以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示すテーブルコンロ1(以下、コンロ1と呼ぶ)は、図2に示すグリル装置20を内蔵する。グリル装置20は、被調理物の両面を一度に焼くことができる両面焼きグリルである。以下説明では、図1中に矢印で示す上下、左右、前後を使用する。
図1を参照し、コンロ1の構造について説明する。コンロ1は、器具本体2とトッププレート3を備える。トッププレート3は、器具本体2の上部に固定されている。トッププレート3の上面の右側には右コンロ5、左側には左コンロ6が設けられている。右コンロ5の中央には鍋センサ5Aが設けられ、左コンロ6の中央には鍋センサ6Aが設けられている。鍋センサ5A,6Aは、右コンロ5と左コンロ6に夫々調理容器が載置されたことを検出する。鍋センサ5A,6Aの各筒体の中には、サーミスタ5B,6B(図8参照)が夫々格納されている。サーミスタ5B,6Bは鍋底温度を検知する。トッププレート3の後方には、グリル排気口7が設けられている。グリル排気口7の直下には、後述するグリル装置20の上側排気口40と下側排気口43(図2参照)が並んで位置する。グリル排気口7には、排気口カバー8が設置されている。
また、器具本体2の正面中央には、グリル扉24が設けられている。グリル扉24は、器具本体2の前方に引き出し可能であり、器具本体2内に設けられたグリル装置20の後述するグリル開口22(図2参照)を開閉する。そのグリル扉24の右側の領域には、点火スイッチ11,12、火力調節つまみ16、17等が夫々設けられている。点火スイッチ11は、グリル扉24の右側に隣接して設けられ、右コンロ5の点火/消火の操作を行う。点火スイッチ12は、点火スイッチ11の右隣に設けられ、後述するグリル庫21内に設けられた上バーナ35(図2参照)と下バーナ36(図2参照)の点火/消火の操作を行う。
さらに、火力調節つまみ16は、点火スイッチ11の上方に設けられ、略水平方向における回動操作によって、右コンロ5の火力調節ができる。火力調節つまみ17は、点火スイッチ12の上方に設けられ、上火用調整つまみ17Aと下火用調整つまみ17Bを上下に備える。上火用調整つまみ17Aは、略水平方向における回動操作によって、上バーナ35の火力調節ができる。下火用調整つまみ17Bは、略水平方向における回動操作によって、下バーナ36の火力調節ができる。
一方、グリル扉24の左側の領域には、点火スイッチ13、火力調節つまみ18、電池ケース14等が夫々設けられている。点火スイッチ13は、グリル扉24の左側に隣接して設けられ、左コンロ6の点火/消火の操作を行う。火力調節つまみ18は、点火スイッチ13の上方に設けられ、略水平方向における回動操作によって、左コンロ6の火力調節ができる。電池ケース14は、点火スイッチ13の左隣に設けられ、コンロ1の電源として、例えば2つの乾電池(図8参照)を格納する。
図2〜図6を参照し、グリル装置20の構造について具体的に説明する。
−外観構造−
グリル装置20は、略直方体状のグリル庫21を備える。グリル庫21の前面には、グリル開口22(図2,図5参照)が設けられている。グリル開口22は、グリル扉24によって開閉される。図2,図3に示すように、グリル扉24は正面視長方形状に形成され、その上半分にはガラス板25、下半分にはグリル取っ手26が設けられている。よって、使用者は、グリル開口22をグリル扉24で閉じた状態でも、ガラス板25を介してグリル庫21の内部を確認できる。使用者は、グリル取っ手26を掴んでグリル扉24を手前に引き出すことによって、グリル開口22を開閉できる。尚、本実施形態では、グリル扉24は前後方向に引き出し可能であるが、例えば、グリル扉24の幅方向の一端部をグリル開口22の開口端の幅方向の一端部に軸支させることによって、グリル扉24を回動可能に構成してもよい。
−内部構造−
図2,図5,図6に示すように、グリル庫21の内側の空間は、略水平に配置された中板30によって上下に区画されている。中板30の上下両面には、遠赤外線のホーロー処理が施されている。中板30よりも上側には調理空間31、中板30よりも下側には加熱空間32が形成されている。調理空間31において、グリル庫21の上壁の略中央には、平面視長方形状の上バーナ35(図2,図4参照)が設けられている。上バーナ35は下面に複数の炎孔(図示略)を備え、該炎孔にて火炎を下方に形成する。そして、中板30の上面には、調理皿10が出し入れ自在に載置される。調理皿10は底部に凹凸面を有するものであるが、平面状のものでもよい。調理皿10の凹凸面には、魚等の被調理物(図示略)が載置される。被調理物の上側面は、上バーナ35からの熱量によって直接的に加熱される。尚、調理皿10は、グリル扉24の背面下部に着脱可能に連結してもよい。その場合、グリル扉24を前方に引き出すことによって、調理皿10をグリル庫21の外側に同時に引き出すことができる。
