JP6428698B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被印字媒体の複数のページに印刷を行う印刷装置に関する。
被印字媒体の複数のページに印刷を行う印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、搬送手段(前処理装置及び後処理装置)によって搬送される被印字媒体(印刷用紙)に対し、印字手段(印刷機構部)が印字を形成する。被印字媒体は複数のページを備えており、印字手段は、それら複数のページの各ページごとに、印刷プロセスを実行する。このとき、この印刷装置は、バッファを備えており、バッファにおける各ページごとのビットマップ展開処理に必要な時間が積算され、複数ページの連続印刷が可能か否かが判定される。具体的には、あるページまでのビットマップ展開処理を行うための積算処理時間よりも、その直前のページまでを印刷処理するための積算印刷時間のほうが長い場合に、連続印刷が可能であると判定される。
特開2007−276144号公報
上記従来技術においては、ビットマップ展開処理を行うためのバッファに必要なメモリ容量を十分に大きく取れることが前提となっている。しかしながら、印刷装置の中には、例えば機器レイアウトやスペース等の制約によってメモリ容量を大きくとれないものもある。このような印刷装置(例えばテープ印字装置、ロール紙印字装置、印字ラベル作成装置等)においては、印刷プロセスをなるべく速やかに実行できるように、例えばイメージバッファと印字データバッファとの2つが設けられることがある。
すなわち、メモリ容量を大きく消費するイメージバッファが例えば低速アクセス領域に設けられる一方、高速アクセス領域に印字データバッファが設けられる。そして、受信したイメージデータはまずイメージバッファに展開される一方、そのイメージデータに対応する印字データが印字データバッファに展開され、印字手段は、この印字データバッファの印字データを参照して印字形成を行う。具体的には、1印字周期中において、現在ページの印字データに応じて印字手段が通電される一方で、これと並行して、次ページのイメージデータがイメージバッファへn印字ライン(nは1以上の整数)ずつ展開される。このようにして、次ページのイメージデータのバッファ展開と現在ページの印字形成とが同時並行して行われつつ、ページ単位で印刷プロセスが実行される。
ところで、搬送手段を駆動するのに通常用いられるモータは、大きな慣性のため始動・停止を急に行うことができない場合がある。そのような場合、通常、各ページの印刷プロセスの開始時には(印字手段による印字形成動作との同期を図りつつ)停止状態から徐々に加速して定常速度に至るいわゆるスルーアップ処理が行われ、印刷プロセスの終了時には(印字手段による印字形成動作との同期を図りつつ)定常速度から徐々に減速して停止状態とするいわゆるスルーダウン処理が行われる。このような処理の結果、各ページごとに印刷プロセスを単に個別に順番に行う場合には、あるページの印刷プロセスでのスルーアップ処理→定常速度での印字形成→スルーダウン処理の後、その次のページの印刷プロセスのスルーアップ処理→定常速度での印字形成→スルーダウン処理、・・のように毎回スルーアップ処理・スルーダウン処理が行われることとなり、時間的なロスが大きくなる場合があった。
本発明の目的は、複数ページの被印字媒体の各ページごとに印字形成を行う印刷装置において、制約によりイメージバッファと印字データバッファとの2つが設けられる場合であっても、動作上の時間的なロスが生じるのを低減することができる構成を提供することにある。
上記目的を達成するために、本願発明は、被印字媒体を搬送する搬送手段と、受信したイメージデータが展開されるイメージバッファと、前記イメージバッファに展開された前記イメージデータに対応する、印字データが展開される印字データバッファと、前記印字データバッファに展開された前記印字データに基づく印字を前記被印字媒体に形成する印字手段と、制御手段と、を有し、前記印字手段は、前記搬送手段の搬送方向と直交する方向に配列されるとともに、前記被印字媒体を前記搬送方向に印刷解像度に分割してなる各印字ライン上に少なくとも各ドットを形成する、複数の発熱素子を備えており、前記制御手段は、前記被印字媒体の複数ページに対し前記搬送手段及び前記印字手段が連携して順次行う印刷プロセスの際に、1印字周期中において、現在ページの前記印字データに応じて前記印字手段を通電する通電処理と、前記現在ページの次ページの前記イメージデータを前記イメージバッファへn印字ライン(nは1以上の特定の整数)ずつ展開する展開処理と、を並行して実行する印刷装置であって、前記制御手段は、さらに、前記現在ページに対する前記印刷プロセスが終了する前の所定の第1タイミングにおいて、前記次ページの前記イメージデータの前記イメージバッファへの展開が完了しているか否かを判定する第1判定処理と、前記第1判定処理により前記次ページの前記イメージデータの展開が完了していないと判定された場合に、前記1印字周期中において前記通電処理と共に実行される前記展開処理における前記nの値を増大させる展開増強処理と、前記展開増強処理が開始された後、前記次ページの前記イメージデータの展開完了時に対応する当該次ページの前記印字データの前記印字データバッファへの展開を開始したと想定したときに、その後の所定の第2タイミングにおいて、前記現在ページに対する前記印刷プロセスが継続しているか否かを予測判定する第2判定処理と、前記第2判定処理により、前記第2タイミングにおいて前記現在ページに対する前記印刷プロセスが継続せず終了していると予測された場合には、前記印字手段による前記現在ページの前記印字データに対応した前記印字の形成の終了後、前記搬送手段を搬送停止する、停止制御処理と、前記第2判定処理により、前記第2タイミングにおいて前記現在ページに対する前記印刷プロセスが継続していると予測された場合、若しくは、前記第1判定処理により、前記次ページの前記イメージデータの展開が完了していると判定された場合には、前記印字手段による前記現在ページの前記印字データに対応した前記印字の形成の終了後、前記搬送手段の搬送を停止させることなく、引き続き前記印字手段による前記次ページの前記印字データに対応した前記印字の形成を開始する、続行制御処理と、を実行することを特徴とする。
本願発明の印刷装置においては、搬送手段により搬送される被印字媒体に対し、印字手段が印字を形成する。被印字媒体は複数のページを備えており、搬送手段及び印字手段は、制御手段の制御に基づき、互いに連携してそれら複数のページの各ページごとに、印刷プロセスを実行する。
