JP7363535B2 - 誘電体組成物および電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、誘電体組成物および電子部品に関する。
スマートフォンに代表される移動体通信機器の高性能化に対する要求は高く、たとえば、高速で大容量の通信を可能とするために、使用する周波数領域の数も増加している。使用する周波数領域はGHz帯のような高周波領域である。このような高周波領域において作動するバラン、カプラ、フィルタ、あるいは、フィルタを組み合わせたデュプレクサ、ダイプレクサ等の高周波部品のなかには、誘電体材料を共振器として利用しているものがある。このような誘電体材料には、高周波領域において、誘電損失が小さく、周波数の選択性が良好であることが求められる。
このような移動体通信機器は、使用環境、機器に使用されている部品の発熱等により、温度変化に曝される。一方、高周波部品の静電容量は温度により変化するため、所定の温度範囲において、高周波部品には、静電容量の温度依存性、すなわち、容量温度係数が小さいことが求められる。
したがって、高周波部品に適用される誘電体材料には、誘電損失および容量温度係数が小さいことが要求される。誘電損失の逆数は、品質係数Q値として表すことができるので、換言すれば、高周波領域において品質係数Q値が高く、かつ所定の温度範囲において容量温度係数が小さい誘電体材料が望まれている。
また、車両情報および走行情報等の分析、自動運転等に対応するために、インターネットへの常時接続機能を有するコネクティッドカーの開発が進められている。このようなコネクティッドカーに搭載される車載用通信機器も、移動体通信機器の一種であり、高速で大容量の通信が可能であることが求められている。また、車載用通信機器は、高温となるエンジンルーム内あるいはその近傍に配置される場合があるので、車載用通信機器には特に高温での信頼性が求められる。したがって、車載用通信機器に搭載される高周波部品にも高温での信頼性が求められる。
また、移動体通信機器および車載用通信機器の高性能化に伴い、1つの通信機器に搭載される電子部品の数も増加する傾向にあり、これらの通信機器のサイズを維持するには、電子部品の小型化も同時に求められる。誘電体材料を用いる高周波部品を小型化するには、電極面積を小さくする必要があるため、これによる静電容量の低下を補うべく、高周波領域において、誘電体材料の比誘電率が高いことが求められる。
ところで、誘電体材料を用いる高周波部品の静電容量は、誘電体材料の比誘電率、電極面積および電極間距離により変化する。換言すれば、これらを変化させることにより、高周波部品の静電容量を調整することができる。一方、誘電体材料を用いる高周波部品の性能を、搭載される通信機器の用途等に応じて変更する場合、高周波部品の実装面積を変更せずに、誘電体材料の比誘電率を調整することにより、高周波部品の性能の変更に対応することが求められる場合がある。この場合、求められる比誘電率に応じて誘電体材料の組成系を変更するよりも、同一の組成系を有する誘電体材料が高周波部品の性能に応じた比誘電率を示すことが好ましい。
すなわち、高周波部品に対する多様なニーズに応えるため、誘電体材料に求められる誘電特性も多様化している。
従来、高周波数領域において所定の誘電特性を持つ材料としてはBi-Zn-Nb-O系酸化物が知られている。たとえば、特許文献1には、BiNbO相およびBi(Zn2/3Nb4/3)O相との混合物が開示されている。また、特許文献2には、Bi、ZnOおよびNbを所定の割合で混合し焼成して得られる焼結体が開示されている。
特表2009-537444号公報 特開平4-285046号公報
しかしながら、特許文献1では、BiNbO相およびBi(Zn2/3Nb4/3)O相が1:1で混合された混合物の誘電率の温度係数の絶対値が10ppm以下であることが記載されている。しかしながら、当該混合物の比誘電率は100よりも小さく、1GHzにおける誘電品質係数Qは1000程度であるため、高周波部品の小型化を進めるという観点では、高周波領域における誘電特性は十分ではなかった。
また、高周波部品の実装面積を変更しないという観点では、当該混合物の誘電率は大きすぎるために高周波部品を同一形状で作製する際、電極面積や誘電体材料の厚みで静電容量を調整しても、調整しきれず、同一組成系において、低い静電容量を実現できない。
