JP6766702B2 - 誘電体素子 - Google Patents

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Description

本発明は、誘電体素子に関する。特に、薄膜状の誘電体膜を備える薄膜コンデンサ等の誘電体素子に関する。
電子機器の多機能化に伴い、電子機器に搭載される電子回路基板には様々な機能の追加が望まれている。そのため、電子回路基板に実装される電子部品の個数は、多くなる傾向にある。その結果、電子機器のサイズを維持したままで、実装する電子部品の個数を増やすためには、電気回路基板における電子部品の実装密度をより高める必要がある。
このような要求に対して、電子回路基板内に電子部品を埋め込むことが提案されている。電子回路基板に多く実装されている電子部品の一つとして、積層セラミックコンデンサが例示される。しかしながら、この積層セラミックコンデンサを電子回路基板内に埋め込む場合、積層セラミックコンデンサの厚みと、セラミックスが有する脆性と、に起因して、コンデンサを埋め込む工程において応力が発生し、積層セラミックコンデンサにクラックが発生したり、埋め込んだ部分の電子回路基板が変形したりする等の問題があった。
これらの問題は、極めて小さいサイズの積層セラミックコンデンサを用いた場合であっても解消することは困難であった。そのため、電子回路基板内への埋め込み用のコンデンサとして、積層セラミックコンデンサより薄い低背なコンデンサが望まれている。低背なコンデンサとしては、誘電体素子の一例である薄膜コンデンサが知られている。
薄膜コンデンサでは、低背でありながら従来と同程度以上の誘電特性を発揮させるため、薄膜コンデンサの誘電体膜を構成する誘電体材料の比誘電率を高くする必要がある。このような誘電体材料としては、高い比誘電率を有するチタン酸バリウム(BaTiO)系の材料が用いられる。
ところで、誘電体膜を薄くすると、当該材料を構成する結晶粒子の径も小さくする必要がある。しかしながら、チタン酸バリウム(BaTiO)系の材料を誘電体材料として用いる場合、結晶粒子の径が小さくなると、いわゆるサイズ効果が生じて、比誘電率が低下してしまうという問題があった。サイズ効果は、結晶粒子の径が小さくなることに伴い、結晶粒子の結晶構造が、強誘電性を示す正方晶から常誘電性を示す立方晶に転移することに起因すると考えられている。
特許文献1には、組成式BaTi1−xZrで表されるペロブスカイト型複合酸化物において、「x」と複合酸化物を構成する結晶の平均結晶粒子径とを特定の範囲内にすることにより、サイズ効果に伴う比誘電率の低下を抑制できることが記載されている。
特許文献2には、SnTiOで表されるペロブスカイト型複合酸化物が、PbTiOと同等の強誘電性を有することを、第一原理計算および作製した薄膜の特性評価により確認したことが記載されている。
また、誘電体膜を薄くした場合、上記のサイズ効果に加えて、誘電体膜を構成する誘電体材料の絶縁抵抗が低下する傾向にある。絶縁抵抗が低下すると、薄膜コンデンサのリーク電流が増加してしまうという問題があった。
特許文献3には、薄膜キャパシタのリーク電流特性を改善するために、薄膜キャパシタの製造工程において発生するヒロックを抑制することが記載されている。
特開平9−40462号公報 特開2003−146660号公報 特開2012−15505号公報
しかしながら、特許文献1および2には、誘電体素子のリーク電流特性を改善することは何ら記載されていない。また、特許文献3には、リーク電流密度が2.16×10−7[A/cm]となり、この値が良好な結果であることが記載されているが、この値では不十分であり、リーク電流密度をより低下させる必要がある。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、厚みが薄い薄膜状の誘電体膜を備えていても、高い比誘電率および良好なリーク電流特性を有する誘電体素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の誘電体素子は、
[1]第1の電極と、誘電体膜と、第2の電極と、を有する誘電体素子であって、
誘電体膜は、第1の電極上に形成された第1の誘電体膜と、少なくとも第1の誘電体膜上に形成された第2の誘電体膜と、を有し、
第1の誘電体膜は、二チタン酸バリウム(BaTi)を主成分として含み、第1の誘電体膜は平均粒子径が20nm以下の微結晶で構成されており、 第2の誘電体膜は、チタン酸バリウム(BaTiO)中の金属元素の一部がスズで置換され、スズの主置換サイトがBaサイトである複合酸化物を主成分として含み、
第1の誘電体膜の厚みをT1とし、誘電体膜の厚みをT2とすると、T1およびT2が0.005≦T1/T2≦0.250である関係を満足し、T1が2nm以上であることを特徴とする誘電体素子である。
[2]チタン酸バリウム中の金属元素のうち、スズに置換されている割合が0.5%以上70%以下であることを特徴とする[1]に記載の誘電体素子である。