このとき、本願発明においては、例えば機器レイアウトやスペース等の制約によってメモリ容量を大きくとれない場合でも印刷プロセスをなるべく速やかに実行できるように、イメージバッファと印字データバッファとの2つが設けられている。そして、受信したイメージデータはまずイメージバッファに展開される一方、そのイメージデータに対応する印字データが作成されて印字データバッファに展開され、印字手段は、この印字データバッファの印字データを参照して印字形成を行う。具体的には、1印字周期中において、現在ページの印字データが作成されて印字バッファデータに展開されると共にそれに応じて印字手段が通電される(=通電処理)一方で、これと並行して、次ページのイメージデータがイメージバッファへn印字ライン(nは1以上の整数)ずつ展開される(=展開処理)。このようにして、本願発明においては、次ページのイメージデータのバッファ展開と現在ページの印字形成とが同時並行して行われつつ、ページ単位で印刷プロセスが実行される。
そして、本願発明においては、前述のようにして並行して行われる現在ページの印字形成と次ページのイメージデータバッファ展開との状況に応じて、可能な限り、(各ページの印刷プロセス間のスルーダウン処理・スルーアップ処理を省略して)各ページの定常速度による印字形成を連続的に行えるように図られる。すなわち、制御手段によって、現在ページに対する印刷プロセスが終了する直前の所定のタイミング(第1タイミング)において、次ページのイメージデータのイメージバッファへの展開が完了しているか否かが判定される(第1判定処理)。この判定が満たされた場合は、現在ページの印刷プロセスから次ページの印刷プロセスへの移行時に上記のような(現在ページに係わる)スルーダウン処理及び(次ページに係わる)スルーアップ処理を挟むことなく、直接現在ページの定常速度での印字形成から次ページの定常速度での印字形成へ移行可能、とみなされる。この結果、印字手段による現在ページの印字データに対応した印字の形成の終了後、搬送手段の搬送を停止させることなく(=ノンストップで)、引き続き印字手段による次ページの印字データに対応した印字形成が開始される。
しかしながらこの場合でも、現在ページの印刷プロセス終了前の上記第1タイミングにおいて、次ページのイメージデータのイメージバッファ展開が惜しくもあとわずかで完了していなかった場合等においては、上記第1判定処理の判定が満たされないことから、前述通り、現在ページ印刷プロセスにおける定常速度の印字形成→スルーダウン処理→次ページ印刷プロセスにおけるスルーアップ処理→定常速度での印字形成→・・という流れになり、大きな時間的なロスが生じてしまう。
そこで、本願発明においては、上記第1判定処理の判定が満たされなかった場合においても、制御手段によって展開増強処理が実行され、前述のように1印字周期中において通電処理と共に実行される上記展開処理におけるn(1周期においてイメージバッファへ展開する印刷ライン数)の値を増大させる。これにより、それまでよりも多いライン数でイメージデータをバッファ展開することができるので、次ページのイメージデータのイメージバッファへの展開を早めることができるとともに、印字周期の増大により現在ページに対するプロセスの印刷プロセスの終了時期を遅らせることができる。
本願発明においては、上記のようにしてバッファ展開の早期完了化及び印刷プロセス終了の遅延化を図る結果、現在ページに対する印刷プロセスが実際に終了するときに、次ページのイメージデータのイメージバッファへの展開を完了できる可能性が高まる。これに対応して、本願発明においては、仮に次ページのイメージデータの展開が完了したときに直ちに当該次ページの印字データの印字データバッファへの展開を開始したと想定した場合に、その後の所定のタイミング(=第2タイミング。例えば所定ライン数の印字データが印字データバッファに展開される見込みのタイミング)において、現在ページに対する前記印刷プロセスがまだ継続しているか否かが予測され判定される(第2判定処理)。
この判定が満たされた場合は、前述のバッファ展開の早期完了化及び印刷プロセス終了の遅延化の効果により、現在ページに対する印刷プロセスが実際に終了するときに、次ページのイメージデータのイメージバッファへの展開を完了できるとみなされる。そして、印字手段による現在ページの印字データによる印字形成終了後、搬送手段の搬送を停止させることなく、引き続きそのまま印字手段による次ページの印字データによる印字が形成が開始される(続行制御処理)。この結果、前述と同様、ノンストップで印字形成を行い、時間的なロスを防止することができる。
以上のようにして、本願発明によれば、複数ページの被印字媒体の各ページごとに印字形成が行われる際、制約によりイメージバッファと印字データバッファとの2つが設けられる場合であっても、動作上の時間的なロスが生じるのを低減することができる。
本発明によれば、複数ページの被印字媒体の各ページごとに印字形成を行う印刷装置において、制約によりイメージバッファと印字データバッファとの2つが設けられる場合であっても、動作上の時間的なロスが生じるのを低減することができる。
本発明の一実施形態に係るプリンタがパソコンに接続された状態を示したシステム構成図である。 プリンタの電気的構成を表す機能ブロック図である。 1印字周期において実行される、各種処理の内訳を概念的に表す説明図である。 従来手法のノンストップ印刷を行う比較例における、イメージバッファ、印字データバッファ、駆動部の経時的処理内容を表す説明図である。 実施形態における、イメージバッファ、印字データバッファ、駆動部の経時的処理内容を表す説明図である。 実施形態における、イメージバッファ、印字データバッファ、駆動部の経時的処理内容を表す説明図である。 CPUのデータ制御部が実行する処理手順を表すフローチャートである。 CPUの駆動制御部が実行する処理手順を表すフローチャートである。
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
<プリンタの概略構成>
本実施形態のプリンタ1(印刷装置に相当)を含む印刷システムの概略構成を図1に示す。図1に示すように、プリンタ1は、USBケーブルLを介して、パソコン111に接続されることによって、印刷システム101を形成する。この例では、プリンタ1は、被印字テープ2(被印字媒体に相当)に印刷を行ういわゆるラベルプリンタである。また、パソコン111は、この例では、印刷システム101のホストとして機能し、本体112、ディスプレイ113、キーボード114、及びマウス115等を備えたデスクトップ・コンピュータである。
<プリンタの内部構成>
次に、上記プリンタ1の電気的構成について、図2を参照しつつ説明する。図2に示すように、プリンタ1は、入出力インターフェース31と、CPU32と、ROM33と、RAM34と、FLASH・ROM36とを有している。
