JP5637177B2 - 耐ワニス性電線・耐ワニス性ケーブル - Google Patents

耐ワニス性電線・耐ワニス性ケーブル Download PDF

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本発明は、難燃性非架橋樹脂組成物及びこれを用いた電線・ケーブルに関し、さらに詳しくは、カナダ基準規格(CSA)の垂直燃焼試験(FT−1試験)及び耐ワニス性試験に合格し得る難燃性非架橋樹脂組成物及びこれを用いた電線・ケーブルに関する。
絶縁電線や絶縁ケーブル等の各種電線・ケーブルは、導体又は外被が被覆材料によって絶縁被覆されている。電気機器の機内配線に使用する各種電線・ケーブル等のうち、定格温度が比較的低い(例えば、105℃以下)電線・ケーブルの被覆材料としては、被覆材料の難燃性を高めるべく、難燃剤を配合した架橋ポリオレフィン難燃性非架橋樹脂組成物が汎用されている。
高度の難燃性を付与するためには、難燃剤を多量に加えることが必要であり、その結果として、引張伸び特性の著しい低下を招くことが知られている。
他方、カナダ国内で使用される絶縁電線や絶縁ケーブルの中でも、公共の電源に接続して使用する各種電線ケーブルは、カナダ各州法の定めによりCSA(Canadian Standards Association)規格に適合したものでなければならない。
かかるCSA規格には、製品が満たすべき諸特性について詳細に規格されており、その中でも、難燃性に関するFT−1と称される垂直燃焼試験に合格する必要があり、また耐ワニス性に関する耐ワニス性試験に合格する必要があり、CSA規格の中でもこれら2つの特性を満たすことが最も厳しい要求項目となっている。
従来の耐ワニス性絶縁電線又はケーブルの絶縁材料としては、炭化水素プロセス油を配合した樹脂組成物に対して、さらに、酸化防止剤として、硫黄系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用する絶縁材料が提案されている(特許文献1参照)。
また、他の手段として、ムーニー粘度70以下のエチレンプロピレン系エラストマーを主成分とする樹脂組成物に、フェノール系酸化防止剤を配合した絶縁材料が提案されている(特許文献2参照)。
いずれの絶縁材料も、CSA規格C22.2 No.116に記載の耐ワニス性試験に合格したと報告されている(特許文献1:段落[0025]、特許文献2:第4頁右上欄、特許文献3:コラム8、55行目〜60行目)。
特開平05−112679号公報 特開平02−006546号公報 米国特許第4381362号
このように、従来から電線・ケーブルの耐ワニス性試験を合格するためには、酸化防止剤として、硫黄系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤とを併用することが好適であると一般的に言われているが、一方で、CSA規格は随時見直しや改訂が行われており、本発明者等の検討によれば、これらの酸化防止剤を使用した樹脂組成物であっても現行のCSA C22.2 No127−09に規定された耐ワニス性試験に合格するには至っていない。
また、ムーニー粘度70以下のエチレンプロピレン系エラストマーを主成分とする樹脂組成物のように、ベースポリマーの成分として軟質材料を使用すると、耐ワニス性が向上する傾向が見られるが、現行の上記耐ワニス性試験に合格するには未だ不十分である。一方で、かかる樹脂組成物によると、引張強さ及び引張伸び等の機械的特性及び難燃性が著しく低下してしまう。
そこで、本発明は、CSA C22.2 No127−09に規定する耐ワニス性試験に合格する高度の耐ワニス性を示すとともに、CSA規格の垂直燃焼試験FT−1に合格する高度の難燃性を示し、かつ、引張強さ、引張伸び特性等の機械的特性にも優れた難燃性非架橋樹脂組成物を用いた、優れた特性を有する耐ワニス性電線・ケーブルを提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明によって、以下の難燃性非架橋樹脂組成物を用いた耐ワニス性電線・ケーブルが提供される。
[1]導体と、前記導体の外周に、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分としたベースポリマーであって、前記ベースポリマー中の酢酸ビニルの含有量が30質量%以上であるベースポリマー100質量部に対し、難燃剤を20〜180質量部、及びアミン系酸化防止剤を0.1〜20質量部、含有する難燃性非架橋樹脂組成物を用いて被覆、形成された絶縁体と、を備えた耐ワニス性電線であって、アミン系酸化防止剤は、N−(2H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)サリチルアミドであることを特徴とする耐ワニス性電線。
[2]導体と前記導体の外周に被覆、形成された絶縁体とを備えた電線と、
前記電線の外周に、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分とした、酢酸ビニルの含有量が30質量%以上であるベースポリマー100質量部に対し、難燃剤を20〜180質量部、及びアミン系酸化防止剤を0.1〜20質量部、含有する難燃性非架橋樹脂組成物を用いて被覆、形成されたシースと、を備えた耐ワニス性ケーブルであって、アミン系酸化防止剤は、N−(2H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)サリチルアミドであることを特徴とする耐ワニス性ケーブル。
