JP6426887B2 - 携帯電子機器用アクリル粘着剤及び携帯電子機器用両面粘着テープ - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、特定のアクリル共重合体と粘着付与樹脂とを含有する携帯電子機器用アクリル粘着剤は、被着体への粘着力が高く、ポリオレフィン発泡体等を基材とする両面粘着テープに用いた場合には基材へのアンカー性にも優れ、その結果、優れた耐衝撃性を発揮できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
このような組成とすることで、携帯電子機器用アクリル粘着剤の被着体への粘着力と、ポリオレフィン発泡体等を基材とする両面粘着テープに用いた場合の基材へのアンカー性との両方を高めることができる。
ブチルアクリレートの含有量が40重量部未満であると、携帯電子機器用アクリル粘着剤の粘着力が低くなり、ポリオレフィン発泡体等を基材とする両面粘着テープに用いた場合に粘着剤層が基材との界面で剥がれやすくなる。ブチルアクリレートの含有量が80重量部を超えると、接着面に強い衝撃が加わった場合に携帯電子機器用アクリル粘着剤が被着体から剥がれやすくなる。
2−エチルヘキシルアクリレートの含有量が10重量部未満であると、接着面に強い衝撃が加わった場合に携帯電子機器用アクリル粘着剤が被着体から剥がれやすくなる。2−エチルヘキシルアクリレートの含有量が60重量部を超えると、携帯電子機器用アクリル粘着剤の粘着力が低くなり、ポリオレフィン発泡体等を基材とする両面粘着テープに用いた場合に粘着剤層が基材との界面で剥がれやすくなる。
上記共重合可能な他の重合性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル等のアルキル基の炭素数が1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等のアルキル基の炭素数が13〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等の官能性モノマーが挙げられる。
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物として、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重量平均分子量を上記範囲に調整するためには、重合開始剤、重合温度等の重合条件を調整すればよい。
なお、重量平均分子量(Mw)とは、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
上記粘着付与樹脂の含有量が30重量部未満であると、接着面に強い衝撃が加わった場合に携帯電子機器用アクリル粘着剤が被着体から剥がれやすくなる。上記粘着付与樹脂の含有量が50重量部を超えると、携帯電子機器用アクリル粘着剤の粘着力が強くなりすぎるため、ポリオレフィン発泡体等を基材とする両面粘着テープに用いた場合に貼り直しが難しくなる等、取扱い性が低下する。上記粘着付与樹脂の含有量の好ましい上限は45重量部、より好ましい上限は40重量部である。
本発明の携帯電子機器用両面粘着テープにおいては、少なくとも一方の粘着剤層が本発明の携帯電子機器用アクリル粘着剤からなっていれば、両面の粘着剤層が同じ組成であってもよいし、それぞれ異なる組成であってもよい。
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、イソシアネート系架橋剤が好ましい。上記粘着剤層にイソシアネート系架橋剤が添加されることで、イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基と上記粘着剤層を構成する樹脂中のアルコール性水酸基とが反応して、上記粘着剤層の架橋が緩くなる。従って、上記粘着剤層は、断続的に加わる剥離応力を分散させることができ、強い衝撃が加わった場合に被着体の変形に伴って生じる剥離応力に対し、被着体からの剥離耐性がより向上する。
上記架橋剤の添加量は、上記アクリル共重合体100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜3重量部がより好ましい。
なお、粘着剤層の架橋度(ゲル分率)は、粘着剤層をW1(g)採取し、この粘着剤層を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬して不溶解分を200メッシュの金網で濾過し、金網上の残渣を真空乾燥して乾燥残渣の重量W2(g)を測定し、下記式(1)により算出する。
架橋度(ゲル分率)(重量%)=100×W2/W1 (1)
上記ポリオレフィン発泡体は緩衝性を有するため、携帯電子機器用両面粘着テープの耐衝撃性を高めることができる。また、上記粘着剤層は、本発明の携帯電子機器用アクリル粘着剤からなるため、上記ポリオレフィン発泡体等の基材へのアンカー性にも優れたものとなる。
上記メタロセン化合物として、例えば、カミンスキー触媒等が挙げられる。
