以下、本発明に係る泡吐出容器の実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
図1及び図2は、本発明の1つの実施形態としての泡吐出容器1を示す断面図である。図1及び図2に示すように、泡吐出容器1は、容器本体10と、キャップ部材2と、シリンダー40と、逆止弁50と、を備えている。また、キャップ部材2は、ベースキャップ20と、ノズルヘッド30と、を備えている。なお、詳細は後述するが、図1は、ノズルヘッド30がベースキャップ20の流通路27aを閉塞する閉位置にある状態を示し、図2は、ノズルヘッド30がベースキャップ20の流通路27aを閉塞せずに開放する開位置にある状態を示す。
図1、図2に示す泡吐出容器1は、流動性を有する内容液を収容すると共に、当該内容液を泡状に吐出することができるものである。特に、図1、図2に示す泡吐出容器1は、シャンプー、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔料、クレンジング料等の身体用の各種液体洗浄剤や、整髪料や、洗口剤や、台所用又は風呂用の各種液体洗浄剤や、食用の液体等の、香料や油分を含む内容液を収容するとともに、当該内容液を泡状に吐出することに適したものである。
図1、図2に示すように、容器本体10は、口部11、胴部12及び底部(不図示)を備えており、内部に内容液の収容空間Sを区画している。胴部12は、可撓性を有しており、収容空間Sの周囲を囲んでおり、口部11は、胴部12の一端に連続して形成されており、底部は、胴部12の他端に連続して形成されている。なお、以下の説明で記載する「上」とは、胴部12に対して口部11が位置する一端側を意味し、「下」とは、胴部12に対して口部11が位置する一端側とは反対の他端側、すなわち胴部12に対して底部が位置する他端側を意味する。
口部11は、上部を開口させた円筒状の形状を有している。また、胴部12は、口部11に連なる楕円筒状の形状を有している。底部は、胴部12と連続する楕円平板状の形状を有している。この容器本体10は合成樹脂製となっており、胴部12は可撓性を有し、胴部12を圧搾(スクイズ)することにより収容空間Sを減容させ、容器本体10内を加圧することができるようになっている。
図1、図2に示すように、容器本体10の口部11にはキャップ部材2が装着されている。
キャップ部材2は、内容液の吐出口としてのノズル36の先端開口36aと、この先端開口36aに連なる内容液の流通路27aとを区画している。具体的に、キャップ部材2は、容器本体10の口部11に螺合されることにより装着され、流通路27aを区画しているベースキャップ20と、吐出口としての先端開口36aを区画するノズル36及び流通路27aを開閉可能な開閉蓋部37を備え、開閉蓋部37がベースキャップ20の流通路27aを閉塞する閉位置(図1参照)と開放する開位置(図2参照)との間で移動可能にベースキャップ20に対して装着されたノズルヘッド30と、を備えている。
ベースキャップ20は、例えば樹脂製であり、容器本体10の口部11を取り囲む円筒状の外周壁21を有し、この外周壁21の内周面に設けられた雌ねじ部21aが口部11の外周面に設けられた雄ねじ部11aにねじ結合することにより、容器本体10の口部11にねじ込み固定されている。外周壁21の内側にはフランジ部22を介してシール筒部23が同軸且つ一体に設けられ、このシール筒部23が口部11の内側に嵌め込まれることで、ベースキャップ20と口部11との嵌合部分がシールされて当該部分からの液漏れが防止されるようになっている。なお、図1及び図2において符号「O」で示す一点鎖線は、容器本体10の口部11、ベースキャップ20の外周壁21、及びノズルヘッド30の後述するカバー部31の中心軸線である。
口部11の根元には小突起11bと大突起11cとが周方向に間隔を空けて設けられ、外周壁21の下端部には、これらの突起11b、11cに対応した回り止めリブ21bが設けられている。ベースキャップ20が口部11にねじ込まれると、そのねじ込み終了直前に回り止めリブ21bが小突起11bを乗り越えて小突起11bと大突起11cとの間に配置され、これによりベースキャップ20は口部11に対して回り止め保持される。
