JP6620637B2 - 誘電体薄膜素子 - Google Patents

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Description

本発明は、誘電体薄膜を備える薄膜コンデンサ等の誘電体薄膜素子に関する。
電子機器の多機能化に伴い、電子機器に含まれている電子回路基板には様々な機能の追加が望まれている。そのため、電子回路基板に実装される電子部品の個数は、多くなる傾向にある。このため、電子部品の実装密度を向上させることが強く望まれている。
その要求の回答の一つとして、電気回路基板内に電子部品を埋め込むことが提案されている。電子回路基板に多く実装されている電子部品の一つに、従来の積層セラミックコンデンサがある。しかしながら、この積層セラミックコンデンサを電気回路基板内に埋め込む場合、積層セラミックコンデンサの厚み及びセラミックスという性質からくる脆性に起因して、埋め込みの工程において発生する応力により、積層セラミックコンデンサにクラックが発生したり、埋め込んだ部分の電気回路基板が変形したりする等の問題があった。
これらの問題は、従来の積層セラミックコンデンサの中で、極小な形状を用いた場合でも解消することは困難であった。そのため、電気回路基板内への埋め込み用のコンデンサとして、積層セラミックコンデンサより薄い低背なコンデンサが望まれている。低背なコンデンサとしては、従来、誘電体薄膜素子の一例である薄膜コンデンサが知られている。
誘電体薄膜素子の一例である薄膜コンデンサは、小型、高性能の電子部品としてデカップリングコンデンサなどの用途で広く利用されている。そのため、高い静電容量を有すること、絶縁耐圧が高いことが、要求されている。高い絶縁耐圧を実現する手段として、誘電体薄膜素子を構成している誘電体薄膜の厚みを増加させることが通常採用される。これにより、高い絶縁耐圧が得られるが、市場要求である高い静電容量を実現することが困難となってしまう。このように、これまでの改善策では、高い静電容量と高い絶縁耐圧はトレードオフの関係にあった。このため、高い静電容量と高い絶縁耐圧を実現するために、誘電体薄膜を構成する誘電体組成物や、誘電体薄膜の製造方法の改善がなされている。その結果、高い静電容量を得るために必要な高い比誘電率を有する誘電体薄膜や、絶縁耐圧を得られ易い製造方法が見出されてきた。
特許文献1では、高い比誘電率と高い絶縁耐圧を実現するために、表面にTi元素を有する導電性の基板上に、水熱合成法で形成されたBa1−xCaZrTi1−y(但し、0<x<0.2、0<y<1)で表わされる誘電体薄膜に関する技術が開示されている。前記特許文献1では、BaとCaの比と、ZrとTiの比を制御することによって膜を緻密化し、高い比誘電率と高い絶縁耐圧を実現している。しかし、得られた絶縁耐圧の最大値が40kV/mm(40V/μm)程度であり、市場要求を満足するに至っていない。
また、特許文献2には、高い絶縁耐圧を実現するために、誘電体薄膜の成膜プロセス以外にも存在するヒロックの発生要因を解明し、その際の条件を制御することでヒロックを抑制し、リーク電流特性及び絶縁耐圧特性に優れた薄膜キャパシタを製造する技術についての開示がある。前記特許文献2には、比誘電率の記載がないが、前記特許文献2に記載と同一の組成の誘電体薄膜に関して記載している特許文献3および特許文献4によれば、比誘電率は500未満であり、市場要求を満足するものではない。
特開2000−173349号公報 特開2012−15505号公報 特願平9−157008号公報 特開2006−128657号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、高い比誘電率を有する誘電体薄膜を備え、高い絶縁耐圧を有する誘電体薄膜素子を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1の電極と、前記第1の電極上に形成された誘電体薄膜と、前記誘電体薄膜上に形成された第2の電極とを備えた誘電体薄膜素子であって、前記誘電体薄膜は、BaTiOを主成分とした第1の誘電体と、組成式[BaO][TiO]で表した場合、前記組成式中のmが0.40≦m≦0.60である第2の誘電体とから成り、前記第2の誘電体は、前記第1の電極と少なくとも接し、かつ、島状であることを特徴とする。