[3]誘電体素子の断面において、第1の電極の幅に対して、第1の誘電体膜が第1の電極に接触している長さを第1の誘電体膜の被覆率とすると、被覆率が50%以上100%以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の誘電体素子である。
[4]二チタン酸バリウム中の金属元素の一部がスズで置換されていることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の誘電体素子である。
[5]二チタン酸バリウム中の金属元素のうち、スズに置換されている割合が1%以上30%以下であることを特徴とする[4]に記載の誘電体素子である。
本発明によれば、厚みが薄い薄膜状の誘電体膜を備えていても、高い比誘電率および良好なリーク電流特性を有する誘電体素子を提供することをができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る誘電体素子としての薄膜コンデンサの断面模式図である。 図2(a)および(b)は、第1の誘電体膜の被覆率を説明するための薄膜コンデンサの断面模式図である。 図3は、被覆率を測定する際に用いるTEM写真の一例である。
以下、本発明を、具体的な実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.薄膜コンデンサ
1.1 薄膜コンデンサの全体構成
1.2 誘電体膜
1.2.1 第2の誘電体膜
1.2.2 第1の誘電体膜
1.3 基板
1.4 第1の電極
1.5 第2の電極
2.薄膜コンデンサの製造方法
3.本実施形態における効果
4.変形例
(1.薄膜コンデンサ)
まず、本実施形態では、誘電体素子の一例として、薄膜状の誘電体膜を有する薄膜コンデンサについて説明する。
(1.1 薄膜コンデンサの全体構成)
図1に示すように、本実施形態に係る誘電体素子の一例としての薄膜コンデンサ1は、基板10と、第1の電極20と、誘電体膜30と、第2の電極40とがこの順序で積層された構成を有している。誘電体膜30は、第1の誘電体膜31および第2の誘電体膜32から構成される。
第1の電極20と誘電体膜30と第2の電極40とはコンデンサ部を形成しており、第1の電極20および第2の電極40が外部回路に接続されて電圧が印加されると、誘電体膜30が所定の静電容量を示し、コンデンサとしての機能を発揮することができる。各構成要素についての詳細な説明は後述する。
なお、薄膜コンデンサの形状に特に制限はないが、通常、直方体形状とされる。また、その寸法は、後述する限定範囲を除き特に制限はなく、所望の特性、用途等に応じて設定すればよい。
(1.2 誘電体膜)
本実施形態では、誘電体膜30は、第1の電極20の上に形成されている第1の誘電体膜31と、第1の誘電体膜31上に形成されている第2の誘電体膜32との2層構造を有している。
また、本実施形態では、誘電体膜30を構成する第1の誘電体膜31および第2の誘電体膜32は、誘電体材料の原料粉末を成形した成形体を焼成して得られる焼結体から構成されるのではなく、公知の成膜法により形成された薄膜状の誘電体堆積膜であることが好ましい。なお、本実施形態では、誘電体膜30は結晶質である。
このような誘電体膜30を有する薄膜コンデンサは、高い比誘電率(たとえば、1000超)を示しつつ、かつ、良好なリーク電流特性(たとえば、リーク電流密度が1.0×10−7以下)を示すことができる。
誘電体膜30の厚みT2は特に限定されず、所望の特性、用途等に応じて任意に設定することができる。本実施形態では、厚みT2は、好ましくは10nm以上1000nm以下である。誘電体膜30の厚みが薄すぎると、誘電体膜30の絶縁破壊が生じやすい傾向にある。絶縁破壊が生じると、コンデンサとしての機能を発揮できない。一方、誘電体膜30の厚みが厚すぎると、誘電体膜30を構成する材料の脆性が顕著になり、誘電体膜作製時、または、誘電体素子を基板内に埋め込む工程中に誘電体膜中にクラック等が発生する可能性がある。
なお、誘電体膜30の厚みは、誘電体膜30を含む薄膜コンデンサを、FIB(集束イオンビーム)加工装置で掘削し、得られた断面をTEM(透過型電子顕微鏡)等で観察して測定することができる。
(1.2.1 第2の誘電体膜)
まず、第2の誘電体膜32から説明する。図1に示すように、第2の誘電体膜32は、後述する第1の誘電体膜31上に形成されている。第2の誘電体膜32は、チタン酸バリウム(BaTiO)中のバリウム(Ba)の一部がスズ(Sn)で置換された複合酸化物を主成分として含んでいる。以下、第2の誘電体膜32に含まれる複合酸化物をBTということがある。
チタン酸バリウムはペロブスカイト構造を有しており、チタン酸バリウム中のバリウム(Ba)は、ペロブスカイト構造におけるいわゆるAサイトに位置し、チタン(Ti)はペロブスカイト構造におけるいわゆるBサイトに位置している。