入出力インターフェース31には、操作キー51と、ディスプレイコントローラ(以下、「LCDC」という)52と、2つの駆動回路54,56と、USBポートPと、上記CPU32と、上記ROM33と、上記RAM34と、上記FLASH・ROM36とが接続されている。
操作キー51は、ユーザの操作により、所望する様々な動作を起こさせるための制御信号をCPU32に入力する。LCDC52は、LCD53が接続され、またLCD52はLCD53に表示データを表示するための表示用RAM(図示せず)を備えている。
駆動回路54は、サーマルヘッド55(印字手段に相当)が接続されており、被印字テープ2に印字データを印刷する際には当該サーマルヘッド55を駆動する。サーマルヘッド55は、被印字テープ2の搬送方向と直交する方向に配列される複数の発熱素子を備えている。これら発熱素子は、被印字テープ2を搬送方向に印刷解像度に分割してなる各印字ライン上に各ドットを形成する。
駆動回路56は、上記被印字テープ2を搬送する搬送ローラ(図示省略。搬送手段に相当)を駆動する、パルスモータであるテープ送りモータ57が接続されており、被印字テープ2を外部に送り出す際に当該テープ送りモータ57を駆動する。
USBポートPには、上記USBケーブルLのコネクタCが着脱される。従って、このUSBポートPにUSBケーブルLのコネクタCが差し込まれることによって、プリンタ1に対してパソコン111をUSB接続することができる。
ROM33には、印刷関係以外の各種制御プログラム等が記憶されている。
RAM34は、種々の制御プログラムをCPU32で実行するときの作業領域が設けられている。具体的には、パソコン111から受信したイメージデータが展開されるイメージバッファ342と、イメージバッファ342に展開されたイメージデータに対応する、印字データが展開される印字データバッファ341と、が設けられている。なお、ここでいう「イメージデータ」とは、被印字媒体(この例では被印字テープ2)上に形成される印字内容がビットマップ展開されたものであり、「印字データ」とは、上記イメージデータを被印字媒体(この例では被印字テープ2)上に高品質に形成するために通電エネルギーを制御するデータを含むものである。
FLASH・ROM36には、印刷関係の制御プログラム37、及び管理テーブル39等が記憶されており、さらに、通常記憶領域40が設けられている。通常記憶領域40には、アプリケーションプログラム記憶領域41等が設けられている。
CPU32は、図7及び図8を用いて後述する各プログラム等を実行する。また、この例では、CPU32は、データ制御部32Aと、駆動制御部32Bと、を備えている。
データ制御部32Aは、被印字テープ2の複数ページに対し上記テープ送りモータ57及びサーマルヘッド55が連携して順次行う印刷プロセスの際に通電処理と展開処理とを並行して実行する(詳細は後述)。
駆動制御部32Bは、上記駆動回路54,56等を作動させ、上記印字データバッファ341に書き込まれた印字データをサーマルヘッド55により被印字テープ2に印刷しながら、その被印字テープ2を外部に排出する。
<実施形態の特徴>
上記構成の本実施形態においては、上記搬送ローラにより搬送される被印字テープ2に対し上記サーマルヘッド55が印字を形成する。このとき、被印字テープ2は複数のページを備えており、上記搬送ローラ7及びサーマルヘッド55は、CPU32の上記データ制御部32A及び上記駆動制御部32Bの制御に基づき、互いに連携してそれら複数のページの各ページごとに、印刷プロセスを実行する。本実施形態の特徴は、上記複数のページにわたる印刷プロセスにおいて行われる、いわゆるノンストップ印刷の内容にある。以下、その詳細を順を追って説明する。
<イメージバッファと印字データバッファ>
本実施形態においては、例えば機器レイアウトやスペース等の制約によってメモリ容量を大きくとれない構成に対応し、(そのような制約があっても印刷プロセスをなるべく速やかに実行できるように)RAM34に、上述したように、上記イメージバッファ342と上記印字データバッファ341との2つが設けられる。すなわち、メモリ容量を大きく消費する上記イメージバッファ342が低速アクセス領域に設けられ、高速アクセス領域に上記印字データバッファ341が設けられる。そして、パソコン111から受信したイメージデータはまずイメージバッファ342に展開される一方、そのイメージデータに対応する印字データが作成されて印字データバッファ341に展開され、サーマルヘッド55は、この印字データバッファ341の印字データを参照して印字形成を行う(後述の図6、図5等参照)。具体的には、例えば図3(a)に示すように、1印字周期中において、現在ページの印字データが作成されて印字バッファデータ341に展開されると共にそれに応じてサーマルヘッド55が通電される(=上記通電処理)一方で、これと並行して、現在ページの次のページ(以下適宜、単に「次ページ」という」のイメージデータがイメージバッファ342へn印字ライン(nは1以上の特定の整数。この例では例えばn=1)ずつ展開される(=上記展開処理)。このようにして、本実施形態においては、次ページのイメージデータのバッファ展開と現在ページの印字形成とが同時並行して行われつつ、ページ単位で印刷プロセスが実行される。
<スルーアップとスルーダウン>
ここで、上記搬送ローラを駆動するテープ送りモータ57は、その大きな慣性のため始動・停止を急に行うことができない性質がある。そのため、通常、各ページの印刷プロセスの開始時には、サーマルヘッド55による印字形成動作との同期を図りつつ停止状態から徐々に加速して定常速度に至る、公知のスルーアップ処理、すなわち、テープ送りモータ57へのパルス信号の出力数と(印字データを1つの印字ライン単位に分割してなる)ライン印字データの数との比率(=パルス・ドット比率)を一定比率としつつ、テープ送りモータ57の速度を停止状態から定常速度まで加速する処理が行われる。同様に、印刷プロセスの終了時には、サーマルヘッド55による印字形成動作との同期を図りつつ定常速度から徐々に減速して停止状態とする公知のスルーダウン処理、すなわち上記パルス・ドット比率を一定比率としつつテープ送りモータ57の速度を定常速度からから停止状態とする処理が行われる。
しかしながら、各ページごとに上記印刷プロセス(上記スルーアップ→定常速度→スルーダウン→停止までを含む)を単に個別に順番に行う場合には、あるページの印刷プロセスでの前処理とスルーアップ処理→定常速度での印字形成→スルーダウン処理と後処理の後、その次のページの印刷プロセスの前処理とスルーアップ処理→定常速度での印字形成→スルーダウン処理と後処理、・・・のように毎回スルーアップ処理・スルーダウン処理が行われることとなり、時間的なロスが大きい。そこで、従来、ある一定の条件を満たす場合に、現在ページと次ページとの間に上記のようなスルーダウン処理→スルーアップ処理を介在させずに連続的に印刷プロセスを実行する、いわゆるノンストップ印刷が行われる。