なお、この場合、上記メタロセン系ポリエチレン発泡体における上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂の含有量は、40重量%以上が好ましい。上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂の含有量が40重量%以上であると、上記メタロセン系ポリエチレン発泡体の厚みが薄くても高い圧縮強度を得ることができる。
上記ポリオレフィン発泡体を架橋する方法は特に限定されず、例えば、上記ポリオレフィン発泡体に電子線、α線、β線、γ線等の電離性放射線を照射する方法、上記ポリオレフィン発泡体に予め配合しておいた有機過酸化物を加熱により分解させる方法等が挙げられる。
まず、アクリル共重合体、粘着付与樹脂、必要に応じて架橋剤等に溶剤を加えて粘着剤Aの溶液を作製して、この粘着剤Aの溶液を基材の表面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層Aを形成する。次に、形成された粘着剤層Aの上に離型フィルムをその離型処理面が粘着剤層Aに対向した状態に重ね合わせる。
次いで、上記離型フィルムとは別の離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面に粘着剤Bの溶液を塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面に粘着剤層Bが形成された積層フィルムを作製する。得られた積層フィルムを粘着剤層Aが形成された基材の裏面に、粘着剤層Bが基材の裏面に対向した状態に重ね合わせて積層体を作製する。そして、上記積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得ることができる。
また、これらの用途における本発明の携帯電子機器用両面粘着テープの形状は特に限定されないが、長方形、額縁状、円形、楕円形、ドーナツ型等が挙げられる。
(1)粘着剤溶液の調製
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器に表1に示す単量体と酢酸エチルとを加え、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤としてラウロイルパーオキシド0.1重量部を添加した。70℃、5時間還流させて、アクリル共重合体の溶液を得た。得られたアクリル共重合体について、カラムとしてWater社製「2690 Separations Model」を用いてGPC法により重量平均分子量を測定したところ、45万であった。
得られたアクリル共重合体の溶液に含まれるアクリル共重合体の固形分100重量部に対して、重合ロジンエステル14重量、テルペンフェノール10重量部、水添ロジンエステル10重量部、酢酸エチル125重量部、イソシアネート系架橋剤(積水フーラー社製「硬化剤 UA」)1.0重量部を添加し、攪拌して、アクリル粘着剤が酢酸エチルに溶解した粘着剤溶液を得た。
厚み140μmの架橋メタロセン系ポリエチレン発泡体(MD方向の23℃の破断伸度:552%、見かけ密度:0.44g/cm3、厚み方向の25%圧縮強度:208kPa)の表面に、得られた粘着剤溶液を塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより、厚み30μmの粘着剤層を形成した。形成された粘着剤層の表面に対して離型処理が施された厚み50μmのPETフィルムを貼り合わせた。
次いで、別の離型処理が施された厚み50μmのPETフィルムを用意し、このPETフィルムの離型処理面に粘着剤溶液を塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより、厚み30μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層を架橋メタロセン系ポリエチレン発泡体の表面と貼り合わせた。これにより、離型処理が施された厚み50μmのPETフィルムで覆われた両面粘着テープを得た。
なお、形成された粘着剤層をW1(g)採取し、この粘着剤層を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬して不溶解分を200メッシュの金網で濾過し、金網上の残渣を真空乾燥して乾燥残渣の重量W2(g)を測定し、下記式(1)により粘着剤層の架橋度(ゲル分率)を算出した。
架橋度(ゲル分率)(重量%)=100×W2/W1 (1)
表1又は表2に記載されたとおり単量体及び粘着付与樹脂の種類及び量を変更したこと以外は比較例1と同様にして、両面粘着テープを得た。
実施例及び比較例で得られた両面粘着テープに対して下記の評価を行った。評価結果を表1、表2に示した。
<試験方法>
得られた両面粘着テープをトムソン刃により外寸46×61mm、内寸42×57mmとする幅2mmの額縁状に打ち抜き、試験片を作製した。
得られた試験片(額縁状)の一方の離型フィルムを剥離除去し、外寸55×65mm、厚み1mmのポリカーボネート板(タキロン社製、以下PC板)にローラーを用いて貼り合わせた。続いて、もう一方の離型フィルムを剥離除去し、中央部に38×50mmの開口部を設けた外寸80×115mm、厚み2mmのPC板に、PC板の開口部の中心と試験片の中心とがほぼ一致するように静かに載せ、上部から5kgの重りを10秒間載せて2つのPC板を貼り合わせ、その後、23℃で24時間静置して接着養生を行って試験サンプルを作製した。
