JP6421847B2 - アモルファス誘電体膜および電子部品 - Google Patents

アモルファス誘電体膜および電子部品 Download PDF

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本発明は、アモルファス誘電体膜および電子部品に関する。
誘電体膜が用いられる電子部品の一例として、薄膜コンデンサや高周波向けの薄膜フィルタなどがある。これらは小型、高性能の電子部品として広く利用されていて、より高い容量、温度に対する静電容量の変化が小さいことや、高い電圧に対し、優れた耐性が要求される。近年、スマートフォンやノート型パソコンなど、高機能機器への更なる小型かつ高性能化に伴い、電子部品に対しても小型、高性能化への要求はますます厳しくなっている。
このような要求に対し、たとえば薄膜コンデンサの誘電体膜の更なる薄膜化が進められている。薄膜化することでコンデンサの容量を高くすることができる一方で、高い電圧に対する耐性は低下してしまい、所望の特性が得られないという問題があった。
たとえば、一般にアモルファスSiO膜は半導体集積回路のDRAMキャパシターにおいて誘電体膜として使用されている。しかし、同材料を薄膜コンデンサに使用した場合、アモルファスSiOの比誘電率が2〜3と低いことから、より容量を大きくするために更に誘電体膜を薄くしなければならない。そのため、同材料を使用した薄膜コンデンサは高い電圧に対する耐性が良好であるとは言えなくなる。そのため薄膜コンデンサの小型化、高機能化を図るためには、比誘電率が高く、温度特性が良好で、且つ耐電圧が高い誘電体材料に置き換える必要がある。
比誘電率がより高い材料としてたとえば、非特許文献1ではCaZrO薄膜について成膜後の熱処理温度を変えることで、Ca−Zr−Oアモルファス膜を形成している。この時、Ca−Zr−Oアモルファス誘電体の比誘電率はおよそ18で、耐電圧はおよそ3〜3.5MV/cmであることが確認されているが、更なる耐電圧の向上を行うに至ってはいない。
また、特許文献1にはCr、Ni、AuおよびAgから選ばれる一種以上の金属を含む金属薄膜層が形成された銅箔上にBa及び/又はSrとTiの酸化物のアモルファス誘電体を形成した、アモルファス複合金属酸化物薄膜層により、金属と誘電体界面のひずみ起因の欠陥を抑制することにより絶縁性を確保している。
Science direct Physica B 348(2004) 440−445『Preparation and charactarization of sol−gel derived CaZrO3 dielectric thin film for high−k applications』
特開2008−258555号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、誘電体膜を更に薄膜化した場合であっても比誘電率と温度特性を維持しつつ、耐電圧を高くするアモルファス誘電体膜及び電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明にかかるアモルファス誘電体膜は、
A−B−Oを主成分とするアモルファス組成物からなる誘電体膜であって、Aは、Ba、Ca、Srの少なくとも二種以上から選択される元素を含み、BはZr元素を含み、前記誘電体膜の主成分を(BaCaSrα−B−Oと表したときに、x、y、zがそれぞれ0≦x≦1、 0≦y≦1、 0≦z≦1、 x+y+z=1、x、y、zの少なくともいずれか二種は0.1以上であり、A/Bをαと表したとき、0.5≦α≦1.5であることを特徴とするアモルファス誘電体膜である。
好ましくは、Zr元素を含むBは、更にTi元素を含み、前記誘電体膜の主成分を(BaCaSrα−(Ti1−wZr)−Oと表したときに0.4≦w≦1であることを特徴とする。
本発明では、上記のようなアモルファス誘電体膜とすることで、誘電体膜を更に薄膜化した場合であっても、比誘電率と温度特性を維持しつつ、耐電圧を高くするアモルファス誘電体膜及び電子部品を得ることが出来る。
図1は、本発明の一実施形態に係る薄膜コンデンサの断面図である 図2は、SiO絶縁膜付きSi単結晶支持基板上に下部電極(Pt)を成膜したときと、更にその上にアモルファス誘電体膜を形成したとき及び、結晶化誘電体膜を形成した時のX線回折パターンである。 図3は、アモルファス誘電体膜をTransmission Electron Microscopeで観察した写真である。 図4は、結晶化した誘電体膜をTransmission Electron Microscopeで観察した写真である。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