<従来手法によるノンストップ印刷>
上記の従来手法によりノンストップ印刷が行われる場合の挙動を、比較例として図4(a)に示す。この図は、前述したイメージバッファ342及び印字データバッファ341におけるデータ展開・データ作成挙動と、上記搬送ローラ及びサーマルヘッド55(これらをまとめて以下適宜「駆動部」と称する)の搬送・印刷挙動とを、横軸に時間軸をとりつつ、概念的に表したものである。
図4(a)において、既に述べたように、現在ページ(図中では「現ページ」と略記)に対する印字データの作成及びデータ展開が印字データバッファ341において行われこれに対応する現在ページの印刷が駆動部によって行われているとき、並行してイメージバッファ342ではパソコン111から受信した次ページのイメージデータが既に展開中である(時間to参照)。
そして、この比較例では、その後、前述のノンストップ印刷を行うための条件として、上記印字データバッファ341への現在ページの印字データの展開が終了したとき(時間t2参照)に、上記イメージバッファ342への次ページのイメージデータの展開が既に終了しているか否か、が判断される。すなわち、この時間t2が、ノンストップ印刷を行うか否かの判断基準タイミング(この場合の第1タイミングに相当)となる。図4(a)に示す例では、時間t2よりも前のタイミング(時間t1参照)で、上記イメージバッファ342への次ページのイメージデータの展開が終了済みである。したがって、ノンストップ印刷は可能であると判断されて、印字データバッファ341においては、上記現在ページの印字データの展開が終了したのに引き続き、間を空けることなく上記展開済みの次ページのイメージデータに対応する次ページの印字データが作成され、展開が開始される(時間t2参照)。この結果、駆動部においても、上記現在ページの印刷が終了したのに引き続き、間を空けることなく(上記搬送ローラの搬送を停止させることなくノンストップで)、引き続きサーマルヘッド55による次ページの印刷が開始される(時間t3参照)。
その後、上記のようにして開始された印字データバッファ341への次ページの印字データの展開が終了する(時間t4参照)。これに対応して、上記のようにして駆動部が行ってきた次ページの印刷も終了し(時間t5参照)、その後、前述したスルーダウン処理が行われ(時間t5〜t6参照)、さらに適宜の後処理が行われた後(時間t6〜t7参照)、動作停止となる。
一方、この比較例において、上記(ノンストップ印刷を行うか否かの)判断基準タイミングにおいて上記条件が満たされなかった場合の挙動を図4(b)に示す。図示のように、この場合、上記印字データバッファ341への現在ページの印字データの展開が終了したとき(時間t2参照)に、上記イメージバッファ342への次ページのイメージデータの展開はまだ終了していない(終了するのはさらに後の時間t1′)。これにより、ノンストップ印刷は不可能であると判断される。この結果、印字データバッファ341においては、上記現在ページの印字データの展開が終了したら、(上記図4(a)のように引き続き次ページの印字データの展開を開始するのではなく)いったん印字データの展開は中断される(時間t2〜t11参照)。この結果、駆動部においても、その後上記現在ページの印刷が終了したら(時間t3参照)、(上記図4(a)のように引き続き次ページの印字データの印刷を開始するのではなく)スルーダウン処理が行われ(時間t3〜t8参照)、さらに後処理が行われた後(時間t8〜t9参照)、動作停止となる。
その後、上記駆動部の動作停止に近いタイミング(時間t11参照)で、一旦中断されていた印字データ(次ページの印字データ)の印字データバッファ341への展開が開始され、これに対応して、駆動部では、適宜の前処理が行われ(時間t9〜t10参照)、さらにスルーアップ処理が行われた後(時間t10〜t3′参照)、次ページの印字データの印刷が開始される(時間t3′参照)。
その後は、上記同様、印字データバッファ341への次ページの印字データの展開が終了し(時間t4′参照)、その後、駆動部による上記次ページの印刷が終了したら(時間t5′参照)、スルーダウン処理が行われ(時間t5′〜t6′参照)、さらに後処理が行われた後(時間t6′〜t7′参照)、動作停止となる。すなわち、図4(b)に示す例では、現在ページ処理のときと、次ページ処理の時との両方で、毎回スルーアップ処理・スルーダウン処理が行われることとなり、図4(a)のようにノンストップ印刷を行う場合に比べ、大きな時間的なロス(Δt)が生じている。逆に言えば、図4(b)のように各ページ個別に印刷する場合よりも、図4(a)のように可能な限り各ページの印刷プロセス間のスルーダウン処理・スルーアップ処理を省略する(言い換えれば各ページの定常速度による印字形成を連続的に行えるように図る)ノンストップ印刷を行うことで、△t分の時間のロスを解消することができる。
<従来手法によるノンストップ印刷における課題>
しかしながら、上記手法によるノンストップ印刷の場合でも、例えば図5(a)に示すように、次ページのイメージデータがイメージバッファ342に展開されつつ(時間t20参照)上記印字データバッファ341への現在ページの印字データの展開が終了したとき(時間t22に示すノンストップ判断基準タイミング(1)参照。この場合の第1タイミングに相当)、上記次ページのイメージデータのイメージバッファ342への展開が惜しくもあとわずかで完了していなかった場合がありうる(完了する予定の時間21参照。時間t22よりもわずかに後である)。この場合においては、上記従来手法のままでは、前述した次ページのイメージデータのイメージバッファ342への展開が完了しているか否か、の判断は満たされない。したがって、前述したように、現在ページの(定常速度の)印刷→スルーダウン処理→次ページの印刷のためのスルーアップ処理→次ページの(定常速度での)印刷→・・という流れになり(図5(a)最下段にて想像線で示す駆動部の挙動参照)、やはり大きな時間的なロスが生じてしまう。
<本実施形態の手法によるノンストップ印刷>
