JP6423320B2 - めっき装置及びめっき方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銅めっき等のめっきに使用されるめっき装置及びめっき方法に関する。
従来、グラビア印刷用のシリンダーやプリント配線盤等に対して、硫酸銅めっき等の各種めっき処理が行われている。硫酸銅めっきを行うにあたっては、一般的に、含リン銅等の銅が溶性陽極(溶性電極)として使用されている。ここで、溶性陽極としての銅は、電極としての機能と、めっき液中に必要となる銅を供給する機能とを果たすものである。
ここで、硫酸銅めっきにおいて溶性陽極として銅を使用する場合、銅は、通電により電解してめっきに消費されるため、陽極面積が徐々に低下する。したがって、めっきを安定的に行うためには、めっき槽内の銅が所定の量となるよう、銅を定期的に補充する必要がある。
一方、銅は、通電による電解に加えて、めっき液中に化学的にも溶解するため、めっきに必要とされる量よりも過剰に溶解してめっき液中の硫酸銅濃度が上昇してしまう。したがって、銅を補充する際には、めっきに消費された分に加えて、化学的な溶解によりめっき液中に過剰に溶解した分の銅も補充する必要が生じる。しかしながら、化学的な溶解により過剰に溶解した分の銅も補充した後においても、めっきに消費される分に加えてめっき液中への化学的な溶解が再び生じるため、めっき液中の硫酸銅濃度はさらに上昇し、やがて、所定の管理基準値を超えてしまう。
めっき液中の硫酸銅濃度が所定の管理基準値を超えてしまうとめっきを適切に行うことが難しくなるため、めっき液中の硫酸銅濃度を減少させるためにめっき液の液抜きや希釈を行ったり、液抜きしためっき液の廃液処理を行う必要がある。このように、溶性陽極としての銅を用いた硫酸銅めっきは、本来めっきに消費される分よりも多くの量の銅を使用する必要があること、めっき液の液抜きや希釈が必要であること、及び、高濃度の硫酸銅を含むめっき液の廃液処理を行う必要があること等の問題があった。
一方、溶性陽極を用いた硫酸銅めっき方法以外に、不溶性陽極(不溶性電極)を使用して硫酸銅めっきを行う方法も提案されている。例えば、特許文献1には、カチオン交換膜でめっき液から隔てた陽極室内に不溶性陽極を設置した銅めっき槽と、酸化銅を溶解するための循環式溶解槽を備えためっき装置が開示されている。また、特許文献1によれば、めっき処理により失われるめっき液中の銅イオン相当量の酸化銅粉末を溶解室に投入することで、めっき液中の硫酸銅濃度を一定に保つことができることが記載されている。
特開2004−269955号公報 特許第3455705号公報
しかしながら、特許文献1のめっき装置においては、めっき処理に供される酸化銅を供給するための溶解槽をめっき槽とは別に設ける必要がある。また、スラッジの発生を抑制するために、不溶性陽極をめっき液から隔離するためのカチオン交換膜を備えた陽極室をさらに設ける必要がある。したがって、装置の構造が複雑となりコストが高くなるという問題があった。また、特許文献1では、めっき処理に供される銅成分として、銅ボールと比較して高コストである酸化銅粉末を用いており、さらにコストが高くなるという問題があった。
また、特許文献2には、硫酸銅めっきを装填しためっき槽内において、被めっき物である陰極と陽極室とを設置するとともに、陽極室内に銅陽極と不溶性陽極とを共に内部に収納し、陽極室をめっき液から隔てるためにカチオン交換膜を陽極室壁に取り付けてなる電気銅めっき装置が開示されている。
しかしながら、特許文献2についても、不溶性陽極をめっき液から隔離するためにカチオン交換膜を備えた陽極室を設ける必要があり高コストである点において、特許文献1と同様の問題を有していた。
上記従来の問題点を鑑みて、本発明は、簡易な構成によって、めっき処理に必要な溶性陽極の使用量を低減し、また、めっき液の液抜きや希釈ならびにめっき液の廃液処理を削減ないし不要とし、めっきにかかるコストを従来よりも削減することのできるめっき装置及びめっき方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、溶性陽極と不溶性陽極とを接触させて併用することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、めっき液が充填されためっき槽内に、陽極が設置されているめっき装置であって、前記陽極は、不溶性陽極と、前記不溶性陽極に接触する溶性陽極とからなり、前記不溶性陽極は、板状又は網状の基材の表面に、貴金属、前記貴金属の酸化物及び前記貴金属を含む合金から選ばれる少なくとも1種からなる被覆物を被覆してなるめっき装置が提供される。
