル巻線同士の接触及び短絡を防止する機能を有する。なお、本実施形態のボビン9では、上記のように6つの突起部97A,97B,97C,98A,98B,98Cが設けられている。これは、より具体的には、2つの突起部の組(97Aと98A、97Bと98B、及び、97Cと98C)が3セット設けられている構成である。この突起部の組の数は、コイル巻線のターン数等に基づいて適宜変更することができる。
突起部が設けられる位置は、コイル巻線の形状等に基づいて適宜変更することができるが、本実施形態のボビン9では、連結部93と突起部97A,98Aとの間の距離が第1コイル巻線7の厚さとなるような位置に、軸線A方向の位置が等しくなるように突起部97A,98Aが設けられている。また、連結部94と突起部97C,98Cとの間の距離が第1コイル巻線7の厚さとなるような位置に、軸線A方向の位置が等しくなるように突起部97C,98Cが設けられている。さらに、突起部97A,98Aと突起部97B,98Bとの間の距離が第1コイル巻線7を構成する板状の巻線部材の厚さとなり、且つ、突起部97B,98Bと突起部97C,98Cとの間の距離が第2コイル巻線8を構成する板状の巻線部材の厚さとなるような位置に、軸線A方向の位置が等しくなるように突起部97B,98Bが設けられている。ここで、第1コイル巻線7と第2コイル巻線8とは同じ厚さの巻線部材が用いられていることから、連結部93と突起部97A,98Aとの間の距離、突起部97A,98Aと突起部97B,98Bとの間の距離、突起部97B,98Bと突起部97C,98Cとの間の距離、及び、突起部97C,98Cと連結部94との間の距離が等しくされている。
ボビン9のスペーサ部95は、第1コイル巻線7をボビン9に対して取り付けた際に、放熱端子部76が挿入される位置に形成される。本実施形態のボビン9では、スペーサ部95は連結部93の端部から軸線Aに対して外方に突出するように形成される。スペーサ部95は、軸線A方向に沿って延びる側壁部95A、95Bと、側壁部95A,95Bの図示上方側の端部同士を繋ぐように延びる上面部95Cと、を有する。
スペーサ部95における側壁部95A,95Bの図示下方側の端部には、それぞれ互いに対向するように突出するフランジ部951,952が形成されている。フランジ部951,952は、連結部93との接続部分から側壁部95A,95Bの端部(−Y側の端部)まで、側壁部95A,95Bと同様に延在している形状となっているが、フランジ部951,952の形状は特に限定されない。また、フランジ部951,952の側壁部95A,95Bからの長さ(幅)も適宜変更することができるが、フランジ部951,952の間には、放熱端子部76からの放熱を行うための間隙を設けるような形状とする必要がある。なお、側壁部95Aとフランジ部951、及び、側壁部95Bとフランジ部952がそれぞれ連続していることで、各部の剛性が高められている。
側壁部95A,95B及び上面部95Cは、根元となる側、すなわちスペーサ部95が取り付けられている連結部93側(+Y側)では互いに連続しているが、端部側、すなわち、連結部93から離れた側(−Y側)では互いに離間している。これは、放熱端子部76を挿入した際に、フランジ部951,952を含む側壁部95A,95Bに対して上面部95Cが移動(変形)可能となることを想定したものである。
また、スペーサ部95における上面部95Cの下面(側壁部95A,95Bが設けられる側の面)であって、上面部95Cの端部(−Y側の端部)には、突起部953,954が設けられる。上面部95Cの下面は、組み立て時に放熱端子部76との対向面となる。図6に示すように、突起部953,954は、それぞれ、上面部95Cの端部(−Y側の端部)側が逆側(+Y側)よりも高くなるように傾斜部を含むように形成されている。傾斜部は、上面部95Cの端部に向かって直線的に高くなるように、スロープ状に形成されていても良いし、R面やC面等の面取りを施した形状としても良い。また、突起部953,954とフランジ部951,952との距離は、放熱端子部76の導体の厚さよりも小さくされている。突起部953,954は、放熱端子部76の下方への移動を促進するために設けられているが、詳細は後述する。
上記のスペーサ部95では、上面部95Cが放熱端子部76の上面を覆う上面カバー部として機能する。また、フランジ部951,952を除き側面側に設けられる側壁部95A,95Bが放熱端子部76の側面を覆う側面カバー部として機能する。また、フランジ部951,952が放熱端子部76の下面を覆う下面カバー部として機能する。また、フランジ部951,952の間は開口している。
