JP6428385B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の排出ガスの一部をEGRガスとして吸気通路へ還流させるEGR装置を備えた内燃機関の制御装置に関する発明である。
車両に搭載される内燃機関においては、燃費向上、ノック(ノッキング)や排気エミッションの低減等を目的として、排出ガスの一部をEGRガスとして吸気通路へ還流させるEGR装置を搭載するようにしたものがある。
しかし、EGR装置を搭載した内燃機関は、減速時にスロットル開度(スロットルバルブの開度)を閉じ側に制御したときに、EGR弁を閉弁するようにしても、EGR弁の下流側のEGR通路内や吸気通路内にEGRガスが滞留する。特にスロットルバルブの上流側の吸気通路にEGRガスを還流させるシステムでは、スロットルバルブの上流側の吸気通路内に大量のEGRガスが滞留する。このため、減速時やその後の再加速時に筒内に流入するEGRガス量が過剰に多くなって燃焼状態が悪化して失火が発生し易くなるという問題がある。
この対策として、例えば、特許文献1(特開2012−246850号公報)に記載されたものがある。このものは、筒内流入EGRガス量を推定して、その筒内流入EGRガス量に基づいて吸入空気量の正常燃焼下限値を算出し、吸入空気量がその正常燃焼下限値を下回らないようにスロットル開度を制御して失火を回避する失火回避制御を実行すると共に、この失火回避制御によるトルク変化を吸収するように負荷トルクを制御するようにしている。
特開2012−246850号公報
しかし、上記特許文献1の技術では、筒内流入EGRガス量を推定して吸入空気量の正常燃焼下限値を算出する必要があるため、制御回路の演算負荷が増大する可能性がある。そこで、本出願人は、EGRガスによる減速時や再加速時の失火を抑制する技術として、次のようなシステムを研究している。車両の減速要求が発生した場合に、吸気通路へ還流させるEGRガス量を減少させる制御を行うが、吸気量を減少させる制御を減速要求の発生から所定期間遅らせて実行する吸気減量ディレイを行うことで、吸気通路内にEGRガスが滞留することを抑制して失火を抑制する。更に、吸気減量ディレイによる余剰トルクを吸収するように車両の駆動トルクを減少させる(例えばオルタネータの負荷トルクを増加させる)ことで、減速トルク(又は制動トルク)を確保する。
しかし、内燃機関の運転状態等によっては減速直前まで大量のEGRガスが吸気通路に還流されていることもあり、このような場合、単に吸気減量ディレイを行うだけでは、吸気通路内に滞留するEGRガスを速やかに掃気できない可能性があり、失火抑制効果を十分に高めることができない可能性がある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、EGR装置を備えた内燃機関において、車両の減速時に減速トルクを確保しながら、減速時や再加速時の失火抑制効果を高めることができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、内燃機関(11)の排出ガスの一部をEGRガスとして吸気通路(12)へ還流させるEGR装置(28)を備えた内燃機関の制御装置において、車両の減速要求が発生した場合に、吸気通路(12)へ還流させるEGRガス量を減少させるEGR減量制御を実行すると共に、内燃機関(11)の吸気量を減少させる吸気減量制御を減速要求の発生から所定のディレイ期間遅らせて実行する吸気減量ディレイを行い、該吸気減量ディレイによる余剰トルクを吸収するように車両の駆動トルクを減少させる駆動トルク減少制御を実行する減速時制御手段(36)を備え、この減速時制御手段(36)は、ディレイ期間中に、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があるか否かを判定し、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があると判定した場合には、ディレイ期間中に、EGR減量制御をしつつ内燃機関(11)のスロットルバルブ(21)の開度を開き側に制御するようにしたものである。
この構成では、車両の減速要求が発生した場合に、吸気通路へ還流させるEGRガス量を減少させるEGR減量制御を実行すると共に、内燃機関の吸気量を減少させる吸気減量制御を減速要求の発生から所定のディレイ期間だけ遅らせて実行する吸気減量ディレイを行う。これにより、吸気通路内にEGRガスが滞留することを抑制して失火を抑制することができる。更に、吸気減量ディレイによる余剰トルクを吸収するように車両の駆動トルクを減少させる駆動トルク減少制御を実行する。これにより、余剰トルク(トルク増加分)を駆動トルク減少制御によるトルク減少分で打ち消して減速トルク(又は制動トルク)を確保することができる。