図示する場合では、ベースキャップ20を容器本体10の口部11にねじ結合により固定するようにしているが、ベースキャップ20を容器本体10の口部11にアンダーカットで固定させる構成とすることもできる。
シール筒部23はフランジ部22に対して上方側にまで延びており、その上端部には径方向内側に向けて延びる段差部24が一体に設けられている。この段差部24の図中下方側を向く内面は、平坦且つ環状に形成された下向き段差面24aとなっている。
段差部24の内周縁には、当該内周縁から図中上方に向けて延びるストッパ用外筒部25aが一体に設けられている。ストッパ用外筒部25aは円筒状に形成され、外周壁21と同軸に配置されている。
ストッパ用外筒部25aの内側には、同軸のストッパ用内筒部25bが形成されており、ストッパ用外筒部25aの上端は環状の上端壁26の外縁と連続し、ストッパ用内筒部25bの上端は、環状の上端壁26の内縁と連続している。ストッパ用外筒部25aとストッパ用内筒部25bとの間には隙間が形成されており、この隙間にシリンダー40の上端筒部40dが嵌合されている。
ストッパ用内筒部25bの内側には流通筒部27が一体に設けられている。流通筒部27はストッパ用内筒部25bと同軸の円筒状に形成され、フランジ状に拡径した下端においてストッパ用内筒部25bの下端に連結されている。流通筒部27の内側は内容液の流通路27aとなっており、この流通路27aは容器本体10の口部11、つまり収容空間Sに連通している。したがって、容器本体10の収容空間S内の内容液や空気は、ノズルヘッド30が開位置とされた場合(図2参照)には、この流通路27aを通ってベースキャップ20の外部に向けて流出することができ、また、外部の空気や後述するノズル36内に残った内容液は、この流通路27aを通ってベースキャップ20の外部から収容空間S内に向けて流入することができる。
ベースキャップ20のフランジ部22の上面にはノズル装着筒部28が一体に設けられている。このノズル装着筒部28は、外周壁21と同軸且つ外周壁21よりも小径の円筒状に形成され、フランジ部22の上面から上方に突出している。
ベースキャップ20にはノズルヘッド30が装着されている。例えば樹脂製とされるノズルヘッド30は、ベースキャップ20の外周壁21と同等の外径を有する円筒状のカバー部31と、このカバー部31に連なるドーム状の頂壁32とを備えたキャップ状に形成されている。
このノズルヘッド30は、カバー部31の内周面においてベースキャップ20のノズル装着筒部28にねじ結合して、ベースキャップ20に回動自在に装着されている。より具体的には、ベースキャップ20のノズル装着筒部28の外周面には、互いに周方向に180度ずれて一対の二条ねじ部29が設けられ、ノズルヘッド30のカバー部31の内周面には互いに周方向に180度ずれて一対の突起対33が設けられており、これらの突起対33はそれぞれ対応する二条ねじ部29にねじ結合している。このような構成により、ノズルヘッド30はベースキャップ20にねじ結合により装着されてベースキャップ20に対して回動自在となっているが、その回動範囲はストッパ機構により90度の角度範囲に規制されている。
ベースキャップ20のストッパ用外筒部25aの外周面には、一対のストッパ対80が互いに周方向に180度ずれて設けられている。これらのストッパ対80は、それぞれ周方向に約90度の間隔を空けて配置される一対のストッパ片を備えている。一方、ノズルヘッド30のカバー部31の内側には円筒状の凸片用筒部34が一体に設けられており、この凸片用筒部34の内周面には、一対のストッパ対80に対応する一対の凸片35が一体に設けられている。これらの凸片35は互いに周方向に180度ずれて設けられ、それぞれ凸片用筒部34の内周面から径方向内側に向けて突出して対応するストッパ対80の一対のストッパ片の間の移動範囲に配置されている。