上記の特徴を有する誘電体薄膜素子を形成することで、高い比誘電率を有する誘電体薄膜を備えた誘電体薄膜素子であっても、高い絶縁耐圧を実現できる。発明者らは、このような効果が得られる要因を次のように考えている。ただし、作用は以下のものに限定されない。
発明者らは、前記第2の誘電体のmを本発明の範囲内にすることで、前記第2の誘電体の比誘電率の低下が小さく、島状であることで、誘電体薄膜の比誘電率の低下を抑制するとともに、前記第2の誘電体が、前記第1の電極と接し、かつ、島状であることで、局所的に、絶縁耐圧が低い部分を被覆し、絶縁耐圧を改善することを見出した。
前記第2の誘電体と前記第1の誘電体の誘電率の差が小さい理由については、現在のところ不明であるが、前記第1の誘電体と前記第2の誘電体の構成元素が、いずれもBa、Ti、Oで共通していることから、前記第1の誘電体と前記第2の誘電体の界面の整合性が高いために、組成を大きく変更しても比誘電率の低下が少なくなったと考えている。さらに、島状であることで前記第1の電極と、前記第2の電極の間に、比誘電率が高い前記第1の誘電体のみが存在する領域が広いことで、比誘電率の低下が小さいものと考えている。
前記第2の誘電体が、絶縁耐圧が低い部分を被覆し、絶縁耐圧が改善する理由についても、現在のところ不明であるが、前記第2の誘電体のmを本発明の範囲内にすることで、前記第1の電極と前記第1の誘電体の間で、たとえば段差があり、電界を印加した時に、電界が集中しやすい部分に、前記第2の誘電体が形成されやすく、さらに、前記第2の誘電体が数nmの微結晶で構成されていることにより、電流の導通経路となる低抵抗の粒界が生成されないことから、絶縁耐圧が高くなると考えている。
さらに、本発明の望ましい態様としては、前記誘電体薄膜の厚みをT1、前記誘電体薄膜の厚みに平行な断面における前記第2の誘電体の高さをT2、前記断面における前記第2の誘電体の前記第1の電極と接している幅をW2としたとき、0.005≦T2/T1≦0.250、および0.005≦W2/T1≦0.500であることが好ましい。
第2の誘電体の島状の形状を0.005≦T2/T1≦0.250、および0.005≦W2/T1≦0.500とすることで、さらに高い比誘電率を維持しつつ、絶縁耐圧を向上させることができる。
また、本発明の望ましい態様としては、前記第2の誘電体が、前記第1の電極を10%〜50%被覆していることが好ましい。
前記第2の誘電体が、前記第1の電極の10%〜50%を被覆することで、より高い絶縁耐圧を実現することが可能になる。
本発明の望ましい態様としては、前記第1の誘電体が(111)面に優先配向していることが好ましい。
前記第1の誘電体が(111)面に優先配向していることで、さらに絶縁耐圧が高くなる傾向にある。
本発明によれば、高い比誘電率をを有する誘電体薄膜を備え、高い絶縁耐圧を有する誘電体薄膜素子を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る薄膜コンデンサの断面図である。 実施例1における、誘電体薄膜の厚み方向断面の、第2の誘電体付近の、STEM−HAADF(Scanning Transmission Electron Microscopy − High−Angle Annular Dark−Field)像である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
<薄膜コンデンサ10>
図1に示されるように、本実施態様にかかる薄膜コンデンサ10は、支持基板1上に、第1の電極2と、第2の電極4と、第1の電極2および第2の電極4の間に設けられた誘電体薄膜3とを備えている。薄膜コンデンサ10の形状は特に限定されず、所望の大きさとすればよい。また、支持基板1は、薄膜コンデンサ10全体の機械的強度を確保する機能を有する。支持基板1がなくても、薄膜コンデンサ10全体の機械的強度が確保できる場合は、支持基板1は設けなくても良い。
