以下、本発明の一実施形態であるコンロ1について、図面に基づいて説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下に記載されている装置の構造などは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図1に示すコンロ1はテーブルコンロであるが、ビルトインコンロ等であってもよい。
先ず、コンロ1の物理的構成について、図1,図2を参照して説明する。図1に示すように、コンロ1の天面にはトッププレート2が設けられている。トッププレート2の左側には開口部3が形成されている。右側には開口部4が形成されている。開口部3,4は平面視円形状である。開口部3の内側には強火力バーナ5が設けられている。開口部4の内側には標準バーナ6が設けられている。開口部3,4の各上部には五徳11,12が各々設けられている。五徳11,12の各上部には調理鍋(図示略)等が各々載置される。強火力バーナ5の中心にはセンサ部15が設けられている。標準バーナ6の中心にはセンサ部16が設けられている。
センサ部15,16は上下方向に出退可能である。センサ部15,16は五徳11,12に調理鍋が載置された際に下方向へ押し下げられる。センサ部15は、サーミスタ7(図5参照)、鍋載置センサ53(図5参照)等を備える。センサ部16は、サーミスタ8(図5参照)、鍋載置センサ54(図5参照)等を備える。サーミスタ7,8は、五徳11,12上に載置された調理鍋の鍋底に当接することにより鍋底温度を検出する。調理鍋内の被調理物の温度は直接検出できない。それ故、コンロ1は鍋底温度を検出することにより調理鍋内の被調理物の温度を推定する。鍋載置センサ53,54は、マイクロスイッチ(図示略)等を備える。マイクロスイッチは鍋底によって押し下げられることによりオンする。なおマイクロスイッチの他に、例えば磁場によってオンオフが切り替わるリードスイッチ等を利用してもよい。このような性質を利用することにより、コンロ1は、五徳11,12上に調理鍋が載置されているか否かを識別可能である。
トッププレート2の後方には、グリル排気口(図示略)が設けられている。グリル排気口はグリル庫内の排気を行う為の開口である。グリル庫はコンロ1の中央内部に設けられている。グリル排気口には排気口カバー13,14が設けられている。排気口カバー13,14は複数の排気孔13A,14Aを備える。
図2に示すように、コンロ1の前面には、グリル扉17、点火スイッチ21〜23、火力調節レバー25〜27等が各々設けられている。グリル扉17はコンロ1の前面の幅方向略中央に設けられている。グリル扉17はグリル庫内の焼き網、受け皿等を出し入れ可能とする。点火スイッチ21はグリル扉17の左隣りに設けられている。点火スイッチ21は強火力バーナ5(図1参照)の点火操作を行う。点火スイッチ22はグリル扉17の右隣りに設けられている。点火スイッチ22は標準バーナ6の点火操作を行う。点火スイッチ23はコンロ1前面の右端側に設けられている。点火スイッチ23はグリルバーナの点火操作を行う。火力調節レバー25は点火スイッチ21の上側に設けられている。火力調節レバー25は強火力バーナ5の火力調整を行う。火力調節レバー26は点火スイッチ22の上側に設けられている。火力調節レバー26は標準バーナ6の火力調整を行う。火力調節レバー27は点火スイッチ23の上側に設けられている。火力調節レバー27はグリルバーナの火力調整を行う。
さらに、火力調節レバー25の上方には解除スイッチ81が設けられている。解除スイッチ81は、強火力バーナ5の点火前の初期状態で設定される通常モードを解除する為に押下される。なお、炙りモードは、解除スイッチ81を押下してから、点火スイッチ21を押下することによって設定される。また、通常モードで加熱調理中に、解除スイッチ81を押下すると、炒めものモードに設定変更される。なお、これら加熱調理モードの内容については後述する。
また、コンロ1の前面の左端上部には、操作パネル30が設けられている。操作パネル30は、コンロ1の各種設定、操作等を行う為の機器である。操作パネル30は、表示画面31、スピーカ56(図5参照)、LED32、各種設定スイッチ等を備える。表示画面31は各種画面を表示して使用者に各種報知を行う。スピーカ56は使用者にブザー、音声等による各種報知を行う。操作パネル30の下方には、電池ボックス29が設けられている。電池ボックス29は2つの乾電池を格納可能である。なお詳述しないが、コンロ1にはグリルタイマ(図示略)が搭載されている。グリルタイマはグリルの調理時間を設定し、自動消火・音声報知を行う為のものである。グリルタイマの設定時間、残り時間等は、表示画面31に表示される。グリルタイマは後述する制御回路70(図5参照)に設けられている。