また、特許文献2では、Bi、ZnOおよびNbを所定の割合で混合し焼成して得られる焼結体の誘電率の温度係数の絶対値が100ppm以下であることが記載されている。しかしながら、当該焼結体の1GHzにおける無負荷Q値は400以下であるため、高周波領域における誘電特性は十分ではなかった。
本発明は、高周波領域において品質係数Q値が高く、所定の温度範囲において容量温度係数Tccの絶対値が小さく、比誘電率εrが所定の範囲内であり、高温での信頼性が高い誘電体組成物、および、当該誘電体組成物を有する電子部品を提供することを第1の目的とする。
また、高周波領域において比誘電率εrおよび品質係数Q値が所定の値以上であり、所定の温度範囲において容量温度係数Tccの絶対値が小さく、高温での信頼性が高い誘電体組成物、および、当該誘電体組成物を有する電子部品を提供することを第2の目的とする。
第1の目的を達成するため、本発明は、
[1]ビスマスと亜鉛とニオブとを含む複合酸化物を有する誘電体組成物であって、
複合酸化物を、組成式BiZnNb1.75+δで表した場合、x、yおよびzは、x+y+z=1.00、x<0.20、0.20≦y≦0.50、0.25≦x/zである関係を満足する誘電体組成物である。
第2の目的を達成するため、本発明は、
[2]ビスマスと亜鉛とニオブとを含む複合酸化物を有する誘電体組成物であって、
複合酸化物を、組成式BiZnNb1.75+δで表した場合、x、yおよびzは、x+y+z=1.00、0.20≦y≦0.50、1.5<x/z≦3.0およびz<0.25である関係を満足する誘電体組成物である。
[3][1]または[2]に記載の誘電体組成物を含む誘電体層を備える電子部品である。
本発明によれば、高周波領域において品質係数Q値が高く、所定の温度範囲において容量温度係数Tccの絶対値が小さく、比誘電率εrが所定の範囲内であり、高温での信頼性が高い誘電体組成物、および、当該誘電体組成物を有する電子部品を提供することができる。
また、本発明によれば、高周波領域において比誘電率εrおよび品質係数Q値が所定の値以上であり、所定の温度範囲において容量温度係数Tccの絶対値が小さく、高温での信頼性が高い誘電体組成物、および、当該誘電体組成物を有する電子部品を提供することができる。
図1は、本実施形態に係る電子部品の一例としての薄膜コンデンサの模式的な断面図である。
以下、本発明を、具体的な実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.薄膜コンデンサ
1.1.薄膜コンデンサの全体構成
1.2.誘電体膜
1.2.1.誘電体組成物
1.2.2.第1の複合酸化物
1.2.3.第2の複合酸化物
1.3.基板
1.4.下部電極
1.5.上部電極
2.薄膜コンデンサの製造方法
3.本実施形態のまとめ
4.変形例
(1.薄膜コンデンサ)
まず、本実施形態に係る電子部品は、高周波領域において使用される電子部品(高周波部品)である。高周波部品として、誘電体層が薄膜状の誘電体膜から構成される薄膜コンデンサについて説明する。
(1.1.薄膜コンデンサの全体構成)
図1に示すように、本実施形態に係る電子部品の一例としての薄膜コンデンサ10は、基板1と、下部電極3と、誘電体膜5と、上部電極4とがこの順序で積層された構成を有している。下部電極3と誘電体膜5と上部電極4とはコンデンサ部を形成しており、下部電極3および上部電極4が外部回路に接続されて電圧が印加されると、コンデンサ部が所定の静電容量を示し、コンデンサとしての機能を発揮することができる。各構成要素についての詳細な説明は後述する。
また、本実施形態では、基板1と下部電極3との間に、基板1と下部電極3との密着性を向上させるために下地層2が形成されている。下地層2を構成する材料は、基板1と下部電極3との密着性が十分に確保できる材料であれば特に制限されない。たとえば、下部電極3がCuで構成される場合には、下地層2はCrで構成され、下部電極3がPtで構成される場合には、下地層2はTiで構成することができる。
また、図1に示す薄膜コンデンサ10において、誘電体膜5を外部雰囲気から遮断するための保護膜が形成されていてもよい。
なお、薄膜コンデンサの形状に特に制限はないが、通常、直方体形状とされる。またその寸法にも特に制限はなく、厚みや長さは用途に応じて適当な寸法とすればよい。