ノズルヘッド30がベースキャップ20に対して回動すると各凸片35が移動範囲内を周方向に沿って移動し、ノズルヘッド30がベースキャップ20に対して最も締め込まれた閉位置になると各凸片35が対応するストッパ対80の一方のストッパ片に当接してそれ以上の回転が規制される。反対に、ノズルヘッド30が閉位置から緩み方向に90度回転して開位置に達すると、各凸片35がそれぞれ対応するストッパ対80のもう一方のストッパ片に当接してノズルヘッド30のそれ以上の回転が規制される。
このような構成により、ノズルヘッド30は、容器本体10の口部11の中心軸線Oを中心として、ベースキャップ20に対して図1に示す閉位置と図2に示す開位置との間の90度の角度範囲で回動自在となっている。なお、ノズルヘッド30はベースキャップ20にねじ結合により装着されているので、閉位置と開位置との間で回動するとベースキャップ20に対して上下に移動することになる。
ノズルヘッド30にはノズル36が一体に設けられている。ノズル36は、楕円筒状に形成されてノズルヘッド30の内部に設けられた開閉蓋部37の上側からカバー部31に対して側方やや上方に向けて突出している。開閉蓋部37に隣接した位置には一対の流出入孔38が設けられており、図2に示すようにノズルヘッド30が開位置とされた状態では、ノズル36はこれらの流出入孔38を介してベースキャップ20の流通路27aと連通している。換言すれば、吐出口としてのノズル36の先端開口36aから流通路27aまで流路が連なっている。なお、図示する場合では、開閉蓋部37に隣接して一対の流出入孔38が設けられるが、その個数や形状は種々変更することができる。
また、ノズルヘッド30の開閉蓋部37は、その下面に一体で垂設された嵌合筒部39を備えている。嵌合筒部39は流通筒部27の内径に対応した外径を有する円筒状に形成され、ノズルヘッド30が閉位置(図1参照)とされると流通筒部27の内側に嵌合し、流通筒部27との間をシールすることにより流通路27aを閉塞し、ノズルヘッド30が開位置(図2参照)とされると流通路27aに対して上方に離れて流通路27aを開放する。つまり、ノズルヘッド30は、嵌合筒部39が流通路27aを閉塞する閉位置と、嵌合筒部39が流通路27aの上方に離れて該流通路27aを開放する開位置との間で回動可能となっている。
なお、ノズルヘッド30には、ストッパ用内筒部25bの内周面と当接して嵌合し、流通路27aとノズル36との間の流路を閉塞するシール筒部70が設けられている。
本実施形態のベースキャップ20は、シリンダー40を保持している。具体的に、シリンダー40は、例えば樹脂材により筒状に形成されており、その上端部がベースキャップ20に保持され、容器本体10の口部11から収容空間S内に吊り下げられている。
より具体的に、本実施形態のシリンダー40は、混合室42を内部に区画する筒状のシリンダー本体部40aと、このシリンダー本体部40aの上端から径方向外側に延在する環状フランジ部40bと、この環状フランジ部40bの下面から下方に垂設された環状壁部40cと、環状フランジ部40bの外縁から上方に立設された上端筒部40dと、を備えており、上端筒部40dがストッパ用外筒部25aとストッパ用内筒部25bとの間に嵌合固定されてベースキャップ20に支持されている。なお、環状フランジ部40bと上端筒部40dとの間の角部には開口が形成されており、この開口は、後述する戻り流路60の一部を構成している。
また、シリンダー40は、ベースキャップ20の流通路27aに連なる混合室42を内部に区画すると共に、混合室42を容器本体10の収容空間Sに連ねる空気導入孔43及び液導入孔44を区画している。
具体的に、シリンダー40のシリンダー本体部40aの下端には孔形成部41が嵌合固定されており、孔形成部41は、シリンダー40のシリンダー本体部40aと共に、シリンダー40の下端側に空気導入孔43と液導入孔44とを区画形成する。空気導入孔43は混合室42を収容空間S(容器本体10の内部)に連通させており、収容空間S内の空気は空気導入孔43を通して混合室42に導入される。一方、液導入孔44には容器本体10の底部にまで延びるチューブ45が接続され、当該チューブ45を介して液導入孔44は混合室42を収容空間Sに連通させている。したがって、収容空間S内の内容液はチューブ45と液導入孔44とを介して混合室42に導入される。なお、収容空間Sから混合室42に内容液及び空気を導入する構成は、本実施形態の構成に限られるものではなく、容器の形状等に応じて適宜変更することが可能である。