ボビン9のスペーサ部96は、第2コイル巻線8をボビン9に対して取り付けた際に、放熱端子部86が挿入される位置に形成される。本実施形態のボビン9では、スペーサ部96は、側壁部91,92とは異なる位置で連結部93,94の間を接続するように軸線A方向に沿って延びるスペーサ支持部96Eを備え、スペーサ支持部96Eから軸線Aに対して外方に突出するようにスペーサ部96の主要部が形成される。スペーサ支持部96Eは、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8をボビン9に取り付けた際の第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8の外周に沿うように形成されている。スペーサ部96の主要部には、軸線A方向に沿って延びる側壁部96A、96Bと、側壁部96A,96Bの図示上方側の端部同士を繋ぐように延びる上面部96Cと、を有する。
側壁部96A,96B及び上面部96Cは、根元となる側、すなわちスペーサ部96の主要部が取り付けられているスペーサ支持部96E側(+Y側)では互いに連続しているが、端部側、すなわち、連結部93から離れた側(−Y側)では互いに離間している。これは、放熱端子部76を挿入した際に、フランジ部961,962を含む側壁部96A,96Bに対して上面部96Cが移動(変形)可能となることを想定したものである。
スペーサ部96における側壁部96A,96Bの図示下方側の端部には、それぞれ互いに対向するように突出するフランジ部961,962が形成されている。フランジ部961,962は、連結部93との接続部分から側壁部96A,96Bの端部(−Y側の端部)まで、側壁部96A,96Bと同様に延在している形状となっているが、フランジ部961,962の形状は特に限定されない。また、フランジ部961,962の側壁部96A,96Bからの長さ(幅)も適宜変更することができるが、フランジ部961,962の間には、放熱端子部86からの放熱を行うための間隙を設けるような形状とする必要がある。なお、側壁部96Aとフランジ部961、及び、側壁部96Bとフランジ部962がそれぞれ連続していることで、各部の剛性が高められている。
また、スペーサ部96における上面部96Cの下面(側壁部96A,96Bが設けられる側の面)であって、上面部96Cの端部(−Y側の端部)には、突起部963,964が設けられる。上面部96Cの下面は、組み立て時に放熱端子部86との対向面となる。図6に示すように、突起部963,964は、それぞれ、上面部96Cの端部(−Y側の端部)側が逆側(+Y側)よりも高くなるように傾斜部を含んで形成されている。突起部963,964とフランジ部961,962との距離は、放熱端子部86の導体の厚さよりも小さくされている。突起部963,964は、放熱端子部86の下方への移動を促進するために設けられているが、詳細は後述する。
上記のスペーサ部96では、上面部96Cが放熱端子部86の上面を覆う上面カバー部として機能する。また、フランジ部961,962を除き側面側に設けられる側壁部96A,96Bが放熱端子部86の側面を覆う側面カバー部として機能する。また、フランジ部961,962が放熱端子部86の下面を覆う下面カバー部として機能する。また、フランジ部961,962の間は開口している。
(ボビンへの第2コイル巻線の取り付け)
次に、第1コイル巻線7と第2コイル巻線8とボビン9とを含むコイル部品5の組み立て方法について説明する。ボビン9に対して第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8を取り付けることでコイル部品5を組み立てることができるが、取り付け順序は特に限定されない。本実施形態では、ボビン9に対して第2コイル巻線8及び第1コイル巻線7の順にこれらを取り付ける場合について説明する。
まず、ボビン9への第2コイル巻線8の取り付けについて、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は、ボビン9への第2コイル巻線8の取り付け方法を説明する斜視図である。また、図9は、ボビン9への第1コイル巻線7の取り付け方法を説明する斜視図であるが、ボビン9に対して第2コイル巻線8を取り付けた状態も示している。また、必要に応じて、ボビン9に対して第1コイル巻線7(及び第2コイル巻線8)を取り付けた後の左側面図である図10を併せて参照する。なお、図8以降の図面では軸線Aを複数記載している場合があるが、これは、各部品を組み立てた際に軸線Aに沿った位置に配置される部分を示しているためである。