なお、強火力バーナ5、標準バーナ6及びグリルバーナには、イグナイタ35〜37(図5参照)が各々設けられている。イグナイタ35〜37は点火スイッチ21〜23の点火操作に夫々連動して火花を放電させて各種バーナに点火する機器である。コンロ1は、第1ガス供給管10(図3参照)、第2ガス供給管(図示略)及び第3ガス供給管(図示略)を備える。第1ガス供給管10は強火力バーナ5にガスを供給する為の管である。第2ガス供給管は標準バーナ6にガスを供給する為の管である。第3ガス供給管はグリルバーナにガスを供給する為の管である。
図3に示すように、第1ガス供給管10は分岐配管20を備える。分岐配管20のガスが流れる上流側の一端部は、第1ガス供給管10の分岐部33に接続され、分岐配管20の他端部は、第1ガス供給管10の合流部34に接続されている。安全弁38は、第1ガス供給管10の分岐部33の手前に設けられている。電磁弁61は分岐部33と合流部34の間に設けられている。電磁弁61はガス流量調整用キープソレノイドバルブである。電磁弁62は合流部34と強火力バーナ5の間に設けられている。電磁弁62はガス遮断用キープソレノイドバルブである。なお第1ガス供給管10の上流側にはコックスイッチ(図示略)が設けられている。このような強火力バーナ5では、電磁弁61を開閉することによって、強火力バーナ5に流れるガス流量を2段階で調節できる。これにより、本実施形態では、強火力バーナ5について、火力調節レバー25(図2参照)を最大に調節したときの火力を、強火力と弱火力の2段階で制御することができる。
なお図3では、第1ガス供給管10は1本の分岐配管20を備えるが、分岐配管を増やして、電磁弁の数を増やすことによって、火力をさらに多段階で調節できるようにしてもよい。また、本実施形態では、電磁弁61,62は流路を開閉するキープソレノイドバルブであるが、例えば流路面積を連続的に増減可能なバルブであってもよい。
また、標準バーナ6用の第2ガス供給管においても、第1ガス供給管10と同様に、分岐配管(図示略)、安全弁39(図5参照)、電磁弁63,64(図5参照)が各々設けられている。それ故、標準バーナ6でも、電磁弁63を開閉することによって、標準バーナ6に流れるガス流量を二段階で調節できる。グリルバーナ用の第3ガス供給管には安全弁40が設けられている。
次に、コンロ1の加熱調理モードについて、図4を参照して説明する。コンロ1では、強火力バーナ5において3つの加熱調理モードが設定可能である。例えば通常モード、炙りモード、及び炒めものモードの三種類である。各モードは、点火条件、基準カット温度、加熱調理中の火力調整等について夫々異なる。
通常モードは、調理鍋を五徳11上に載置して食材を加熱調理する為に使用される。通常モードの点火条件は、解除スイッチ81を押下(解除操作)せずに点火スイッチ21を押下(点火操作)したこと、さらに鍋載置センサ53によって五徳11上に調理鍋が検出されていること、である。基準カット温度は例えば270℃に設定される。基準カット温度とは、サーミスタ7によって検出される温度であって、強火力バーナ5の燃焼を強制停止させる温度である。加熱調理中の火力は、後述するメイン処理の中で、五徳11上に調理鍋が有りか無しかで自動調節され、調理鍋が有る場合は強火力、調理鍋が無い場合は弱火力に自動調節される。弱火力に自動調節された場合は所定時間経過後に消火される。なお、通常モードで加熱調理中に、解除スイッチ81が押下された場合は、炒めものモードに設定変更される。
炙りモードは、調理鍋等を五徳11上に載置せずに、強火力バーナ5の上方で食材(例えば海苔等)を炙りながら加熱調理する為に使用される。炙りモードの点火条件は、解除スイッチ81を押下してから点火スイッチ21を押下したこと、さらに鍋載置センサ53によって五徳11上に調理鍋が検出されていないこと、である。基準カット温度は、通常モードよりも高い温度に設定され、例えば300℃に設定される。加熱調理中の火力は、調理鍋が五徳11上に載置されていなければ、原則所定火力に維持される。なお、加熱調理中に、調理鍋が五徳11上に載置された場合は、使用者が炙り調理を終了したものとみなし、通常モードに自動的に設定変更される。また、炙りモードで加熱調理中に解除スイッチ81が押下された場合は、通常モードに設定変更される。