前記めっき装置において、前記溶性陽極は、銅、錫及び金から選ばれる少なくとも1種の金属を含むものであってもよい。
前記めっき装置において、前記不溶性陽極における前記基材は、チタン、タンタル、ジルコニウム及びニオブから選ばれる少なくとも1種の金属からなるものであってもよい。
前記めっき装置において、前記不溶性陽極における前記貴金属は、イリジウム、白金及びルテニウムから選ばれる少なくとも1種の貴金属であってもよい。
前記めっき装置において、前記被覆物は、酸化イリジウムを含むものであってもよい。
前記めっき装置において、前記めっき液は、硫酸銅めっき液であってもよい。
前記めっき装置において、前記溶性陽極の表面積と前記不溶性陽極の表面積との比率(溶性陽極の表面積:不溶性陽極の表面積)は1:1〜9:1の範囲内であってもよい。
また、本発明によれば、めっき液中に、陽極と、陰極となる被めっき物とを設置し、前記被めっき物に対してめっきを行うめっき方法であって、前記陽極として、板状又は網状の基材の表面に、貴金属、前記貴金属の酸化物及び前記貴金属を含む合金から選ばれる少なくとも1種からなる被覆物を被覆してなる不溶性陽極に、溶性陽極を接触させて用いるめっき方法が提供される。
前記めっき方法において、前記被めっき物は、シリンダー状又は円柱状であってもよい。
本発明のめっき装置及びめっき方法においては、溶性陽極と不溶性陽極とが接触した状態で併用されている。不溶性陽極と溶性陽極を併用することにより、溶性陽極の使用量を従来よりも低減しても、安定的なめっきに必要な陽極面積が不溶性陽極により確保されるので、安定的にめっきを行うことが可能となる。さらに、不溶性陽極と溶性陽極とを接触させて併用することにより、溶性陽極がめっきにより一部消費されたり、めっき液中に化学的に一部溶解することによって、溶性陽極による陽極面積が減少しても、消費された又は溶解した溶性陽極に接触していた部分の不溶性陽極がめっき液に接触するようになり、減少した分の溶性陽極による陽極面積を不溶性陽極が補うように作用する。したがって、溶性陽極がめっきにより一部消費され、まためっき液中に化学的に一部溶解しても、安定的なめっきに必要な陽極面積が確保される。
以上のように、本発明のめっき装置及びめっき方法によれば、溶性陽極と不溶性陽極とを接触させた状態で併用することにより、溶性陽極の使用量を従来よりも低減しても、また、めっき処理による消費及びめっき液中への化学的な溶解により溶性陽極の量が減少しても、安定的にめっきを行うことが可能となる。また、溶性陽極の使用量を従来よりも低減できるため、化学的な溶解によりめっき液中に過剰に溶解する溶性陽極成分の量が減少するとともに、めっき液中に過剰に溶解した溶性陽極成分もめっきに使用することができる。したがって、めっき液中の溶性陽極成分濃度の上昇を抑制又は防止することができ、めっき液の液抜きや希釈ならびにめっき液の廃液処理を大幅に削減ないし不要とすることができる。しかも、本発明のめっき装置及びめっき方法においては、イオン交換膜やめっき槽以外の第2槽などを設ける必要がない。
したがって、本発明のめっき装置及びめっき方法によれば、複雑な構成を必要とすることなく、めっき処理に必要な溶性陽極の使用量を低減でき、また、めっき液の液抜きや希釈ならびにめっき液の廃液処理を削減ないし不要とすることができるため、めっきにかかるコストを従来よりも大幅に削減することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るめっき装置を表す概略図である。 図2は、実施例1に係る銅めっきを行った場合の、銅めっき液中の硫酸銅濃度及び硫酸イオン濃度の継時的な変化を表すグラフである。 図3は、比較例1に係る銅めっきを行った場合の、銅めっき液中の硫酸銅濃度及び硫酸イオン濃度の継時的な変化を表すグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に、本発明の一実施形態に係るめっき装置を示す。本実施形態に係るめっき装置は、溶性陽極として銅ボールを用いた硫酸銅めっき装置である。本実施形態においては、めっき槽1中にめっき液2としての硫酸銅水溶液が充填されている。そして、めっき液2が充填されているめっき槽1内では、溶性陽極3としての銅ボールと不溶性陽極4とが接触した状態で、バスケット5の内部に設置されている。本実施形態においては、不溶性陽極4として、板状又は網状のチタンからなる基材に酸化イリジウムを被覆したものが使用されている。ここで、溶性陽極3及び不溶性陽極4は、バスケット5内でめっき液2に接触している。また、めっき槽1中には陰極となる被めっき物6が設置され、電源7に電気的に接続されている。また、バスケット5も電源7に電気的に接続されており、通電によってバスケット5内の溶性陽極3及び不溶性陽極4が陽極として作用する。