ボビン9へ第2コイル巻線8を取り付ける際には、図8に示すように、ボビン9において、側壁部91,92及び連結部93,94により囲まれた開口(図7(B)における開口99)に対して、図示手前側(スペーサ部95,96が設けられていない側)から第2コイル巻線8を挿入する。このとき、第2コイル巻線8を、ボビン9の開口901,902が連通する方向と第2コイル巻線8の軸線とが一致し、且つ、側壁部91,92の内面91A,92Aが延在する方向に沿って第2コイル巻線8の切り欠き部87A,87B,88A,88Bが配置されるような向きとする。そして、放熱端子部86がスペーサ部96に挿入され、且つ、側壁部91,92の内面91A,92Aと切り欠き部87A,87B,88A,88Bとが対向する位置まで第2コイル巻線8を開口99から挿入する。
このとき、第2コイル巻線8の巻線部材81がボビン9の突起部97B,98Bと突起部97C,98Cとの間に嵌まると共に、第2コイル巻線8の巻線部材82がボビン9の突起部97C,98Cと連結部94との間に嵌まるように、第2コイル巻線8をボビン9に対して挿入する。これにより、第2コイル巻線8は、ボビン9内で上下方向(軸線Aに沿った方向)の移動が抑制される。
また、第2コイル巻線8の巻線部材82に設けられた突起部がボビン9の連結部94に形成された凹部941に収容される。また、第2コイル巻線8の最小径を形成する切り欠き部87A,87B,88A,88Bと側壁部91,92の内面91A,92Aとが対向配置した状態となっている。これらの機構により、第2コイル巻線8は、ボビン9内で回転方向(軸線Aと交差する方向)の移動が抑制される。
また、第2コイル巻線8を取り付けると、図10に示すように、放熱端子部86はスペーサ部96における側壁部96A,96B及び上面部96Cに囲われた領域に挿入される。放熱端子部86をスペーサ部96の主要部内に挿入する際に傾斜部を含む突起部963,964と放熱端子部86とが当接する。したがって、スペーサ部96の上面部96Cの端部側は、放熱端子部86の挿入に伴って、上方に対して押し上げられた状態となる。このため、上面部96Cには下方へ戻ろうとする復元力が働く。この結果、上面部96Cによって放熱端子部86を下方に押し下げる力が生じ、図10に示すように、放熱端子部86はフランジ部961,962側へ押し下げられた状態でスペーサ部96内に収容される。また、放熱端子部86は下面の一部がフランジ部961,962で覆われた状態となる。なお、放熱端子部86の下面を覆う部分はフランジ部961,962のみであるので、フランジ部961,962によって覆われない部分は外部に露出する。
(ボビンへの第1コイル巻線の取り付け)
次に、ボビン9への第1コイル巻線7の取り付けについて、図9〜図11を参照しながら説明する。図9は、ボビン9への第1コイル巻線7の取り付け方法を説明する斜視図である。また、図10は、ボビン9に対して第1コイル巻線7(及び第2コイル巻線8)を取り付けた後の左側面図である。また、図11は、第1コイル巻線7と第2コイル巻線8との接続について説明する斜視図であるが、ボビン9に対して第1コイル巻線7を取り付けた状態も示している。
ボビン9へ第1コイル巻線7を取り付ける際には、図9に示すように、ボビン9において、側壁部91,92及び連結部93,94により囲まれた開口(図7(B)における開口99)に対して、図示手前側(スペーサ部95,96が設けられていない側)から第1コイル巻線7を挿入する。このとき、第1コイル巻線7を、ボビン9の開口901,902が連通する方向と第1コイル巻線7の軸線とが一致し、且つ、側壁部91,92の内面91A,92Aが延在する方向に沿って第1コイル巻線7の切り欠き部77A,77B,78A,78Bが配置されるような向きとする。そして、放熱端子部76がスペーサ部95に挿入され、且つ、側壁部91,92の内面91A,92Aと切り欠き部77A,77B,78A,78Bとが対向する位置まで第1コイル巻線7を開口99から挿入する。
このとき、第1コイル巻線7の巻線部材71がボビン9の突起部97B,98Bと突起部97C,98Cとの間に嵌まると共に、第1コイル巻線7の巻線部材72がボビン9の突起部97C,98Cと連結部94との間に嵌まるように、第1コイル巻線7をボビン9に対して挿入する。これにより、第1コイル巻線7は、ボビン9内で上下方向(軸線Aに沿った方向)の移動が抑制される。
また、第1コイル巻線7の巻線部材71に設けられた突起部がボビン9の連結部93に形成された凹部931に収容される。また、第1コイル巻線7の最小径を形成する切り欠き部77A,77B,78A,78Bと側壁部91,92の内面91A,92Aとが対向配置した状態となっている。これらの機構により、第1コイル巻線7は、ボビン9内で回転方向(軸線Aと交差する方向)の移動が抑制される。