炒めものモードは、フライパン等の調理鍋を用いて、高温で野菜等の炒めもの調理をする為に使用される。なお、炒めものモードは初期状態からでは設定できず、加熱調理中において通常モードから変更する場合に限って設定変更できる。基準カット温度は、通常モードよりも高い温度に設定され、例えば310℃に設定される。炒めものモードでは、通常の加熱調理よりも比較的高温で調理することが多いので、基準カット温度を高く設定することで、高温での炒めもの調理を可能にする。加熱調理中の火力は、調理鍋が有る場合は強火力、調理鍋が無い場合は弱火力に自動調節される。そして、炒めものモードで加熱調理中に解除スイッチ81が押下された場合は、通常モードに設定変更される。
次に、コンロ1の電気的構成について、図5を参照して説明する。コンロ1は制御回路70を備える。制御回路70は、CPU71、ROM72、RAM73に加え、図示しないタイマ、グリルタイマ、I/Oインタフェイス等を備える。タイマ、グリルタイマはプログラムで作動するものである。CPU71はコンロ1の各種動作を統括制御する。ROM72はコンロ1の各種制御プログラム等を記憶する。RAM73はコンロ1の各種情報を一時的に記憶する。本実施形態では、後述する鍋フラグがRAM73に記憶される。
制御回路70には、電源回路41、スイッチ入力回路42、サーミスタ入力回路43、操作パネル入力回路44、イグナイタ回路45、安全弁回路46、電磁弁回路47、センサ入力回路48、ブザー回路49、音声合成回路50等が各々接続されている。電源回路41は電池ボックス29(図2参照)に搭載される2つの乾電池によって各種回路に電源を供給する。電源回路41はトランジスタスイッチ(図示略)を備える。スイッチ入力回路42は、点火スイッチ21〜23、及び解除スイッチ81の押下を各々検出する。操作パネル入力回路44は操作パネル30における各種操作の入力を行う。イグナイタ回路45は各種バーナのイグナイタ35〜37を各々駆動する。安全弁回路46は各安全弁38〜40の開閉を行う。電磁弁回路47は各電磁弁61〜64の開閉を行う。センサ入力回路48には、鍋載置センサ53,54が各々接続されている。センサ入力回路48は鍋載置センサ53,54の各検出信号の入力を行う。ブザー回路49には圧電ブザー55が接続されている。ブザー回路49は圧電ブザー55を駆動する。音声合成回路50はスピーカ56から出力させる音声ガイドの音声を合成する。
なお、点火スイッチ21〜23、及び解除スイッチ81は、スイッチ入力回路42及び電池ボックス29に格納された乾電池のプラス側に対して、並列に夫々接続されている。乾電池のマイナス側は電源回路41に接続され、スイッチ入力回路42も電源回路41に接続されている。使用者によって、点火スイッチ21〜23、及び解除スイッチ81のうち何れかが押下されると、乾電池の電源がスイッチ入力回路42を介して電源回路41に供給され、電源回路41のトランジスタスイッチがオンされる。これにより、電源回路41から各種回路に電流が流れ、コンロ1の電源がオンされる。スイッチ入力回路42は、点火スイッチ21〜23、及び解除スイッチ81のうち何れが押下されたかを検出し、その検出信号を制御回路70に入力する。従って、CPU71は、どのスイッチ21〜23,81の押下によって電源がオンされたのか判断できる。
次に、CPU71によるメイン処理について、図6〜図8のフローチャートを参照して説明する。なお説明の便宜上、ここでは強火力バーナ5を用いて加熱調理する場合を例に説明する。また、本処理における強火力バーナ5の火力制御は、火力調節レバー25が最大に調節された上で、強火力又は弱火力に制御されるものとする。以下説明では、火力調節レバー25の調節については言及しない。
本処理は、コンロ1の電源がオンされると、CPU71によってROM72に記憶されたメインプログラムが読み出されて実行される。なお、説明の便宜上、本実施例では、点火スイッチ21の押下、又は解除スイッチ81の押下によってコンロ1の電源がオンされる場合を想定する。使用者は、通常モードで加熱調理する場合、点火スイッチ21を押下する。他方、炙りモードで加熱調理する場合、解除スイッチ81を押下してから、点火スイッチ21を押下する。
