JP6420267B2 - 脂肪含有酸性飲料 - Google Patents

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Description

本発明は、脂肪含有酸性飲料に関する。
酸成分と乳成分とを含有する酸性乳飲料において、乳成分として、脱脂粉乳ではなしに、乳脂肪を含有する乳成分を使用した乳脂肪含有酸性乳飲料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案においては、水溶性ヘミセルロースを0.01〜5重量%含有することにより、長期間保存した場合に起こる乳脂肪の浮上すなわちクリーミングの発生が抑制されることが開示されている。
ところで、昨今は、清涼感のある、より粘度の低いスムーズな酸性乳飲料が好まれているが、このような低粘度の酸性乳飲料は、乳タンパク質の沈殿およびクリーム分離発生を抑制することは非常に困難であり、より高い乳化安定性、すなわち、クリーム分離やオイルオフ(脂肪粒子の合一や凝集、脂肪の分離による浮上)の発生を十分に抑制することが求められている。
日本国特開2005−40024号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、低粘度の酸性飲料とした場合においても、乳タンパク質の沈殿を抑制できるとともに、クリーム分離やオイルオフの発生を十分に抑制できる脂肪含有酸性飲料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、水溶性ヘミセルロースと共に特定の脂肪酸エステルを併用することにより、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、水溶性ヘミセルロース、および、HLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルを含有することを特徴とする、pH5以下の脂肪含有酸性飲料に存する。
本発明によれば、低粘度の酸性飲料とした場合においても、飲料中に含有する乳タンパク質などのタンパク質成分の沈殿を抑制できると共に、クリーム分離やオイルオフの発生を十分に抑制できるpH5以下の脂肪含有酸性飲料が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言う脂肪含有酸性飲料とは、脂肪成分に、クエン酸、乳酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸、グルコン酸、コハク酸などの有機酸および/又はその塩を添加することで酸性化した飲料や、それら有機酸および/又はその塩を含む果汁、果実酢、穀物酢などを添加した飲料、さらには、乳成分をビフィズス菌や乳酸菌などで発酵することで酸性化した飲料をいう。
本発明の脂肪含有酸性飲料に使用する脂肪源は限定されないが、通常、動物性の脂肪や植物性の脂肪が使用され、得られる飲料の風味の観点から動物性の脂肪が好ましい。
動物性の脂肪源としては、動物由来の油脂であれば限定されないが、通常、牛、山羊などの哺乳動物から採取した乳脂肪が好適に使用される。乳脂肪を含有する乳成分としては、全脂粉乳が好適に使用されるが、生乳、牛乳、山羊乳、加糖練乳、無糖練乳、クリーム、発酵乳、バター、加工乳、チーズ等であってもよい。また、これらを適宜に組み合わせて使用してもよいし、これらをアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ等の食品用酵素で改質したものを使用してもよい。さらには、これらを乳化剤や粉末基材などで加工した液状や粉末状の乳化物、例えば、コーヒーホワイトナー、ホイップクリーム等を使用してもよい。
植物性の脂肪源としては、植物由来の油脂であれば限定されないが、通常、豆乳、カカオバター、ココナッツ油、パーム油、パーム核油、やし油、大豆油、コーン油、ひまわり油、コメ油、菜種油などの植物性油脂、これらの植物性油脂を精製したり、水素添加やエステル交換等で加工した油脂、またはこれらの植物性油脂を乳化剤や粉末基材などで加工した液状や粉末状の乳化物、例えば、植物脂肪コーヒーホワイトナー、植物脂肪ホイップクリーム、植物脂肪クリーム等が挙げられる。
脂肪の酸性飲料中の含有量は、限定されないが、通常0.015〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜4重量%、更に好ましくは0.04〜2重量%である。脂肪が前記下限値未満であると風味の向上が少なく、前記上限値を超えると本発明の効果が十分に奏されないことがある。なお、本発明の脂肪含有酸性飲料には、脱脂粉乳、加糖脱脂練乳、脱脂乳などの脂肪分を含有しないか、含有量の低い乳成分も併用することが出来る。