図5に示すように、上バーナ35の近傍には、イグナイタ37と火炎検出器45が設けられている。イグナイタ37は、後述するCPU51からの制御指令に基づいて作動することで、上バーナ35に点火する。火炎検出器45は、上バーナ35の点火又は失火を検出する。なお、火炎検出器45は、燃焼炎の持つ熱、光、電気的特性の何れかを検出するものであればよく、例えば、熱を検出するものとしては熱電対、電気的特性を利用するものとしてはフレームロッド、光を検出するものとしては、検出する波長によって3種類(紫外線式、可視光線式、赤外線式)に分類される。
また、図2,図5,図6に示すように、調理空間31の後方部には、上側ダクト39が設けられている。上側ダクト39は、グリル庫21の上壁の後方部に設けられた上側排気口40と連通する。それ故、調理空間31における燃焼排気は、上側ダクト39を通じて上側排気口40から外部へ排出される。また、上側排気口40にはフレームトラップ41が設置されている。フレームトラップ41は、万が一、調理皿10に載置された魚などに引火した場合に、上側排気口40から火炎が出ることを防止する。
一方、加熱空間32には、平面視略U字形状の下バーナ36が設けられている。下バーナ36は略U字形状の内周面に沿って複数の炎孔(図示略)を備え、該炎孔において火炎を内側に向けて形成する。これにより、中板30及び調理皿10が下バーナ36からの熱量によって下方から加熱されるので、被調理物の下側面が間接的に加熱される。なお、下バーナ36の近傍には、イグナイタ38A,38B(図5,図6参照)と火炎検出器46(図5参照)が設けられている。イグナイタ38A,38Bは、下バーナ36の略U字形状の互いに対向する各部分(図6参照)に夫々設けられ、CPU51の制御指令に基づき作動することで、下バーナ36に点火する。火炎検出器46は下バーナ36の点火と失火を検出する。
また、図2,図5に示すように、加熱空間32の後方部には、下側ダクト42が設けられている。下側ダクト42は、グリル庫21の上壁で、且つ上側排気口40の後方に隣接して設けられた下側排気口43と連通する。それ故、加熱空間32における燃焼排気は、下側ダクト42を通じて下側排気口43から外部へ排出される。このように、グリル装置20は、上記構造を備えることにより、調理皿10に載置された被調理物の上下両面を加熱して調理する間接加熱方式の両面焼きグリルを構成する。そして、グリル装置20では、下バーナ36への油の滴下が無いので、清掃性に優れている。
次に、図7を参照し、グリル装置20における上バーナ35と下バーナ36の火力切替えの仕組みを説明する。コンロ1には、グリル装置20にガスを供給する為のガス供給管61が設けられている。ガス供給管61は途中で、第一ガス供給管62と第二ガス供給管63とに夫々分岐する。第一ガス供給管62は、下バーナ36にガスを供給し、第二ガス供給管63は、上バーナ35にガスを供給する。第一ガス供給管62と第二ガス供給管63とに分岐する手前には、安全弁47が設けられている。
第一ガス供給管62には、火力調整装置19と火力制御機構部70が夫々設けられている。火力調整装置19は、火力制御機構部70の下流側に設けられ、コンロ1の前面に設けられた火力調節つまみ17の下火用調整つまみ17B(図1参照)の操作に連動し、下バーナ36に供給されるガス量を増減する。火力制御機構部70は、コンロ1の調理性能と安全性向上の為に、複数の流路と複数の電磁弁で構成されている。火力制御機構部70は、バイパス管64,65、電磁弁71〜73等を備える。電磁弁71は、第一ガス供給管62の途中に設けられている。バイパス管64,65は、電磁弁71の上流側と下流側の間に夫々接続されている。電磁弁72は、バイパス管65に設けられている。電磁弁73は、第一ガス供給管62とバイパス管64,65が夫々合流する位置の下流側に設けられている。電磁弁71と72は、ガス流量調整用のキープソレノイドバルブである。電磁弁73は、ガス遮断用キープソレノイドバルブである。