その際、ディレイ期間中に、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があるか否かを判定し、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があると判定した場合には、EGR減量制御をしつつ内燃機関のスロットルバルブの開度を開き側に制御する。これにより、ディレイ期間中に吸気量を増加させて吸気通路内に滞留するEGRガスを速やかに掃気することができ、失火抑制効果を高めることができると共に、吸気量の増加により余剰トルクが増加しても、その余剰トルクを駆動トルク減少制御によるトルク減少分で打ち消して減速トルク(又は制動トルク)を確保することができる。また、筒内流入EGRガス量の推定や吸入空気量の正常燃焼下限値の算出を行う必要がなく、制御回路の演算負荷を低減することができる。
図1は本発明の一実施例におけるエンジン制御システムの概略構成を示す図である。 図2はEGRガスによる減速時や再加速時の失火を説明するタイムチャートである。 図3は比較例の減速時制御の実行例を示すタイムチャートである。 図4は本実施例の減速時制御の実行例を示すタイムチャートである。 図5は減速時制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システムの概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の吸気管12(吸気通路)の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。一方、エンジン11の排気管15(排気通路)には、排出ガス中のCO,HC,NOX 等を浄化する三元触媒等の触媒16が設置されている。
このエンジン11には、吸入空気を過給する排気タービン駆動式の過給機17が搭載されている。この過給機17は、排気管15のうちの触媒16の上流側に排気タービン18が配置され、吸気管12のうちのエアフローメータ14の下流側にコンプレッサ19が配置されている。この過給機17は、排気タービン18とコンプレッサ19とが一体的に回転するように連結され、排出ガスの運動エネルギで排気タービン18を回転駆動することでコンプレッサ19を回転駆動して吸入空気を過給するようになっている。
吸気管12のうちのコンプレッサ19の下流側には、モータ20によって開度調節されるスロットルバルブ21と、このスロットルバルブ21の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ22とが設けられている。
更に、スロットルバルブ21の下流側には、吸入空気を冷却するインタークーラがサージタンク23と一体的に設けられている。尚、サージタンク23やスロットルバルブ21の上流側にインタークーラを配置するようにしても良い。サージタンク23には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド24が設けられ、各気筒毎に筒内噴射又は吸気ポート噴射を行う燃料噴射弁(図示せず)が取り付けられている。エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ(図示せず)が取り付けられ、各点火プラグの火花放電によって各気筒内の混合気に着火される。
エンジン11の各気筒の排気口には排気マニホールド25が接続され、各気筒の排気マニホールド25の下流側の集合部が排気タービン18の上流側の排気管15に接続されている。また、排気タービン18の上流側と下流側とをバイパスさせる排気バイパス通路26が設けられ、この排気バイパス通路26に、排気バイパス通路26を開閉するウェイストゲートバルブ27が設けられている。
このエンジン11には、排気管15から排出ガスの一部をEGRガスとして吸気管12へ還流させるLPL方式(低圧ループ方式)のEGR装置28が搭載されている。このEGR装置28は、排気管15のうちの排気タービン18の下流側(例えば触媒16の下流側)と吸気管12のうちのコンプレッサ19の上流側(スロットルバルブ21の上流側の吸気通路)との間にEGR配管29(EGR通路)が接続され、このEGR配管29に、EGRガスを冷却するEGRクーラ30と、EGRガス流量を調節するEGR弁31が設けられている。このEGR弁31は、モータ等のアクチュエータ(図示せず)によって開度が調整され、EGR弁31を開弁することで排気管15のうちの触媒16の下流側から吸気管12のうちのコンプレッサ19の上流側へEGRガスを還流させるようになっている。
また、エンジン11には、吸気バルブ(図示せず)のバルブタイミング(開閉タイミング)を変化させる吸気側可変バルブタイミング機構32と、排気バルブ(図示せず)のバルブタイミングを変化させる排気側可変バルブタイミング機構33が設けられている。