チタン酸バリウム(BT)中の金属元素を100%とした場合に、Snが置換している割合(Sn置換率)を「m」%とすると、本実施形態では、「m」は、0.5≦m≦70である関係を満足することが好ましい。「m」は5以上であることがより好ましい。「m」が小さすぎると、c/aの増大が少なく、比誘電率を高める効果が小さい傾向にある。一方、「m」が大きすぎると、比誘電率が低下する傾向にある。
また、本実施形態では、Snの主置換サイトはBaサイト(Aサイト)である。本実施形態において、「Snの主置換サイトがBaサイトである」とは、Snが置換しているBT中の金属元素のうち、60%以上、好ましくは80%以上がBaである場合をいう。すなわち、本実施形態では、BT中のBaおよびTiのうち、Snが、Tiを置換する割合よりもBaを置換する割合の方が多いことが好ましい。
Snが主としてBaサイトを置換することにより、ペロブスカイト構造におけるc軸長さとa軸長さとの比を示すc/aが大きくなる。したがって、Snの主置換サイトをBaサイトとすることにより、ペロブスカイト構造の正方晶性が大きくなり、サイズ効果が抑制されるので、強誘電性が維持され比誘電率を大きくすることができる。
なお、Snは、通常、チタン酸バリウム中のTiサイト(Bサイト)を置換し、Baサイト(Aサイト)をほとんど置換しない。しかしながら、SnがTiサイトを置換する場合には、SnがBaサイトを置換する場合とは異なり、逆に比誘電率が低下する傾向にある。したがって、Snの主置換サイトが、Baサイト、Tiサイトのどちらのサイトであるかは非常に重要である。
第2の誘電体膜32の厚みは特に限定されず、所望の特性や用途等を考慮して、後述する第1の誘電体膜31の厚みT1と上述した誘電体膜30の全体の厚みT2とが後述する所定の関係を満足する範囲内において適宜設定すればよい。
また、第2の誘電体膜32は、本発明の効果が得られる範囲内において、微量な不純物、副成分等を含んでいてもよい。本実施形態では、第2の誘電体膜32全体に対して、主成分が80mol%以上100mol%以下含まれていることが好ましい。
(1.2.2 第1の誘電体膜)
図1に示すように、第1の誘電体膜31は、第1の電極20上に形成されている。第1の誘電体膜31は、二チタン酸バリウム(BaTi)を主成分として含んでいる。以下、第1の誘電体膜31に含まれるBaTiをBT2ということがある。また、第1の誘電体膜31は、平均粒子径が20nm以下である微結晶から構成されており、粒界が存在しない。通常、粒界は、結晶粒よりも低抵抗の材質から構成されているため、電流の導通経路となる。したがって、このような粒界が存在しない第1の誘電体膜31の絶縁抵抗は非常に高く、このような第1の誘電体膜が存在していることにより、誘電体膜30全体としてリーク電流を抑制できる。第1の誘電体膜31を構成する結晶の平均粒子径の下限値は、特に制限されず、後述する第1の誘電体膜の厚みT1程度である。
本実施形態では、第1の誘電体膜31の厚みT1と、上述した誘電体膜30の厚みT2と、の比であるT1/T2は、0.005≦T1/T2≦0.250である関係を満足する。T1/T2は、0.050以上であることが好ましく、T1/T2は、0.200以下であることが好ましい。T1/T2が小さすぎると、誘電体膜30における第1の誘電体膜31が占める割合が少なくなるため、リーク電流が増加する傾向にある。一方、T1/T2が大きすぎると、誘電体膜30における第2の誘電体膜32が占める割合が少なくなるため、比誘電率が低下する傾向にある。
なお、第1の誘電体膜31の厚みT1は、上記のT1/T2の関係を満足する限りにおいて、特に制限されないが、本実施形態では、T1の下限値は2nmである。
また、第1の誘電体膜31に含まれるBaTi(BT2)は、チタン酸バリウムよりも比誘電率は低いものの、チタン酸バリウムを構成する元素(Ba、Ti、O)が同じである。そのため、第1の誘電体膜31と第2の誘電体膜32との界面における第1の誘電体膜31と第2の誘電体膜32との整合性が良好となり、BT2が存在することに起因する誘電体膜30全体としての比誘電率の低下を抑制することができる。
さらに、整合性を良好にするために、BaTi(BT2)中の金属元素をSnで置換することが好ましい。BT2中の金属元素をSnで置換すれば、BT2を構成する元素(Ba、Ti、Sn、O)が、第2の誘電体膜32に含まれるBTを構成する元素(Ba、Ti、Sn、O)と完全に一致する。また、BT2中の金属元素をSnで置換することにより、BT2中のTiが存在する位置が若干変化し、BT中のTiが存在する位置に近づくと思われる。その結果、BTとBT2との整合性がさらに良好となり、何らかの相互作用が生じて、比誘電率の低下を抑制できると考えられる。
