JP6428463B2 - ノンハロゲン難燃性樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブル - Google Patents
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Description
[2]前記ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体が使用され、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含有量(VA量)が20〜45質量%である前記[1]に記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
[3]前記オルガノクレーは、モンモリロナイトを使用したものである前記[1]又は前記[2]に記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
[4]前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウムである前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
[5]導体と、前記導体の外周に被覆された、前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる絶縁層とを備えた絶縁電線。
[6]前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなるシースを備えたケーブル。
[7]前記[5]に記載の絶縁電線を備えたケーブル。
本発明の実施の形態に係るノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、金属水酸化物150〜250質量部及びシリコーンで表面処理したオルガノクレー1〜50質量部を含有する。
本発明の実施の形態において用いることができるポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−スチレン共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテン−ヘキセン三元共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、エチレン−オクテン共重合体(EOR)、エチレン共重合ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、マレイン酸グラフト低密度ポリエチレン、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体(H−SBR)、マレイン酸グラフト直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数が4〜20のαオレフィンとの共重合体、エチレン−スチレン共重合体、マレイン酸グラフトエチレン−メチルアクリレート共重合体、マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体、ブテン−1を主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体などが挙げられ、より好適にはEVAである。これらは単独又は2種以上をブレンドして用いることができる。また、2種以上の各ポリオレフィン系樹脂、例えば2種以上のEVAをブレンドして用いることもできる。
本発明の実施の形態において用いることができる金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。中でも、水酸化マグネシウムを用いることが好ましい。これらは、単独又は2種以上を併用しても良い。
本発明の実施の形態で使用するオルガノクレーとは、例えばスメクタイトに分類される層状構造の鉱物であるクレーに、有機物を層間に挿入させたものである。有機物を挿入することにより層間隔離を容易にし、分散性を向上することが可能となる。
本発明の実施の形態に係るノンハロゲン難燃性樹脂組成物には、上記の配合剤以外にも必要に応じてその他の難燃剤、酸化防止剤、金属不活性剤、架橋剤、架橋助剤、滑剤、無機充填剤、相溶化剤、安定剤、カーボンブラック、着色剤等の添加剤を加えることが可能である。更に、有機過酸化物により架橋したり、電子線などの放射線により架橋してもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、その種類は特に限定はしないが、例えばジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート] 、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられ、より好適にはペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である。
硫黄系酸化防止剤としては、その種類は特に限定はしないが、ジドデシル3,3‘-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3‘-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、テトラキス[メチレン-3-(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等が挙げられ、より好適には、テトラキス[メチレン-3-(ドデシルチオ)プロピオネート]メタンである。
アミン系酸化防止剤としては、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、フェニル-1-ナフチレン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α、α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、p-(p-トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニルジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、1,3-ベンゼンジカルボン酸ビス[2-(1-オキソ-2-フェノキシプロピル)ヒドラジド、2',3-ビス[[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、3-(N-サリチロイルアミノ)-1H-1,2,4-トリアゾール、ドデカン二酸ビス[N2-(2-ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトール系亜リン酸エステル、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシル−フォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は、単独で又は2種以上をブレンドして用いることができる。