本実施形態においては、溶性陽極と不溶性陽極が接触した状態で併用されている。このような構成とすることにより、めっき処理に必要な溶性陽極の使用量を低減し、また、めっき液の液抜きや希釈ならびにめっき液の廃液処理を削減ないし不要とすることができる。なお、溶性陽極と不溶性陽極は、本発明の効果を奏する範囲において、少なくとも一部が接触していればよい。
本実施形態において、溶性陽極と不溶性陽極の使用割合は、使用する溶性陽極及び不溶性陽極の種類、めっき液の種類等の種々のめっき条件に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、継続的に安定なめっき処理を行うためには、溶性陽極と不溶性陽極の使用割合は、溶性陽極の表面積と不溶性陽極の表面積との比率(溶性陽極の表面積:不溶性陽極の表面積)として、例えば1:1〜9:1の範囲内であることが好ましく、1:1〜4:1の範囲内であることがより好ましい。ここで、当該溶性陽極の表面積とは、例えば、溶性陽極として銅ボールを使用する場合等、複数個の溶性陽極を使用する場合には、めっき装置内における全ての溶性陽極の表面積の合計を意味する。また、当該溶性陽極の表面積とは、不溶性陽極に接触している部分の溶性陽極の表面積をも含むものとする。なお、不溶性陽極についても、溶性陽極と同様である。
本実施形態においては溶性陽極3として銅ボールを用いているが、本発明においては他の溶性陽極を適宜使用することができる。例えば、溶性陽極の材料に関しては、めっき膜として析出させる金属を含む溶性陽極を適宜選択して使用することができる。めっき膜として析出させる金属としては、例えば、銅(Cu)、錫(Sn)、金(Au)などが挙げられる。なお、これらの金属は、それぞれ単独で、または、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、溶性陽極の形状に関しても、本実施形態で用いられているボール状の他にも、柱状、板状、ナゲット状等の任意の形状をとりうる。なお、溶性陽極として銅陽極を用いる場合においては、スラッジの発生を抑制する観点からは、含リン銅を用いることが好ましい。
また、本実施形態においては、不溶性陽極4として、板状又は網状のチタンからなる基材の表面に被覆物としての酸化イリジウムを被覆したものを使用しているが、基材はこれに限定されるものではなく、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)及びニオブ(Nb)から選ばれる少なくとも1種の金属からなる基材等を適宜使用することができる。中でも、耐久性や加工性及びコストの観点からは、チタンからなる基材であることが好ましい。また、基材の表面に被覆される被覆物も酸化イリジウムに限定されるものではなく、貴金属、前記貴金属の酸化物及び前記貴金属を含む合金から選ばれる少なくとも1種からなる被覆物を適宜使用することができる。良好なめっき品質を得るという観点からは、前記貴金属がイリジウム(Ir)、白金(Pt)及びルテニウム(Ru)から選ばれる少なくとも1種の貴金属であることが好ましい。また、前記被覆物が酸化イリジウムを含むものであることが特に好ましい。被覆物(被覆層)の厚みは特に限定されるものではないが、耐久性とコストの観点からは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。また、基材に被覆物を被覆することにより不溶性陽極を構成するにあたっては、基材の全面を被覆してもよいが、不溶性陽極として機能する範囲において、基材の一部のみを被覆してもよい。
なお、本実施形態においては、その内部に溶性陽極3及び不溶性陽極4を設置したバスケット5と、被めっき物6とをそれぞれ一つずつめっき槽1内に設置しているが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、その内部に溶性陽極3及び不溶性陽極4を設置したバスケット5を複数用いてもよい。より具体的には、例えば、被めっき物6を間にしてその内部に溶性陽極3及び不溶性陽極4を設置したバスケット5を複数(例えば2つ)設置するようにしてもよい。このような構成とすることにより、めっき皮膜の厚みのばらつきが小さくなり、より良好なめっき品質とすることができる。なお、この場合において、複数のバスケット5のうち、溶性陽極3及び不溶性陽極4を設置したバスケット5は少なくとも1つあればよく、その他の少なくとも1つのバスケット5には不溶性陽極4を設置せず、溶性陽極3のみを設置する構成としてもよい。