<薄膜コンデンサ10>
図1は、本発明の一実施形態に係る薄膜コンデンサ10の断面図である。薄膜コンデンサ10は、支持基板1の表面に積層された下部電極3と、上部電極5、及び下部電極3と上部電極5の間に設けられた誘電体膜4とを備えている。支持基板1と下部電極3の間に、支持基板1と下部電極3の密着性を向上させるために下地層2を挿入しても良い。支持基板1は、薄膜コンデンサ10全体の機械的強度を確保する機能を有する。
薄膜コンデンサの形状に特に制限はないが、通常、直方体形状とされる。またその寸法にも特に制限はなく、厚みや長さは用途に応じて適当な寸法とすればよい。
<支持基板1>
図1に示す支持基板1を形成するための材料はとくに限定されるものではなく、単結晶としてはSi単結晶、SiGe単結晶、GaAs単結晶、InP単結晶、SrTiO単結晶、MgO単結晶、LaAlO単結晶、ZrO単結晶、MgAl単結晶、NdGaO単結晶や、セラミック多結晶基板としてはAl多結晶、ZnO多結晶、SiO多結晶や、Ni、Cu、Ti、W、Mo、Al、Ptなどの金属や、それらの合金の基板などによって支持基板1を形成することができるが特に限定されるものではない。これらの中では、低コスト、加工性から、Si単結晶を基板として使用されることが一般的である。支持基板1は、基板の材質によってその抵抗率が異なる。抵抗率が低い材料を基板として使用する場合、そのまま使用すると基板側への電流のリークが薄膜コンデンサ10の電気特性に影響を及ぼすことがある。そのため、支持基板1の表面に絶縁処理を施し、使用時の電流が支持基板1へ流れないようにする場合もある。例えば、Si単結晶を支持基板1として使用する場合においては、支持基板1表面を酸化させてSiO絶縁層の形成を行うことや、支持基板1表面にAl、SiO、Siなどの絶縁物を形成してもよく、支持基板1への絶縁が保てればその絶縁層の材料や膜厚は限定されないが、0.01μm以上が好ましい。0.01μm未満では絶縁性が保てないため、絶縁層の厚みとして好ましくない。
支持基板1の厚さは、薄膜コンデンサ全体の機械的強度を確保することができれば、とくに限定されるものではないが、たとえば、10〜5000μmに設定される。10μm未満の場合は機械的強度が確保できなく、5000μmを超えると電子部品の小型化に寄与できないといった問題が生じる。
<下地層2>
本発明において、図1に示す薄膜コンデンサ10は、好ましくは、絶縁処理を施した支持基板1表面に、下地層2を有している。下地層2は、支持基板1と下部電極3の密着性向上を目的として挿入される。一例として、下部電極3にCuを使用する場合には下地層2はCrを、下部電極3にPtを使用する場合にはTiを下地層2として挿入することが一般的である。密着性向上を目的としていることから、前記材料に限定されるものではなく、また支持基板1と下地層2の密着性を保つことが出来れば、下地層2は省略しても良い。
<下部電極3>
下部電極3を形成するための材料は、導電性を有していれば良く、例えば、Pt、Ru、Rh、Pd、Ir、Au、Ag、Cu、Niなどの金属や、それらの合金、又は導電性酸化物などによって形成することができる。そのため、コストや誘電体層4を熱処理するときの雰囲気に対応した材料を選択すればよい。誘電体層4は大気中の他、不活性ガスであるNやAr、またO、不活性ガスと還元性ガスであるHの混合ガスで熱処理を行うことが出来る。下部電極3の膜厚は電極として機能すれば良く、0.01μm以上が好ましい。0.01μm未満の場合、導電性が悪くなることから好ましくない。また、支持基板1に電極として使用可能なCuやNi、Pt等や酸化物導電性材料などを使用した基板を使用する場合は、前述した下地層2と下部電極3は省略することができる。
下部電極3の形成後に熱処理を行い、下地層2と下部電極3の密着性向上と、下部電極3の安定性向上を図ってもよい。熱処理を行う場合、昇温速度は好ましくは10〜2000℃/分、より好ましくは100〜1000℃/分である。焼成時の保持温度は、好ましくは400〜800℃、その保持時間は、好ましくは0.1〜4時間である。上記の範囲を超えると、密着不良の発生、下部電極3の表面に凹凸が発生することで、誘電体層4の誘電特性の低下が生じやすくなる。
<誘電体膜4>
誘電体膜4は、本実施形態に係るアモルファス誘電体膜から構成されている。誘電体膜4は、A−B−Oを主成分とするアモルファス組成物からなる誘電体膜であって、AはBa、Ca、Srの少なくとも二種以上から選択される元素を含み、BはZr元素を含む誘電体膜である。