本発明の実施形態に係る絶縁電線は、導体と、導体の外周に被覆された、本発明の実施形態に係る上記ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる絶縁層とを備えたことを特徴とする。
図1に示すように、本実施の形態に係る絶縁電線10は、汎用の材料、例えば、純銅や錫めっき銅等からなる導体1と、導体1の外周に被覆された絶縁層2とを備える。導体1は、図1のように1本である場合に限られず、複数本の素線を撚合せたものであってもよい。
本発明の実施形態に係るケーブルは、本発明の実施形態に係る上記ノンハロゲン難燃性樹脂組成物を被覆材料(絶縁層及び/又はシース)として使用したことを特徴とする。
図2に示すように、本実施の形態に係るケーブル20は、導体1に絶縁層2を被覆した絶縁電線3本を紙等の介在3と共に撚り合わせた三芯撚り線と、三芯撚り線の外周に施された押え巻きテープ4と、その外周に押出被覆されたシース5とを備える。絶縁電線は単芯でもよく、三芯以外の多芯撚り線であってもよい。
本発明の実施形態によれば、優れた難燃性と浸水時の絶縁抵抗性を両立することが可能、かつ引張特性に優れたノンハロゲン難燃性樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを得ることができる。好ましい実施形態によれば、浸水時の体積抵抗率が1011Ω・cm以上である絶縁電線及びケーブルを得ることができる。
表1及び表2に示す配合割合にしたがって各成分を配合し、加圧ニーダーによって開始温度40℃、終了温度190℃で混練後、混練物をペレットにした。用いた配合剤は、表3に示すとおりである。
65mm押出機を用いて、設定温度200℃、絶縁厚さ0.25mm、線速50m/minにて、作製したペレットを導体上に押出被覆した。押出被覆した後、電子線を照射量30kGyで照射し架橋させ、絶縁電線を製造した。導体はUL規格26AWGの錫めっき軟銅線を用いた。
製造した絶縁電線について、下記の試験・評価を行なった。表1〜2に評価結果を示す。
製造した絶縁電線について、JIS C 3005に準拠して引張試験を行なった。引張強さは、13MPa以上のものを◎(裕度を持って合格)、10MPa以上13MPa未満のものを○(合格)、10MPa未満のものを×(不合格)とした。また、伸びは、300%以上のものを◎(裕度を持って合格)、150%以上300%未満のものを○(合格)、150%未満のものを×(不合格)とした。
製造した絶縁電線について、UL758に準拠して電線形状での垂直燃焼試験(VW-1)を行った。判定は残炎による燃焼時間30秒未満のものを◎(裕度を持って合格)、1分未満のものを○(合格)、1分以上のものを×(不合格)とした。
表1及び表2に示す配合割合にしたがって各材料を配合し、設定温度150℃のオープンロールで混練後、プレス成形機を用いて1mm厚の金型に混練物を入れ、180℃で1分間、プレスし、1mmシートを作製した。作製した1mmシートを、80℃の純水に7日間浸漬し、取出した後JIS K 6271に準拠し体積抵抗率を測定した。1×1012Ω・cm以上のものを◎(裕度を持って合格)、1×1011Ω・cm以上のものを○(合格)、1×1011Ω・cm未満のものを×(不合格)とした。
総合評価として、すべての評価が○のものを○(合格)とし、いずれかの評価で1つでも×(不合格)があれば×(不合格)とした。
実施例1〜4では、樹脂であるEVAのVA量を変更したが、いずれも良好でVA量が高いほど伸び特性、難燃性が優れた結果となった。
実施例5〜8では、EVAのブレンド、及びEVAと他の樹脂のブレンドを実施したが、いずれも良好な結果であった。また、結晶性の樹脂を添加すると引張強さが向上するが、伸び特性は低下する傾向にあった(実施例8)。
実施例9、10では、シリコーン処理オルガノクレーの添加量を変更したが、1質量部以上であれば良好な結果であった。また、シリコーン処理オルガノクレーの添加量は規定の50質量部以下であれば特性上問題ないが、添加に伴い伸び特性、浸水時の絶縁抵抗が低下する傾向にあり、またコスト高にもなるため、難燃性を満足する最低添加量とすることが望ましい。
実施例11、12では、金属水酸化物である水酸化マグネシウムの添加量を変更したが、規定の範囲内であれば良好な結果であった。水酸化マグネシウムの添加に伴い、難燃性は向上するが、伸び、浸水時の絶縁抵抗は低下する傾向にあった。
1:導体、2:絶縁層、3:介在、4:押え巻きテープ、5:シース
Claims (7)
- ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、金属水酸化物150〜250質量部及びシリコーンで表面処理したオルガノクレー1〜50質量部を含有するノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体が使用され、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含有量(VA量)が20〜45質量%である請求項1に記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
- 前記オルガノクレーは、モンモリロナイトを使用したものである請求項1又は請求項2に記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
- 前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウムである請求項1〜3のいずれか1項に記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
- 導体と、前記導体の外周に被覆された、請求項1〜4のいずれか1項に記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる絶縁層とを備えた絶縁電線。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなるシースを備えたケーブル。
- 請求項5に記載の絶縁電線を備えたケーブル。
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