<支持基板1>
支持基板1の材料は特に限定されないが、単結晶(たとえば、SrTiO単結晶、MgO単結晶、LaAlO単結晶など)、アモルファス材料(たとえば、ガラス、溶融石英、SiO/Siなど)、その他の材料(たとえば、ZrO/Si、CeO/Siなど)などで構成される。支持基板1の厚みは、特に限定されず、たとえば100μm〜2000μm程度である。
<第1の電極2>
第1の電極2を形成するための材料は、導電性を有していればとくに限定されるものではなく、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)などの金属などによって形成することができる。なお、第1の電極2を支持基板1上に形成する前に、支持基板1と第1の電極2との密着性を向上させるために、支持基板1上に密着層を形成してもよい。密着層を形成するための材料は、支持基板1と第1の電極2を接着するものであれば、とくに限定されるものではなく、例えばチタン(Ti)やクロム(Cr)などによって、密着層を形成することができる。第1の電極2の厚さは、薄膜コンデンサの電極として機能することができれば、とくに限定されるものではなく、たとえば、0.01μm〜5000μmに設定することができる。
<誘電体薄膜3>
誘電体薄膜3は、BaTiOを主成分とした第1の誘電体3aと、組成式[BaO][TiO]で表した場合、前記組成式中のmが0.40≦m≦0.60、より好ましくは0.45≦m≦0.55である第2の誘電体3bとから成り、前記第2の誘電体3bは、前記第1の電極2と少なくとも接し、かつ、島状である。前記第2の誘電体3bの形状は、不連続の島状であれば、半円形や、四角形などの定形でも、不定形でも良い。
上記の特徴を有することで、高い比誘電率を有し、かつ、高い絶縁耐圧を実現できる。
さらに、本発明の望ましい態様としては、前記誘電体薄膜3の厚みをT1、前記誘電体薄膜3の厚みに平行な断面における前記第2の誘電体の高さをT2、前記断面における前記第2の誘電体の前記第1の電極2と接している幅をW2としたとき、0.005≦T2/T1≦0.250、より好ましくは0.050≦T2/T1≦0.200、および0.005≦W2/T1≦0.500、より好ましくは0.005≦W2/T1≦0.250であることが好ましい。
第2の誘電体の島状の形状を0.005≦T2/T1≦0.250、および0.005≦W2/T1≦0.500とすることで、さらに高い比誘電率を維持しつつ、絶縁耐圧を向上させることができる。
また、本発明の望ましい態様としては、前記第2の誘電体が、前記第1の電極を10%〜50%被覆していることが好ましい。
前記第2の誘電体が、前記第1の電極の10%〜50%を被覆することで、より高い絶縁耐圧を実現することが可能になる。
本発明の望ましい態様としては、前記第1の誘電体が(111)面に優先配向していることが好ましい。
前記第1の誘電体が(111)面に優先配向していることで、電圧印加方向に対して、自発分極方向が斜めになり、電圧印加による自発分極方向の変化が小さい。このため結晶構造変位が小さく、さらに絶縁耐圧が高くなる傾向にある。
誘電体薄膜3は、本発明の効果である比誘電率や絶縁耐圧を大きく劣化させるものでなければ、微少な不純物や副成分を含んでいてもかまわない。よって、残部である主成分の含有量は特に限定されるものではないが、たとえば前記主成分を含有する誘電体組成物全体に対して80mol%以上、100mol%以下である。
誘電体薄膜3の厚さは、用途に応じて適宜設定すればよいが、例えば、10nm〜1000nm程度である。誘電体薄膜3の厚さが10nm未満であると、結晶成長が抑制されて、比誘電率が低下する可能性がある。誘電体薄膜3の厚さが1000nm以上であると、セラミックスの脆性が顕著になり、誘電体薄膜作製時、もしくは埋め込み工程中に誘電体薄膜にクラックが発生する可能性がある。