二チタン酸バリウム(BT2)中の金属元素を100%とした場合に、Snが置換している割合(Sn置換率)を「n」%とすると、本実施形態では、「n」は、1≦n≦30である関係を満足することが好ましい。「n」は5以上であることがより好ましい。一方、「n」は20以下であることがより好ましい。「n」が小さすぎても大きすぎても、BTとBT2との整合性の向上が少なく、比誘電率を高める効果が小さい傾向にある。
また、本実施形態では、第1の誘電体膜31が、第1の電極20を被覆している割合(被覆率S)を定義する。第1の誘電体膜31は第1の電極20上に形成され、第1の誘電体膜31上に第2の誘電体膜32が形成される。したがって、第1の誘電体膜31が形成されていない領域、すなわち、第1の電極20上に第2の誘電体膜32が形成される。
本実施形態では、第2の誘電体膜32は、第2の電極40と接触しており、かつ第1の誘電体膜31ほど絶縁抵抗は高くない。したがって、第1の誘電体膜31が第1の電極20を被覆している割合を多くすることにより、第2の誘電体膜32と第1の電極20とが接触する面積を減らすことができる。その結果、第2の誘電体膜32を経由するリーク電流を抑制することができる。
被覆率Sは、50≦S≦100である関係を満足することが好ましい。被覆率が小さすぎると、第2の誘電体膜32経由のリーク電流が多くなり、誘電体膜30としてのリーク電流特性が悪化する傾向にある。一方、被覆率が100%に近づくと、誘電体膜30において比誘電率の向上を担う第2の誘電体膜32に対する第1の誘電体膜31の割合が増えることになり、誘電体膜30の比誘電率は、許容範囲ではあるが、相対的に低下する傾向にある。
本実施形態では、被覆率Sは、図2(a)に示すように、誘電体素子1の断面をTEM等で観察して得られる所定の視野において、第1の電極20の幅Wに対する第1の誘電体膜31の長さLとして表すことができる。すなわち、S=100×(L/W)である。なお、被覆率Sは、第1の誘電体膜をTEM等で観察した場合に、第1の誘電体膜を目視可能な倍率であって、幅が25μm以上となる視野で観察を行い、第1の電極の幅Wと第1の誘電体膜の幅Lとから算出する。
ただし、第1の誘電体膜の厚みT1が薄い場合には、第1の誘電体膜を目視可能な倍率が高くなってしまい、1つの視野の幅が25μmよりも小さくなってしまうことがある。この場合には、第1の誘電体膜を目視可能な倍率において、複数の視野において第1の電極の幅Wと第1の誘電体膜の幅Lとを測定し、視野の幅の合計が25μm以上となるようにして、各視野におけるWとLとから被覆率Sを算出する。図3は、被覆率Sの算出に用いるTEM明視野像の一例であるが、視野の幅は1μm程度である。したがって、図3を用いて、被覆率を算出する場合には、他のTEM明視野像と合わせた視野の幅が25μm以上となるようにしてから、被覆率Sを算出する。
また、図2(b)に示すように、第1の電極20上に、第1の誘電体膜31を形成すると、第1の誘電体膜31が断続的に(島状に)形成されることがある。このような場合には、断続的に形成されている第1の誘電体膜31の長さL1、L2・・・Lnの合計を第1の誘電体膜31の長さLとし、被覆率Sを算出すればよい。
また、第1の誘電体膜31は、本発明の効果が得られる範囲内において、微量な不純物、副成分等を含んでいてもよい。本実施形態では、第1の誘電体膜31全体に対して、主成分が80mol%以上100mol%以下含まれていることが好ましい。
(1.3 基板)
図1に示す基板10は、その上に形成される第1の電極20、誘電体膜30および第2の電極40を支持できる程度の機械的強度を有する材料で構成されていれば特に限定されない。たとえば、単結晶(たとえば、SrTiO単結晶、MgO単結晶、LaAlO単結晶など)、アモルファス材料(たとえば、ガラス、溶融石英、SiO/Siなど)、その他の材料(たとえば、ZrO/Si、CeO/Siなど)等が例示される。
基板1の厚みは、基板を構成する材料に応じて設定すればよい。たとえば、100μm〜2000μmに設定される。
(1.4 第1の電極)
図1に示すように、基板10の上には、第1の電極20が薄膜状に形成されている。第1の電極20は、後述する第2の電極40とともに誘電体膜30を挟み、コンデンサとして機能させるための電極である。第1の電極20を構成する材料は、導電性を有する材料であれば特に制限されない。たとえば、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等の金属、または、それらの合金等が例示される。
第1の電極20の厚みは、電極として機能する程度の厚みであれば特に制限されない。本実施形態では、厚みは0.01μm以上5000μm以下であることが好ましい。
(1.5 第2の電極)
図1に示すように、誘電体膜30上には、第2の電極40が薄膜状に形成されている。第2の電極40は、上述した第1の電極20とともに、誘電体膜30を挟み、コンデンサとして機能させるための電極である。したがって、第2の電極40は、第1の電極30とは異なる極性を有している。