図6に示すように、先ず、CPU71は、点火スイッチ21による点火操作で電源がオンされたか否か判断する(S1)。CPU71は、点火操作によって電源がオンされたと判断した場合(S1:YES)、通常モードに設定する(S5)。このとき、基準カット温度を、通常モード用の基準カット温度(270℃)に設定する。
一方、解除スイッチ81の押下によって電源がオンされたと判断した場合(S1:NO)、タイマ計測を開始する(S2)。図示外のタイマは、解除スイッチ81が押下されて電源がオンされたときからの時間を計測する。CPU71は、解除スイッチ81が押下されて電源がオンされたときから、所定時間(例えば30秒)が経過したか否か判断する(S3)。所定時間が経過するまでは(S3:NO)、点火スイッチ21による点火操作があったか否か判断する(S4)。点火スイッチ21が押下されるまでは(S4:NO)、S3に戻り、引き続き、点火スイッチ21による点火操作を監視する(S4)。そして、CPU71は点火スイッチ21による点火操作があった場合(S4:YES)、炙りモードに設定する(S6)。このとき、基準カット温度を、炙りモード用の基準カット温度(300℃)に設定する。
なお、解除スイッチ81が押下されたにも関わらず、点火スイッチ21が押下されないまま所定時間が経過してしまった場合(S3:YES)、使用者が炙り調理を行うのを忘れてしまった可能性があるので、そのまま処理を終了する。このように、使用者の「炙り調理を行う」という使用目的が不完全な場合には、強火力バーナ5を点火しないので、コンロ1の安全性をより向上できる。ここからは、「通常モードに設定」された場合と、「炙りモードに設定」された場合とに分けて順に説明する。
[通常モードに設定]
CPU71は、通常モードに設定(S5)した場合、調理鍋が五徳11上に載置されているか否か判断する(S7)。五徳11上に調理鍋が載置されている場合(S7:YES)、強火力バーナ5を点火する(S8)。一方、五徳11上に調理鍋が載置されていない場合(S7:NO)、使用者は通常モードで加熱調理を行う予定で点火スイッチ21を押下したにも関わらず、調理鍋を五徳11上に載置していない。つまり、本来あるべき通常モードの使用方法ではないので、強火力バーナ5の点火を禁止し(S9)、さらに操作パネル30のLED32(図2参照)を点滅させ、「ピピッ」という警告音を出力する等の報知処理を実行してから(S10)、本処理を終了する。これにより使用者は、調理鍋を五徳11上に載置しなかったことによって、強火力バーナ5の点火が強制的に禁止されたことを認識できる。そして、使用者は、調理鍋を五徳11上に載置してから再度点火スイッチ21を押下することによって、強火力バーナ5の点火を試みることができる。
一方、S8にて、強火力バーナ5が点火されると、通常モードでの加熱制御が実行される。CPU71は、調理鍋が五徳11上に載置されているか否か判断する(S11)。五徳11上に調理鍋が載置されている場合は(S11:YES)、電磁弁61(図3参照)を開くことによって、強火力バーナ5の火力を強火力に自動調節する(S12)。
ここで、使用者は、加熱調理中に、調理鍋を五徳11上から一旦降ろし、再度五徳11上に別の調理鍋を載置して加熱調理を継続して行う場合がある。また、五徳11上に載置されている調理鍋の位置を変える際に、五徳11から調理鍋が一旦離れる場合もある。このような場合(S11:NO)、強火力バーナ5を消火することなく、電磁弁61(図3参照)を閉じ、ガス流量を絞ることによって、弱火力に自動調節する(S13)。これにより、使用者は点火スイッチ21によって再点火する操作が要らないので、調理鍋をそのまま五徳11上に載置すれば、加熱調理を継続できる。また、調理鍋が五徳11から離れたときに弱火力にすることで、ガス量を節約することもできる。
そして、CPU71は、強火力バーナ5を弱火力に調節してから所定時間経過したか否か判断する(S17)。所定時間経過していなければ(S17:NO)、点火スイッチ21の再押下による消火操作がなされたか否か判断する(S14)。消火操作がなされた場合(S14:YES)、強火力バーナ5を消火し(S18)、本処理を終了する。一方、消火操作がなされなかった場合(S14:NO)、さらに解除スイッチ81が押下されたか否か判断する(S15)。なお、ここでの解除スイッチ81の利用については後述する。解除スイッチ81が押されていない場合(S15:NO)、S11に戻って、引き続き、通常モードで調理鍋の載置の有無に応じて、強火力バーナ5の火力制御を継続する(S11〜S13)。