そこで、本実施形態では、上記図5(b)に示す(図5では「ノンストップ印刷(2)」と表記)ように、前述の判断が満たされないとき、すなわち、上記のように印字データバッファ341への現在ページの印字データの展開終了時(時間t22参照)にまだ上記次ページのイメージデータのイメージバッファ342への展開完了していなかった場合としても、イメージバッファ342への展開を増強させる展開増強処理が実行され(図5(b)中に示す「展開増強領域」参照)、当該上記次ページのイメージデータのイメージバッファ342への展開に要する時間を短縮する。なお、図5(a)及び図5(b)を対比して明らかなように、上記展開増強処理は、現在ページに対する印刷プロセスにおけるスルーダウン処理が開始されることとなるタイミング(図5(a)の時間t24参照)よりも前に、開始される。
上記展開増強処理では、具体的には、前述の図3(a)に示した、通常時での1印字周期中において通電処理と共に実行される次ページデータの上記イメージバッファ展開におけるn(1周期においてイメージバッファ342へ展開する印刷ライン数)の値を、図3(b)に示すように、例えばn′ライン(n′はnより大きな値。この例では例えばn′=2nの2倍速。但しもっと大きな値、例えば5倍速や10倍速等であっても良い)に増大させる。これにより、それまでよりも多いライン数でイメージデータをイメージバッファ342に展開することができるので、上述した次ページのイメージデータのイメージバッファ342への展開を早めることができる見込みとなる(図5(a)の時間t21→図5(b)の時間t21′参照)。かつ、図3(b)のように印字周期が増大することにより、現在ページに対する駆動部の印刷速度が低下し、印刷終了時期を遅らせることができる見込みとなる(図5(a)の時間t24→図5(b)の時間t24′参照)。このようにしてイメージバッファ342への展開の早期完了化及び駆動部の印刷終了の遅延化を図る結果、現在ページに対する印刷が実際に終了するときに、次ページのイメージデータのイメージバッファ342への展開を完了できる可能性が高まる。
上記に対応し、本実施形態においては、仮に次ページのイメージデータのイメージバッファ342への展開が完了したときに直ちに当該次ページの印字データの印字データバッファ341への展開を開始したと想定した場合(図5(b)の時間t21′参照)に、その後の所定のタイミング、例えば所定ライン数の印字データが印字データバッファ342に展開される見込みのタイミング(図5(b)中の時間t23に示すノンストップ判断基準タイミング(2)参照。第2タイミングに相当)において、駆動部による現在ページに対する上記印刷がまだ継続しているか否かが予測され判断される。この第2タイミングは、上記展開増強処理が開始された後、所定ライン数(例えば10ライン等)の次ページの印字データが印字データバッファ341へ展開完了する時期である。そして、上記の判定が満たされた場合は、前述の展開増強処理によるイメージバッファ342への展開の早期完了化及び駆動部の印刷終了の遅延化の効果により、駆動部による現在ページの印刷が実際に終了するときに、次ページのイメージデータのイメージバッファ342への展開を完了できるとみなされる。そして、この予測及び判断結果を受けて、駆動部のサーマルヘッド55による現在ページの印字データによる印字形成終了後、搬送ローラの搬送を停止させることなく、引き続きそのままサーマルヘッド55による次ページの印字データによる印字形成が開始される。
具体的には、印字データバッファ341における次ページの印字データの最初の所定ドット数の作成終了時に、上記予測によるノンストップ判断基準タイミング(2)においても駆動部がまだ停止していないと予測できたら、イメージバッファ342への次ページのイメージ展開終了後、直ちに、印字データバッファ341において次ページの印字データが作成される(図5(b)の時間t21′参照)。これにより、駆動部では、現在ページの印刷が終了したら(図5(b)の時間t24′参照)、前述のようにして印刷速度が低下していることからその分をもとに戻すためのスルーアップ処理のみ行った後(時間t24′〜t25参照)、次ページの印字データの印刷が開始される(時間t25参照)。その後、印字データバッファ341における次ページの印字データの作成終了(図5(b)の時間t26参照)に対応して、駆動部による次ページの印刷が終了したら(図5(b)の時間t27参照)、前述と同様のスルーダウン処理が行われ(時間t27〜t28参照)、さらに後処理が行われた後(時間t28〜t29参照)、動作停止となる。このような処理の結果、図5(b)に示す例では、図5(a)のように現在ページ処理の後、次ページ処理の前に、駆動部によるスルーダウン処理・スルーアップ処理が介在する場合に比べ、処理時間を時間△T′だけ短縮することができる。
なお、上記図5(a)及び図5(b)では、前述したように、上記ノンストップ判断基準タイミング(1)における前述の判断が満たされない場合、それを救済する処理手法について説明したが、上記ノンストップ判断基準タイミング(1)における前述の判断が満たされた場合は、本実施形態においても、図4(a)で説明した比較例によるノンストップ印刷と同一の処理が実行される。すなわち、図6に示す(図中では「ノンストップ印刷(1)」と表記)ように、イメージバッファ342ではパソコン111から受信した次ページのイメージデータが既に展開中(時間t10参照)の状態で、上記印字データバッファ341への現在ページの印字データの展開が終了したとき(時間t12参照)に上記次ページのイメージデータの展開が既に終了しているか否か、が判断される(この場合の第1タイミングに相当)。この時間t12よりも前のタイミング(時間t11参照)で上記イメージバッファ342への次ページのイメージデータの展開が終了済みである場合は、印字データバッファ341においては上記現在ページの印字データの展開が終了したのに引き続き、間を空けることなく次ページの印字データの展開が開始される(時間t12参照)。この結果、駆動部では、上記現在ページの印刷が終了したのに引き続き、間を空けることなく引き続きサーマルヘッド55による次ページの印刷が開始される(時間t13参照)。その後、次ページの印字データの展開が終了し(時間t14参照)、上記駆動部が行ってきた次ページの印刷も終了すると(時間t15参照)、前述のスルーダウン処理(時間t15〜t16参照)、さらに後処理が行われた後(時間t16〜t17参照)、動作停止となる。
<データ制御部による制御手順>
上記手法を実現するために、上記CPU32が実行する処理内容を図7及び図8により説明する。なお、図7及び図8に示すフローにおいては、前述したように、ユーザがパソコン111にて適宜の操作を行うことにより、プリンタ1で印刷させるための印字データが各ページ毎に作成されている(いわゆるページ印刷である)ことを前提としている。
まず、CPU32のデータ制御部32Aが実行する処理内容を、図7を用いて説明する。
図7において、まず、ステップS10で、CPU32のデータ制御部32Aは、展開増強フラグF1、通常ノンストップフラグF2、増強ノンストップフラグF3それぞれを「0」に初期化する。