第2の電極40を構成する材料は、第1の電極20と同様に、導電性を有する材料であれば特に制限されない。たとえば、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等の金属、または、それらの合金等が例示される。また、第2の電極40は室温で形成できるので、鉄(Fe)、または、珪化タングステン(WSi)、珪化モリブデン(MoSi)等の合金を用いてもよい。
第2の電極40の厚みは、電極として機能する程度の厚みであれば特に制限されない。本実施形態では、厚みは10nm以上10000nm以下であることが好ましい。
(2.薄膜コンデンサの製造方法)
次に、図1に示す薄膜コンデンサ1の製造方法の一例について以下に説明する。
まず、基板10を準備する。基板10として、たとえば、Siウエハを用いる場合、当該基板の一方の主面に絶縁層を形成する。絶縁層を形成する方法としては、熱酸化法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の公知の成膜法を用いればよい。
続いて、形成された絶縁層上に、公知の成膜法、たとえば、スパッタリング法を用いて第1の電極を構成する材料の薄膜を形成して第1の電極20を形成する。
続いて、誘電体膜30を構成する材料を第1の電極20上に堆積させて誘電体膜30を形成する。本実施形態では、公知の成膜法を用いて、第1の電極上に第1の誘電体膜31を形成し、その後、第1の誘電体膜31上に第2の誘電体膜32を形成する。
公知の成膜法としては、たとえば、真空蒸着法、スパッタリング法、パルスレーザー蒸着法(Pulsed Laser Deposition:PLD)、有機金属化学気相成長法(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)、有機金属分解法(Metal Organic Decomposition:MOD)またはゾル・ゲル法、CSD(化学溶液堆積法)等が例示される。
たとえば、スパッタリング法を用いる場合、所望の組成のターゲットを用いて、第1の電極20上に第1の誘電体薄膜31を形成する。スパッタリング条件は、高周波電力が好ましくは100W〜300Wであり、雰囲気のアルゴン(Ar)/酸素(O)比が、好ましくは1/1〜5/1であり、基板温度が、好ましくは室温〜1000℃である。
上記の条件のうち、たとえば、基板温度を変化させることにより、第1の誘電体膜31の被覆率Sを制御することができる。また、BaTi(BT2)中の金属元素をSnで置換した複合酸化物が第1の誘電体膜31に含まれる場合、ターゲットの組成比を変化させることにより、第1の誘電体膜31中のSn量を制御することができる。
続いて、第1の誘電体膜31上に第2の誘電体膜32を形成する。第2の誘電体膜32を形成する方法は、公知の成膜法であればよい。公知の成膜法としては、第1の誘電体膜31の形成と同様に、たとえば、真空蒸着法、スパッタリング法、パルスレーザー蒸着法(Pulsed Laser Deposition:PLD)、有機金属化学気相成長法(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)、有機金属分解法(Metal Organic Decomposition:MOD)またはゾル・ゲル法、CSD(化学溶液堆積法)等が例示される。
たとえば、スパッタリング法を用いる場合、所望の組成のターゲットを用いて、第1の誘電体薄膜31上に第2の誘電体薄膜32を形成する。スパッタリング条件は、高周波電力が好ましくは100W〜300Wであり、雰囲気のアルゴン(Ar)/酸素(O)比が、好ましくは1/1〜5/1であり、基板温度が、好ましくは500〜1100℃である。
上記の条件のうち、BTにおけるSnの置換率は、ターゲットの組成比を変化させることにより制御することができる。さらに、以下のようにすることにより、BT中のAサイト(Ba)をSnで選択的に置換し、Snの主置換サイトをBaサイトとすることができる。
Snは大気中では価数が4価の状態が安定であり、価数が同じであるTiを置換しやすい。価数が2価であるBaを置換させる場合には、Snの価数を4価から2価に還元する必要がある。そこで、成膜時の雰囲気を還元雰囲気にすることにより、通常、Tiを置換するSnが、TiではなくBaを置換するように制御している。
本実施形態では、スパッタリング法を用いる場合において、成膜時の酸素分圧を0.1Pa以下にすることにより、Snは主としてBaを置換するので、Tiが置換される割合を少なくできる。一方、成膜時の酸素分圧が0.1Paよりも高すぎる場合には、SnはほぼTiを置換し、Baはほぼ置換されない。上述したように、酸素がある程度存在している環境下では、Snは4価の状態が安定であり、同じ価数のTiを置換するからである。