なお、通常モードで、調理鍋が載置されていないことによって、弱火力に調節されてから所定時間経過した場合(S17:YES)、強火力バーナ5を消火し(S18)、本処理を終了する。このように、五徳11から調理鍋を降ろした場合に、強火力バーナ5が燃焼し続けることがないので、コンロ1の安全性がさらに向上する。
ところで、使用者は水気を出さずに野菜炒めを仕上げるとき、より強い火力での調理を希望する場合がある。この場合、使用者は、通常モードで点火した後で、解除スイッチ81を押下すればよい。なお、本実施形態では、点火直後からの炒めものモードの設定はできないようになっている。炒めものモードでは、基準カット温度が通常モードよりも高く設定されるので、通常モードを介して使用者に段階的に操作させることで、コンロ1の安全性をさらに向上できる。
従って、CPU71は、解除スイッチ81が押下された場合(S15:YES)、通常モードから炒めものモードに設定変更する(S16)。このとき、基準カット温度を、炒めものモード用の基準カット温度(310℃)に設定変更する。
続いて、図7に示すように、CPU71は、「ピピッ」という警告音を出力する等の報知処理を実行することで(S19)、使用者に対して加熱調理モードが変更されたことを知らせる。さらに、通常モード時と同様に、炒めものモードにおいても、五徳11に調理鍋が載置されているか否か判断する(S20)。五徳11上に調理鍋が載置されている場合(S20:YES)、電磁弁61を開くことによって、強火力バーナ5の火力を強火力に自動調節する(S21)。これにより、使用者は炒めもの調理を開始することができる。
CPU71は点火スイッチ21の再押下による消火操作がなされたか否か判断する(S22)。消火操作がなされていない場合(S22:NO)、解除スイッチ81が押下されたか否か判断する(S23)。解除スイッチ81も押下されていない場合(S23:NO)、S20に戻り、五徳11上のフライパンの載置、非載置を監視する。
ところで、炒めもの調理では、食材がフライパン表面に焦げ付かないように、フライパンを小刻みに振ることがある。また、フライパンを持ち上げて返すことによって、フライパン上の食材をひっくり返すこともある。このようなとき、フライパンは五徳11上から一旦離れる。ここで、通常モードのように、電磁弁61を閉じて直ぐに弱火力に自動調節してしまうと、フライパン温度が低下することから、調理物の仕上がりが悪くなってしまう。
そこで、CPU71は、フライパンが五徳11から離れたときからタイマ計測を開始し、待機時間(例えば10秒)が経過したか否か判断する(S24)。10秒経過するまでは(S24:NO)、処理をS22、S23に進め、それまでの強火力を維持する。そして、使用者が10秒以内にフライパンを返し、五徳11上に載置した場合は(S20:YES)、そのまま強火力を維持する(S21)。このように、フライパンが五徳11から離れてから、電磁弁61を閉じて弱火力に調節するタイミングを遅延させることによって、炒めもの調理に有効なフライパンの返し動作を可能としつつ、フライパン温度を高温に維持することができる。従って、調理物の仕上がりをさらに良くすることができる。
一方、フライパンが五徳11から離れてから10秒経過した場合は(S24:YES)、弱火力に自動調節される(S25)。さらに、CPU71は強火力バーナ5を弱火力に自動調節してから所定時間経過したか否か判断する(S26)。所定時間経過していなければ(S26:NO)、点火スイッチ21の再押下による消火操作がなされたか否か判断する(S22)。消火操作がなされない場合(S22:NO)、解除スイッチ81が押下されたか否か判断する(S23)。
使用者は炒めもの調理を終え、そのまま通常の加熱調理に戻りたい場合がある。そのようなとき、使用者は解除スイッチ81を押下すればよい。CPU71は、解除スイッチ81が押下された場合(S23:YES)、図6に戻り、通常モードに設定変更する(S5)。このとき、基準カット温度を、通常モード用の基準カット温度(270℃)に変更する。このように使用者は、解除スイッチ81を押下するだけで、炒めものモードから通常モードに簡単かつ速やかに設定変更できる。これにより、強火力バーナ5を一旦消火して、再度通常モードで点火させるような面倒な操作が不要となるので、調理時間を短縮することもできる。