オルタネータ48(発電機)はエンジン11の動力で回転駆動されて発電するようになっている。このオルタネータ48の発電制御電流(フィールド電流)を制御することで、オルタネータ48の発電量を制御してオルタネータ48の負荷トルクを制御することができる。
その他、エンジン11には、冷却水温を検出する冷却水温センサ34や、クランク軸(図示せず)が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ35等が設けられている。このクランク角センサ35の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
また、アクセルセンサ49によってアクセル開度(アクセルペダルの操作量)が検出され、ブレーキスイッチ50によってブレーキ操作(又はブレーキセンサによってブレーキ操作量)が検出される。
これら各種センサの出力は、電子制御ユニット(以下「ECU」と表記する)36に入力される。このECU36は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御用のプログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて、燃料噴射量、点火時期、スロットル開度(吸入空気量)等を制御する。
その際、ECU36は、エンジン運転状態(例えばエンジン負荷とエンジン回転速度等)に応じて目標EGR率を算出し、この目標EGR率を実現するようにEGR弁31の開度を制御する。
しかし、図2に示すように、EGR装置28を搭載したエンジン11は、減速時にスロットル開度を閉じ側に制御したときに、EGR弁31を閉弁するようにしても、EGR弁31の下流側のEGR配管29内や吸気管12内にEGRガスが滞留する。特にスロットルバルブ21の上流側の吸気通路にEGRガスを還流させるシステムでは、スロットルバルブ21の上流側の吸気通路内に大量のEGRガスが滞留する。このため、そのままでは減速時やその後の再加速時に筒内に流入するEGRガス量が過剰に多くなって燃焼状態が悪化して失火が発生し易くなるという問題がある。
この対策として、本実施例では、ECU36により後述する図5の減速時制御ルーチンを実行することで、次のような制御を行う。
図4に示すように、車両の減速要求が発生した場合に、まず、その時点t1 で、吸気管12へ還流させるEGRガス量を減少させるEGR減量制御を実行する。また、エンジン11の吸気量を減少させる吸気減量制御を減速要求の発生から所定のディレイ期間だけ遅らせて実行する吸気減量ディレイを行う(つまり、減速要求が発生した時点t1 からディレイ期間が経過した時点t2 で、吸気減量制御を実行する)。これにより、吸気管12内にEGRガスが滞留することを抑制して失火を抑制する。更に、吸気減量ディレイによる余剰トルクを吸収するように車両の駆動トルク(駆動軸のトルク)を減少させる駆動トルク減少制御を実行する。これにより、余剰トルク(トルク増加分)を駆動トルク減少制御によるトルク減少分で打ち消して減速トルク(又は制動トルク)を確保する。
しかし、エンジン11の運転状態等によっては減速直前まで大量のEGRガスが吸気管12に還流されていることもあり、このような場合、図3に示す比較例のように、単に吸気減量ディレイを行うだけでは、吸気管12内に滞留するEGRガスを速やかに掃気できない可能性があり、失火抑制効果を十分に高めることができない可能性がある。
そこで、本実施例では、ディレイ期間中に、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があるか否かを判定し、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があると判定した場合には、図4に示すように、EGR減量制御をしつつスロットル開度を開き側に制御するスロットル開側制御を行う。これにより、ディレイ期間中に吸気量を増加させて吸気管12内に滞留するEGRガスを速やかに掃気して失火抑制効果を高めると共に、吸気量の増加により余剰トルクが増加しても、その余剰トルクを駆動トルク減少制御によるトルク減少分で打ち消して減速トルク(又は制動トルク)を確保する。
以下、本実施例でECU36が実行する図5の減速時制御ルーチンの処理内容を説明する。
図5に示す減速時制御ルーチンは、ECU36の電源オン期間中(例えばイグニッションスイッチのオン期間中)に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう減速時制御手段としての役割を果たす。
本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、車両の減速要求が発生しているか否かを、例えば、アクセルセンサやブレーキスイッチ(又はブレーキセンサ)の出力信号、自動変速機を制御するAT−ECUや車両の駆動力を制御するトラクションECUからの要求等に基づいて判定する。