本発明の脂肪含有酸性飲料のpHは、5以下であり、好ましくは3.0〜5.0、更に好ましくは3.3〜4.6である。したがって、この範囲のpHであることで、本発明の脂肪含有酸性飲料は、弱酸性飲料であるミルクコーヒーとは明確に区別される。pHが上記の上限値より高くなると、乳タンパク質の凝集・沈殿が起こりやすくなる。また、酸性度が高くなりすぎると、酸味が強く飲料として適さない場合がある。
本発明の脂肪含有酸性飲料は、水溶性ヘミセルロースとHLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルとを含有する。
本発明で使用する水溶性ヘミセルロースは、油糧種子(大豆、パーム、椰子、コーン綿実など)、穀類(米、小麦など)、豆類(小豆、エンドウ豆など)等を原料とし、それらから通常の方法で油脂、蛋白質、澱粉質を除いた穀または粕を使用し、それらを酸性乃至アルカリ性の条件下、好ましくは各々の蛋白質の等電点付近のpHにおいて、通常80〜130℃、好ましくは100〜130℃で加熱分解して水溶性画分を分画した後、そのまま乾燥するか、または、例えば、活性炭処理、樹脂吸着処理もしくはエタノール沈殿処理して疎水性物質または低分子物質を除去して乾燥することによって得ることが出来る。
原料が大豆であれば、豆腐、豆乳及び分離大豆蛋白を製造するときに副生するオカラを利用することが出来る。こうして得られた水溶性ヘミセルロースは、平均分子量が数万〜数百万であり、その組成のおよそ8割以上が多糖類であり、その他、粗灰分、粗蛋白および水分を含有している。また、構成糖としてはガラクトースが最も多く、次いでウロン酸およびアラビノース、その他、キシロース、フコース、ラムノース及びグルコースが挙げられる。
本発明における水溶性ヘミセルロースの原料としては、特に限定されないが、溶解性や工業性の面から、豆類由来、特に大豆、なかでも子葉由来のものが好ましい。すなわち、水溶性ヘミセルロースとしては原料が大豆である大豆由来の多糖類(大豆多糖類)が好ましい。水溶性ヘミセルロースの市販品としては、「ソヤファイブ−S−DA100」、「ソヤファイブ−S−ZR100」、「ソヤファイブ−S−LA200」(以上、不二製油社製、商品名)等が挙げられる。
水溶性ヘミセルロースとして大豆多糖類を使用した場合は、脂肪含有酸性飲料を低粘度化した場合においても貯蔵中における乳タンパク質の沈殿を抑制することが出来る利点がある。
水溶性ヘミセルロースの含有量(添加量)は、脂肪含有酸性飲料中の割合として、0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜2重量%、更に好ましくは0.05〜1重量%である。水溶性ヘミセルロースの添加量が前記下限値未満である場合は、飲料中に含有する乳タンパク質などのタンパク質成分の沈殿を抑制する効果が十分に奏されない場合があり、一方、前記上限値を超える場合は、風味や原料コストの面から好ましくない場合がある。
本発明の脂肪含有酸性飲料には、水溶性ヘミセルロースが1種類または2種類以上含まれていてもよいが、1種類であることが好ましい。2種類以上含まれる場合、上記含有量はその合計量を表す。
本発明の脂肪含有酸性飲料は、HLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルを含有することを特徴とする。HLBは11以上であればよく、12以上が好ましく、13以上がさらに好ましい。下限を下回ると保存安定性向上の効果が十分に奏されない傾向がある。
脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数は、通常6〜24、好ましくは8〜22、更に好ましくは12〜18である。脂肪酸の具体例としては、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、ベヘン酸、エルカ酸などが挙げられる。
本発明において、ポリオキシアルケン鎖とは、下記式(1)で示される繰り返し単位で表される基である。ポリオキシアルケン鎖としては、ポリオキシエチレン鎖またはポリオキシプロピレン鎖、すなわち、下記式(1)において、nが2または3であることが好ましい。
Figure 0006420267
式(1)中、nおよびmは、それぞれ1以上の整数を表す。上記のとおり、nは、2または3が好ましく、mは、3〜40の整数が好ましく、4〜35の整数がさらに好ましく、5〜30の整数が特に好ましい。尚、式(1)中の水素原子は、水酸基で置換されていてもよい。
上記式(1)で示される繰り返し単位で表される基は、化合物の一部を構成するものであればよく、例えば、上記式(1)で示される繰り返し単位で表される基の末端は、一方が水酸基等の基が置換することにより化合物の末端となり、もう一方が化合物の主骨格に結合することにより、化合物を構成していてもよい。また、主骨格の一部として両末端がいずれも他の基に結合するものであってもよい。