例えば、火力制御機構部70において、電磁弁71,72を夫々開閉することによって、火力調整装置19に流れるガス流量を、第一流量、第二流量、第三流量の三段階で調節できる。電磁弁71,72を何れも開いたときは第一流量、電磁弁71,72の何れか一方を閉じたときは第二流量、電磁弁71,72を何れも閉じたときは第三流量となる。そして、第一流量、第二流量、第三流量で下バーナ36にガスが流れたとき、火力調節つまみ17B(図1参照)を最大に調節したときの下バーナ36の火力は、夫々、増幅火力、通常火力、抑制火力となる。よって、グリル装置20は、加熱空間32において下バーナ36の火力を3段階で切り替えることができる。なお、火力制御機構部70は本発明の「切替え手段」に相当する。
なお、詳述しないが、第二ガス供給管63にも、上バーナ35に対応する火力調整装置(図示略)及び火力制御機構部(図示略)が夫々設けられている。火力調整装置は、火力調節つまみ17の上火用調整つまみ17A(図1参照)の操作に連動し、上バーナ35に供給されるガス量を増減する。よって、グリル装置20は、調理空間31においても、上バーナ35の火力を3段階で切り替えることができる。
図8を参照して、コンロ1の電気的構成について説明する。コンロ1は、制御回路50を備える。制御回路50は、CPU51、ROM52、RAM53、不揮発性メモリ54に加え、図示しないタイマ、グリルタイマ、I/Oインタフェイス等を備える。タイマ、グリルタイマはプログラムで作動するものである。CPU51はコンロ1の各種動作を統括制御する。ROM52はコンロ1の各種プログラムに加え、グリル制御プログラム等を記憶する。グリル制御プログラムは、後述するグリル制御処理(図10〜図12,図14参照)を実行する為のものである。RAM53は、各種情報を一時的に記憶する。不揮発性メモリ54は、各種パラメータ等を記憶する。
制御回路50には、電源回路81、スイッチ入力回路82、サーミスタ入力回路83、火炎検出回路84、イグナイタ回路85、センサ入力回路86、ブザー回路87、音声合成回路88、安全弁回路90、電磁弁回路91等が各々接続されている。電源回路81は、電池ケース14(図1参照)に搭載される2つの乾電池によって各種回路に電源を供給する。電源回路81はトランジスタスイッチ(図示略)を備える。スイッチ入力回路82は、点火スイッチ11〜13の押下を検出し、制御回路50に入力する。サーミスタ入力回路83は、サーミスタ5B,6Bからの検出信号を制御回路50に入力する。火炎検出回路84は、火炎検出器45,46からの検出信号を制御回路50に入力する。イグナイタ回路85は、CPU51の制御信号に基づき、右コンロ5及び左コンロ6に設けられた各イグナイタ(図示略)、グリル庫21内に設けられたイグナイタ37,38A,38Bを各々作動する。
センサ入力回路86は、鍋センサ5A,6Aからの検出信号の入力を行う。ブザー回路87は、CPU51の制御信号に基づき、圧電ブザー77を駆動する。音声合成回路88は、CPU51の制御に基づき、スピーカ78から出力させる音声ガイドの音声を合成する。安全弁回路90は、CPU51の制御に基づき、安全弁47(図7参照)の開閉を行う。電磁弁回路91は、CPU51の制御に基づき、電磁弁71〜73(図7参照)の開閉を行う。なお、図示しないが、右コンロ5及び左コンロ6の夫々のガス供給管には、にも、グリル装置20と同様に、火力調整装置、火力制御機構部、安全弁等が設けられ、安全弁回路90と電磁弁回路91によって夫々制御される。
また、点火スイッチ11〜13は、スイッチ入力回路82及び電池ケース14に格納された乾電池のプラス側に対して、並列に夫々接続されている。乾電池のマイナス側は電源回路81に接続され、スイッチ入力回路82も電源回路81に接続されている。使用者によって、点火スイッチ11〜13のうち何れかが押下されると、乾電池の電源がスイッチ入力回路82を介して電源回路81に供給され、電源回路81のトランジスタスイッチがONされる。これにより、電源回路81から各種回路に電流が流れ、コンロ1の電源がONされる。スイッチ入力回路82は、点火スイッチ11〜13のうち何れが押下されたかを検出し、その検出信号を制御回路50に入力する。従って、CPU51は、どの点火スイッチ11〜13の押下によって電源がONされたのかを判断できる。