その後、ステップS15で、データ制御部32Aは、ページ番号に係わる変数Nを「1」にする。
そして、ステップS20で、データ制御部32Aは、パソコン111から受信された、Nページのイメージデータのイメージバッファ342への展開を開始する。
その後、ステップS25で、データ制御部32Aは、上記ステップS20で開始されたNページのイメージデータのイメージバッファ342への展開が終了したか否かを判定する。展開が終了していない場合には判定が満たされず(S25:NO)、判定が満たされるまでループ待機する。展開が終了した場合にはステップS25の判定が満たされ(S25:YES)、ステップS30に移る。
ステップS30では、データ制御部32Aは、Nページの印字データの作成及び印字データバッファ341への展開を開始する。
その後、ステップS35で、データ制御部32Aは、上記展開増強フラグF1が1であるか否かを判定する。展開増強フラグF1が0である場合は判定が満たされず(S35:NO)、ステップS50に移行する。
ステップS50では、データ制御部32Aは、N+1ページ(上記Nページの次のページ)のイメージデータのイメージバッファ342への展開を開始する。
その後、ステップS55で、データ制御部32Aは、上記ステップS30で開始された、Nページの印字データの印字データバッファ341への展開が終了したか否かを判定する。展開が終了していない場合には判定が満たされず(S55:NO)、判定が満たされるまでループ待機する。展開が終了した場合にはステップS55の判定が満たされ(S55:YES)、ステップS60に移る。
ステップS60では、データ制御部32Aは、パソコン111から受信した全てのページのイメージデータに対する処理が終了したか否かを判定する。終了した場合には判定が満たされ(S60:YES)、このフローを終了する。終了していない場合には判定が満たされず(S60:NO)、ステップS65に移行する。
ステップS65では、データ制御部32Aは、ステップS50で開始された、N+1ページのイメージデータのイメージバッファ342への展開が終了したか否かを判定する。展開が終了していた場合には判定が満たされ(S65:YES)、ステップS70に移って上記通常ノンストップフラグF2を1にした後、後述のステップS75に移る。
一方、上記ステップS65でN+1ページのイメージデータの展開が終了していない場合には判定が満たされず(S65:NO)、ステップS80に移行する。
ステップS80では、データ制御部32Aは、前述の展開増強処理を実行し、イメージ展開ライン数を増大する。すなわち、上記図3(a)及び図3(b)を用いて前述したように、これまでの1印字周期中において通電処理と共に実行されていた次ページデータの上記イメージバッファ展開におけるn(1周期においてイメージバッファ342へ展開する印刷ライン数)の値を、新たに図3(b)に示すようにn′に増大させる。その後、ステップS85に移る。
ステップS85では、データ制御部32Aは、展開増強フラグF1を1にして、ステップS90に移行する。
ステップS90では、データ制御部32Aは、上記ステップS90での展開増強処理の実行を受けて、上記ステップS30〜ステップS55で作成され展開された印字データに基づきNページの印刷を行っている上記駆動部(サーマルヘッド55及び搬送ローラ)が当該Nページの印刷動作を停止すると予想される時までに、印字データバッファ341において所定ライン数(例えば10)の印字データを作成し展開可能か否かを判定する。言い換えれば、仮にN+1ページのイメージデータの展開が完了したときに直ちに当該次ページの印字データの印字データバッファ341への展開を開始したと想定した場合(図5(b)の時間t21′参照)に、その後の上記所定ライン数の印字データが印字データバッファ342に展開される見込みのタイミング(図5(b)中の時間t23の上記ノンストップ判断基準タイミング(2)参照)において、現在ページに対する上記駆動部の印刷がまだ継続しているか否かが予測され判定される。(上記ステップS80での展開増強処理が功を奏して)上記所定ライン数の印字データが作成可能であると予測される場合にはステップS90の判定が満たされ(S90:YES)、ステップS95で増強ノンストップフラグF3を1にした後、上記ステップS75に移行する。
一方、上記ステップS90において(残念ながら上記ステップS80での展開増強処理も功を奏さず)上記所定ライン数の印字データが作成不可能であると予測される場合は、この判定が満たされず(S90:NO)、ステップS98に移行する。
ステップS98では、データ制御部32Aは、上記ステップS50で開始された、N+1ページのイメージデータのイメージバッファ342への展開が終了したか否かを判定する。展開が終了していない場合には判定が満たされず(S98:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。展開が終了した場合にはステップS98の判定が満たされ(S98:YES)、上記ステップS75に移行する。
上記ステップS70、若しくはステップS95、若しくはステップS98から移行したステップS75では、データ制御部32Aは、Nの値に1を加える。その後、上記ステップS30に戻り、同様の手順を繰り返す。その際、上記ステップS80で展開増強処理を実行しステップS85でF1=1としていた場合には、上記ステップS30を経て前述のステップS35での判定が満たされ(S35:YES)、ステップS40に移る。
ステップS40では、データ制御部32Aは、上記ステップS80の展開増強処理で増大されていたイメージ展開ライン数を元に戻し、その後ステップS45で、展開増強フラグF1を0に戻した後、上記ステップS50へ移行し、以降、同様の手順を繰り返す。
<駆動制御部による制御手順>
次に、CPU32の駆動制御部32Bが実行する処理内容を、図8を用いて説明する。なお、この図8に示す処理は、上記図7のフローに示す処理と同時並行して行われる。このような同時並行処理は、例えば、コンピュータのOS等でしばしば行われる、「マルチタスク処理」と同様の公知の方式により、1つのCPU32において行わせることができる。
まず、ステップS100で、CPU32の駆動制御部32Bは、スルーアップフラグF4を0に初期化する。
その後、ステップS105で、駆動制御部32Bは、上記印字データバッファ341に、この時点で印刷対象とする上記Nページの印字データが予め定められた所定ライン数だけ展開され書き込まれたか否かを判定する。書き込まれていない場合には判定が満たされず(S105:NO)、判定が満たされるまでループ待機する。書き込みが終了した場合にはステップS105の判定が満たされ(S105:YES)、ステップS110に移る。