また、第1コイル巻線7を取り付けると、放熱端子部76は、スペーサ部95における側壁部95A,95B及び上面部95Cに囲われた領域に挿入される。放熱端子部76をスペーサ部95の主要部内に挿入する際に傾斜部を含む突起部953,954と放熱端子部76とが当接する。したがって、スペーサ部95の上面部95Cの端部側は、放熱端子部76の挿入に伴って、上方に対して押し上げられた状態となる。このため、上面部95Cには下方へ戻ろうとする復元力が働く。この結果、上面部95Cによって放熱端子部76を下方に押し下げる力が生じ、図10に示すように、放熱端子部76はフランジ部951,952側へ押し下げられた状態でスペーサ部95内に収容される。また、放熱端子部76は下面の一部がフランジ部951,952で覆われた状態となる。なお、放熱端子部76の下面を覆う部分はフランジ部951,952のみであるので、フランジ部951,952によって覆われない部分は外部に露出する。
(コイル部品の組み立て)
上記のように、ボビン9に対して第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8を取り付けた後、図11に示すように、第1コイル巻線7の第2の端子部75と、第2コイル巻線8の第1の端子部83と、をネジ55により連結する。これにより、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8が電気的に接続され、軸線Aの周囲を巻回する一連のコイルが形成される。以上により、コイル部品5が形成される。
(出力チョークの組み立て)
次に、図3に戻って、出力チョーク4の組み立てについて説明する。この出力チョーク4は、上記のコイル部品5が更に一対の磁性体コア部材6A,6Bを備えるものである。
図3に示すように、磁性体コア部材6A,6Bは、コイル部品5を構成する第1コイル巻線7、第2コイル巻線8及びボビン9の開口を貫く軸線Aに沿ってコイル部品5を挟むように配置される。
磁性体コア部材6A,6Bは、フェライト粉末を圧粉成形して得られるいわゆるE型コアである。より具体的には、磁性体コア部材6Aは、長手方向を有する平板状の基部60と、基部60の一方の主面の中心に突設された円柱状の主脚61と、主脚61を挟んで基部60の端部に設けられた2本の外脚62,63とからなっている。また、磁性体コア部材6Bは、長手方向を有する平板状の基部66と、基部66の一方の主面の中心に突設された円柱状の主脚67と、主脚67を挟んで基部66の端部に設けられた2本の外脚68,69とからなっている。
磁性体コア部材6Aの主脚61はコイル部品5の開口、すなわち、ボビン9の連結部93の開口901、第1コイル巻線7における開口701,702、第2コイル巻線8における開口801,802、及び、ボビン9の連結部94の開口902を連通するように挿入される。このとき、図10に示すように、ボビン9の連結部93の開口901、及び、連結部94の開口902の径は、第1コイル巻線7における開口701,702、及び、第2コイル巻線8における開口801,802の径よりも小さくされている。これにより、連結部93の開口901、及び、連結部94の開口902が磁性体コア部材6Aの主脚61及び磁性体コア部材6Bの主脚67に僅かなクリアランスを設けて挿入されている一方、第1コイル巻線7における開口701,702、及び、第2コイル巻線8における開口801,802は、磁性体コア部材6Aの主脚61及び磁性体コア部材6Bの主脚67と当接しない。このように、ボビン9は、開口内において、磁性体コア部材6A,6Bと、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8とが接触することを防止する機能を有する。
図3に戻り、磁性体コア部材6Aの外脚62,63及び磁性体コア部材6Bの外脚68,69は、ボビン9の側壁部91,92に沿って、外脚62と外脚68とが当接し、外脚63と外脚69とが当接するように軸線A方向に延びている。このとき、ボビン9の側壁部91,92が、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8の外周面に沿って設けられているため、側壁部91,92が、磁性体コア部材6A,6Bと、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8と、が接触することを防止する絶縁部材としての機能を有する。
また、ボビン9の連結部93,94は、コイル部品5を一対の磁性体コア部材6A,6Bで挟み込んだときに、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8が磁性体コア部材6A,6Bと当接することを防止する絶縁部材としての機能を有する。