本発明は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分とした、酢酸ビニル(VA)の含有量が30質量%以上であるベースポリマーに、アミン系酸化防止剤を所定量配合することで、柔軟で耐ワニス性試験及びその他の特性にも優れた難燃性非架橋樹脂組成物を用いた耐ワニス性電線・ケーブルを提供することが可能となる。
従来の技術では、硫黄系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との併用が効果的と開示されていたが、本発明者等の検討において、これらの効果は、必ずしも十分ではないこと、並びにポリマーにEVAを使用すること及びアミン系酸化防止剤の配合が最も効果的であることを見出した。
上述のアミン系酸化防止剤の配合が効果的であることのメカニズムの詳細は不明であるが、以下のように考えられる。すなわち、耐ワニス性試験は、電線にワニスを塗布後、ワニスを硬化させる。この際にラジカル捕捉効果のある酸化防止剤を樹脂組成物に配合することで、電線とワニス界面近傍での、ワニスの過度の硬化を抑制し、耐ワニス性試験に合格しやすくなる。従来のヒンダードフェノール系酸化防止剤も、本発明のアミン系酸化防止剤も共にラジカル捕捉効果のある酸化防止剤であるが、アミン系酸化防止剤の方が一般的に、EVA等の樹脂との相溶性が低く、電線とワニス界面近傍にブルームしやすいことにより、アミン系酸化防止剤の方に耐ワニス性試験改善の効果が見られたと考えられる。
以上の通り、本発明は、CSA C22.2 No127−09に規定する耐ワニス性試験に合格する高度の耐ワニス性を示すとともに、CSA規格の垂直燃焼試験FT−1に合格する高度の難燃性を示し、かつ、引張強さ、引張伸び特性等の機械的特性にも優れた難燃性非架橋樹脂組成物を用いた、優れた特性を有する耐ワニス性電線・ケーブルを提供することができる。
銅導体と、銅導体の外周に、難燃性非架橋樹脂組成物を用いて被覆、形成された絶縁体とを備えた、本発明の実施の形態に係る電線を模式的に示す断面図である。 銅導体と銅導体の外周に被覆、形成された絶縁体とを備えた3本の電線と、電線と共に撚り合わされた紙の介在と、外周に巻回された押え巻きテープと、最外層として、上述の難燃性非架橋樹脂組成物を押出被覆して形成されたシースとを備えた、本発明の実施の形態に係るケーブルを模式的に示す断面図である。
[実施の形態の要約]
本実施の形態に使用する難燃性架橋樹脂組成物は、樹脂及び難燃剤を含有した難燃性樹脂組成物において、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分とした、酢酸ビニルの含有量が30質量%以上であるベースポリマーを100質量部、ベースポリマー100質量部に対し、難燃剤を20〜180質量部、及びアミン系酸化防止剤を0.1〜20質量部、含有してなり、アミン系酸化防止剤は、N−(2H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)サリチルアミドで構成されたものである。
[実施の形態]
以下、本発明の難燃性非架橋樹脂組成物を用いた電線・ケーブルの実施の形態について説明する。
1.難燃性非架橋樹脂組成物
本実施の形態に使用する難燃性非架橋樹脂組成物は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分とした、酢酸ビニルの含有量が30質量%以上であるベースポリマーを100質量部、ベースポリマー100質量部に対し、難燃剤を20〜180質量部、及びアミン系酸化防止剤を0.1〜20質量部、含有してなるように構成される。以下、各構成成分について説明する。
(1)ベースポリマー
本実施の形態に使用する難燃性非架橋樹脂組成物は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分としたベースポリマーを含有する。このベースポリマーは、酢酸ビニル(VA)の含有量が30質量%以上である。VA含有量が30質量%未満であると、十分な耐ワニス性を得ることはできないことがある。VA含有量は、30質量%以上であれば、その上限について特に制限はないが、耐寒性を要求する電線・ケーブルに使用する場合、VA含有量60質量%未満にすることが好ましい。また、ベースポリマー中の酢酸ビニル含有量が30質量%以上となるように、EVAに他のポリオレフィンをブレンドすることもできる。
他のポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテン−ヘキセン三元共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、エチレン−オクテン共重合体(EOR)、エチレン共重合体ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、マレイン酸グラフト低密度ポリエチレン、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体(H−SBR)、マレイン酸グラフト直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数が4〜20のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−スチレン共重合体、マレイン酸グラフトエチレン−メチルアクリレート共重合体、マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体、ブテン−1を主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体等を挙げることができ、また、ハロゲンを含有する樹脂である塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエ
チレン、塩素化ポリプロピレン等を挙げることができる。これらは、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(2)アミン系酸化防止剤
本実施の形態に使用する難燃性非架橋樹脂組成物は、アミン系酸化防止剤を、ベースポリマー100質量部に対し、0.1〜20質量部含有する。本実施の形態に用いられるアミン系酸化防止剤としては、N−(2H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)サリチルアミドを用いる。6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、フェニル−1−ナフチレン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α、α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、ρ−(ρ−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−ρフェニルジアミン、N,N’−ジフェニル−ρフェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−ρフェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−ρフェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−ρ−フェニレンジアミン、1,3−ベンゼンジカルボン酸ビス[2−(1−オキソ−2−フェノキシプロピル)ヒドラジド、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、3−(N−サリチロイルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール、ドデカン二酸ビス[N2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラド]等を混合して用いることができる。
アミン系酸化防止剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.1〜20質量部である。0.1質量部未満であると、十分な耐ワニス性改善効果が得られないことがあり、20質量部を超えると、耐ワニス性以外の他の物性に影響を与えることがある。
(3)難燃剤
本実施の形態に使用する難燃性非架橋樹脂組成物は、難燃剤を、ベースポリマー100質量部に対し、20〜180質量部含有する。一般に、難燃剤は、ハロゲン系難燃剤及びノンハロゲン系難燃剤に大別できるが、本実施の形態においては、ハロゲン系難燃剤及びノンハロゲン系難燃剤のいずれをも用いることができ、また、ハロゲン系難燃剤とノンハロゲン系難燃剤とを併用することもできる。なお、ハロゲン系難燃剤単体を添加する場合の添加量は、ベースポリマー100質量部に対し、20質量部以上、150質量部以下が好ましく、ノンハロゲン系難燃剤単体を添加する場合の添加量は、ベースポリマー100質量部に対し、80質量部以上、180質量部以下が好ましい。
ハロゲン系難燃剤としては、例えば、エチレンビスペンタブロモベンゼン、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、ペンタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエーテル)、ヘキサブロモシクロデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモビスフェノールAエポキシオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ポリ−ジブロモフェニレンオキサイド、2,4,6−トリブロモフェノール、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アクリレート)、テトラブロモフタリックアンヒドリド、テトラブロモフタレートジオール、2,3−ジブロモプロパノール、トリブロモスチレン、テトラブロモフェニルマレイミド、ポリ(ペンタブロモベンジル)アクリレート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、1,2,3,4,7,8,9,10,13,13,14,14ホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、1,2,3,4,7,8,9,10,13,13,14,14−ドデカクロロ−1,4,4a,5,6,6a,7,10,10a,11,12,12a−ドデカヒドロ−1,4,7,10−ジメタノジベンゾ(a,e)シクロオクテン、塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカン、テトラクロロ無水フタル酸、クロレンド酸、ドデカクロロシクロオクタン等を好適例として挙げることができる。中でも、エチレンビスペンタブロモジフェニルがさらに好ましい。これらは、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、これらのハロゲン系難燃剤は、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸カリウム、アンチモン酸ナトリウム等のアンチモン化合物と併用することもできる。