(1.2.誘電体膜)
誘電体膜5は、後述する本実施形態に係る誘電体組成物(第1の誘電体組成物および第2の誘電体組成物)から構成されている。また、本実施形態では、誘電体膜5は、薄膜状であり公知の成膜法により基板上に形成された誘電体堆積膜であることが好ましい。
第1の誘電体組成物から構成される誘電体膜5を有する薄膜コンデンサは、高周波領域(たとえば、2GHz)であっても、高いQ値(たとえば、1000以上)を示しつつ、かつ、良好な容量温度係数(たとえば、容量温度係数の絶対値が50ppm/℃以内)および良好な高温加速寿命(たとえば、180℃における絶縁抵抗(IR)寿命が15.0h以上)を示すことができる。また、当該薄膜コンデンサは、所定の範囲内の比誘電率εrを示すことができる。
第2の誘電体組成物から構成される誘電体膜5を有する薄膜コンデンサは、高周波領域(たとえば、2GHz)であっても、高い比誘電率εr(たとえば、100以上)および高いQ値(たとえば、1000以上)を示しつつ、かつ、良好な容量温度係数(たとえば、容量温度係数の絶対値が50ppm/℃以内)および良好な高温加速寿命(たとえば、180℃における絶縁抵抗(IR)寿命が15.0h以上)を示すことができる。
誘電体膜5の厚みは、好ましくは10nm~2000nm、より好ましくは50nm~1000nmである。誘電体膜5の厚みが薄すぎると、誘電体膜5の絶縁破壊が生じやすい傾向にある。絶縁破壊が生じると、コンデンサとしての機能を発揮できない。一方、誘電体膜5の厚みが厚すぎると、コンデンサの静電容量を大きくするために電極面積を広くする必要があり、電子部品の設計によっては小型化および低背化が困難となる場合がある。
通常、Q値は、誘電体の厚みが薄くなると低下する傾向にあることが知られている。そのため、高いQ値を得るには、ある程度の厚みを有する誘電体、すなわち、バルク状の誘電体で構成する必要がある。しかしながら、本実施形態に係る誘電体組成物から構成される誘電体膜は、上記のように、厚みが非常に薄い場合であっても、高いQ値を得ることができる。
なお、誘電体膜5の厚みは、誘電体膜5を含む薄膜コンデンサを、FIB(集束イオンビーム)加工装置で掘削し、得られた断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察して測定することができる。
(1.2.1.誘電体組成物)
本実施形態に係る誘電体組成物は、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)およびニオブ(Nb)を含む複合酸化物(Bi-Zn-Nb-O系酸化物)を主成分として含有している。本実施形態では、主成分とは、誘電体組成物100質量%に対して、90質量%以上を占める成分である。
当該複合酸化物は一般式Aで表され、パイロクロア相を有している。本実施形態に係る複合酸化物において、Aサイトを占める元素(Aサイト元素)に酸素が8配位しており、Bサイトを占める元素(Bサイト元素)に酸素が6配位している。そして、酸素から構成される八面体の中心にBサイト元素が位置するBO八面体が互いの頂点を共有した三次元ネットワークを構成し、このネットワークの間隙にAサイト元素が位置し、かつAサイト元素は、酸素から構成される六面体の中心に位置している。このような構造の結晶性が高い場合、当該構造はパイロクロア型結晶構造である。
本実施形態では、一般式Aは、組成式BiZnNb1.75+δで表すことができる。すなわち、上記の複合酸化物は組成式BiZnNb1.75+δで表される。この組成式において、「x」、「y」および「z」は、x+y+z=1.00である。
また、当該複合酸化物では、酸素(O)量が化学量論比であってもよいし、化学量論比から若干偏倚してもよい。化学量論比からの偏倚量は、置換する元素の種類およびそれらの置換量に応じて変化し、上記の組成式において「δ」で表される。
したがって、「x」は、上記の複合酸化物の組成式における金属元素のうち、Biの含有割合を示し、「y」は、上記の複合酸化物の組成式における金属元素のうち、Znの含有割合を示し、「z」は、上記の複合酸化物の組成式における金属元素のうち、Nbの含有割合を示す。