また、誘電体膜4の主成分を(BaCaSrα−B−Oと表したときに、x、y、zがそれぞれ0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1、x、y、zの少なくともいずれか二種は0.1以上であり、A/Bをαと表したとき、0.5≦α≦1.5である。
一般的に、アモルファス材料は結晶の核となるクラスターを形成し、熱処理によって、そのクラスターの長周期配列が形成され結晶へと成長することが知られている。本実施形態における組成の範囲においては、結晶の核となるクラスター内に(BaCaSrαZrOが含まれることが想定される。また、金属と結合する酸素の距離を短くする、物質の融点を高くする、破壊原子価数を高くする等を行うことで耐電圧を高くすることが可能である。本実施形態においては、アモルファス誘電体中に酸素と結合したBaやCa、Sr及びZrを混在させることで互いに圧縮され、金属元素と酸素間の距離を平均的に短くしていることから、耐電圧が向上していると考えられる。そのためBaやCa及びSrの少なくとも二種以上の第一の酸化物とZrを含む第二の酸化物を主成分とした誘電体膜4であることが必要であり、その主成分は前記範囲が良い。
x、y、zの少なくともいずれか二種が0.1未満の場合、相互圧縮の効果が弱まり、耐電圧は低下する。
誘電体膜4は好ましくは、Zr元素を含むBは、Ti元素を更に含み、前記誘電体膜の主成分を(BaCaSrα−(Ti1−wZr)−Oと表したときに、0.4≦w≦1あることを特徴とする。
Zr元素を含むBは、Ti元素を更に含み、上記範囲とすることで、本実施形態の効果を高めることができる。
誘電体膜4の厚さは、好ましくは10〜2000nm、より好ましくは50〜1000nmである。10nm未満では絶縁破壊が生じやすく、2000nmを超える場合においては、コンデンサの静電容量を大きくするために電極面積を広くする必要があり、電子部品の小型化に寄与できないことから好ましくない。誘電体膜厚の計測は集束イオンビーム加工装置(FIB)で掘削し、得られた断面を走査型イオン顕微鏡(SIM)等で観察して測長すれば良い。
誘電体膜4は、真空蒸着法、スパッタリング法、パルスレーザー蒸着法(pulsed laser deposition:PLD法)、有機金属化学気相成長法(metal−organic chemical vapor deposition:MOCVD)、有機金属分解法(metal organic decomposition:MOD)やゾル・ゲル法、chemical soution deposition法:CSD法)などの各種薄膜形成法を用いて、形成することができる。その際に使用する原料(蒸着材料、各種ターゲット材料や有機金属材料等)には微少な不純物が含まれている場合があるが、絶縁性を大きく低下させる不純物でなければ、特に問題はない。
誘電体膜4形成後、好ましくは熱処理を行う。熱処理を行わなくても本発明の効果が失われることはないが、欠陥等の影響により、その効果が低減する。
熱処理の条件として、昇温速度は好ましくは10〜2000℃/分、より好ましくは100〜1000℃/分である。焼成時の保持温度は、好ましくは200〜600℃、より好ましくは300〜600℃で、その保持時間は、好ましくは0.1〜4時間である。上記の範囲を超えると、密着不良の発生、また下部電極3の表面や誘電体層4の表面に凹凸が発生することで、誘電体層4の誘電特性の低下が生じやすくなる。
また、誘電体層5は通常、本発明の誘電体膜のみで構成されるが、別の誘電体膜との積層構造としていても構わない。例えば、誘電体層4のインピーダンスや温度特性を調整するために、既存のSi、SiO、Al、ZrO、Taアモルファス誘電体膜や結晶膜との積層構造とすることで、耐電圧を維持した状態で他の特性を調整することが可能となる。
<上部電極5>
本実施形態の一例において、薄膜コンデンサ10は、誘電体膜4の表面に、薄膜コンデンサ10の他方の電極として機能する上部電極5を備えている。上部電極5を形成するための材料は、導電性を有していれば、とくに限定されるものではなく、下部電極3と同様の材料によって、上部電極5を形成することができる。上部電極5の膜厚は電極として機能すれば良く、0.01μm以上が好ましい。膜厚が0.01μm以下の場合、導電性が悪化するため上部電極5として好ましくない。