また、本実施形態ではバスケット5内に溶性陽極3及び不溶性陽極4が接触する状態で設置されているが、不溶性陽極及び/又は溶性陽極の形態等によっては、バスケット5を用いなくともよい。例えば、不溶性陽極をバスケット状に形成し、このバスケット状の不溶性陽極の内部に溶性陽極を接触させた状態で併用することにより、バスケット5の使用を省略することができる。あるいは、溶性陽極及び不溶性陽極に直接的に通電することが可能な場合においても、バスケット5を用いなくともよい。
バスケット5の表面形状は、特に限定されるものではないが、その表面を通じてめっき液が移動可能である形状、例えば、網状、メッシュ状、格子状等であることが好ましい。また、バスケット5の構成材料としては、例えば、チタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブ等の金属等を使用することが可能である。
本実施形態においては、めっき液2として硫酸銅水溶液を用いているが、本発明においては、めっき膜として析出させる金属の種類等に応じて、めっき液2を適宜選択して使用することができる。めっき液2は、通常、水に、被めっき物6の表面にめっき膜として析出させる1種又は2種類以上の金属の塩、有機電解質、硫酸、リン酸、塩酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ物質等の各種電解質を溶解させたものが用いられる。
なお、めっき液2には、上記成分以外にも、必要に応じて、光沢剤、界面活性剤、安定剤等の、めっき液に使用されうる従来公知の各種添加剤を適宜使用することができる。
めっき液の主成分である金属塩の具体例としては、例えば、銅めっき液としては、硫酸銅、ホウフッ化銅、シアン化銅、ピロリン酸銅等;錫めっき液としては、硫酸第一錫等;金めっき液としては、金等が挙げられる。
めっき液の組成は、めっきする成分等の種々の条件に応じて適宜設定することができるが、例えば、硫酸銅めっきを行う場合においては、めっき液中の硫酸銅濃度は、好ましくは100〜300g/L、より好ましくは200〜250g/Lであり、硫酸イオン濃度は好ましくは30〜90g/L、より好ましくは40〜55g/Lである。
また、めっき処理を行う際には、めっきの均一性の観点から、空気攪拌や機械攪拌等によりめっき液を攪拌することが好ましい。
被めっき物6としては、めっきを要する各種部材を適宜適用することができる。例えば、被めっき物としては、グラビア印刷用のシリンダー、ローラー、プリント基盤等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明する。
(実施例1)
1500Lのめっき液を充填しためっき槽内に、被めっき物としてのグラビア印刷用シリンダーと、二つのチタンバスケットA及びBを設置した。それぞれのチタンバスケットの内部の底面のサイズは、縦7cm×横130cmであった。そして、二つのチタンバスケットA及びBのうち、チタンバスケットAのみの内壁面の一つに、板状のチタン製基材に酸化イリジウムを被覆した不溶性陽極(田中貴金属工業株式会社製の「キングプレート#100」、サイズ:縦40cm×横23cm)を設置した。ここで、めっき液の溶媒としては水を使用し、めっきを開始する前のめっき液における硫酸銅濃度は225g/L、硫酸イオン濃度は50g/Lとなるように調整した。
そして、不溶性陽極を設置しなかったチタンバスケットBには、平均直径が約4cmの含リン銅ボール(以下、単に銅ボールとも記載する)をチタンバスケットBの内部における高さが35cmとなる量(以下、チタンバスケットBにおける銅ボールの初期投入量ともいう)で投入した。また、不溶性陽極を設置したチタンバスケットAには、チタンバスケットBにおける銅ボールの初期投入量よりも、銅ボール1個分の高さに相当する量(約20Kg)だけ少ない量(以下、チタンバスケットAにおける銅ボールの初期投入量ともいう)の銅ボールを投入した。そして、チタンバスケットと被めっき物に通電することにより硫酸銅めっきを所定の期間断続的に行って、グラビア印刷用シリンダーを製造した。なお、一つのシリンダーあたり20分から60分めっき処理を行うごとにめっき槽から取り出して未処理のシリンダーを新たに設置し、当該未処理のシリンダーにめっき処理を行うようにした。めっき処理時の電流密度は18A/dmとし、めっき液の管理基準値は硫酸銅濃度:200〜250g/L、硫酸イオン濃度:40〜55g/Lとしてめっきを行った。また、銅ボールは、48時間ごとに、それぞれのチタンバスケットにおける銅ボールの初期投入量に相当する高さまで補充した。なお、めっき処理開始時の溶性陽極(銅ボール)の表面積と不溶性陽極の表面積との比率は、4:1であった。