上記の一般式において、BiはAサイトを占め、NbはBサイトを占める。一方、Znは、上記の一般式において、AサイトおよびBサイトのどちらも占めることができる。したがって、上記の複合酸化物においては、Biに酸素が8配位した六面体およびNbに酸素が6配位した八面体に加えて、Znに酸素が8配位した六面体およびZnに酸素が6配位した八面体が存在する。
本実施形態では、上記の構造的な特徴を有する複合酸化物を、第1の複合酸化物と、第2の複合酸化物とに分けて説明する。
(1.2.2.第1の複合酸化物)
Bi、ZnおよびNbを含む第1の複合酸化物においては、Znに酸素が配位した多面体の割合が、当該構造の安定性に影響している。本実施形態では、Znの含有割合を示す「y」は、0.20以上0.50以下である。また、「y」は0.30以上であることが好ましい。
「y」を上記の範囲内とすることにより、第1の複合酸化物において、Znに酸素が8配位した六面体およびZnに酸素が6配位した八面体の割合が増加し、結晶構造中における多面体構造のバラツキが抑制され、温度変化による構造変化が生じにくくなる。その結果、温度が変化しても、静電容量が一定に保たれる傾向にあるので、容量温度係数Tccの絶対値(|Tcc|)を所定の範囲内とすることができる。
「y」が小さすぎると、第1の複合酸化物において、Biに酸素が8配位した六面体およびNbに酸素が6配位した八面体が占める割合が増え、多面体構造のバラツキが大きくなり、構造変化しやすい傾向にあるので、容量温度係数Tccが悪化する傾向にある。一方、「y」が大きすぎると、本実施形態において規定する適切な比誘電率εrの範囲から外れる傾向にある。
第1の複合酸化物において、Biの含有割合(「x」)が0.20未満である。また、Nbの含有割合(「z」)に対するBiの含有割合(「x」)を示す「x/z」は、0.25以上である。「x」および「x/z」を上記の範囲内とすることにより、Bサイトにおいて構造の乱れ(ディスオーダー)が適切な範囲内で生じるため、良好な品質係数Q値が得られる。
また、「x」を上記の範囲内とすることにより、第1の複合酸化物におけるNbが占める比率が、Biが占める比率よりも高くなる。酸素とNbとの電気陰性度の差は、酸素とBiとの電気陰性度の差よりも大きい。したがって、第1の複合酸化物において、金属元素と酸素とのイオン結合が強くなるので、酸素欠陥が生じにくく、高温での加速寿命が向上する。
第1の複合酸化物において、「x」、「y」および「z」を上記の範囲内とすることにより、品質係数Q値と、容量温度係数Tccと、高温加速寿命とを良好にすることができる。さらに、比誘電率εrを所定の範囲内とすることが容易となる。
(1.2.3.第2の複合酸化物)
Bi、ZnおよびNbを含む第2の複合酸化物においては、Znに酸素が配位した多面体の割合が、当該構造の安定性に影響している。本実施形態では、Znの含有割合を示す「y」は、0.20以上0.50以下である。また、「y」は0.30以上であることが好ましい。
「y」が小さすぎると、第2の複合酸化物において、Biに酸素が8配位した六面体およびNbに酸素が6配位した八面体が占める割合が増え、多面体構造のバラツキが大きくなり、構造変化しやすい傾向にあるので、容量温度係数Tccが悪化する傾向にある。一方、「y」が大きすぎると、Znに酸素が配位した多面体の割合が多くなりすぎ、第2の複合酸化物において比誘電率に寄与する成分が少なくなるため、比誘電率εrが悪化する傾向にある。
第2の複合酸化物において、Nbの含有割合(「z」)に対するBiの含有割合(「x」)を示す「x/z」は、1.50より大きく3.00以下である。「x」および「x/z」を上記の範囲内とすることにより、第2の複合酸化物のAサイトにおいて原子配列の乱れ(ディスオーダー)が適切な範囲内で生じるため、品質係数Q値を良好に維持しつつ、このディスオーダーに起因して比誘電率εrを良好にすることができる。
また、第2の複合酸化物において、Nbの含有割合(「z」)が0.25未満である。「z」が大きすぎると、品質係数Q値が悪化する傾向にある。「z」は0.15以上であることが好ましい。
また、「z」を上記の範囲内とすることにより、第2の複合酸化物におけるBiの比率がNbの比率よりも高くなり、Biに酸素が8配位した六面体の比率が大きくなる。その結果、酸素欠陥が生じにくく、高温での加速寿命が向上する。
第2の複合酸化物において、「x」、「y」および「z」を上記の範囲内とすることにより、比誘電率εrと、品質係数Q値と、容量温度係数Tccと、高温加速寿命とを良好にすることができる。