次に、図9を参照して、CPU51が実行するグリル制御処理について説明する。例えば、グリル装置20で調理を行う場合、使用者はグリル扉24を手前に開き、被調理物を載せた調理皿10を、中板30の上面の所定位置に載置する(図2,図5参照)。例えば、中板30の上面の奥側に突起等を設け、該突起に調理皿10を当接させて載置することによって、調理皿10が自動的に所定位置になるようにしてもよい。使用者はグリル扉24を閉じた後で、点火スイッチ12を押下する。点火スイッチ12の押下が検出されると、CPU51は、ROM52から「グリル制御プログラム」を読み出し、本処理を実行する。なお、本実施形態では、被調理物として魚等を焼きあげる場合を例とし、調理時間として15分前後を想定して説明する。
本実施形態のグリル制御プログラムは、少なくとも下バーナ36の火力を切り替えるものであって、調理開始から所定時間経過するまでの下バーナ36からの単位時間(本実施形態では1分間)あたりの平均熱量が、調理開始して所定時間経過後の下バーナ36からの単位時間あたりの平均熱量よりも高くなるように、下バーナ36の火力を制御するものである。本実施形態では、その具体例として4つのパターンを挙げて説明する。
−パターン1−
図9に示すように、パターン1では、点火後に、下バーナ36を増幅火力に切り替え、点火して5分経過後に通常火力に戻す制御を行う。図10に示すように、先ず、CPU51は、上バーナ35と下バーナ36を点火させる(S1)。なお、点火は、図7に示すように、ガス供給管61に設けられた安全弁47、第一ガス供給管62に設けられた火力制御機構部70、及び第二ガス供給管63に設けられた火力制御機構部の全電磁弁を開放し、イグナイタ37,38A,38Bを夫々作動させることによって行われる。そして、火炎検出器45,46によって、上バーナ35と下バーナ36において火炎が夫々検出された場合、CPU51は、上バーナ35を通常火力に、下バーナ36を増幅火力に夫々切り替える(S2)。さらに、CPU51はタイマtを0に初期化し(S3)、計時を開始する(S4)。なお、タイマtの計数値は、RAM53に記憶される。調理皿10は上下から増幅火力で加熱されるので、調理皿10の温度は速やかに上昇する。
次いで、CPU51は、上バーナ35と下バーナ36を共に点火して増幅火力に切り替えてから所定時間として5分経過したか否か判断する(S5)。5分経過するまでは(S5:NO)、CPU51は待機する。5分経過した場合(S5:YES)、調理皿10の温度が上昇したので、CPU51は、下バーナ36の火力のみを通常火力に切り替え(S6)、上バーナ35は通常火力を維持する。よって、上バーナ35及び下バーナ36は通常火力で、被調理物の上下面を加熱する。
このように、パターン1では、調理初期における下バーナ36から被調理物に与えられる熱量の立ち上がりを、上バーナ35から被調理物に与えられる熱量の立ち上がりに合わせることができる。さらに、点火してから5分経過するまでの間における下バーナ36から被調理物に与えられる熱量を1分間あたりの平均熱量に換算した場合、その平均熱量は、点火して5分経過後における1分間あたりの平均熱量よりも高くなっている。これにより、上バーナ35に比べて加熱効率の低い下バーナ36であっても、調理初期において、被調理物に対して十分に熱量を与えることができる。よって、グリル装置20は、被調理物の上下面をバランス良く焼き上げることができる。また、点火してから5分経過後に、下バーナ36の火力を増幅火力から通常火力に落とすので、中板30が高温になり過ぎるのを防止できる。
その後、CPU51は、点火スイッチ12の再押下による消火操作があったか否か判断する(S7)。消火操作があるまでは(S7:NO)、CPU51は、引き続き、上バーナ35と下バーナ36の火力を維持する。消火操作があった場合(S7:YES)、CPU51は安全弁47を閉じることによって、上バーナ35と下バーナ36を何れも消火し(S8)、本処理を終了する。
−パターン2−
図9に示すように、パターン2では、点火後に、下バーナ36の火力を1分毎に、増幅火力と通常火力の交互に切り替え、点火して5分経過後に通常火力に戻す制御を行う。図11に示すように、先ず、CPU51は、上バーナ35と下バーナ36を点火させた後(S11)、上バーナ35を通常火力に、下バーナ36を増幅火力に夫々切り替える(S12)。さらに、CPU51はタイマtを0に初期化し(S13)、計時を開始する(S14)。調理皿10は上下から増幅火力で加熱されるので、調理皿10の温度は速やかに上昇する。ここまでは、パターン1と同じである。