また、孔形成部41には空気導入孔43からの内容液の侵入を抑制するための傘状体46が一体に設けられているが、この構成に限られるものではなく、傘状体46を備えない構成とすることも可能である。
シリンダー40の混合室42には一対の発泡部材47が設けられている。これらの発泡部材47としては、例えばリングの端面にメッシュを固定した構成のものが用いることができ、この場合、発泡部材47は互いのメッシュを逆側に向けた姿勢で本体部の内側に嵌合固定されている。なお、発泡部材47としてはリングとメッシュを備えた構造のものに限らず、内容液の種類等に応じて種々の構成のものを用いることができる。また、発泡部材47の設置個数も内容液の種類等に応じて種々変更することができる。
シリンダー40の混合室42は、流通路27aに連通し、さらに流通路27aと流出入孔38とを介してノズル36に連通している。
シリンダー40の外部には、シリンダー40の内部を通る流路とは別系統で、流通路27aを容器本体10の収容空間Sに連ねる戻し流路60が設けられている。つまり、流通路27aは、この戻し流路60を介して容器本体10の収容空間Sに連通している。
戻し流路60には、逆止弁50が設けられている。逆止弁50は、容器本体10の胴部12を圧搾してノズル36の先端開口36aから内容液を泡吐出する際(図2参照)に、戻し流路60を閉塞する一方、胴部12が復元する際(図1参照)には戻し流路60を開放する。そのため、ノズル36内に残留した内容液は、容器本体10の胴部12の復元に伴い、戻し流路60を通じて収容空間S内に流入する。
この逆止弁50は、弾性材により形成されており、シリンダー40の外周面に嵌合保持される環状本体部50aと、この環状本体部50aから径方向外側に一体で突設され、弾性変形することにより戻し流路60の閉塞及び開放を切り替え可能な、環状且つ膜状の弁体部50bと、を備えている。なお、逆止弁50を構成する弾性材は、シリンダー40を構成する樹脂材よりも密度が小さく、シリンダー40よりも内容液によって膨潤し易い材料で形成されている。また、シリンダー40は、比較的硬い樹脂材により形成されており、弾性材で形成された逆止弁50よりも弾性率が高く、弾性変形し難い。シリンダー40の樹脂材及び逆止弁50の弾性材の組み合わせとしては、例えば、シリンダー40をポリプロピレン樹脂で形成し、逆止弁50をエラストマー系樹脂、フッ素ゴム、シリコーンゴム等で形成する組み合わせが挙げられるが、この組み合わせに限られるものではなく、内容液の含有成分等に応じて適宜変更することが可能である。例えば、シリンダー40の材料として、PBT樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂等を用いてもよい。
環状本体部50aは、シリンダー40のシリンダー本体部40aの外周面に嵌合保持されている。より具体的に、環状本体部50aは、シリンダー本体部40a、環状フランジ部40b及び環状壁部40cにより区画された環状溝に入り込んだ状態で、その内周面がシリンダー本体部40aの外周面を締め付けて密着した状態で、嵌合保持されている。なお、環状本体部50aを、シリンダー本体部40aの外周面のみならず、環状壁部40cの内周面に対しても、圧縮変形した状態で当接させるようにしてもよい。換言すれば、環状本体部50aを、シリンダー本体部40aの外周面と環状壁部40cの内周面とにより挟持するようにしてもよい。
弁体部50bは、その外周縁においてベースキャップ20の段差面24a(段差部24の下側の面)に下方側から弾性的に当接している。このような構成により、逆止弁50は、容器本体10の収容空間Sから戻し流路60を通したノズル36(流通路27a)の側への内容液や空気の流れを阻止するとともに、ノズル36(流通路27a)から戻し流路60を通した容器本体10の収容空間Sの側への内容液や空気の流れを許容するように作動することができる。なお、本実施形態の弁体部50bは、環状本体部50aの外周面の下側部分から径方向外側に延びている。