実施形態として誘電体薄膜の形状は特に限定されない。例えば、長方形や円形でも良い。
<第2の電極4>
第2の電極4を形成するための材料は、導電性を有していれば、とくに限定されるものではなく、第1の電極2と同様な材料によって形成することができる。さらに、前記第2の電極4については、室温で形成することができるため、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)などの卑金属や、珪化タングステン(WSi)、珪化モリブデン(MoSi)などの合金を用いて、上部電極構造体の薄膜を形成することもできる。第2の電極4の厚さは、薄膜コンデンサの電極として機能することができれば、とくに限定されるものではなく、たとえば、10nm〜10000nmに設定することができる。
次に本実施形態の薄膜コンデンサ10の製造方法を説明する。
まず、Siウェハ表面に、酸化性ガス雰囲気下、ドライ酸化又はウェット酸化を施すことにより熱酸化膜(SiO)を形成し、支持基板1とする。
次に、支持基板1上に、たとえばスパッタリング法により、密着層としてTiを成膜する。なお、前記密着層は、前記支持基板1と後述の第1の電極2との接着が十分であれば、特に設けなくてもよい。
次に、前記Ti上に、たとえばスパッタリング法により、第1の電極2であるPt薄膜を形成する。
次に、前記第1の電極2上に、第2の誘電体3bを形成する。第2の誘電体3bは、真空蒸着法、スパッタリング法、パルスレーザー蒸着法(Pulsed Laser Deposition:PLD)、有機金属化学気相成長法(Metal−Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)、有機金属分解法(Metal Organic Decomposition:MOD)またはゾル・ゲル法などの各種薄膜形成法を用いて、形成することができる。
スパッタリング法の場合、所望の組成のターゲットを用いて、前記Pt薄膜上に、第2の誘電体3bを形成する。条件は、雰囲気のアルゴン(Ar)/酸素(O)比が、好ましくは1/1〜5/1であり、支持基板温度が、好ましくは850℃〜1000℃である。第2の誘電体3bのスパッタ条件を、この範囲にすることにより、第2の誘電体3bの形状を島状にすることができる。
本実施形態に関わる第2の誘電体3bは、さらに、所望の特性に応じて、その他の成分、たとえば、遷移元素や希土類元素、アルカリ土類金属元素などの成分を含有してもよい。
次に、前記第2の誘電体3b上に、第1の誘電体3aを形成する。第1の誘電体3aは、真空蒸着法、スパッタリング法、PLD法、MOCVD法、MOD法またはゾル・ゲル法などの各種薄膜形成法を用いて、形成することができる。
スパッタリング法の場合、BaTiOのターゲットを用いて、前記第2の誘電体3b上に、第1の誘電体3aを形成する。条件は、雰囲気のAr/O比が、好ましくは1/1〜5/1であり、支持基板温度が、好ましくは500℃〜700℃である。第1の誘電体3aのスパッタ時の支持基板温度を、第2の誘電体3bのスパッタ時の支持基板温度より100℃以上低く、かつ500℃以上とすることにより、第2の誘電体3bの島の形状を変形させることなく、第1の誘電体3aと第2の誘電体3bの整合性を、より高められる。
上記スパッタリング法による第1の誘電体3aの成膜時に、基板の温度を制御することで、前記第1の誘電体3aの配向面を制御することができる。特に本発明においては、第2の誘電体3bの構成元素が、Ba、Ti、Oで、第1の誘電体3aと共通していることから、第2の誘電体3bと第1の誘電体3aの界面の整合性が高いために、第2の誘電体薄膜の成膜初期から欠陥が少なく、配向性が高い誘電体薄膜が得られる。
本実施形態に関わる第1の誘電体3aは、さらに、所望の特性に応じて、その他の成分、たとえば、遷移元素や希土類元素、アルカリ土類金属元素などの成分を含有してもよい。
次いで、得られた前記第1の誘電体3a上に、たとえばスパッタリング法にて第2の電極4であるPt薄膜を形成し、薄膜コンデンサ10が得られる。