このステップ101で、減速要求が発生していないと判定された場合には、ステップ102以降の処理を実行することなく、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ101で、減速要求が発生している判定された場合には、ステップ102に進み、アクセルセンサやブレーキスイッチ(又はブレーキセンサ)の出力信号、AT−ECUやトラクションECUからの要求等に基づいて車両の要求トルクを算出し、この要求トルクに応じて要求スロットル開度(要求吸気量)を算出する(図4参照)。
この後、ステップ103に進み、EGR減量制御を実行する。このEGR減量制御では、EGR弁31の開度を閉じ側に制御する(減速要求発生直前のEGR弁31の開度よりも小さい開度又は全閉位置まで減少させる)ことで吸気管12へ還流させるEGRガス量を減少させる。
この後、ステップ104に進み、減速要求が発生してから所定のディレイ期間が経過したか否かを判定する。ここで、ディレイ期間は、例えば、吸気管12内のEGRガスを掃気するのに必要な時間に設定されている。
このステップ104で、ディレイ期間が経過していない(つまりディレイ期間中)と判定された場合には、ステップ105に進み、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量の最大値(駆動トルク減少制御により減少可能な駆動トルク量の最大値)を、上限トルク減少量ΔKTmax として算出する。
この場合、例えば、駆動トルク減少制御として、後述するオルタ発電増加制御を行う場合には、そのオルタ発電増加制御により減少可能な駆動トルク量の最大値(つまりオルタ発電増加制御により増加可能な負荷トルク量の最大値)を、上限トルク減少量ΔKTmax として算出する。
駆動トルク減少制御として、後述する減筒運転制御を行う場合には、その減筒運転制御により減少可能な駆動トルク量の最大値(つまり減筒運転制御により減少可能な燃焼トルク量の最大値)を、上限トルク減少量ΔKTmax として算出する。
駆動トルク減少制御として、後述する点火遅角制御を行う場合には、その点火遅角制御により減少可能な駆動トルク量の最大値(つまり点火遅角制御により減少可能な燃焼トルク量の最大値)を、上限トルク減少量ΔKTmax として算出する。
駆動トルク減少制御として、後述すMG発電増加制御を行う場合には、そのMG発電増加制御により減少可能な駆動トルク量の最大値(つまりMG発電増加制御により増加可能な負荷トルク量の最大値)を、上限トルク減少量ΔKTmax として算出する。
また、駆動トルク減少制御として、上記制御のうちの二つ以上を組み合わせて実施する場合には、実施する各制御により減少可能な駆動トルク量の最大値の合計値を、上限トルク減少量ΔKTmax とする。
この後、ステップ106に進み、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があるか否かを判定する。
この場合、例えば、現在の実スロットル開度と要求スロットル開度との差に応じて余剰トルクΔYT(要求トルクに対する余剰分のトルク)を算出し、この余剰トルクΔYTよりも上限トルク減少量ΔKTmax の方が大きいか否かによって、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があるか否かを判定する。
或は、ディレイ期間中のスロットル開度を減速要求発生直前のスロットル開度に維持した場合の余剰トルクの最大値ΔYTmax を推定し、この余剰トルクの最大値ΔYTmax よりも上限トルク減少量ΔKTmax の方が大きいか否かによって、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があるか否かを判定する。
このステップ107で、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があると判定された場合には、ステップ107に進み、スロットル開側制御を実行する。このスロットル開側制御では、スロットル開度を開き側(減速要求発生直前のスロットル開度よりも大きい開度)に制御する。
この場合、例えば、余剰トルクΔYTよりも上限トルク減少量ΔKTmax の方が大きいと判定される毎にスロットル開度を所定量ずつ増加させる。尚、増加後のスロットル開度が所定の上限ガード値(例えば全開位置又はそれよりも小さい開度)を越える場合には、スロットル開度を上限ガード値で制限する。
或は、上限トルク減少量ΔKTmax と余剰トルクの最大値ΔYTmax との差に応じてスロットル開度の増加量を算出し、その増加量だけスロットル開度を増加させる。尚、増加後のスロットル開度が所定の上限ガード値を越える場合には、スロットル開度を上限ガード値で制限する。
この後、ステップ110に進み、現在の実スロットル開度と要求スロットル開度との差に応じて余剰トルクΔYTを算出する。この後、ステップ111に進み、余剰トルクΔYTを吸収するように駆動トルクを減少させる駆動トルク減少制御を実行して、余剰トルクΔT(トルク増加分)を駆動トルク減少制御によるトルク減少分で打ち消す。