ここで、泡吐出容器1は、逆止弁50の環状本体部50aの径方向外側に位置し、環状本体部50aが径方向外側に変形することを規制する変形規制部90を備えている。具体的に、本実施形態の変形規制部90は、シリンダー40の環状壁部40cにより構成されており、環状壁部40cは、環状本体部50aの上側部分に対して径方向外側の位置に設けられている。
このような変形規制部90を備える構成とすることにより、逆止弁50が内容液を吸収して膨潤し、環状本体部50aの内径が拡がるように径方向外側に変形しようとしても、変形規制部90としての環状壁部40cが反力壁となってこの変形を規制するため、環状本体部50aの内径が拡がることを抑制することができる。したがって、環状本体部50aのシリンダー本体部40aの外周面に対する締め付け力が低下すること、すなわち、逆止弁50の環状本体部50aの内周面とシリンダー40のシリンダー本体部40aの外周面との間に間隙が形成されること、が抑制されるため、環状本体部50aの内周面をシリンダー本体部40aの外周面と密着した状態が維持され易く、内容液の泡吐出の際に、収容空間S内の空気が戻し流路60を通じて流通路27aに進入することを抑制することができる。
なお、本実施形態の変形規制部90としての環状壁部40cは、環状本体部50aの周方向全域に設けられているが、例えば、環状本体部50aの周方向において、一部の領域のみに設けてもよい。但し、本実施形態のように、環状壁部40cを、環状本体部50aの周方向全域に設ける構成とすれば、周方向の位置に応じた変形量の差が生じ難く、より間隙の形成を抑制することができる。
ここで、本実施形態の変形規制部90は、シリンダー40の環状壁部40cにより構成されているが、この構成に限られるものではなく、シリンダーの別の部分や、シリンダー以外の別の部材により構成することも可能である。図3、図4は、変形規制部90の変形例を示す図である。なお、図3、図4に示す泡吐出容器1は、ノズルヘッド30が閉位置にある状態を示している。
図3に示す泡吐出容器1のシリンダー40は、シリンダー本体部40aと、環状フランジ部40bと、上端筒部40dと、を備えているが、上述した環状壁部40cを備えていない。その一方で、図3に示す泡吐出容器1は、シリンダー40の径方向外側に位置し、シリンダー40との間に環状本体部50aを挟持する環状部材81を備えており、変形規制部90は、この環状部材81により構成されている。
より具体的に、環状部材81は、例えばシリンダー40と同様の樹脂材により形成されており、逆止弁50の環状本体部50aは、シリンダー40のシリンダー本体部40aの外周面と、環状部材81の内周面との間に挟持されている。なお、図3に示す環状部材81は、その上端がシリンダー40の環状フランジ部40bの下面と突き当たる位置で、上下方向の位置が位置決めされており、逆止弁50の弁体部50bは、この位置で、段差面24aに対して弾性変形した状態で密着し、戻り流路60を閉塞する。
図4に示す変形規制部90は、図3に示す変形規制部90と同様、環状部材81により構成されているが、図3に示す環状部材81とは形状が相違している。具体的に、図4に示す環状部材81は、シリンダー40との間に逆止弁50の環状本体部50aを挟持する筒状部82aと、この筒状部82aの上側の一端と連続して形成され、内縁がシリンダー40と当接する環状平板部82bと、を備えている。
図4に示す環状部材81は、例えばシリンダー40と同様の樹脂材により形成されており、逆止弁50の環状本体部50aは、シリンダー40のシリンダー本体部40aの外周面と、筒状部82aの内周面との間に挟持されている。なお、図4に示す環状部材81は、環状平板部82bの上面がシリンダー40の環状フランジ部40bの下面と突き当たる位置で、上下方向の位置が位置決めされており、逆止弁50の弁体部50bは、この位置で、段差面24aに対して弾性変形した状態で密着し、戻り流路60を閉塞する。