ステップS110では、駆動制御部32Bは、スルーアップフラグF4が1であるか否かを判定する。スルーアップフラグF4が0である場合にはこの判定が満たされず(S110:NO)、後述のステップS145に移行する。一方、スルーアップフラグF4が1である場合には判定が満たされ(S110:YES)、ステップS115に移る。
ステップS115では、駆動制御部32Bは、前述の展開増強フラグF1、通常ノンストップフラグF2、増強ノンストップフラグF3がすべて0であるか否かを判定する。上記図7に示したフローの処理によりF1,F2,F3のうち少なくとも1つが1となっていた場合にはこの判定が満たされず(S115:NO)、後述のステップS135に移行する。一方、F1,F2,F3がすべて0のままであった場合には判定が満たされ(S115:YES)、ステップS120に移る。
ステップS120では、駆動制御部32Bは、テープ送りモータ57を起動するための公知の適宜の前処理を行う。
その後、ステップS125で、駆動制御部32Bは、サーマルヘッド55と上記テープ送りモータ57とを連携して制御して前述のスルーアップ処理を行い、テープ送りモータ57を停止状態から徐々に加速して定常速度に至らせる。
そして、ステップS130で、駆動制御部32Bは、スルーアップフラグF4を1とする。その後、ステップS145に移る。
ステップS145では、駆動制御部32Bは、サーマルヘッド55の複数の発熱素子の通電とテープ送りモータ57を駆動するパルスモータの駆動とを連携して制御することにより、被印字テープ2の印刷対象となるページに対し上記定常速度での印刷処理を行う。その後、後述のステップS150に移る。
一方、上記ステップS115の判定が満たされず移行したステップS135では、駆動制御部32Bは、上記図7に示したフローの処理(詳細には上記ステップS85)により展開増強フラグF1が1となっているか否かを判定する。F1=0のままであった場合(言い換えれば通常ノンストップフラグF2=1であった場合)にはこの判定が満たされず(S135:NO)、後述のステップS145に移行する(図7のフローにおけるステップS70参照)。すなわち、前述のステップS120の前処理やステップS125のスルーアップ処理を行うことなく、定常速度での印刷処理を続行する。一方、F1=1となっていた場合にはステップS135の判定が満たされ(S135:YES)、ステップS140に移る。
ステップS140では、駆動制御部32Bは、上記図7に示したフローの処理(詳細には上記ステップS95)により増強ノンストップフラグF3が1となっているか否かを判定する。F3=0のままであった場合にはこの判定が満たされず(S140:NO)、上記ステップS120に移行する。すなわち、前述のステップS120の前処理やステップS125のスルーアップ処理を行った後に、ステップS130を経てステップS145へ移行し、定常速度での印刷処理を続行する。一方、F3=1となっていた場合にはステップS140の判定が満たされ(S140:YES)、上記ステップS125に移行する。すなわち、前述のステップS120の前処理を省略してステップS125のスルーアップ処理を行った後、ステップS130を経てステップS145へ移行し、定常速度での印刷処理を続行する。
上記ステップS145から移行するステップS150では、駆動制御部32Bは、上記ステップS105において印字データバッファ341に展開され書き込まれていた印字データを消去する。その後、ステップS155に移る。
ステップS155では、駆動制御部32Bは、公知の適宜の手法により、この時点で印刷対象としている上記Nページの全てのデータに対する印刷処理が終了したか否かを判定する。全データに対する印刷処理が終了していない場合にはこの判定が満たされず(S155:NO)、上記ステップS105に戻り同様の手順を繰り返す。一方、全データに対する印刷処理が終了していた場合にはこの判定が満たされ(S155:YES)、ステップS160に移行する。
ステップS160では、駆動制御部32Bは、上記展開増強フラグF1、通常ノンストップフラグF2、増強ノンストップフラグF3、スルーアップフラグF4のすべてを改めて0に初期化する。その後、ステップS165に移る。
ステップS165では、駆動制御部32Bは、上記Nページに続くN+1ページの印字データが印字データバッファ341に所定ライン数だけ書き込まれたか否かを判定する。書き込まれていない場合には判定が満たされず(S165:NO)、ステップS175に移行する。
ステップS175では、駆動制御部32Bは、予め定められた所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合には判定が満たされず(S175:NO)、上記ステップS165に戻る。このようにしてステップS175→ステップS165→ステップS175→・・と繰り返している間に、N+1ページの印字データが印字データバッファ341に所定ライン数だけ書き込まれたら、ステップS165の判定が満たされ(S165:YES)、ステップS170でNの値に1を加え、上記ステップS115に戻って以降同様の手順を繰り返す。
一方、上記のようにしてステップS175→ステップS165→ステップS175→・・と繰り返している間に、上記所定時間が経過した場合にはステップS175の判定が満たされ(S175:YES)、ステップS180に移る。
ステップS180では、駆動制御部32Bは、サーマルヘッド55と上記テープ送りモータ57とを連携して制御して前述のスルーダウン処理を行い、テープ送りモータ57を定常速度から徐々に減速して停止状態とする。
その後、ステップS185で、駆動制御部32Bは、テープ送りモータ57を停止させた後の公知の適宜の後処理を行う。
なお、以上において、図7の上記ステップS65が各請求項記載の第1判定処理に相当し、上記ステップS80は前述のように展開増強処理に相当し、上記ステップS90が第2判定処理に相当し、また、上記図7のステップS90の判定が満たされてステップS95でF3=1となったときの上記ステップS140→ステップS125の流れと、上記図7のステップS65の判定が満たされてステップS70でF2=1となったときの上記ステップS135→ステップS145の流れとが続行制御処理に相当し、さらに、上記図7のステップS90の判定が満たされないときの上記ステップS175→ステップS180→ステップS185の流れが停止制御処理に相当し、これら各処理を実行するCPU32が各請求項記載の制御手段に相当する。