成膜後のBTにおけるSnの置換サイトを確認する方法は特に制限されないが、たとえば、BT中のSnが示すX線吸収端近傍構造(X-ray Absorption Near Edge Structure:XANES)と、Snの価数が2価であるSnO中のSnが示すX線吸収端近傍構造と、Snの価数が4価であるSnO中のSnが示すX線吸収端近傍構造と、を比較して、BT中のSnの価数を同定することができる。また、STEMにより、BT中のBaサイトおよびTiサイトを観察し、付属のEDSによる組成分析により、Snの主置換サイトを同定することができる。
次に、本実施形態では、形成した第2の誘電体膜32上に、公知の成膜法を用いて第2の電極を構成する材料の薄膜を形成して第2の電極40を形成する。
以上の工程を経て、図1に示すように、基板10上に、コンデンサ部(第1の電極20、誘電体膜30および第2の電極40)が形成された薄膜コンデンサ1が得られる。
(3.本実施形態における効果)
本実施形態では、誘電体膜の薄膜化に起因する特性の低下を抑制するために、誘電体膜を、二チタン酸バリウム(BaTi)を主成分とする第1の誘電体膜と、チタン酸バリウム(BaTiO)中のBaの一部がSnで置換された複合酸化物を主成分とする第2の誘電体膜との2層の膜から構成している。
まず、高い比誘電率を担う層である第2の誘電体膜において、サイズ効果による比誘電率の低下を抑制するために、BaTiO中の金属元素(BaおよびTi)の一部をSnで置換し、さらに、Snが主に置換するサイトを、通常Snが置換するTiサイトではなく、Baサイトとしている。すなわち、Snが置換する金属元素を100%とした場合、60%以上をBaとしている。Snの主置換サイトをBaサイトとすることにより、ペロブスカイト構造におけるc軸長さが長くなり、c軸とa軸との比であるc/aが大きくなる。その結果、ペロブスカイト構造の正方晶性が維持され、サイズ効果による比誘電率の低下を抑制できる。なお、Snの主置換サイトがTiサイトである場合には、上記の効果は得られず、逆に比誘電率は低下してしまう。
続いて、第1の誘電体膜を粒界が存在しない微結晶で構成することにより、電流の導通経路を少なくして、リーク電流を減らすことができる。また、第1の誘電体膜の主成分である二チタン酸バリウム(BaTi)は、チタン酸バリウムと構成元素が同じであるため、第1の誘電体膜と第2の誘電体膜との界面における整合性が良好である。その結果、比誘電率が比較的に低い第2の誘電体膜が存在していても誘電体膜全体としての比誘電率を高く維持することができる。
すなわち、本実施形態に係る誘電体素子は、誘電体膜が上記の構成を有し、かつ第1の誘電体膜の厚みT1と誘電体膜の厚みT2とを上述した範囲内とすることにより、高い比誘電率(たとえば、1000超)と、良好なリーク電流特性(たとえば、リーク電流密度が1.0×10−7以下)とを両立することができる。
また、第2の誘電体膜におけるSnの置換率を上記の範囲内とすることにより、良好なリーク電流特性を維持しつつ、より高い比誘電率を得ることができる。
また、第1の誘電体膜が第1の電極を覆う割合である被覆率を上記の範囲内とすることにより、比誘電率の低下を抑制しつつ、リーク電流密度を非常に小さくすることができる。
また、第1の誘電体膜の主成分である二チタン酸バリウム(BaTi)において、金属元素をSnで置換し、その割合を上記の範囲内とすることにより、第1の誘電体膜と第2の誘電体膜との整合性がさらに良好となる。その結果、比誘電率およびリーク電流特性の両方をさらに高めることができる。
(4.変形例)
上述した実施形態では、誘電体膜が、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜のみで構成される場合を説明したが、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜とは異なる誘電体膜をさらに有していてもよい。
また、上述した実施形態では、基板上に第1の電極が形成され、第1の電極上に、第1の誘電体膜、第2の誘電体膜、第2の電極がこの順序で形成されている構成について説明したが、基板上に第2の電極が形成され、第2の電極上に、第2の誘電体膜、第1の誘電体膜、第1の電極がこの順序で形成されている構成であってもよい。このような構成でも、上述した実施形態の薄膜コンデンサと同じ効果を得ることができる。
また、上述した実施形態では、基板上に第1の電極が形成される構成を説明したが、基板と第1の電極との間に、基板と第1の電極との密着性を向上させるために密着層が形成されていてもよい。密着層を構成する材料は、基板と第1の電極との密着性が十分に確保できる材料であれば特に制限されない。たとえば、クロム(Cr)、チタン(Ti)等が例示される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。
以下、実施例において、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実験例1)