上述した実施形態では、本発明に係る薄膜コンデンサを例示したが、本発明に係る誘電体薄膜素子としては、薄膜コンデンサに限定されず、上記誘電体膜を備える誘電体素子であれば何でも良い。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
[実施例1]
厚さ500μmのSiウェハを酸化性ガスの乾燥した雰囲気下、熱処理することにより、厚さ500nmのSiO膜を形成して、支持基板とした。
次に、前記支持基板上に、スパッタリング法により厚さ20nmのTi膜を形成した。
次に、Ptを貴金属材料として用い、スパッタリング法により、上記Ti膜上に厚さ100nmの第1の電極を形成した。
BaTiOよりなる第1の誘電体および、組成式[BaO][TiO]で表される第2の誘電体を形成するために必要な、スパッタリング用のターゲットは、いずれも、BaCO粉体とTiO粉体を混合加熱する、固相法にて作製した。なお、ターゲット中のBaCO、TiOの組成比は、第1の誘電体のスパッタリング用のターゲットは化学量論比組成が得られるように原料粉を調整し、第2の誘電体のスパッタ用のターゲットはm=0.4になるように原料粉を調整した。
次いで、ボールミル中で水を溶媒として20時間、湿式混合し、混合粉末を100℃にて乾燥させた。
得られた混合粉末をプレスして成形体を得た。成形条件は、圧力:100Pa、温度:25℃、プレス時間:3分とした。
その後、成形体を保持温度:1300℃、温度保持時間:10時間、雰囲気:空気中にて焼結させた。
そして、得られた焼結体を、平面研削盤と円筒研磨機により直径200mm、厚さ6mmに加工して前記誘電体薄膜を形成するために必要な、スパッタリング用ターゲットを得た。
次に、前記第1の電極上に、前記第2の誘電体のスパッタ用ターゲットを用いて、雰囲気:Ar/O=3/1、圧力:1.0Pa、高周波電力:450W、支持基板温度:900℃の条件で、スパッタリング法により、第2の誘電体を得た。誘電体の厚みは、前記第2の誘電体による前記第1の電極の被覆率が100%になった場合の厚みに換算したとき、5.0nmになるようにした。
次に、前記第2の誘電体上に、前記第1の誘電体のスパッタ用ターゲットを用いて、雰囲気:Ar/O=3/1、圧力:1.0Pa、高周波電力:450W、支持基板温度:700℃の条件で、スパッタリング法により、第1の誘電体を形成し、誘電体薄膜を得た。誘電体薄膜の厚みは200nmとした。
次いで、得られた前記誘電体薄膜上に、スパッタリング法にて第2の電極であるPt薄膜を、マスクを使って、直径5mm、厚さ50nmとなるように形成し、薄膜コンデンサを得た。
[実施例2〜実施例20および比較例1、比較例2、比較例4、比較例5]
表1に示すように条件を変更した以外は、実施例1と同様に薄膜コンデンサ試料を得た。
[比較例3]
第1の電極の形成までは、実施例1と同様に行った。
BaTiOよりなる第1の誘電体および、組成式[BaO][TiO]で表される第2の誘電体を形成するために必要な、スパッタリング用のターゲットは、いずれも、BaCO粉体とTiO粉体を混合加熱する、固相法にて作製した。なお、ターゲット中のBaCO、TiOの組成比は、第1の誘電体のスパッタリング用のターゲットは化学量論比組成が得られるように原料粉を調整し、第2の誘電体のスパッタ用のターゲットはm=0.5になるように原料粉を調整した。
次いで、ボールミル中で水を溶媒として20時間、湿式混合し、混合粉末を100℃にて乾燥させた。
得られた混合粉末をプレスして成形体を得た。成形条件は、圧力:100Pa、温度:25℃、プレス時間:3分とした。
その後、成形体を保持温度:1300℃、温度保持時間:10時間、雰囲気:空気中にて焼結させた。
そして、得られた焼結体を、平面研削盤と円筒研磨機により直径200mm、厚さ6mmに加工して前記誘電体薄膜を形成するために必要な、スパッタリング用ターゲットを得た。