本発明の脂肪含有酸性飲料は、水溶性ヘミセルロースにあわせて、このHLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルを含有することにより、乳タンパク質の沈殿を抑制できるとともに、クリーム分離やオイルオフの発生を十分に抑制できる。
本発明のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルとして、具体的には、ポリグリセリン脂肪酸エステルやポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンキシリタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどがあるが、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。
上記のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、中でも、グリセリンの平均重合度が4〜20のポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、より好ましくは平均重合度が5〜10である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、既知の食品用乳化剤であり、市販されているものを使用してもよいし、ポリグリセリン脂肪酸エステルの公知の製造方法により得られたものを使用してよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルの公知の製造方法は、例えば、ポリグリセリンと脂肪酸類との直接エステル化(脂肪酸、脂肪酸クロライド等)又はエステル交換(脂肪酸メチルエステル、油脂など)による方法、グリシドールと脂肪酸類(脂肪酸、脂肪酸モノグリセライド等)との付加重合反応による方法などが挙げられる。
ポリグリセリンを得るための製造法は、工業的には、グリセリンの脱水縮合反応による方法が広く採用されているが、グリシドールの付加反応による方法も知られている。グリセリンの脱水縮合反応、またはグリシドールの付加重合反応としては、公知の方法に従って行うことが出来る。具体的には、例えば、グリセリンの脱水縮合反応では、通常グリセリンにアルカリを触媒として加え、窒素ガス等の不活性ガスを吹き込みながら、200℃以上の高温に加熱することにより、ポリグリセリンが得られる。反応時間は、通常3〜10時間である。例えば、グリシドールの付加重合反応では、グリセリンに対して0.01〜10重量%のリン酸系触媒を使用し、目的とする重合度に応じたグリシドール(目的重合度−1モル)を付加重合反応させる方法、酢酸などのカルボン酸に目的とする重合度に相当するグリシドールを反応させた後、加水分解によりカルボン酸を除去する方法などが挙げられる。
付加重合反応は、通常、反応温度80〜140℃、好ましくは窒素ガス等の不活性ガス気流下、反応系にグリシドールを少量ずつ添加する方法で行う。反応終了後、アルカリでリン酸触媒や残留カルボン酸を中和し、脱水析出させる。生成物は、目的に応じ、珪藻土濾過などにより精製する。得られるポリグリセリンは、着色が少なく粘重な液体となる。
ポリグリセリンのエステル化に使用する脂肪酸の炭素数は、通常6〜24、好ましくは8〜22、更に好ましくは12〜18である。脂肪酸の具体例としては、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、ベヘン酸、エルカ酸などが挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、これらの脂肪酸の2種類以上の組み合わせであってもよい。
エステル化反応は、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒の存在下に行われる。アルカリ触媒の使用量は、原料(ポリグリセンリンと脂肪酸の総和)に対し、通常0.001〜3重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。反応温度は、通常150〜300℃、好ましくは180〜260℃である。反応は、通常、撹拌槽タイプの反応器に、ポリグリセリン、脂肪酸、触媒を仕込み、撹拌しながら所定温度に加熱し、生成水を反応系外へ留去しながら行う。なお、一連の反応中は反応器気相部に窒素などの不活性ガスを流通させておくのが好ましい。
本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステルの平均エステル化率は、通常5〜50%であることが好ましく、より好ましくは5〜40%、更に好ましくは5〜30%、特に好ましくは5〜20%である。斯かる平均エステル化率は、ポリグリセリンに対する脂肪酸の仕込みモル比によって調節することが出来る。ポリグリセリンに対する脂肪酸の仕込みモル比は、ポリグリセリンの平均重合度にもよるが、通常0.5〜6であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3、更に好ましくは0.5〜2である。得られるポリグリセリン脂肪酸エステルは、無色または僅かに褐色の液状または半固体状である。