なお、上述した第1の誘電体組成物は、第1の複合酸化物を主成分として有し、上述した第2の誘電体組成物は、第2の複合酸化物を主成分として有する。また、本実施形態に係る誘電体組成物(第1の誘電体組成物および第2の誘電体組成物)は、本発明の効果を奏する範囲内において、微量な不純物、副成分等を含んでいてもよい。このような成分としては、たとえば、Mn、Ca、Baが例示される。
(1.3.基板)
図1に示す基板1は、その上に形成される下地層2、下部電極3、誘電体膜5および上部電極4を支持できる程度の機械的強度を有する材料で構成されていれば特に限定されない。たとえば、Si単結晶、SiGe単結晶、GaAs単結晶、InP単結晶、SrTiO単結晶、MgO単結晶、LaAlO単結晶、ZrO単結晶、MgAl単結晶、NdGaO単結晶等から構成される単結晶基板;Al多結晶、ZnO多結晶、SiO多結晶等から構成されるセラミック多結晶基板;Ni、Cu、Ti、W、Mo、Al、Pt等の金属、それらの合金等から構成される金属基板等が例示される。本実施形態では、低コスト、加工性等の観点から、Si単結晶を基板として用いる。
基板1の厚みは、たとえば、10μm~5000μmに設定される。厚みが小さすぎると、機械的強度が確保できない場合が生じることがあり、厚みが大きすぎると、電子部品の小型化に寄与できないといった問題が生じる場合がある。
上記の基板1は、基板の材質によってその抵抗率が異なる。抵抗率が低い材料で基板を構成する場合、薄膜コンデンサの作動時に基板側への電流のリークが生じ、薄膜コンデンサの電気特性に影響を及ぼすことがある。そのため、基板1の抵抗率が低い場合には、その表面に絶縁処理を施し、コンデンサ作動時の電流が基板1へ流れないようにすることが好ましい。
たとえば、Si単結晶を基板1として使用する場合においては、基板1の表面に絶縁層が形成されていることが好ましい。基板1とコンデンサ部との絶縁が十分に確保されていれば、絶縁層を構成する材料およびその厚みは特に限定されない。本実施形態では、絶縁層を構成する材料として、SiO、Al、Si等が例示される。また、絶縁層の厚みは、0.01μm以上であることが好ましい。
(1.4.下部電極)
図1に示すように、基板1の上には、下地層2を介して、下部電極3が薄膜状に形成されている。下部電極3は、後述する上部電極4とともに誘電体膜5を挟み、コンデンサとして機能させるための電極である。下部電極3を構成する材料は、導電性を有する材料であれば特に制限されない。たとえば、Pt、Ru、Rh、Pd、Ir、Au、Ag、Cu等の金属、それらの合金、または、導電性酸化物が例示される。
下部電極3の厚みは、電極として機能する程度の厚みであれば特に制限されない。本実施形態では、厚みは0.01μm以上であることが好ましい。
(1.5.上部電極)
図1に示すように、誘電体膜5の表面には、上部電極4が薄膜状に形成されている。上部電極4は、上述した下部電極3とともに、誘電体膜5を挟み、コンデンサとして機能させるための電極である。したがって、上部電極4は、下部電極3とは異なる極性を有している。
上部電極4を構成する材料は、下部電極3と同様に、導電性を有する材料であれば特に制限されない。たとえば、Pt、Ru、Rh、Pd、Ir、Au、Ag、Cu等の金属、それらの合金、又は、導電性酸化物等が例示される。
(2.薄膜コンデンサの製造方法)
次に、図1に示す薄膜コンデンサ10の製造方法の一例について以下に説明する。
まず、基板1を準備する。基板1として、たとえば、Si単結晶基板を用いる場合、当該基板の一方の主面に絶縁層を形成する。絶縁層を形成する方法としては、熱酸化法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の公知の成膜法を用いればよい。
続いて、形成された絶縁層上に、公知の成膜法を用いて下地層を構成する材料の薄膜を形成して下地層2を形成する。
下地層2を形成した後、当該下地層2上に、公知の成膜法を用いて下部電極を構成する材料の薄膜を形成して下部電極3を形成する。
続いて、下部電極3上に誘電体膜5を形成する。本実施形態では、公知の成膜法により、誘電体膜5を構成する材料を下部電極3上に薄膜状に堆積させた堆積膜としての誘電体膜5を形成する。