ここで、駆動トルク減少制御としては、例えば、次の(1) 〜(3) の制御のうちの一つ又は二つ以上を行う。尚、車両の動力源としてエンジン11とMG(モータジェネレータ)とを備えたハイブリッド車の場合には、次の(1) 〜(4) の制御のうちの一つ又は二つ以上を行う。
(1) オルタネータ48の発電量を増加させるオルタ発電増加制御
このオルタ発電増加制御によりオルタネータ48の発電量を増加させることで、オルタネータ48の負荷トルクを増加させて駆動トルクを減少させることができる。
(2) エンジン11の一部の気筒の燃焼を休止させる減筒運転制御
この減筒運転制御によりエンジン11の一部の気筒の燃焼を休止させることで、エンジン11の燃焼トルクを減少させて駆動トルクを減少させることができる。
(3) エンジン11の点火時期を遅角させる点火遅角制御
この点火遅角制御によりエンジン11の点火時期を遅角させることで、エンジン11の燃焼トルクを減少させて駆動トルクを減少させることができる。
(4) MGの発電量を増加させるMG発電増加制御
このMG発電増加制御によりMGの発電量を増加させることで、MGの負荷トルクを増加させて駆動トルクを減少させることができる。
尚、オルタネータ48の発電電力で充電されるバッテリ(例えば低圧バッテリ)が満充電又はそれに近い状態)の場合には、オルタ発電増加制御を禁止する。また、MGの発電電力で充電されるバッテリ(例えば高圧バッテリ)が満充電又はそれに近い状態の場合には、MG発電増加制御を禁止する。
一方、上記ステップ106で、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕がないと判定された場合には、ステップ108に進み、スロットル開度を現在の実スロットル開度に維持する。
この後、ステップ110に進み、現在の実スロットル開度と要求スロットル開度との差に応じて余剰トルクΔYTを算出した後、ステップ111に進み、余剰トルクΔYTを吸収するように駆動トルクを減少させる駆動トルク減少制御を実行して、余剰トルクΔT(トルク増加分)を駆動トルク減少制御によるトルク減少分で打ち消す。
その後、上記ステップ104で、ディレイ期間が経過したと判定された場合には、ステップ109に進み、吸気減量制御を実行する。この吸気減量制御では、スロットル開度を閉じ側に制御する(要求スロットル開度まで減少させる)ことで吸気量を減少させる。このように、減速要求の発生からディレイ期間が経過した後にスロットル開度を閉じ側に制御することで、吸気減量制御を減速要求の発生からディレイ期間だけ遅らせて実行する吸気減量ディレイを行う。
この後、ステップ110に進み、現在の実スロットル開度と要求スロットル開度との差に応じて余剰トルクΔYTを算出した後、ステップ111に進み、余剰トルクΔYTを吸収するように駆動トルクを減少させる駆動トルク減少制御を実行して、余剰トルクΔT(トルク増加分)を駆動トルク減少制御によるトルク減少分で打ち消す。
以上説明した本実施例では、車両の減速要求が発生した場合に、EGR減量制御を実行すると共に、吸気減量制御を減速要求の発生から所定のディレイ期間だけ遅らせて実行する吸気減量ディレイを行うようにしている。これにより、吸気管12内にEGRガスが滞留することを抑制して失火を抑制することができる。更に、吸気減量ディレイによる余剰トルクを吸収するように駆動トルクを減少させる駆動トルク減少制御を実行するようにしている。これにより、余剰トルク(トルク増加分)を駆動トルク減少制御によるトルク減少分で打ち消して減速トルク(又は制動トルク)を確保することができる。
その際、ディレイ期間中に、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があるか否かを判定し、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があると判定した場合には、EGR減量制御をしつつスロットル開度を開き側に制御するスロットル開側制御を行うようにしている。これにより、ディレイ期間中に吸気量を増加させて吸気管12内に滞留するEGRガスを速やかに掃気することができ、失火抑制効果を高めることができると共に、吸気量の増加により余剰トルクが増加しても、その余剰トルクを駆動トルク減少制御によるトルク減少分で打ち消して減速トルク(又は制動トルク)を確保することができる。
これにより、車両の減速時に減速トルクを確保しながら、減速時や再加速時の失火抑制効果を高めることができる。また、筒内流入EGRガス量の推定や吸入空気量の正常燃焼下限値の算出を行う必要がなく、筒内流入EGRガス量の推定や吸入空気量の正常燃焼下限値の算出を行うシステムに比べてECU36の演算負荷を低減することができる。