さらに、ボビン9の連結部93,94に、外方へ突出するガイド部93A,94A,94Bがそれぞれ設けられ、このガイド部93A,94A,94Bが磁性体コア部材6A,6Bと当接した状態で磁性体コア部材6A,6Bが取り付けられる。このとき、ガイド部93A,94A,94Bが磁性体コア部材6A,6Bの移動を規制することから、磁性体コア部材6A,6Bとコイル部品5との間の幅方向の位置ズレの発生が抑制される。なお、ガイド部93A,94A,94Bの形状は、上記に限られず、磁性体コア部材の形状に応じて適宜変更することができる。また、ボビン9の側壁部91,92にガイド部を設ける態様とすることもできる。
なお、図3に示すように、磁性体コア部材6A,6Bを取り付けた後に両者を固定するためのテープを6E,6Fを貼付する構成としてもよい。
(電源装置の組み立て)
次に、上記の出力チョーク4及び出力チョーク4付近の他の電子部品等を筐体2に対して取り付けることで電源装置1を組み立てる。図12及び図13を参照しながら、電源装置1の組み立てについて説明する。なお、図12及び図13は、いずれも電源装置1の分解斜視図であるが、筐体2への出力チョーク4の取り付けを具体的に説明するために、配置を移動させたり部品を変更したりしている。
図12は、回路基板3と出力チョーク4との連結及び筐体2の本体部21の底面への取り付けについて説明している。回路基板3には、端子31,32が設けられている。端子31に対しては、出力チョーク4を構成するコイル部品5に含まれる第1コイル巻線7の第1の端子部73がネジ35により固定される。また、端子32に対しては、出力チョーク4を構成するコイル部品5に含まれる第2コイル巻線8の第2の端子部85がネジ36により固定される。これにより、回路基板3と出力チョーク4との電気的な接続が行われる。回路基板3には、筐体2の本体部21に対する位置決めを行うための開口等が別途設けられていて、回路基板3を本体部21の所定の位置に配置した後に、出力チョーク4と回路基板3とが接続される。
図13は、本体部21底面への出力チョーク4の取り付けを説明している図である。簡単のため、回路基板3と出力チョーク4とが接続された例を示しているが、上述した通り、回路基板3と出力チョーク4との接続は後で行われる。
出力チョーク4は、磁性体コア部材6Bが本体部21に設けられた平坦なコア部材収容面201に対して載置されるように、本体部21に対して取り付けられる。コア部材収容面201には、放熱性を有すると共に絶縁を確保するための放熱材料を塗布又は設置された後に、出力チョーク4が取り付けられる。放熱材料としては放熱シートを用いることができるほか、放熱シリコーン等を用いてもよい。
また、出力チョーク4を筐体2の本体部21に取り付ける際には、第1コイル巻線7の放熱端子部76及び第2コイル巻線8の放熱端子部86についても筐体2の本体部21への放熱経路が確保される。具体的には、放熱端子部76,86が筐体2の本体部21と熱的に接続可能なように、本体部21には凸部211が形成され、放熱端子部76の下面と対向する位置に第1接続面212が、放熱端子部86の下面と対向する位置に第2接続面213が、それぞれ形成される。第1接続面212の高さ位置は、出力チョーク4を本体部21のコア部材収容面201に載置した際に、放熱端子部76を覆うスペーサ部95のフランジ部951,952と第1接続面212とが当接するように設定される。同様に、第2接続面213の高さ位置は、出力チョーク4を本体部21のコア部材収容面201に載置した際に、放熱端子部86を覆うスペーサ部96のフランジ部961,962と第2接続面213とが当接するように設定される。
また、出力チョーク4を本体部21に対して取り付ける際に、第1接続面212及び第2接続面213上(図13で斜線で示した部分)には粘度のある放熱材料が塗布され、出力チョーク4を本体部21に対して取り付ける際に、第1接続面212と放熱端子部76との隙間(図10に示す斜線の領域P1)及び第2接続面213と放熱端子部86との隙間(図10に示す斜線の領域P2)に放熱材料が入り込んだ状態とされる。ここで用いられる放熱材料は、絶縁性及び放熱性を有していることに加えて、第1接続面212と放熱端子部76との隙間及び第2接続面213と放熱端子部86に入り込んだ状態で硬化する(外部への流出が不可能な状態となる)材料であることが好ましい。このような放熱材料としては、例えば、加熱硬化又は室温硬化型の放熱シリコーンを用いることができる。また、放熱材料としては放熱シートを用いることもできる。第1接続面212と放熱端子部76との隙間(図10に示す斜線の領域P1)及び第2接続面213と放熱端子部86との隙間(図10に示す斜線の領域P2)に放熱材料が入り込んだ状態が維持されることで、第1接続面212と放熱端子部76との間及び第2接続面213と放熱端子部86との間がそれぞれ熱的に接続されるため、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8で発生した熱を筐体2の本体部21へ放出することができる。