上記のHLB11以上のポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、「リョートーポリグリエステルS−10D」、「リョートーポリグリエステルSWA−10D」、「リョートーポリグリエステルSWA−15D」、「リョートーポリグリエステルSWA−20D」、「リョートーポリグリエステルP−8D」、「リョートーポリグリエステルM−7D」、「リョートーポリグリエステルM−10D」、「リョートーポリグリエステルO−15D」、「リョートーポリグリエステルL−7D」、「リョートーポリグリエステルL−10D」(以上、三菱化学フーズ社製、商品名);「SYグリスターMSW−7S」、「SYグリスターMS−5S」、「SYグリスターMO−7S」、「SYグリスターMO−5S」、「SYグリスターML−750」、「SYグリスターML−500」(以上、阪本薬品工業社製、商品名);「サンソフトQ−14F」、「サンソフトQ−12F」、「サンソフトQ−18S」、「サンソフトQ−182S」、「サンソフトQ−17S」、「サンソフトQ−14S」、「サンソフトQ−12S」、「サンソフトA−121C」、「サンソフトA−141C」、「サンソフトA−121E」、「サンソフトA−141E」、「サンソフトA−171E」、「サンソフトA−181E」(以上、太陽化学社製、商品名);「ポエムTRP−97RF」、「ポエムJ−0021」、「ポエムJ−0081HV」、「ポエムJ−0381V」(以上、理研ビタミン社製、商品名);「NIKKOL Hexaglyn 1−M」、「NIKKOL Hexaglyn 1−L」、「NIKKOL Decaglyn 1−SV」、「NIKKOL Decaglyn 1−OV」、「NIKKOL Decaglyn 1−M」、「NIKKOL Decaglyn 1−L」(以上、日光ケミカルズ社製、商品名)等が挙げられる。
上記のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、中でも、エチレンオキサイドの付加数が3〜40であるものが好ましく、4〜35であるものがさらに好ましく、10〜30であるものが特に好ましい。
上記のHLB11以上のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの市販品としては、「エマゾールS−120V」、「エマゾールL−120V」、「エマゾールO−120V」、「レオドールTW−S120V」、「レオドールTW−L120」、「レオドールTW−O120V」、「レオドールTW−L106」、「レオドールTW−P120」、「レオドールTW−O320V」、「レオドールスーパーTW−L120」、「レオドール440V」、「レオドール460V」(以上、花王社製、商品名);「ソルゲンTW−60F」、「ソルゲンTW−20F」、「ソルゲンTW−80F」(以上、第一工業製薬社製、商品名);「アドムルT60K」、「アドムルT80K」(以上、Kerry社製、商品名);「T−Maz60K」、「T−Maz80K」(以上、BASF社製、商品名);「ウィルサーフTF−60」、「ウィルサーフTF−80」(以上、日油社製、商品名);「Glycosperse S−20K FG」、「Glycosperse O−20K FG」(以上、Lonza社製、商品名)等が挙げられる。
脂肪含有酸性飲料中のHLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルの含有量(添加量)は、0.001〜1重量%であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.75重量%、更に好ましくは0.01〜0.5重量%である。前記下限値未満の場合は、クリーム分離やオイルオフを抑制する効果が十分に奏されないことがあり、前記上限値を超える場合は、風味への影響が大きくなる場合がある。
なお、上記添加量の範囲において、重合度やHLB、構成する脂肪酸の炭素数、平均エステル化率が異なる2種以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを併用してもよい。
なお、本発明の脂肪含有酸性飲料には、HLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルが、1種類または2種類以上含まれていてもよい。2種以上含まれる場合、上記含有量はその合計量を表す。