上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として薄膜コンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、薄膜コンデンサに限定されず、たとえば、バランやカプラ、バンドパスフィルタ等、誘電体膜を有する電子部品であれば何でも良い。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
<実施例1><比較例1>
まず、350μmのSiの表面に6μmのSiO絶縁膜を備えた10mm×10mm角の基板の表面上に、下地層であるTi薄膜を20nmの厚さとなるようにスパッタリング法で形成した。
次いで、上記で形成したTi薄膜上に下部電極であるPt薄膜を100nmの厚さとなるようにスパッタリング法で形成した。
形成したTi/Pt薄膜に対し、昇温速度を400℃/分、保持温度を700℃、温度保持時間を30分、雰囲気を酸素雰囲気とし常圧下で熱処理を行った。
熱処理を行った試料表面の凹凸を確認するために、AFM(Atomic Force Microscope)を使用し、試料すべての下部電極表面のRa(平均山高さ)が4nm以下で、Rz(最大山高さ)が50nm以下であり、異常な凹凸がないことを確認した。測定点数は9点とし、1点当たりのスキャン範囲は10μm×10μmとした。Raは9点のRaの平均値を確認し、Rzは9点の最大Rzを確認した。
誘電体膜の形成にはPLD法を使用した。誘電体膜の形成に必要なターゲットは次のように作製した。
まず、表1に示す試料No.1〜21のBa、Ca、Srの量(x、y、z)及びそれらの総量とZrの比(α)を表1に示す値となるようにBaCO、CaCO、SrCO、ZrOの秤量を行い、原料を準備した。
次いで、ボールミル中に上記で準備した原料と水、及びφ2mmのジルコニアビーズを入れて20時間の湿式混合を行った後、混合粉末スラリーを100℃、20時間で乾燥させた。
得られた混合粉末に対して10wt%のPVA(ポリビニルアルコール)を乳鉢に入れ、乳棒を使用して造粒粉を作製した後、φ200mmの金型へ厚みが5mm程度となるように造粒粉を入れた。次に一軸加圧プレス機を使用し成形体を得た。成形条件は、圧力:2.0×10Pa、温度:室温とした。その後、得られた成形体について脱バインダ処理、焼成を下記条件で行った。
脱バインダ条件は昇温速度を25℃/時間、保持温度を400℃、温度保持時間を4時間として、雰囲気は空気中とした。
焼成条件は昇温温度を200℃/時間、保持温度を1200℃〜1300℃、温度保持時間を4時間とし、雰囲気は空気中とした。
次いで、得られた焼結体の厚さが4mmとなるように、円筒研磨機で両面を研磨し、誘電体膜を形成するために必要なPLD用ターゲットを得た。
こうして得られたPLD用ターゲットを用いて、下部電極上に誘電体膜厚が600nmの厚さとなるようにPLD法で誘電体膜を形成した。PLD法による成膜条件は、酸素圧を1×10−2(Pa)とし、成膜時の基板への加熱はなしとした。また、下部電極の一部を露出させるために、メタルマスクを使用して、誘電体膜が一部成膜されない領域を形成した。
次に形成した誘電体膜を昇温時間600℃/分、保持温度を500℃、温度保持時間を10分とし、空気中で熱処理を行った。
誘電体膜厚の計測は集束イオンビーム加工装置(FIB)で掘削し、得られた断面を走査型イオン顕微鏡(SIM)で観察して測長することで計測した。
成膜後の誘電体膜の組成はXRF(X−ray Fluorescence Spectrometer)を使用してすべての試料について測定を行い、表1〜4に記載の組成であることを確認した。
次いで、得られた上記誘電体膜上に上部電極であるPt電極を形成するために、スパッタリング装置を使用して成膜を行った。Pt電極の形状は直径5mm、厚さ200nmとなるように加工したメタルマスクを使用して形成することで、図1に示す構造の試料No.1〜21を得た。白金電極膜厚の計測も集束イオンビーム加工装置(FIB)で掘削し、得られた断面を走査型イオン顕微鏡(SIM)で観察して測長することで計測した。
得られたすべての薄膜コンデンサ試料について、耐電圧、比誘電率、静電容量の温度特性を、それぞれ下記に示す方法により行った。
<耐電圧>
耐電圧は薄膜コンデンサ試料に対し、下部電極が露出している領域と上部電極にデジタル超高抵抗/微少電流計(ADVANTEST R8340)を接続し、5V/秒のステップで電圧を印加して計測し、初期抵抗値から2ケタ低下したときの電圧値を読み取り、その値を試料の破壊電圧値(V)とした。得られた破壊電圧値(V)を誘電体膜厚で除した数値を耐電圧(MV/cm)とし、表1に記載した。耐電圧は高いほうが好ましく5MV/cm以上を良好とした。