次いで、CPU51は、上バーナ35の火力は増幅火力のままで、下バーナ36の火力を1分毎に通常火力と増幅火力とに交互に切り替える(S15)。例えば、図9のパターン2に示すように、点火後は増幅火力で燃焼し、点火して1分後には通常火力に切り替え、さらに1分後には増幅火力に切り替える。次いで、CPU51は点火して5分経過したか否か判断する(S16)。5分経過するまでは(S16:NO)、CPU51は1分毎に火力を切り替える動作を継続する。点火して5分経過した場合(S16:YES)、CPU51は下バーナ36のみを通常火力に切り替える(S17)。その後、上バーナ35及び下バーナ36は通常火力で被調理物の上下面を加熱する。
このように、パターン2でも、調理初期における下バーナ36から被調理物に与えられる熱量の立ち上がりを、上バーナ35から被調理物に与えられる熱量の立ち上がりに合わせることができる。さらに、パターン2においても、点火してから5分経過するまでの下バーナ36から被調理物に与えられる熱量を1分間あたりの平均熱量に換算した場合、その平均熱量は、点火して5分経過後における1分間あたりの平均熱量よりも高くなっている。これにより、上バーナ35に比べて加熱効率の低い下バーナ36であっても、調理初期において、被調理物に対して十分に熱量を与えることができる。よって、グリル装置20は、被調理物の上下面をバランス良く焼き上げることができる。また、パターン1とは異なり、調理初期において、増幅火力と通常火力とに複数回にわたって交互に切り替えるので、例えば火力を切り替える回数、タイミング等を変えることによって、調理初期における中板30の温度を制御できる。よって、パターン2は、パターン1に比して、調理初期において中板30が高温になり過ぎるのを防止できる。
その後、CPU51は、点火スイッチ12の再押下による消火操作があったか否か判断する(S18)。消火操作があるまでは(S18:NO)、CPU51は、引き続き、上バーナ35と下バーナ36の火力を維持する。消火操作があった場合(S18:YES)、CPU51は安全弁47を閉じることによって、上バーナ35と下バーナ36を何れも消火し(S19)、本処理を終了する。
−パターン3−
図9に示すように、パターン3では、点火後に、下バーナ36の火力を増幅火力に切り替え、点火して3分経過後に下バーナ36のみを一旦消火し、点火して5分経過後に下バーナ36を再点火させる制御を行う。図12に示すように、先ず、CPU51は、上バーナ35と下バーナ36を点火させた後(S21)、上バーナ35を通常火力に、下バーナ36を増幅火力に夫々切り替える(S22)。さらに、CPU51はタイマtを0に初期化し(S23)、計時を開始する(S24)。調理皿10は上下から増幅火力で加熱されるので、調理皿10の温度は速やかに上昇する。ここまでは、パターン1,2と同じである。
次いで、CPU51は、上バーナ35と下バーナ36を共に点火してから3分経過したか否か判断する(S25)。3分経過するまでは(S25:NO)、CPU51は待機する。3分経過した場合(S25:YES)、CPU51は下バーナ36のみを消火する(S26)。下バーナ36が消火すると、それまで上昇を続けていた調理皿10の下面の温度は徐々に低下する。なお、上バーナ35は通常火力で引き続き燃焼させる。
続いて、CPU51は、点火して5分経過したか否か判断する(S27)。5分経過するまでは(S27:NO)、CPU51は待機する。5分経過した場合(S27:YES)、CPU51は下バーナ36を再点火し(S28)、通常火力に切り替える(S29)。その後、上バーナ35は増幅火力、下バーナ36は通常火力で被調理物の上下面を加熱する。
このように、パターン3でも、調理初期における下バーナ36から被調理物に与えられる熱量の立ち上がりを、上バーナ35から被調理物に与えられる熱量の立ち上がりに合わせることができる。さらに、パターン3においても、点火してから5分経過するまでの間における下バーナ36から被調理物に与えられる熱量を1分間あたりの平均熱量に換算した場合、その平均熱量は、点火して5分経過後における1分間あたりの平均熱量よりも高くなっている。これにより、上バーナ35に比べて加熱効率の低い下バーナ36であっても、調理初期において、被調理物に対して十分に熱量を与えることができる。よって、グリル装置20は、被調理物の上下面をバランス良く焼き上げることができる。また、点火してから3分経過後に、下バーナ36を一旦消火させることによって、中板30が高温になり過ぎるのを防止できる。さらに、消火した後に再点火させることによって、被調理物の下側面を良好に加熱できるので、被調理物をバランス良く焼き上げることができる。