まず、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜の形成に必要なスパッタリング用ターゲットを固相法により以下のようにして作製した。
ターゲット作製用の原料粉末として、BaCO、TiO、SnOの粉末を準備した。第1の誘電体膜用のターゲットの原料は、BaCO粉体と、TiO粉体とを、組成がBaTiとなるように秤量した。第2の誘電体膜用のターゲットの原料は、BaCO粉体と、TiO粉体と、SnO粉体とを、BaTiOのBaおよびTiがSnにより25%置換されるように秤量した。
ボールミル中で水を溶媒として、秤量した第1の誘電体膜用のターゲットの原料粉末の湿式混合を20時間行った。得られた混合粉末スラリーを100℃で乾燥させ、混合粉末を得た。得られた混合粉末を、プレス機によるプレス成形して成形体を得た。成形条件は、圧力を100Pa、温度を25℃、プレス時間を3分とした。
その後、得られた成形体を焼成して焼結体を得た。焼成条件は、保持温度を1300℃、温度保持時間を10時間、雰囲気を空気中とした。
得られた焼結体を、平面研削盤と円筒研磨機により直径200mm、厚さ6mmに加工して、第1の誘電体膜を形成するためのスパッタリング用ターゲットを得た。第2の誘電体膜を形成するためのスパッタリング用ターゲットも、第1の誘電体膜を形成するためのスパッタリング用ターゲットと同様にして作製した。
続いて、厚みが500μmのSiウエハを、酸化性ガスの乾燥した雰囲気下で熱処理することにより、厚みが500nmのSiO膜を形成して、基板とした。この基板の表面に、まず、Ti薄膜を20nmの厚さとなるようにスパッタリング法で形成した。さらに、上記で形成したTi薄膜上に、Pt薄膜を100nmの厚さとなるようにスパッタリング法で形成し、第1の電極とした。
次に、第1の電極上に、上記で作製した第1の誘電体膜のスパッタリング用ターゲットを用いて、スパッタリング法により、厚さ20nmの第1の誘電体膜を形成した。スパッタリング条件は、雰囲気:Ar/O=3/1、圧力:1.0Pa、高周波電力:200W、基板温度:500℃とした。なお、比較例1および2では、第1の誘電体膜は形成しなかった。
次に、第1の誘電体膜上、または、第1の電極上に、上記で作製した第2の誘電体膜のスパッタリング用ターゲットを用いて、スパッタリング法により、第2の誘電体膜を形成した。スパッタリング条件は、雰囲気:Ar/O=3/1、圧力:0.1Pa、高周波電力:200W、支持基板温度:500℃とした。
次いで、得られた第2の誘電体膜上に、スパッタリング法にてPt薄膜を、マスクを使って、直径5mm、厚さ50nmとなるように形成し、第2の電極とした。以上の工程を経て、図1に示す構成を有する薄膜コンデンサ試料を得た。
なお、表1において、「誘電体膜の構成」の欄では、第1の電極上に第1の誘電体膜が形成され、第1の誘電体膜上に第2の誘電体膜が形成されている構成を「BT2+BT」と表記した。また、第1の電極上に第2の誘電体膜のみが形成されている構成を「BT」と表記した。
また、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜の組成は、すべての試料についてXRF(蛍光X線元素分析)を使用して分析を行い、表1に記載の組成と一致していることを確認した。また、誘電体膜の厚みは、薄膜コンデンサをFIBで掘削し、得られた断面をTEMで観察して測長した値とした。
また、第2の誘電体膜におけるSnの置換サイトは、以下のようにして確認した。第2の誘電体膜に対し、X線を照射してX線吸収スペクトルを得て、SnのK端のX線吸収端近傍構造を解析して、リファレンスとしてのSnOにおけるSnのK端のX線吸収端近傍構造と、SnOにおけるSnのK端のX線吸収端近傍構造とを比較し、Snの価数を同定した。Snの価数が2価である場合には、BaTiOのBaを置換していると判断し、Snの価数が4価である場合には、BaTiOのTiを置換していると判断した。
さらに、第2の誘電体膜をSTEMにより観察し、BT中のBaサイトおよびTiサイトをSTEMに付属のEDSにより分析を行い、Snが置換しているBaおよびTiの合計を100%としたときに、Baが60%以上である試料について、Snの主置換サイトがBaサイトであると判断し、それ以外の試料について、Snの主置換サイトがTiサイトであると判断した。なお、実施例1〜36では、Snが置換しているBaおよびTiの合計を100%としたときに、Baが80%以上であった。
得られたすべての薄膜コンデンサ試料について、比誘電率およびリーク電流特性の測定を、下記に示す方法によって行った。
<比誘電率>
比誘電率は、薄膜コンデンサ試料に対し、基準温度25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHzにおいて、入力信号レベル(測定電圧)が1Vrms/μmとなるように交流電圧を印加して測定された静電容量と、上記で得られた誘電体膜の厚みと、から算出した(単位なし)。比誘電率は高い方が好ましく、本実施例では、1000超を良好とした。結果を表1に示す。