一方、解除スイッチ81が押下されていない場合(S23:NO)、使用者は炒めもの調理を継続しているので、S20に戻って、引き続き、炒めものモードにて、五徳11上の調理鍋の有無に応じて、強火力バーナ5の火力制御を継続する。
なお、炒めものモードで、調理鍋が載置されていないことによって、弱火力に調節されてから所定時間経過した場合(S26:YES)、強火力バーナ5を消火し(S27)、本処理を終了する。このように、五徳11から調理鍋を降ろした場合に、強火力バーナ5が燃焼し続けることがないので、コンロ1の安全性がさらに向上する。そして、炒めものモードで調理中、使用者によって、点火スイッチ21によって消火操作がなされた場合(S22:YES)、強火力バーナ5を消火し(S27)、本処理を終了する。
[炙りモードに設定]
図6に示すように、CPU71は、炙りモードに設定(S6)した場合、図8に示すように、調理鍋が五徳11上に載置されているか否か判断する(S28)。五徳11上に調理鍋が載置されていない場合(S28:NO)、強火力バーナ5を点火する(S29)。一方、五徳11上に調理鍋が載置されている場合(S28:YES)、使用者は炙りモードで加熱調理を行うつもりで、解除スイッチ81を押下してから点火スイッチ21を押下したにも関わらず、調理鍋を五徳11上に間違えて載置しており、炙りモードでの本来の使用方法ではない。従って、強火力バーナ5の点火を禁止し(S32)、さらに、操作パネル30のLED32(図2参照)を点滅させ、「ピピッ」という警告音を出力する等の報知を実行してから(S33)、本処理を終了する。これにより使用者は強火力バーナ5の点火が強制的に禁止されたことを認識できる。そして、使用者は炙りモードでの調理を行う為に、調理鍋を五徳11上から降ろして再度点火スイッチ21を押下することによって、強火力バーナ5の点火を試みることができる。
そして、CPU71は、五徳11上に調理鍋が載置されていないことによって、強火力バーナ5を正常に点火(S29)すると、炙りモードでの加熱制御を実行する。使用者は、燃焼する強火力バーナ5の上方において、海苔等の食材を炙ることができる。CPU71は、調理鍋が五徳11上に載置されているか否か判断する(S30)。五徳11上に調理鍋が載置されていない場合は(30:NO)、そのまま強火力バーナ5の燃焼を継続しつつ、解除スイッチ81が押下されたか否か判断する(S34)。
ここで、使用者は炙り調理を行った後で、そのまま消火することなく、調理鍋を五徳11上に載置して通常の加熱調理を行いたい場合がある。その場合、使用者は解除スイッチ81を押下する。
そして、CPU71は、解除スイッチ81が押下された場合(S34:YES)、「ピピッ」という警告音を出力する等の報知処理を実行すると共に(S31)、図6に戻り、通常モードに設定変更する(S5)。このとき、基準カット温度を、通常モード用の基準カット温度(270℃)に変更する。このように使用者は、解除スイッチ81を押下するだけで、炙りモードから通常モードに簡単かつ速やかに変更できる。そして、炙りモードから通常モードに設定変更されたときは、「ピピッ」と警告音が鳴るので、使用者は通常モードに確かに設定変更されたことを確認できる。なお、解除スイッチ81が押下されない場合は(S34:NO)点火スイッチ21の再押下による消火操作がなされたか否か判断する(S35)。消火操作がなされない場合(S35:NO)、処理をS30に戻し、引き続き、炙りモードにおいて、五徳11上に調理鍋が載置されていないか監視し、強火力バーナ5の燃焼を継続する。
ところで、上記の通り、炙りモードから通常モードに設定変更したい場合、使用者は解除スイッチ81を押下すればよいのであるが、解除スイッチ81を押下し忘れて、そのまま五徳11上に調理鍋を載置してしまう可能性がある。このとき、炙りモードに設定されたままだと、基準カット温度が高い状態で加熱調理を継続することになってしまう。また、再度調理鍋が五徳11上から降ろされたときには、強火力バーナ5の火力が弱火力にならないという不都合が生じる。