また、コア部材収容面201に出力チョーク4を取り付けた後に、出力チョーク4の磁性体コア部材6Aは、押圧部材25,26によって下方に向けて押圧した状態で支持される。押圧部材25,26の形状は特に限定されないが、本実施形態では、押圧部材25,26は、それぞれ筐体2の本体部21から突出する凸部251,261に対して一端側がネジ252,262により固定されたばね状の部材を示している。押圧部材25,26によって下方に向けて押圧した状態で出力チョーク4が支持されることで、振動等による出力チョーク4の移動を規制すると共に出力チョーク4の磁性体コア部材6Bからコア部材収容面201への放熱を促進する。
また、出力チョーク4におけるボビン9のスペーサ部95,96は、押圧部材27の2つの押圧部27A,27Bによってそれぞれ下方に向けて押圧した状態で支持される。本実施形態では、押圧部材27は、筐体2の本体部21から突出する凸部271に対して一端側がネジ272により固定されると共に、2つのばね状の押圧部27A,27Bを有する。押圧部材27によって下方に向けて押圧した状態で出力チョーク4におけるボビン9のスペーサ部95,96が支持されることで、振動等による出力チョーク4の移動を規制すると共に、ボビン9のスペーサ部95,96内の放熱端子部76,86からの筐体2の本体部21への放熱を促進する。特に、放熱端子部76,86からの本体部21への放熱のためには、放熱端子部76と第1接続面212上の放熱部材との間及び放熱端子部86と第2接続面213上の放熱部材との間の熱的な接続を確保すると共にその接触面積を大きくすることが好ましい。したがって、押圧部材27を用いてボビン9のスペーサ部95,96を押圧支持することで、放熱端子部76,86からの放熱をより確実に行うことが可能となる。
なお、スペーサ部95のフランジ部951,952は、放熱端子部76の下面の一部を覆う形状となっているため、放熱端子部76と第1接続面212とが直接接触することはない。したがって、放熱端子部76と本体部21との絶縁を確保することができる。同様に、スペーサ部96のフランジ部961,962は、放熱端子部86の下面の一部を覆う形状となっているため、放熱端子部86と第2接続面213とが直接接触することはない。したがって、放熱端子部86と本体部21との絶縁を確保することができる。このように、フランジ部951,952,961,962は、内部の放熱端子部76,86からの筐体2の本体部21への放熱部材を経由する放熱経路を確保すると共に、放熱端子部76,86と筐体2の本体部21との絶縁を確実に行うことを実現している。
以上のように、本実施形態に係る電源装置1では、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8にそれぞれ放熱端子部76,86が設けられている。第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8がそれぞれ放熱部として機能する放熱端子部76,86を有することで、コイル巻線からの放熱性を高めることが可能となる。
一方、放熱端子部76,86は、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8の巻線部から外方に突出していて、外部部品との接触が発生し、絶縁性を確保できなくなることが考えられる。そこで、本実施形態に示したボビン9のスペーサ部95,96は、放熱端子部76,86の上面を覆う上面部95C,96Cと、放熱端子部76,86の下面の少なくとも一部を覆うフランジ部951,952,961,962を有する。したがって、放熱端子部76,86と外部部品とが接触することが防がれ、絶縁性を確保することができる。また、フランジ部951,952,961,962によって開口が形成されているため、放熱端子部76,86の下面の一部が外部に露出することから、放熱端子部76,86と放熱シリコーン等の放熱材料との接触が可能となるため、放熱性の向上効果も得ることができる。