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、複数ページの被印字テープ2の各ページごとに印字形成が行われる際、前述の制約によりイメージバッファ342と印字データバッファ3421との2つが設けられる構成となる場合であっても、図5(b)に示したノンストップ印刷や図6に示したノンストップ印刷を行うことで、動作上の時間的なロスが生じるのを低減することができる。
また、本実施形態では特に、前述の展開増強処理は、現在ページに対する駆動部(サーマルヘッド55及びテープ送りモータ57)の印刷動作時におけるスルーダウン処理が開始されることとなるタイミング(図5(a)の時間t24参照)よりも前に、開始される。これにより、図5(a)や図4(b)に示したように現在ページに係わるスルーダウン処理及び次ページに係わるスルーアップ処理が挟み込まれるのを確実に防止し、動作上の時間的なロスが生じるのを確実に防止できる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態に係るプリンタ1は、被印字テープ2に印刷を行ういわゆるラベルプリンタであったが、ロール状又はシート状の印刷用紙に印刷行うプリンタ等であってもよい。
また、プリンタ1とUSBポートPを介して接続されたパソコン111は、タワー型、オール・イン・ワン型、又はノート型のパソコンや、大型のコンピュータであってもよい。
なお、以上において、図2中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図7及び図8に示すフローは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
1 プリンタ(印刷装置)
32 CPU(制御手段)
32A データ制御部
32B 駆動制御部
55 サーマルヘッド(印字手段)
57 テープ送りモータ(搬送手段)
341 印字データバッファ
342 イメージバッファ

Claims (4)

  1. 被印字媒体を搬送する搬送手段と、
    受信したイメージデータが展開されるイメージバッファと、
    前記イメージバッファに展開された前記イメージデータに対応する、印字データが展開される印字データバッファと、
    前記印字データバッファに展開された前記印字データに基づく印字を前記被印字媒体に形成する印字手段と、
    制御手段と、
    を有し、
    前記印字手段は、
    前記搬送手段の搬送方向と直交する方向に配列されるとともに、前記被印字媒体を前記搬送方向に印刷解像度に分割してなる各印字ライン上に少なくとも各ドットを形成する、複数の発熱素子を備えており、
    前記制御手段は、
    前記被印字媒体の複数ページに対し前記搬送手段及び前記印字手段が連携して順次行う印刷プロセスの際に、1印字周期中において、現在ページの前記印字データに応じて前記印字手段を通電する通電処理と、前記現在ページの次ページの前記イメージデータを前記イメージバッファへn印字ライン(nは1以上の特定の整数)ずつ展開する展開処理と、を並行して実行する印刷装置であって、
    前記制御手段は、さらに、
    前記現在ページに対する前記印刷プロセスが終了する前の所定の第1タイミングにおいて、前記次ページの前記イメージデータの前記イメージバッファへの展開が完了しているか否かを判定する第1判定処理と、
    前記第1判定処理により前記次ページの前記イメージデータの展開が完了していないと判定された場合に、前記1印字周期中において前記通電処理と共に実行される前記展開処理における前記nの値を増大させる展開増強処理と、
    前記展開増強処理が開始された後、前記次ページの前記イメージデータの展開完了時に対応する当該次ページの前記印字データの前記印字データバッファへの展開を開始したと想定したときに、その後の所定の第2タイミングにおいて、前記現在ページに対する前記印刷プロセスが継続しているか否かを予測判定する第2判定処理と、
    前記第2判定処理により、前記第2タイミングにおいて前記現在ページに対する前記印刷プロセスが継続せず終了していると予測された場合には、前記印字手段による前記現在ページの前記印字データに対応した前記印字の形成の終了後、前記搬送手段を搬送停止する、停止制御処理と、
    前記第2判定処理により、前記第2タイミングにおいて前記現在ページに対する前記印刷プロセスが継続していると予測された場合、若しくは、前記第1判定処理により、前記次ページの前記イメージデータの展開が完了していると判定された場合には、前記印字手段による前記現在ページの前記印字データに対応した前記印字の形成の終了後、前記搬送手段の搬送を停止させることなく、引き続き前記印字手段による前記次ページの前記印字データに対応した前記印字の形成を開始する、続行制御処理と、
    を実行することを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1記載の印刷装置において、
    前記第2タイミングは、
    前記展開増強処理が開始された後、所定ライン数の前記次ページの前記印字データが前記印字データバッファへ展開完了する時期である
    ことを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の印刷装置において、
    前記制御手段はさらに、
    前記複数の発熱素子の通電と前記搬送手段を駆動するパルスモータの駆動とを連携して制御することにより、少なくとも前記被印字媒体の印刷対象となる最初のページへの前記印刷プロセスにおいては、前記パルスモータが回転駆動する際の当該パルスモータへのパルス信号の出力数と前記印字データを1つの前記印字ライン単位に分割してなるライン印字データの数とのパルス・ドット比率を一定比率としつつ、前記パルスモータの速度を停止状態から定常速度まで加速するスルーアップ処理を実行し、かつ、少なくとも前記被印字媒体の印刷対象となる最後のページへの前記印刷プロセスにおいては、前記パルス・ドット比率を一定比率としつつ前記パルスモータの速度を前記定常速度からから停止状態とするスルーダウン処理を実行する
    ことを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項3記載の印刷装置において、
    前記制御手段は、
    前記第1判定処理により前記次ページの前記イメージデータの展開が完了していないと判定された場合に、前記現在ページに対する前記印刷プロセスにおける前記スルーダウン処理が開始されることとなるタイミングよりも前に、前記展開増強処理を開始する
    ことを特徴とする印刷装置。
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