図4に示す環状部材81は、環状平板部82bを備えるため、逆止弁50及び環状部材81をシリンダー40に装着する際に、環状平板部82bの内縁がシリンダー40の外周面と摺動するガイドとして機能する。そのため、逆止弁50及び環状部材81をシリンダー40の外周面上に装着する際に、逆止弁50の環状本体部50aが挟持される挟持幅Wを、シリンダー40の周方向において略一定に保った状態を維持することができ、環状本体部50aとシリンダー40との間の摺動抵抗が、周方向においてばらつくことが抑制される。これにより、逆止弁50及び環状部材81のシリンダー40に対する装着作業が容易となる。
以上のように、変形規制部90を、各種部材、各種部位により構成することが可能であり、シリンダー40の環状壁部40c(図1、図2参照)により構成される変形規制部90に限られるものではない。
なお、本実施形態の泡吐出容器1では、シリンダー40が、ノズルヘッド30に保持されずに、ベースキャップ20に保持されているため、弁体部50bは、容器本体10の胴部12の圧搾時において、ノズルヘッド30のベースキャップ20に対する位置によらず戻し流路60を閉塞した状態となるが、この構成に限られるものではなく、シリンダー40を、ノズルヘッド30に保持させるようにしてもよい。
以下、本発明の別の実施形態として、シリンダーをノズルヘッドに保持させた泡吐出容器の詳細について説明する。
図5〜図7は、本発明の一実施形態としての泡吐出容器100についての形態変化を示す図である。図5(a)は、泡吐出容器100の断面図であり、図5(b)は、図5(a)のI−I断面図である。図6(a)は、図5に示す状態からノズルヘッド30を90度未満の所定角度だけ回動させた状態の泡吐出容器100の断面図であり、図6(b)は、図6(a)のII−II断面図である。図7(a)は、図6に示す状態からノズルヘッド30を更に回動させて、図5に示す状態から90度回動させた状態の泡吐出容器100の断面図であり、図7(b)は、図7(a)のIII−III断面図である。また、図8は、図7(a)に示す逆止弁50近傍を拡大した拡大断面図である。なお、図5(b)、図6(b)及び図7(b)では、説明の便宜上、ノズル36の位置を二点鎖線(仮想線)により示している。
図5〜図7に示すように、本実施形態の泡吐出容器100は、上述した泡吐出容器1と同様、容器本体10と、キャップ部材2としてのベースキャップ20及びノズルヘッド30と、シリンダー40と、逆止弁50と、を備えている。但し、本実施形態の泡吐出容器100は、上述した泡吐出容器1と比較して、シリンダー40がベースキャップ20ではなくノズルヘッド30に保持されている点で、主に相違している。したがって、ここでは、上述した泡吐出容器1と相違する構成について主に説明し、泡吐出容器1と共通する構成については説明を省略する。
図5〜図7に示すように、本実施形態のベースキャップ20は、外周壁21と、フランジ部22と、シール筒部23と、段差部24と、段差部24の内周縁から上方に向けて延びるストッパ用筒部25cと、このストッパ用筒部25cの内面から径方向内側に延びる環状のフランジを介して一体で形成され、ストッパ用筒部25cの内側に位置する流通筒部27と、ノズル装着筒部28と、を備えている。ストッパ用筒部25cの外周面には、一対のストッパ対80aが互いに周方向に180度ずれて設けられている。
また、本実施形態のノズルヘッド30は、カバー部31と、頂壁32と、凸片35が設けられた凸片用筒部34と、ノズル36と、シール筒部70と、開閉蓋部83と、を備えている。本実施形態の開閉蓋部83は、ノズル36の下面から流通路27a側に垂設された筒部83aを備えており、シリンダー40は筒部83a上に保持されている。具体的に、シリンダー40は、筒部83aの下端部の外周面に設けられた環状の凸部86(図8参照)がシリンダー本体部40aの上端部の内周面に形成された環状の凹部87(図8参照)に嵌合することにより、アンダーカットで筒部83aにより保持されている。また、筒部83aの周壁には開口84が形成されている。
図8に示すように、本実施形態のシリンダー40は、シリンダー本体部40aと、環状フランジ部40bと、環状壁部40cと、を備えている。
逆止弁50は、上述した泡吐出容器1と同様、シリンダー40のシリンダー本体部40aの外周面に嵌合保持されている。
図8に示すように、本実施形態の変形規制部90は、上述した泡吐出容器1と同様、環状壁部40cにより構成されている。