この試験サンプルを、開口部を設けたPC板が上面となるように固定治具にセットし、開口部側から下面のPC板を押していき、PC板が剥がれたときの荷重を測定した。また、外寸55×65mm、厚み1mmのPC板に代えて同サイズの鋼板(SUS板)又はガラス板を用いてこれらの板が剥がれたときの荷重を測定した。測定は23℃にて行った。
○○○ PC板、SUS板、ガラス板の全てが140N以上の荷重が加わるまで剥がれなかった。
○○ PC板、SUS板、ガラス板の全てが120N以上の荷重が加わるまで剥がれず、そのうち2つ以上が140N以上の荷重が加わるまで剥がれなかった。
○ PC板、SUS板、ガラス板の全てが120N以上の荷重が加わるまで剥がれなかった。
× PC板、SUS板、ガラス板のいずれかが120N未満の荷重で剥がれた。
<試験方法>
図1に、実施例、比較例で得られた両面粘着テープの基材(ポリオレフィン発泡体)へのアンカー性についての試験方法の模式図を示す。
得られた両面粘着テープを縦30mm、横30mmの大きさに切り取り、正方形の試験片を作製した。
得られた試験片の一方の離型フィルムを剥離除去し、短辺40mm、長辺65mm、厚み3mmの金属板(SUS板)の両側の短辺からそれぞれ5mmの位置に試験片の両端を合わせ、長辺から5mmの位置に試験片の片端を合わせ、ローラーを用いて金属板と試験片とを貼り合わせた。次いで、金属板に貼り合わせた試験片のもう一方の離型フィルムを剥離除去し、短辺40mm、長辺80mm、厚み2mmの金属板(SUS板)の両側の短辺からそれぞれ5mmの位置に試験片の両端を合わせ、短辺40mm、長辺65mm、厚み3mmの金属板がはみ出すように長辺から5mmの位置に試験片の片端を合わせ、試験片の上から金属板を押しあてた。次いで、金属板の上に5kgの重りを10秒間載せて試験片を介して2つの金属板を貼り合わせた。得られた測定サンプルを23℃で24時間静置した。
図1に示すように、測定サンプル(試験片1を介して2つの金属板2を貼り合わせたもの)を、固定治具(図示しない)を用いて短辺40mm、長辺65mmの金属板の長辺を測定台に垂直に立てて固定した。試験片が貼られている側の短辺40mm、長辺80mmの金属板の表面を振り子ハンマー3(ハンマーの腕の長さ400mm、ハンマーヘッドの重さ1.7kg)で叩いた。試験片が金属板から剥がれるまで振り子ハンマーを繰り返し振り落とした。なお、振り子ハンマーを振り落とすたびに振り落とす前の高さを段階的に高くしていき、金属板から剥がれた時点で測定を終えた。金属板から剥がれた試験片の表面を目視で観察した。測定は23℃にて行った。
○ 粘着剤層と基材との界面でのアンカー剥離ではなく、基材が2つに割れたことにより試験片が金属板から剥離した。両方の金属板の表面に破れた基材が観察された。
× 基材は2つに割れず、粘着剤層と基材との界面でアンカー剥離していた。一方の金属板の表面に剥がれた基材が観察され、他方の金属板の表面に粘着剤層が観察された。
2 金属板(SUS板)
3 振り子ハンマー
Claims (6)
- アクリル粘着剤を含有する少なくとも一つの粘着剤層と、基材とを有する粘着テープであって、
前記アクリル粘着剤は、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びエチルアクリレートを含むモノマー混合物を共重合して得られた重量平均分子量が40万〜100万のアクリル共重合体100重量部と、粘着付与樹脂30〜50重量部とを含有し、
前記モノマー混合物100重量部中において、前記ブチルアクリレートの含有量が{(53/100.1)×100}重量部以上、{(76/100.1)×100}重量部以下であり、前記2−エチルヘキシルアクリレートの含有量が{(16/100.1)×100}重量部以上、{(34/100.1)×100}重量部以下であり、前記エチルアクリレートの含有量が、前記ブチルアクリレートと前記2−エチルヘキシルアクリレートの含有量の合計100重量部に対して20重量部未満であり、
前記基材は樹脂発泡体である
ことを特徴とする粘着テープ。 - アクリル共重合体の重量平均分子量が60万〜80万であることを特徴とする請求項1記載の粘着テープ。
- 粘着剤層の架橋度が5〜50重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着テープ。
- 基材は、ポリオレフィン発泡体であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の粘着テープ。
- 基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の粘着テープ。
- 両面粘着テープの総厚みが、150〜400μmであることを特徴とする請求項5記載の粘着テープ。
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