公知の成膜法としては、たとえば、真空蒸着法、スパッタリング法、PLD(パルスレーザー蒸着法)、MO-CVD(有機金属化学気相成長法)、MOD(有機金属分解法)、ゾルゲル法、CSD(化学溶液堆積法)等が例示される。なお、成膜時に使用する原料(蒸着材料、各種ターゲット材料、有機金属材料等)には微量の不純物、副成分等が含まれている場合があるが、所望の誘電特性が得られれば、特に問題はない。
たとえば、PLD法を用いる場合、所望の組成のターゲットを用いて、下部電極3上に誘電体薄膜5を形成する。本実施形態では、成膜条件は、以下のようにすることが好ましい。酸素圧は0.1~10Paとすることが好ましい。また、成膜は室温で行うことが好ましい。レーザーのパワーは3~5J/cmであることが好ましく、パルス周波数は1~20Hzとすることが好ましい。
本実施形態では、誘電体膜を形成した後、当該誘電体膜に対し、急速加熱アニール処理(Rapid Thermal Anneal:RTA)を施す。本実施形態では、RTAを施す条件として、雰囲気は酸素雰囲気であることが好ましく、昇温速度を1000℃/分以上とすることが好ましく、アニール時間は1~30分とすることが好ましく、アニール温度を300℃以上750℃以下とすることが好ましい。
次に、形成した誘電体膜5上に、公知の成膜法を用いて上部電極を構成する材料の薄膜を形成して上部電極4を形成する。
以上の工程を経て、図1に示すように、基板1上に、コンデンサ部(下部電極3、誘電体膜5および上部電極4)が形成された薄膜コンデンサ10が得られる。なお、誘電体膜5を保護する保護膜は、少なくとも誘電体膜5が外部に露出している部分を覆うように公知の成膜法により形成すればよい。
(3.本実施形態のまとめ)
本実施形態ではBi-Zn-Nb-O系酸化物に着目している。Bi-Zn-Nb-O系酸化物は一般式Aで表される複合酸化物である。この複合酸化物においては、Znは、AサイトおよびBサイトのどちらも占めることができ、2種類の多面体を形成する。本発明者らは、この2種類の多面体の割合を増やすことにより、Bi-Zn-Nb-O系酸化物の構造が安定化し、温度変化による構造変化が生じにくくなることを見出した。そこで、本実施形態では、Bi-Zn-Nb-O系酸化物中のZnの含有割合を上記の範囲内とすることにより、容量温度係数Tccを良好にしている。
また、本発明者らは、Aサイトを占めるBiの含有割合と、Bサイトを占めるNbの含有割合に対するBiの含有割合と、を制御することにより、Bi-Zn-Nb-O系酸化物中の欠陥を減らし、その結果、品質係数Q値および高温加速寿命が向上することも見出した。そこで、本実施形態では、上記の比率を上記の範囲内とすることにより、高い品質係数Q値および良好な高温加速寿命を得ている。
具体的には、上述した第1の誘電体組成物は、2GHz以上の高周波領域であっても1000以上の高い品質係数Q値を示し、しかも、容量温度係数Tccの絶対値を50ppm/℃以下、180℃における絶縁抵抗(IR)寿命を15.0h以上とすることができる。
また、本発明者らは、Bサイトを占めるNbの含有割合と、Nbの含有割合に対する、Aサイトを占めるBiの含有割合と、を制御することにより、品質係数Q値と比誘電率εrと高温加速寿命とが向上することも見出した。そこで、本実施形態では、上記の比率を上記の範囲内とすることにより、高い比誘電率εr、高い品質係数Q値および良好な高温加速寿命を得ている。
具体的には、上述した第2の誘電体組成物は、2GHz以上の高周波領域であっても100以上の高い比誘電率εrと、1000以上の高い品質係数Q値と、を示し、しかも、容量温度係数Tccの絶対値を50ppm/℃以下、180℃における絶縁抵抗(IR)寿命を15.0h以上とすることができる。
(4.変形例)
上述した実施形態では、誘電体膜が本実施形態に係る誘電体組成物のみで構成される場合を説明したが、本実施形態に係る誘電体組成物から構成される誘電体膜と別の誘電体組成物から構成される膜とを組み合わせた積層構造を有する電子部品でもよい。たとえば、既存のSi、SiO、Al、ZrO、Ta等のアモルファス誘電体膜や結晶膜との積層構造とすることで、誘電体膜5のインピーダンスや比誘電率の温度変化を調整することが可能となる。
また、本実施形態に係る誘電体組成物で構成される誘電体膜を複数有する積層キャパシタであってもよい。