そこで、CPU71は、五徳11上に調理鍋が載置された場合(S30:YES)、「ピピッ」という警告音を出力する等の報知処理を実行すると共に(S31)、図6に戻り、通常モードに設定変更する(S5)。このとき、基準カット温度を、通常モード用の基準カット温度(270℃)に変更する。このように使用者は、解除スイッチ81を押下し忘れて、五徳11上に調理鍋を載置してしまった場合でも、炙りモードから通常モードに設定変更されるので、コンロ1の安全性をさらに向上できる。そして、炙りモードから通常モードに設定変更されるときに、「ピピッ」と警告音が鳴るので、使用者は通常モードに設定変更されたことに気づくことができる。そして、炙りモードで調理中、使用者によって、点火スイッチ21による消火操作がなされた場合(S35:YES)、強火力バーナ5を消火し(S36)、本処理を終了する。
上記説明において、点火スイッチ21が本発明の「操作手段」の一例である。鍋載置センサ53が本発明の「検出手段」の一例である。図6〜図8のメイン処理を実行するCPU71が本発明の「加熱調理モード設定手段」の一例である。通常モードが本発明の「通常調理モード」である。炙りモードが本発明の「特殊調理モード」の一例である。炒めものモードが本発明の「高温調理モード」の一例である。解除スイッチ81が本発明の「選択手段」の一例である。サーミスタ7が本発明の「温度検出手段」の一例である。図6に示すS28の処理を実行するCPU71が本発明の「判断手段」の一例である。S29の処理を実行するCPU71が本発明の「点火許可手段」の一例である。S32の処理を実行するCPU71が本発明の「点火制限手段」の一例である。図8に示すS31の処理を実行するCPU71が本発明の「第一報知手段」の一例である。図7に示すS19の処理を実行するCPU71が本発明の「第二報知手段」の一例である。
以上説明したように、本実施形態のコンロ1では、強火力バーナ5の点火操作を行う点火スイッチ21によって点火操作が行われた場合に電源が投入され、強火力バーナ5の点火が行われて燃焼動作が開始される。鍋載置センサ53は、五徳11上に調理鍋が載置されているか否かを検出する。コンロ1のCPU71は、初期状態では、通常モードに設定する。通常モードでは、鍋載置センサ53によって五徳11上に調理鍋が検出された場合に強火力バーナ5の点火が許可され、調理鍋が検出されなかった場合は強火力バーナ5の点火が禁止される。CPU71は、使用者によって、解除スイッチ81が押下された後で、点火スイッチ21が押下された場合は、炙りモードに設定する。炙りモードでは、鍋載置センサ53によって五徳11上に調理鍋が検出されなかった場合に強火力バーナ5の点火が許可され、調理鍋が検出された場合は強火力バーナ5の点火が禁止される。
またCPU71は、通常モードでの調理の途中で、解除スイッチ81が押された場合、炒めものモードに設定する。炒めものモードでは、通常モードに対して、強火力バーナ5の燃焼を強制停止させる基準カット温度が高く設定される。またCPU71は、炒めものモードの調理の途中で、解除スイッチ81が押された場合、通常モードに設定変更する。
またCPU71は、炙りモードでの調理の途中で、解除スイッチ81が押された場合のみならず、五徳11上に調理鍋が検出された場合でも、通常モードに設定変更する。それ故、解除スイッチ81を押下し忘れて調理鍋を五徳11上に載置してしまった場合でも、通常モードに設定変更できるので、コンロ1の安全性及び利便性を共に向上できる。
ところで、使用者は、通常モードで点火した後で、強火力バーナ5を燃焼させた状態で、通常調理から炙り調理への設定変更を希望する場合がある。これに対し、CPU71が実行する上記メイン処理では、強火力バーナ5の燃焼中は、敢えて、通常モードから炙りモードへの設定変更はできないようになっている。従って、使用者は、炙りモードを設定する為に、燃焼中の強火力バーナ5を一旦消火し、解除スイッチ81を押下してから、点火スイッチ21を押下して再点火を試みる。つまり、強火力バーナ5の再点火を通じて、使用者に対して「炙り調理を行う。」という使用目的を再確認させることができるので、コンロ1の安全性を更に向上できる。
また本実施形態では特に、使用者は、解除スイッチ81を押下してから点火スイッチ21を押下する必要があるので、使用者が炙り調理を行うという調理目的を明確にすることができる。さらに、炙り調理を行う為の面倒な設定も不要であるので、コンロ1の利便性も向上できる。