また、本実施例では、減速要求の発生からディレイ期間が経過した後にスロットル開度を閉じ側に制御することで、吸気減量制御を減速要求の発生からディレイ期間だけ遅らせて実行する吸気減量ディレイを行うようにしている。これにより、吸気減量ディレイを容易に行うことができる。
また、本実施例では、駆動トルク減少制御として、オルタ発電増加制御と減筒運転制御と点火遅角制御とMG発電増加制御のうちの少なくとも一つを行うようにしている。このようにすれば、余剰トルクを吸収するように駆動トルクを速やかに減少させることができ、余剰トルクを確実に打ち消すことができる。
尚、上記実施例では、スロットル開度を閉じ側に制御することで吸気量を減少させる吸気減量制御を行うようにしているが、これに限定されず、例えば、吸気バルブや排気バルブのバルブ開閉特性(例えばバルブタイミングやバルブリフト量)を制御して吸気量を減少させる吸気減量制御を行うようにしても良い。
また、上記実施例では、駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があると判定した場合には、EGR減量制御をしつつスロットル開度を開き側に制御するようにしているが、その際、EGR弁31の開度を更に閉じ側に制御するようにしても良い。
また、上記実施例では、排気管15のうちの排気タービン18の下流側(例えば触媒16の下流側)から吸気管12のうちのコンプレッサ19の上流側へEGRガスを還流させるLPL方式(低圧ループ方式)のEGR装置28を採用した過給機付きエンジンに本発明を適用している。しかし、これに限定されず、例えば、排気管のうちの排気タービンの上流側から吸気管のうちのコンプレッサの下流側(例えばスロットルバルブの下流側)へEGRガスを還流させるHPL方式(高圧ループ方式)のEGR装置を採用した過給機付きエンジンに本発明を適用しても良い。
更に、本発明は、排気タービン駆動式の過給機(いわゆるターボチャージャ)を搭載したエンジンに限定されず、機械駆動式の過給機(いわゆるスーパーチャージャ)や電動式の過給機を搭載したエンジンに適用しても良い。
その他、本発明は、過給機付きエンジンに限定されず、過給機を搭載していない自然吸気エンジン(NAエンジン)に適用しても良い。
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管(吸気通路)、21…スロットルバルブ、28…EGR装置、36…ECU(減速時制御手段)、48…オルタネータ(発電機)

Claims (4)

  1. 内燃機関(11)の排出ガスの一部をEGRガスとして吸気通路(12)へ還流させるEGR装置(28)を備えた内燃機関の制御装置において、
    車両の減速要求が発生した場合に、前記吸気通路(12)へ還流させるEGRガス量を減少させるEGR減量制御を実行すると共に、前記内燃機関(11)の吸気量を減少させる吸気減量制御を前記減速要求の発生から所定のディレイ期間遅らせて実行する吸気減量ディレイを行い、該吸気減量ディレイによる余剰トルクを吸収するように前記車両の駆動トルクを減少させる駆動トルク減少制御を実行する減速時制御手段(36)を備え、
    前記減速時制御手段(36)は、前記ディレイ期間中に、前記駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があるか否かを判定し、前記駆動トルク減少制御により確保できる駆動トルク減少量に余裕があると判定した場合には、前記ディレイ期間中に、前記EGR減量制御をしつつ前記内燃機関(11)のスロットルバルブ(21)の開度を開き側に制御することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記減速時制御手段(36)は、前記減速要求の発生から前記ディレイ期間が経過した後に前記スロットルバルブ(21)の開度を閉じ側に制御することで前記吸気減量ディレイを行うことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記減速時制御手段(36)は、前記駆動トルク減少制御として、前記内燃機関(11)の動力で駆動される発電機(48)の発電量を増加させる制御と、前記内燃機関(11)の一部の気筒の燃焼を休止させる制御と、前記内燃機関(11)の点火時期を遅角させる制御のうちの少なくとも一つを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 車両の動力源として前記内燃機関(11)とモータジェネレータとを備え、
    前記減速時制御手段(36)は、前記駆動トルク減少制御として、前記モータジェネレータの発電量を増加させる制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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