<比誘電率>
比誘電率は、薄膜コンデンサ試料に対し、基準温度25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1MHz,入力信号レベル(測定電圧)0.1Vrmsの条件下で測定された静電容量と膜厚測定の結果から算出した(単位なし)。
<静電容量の温度特性TCC>
薄膜コンデンサ試料に対し、−55、−25、−10、25、85、125℃の恒温槽中で静電容量の測定を行った。容量測定は比誘電率算出したときの条件と同様に、周波数1MHz、入力信号レベル(測定電圧)0.1Vrmsの条件下で測定した。基準温度を25℃としたとき、温度に対する温度特性係数が、300ppm/℃以内であるかを評価した。温度特性係数TCC(ppm/℃)は下記式1により算出した。ただし、式1中、C125は125℃における静電容量(ファラド:F)、C25は25℃における静電容量(F)を表す。
TCC(1MHz)={(C125−C25)/C25}×(1/100) ・・・(式1)
<誘電体薄膜のアモルファス確認>
薄膜コンデンサ試料に対し、X線回折(平行法)による測定とTransmission Electron Microscope(TEM)による誘電体膜の観察を行い、アモルファスかどうかを判断した。X線回折のX線源はCu−Kα線を用い、その測定条件は、電圧45kV、2θ=20°〜50°の範囲とした。図2に得られた回折パターン一例を示す。横軸は回折角(2θ)で縦軸は強度である。図2の下段は支持基板上に下部電極を成膜した後に得た回折パターンである。中段は下部電極上にアモルファス誘電体膜を形成した後に得た回折パターンである。上段は下部電極上に形成した(BaCaSr)(ZrTi)O結晶膜の一般的な回折パターンである。同材料が結晶化したときに得られる22°付近、31〜32°付近、45°付近のピークの有無の確認をすべてのサンプルについて行った。ピークがないサンプルをアモルファスとした。
更にTEMにより誘電体の観察を行い、図3及び図4のように格子像(格子しま)の有無を確認した。図3のように格子しまの確認が出来ないサンプルをアモルファスとした。X線回折とTEMの結果が共にアモルファスとしたサンプルについて、アモルファス誘電体であると判断した。今回作製したすべてのサンプルはアモルファス誘電体であった。
試料No.1〜15
表1より誘電体膜が、A−B−Oを主成分とするアモルファス組成物からなる誘電体膜であって、Aは、Ba、Ca、Srの少なくとも二種以上から選択される元素を含み、BはZr元素を含み、前記誘電体膜の主成分を(BaCaSrα−B−Oと表したときに、x、y、zがそれぞれ0≦x≦1、 0≦y≦1、 0≦z≦1、 x+y+z=1、x、y、zの少なくともいずれか二種は0.1以上であるときは耐電圧が高く、比誘電率と温度特性が低下しないことが確認できた。
試料No.16〜18
表1より、A−B−Oを主成分とするアモルファス組成物からなる誘電体膜においてAが一種類である場合には、耐電圧の向上を図ることが出来ない。
試料No.19〜21
表1より、誘電体膜が、A−B−Oを主成分とするアモルファス組成物からなる誘電体膜であって、Aは、Ba、Ca、Srの少なくとも二種以上から選択される元素を含み、BはZr元素を含み、前記誘電体膜の主成分を(BaCaSrα−B−Oと表したときに、x、y、zがそれぞれ0≦x≦1、 0≦y≦1、 0≦z≦1、 x+y+z=1であり、x、y、zの少なくともいずれか二種は0.1以上の範囲ではない場合においては、耐電圧の向上を図ることが出来ない。
<実施例2><比較例2>
Ba、Ca、Srの量をx=0.3、y=0.35、z=0.35とし、また、その総量とZr、Tiの総量の比(α)を表2に示す値となるように、BaCO、CaCO、SrCO、ZrO、TiOの秤量を行い、ターゲットを作製した。ターゲットの組成以外は実施例1と同様にして、試料No.22〜28の薄膜コンデンサ試料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
試料No.22〜26
表2よりBa、Ca、Srの総量とZr、Tiの総量の比(α)が、0.5≦α≦1.5の範囲内にあるときは耐電圧が高く、比誘電率と温度特性が低下しないことを確認できた。
試料No.27〜28
表2より、Ba、Ca、Srの総量とZr、Tiの総量の比(α)が、0.5≦α≦1.5の範囲にない場合には、耐電圧の向上は認められなかった。
<実施例3><比較例3>