その後、CPU51は、点火スイッチ12の再押下による消火操作があったか否か判断する(S30)。消火操作があるまでは(S30:NO)、CPU51は、引き続き、上バーナ35と下バーナ36の火力を維持する。消火操作があった場合(S30:YES)、CPU51は安全弁47を閉じることによって、上バーナ35と下バーナ36を何れも消火し(S31)、本処理を終了する。
−パターン4−
パターン4は、パターン3の変形例である。パターン3では、下バーナ36を再点火するタイミングを点火してから所定時間経過後としたが、図9に示すように、パターン4では、下バーナ36を消火した後、調理皿10の温度が所定温度(例えば、350℃)未満に低下したpタイミングで再点火させる制御を行う。
ここで、調理皿10の温度を計測する為に、例えば、図13に示すように、中板30の上面の前側部分に、薄いボタン型のサーミスタ95を設けることができる。このような構成において、中板30の上面の所定位置に調理皿10を載置した場合、調理皿10の底部下面の前方部分がサーミスタ95と接触するようになっている。これにより、サーミスタ95は調理皿10の温度を計測することができる。
図14に示すように、先ず、CPU51は、上バーナ35と下バーナ36を点火させた後(S41)、上バーナ35を通常火力に、下バーナ36を増幅火力に夫々切り替える(S42)。さらに、CPU51はタイマtを0に初期化し(S43)、計時を開始する(S44)。調理皿10は上下から加熱されるので、調理皿10の温度は徐々に上昇する。ここまでは、パターン1〜3と同じである。
次いで、CPU51は、上バーナ35と下バーナ36を共に点火してから3分経過したか否か判断する(S45)。3分経過するまでは(S45:NO)、CPU51は待機する。3分経過した場合(S45:YES)、CPU51は下バーナ36のみを消火する(S46)。下バーナ36が消火すると、それまで上昇を続けていた調理皿10の下面の温度は徐々に低下する。なお、上バーナ35は通常火力で引き続き燃焼させる。ここまでは、パターン3と同じである。
次いで、CPU51は、サーミスタ95を用いて、調理皿10の温度を計測する(S47)。上記の通り、サーミスタ95は調理皿10の底部下面と接触するので、調理皿10の温度を計測できる。CPU51は、サーミスタ95の計測値が所定温度(例えば、250℃)未満にまで低下したか否か判断する(S48)。計測値がまだ250℃以上であれば(S48:NO)、CPU51は引き続き、調理皿10の温度を監視する(S47,S48)。そして、計測値が250℃未満にまで低下した場合(S48:YES)、CPU51は、下バーナ36を再点火し(S49)、通常火力に切り替える(S50)。その後、上バーナ35及び下バーナ36は通常火力で被調理物の上下面を加熱する。
このように、パターン4でも、点火してから3分経過後に、下バーナ36を一旦消火させることによって、中板30が高温になり過ぎるのを防止できる。また、消火した後は、調理皿10の温度をサーミスタ95で計測し、その計測値が所定温度未満にまで低下した場合に、下バーナ36を再点火させるので、被調理物の下側面をより確実に焼き上げることができる。
その後、CPU51は、点火スイッチ12の再押下による消火操作があったか否か判断する(S51)。消火操作があるまでは(S51:NO)、CPU51は、引き続き、上バーナ35と下バーナ36の火力を維持する。消火操作があった場合(S51:YES)、CPU51は安全弁47を閉じることによって、上バーナ35と下バーナ36を何れも消火し(S52)、本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態のグリル装置20はコンロ1に搭載されるものである。グリル装置20は、グリル庫21内を中板30で上下に仕切ることによって、中板30の上側に調理空間31、中板30の下側に加熱空間32を備える。調理空間31には、上バーナ35が設けられ、中板30の上面には、被調理物を載置する為の調理皿10が出し入れ自在に収納される。加熱空間32には、下バーナ36が設けられる。被調理物には、上バーナ35からの熱量が直接的に与えられ、下バーナ36からの熱量は加熱空間32から調理皿10を介して間接的に与えられる。上記構成を備えたグリル装置20は、調理皿10上の被調理物を上下両面より加熱して調理する間接加熱方式を採用した両面焼きグリルである。このグリル装置20では、下バーナ36への油の滴下が無いので、清掃性に優れるといった利点がある。