なお、図8に示すように、環状壁部40cの内周面には、上下方向に延在する凹型の縦リブ85が、周方向に少なくとも1つ設けられている。この凹型の縦リブ85を設けることにより、逆止弁50をシリンダー本体部40aの周囲に装着する際に、環状本体部50aの外面と環状壁部40cの内面との間に間隙が形成された状態を維持することができる。つまり、シリンダー本体部40a、環状フランジ部40b、及び環状壁部40cにより区画される環状溝内に環状本体部50aを挿入する際に、上記間隙を形成する凹型の縦リブ85から空気を逃がすことが可能となり、逆止弁50の装着作業が容易となる。なお、図8では、凹型の縦リブ85としているが、逆止弁50をシリンダー本体部40aの周囲に装着する際に、環状本体部50aの外面と環状壁部40cの内面との間に間隙を形成できるものであればよく、例えば凸型の縦リブとすることも可能である。また、縦リブ85を周方向に1つのみ設けることも、周方向に複数設けることも可能である。
ここで、本実施形態のノズルヘッド30は、上述した泡吐出容器1と同様、ベースキャップ20に対して回動することにより、ベースキャップ20に対して上下に移動することができる。そして、本実施形態のシリンダー40は、ノズルヘッド30により保持されているため、ノズルヘッド30がベースキャップ20に対して上下に移動すると、シリンダー40もまた、ノズルヘッド30と共にベースキャップ20に対して上下に移動する。
図5〜図7は、ノズルヘッド30をベースキャップ20に対して回動させ、上下に移動させた際の、泡吐出容器100の形態変化を示すものであり、図5に示す状態は、ノズルヘッド30が、その開閉蓋部83が流通路27aを閉塞し、かつ、弁体部50bが戻し流路60を開放する第1の位置にある状態を示す。また、図6に示す状態は、ノズルヘッド30が、その開閉蓋部83が流通路27aを開放し、かつ、弁体部50bが戻し流路60を開放する第2の位置にある状態を示す。更に、図7に示す状態は、ノズルヘッド30が、その開閉蓋部83が流通路27aを開放し、かつ、弁体部50bが戻し流路60を閉塞する第3の位置にある状態を示す。このように本実施形態のノズルヘッド30は、第1〜第3の位置の相互間で、ベースキャップ20に対して移動可能となっている。
具体的に、図5に示す状態では、ノズルヘッド30の開閉蓋部83における嵌合筒部39が、流通筒部27に嵌合して、流通路27aを閉塞する。また、図5に示す状態では、逆止弁50の弁体部50bが、ベースキャップ20の段差部24の段差面24a(図1参照)と当接せずに、弁体部50bと段差面24aとの間に間隙が形成される。そのため、戻し流路60が開放された状態となる。図5に示す状態では、開閉蓋部83により流通路27aが閉塞されているため、収容空間S内の内容液をノズル36の先端開口36aから泡吐出できない。
そして、図5に示す状態からノズルヘッド30をベースキャップ20に対して回動させると、図5(b)及び図6(b)に示すように、ノズルヘッド30の凸片用筒部34の内周面に設けられた一対の凸片35が周方向に回動し、図6に示す状態となる。
図6に示す状態は、ノズルヘッド30の開閉蓋部83における嵌合筒部39が、流通筒部27よりも上方に移動し、流通路27aを開放する。また、図6に示す状態では、逆止弁50の弁体部50bが、図5に示す状態と同様、ベースキャップ20の段差部24の段差面24aと当接せずに、弁体部50bと段差面24aとの間に間隙が形成されている。そのため、戻し流路60は、図5に示す状態と同様、開放された状態となっている。
図6に示す状態からノズルヘッド30をベースキャップ20に対して更に回動させると、図6(b)及び図7(b)に示すように、一対の凸片35が周方向に更に回動し、ストッパ対80aに突き当たり、図7に示す状態となる。