また、上記の構成を備えると、電源装置1の製造工程における組立工数を減少させることができる。従来は、放熱端子部76,86のようなコイル巻線から筐体への放熱を行うための端子を別途設ける場合、端子と筐体との絶縁性を確保するために端子と筐体との間に放熱シート等を挟む必要があった。この場合、放熱シートを挟み込む工程を機械で行うことは困難であることから、部品点数が増加するだけでなく、組立工数が増大していた。これに対して、本実施形態に係る電源装置1では、放熱端子部76,86から筐体への放熱を加熱硬化又は室温硬化型の放熱シリコーン等の放熱材料によって実現することができる。放熱材料の塗布作業は自動化が可能であることから、加熱硬化又は室温硬化型の放熱材料を採用することが可能な構成である本実施形態のコイル部品を採用することで、電源装置1の組立工数の減少を実現することができる。
また、上記実施形態のコイル部品5において、ボビン9は、本体部が2つの側壁部91,92及び2つの連結部93,94から構成されている場合、本体部及びスペーサ部を有するボビン9を比較的単純な構成として実現することができ、コイル巻線の絶縁性を確保しつつ放熱性を向上させることが可能なコイル部品5の製造コストを低減させることができる。
また、上記実施形態のコイル部品5において、ボビン9のスペーサ部95,96では、開口が形成されたフランジ部951,952,961,962とは逆側の部材である上面部95C,96Cに、端部に向けて徐々に高さが大きくなる傾斜部を含む突起部953,954,963,964を設けられている。これにより、スペーサ部95,96に対して第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8の放熱端子部76,86を取り付けた際に、端部側で放熱端子部76,86が突起部953,954,963,964によって押圧される。したがって、開口が設けられた部材側、すなわち、フランジ部951,952,961,962に放熱端子部76,86が押圧されるため、放熱端子部76,86と放熱材料との接触を促進することが可能となり、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8からの放熱性をさらに向上させることができる。
さらに、上記実施形態のコイル部品5のように、ボビン9のスペーサ部95,96が側壁部95A,95B,96A,96Bをさらに有することで、放熱端子部76,86の側面が他の部品と接触することを防ぐことが可能となり、第1コイル巻線7及び第2コイル巻線8の絶縁性をさらに高めることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施形態では、放熱端子部76,86の下面から放熱が行われる構成について説明したが、放熱端子部76,86の上面から放熱を行う構成としてもよい。この場合には、ボビン9のスペーサ部95,96の構成についても上下を変更することで対応できる。すなわち、放熱端子部76,86の上面から放熱を行う場合には、上面部95C,96Cに開口が形成されるような構成とする必要がある。また、上記実施形態では、開口が形成されたフランジ部951,952,961,962とは逆側の部材である上面部95C,96Cに、端部に向けて徐々に高さが大きくなる傾斜部を含むの突起部953,954,963,964を設けられている構成を説明したが、開口を形成する部材を逆側に変更する場合には、突起部を設ける部材も逆側に変更する必要がある。
また、上記実施形態では、2つのコイル巻線が用いられているコイル部品5について説明したが、コイル巻線の数は適宜変更することができる。また、コイル部品におけるコイル巻線のターン数も1ターン以上であれば特に限定されない。
また、コイル巻線の形状も適宜変更できると共に、ボビン9の形状も適宜変更することができる。例えば、上記実施形態では、ボビン9の本体部が2つの側壁部91,92及び2つの連結部93,94から構成されている例について説明したが、ボビン9の本体部の形状は適宜変更することができる。ボビン9の本体部の機能は、コイル巻線の巻線部の絶縁性を確保することである。したがって、巻線部を構成する導体同士の絶縁性及び巻線部と他の部材との絶縁性を確保することが可能であれば、その構成は適宜変更することができる。
また、上記実施形態では、コイル巻線7,8とボビン9とを組み合わせてコイル部品5を形成する場合について説明したが、コイル部品は、コイル巻線とボビンとが一体成型されていてもよい。この場合、予め成形したコイル巻線に対して、ボビンとして機能する絶縁材料を付着させることで、コイル部品を形成することができる。
また、上記実施形態では、コイル部品5を出力チョーク4に適用した場合について説明したが、本発明に係るコイル部品は、トランスや共振コイル等、コイル部品を含む各種部品に適応可能である。