さらに、グリル装置20のCPU51は、調理開始から所定時間経過するまでの下バーナ36からの単位時間あたりの平均熱量が、所定時間経過後の下バーナ36からの単位時間あたりの平均熱量よりも高くなるように、下バーナ36の火力を制御する。これにより、上バーナ35に比べて加熱効率の低い下バーナ36であっても、調理初期において、被調理物に対して十分に熱量を与えることができるので、上バーナ35からの加熱と、下バーナ36からの加熱とのバランスを取ることができる。これにより、グリル装置20は、清掃性を担保しつつ、被調理物の焼け具合のバランスを良好に保持できる。
そして、上記実施形態では特に、グリル制御処理のパターン1として、CPU51は、下バーナ36を点火後から所定時間経過するまでの間は、増幅火力で継続して燃焼させ、又は増幅火力で燃焼させてから通常火力に切り替え、その後、点火後から所定時間経過した後は、通常火力で燃焼させる。これにより、上バーナ35に比べて加熱効率の低い下バーナ36であっても、調理初期において、被調理物に対して十分に熱量を与えることができるので、上バーナ35からの加熱と、下バーナ36からの加熱とのバランスを取ることができる。これにより、グリル装置20は、被調理物の焼け具合のバランスを良好に保持できる。
また、上記実施形態では、グリル制御処理のパターン2として、CPU51は、下バーナ36を少なくとも点火後から所定時間経過するまでの間は、通常火力と増幅火力とを交互に複数回切り替え、点火後から所定時間経過した後は、通常火力で燃焼させる。これにより、上バーナ35に比べて加熱効率の低い下バーナ36であっても、調理初期において、被調理物に対して十分に熱量を与えることができるので、上バーナ35からの加熱と、下バーナ36からの加熱とのバランスを取ることができる。これにより、グリル装置20は、被調理物の焼け具合のバランスを良好に保持できる。また、調理初期において、下バーナ36における増幅火力と通常火力の切替え頻度を変えることで、調理初期における下バーナ36から被調理物に与えられる熱量を細かく調節できる。これにより、被調理物の焼き加減を細かく調節できる。
また、上記実施形態では、グリル制御処理のパターン3として、CPU51は、下バーナ36を点火後から所定時間経過するまでの間は、増幅火力で燃焼させてから消火し、その後、調理後から所定時間経過した後で再点火する。これにより、上バーナ35に比べて加熱効率の低い下バーナ36であっても、調理初期において、被調理物に対して十分に熱量を与えることができるので、上バーナ35からの加熱と、下バーナ36からの加熱とのバランスを取ることができる。これにより、グリル装置20は、被調理物の焼け具合のバランスを良好に保持できる。また、点火して増幅火力で燃焼させてから下バーナ36を一旦消火させることによって、中板30が高温になり過ぎるのを防止できる。また、消火した後に再点火させることによって、被調理物の下側面を良好に加熱できる。
また、上記実施形態では、グリル制御処理のパターン4として、CPU51は、下バーナ36を点火後から所定時間経過するまでの間は、増幅火力で燃焼させてから消火し、その後、調理皿10の温度に応じて、下バーナ36を再点火させることができる。これにより、上バーナ35に比べて加熱効率の低い下バーナ36であっても、調理初期において、被調理物に対して十分に熱量を与えることができるので、上バーナ35からの加熱と、下バーナ36からの加熱とのバランスを取ることができる。これにより、グリル装置20は、被調理物の焼け具合のバランスを良好に保持できる。また、点火して増幅火力で燃焼させてから下バーナ36を一旦消火させることによって、中板30が高温になり過ぎるのを防止できる。さらに、消火した後は、調理皿10の温度をサーミスタ95で計測し、その計測値に基づき、下バーナ36を再点火させることによって、被調理物の下側面が加熱不足にならず、良好に焼き上げることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。本実施形態のグリル装置20は、テーブルコンロ1に搭載されるものであるが、ビルトインコンロに搭載されてもよく、又は独立した機器であってもよい。