次に、前記第1の電極上に、前記第1の誘電体のスパッタ用ターゲットを用いて、雰囲気:Ar/O=3/1、圧力:1.0Pa、高周波電力:200W、支持基板温度:700℃の条件で、スパッタリング法により、第1の誘電体を形成した。厚みは100nmとした。
次に、前記第1の誘電体上に、前記第2の誘電体のスパッタ用ターゲットを用いて、雰囲気:Ar/O=3/1、圧力:1.0Pa、高周波電力:450W、支持基板温度:900℃の条件で、スパッタリング法により、第2の誘電体を得た。誘電体の厚みは、前記第2の誘電体による前記第1の誘電体の被覆率が100%になった場合の厚みに換算したとき、5.0nmになるようにした。
次に、前記第2の誘電体上に、前記第1の誘電体のスパッタ用ターゲットを用いて、雰囲気:Ar/O=3/1、圧力:1.0Pa、高周波電力:200W、支持基板温度:700℃の条件で、スパッタリング法により、厚み95nmで第1の誘電体を形成し、厚み200nmの誘電体薄膜を得た。
次いで、得られた前記誘電体薄膜上に、スパッタリング法にて第2の電極であるPt薄膜を、マスクを使って、直径5mm、厚さ50nmとなるように形成し、薄膜コンデンサを得た。
実施例1〜20および比較例1〜5で得られた薄膜コンデンサについて、比誘電率、絶縁耐圧、第2の誘電体の組成、第2の誘電体が第1の電極を被覆している被覆率、第2の誘電体の高さT2、第2の誘電体の第1の電極と接している幅W2および、誘電体薄膜の配向方向を、それぞれ下記に示す方法により測定した。
<比誘電率>
比誘電率は、薄膜コンデンサに対し、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz、測定電圧は1Vrms/μmになるように各実施例、比較例の誘電体薄膜の厚みから計算された電圧を用いて測定された静電容量Cから算出した(単位なし)。比誘電率は高いほうが好ましく、本実施例では、1000以上を良好とした。
<絶縁耐圧>
薄膜コンデンサに対し、直流電圧を0Vからスタートし、1V/秒の昇圧速度で印加した際に、電流が10mA以上流れた時の電圧を絶縁耐圧とした。本実施例では、上記の評価を10個の試料について行い、絶縁耐圧の平均値が50kV/mm以上の試料を良好であると判断した。
<第2の誘電体の組成>
薄膜コンデンサの断面が観察できるように、FIB(Focused Ion Beam)によって薄片化サンプルに加工した後に、前記薄片化サンプルの観察をSTEM−HAADFにて行い、STEM−EDX(Energy Dispersive X−ray spectrometry)にて、第2の誘電体の組成分析を行った。前記組成分析は、1つの試料について10個の第2の誘電体に対して行った。比較例4の試料は、第2の誘電体の中で、500nm以上離れた点の、10か所の組成分析を行った。前記10個または10か所の第2の誘電体の組成の平均値を、前記試料における第2の誘電体の組成とし、前記組成式中のmを算出し、ターゲットの組成とズレが無いことを確認した。
<第2の誘電体が第1の電極を被覆している被覆率>
前記STEM−HAADFの像における、第1の電極の幅および、すべての第2の誘電体の第1の電極と接している幅の合計を測長し、前記第1の電極の幅に対する、前記すべての第2の誘電体の第1の電極と接している幅の合計の比を、第2の誘電体が第1の電極を被覆している被覆率とした。
<第2の誘電体の高さT2>
前記STEM−HAADFの像から、第2の誘電体の最も高い部分を高さT2として測長した。前記T2の測長は、1つの試料について10個の第2の誘電体に対して行い、前記10個のT2の平均値を、前記試料におけるT2とした。
<第2の誘電体の第1の電極と接している幅W2>
前記STEM−HAADFの像から、第2の誘電体の第1の電極と接している幅W2を測長した。前記W2の測長は、1つの試料について10個の第2の誘電体に対して行い、前記10個のW2の平均値を、前記試料におけるW2とした。
<誘電体薄膜の配向方向>
誘電体薄膜に対し、X線回折による測定を行い、回折パターンを得て、結晶配向性を評価した。X線回折のX線源としてCu−Kα線を用い、その測定条件は、電圧45kV、電流200mA、2θ=20°〜70°の範囲とした。