図7に示す状態は、ノズルヘッド30の開閉蓋部83における嵌合筒部39が、図6の状態と比較して流通筒部27よりも更に上方に移動し、流通路27aの開放が維持される。また、図7に示す状態では、逆止弁50の弁体部50bが、ベースキャップ20の段差部24の段差面24aと当接し、弁体部50bと段差面24aとの間が密着した状態となる。つまり、戻し流路60が閉塞される。図7に示す状態では、開閉蓋部83により流通路27aが開放されていると共に、戻し流路60が閉塞されているため、収容空間S内の内容液をノズル36の先端開口36aから泡吐出することができる。なお、図7に示す状態において、収容空間S内の内容液は、液導入孔44からシリンダー40内に流入し、空気導入孔43から流入した空気と共にシリンダー40内を通過することにより発泡し、筒部83a内に到達する。そして、筒部83aの開口84と流出入孔38とを通じてノズル36内に流入し、先端開口36aから泡吐出される(図7(a)の破線矢印参照)。
このように、本実施形態の泡吐出容器100では、ノズルヘッド30を閉位置である第1の位置(図5参照)から開位置である第3の位置(図7参照)へと移動させる間に、ノズルヘッド30が第2の位置(図6参照)となる状態が存在するため、ノズルヘッド30が第1の位置(閉位置)にある状態で温度変化等により収容空間Sの内圧が高くなっている場合であっても、ノズルヘッド30が第3の位置(開位置)となる前に、戻し流路60、流通路27a、流出入孔38及びノズル36内を通じて収容空間S内の空気をノズル36の先端開口36aから排出することができる(図6(a)の二点鎖線矢印参照)。そのため、ノズルヘッド30を開位置とした直後に、収容空間S内の上昇した圧力によって意図しない泡吐出が生じてしまうことを抑制することができる。
なお、本実施形態の変形規制部90は、図8のとおり、シリンダー40の環状壁部40cにより構成されているが、この構成に限られるものではなく、例えば、図9に示すように、ノズルヘッド30の開閉蓋部83により、変形規制部90を構成するようにしてもよい。
図9に示す開閉蓋部83は、ノズル36(図5等参照)の下面から流通路27a側に垂設され、周壁に開口89が形成された内筒部88aと、この内筒部88aの外壁から径方向外側に突設されたフランジ部88bと、このフランジ部88bの外縁から下方に垂設された外筒部88cと、を備えている。
そして、シリンダー40は、シリンダー本体部40aを備えているが、上述した環状フランジ部40b及び環状壁部40cを備えていない。
図9に示す例では、シリンダー40は内筒部88aの外壁上に保持されている。具体的に、シリンダー40は、内筒部88aの下端部がシリンダー本体部40aの上端部内に嵌合することにより、内筒部88aに嵌合保持されている。また、逆止弁50の環状本体部50aは、シリンダー本体部40aの外周面に嵌合保持されており、逆止弁50の環状本体部50aの上側部分は、シリンダー40の径方向において、内筒部88aと外筒部88cとの間に挟まれて位置している。つまり、図9では、変形規制部90が、開閉蓋部83の外筒部88cにより構成されている。なお、内筒部88aと外筒部88cとにより、環状本体部50aを圧縮して、シリンダー本体部40a及び環状本体部50aを挟持するようにしてもよい。
また、より具体的に、図9に示す外筒部88cは、フランジ部88bの外縁と連続して形成された筒状基端部91aと、この筒状基端部91aの下端から延びる環状の段差部91bと、この段差部91bの外縁と連続して形成された、変形規制部90としての筒状先端部91cと、を備えている。そして、環状本体部50a及びシリンダー本体部40aは、逆止弁50の環状本体部50aの上端が段差部91bの下面に当接し、かつ、シリンダー本体部40aの上端がフランジ部88bの下面に当接した状態で、シリンダー40の径方向において、開閉蓋部83の内筒部88aと外筒部88cの筒状先端部91cとの間に挟まれて位置している。
なお、本発明に係る泡吐出容器は、上述した実施形態で特定された構成に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上述した泡吐出容器100の変形規制部90としての環状壁部40cには、内周面に縦リブ85が形成されているが、この縦リブ85を、上述した泡吐出容器1における環状壁部40cの内周面に設けてもよい。また、上述した泡吐出容器100のように、シリンダー40がノズルヘッド30に保持される構成であっても、図3や図4に示すような、環状部材を別途設けて、変形規制部90を構成することも可能である。