<リーク電流特性>
リーク電流特性は、リーク電流密度の値により評価した。まず、デジタル超高抵抗計(エーディーシー社製R8340A)を用いて、薄膜コンデンサに印加される電界強度が4V/μmとなるように直流電圧を印加して、絶縁抵抗を測定した。得られた絶縁抵抗と第2の電極の電極面積とからリーク電流密度を算出した。リーク電流密度は小さい方が好ましく、本実施例では、1.0×10−7[A/cm]以下(10.0×10−8[A/cm]以下)を良好とした。結果を表1に示す。
Figure 0006766702
表1より、誘電体膜を上記の構成とすることにより、比誘電率およびリーク電流密度の両方が良好であることが確認できた。一方、誘電体膜が1層から構成されている場合には、リーク電流密度が悪化することが確認できた。また、第2の誘電体膜において、Snが金属元素の一部を置換していない場合、または、Snの主置換サイトがTiである場合には、比誘電率が低下することが確認できた。
(実験例2)
ターゲットの組成比を変化させて第2の誘電体膜におけるSnの置換率(m)が表2の値となるようにした以外は、実験例1と同じ方法により薄膜コンデンサを作製し、実験例1と同じ評価を行った。また、成膜時の基板温度を変化させて第1の誘電体膜の被覆率が表2の値となるようにした以外は、実験例1と同じ方法により薄膜コンデンサを作製し、実験例1と同じ評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006766702
表2より、第2の誘電体膜において、Snの主置換サイトをBaサイトとしつつ、Snの置換率(m)を上記の範囲内とすることにより、比誘電率をより高めることが確認できた。また、被覆率を上記の範囲内とすることにより、比誘電率の低下を抑制しつつ、リーク電流密度をより低下させることが確認できた。
(実験例3)
ターゲットの組成比を変化させて第1の誘電体膜におけるSnの置換率(n)が表2の値となるようにした以外は、実験例1と同じ方法により薄膜コンデンサを作製し、実験例1と同じ評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006766702
表3より、第1の誘電体膜におけるSnの置換率(n)を上記の範囲内とすることにより、比誘電率およびリーク電流密度の両方をより高めることが確認できた。
本発明に係る誘電体素子は、誘電体膜が上述した構成を有することにより、高い比誘電率(たとえば、1000超)と、良好なリーク電流特性(たとえば、リーク電流密度が1.0×10−7以下)と、を両立できる。したがって、このような誘電体素子は、たとえば、電子回路基板内に埋め込まれる薄膜コンデンサとして好適である。
1… 薄膜コンデンサ
10… 基板
20… 第1の電極
30… 誘電体膜
31… 第1の誘電体膜(BT2)
32… 第2の誘電体膜(BT)
40… 第2の電極

Claims (5)

  1. 第1の電極と、誘電体膜と、第2の電極と、を有する誘電体素子であって、
    前記誘電体膜は、前記第1の電極上に形成された第1の誘電体膜と、少なくとも前記第1の誘電体膜上に形成された第2の誘電体膜と、を有し、
    前記第1の誘電体膜は、二チタン酸バリウム(BaTi)を主成分として含み、前記第1の誘電体膜は平均粒子径が20nm以下の微結晶で構成されており、
    前記第2の誘電体膜は、チタン酸バリウム(BaTiO)中の金属元素の一部がスズで置換され、前記スズの主置換サイトがBaサイトである複合酸化物を主成分として含み、
    前記第1の誘電体膜の厚みをT1とし、前記誘電体膜の厚みをT2とすると、前記T1および前記T2が0.005≦T1/T2≦0.250である関係を満足し、前記T1が2nm以上であることを特徴とする誘電体素子。
  2. 前記チタン酸バリウム中の金属元素のうち、スズに置換されている割合が0.5%以上70%以下であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体素子。
  3. 前記誘電体素子の断面において、前記第1の電極の幅に対して、前記第1の誘電体膜が前記第1の電極に接触している長さを第1の誘電体膜の被覆率とすると、前記被覆率が50%以上100%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の誘電体素子。
  4. 前記二チタン酸バリウム中の金属元素の一部がスズで置換されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の誘電体素子。
  5. 前記二チタン酸バリウム中の金属元素のうち、スズに置換されている割合が1%以上30%以下であることを特徴とする請求項4に記載の誘電体素子。
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