前記、X線回折のデータには、第2の誘電体の回折パターンも含まれるが、第1の誘電体とはピーク位置が異なることから、第1の誘電体の配向方向の評価に影響を与えない。
また、本実施例と比較例の場合、TEM観察により、第2の誘電体が、10nm未満の微結晶の集合体であり、配向性を持っていないことが確認された。
表1に測定結果を示す。表中、第2の誘電体が電極と接しているとき、および島状である時を○、電極と接していないとき、および島状でないときを×とした。−は試料の構成上、記載不能な項目を示している。
表1に示すように、前記第2の誘電体の組成を、組成式[BaO][TiO]で表した場合、前記組成式中のmが0.40≦m≦0.60であるとき、比誘電率を高く維持しつつ、良好な絶縁耐圧が得られることが確認された。
表1に示すように、第2の誘電体が島状で、かつ、前記第1の電極と接しているとき、比誘電率を高く維持しつつ、良好な絶縁耐圧が得られることが確認された。
表1に示すように、前記誘電体薄膜の厚みをT1、前記誘電体薄膜の厚みに平行な断面における前記第2の誘電体の高さをT2としたとき、T2/T1≦0.25であるとき、比誘電率が特に高く、1050以上であることが確認された。
表1に示すように、前記誘電体薄膜の厚みをT1、前記誘電体薄膜の厚みに平行な断面における前記第2の誘電体の前記第1の電極と接している幅をW2としたとき、W2/T1≦0.5であるとき、絶縁耐圧が特に高く、60kV/mm以上であることが確認された。
表1に示すように、第2の誘電体が、第1の電極を10%〜50%被覆しているとき、比誘電率が特に高く、1050以上であり、絶縁耐圧が特に高く、60kV/mm以上であることが確認された。
表1に示すように、第1の誘電体が(111)面に優先配向しているとき、絶縁耐圧が特に高く、70kV/mmの絶縁耐圧が得られた。
以上に説明したように、本発明は、薄膜コンデンサ等の誘電体薄膜素子に関わるものであり、本発明は高い静電容量を実現するために誘電体薄膜としては高い比誘電率を有し、かつ、良好な絶縁耐圧を有する誘電体薄膜素子を提供することができる。それにより、薄膜コンデンサ等の誘電体薄膜素子の、小型化、高機能化を図ることができる。本発明の誘電体薄膜素子は、例えば、トランジスタなどの能動素子に組み込み、集積回路等に用いることができる
1 ・・・支持基板
2 ・・・第1の電極
3 ・・・誘電体薄膜
3a ・・・第1の誘電体
3b ・・・第2の誘電体
4 ・・・第2の電極
10 ・・・薄膜コンデンサ
T2 ・・・第2の誘電体の高さ
W2 ・・・第2の誘電体の第1の電極と接している幅

Claims (4)

  1. 第1の電極と、前記第1の電極上に形成された誘電体薄膜と、前記誘電体薄膜上に形成された第2の電極とを備えた誘電体薄膜素子であって、前記誘電体薄膜は、BaTiOを主成分とした第1の誘電体と、組成式[BaO][TiO]で表した場合、前記組成式中のmが0.40≦m≦0.60である第2の誘電体とから成り、前記第2の誘電体は、前記第1の電極と少なくとも接し、かつ、島状であることを特徴とする誘電体薄膜素子。
  2. 前記誘電体薄膜の厚みをT1、前記誘電体薄膜の厚みに平行な断面における前記第2の誘電体の高さをT2、前記断面における前記第2の誘電体の前記第1の電極と接している幅をW2としたとき、0.005≦T2/T1≦0.250、および0.005≦W2/T1≦0.500であることを特徴とした、請求項1に記載の誘電体薄膜素子。
  3. 前記第2の誘電体が、前記第1の電極を10%〜50%被覆していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘電体薄膜素子。
  4. 前記第1の誘電体が(111)面に優先配向していることを特徴とする、請求項1および請求項2および請求項3のいずれか1項に記載の誘電体薄膜素子。
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