また、炙りモードでは、五徳11上に調理鍋が載置されている場合は、強火力バーナ5は点火されない。つまり、炙り調理の場合と違った使い方をした場合は強火力バーナ5の点火を禁止して、より正しい操作を促すことにより、使用目的に添った操作に導くことができる。さらに、点火操作後に通常モードから炙りモードに切り替わることがないので、使用者の使用目的をより明確にさせることができると共に、コンロ1の安全性を向上できる。
また本実施形態では特に、炙りモードから通常モードに設定変更された場合に、「ピピッ」という警告音を出力する等の報知処理を実行するので、使用者は、炙りモードから通常モードに設定されたことに気づくことができる。故にコンロ1の安全性を向上できる。
また本実施形態では特に、通常モードから炒めものモードに設定変更された場合にも、「ピピッ」という警告音を出力する等の報知処理を実行するので、使用者は、通常モードから炙りモードに設定変更されたことに気づくことができる。故にコンロ1の安全性を向上できる。
また本実施形態では特に、点火スイッチ21による点火操作が行われる前に、解除スイッチ81による解除操作が行われた場合でも電源が投入される。CPU71は、点火操作及び解除操作の何れによって電源が投入されたかを判断することによって、通常の点火操作であるか、解除操作が行われた後の点火操作であるかを容易に判断できる。
また本実施形態では特に、通常モードで、強火力バーナ5の点火が行われた状態で、解除スイッチ81が押下された場合、通常モードから炒めものモードに設定変更される。炒めものモードでは、安全機能としての基準カット温度が、通常モード時よりも高い温度に設定される。このように、解除スイッチ81によって基準カット温度を変更できるので、コンロ1の利便性を向上できる。
また本実施形態では特に、解除スイッチ81が押下されてから、点火スイッチ21による点火操作が行われない状態が所定時間継続した場合、メイン処理をそのまま終了する。よって、次回点火スイッチ21が押下されたときは、炙りモードではなく、通常モードが設定される。例えば、使用者が炙り調理を行うつもりで、解除スイッチ81で解除操作を行った後に、点火スイッチ21による点火操作を忘れてしまう場合がある。そのようなときに、次回通常調理を行うつもりで、点火スイッチ21を押下したときは、前回の解除スイッチ81の解除操作はキャンセルされ、通常モードが設定されるので、コンロ1の安全性をさらに向上できる。
なお本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、強火力バーナ5の点火制御を一例として説明したが、標準バーナ6においても同様の制御を行えるようにしてもよい。
また上記実施形態において、解除スイッチ81を押下する度に、「ピピッ」という警告音をスピーカ56から出力し、又はLED32を点滅させる等の報知処理を実行してもよい。これにより、使用者に対して、解除スイッチ81による解除操作、及び各種調理モードの切替操作を再認識させることができる。また炙りモードに設定されたときに、「ピピッ」という警告音をスピーカ56から出力し、又はLED32を点滅させる等の報知処理を実行してもよい。これにより、使用者に対して、炙りモードで点火されたことを認識させることができる。
また上記実施形態において、図4に示す各モードの基準カット温度は一例であって、これ以外の数値で設定してもよく、使用者によって適宜変更できるようにしてもよい。
また上記実施形態では、通常モードでの加熱調理中に、炒めものモードに設定変更できるようにしているが、炒めものモードはなくてもよい。
また上記実施形態において、加熱調理中に、加熱調理モードが変更された場合に、スピーカ56から音声で報知するようにしてもよい。その際、ブザーのような警告音でもよく、音声メッセージを出力するようにしてもよい。さらには、操作パネル30の表示画面31に現在の加熱調理モードを表示するようにしてもよい。
また上記実施形態において、図4に示す各種加熱調理モードに夫々設定した基準カット温度は一例であり、これら以外の温度でもよい。なお、通常モードの基準カット温度は、油発火温度よりも低く設定するのが好ましい。また、炒めものモードの基準カット温度は、油発火温度付近であっても、サーミスタ7が故障すると想定される温度以下に設定するのが好ましい。