ZrとTiの比(w)を表3に示す値となるように、BaCO、CaCO、SrCO、ZrO、TiOの秤量を行い、ターゲットを作製した。ターゲットの組成以外は実施例1と同様にして、試料No.29〜32の薄膜コンデンサ試料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
試料No.29〜32
表3より、A−B−Oを主成分とするアモルファス組成物からなる誘電体膜において、Zr元素を含むBは更にTi元素を含み、その含有量が本発明の好ましい範囲内である場合には、比誘電率、温度特性を悪化させることなく、耐電圧向上の効果を高めることが出来た。
試料No.33
表3より、A−B−Oを主成分とするアモルファス組成物からなる誘電体膜において、Zr元素を含むBは更にTi元素が含まれるが、その含有量が本発明の好ましい範囲内にない場合には、耐電圧向上の効果を高めることが出来なかった。
試料No.34
表3より、A−B−Oを主成分とするアモルファス組成物からなる誘電体膜において、BにZr元素が含まれない場合においては、耐電圧が向上しなかった。
<実施例4>
誘電体膜の成膜をスパッタリング法で成膜した以外は実施例3の試料No.30と同様の手法で試料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
<実施例5>
誘電体膜の成膜後の熱処理の保持温度を200℃にした以外は実施例1と同様の手法で試料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
<実施例6>
薄膜コンデンサの基板として、100μm厚のCu箔を準備した。Cu箔表面の凹凸を表すRaが4nm以下で、且つRzが50nm以下となるように、バフ研磨を行った。Cu箔表面の凹凸確認は実施例1と同様の手法で行った。研磨後、超音波洗浄機を使用し、アセトン中、エタノール中、超純水中の順で洗浄を行った。
次いで、洗浄後にCu箔への誘電体膜の成膜を実施例1と同様の手法で行った。
誘電体膜の熱処理は不活性ガスNと還元性ガスHの混合ガスとし、酸素分圧が10−8Paとなるようにした。昇温速度、保持温度、保持時間は実施例1と同様の条件として作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
<実施例7>
誘電体膜厚みを400nmとした以外は、実施例1と同様の手法で試料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
試料No.35〜38
表4より、誘電体膜の製法(試料No.35)や誘電体膜の熱処理条件(試料No.36)、基板の種類(試料No.37)及び誘電体膜厚(試料No.38)が異なっても、誘電体膜が、A−B−Oを主成分とするアモルファス組成物からなる誘電体膜であって、Aは、Ba、Ca、Srの少なくとも二種以上から選択される元素を含み、BはZr元素を含み、前記誘電体膜の主成分を(BaCaSrα−B‐Oと表したときに、x、y、zがそれぞれ0≦x≦1、 0≦y≦1、 0≦z≦1、 x+y+z=1、x、y、zの少なくともいずれか二種は0.1以上であるときは、耐電圧が高く、比誘電率と温度特性が低下しないことが確認できた。
以上に説明したように、本発明は、アモルファス誘電体膜及び電子部品に係るものであり、本発明は誘電体の比誘電率と温度特性を低下させずに、耐電圧を向上させることができる。それにより、誘電体膜を使用する電子部品において、小型化、高機能化を図ることができる。本発明は、たとえば、誘電体膜を使用する、薄膜コンデンサや薄膜高周波部品等に対して広く新技術を提供するものである。
1… 支持基板
2… 下地層
3… 下部電極
4… 誘電体膜
5… 上部電極
10… 薄膜コンデンサ

Claims (1)

  1. A−B−Oを主成分と、Aは、Ba、Ca、Srの少なくとも二種以上から選択される元素を含み、BはZr元素およびTi元素またはZr元素を含み、前記誘電体膜の主成分を(BaCaSrα−(Ti1−wZr)−Oと表したときに、x、y、zがそれぞれ0≦x≦1、 0≦y≦1、 0≦z≦1、 x+y+z=1、x、y、zの少なくともいずれか二種は0.1以上であり、
    A/Bをαと表したとき、0.5≦α≦1.5であり、
    0.75≦w≦1であり、
    最終生成物の状態がアモルファス組成物からなる膜として電子部品に用いられることを特徴とするアモルファス誘電体膜。
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