上述した実施形態では、基板と下部電極との密着性を向上させるために、下地層を形成しているが、基板と下部電極との密着性が十分確保できる場合には、下地層は省略することができる。また、基板を構成する材料として、電極として使用可能なCu、Pt等の金属、それらの合金、酸化物導電性材料等を用いる場合には、下地層および下部電極は省略することができる。
また、上述した実施形態では、誘電体層が公知の成膜法により形成された誘電体堆積膜であったが、誘電体層が、誘電体組成物の原料粉末を成形した成形体を焼成して得られる焼結体から構成されてもよい。
このような焼結体から構成される誘電体層を有する電子部品としては、誘電体層が単層である単層キャパシタでもよいし、複数の誘電体層が積層された積層キャパシタでもよい。
単層キャパシタは、誘電体組成物の対向面に電極が形成されている構成を有している。また、積層キャパシタは、誘電体組成物から構成される複数の誘電体層と内部電極層とが交互に積層された構成の積層体を有する。この積層体の両端部には、内部電極層と各々導通する一対の端子電極が形成してある。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実験例1)
まず、誘電体膜の形成に必要なターゲットを以下のようにして作製した。
ターゲット作製用の原料粉末として、Bi、ZnO、Nbの粉末を準備した。これらの粉末を、表1に示す実施例1~9および比較例1~6の試料の最終組成となるように秤量した。秤量した原料粉末と水とφ2mmのZrOビーズとを、容積が1Lのポリプロピレン製広口ポットに入れて湿式混合を20時間行った。その後、混合粉末スラリーを100℃で20時間乾燥させ、得られた混合粉末をAl坩堝に入れ、大気中800℃で5時間保持する焼成条件で仮焼を行い、仮焼粉末を得た。
得られた仮焼粉末を乳鉢に入れ、バインダとして濃度6wt%のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を、仮焼粉末に対して4wt%となるように添加し、乳棒を使用して造粒粉を作製した。作製した造粒粉を、厚みが5mm程度となるようにφ20mmの金型に投入し、一軸加圧プレス機を使用して加圧成形を行い成形体を得た。成形条件は、圧力を2.0×10Pa、温度を室温とした。
その後、得られた成形体について、昇温速度を100℃/時間、保持温度を400℃、温度保持時間を4時間とし、常圧の大気中で脱バインダ処理を行った。続いて、昇温速度を200℃/時間、保持温度を1000℃~1200℃、温度保持時間を12時間とし、常圧の大気中で焼成を行い、焼結体を得た。
得られた焼結体の厚さが4mmとなるように、円筒研磨機で両面を研磨し、誘電体膜を形成するためのターゲットを得た。
続いて、350μm厚のSi単結晶基板の表面に0.5μm厚の絶縁層としてのSiOを備えた10mm×10mm角の基板を準備した。この基板の表面に、下地層としてのTi薄膜を20nmの厚さとなるようにスパッタリング法で形成した。
次いで、上記で形成したTi薄膜上に下部電極としてのPt薄膜を4μmの厚さとなるようにスパッタリング法で形成した。
上記のTi/Pt薄膜上に誘電体膜を形成した。本実施例では、上記で作製したターゲットを用いて、下部電極上に400nmの厚さとなるようにPLD法で誘電体膜を形成した。PLD法による成膜条件は、酸素圧を1Paとし、レーザーパワーを3J/cmとし、レーザーパルス周波数を10Hzとし、成膜温度は室温とした。また、下部電極の一部を露出させるために、メタルマスクを使用して、誘電体膜が成膜されない領域を形成した。誘電体膜を形成した後、当該誘電体膜に対し、酸素雰囲気下で昇温速度を1000℃/分とし550℃で1分保持する急速加熱アニール処理(Rapid Thermal Anneal:RTA)を施した。
次いで、得られた誘電体膜上に、蒸着装置を使用して上部電極であるAg薄膜を形成した。上部電極の形状を、メタルマスクを使用して直径100μm、厚さ100nmとなるように形成することで、図1に示す構成を有する薄膜コンデンサの試料(実施例1~9および比較例1~6)を得た。