図2に、実施例1の場合の、めっき液中の硫酸銅濃度及び硫酸イオン濃度の継時的な変化を示す。実施例1によれば、めっきを行った期間内において、硫酸銅濃度及び硫酸イオン濃度は上記管理基準値内に収まっている。ここで、実施例1においては、めっき開始から696時間経過時点で100Lのめっき液を液抜きし、それに伴って水及び希硫酸をめっき液に投入しているが、これはめっきで消費された添加剤を補充するために行われたものである。
(比較例1)
チタンバスケットAに不溶性陽極を設置しなかったことと、チタンバスケットAにおける銅ボールの初期投入量を、チタンバスケットAの内部における高さが35cmとなる量(すなわち、チタンバスケットBにおける銅ボールの初期投入量と同じ)とした以外は実施例1と同様にして、硫酸銅めっきを所定の期間断続的に行って、グラビア印刷用シリンダーを製造した。なお、実施例1と同様に、一つのシリンダーあたり20分から60分めっき処理を行うごとにめっき槽から取り出して未処理のシリンダーを新たに設置し、当該未処理のシリンダーにめっき処理を行うようにした。めっき処理時の電流密度は18A/dmとし、めっき液の管理基準値は硫酸銅濃度:200〜250g/L、硫酸イオン濃度:40〜55g/Lとしてめっきを行った。また、銅ボールは、48時間ごとに、それぞれのチタンバスケットにおける銅ボールの初期投入量に相当する高さまで補充した。ここで、めっき液中の硫酸銅濃度が管理基準値を超えた場合には、めっき液を適当量液抜きするとともにめっき液の希釈を行った。
図3に、比較例1の場合の、めっき液中の硫酸銅濃度及び硫酸イオン濃度の継時的な変化を示す。比較例1によれば、めっきを行った期間内において、硫酸イオン濃度は上記管理基準値内に収まっているが、硫酸銅濃度が複数の時点で管理基準値を超えており、それに伴っためっき液の液抜き及び希釈が必要であった。結果として、合計で1200Lのめっき廃液が生じた。
このように、実施例1によれば、銅ボールの使用量(初期投入量及び補充量)を比較例1よりも少なくでき、めっき液中の硫酸銅濃度の上昇を抑制することができた。また、めっき液の廃液量は実施例1(廃液量:100L)の方が比較例1(廃液量:1200L)よりも1100L少なく、廃液中の硫酸銅濃度を250g/Lと仮定した場合の銅の純量として、銅の使用量を約120Kg削減できた。
1 めっき槽
2 めっき液
3 溶性陽極
4 不溶性陽極
5 バスケット
6 被めっき物(陰極)
7 電源

Claims (9)

  1. めっき液が充填されためっき槽内に、陽極が設置されているめっき装置であって、
    前記陽極は、不溶性陽極と、前記不溶性陽極に接触する溶性陽極とからなり、
    前記不溶性陽極は、板状又は網状の基材の表面に、貴金属、前記貴金属の酸化物及び前記貴金属を含む合金から選ばれる少なくとも1種からなる被覆物を被覆してなるめっき装置。
  2. 前記溶性陽極が、銅、錫及び金から選ばれる少なくとも1種の金属を含む請求項1に記載のめっき装置。
  3. 前記不溶性陽極における前記基材が、チタン、タンタル、ジルコニウム及びニオブから選ばれる少なくとも1種の金属からなる請求項1又は2に記載のめっき装置。
  4. 前記不溶性陽極における前記貴金属が、イリジウム、白金及びルテニウムから選ばれる少なくとも1種の貴金属である請求項1〜3のいずれか一項に記載のめっき装置。
  5. 前記被覆物が、酸化イリジウムを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のめっき装置。
  6. 前記めっき液が、硫酸銅めっき液である請求項1〜5のいずれか一項に記載のめっき装置。
  7. 前記溶性陽極の表面積と前記不溶性陽極の表面積との比率(溶性陽極の表面積:不溶性陽極の表面積)が1:1〜9:1の範囲内である請求項1〜6のいずれか一項に記載のめっき装置。
  8. めっき液中に、陽極と、陰極となる被めっき物とを設置し、前記被めっき物に対してめっきを行うめっき方法であって、
    前記陽極として、板状又は網状の基材の表面に、貴金属、前記貴金属の酸化物及び前記貴金属を含む合金から選ばれる少なくとも1種からなる被覆物を被覆してなる不溶性陽極に、溶性陽極を接触させて用いるめっき方法。
  9. 前記被めっき物が、シリンダー状又は円柱状である請求項8に記載のめっき方法。
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