また、上記実施形態では、図7に示すように、火力制御機構部70は、第一ガス供給管62に、2本のバイパス管64,65と2つの電磁弁71,72を設けることによって、火力を3段階で切り替えるものであるが、バイパス管の本数と電磁弁の数を減らして(例えば、1本のバイパス管と1つの電磁弁)2段階で火力を切り替えるものであってもよい。また、バイパス管の本数と電磁弁の数をさらに増やすことによって、火力をさらに多段階で調節できるものでもよい。
また、上記実施形態では、電磁弁71〜73は流路を開閉するキープソレノイドバルブであるが、例えば、流路面積を連続的に増減可能なバルブであってもよい。該バルブを用いた場合、下バーナ36の火力の切替えを緩やかに行うことができる。
また、上記実施形態では、上バーナ35と下バーナ36の3段階の火力について、通常火力を本発明の「第一火力」、増幅火力を本発明の「第二火力」として説明したが、抑制火力を「第一火力」としてもよい。その場合、通常火力又は増幅火力を「第二火力」とすればよい。
また、上記実施形態のグリル制御処理において、パターン1では、下バーナ36の点火後、所定時間(例えば5分)経過するまでの間は増幅火力とし、所定時間経過したときに通常火力に戻すが、所定時間経過する前に通常火力に戻してもよい。また、点火後から所定時間経過し、さらに所定時間経過するまでの間に、通常火力に戻してもよい。
また、パターン2では、下バーナ36の点火後、所定時間(例えば5分)経過するまでの間は増幅火力と通常火力に交互に切り替え、所定時間経過した場合に通常火力に戻すが、所定時間経過する前に通常火力に戻してもよい。また、点火後から所定時間経過し、さらに所定時間経過するまでの間に、通常火力に戻してもよい。さらに、増幅火力と通常火力に交互に切り替える時間を1分としたが、これよりも短い時間又は長い時間で切り替えるようにしてもよい。
また、パターン3では、下バーナ36の点火後、所定時間(例えば5分)経過するまでに、増幅火力で燃焼させてから一旦消火し、所定時間経過した後で再点火させるが、増幅火力から一旦消火させるタイミングは、上記実施形態に限られない。上記実施形態では、点火して3分経過後に一旦消火しているが、例えば2分、又は4分経過後に消火させてもよい。
また、パターン4では、グリル庫21の中板30の上面の前側部分に、薄いボタン型のサーミスタ95を設けているが、サーミスタ95は1つでもよく、複数であってもよい。例えば、2つのサーミスタ95を中板30の上面の前側部分において、左右方向に互いに離間して設けてもよい。複数設ける場合は、各サーミスタ95の計測値の平均値を算出してもよい。また、サーミスタ95の位置は、中板30の上面の前側部分に限らず、調理皿10の底部下面と接触する位置であればどこでもよい。また、サーミスタ95は中板30以外の位置に設けてもよく、調理皿10を中板30上に載置したときに、調理皿10と接触する位置であればよい。さらに、調理皿10の温度ではなく、例えば、調理空間31、又は加熱空間32の温度を検出し、該検出温度に基づき、下バーナ36を再点火するようにしてもよい。
また、パターン3、4では、下バーナ36の点火後、所定時間(例えば5分)経過するまでに、増幅火力で燃焼させてから一旦消火しているが、消火せずに、例えば、通常火力よりも弱い火力(例えば抑制火力)で燃焼させるように制御してもよい。
また、上記実施形態では、上バーナ35の火力については通常火力で一定に維持しているが、例えば、増幅火力又は抑制火力で一定に維持してもよい。さらに、上バーナ35の火力を制御してもよく、例えば、上バーナ35において、調理開始から所定時間経過するまでの上バーナ35からの単位時間あたりの平均熱量が、所定時間経過した後の上バーナ35からの単位時間あたりの平均熱量よりも低くなるように、上バーナ35の火力を制御するようにしてもよい。
例えば、図15に示すパターン1の変形例のように、上バーナ35を点火後から5分経過するまでの間は、通常火力で継続して燃焼させ、その後、点火後から5分経過した後は、増幅火力で燃焼させてもよい。これにより、調理初期における上バーナ35からの熱量をその後の熱量よりも低くできる。また、上記パターン2〜4においても、上バーナ35の火力を図15のように制御してもよい。尚、点火後から5分経過する前に、上バーナ35について、通常火力から増幅火力に切り替えてもよく、5分経過後に切り替えてもよい。
なお、本発明の「調理開始」について、上記実施形態では、上バーナ35又は下バーナ36の点火時としているが、例えば、点火スイッチ12の押下を検出した時、上バーナ35,下バーナ36において火炎を検出した時、等を含む概念である。