なお、誘電体膜の組成は、すべての試料について、WD-XRF(波長分散型蛍光X線元素分析)装置(リガク社製ZSX-100e)を用いて、室温において分析を行い、表1に記載の組成と一致していることを確認した。また、誘電体膜の厚みは、薄膜コンデンサをFIBで掘削し、得られた断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察して測長した値とした。
得られたすべての薄膜コンデンサ試料について、比誘電率εr、Q値、静電容量の温度係数Tccおよび高温加速寿命の測定を、下記に示す方法によって行った。
(Q値および比誘電率)
Q値および比誘電率は、薄膜コンデンサ試料に対し、基準温度25℃において、RFインピーダンス/マテリアル・アナライザ(Agilent社製4991A)にて、周波数2GHz、入力信号レベル(測定電圧)0.5Vrmsの条件下で測定された静電容量と、上記で得られた誘電体膜の厚みと、から算出した。本実施例では、Q値は高い方が好ましく、Q値が1000以上である試料を良好であると判断した。また、本実施例では、比誘電率は50以上80未満である試料を良好であると判断した。また、結果を表1に示す。
(静電容量の温度係数(Tcc))
静電容量の温度係数は、恒温槽を用いて-55℃から125℃まで25℃毎に測定温度を変えて静電容量を測定した以外は、上記と同様に測定温度における静電容量を測定し、基準温度である25℃での静電容量に対する変化率として算出した(単位ppm/℃)。また、静電容量の温度係数は小さい方が好ましく、静電容量の温度係数の絶対値(|Tcc|)が50ppm/℃以内である試料を良好であると判断した。結果を表1に示す。
(高温加速寿命)
高温加速寿命として絶縁抵抗寿命を測定した。180℃において、上記で得られた誘電体膜に直流電圧を16V/μm印加して、直流電圧印加前からの絶縁抵抗の経時変化を測定した。誘電体膜の絶縁抵抗が10Ω以下になるまでの時間を寿命とし、20個の試料について寿命を測定し、その平均値を絶縁抵抗(IR)寿命とした。IR寿命は長い方が好ましく、IR寿命が15.0h以上である試料を良好であると判断した。結果を表1に示す。
Figure 0007363535000001
表1より、Bi、ZnおよびNbを含む複合酸化物において、「x」、「y」および「z」の関係が上述した範囲内である試料は、高周波領域(2GHz)において、高い品質係数Q値(1000以上)、良好な温度特性(|Tcc|≦50ppm/℃)、および、良好なIR寿命(15.0h以上)を有し、比誘電率εrが所定の範囲内であることが確認できた。
(実験例2)
Bi、ZnおよびNbを含む複合酸化物において、「x」、「y」および「z」の値を表2に示す値とした以外は、実験例1と同じ方法により、誘電体膜を形成し、薄膜コンデンサの試料(実施例11~19および比較例11~16)を得た。得られた薄膜コンデンサの試料に対して、実験例1と同じ評価を行った。結果を表2に示す。なお、比誘電率の評価においては、比誘電率が100以上の試料を良好であると判断した。
Figure 0007363535000002
表2より、Bi、ZnおよびNbを含む複合酸化物において、「x」、「y」および「z」の関係が上述した範囲内である試料は、高周波領域(2GHz)において、高い比誘電率εr(100以上)、高い品質係数Q値(1000以上)、良好な温度特性(|Tcc|≦50ppm/℃)、および、良好なIR寿命(15.0h以上)を有していることが確認できた。
本発明によれば、高周波領域においてQ値が高く、かつ所定の温度範囲において容量温度係数が小さく、良好な高温加速寿命を有する誘電体組成物が得られる。このような誘電体組成物は、薄膜状の誘電体膜として好適であり、高周波用の電子部品、たとえば、バラン、カプラ、フィルタ、あるいは、フィルタを組み合わせたデュプレクサ、ダイプレクサ等に好適である。
10… 薄膜コンデンサ
1… 基板
2… 下地層
3… 下部電極
4… 上部電極
5… 誘電体膜

Claims (2)

  1. ビスマスと亜鉛とニオブとを含む複合酸化物を有する誘電体組成物であって、
    前記複合酸化物を、組成式BixZnyNbz1.75+δで表した場合、前記x、yおよびzは、x+y+z=1.00、x<0.20、0.20≦y≦0.50、0.25≦x/zである関係を満足する誘電体組成物。
  2. 請求項1に記載の誘電体組成物を含む誘電体層を備える電子部品。
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