ノンハロゲン系難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;メラミン、シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミンシアヌレート、硫酸メラミン等の1,3,5−トリアジン誘導体;スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、酸化亜鉛等の亜鉛化合物等を好適例として挙げることができる。これらは、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、これらの難燃剤は、シランカップリング剤;チタネート系カップリング剤;ステアリン酸やステアリン酸カルシウム等の脂肪酸又は脂肪酸金属塩等によって表面処理されているものを用いてもよい。
難燃剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、20〜180質量部である。20質量部未満であると十分な難燃性が得られないことがあり、180質量部を超えると伸び特性が著しく低下することがある。
(4)その他の構成成分
上記の構成成分以外にも、必要に応じて、金属不活性剤、アミン系以外の酸化防止剤、その他の難燃剤、難燃助剤、滑剤、無機充填剤、相溶化剤、安定剤、カーボンブラック、着色剤等の添加剤を加えることが可能である。なお、これらの添加剤は、汎用のものを使用することができる。
金属不活性剤は、金属イオンをキレート形成により安定化し、酸化防止を抑制する効果を有するものである。金属不活性剤としては、例えば、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジドを好適例として挙げることができる。
アミン系以外の酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等を挙げることができる。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシーベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、テトラキス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メタンを好適例として挙げることができる。
その他の難燃剤としては、例えば、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム等のホウ酸化合物、リン系難燃剤、燃焼時に発泡する成分と固化する成分の混合物からなる難燃剤であるインテユメッセント系難燃剤等を好適例として挙げることができる。
その他の構成成分は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
2.電線・ケーブル
図1に示すように、本実施の形態の電線10は、銅導体1と、銅導体1の外周に上述の難燃性非架橋樹脂組成物を用いて被覆、形成された絶縁体2とを備えて構成される。また、図2に示すように、本実施の形態のケーブル20は、電線10と、電線10の外周に上述の難燃性非架橋樹脂組成物を用いて被覆、形成されたシース3とを備えて構成される。さらに、具体的には、本実施の形態のケーブル20は、銅導体1と銅導体1の外周に上述の難燃性非架橋樹脂組成物又は一般的に使用される絶縁性樹脂を用いて被覆、形成された絶縁体2とを備えた3本の電線10と、電線10と共に撚り合わされた紙等の介在4と、外周に巻回された押え巻きテープ5と、最外層として、上述の難燃性非架橋樹脂組成物を押出被覆して形成されたシース3とを備えて構成される。本実施の形態の電線10及びケーブル20は、上述の難燃性非架橋樹脂組成物を用いて被覆、形成された絶縁体2、又はシース3を備えることで、高度の耐ワニス性、難燃性を有し、かつ引張伸び特性等の機械的特性に優れる。
以下、本発明を、実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によっていかなる制限を受けるものではない。
参考例1)
エチレン酢酸ビニル共重合体(VA含有量:41質量%、MFR:0.3)100質量部、水酸化マグネシウム(神島化学工業(株)製、商品名:マグシーズS4))100質量部、アミン系酸化防止剤A4,4‘−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、大内新興化学工業(株)製、商品名:ノクラックCD)5質量部、及び金属不活性剤(BASFジャパン(株)製、商品名:イルガノックスMD1024)1質量部を、加圧ニーダによって開始温度40℃、終了温度190℃で混練後、混練物をペレットにして、難燃性非架橋樹脂組成物を作製した。
電線の作製は、図1に示すように、上記加圧ニーダでの混練物(難燃性非架橋樹脂組成物)を銅導体上に、厚さ0.81mm、設定温度200℃で押出して絶縁体を形成した。
参考例1で作製された難燃性非架橋樹脂組成物を用いて形成された電線の評価結果を表1に示す。なお、電線の評価は、以下に示す試験方法により判定した。
Figure 0005637177
(電線の評価の試験方法)
(1)引張試験
作製した電線を、JISC3005に準拠して引張試験を行なった。伸びは、150%未満のものを×(不合格)、150〜300%を○(合格)、それ以上を◎(裕度を持って合格)とした。引張強さは10MPa未満のものを×(不合格)、10〜13MPaのものを○(合格)、それ以上を◎(裕度を持って合格)とした。
(2)難燃性試験
電線形状での垂直燃焼試験(FT−1)を行った。判定は燃焼時間30秒未満のものを◎(裕度を持って合格)、1分未満のものを○(合格)、1分以上のものを×(不合格)とした。
(3)耐ワニス性試験
CSA C22.2 No.127−09 6、2、8頁(Insulating Varnish)に規定された試験方法に準拠して試験を実施した。作製した電線を絶縁ワニス(ISONEL31)に室温で1時間浸漬し、その後絶縁ワニスから取出し1時間懸吊する。その後160℃に設定したオーブンに20時間入れワニスを硬化させ、取り出し後、室温で2時間静置し、自己径のマンドレルに6回巻きつける。巻きつけた状態の電線に2000Vの電圧を1分間課電し、破壊しないものを○(合格)、破壊したものを×(不合格)とした。
参考例2〜14及び実施例1、2
配合を表1に示すものに変えたこと以外は、参考例1と同様にして、難燃性非架橋樹脂組成物を作製し、電線を形成した。得られた電線の評価結果を表1に示す。
(比較例1〜9)
配合を表2に示すものに変えたこと以外は、参考例1と同様にして、難燃性非架橋樹脂組成物を作製し、電線を形成した。得られた電線の評価結果を表2に示す。
Figure 0005637177
(評価結果について)
参考例1〜3で、ベースポリマー中のVA含有量を変更したが、30質量%以上であったので、耐ワニス性試験に合格し他の特性も良好であった。参考例4、5で、他のポリオレフィンとブレンドしたが、VA含有量が規定の範囲内であったので、良好な特性となった。
参考例6、7で、ハロゲン系難燃剤であるエチレンビスペンタブロモベンゼン及び、三酸化アンチモンの配合(含有)量を変更したが、規定の範囲内であったのでワニス性及び他の特性は良好であった。
参考例8、9で、ノンハロゲン系難燃剤である水酸化マグネシウムの配合量を変更したが、規定の範囲内であったのでワニス性及び他の特性は良好であった。水酸化マグネシウムの配合量を80質量部とした参考例8と比較して、配合量を180質量部とした参考例9は難燃性がより向上しており、配合は好ましかったことが分かる。また、参考例12では、水酸化マグネシウムにメラミンシアヌレートを併用したが、水酸化マグネシウムを単独で配合した参考例2と比較して難燃性が向上しており、メラミンシアヌレートの配合は好ましかったことが分かる。
また、参考例10、11で、ノンハロゲン系難燃剤とハロゲン系難燃剤を併用したが、特性は良好であった。
実施例1でアミン系酸化防止剤の種類を変更したが、アミン系酸化防止剤であればいずれも良好な特性を示した。参考13、14でアミン系酸化防止剤の配合量を変更したが、規定の範囲内であったのでワニス性及びその他の特性も良好であった。実施例でアミン系酸化防止剤に他の酸化防止剤を併用したが、アミン系酸化防止剤が規定の範囲内であったので、ワニス性及びその他の特性は良好であった。
これに対し、表2に示すように、ベースポリマー中のVA含有量が規定より少ない比較例1〜3では耐ワニス性試験が不合格となった。また、VA含有量が30質量%未満であり、特にVA含有量が少ない比較例1、2は難燃性も不合格となった。難燃剤の配合量が規定より少ない比較例4、6では難燃性が不合格となった。難燃剤の配合量が規定より多い比較例5、7では伸び特性及び耐ワニス性試験が不合格となった。アミン系酸化防止剤の配合量が規定より少ない比較例8では耐ワニス性試験が不合格となった。
また、特許文献1に代表されるフェノール系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤を併用した比較例9は、耐ワニス性試験が不合格となった。
1 銅導体
2 絶縁体
3 シース
4 介在
5 押え巻きテープ
10 電線
20 ケーブル

Claims (2)

  1. 導体と、
    前記導体の外周に、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分としたベースポリマーであって、前記ベースポリマー中の酢酸ビニルの含有量が30質量%以上であるベースポリマー100質量部に対し、難燃剤を20〜180質量部、及びアミン系酸化防止剤を0.1〜20質量部、含有する難燃性非架橋樹脂組成物を用いて被覆、形成された絶縁体と、を備えた耐ワニス性電線であって、アミン系酸化防止剤は、N−(2H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)サリチルアミドであることを特徴とする耐ワニス性電線。
  2. 導体と前記導体の外周に被覆、形成された絶縁体とを備えた電線と、
    前記電線の外周に、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分としたベースポリマーであって、前記ベースポリマー中の酢酸ビニルの含有量が30質量%以上であるベースポリマー100質量部に対し、難燃剤を20〜180質量部、及びアミン系酸化防止剤を0.1〜20質量部、含有する難燃性非架橋樹脂組成物を用いて被覆、形成されたシースと、を備えた耐ワニス性ケーブルであって、前記アミン系酸化防止剤は、N−(2H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)サリチルアミドであることを特徴とする耐ワニス性ケーブル。
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