また、脂肪含有酸性飲料中における、水溶性ヘミセルロースとHLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルの重量比(水溶性ヘミセルロース:HLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステル)は、100:1〜0.1:1が好ましく、50:1〜0.2:1がより好ましく、25:1〜0.4:1がさらに好ましい。
ポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルは、その構造特性により、酸性域(pH5以下)において、他の乳化剤よりも安定な乳化力を発揮し、かつ、脂肪粒子の表面に吸着し、ポリオキシアルケン鎖の立体的な反発力などにより、脂肪粒子の合一や凝集、脂肪の分離による浮上(オイルオフ)を抑制することが出来る利点がある。
本発明の脂肪含有酸性飲料は、さらに、他の乳化剤を含有することが出来る。他の乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、HLB11未満のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステル、コハク酸モノグリセライド,ジアシル酒石酸モノグリセライド,クエン酸モノグリセライド,酢酸モノグリセライド,乳酸モノグリセライド等の有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、キシリタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸塩、ユッカ抽出物、サポニン、レシチン、リゾレシチンから選択される1以上の乳化剤が挙げられる。これらの中では、ショ糖脂肪酸エステル、HLB11未満のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステル、コハク酸モノグリセライド,ジアシル酒石酸モノグリセライド,クエン酸モノグリセライド,酢酸モノグリセライド,乳酸モノグリセライド等の有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、キシリタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸塩、リゾレシチンが好ましく、特にショ糖脂肪酸エステル、HLB11未満のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、キシリタン脂肪酸エステルが好ましい。このような適切な乳化剤を併用することにより、クリーム分離の発生が抑制されると共にオイルオイフの発生も抑制される。
本発明のショ糖脂肪酸エステルのHLBとしては、通常3以上であることが好ましく、より好ましくは5以上、更に好ましくは7以上であり、好ましくは20以下である。HLBが上記の値より低い場合は、保存安定性向上の効果が十分に奏されない傾向がある。
ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、特に限定されないが、炭素数6〜24の飽和または不飽和の脂肪酸が好ましく、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸などが挙げられる。これらの中では風味の観点から、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸を主成分とする脂肪酸が好ましい。
上記のショ糖脂肪酸エステルの市販品としては、「リョートーシュガーエステルS−1670」、「リョートーシュガーエステルS−1570」、「リョートーシュガーエステルS−1170」、「リョートーシュガーエステルS−970」、「リョートーシュガーエステルS−770」、「リョートーシュガーエステルS−570」、「リョートーシュガーエステルS−370」、「リョートーシュガーエステルP−1670」、「リョートーシュガーエステルP−1570」、「リョートーシュガーエステルM−1695」、「リョートーシュガーエステルO−1570」、「リョートーシュガーエステルL−1695」、「リョートーシュガーエステルLWA−1570」「リョートーシュガーエステルL−595」、「リョートーシュガーエステルB−370」(以上、三菱化学フーズ社製、商品名);「DKエステル SS」、「DKエステルF−160」、「DKエステルF−140」、「DKエステルF−110」、「DKエステルF−90」、「DKエステルF−70」、「DKエステルF−50」(以上、第一工業製薬社製、商品名)等が挙げられる。
上記のHLB11未満のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルのHLBは、通常4以上であることが好ましく、より好ましくは6以上、更に好ましくは8以上である。下限を下回ると、水への分散性が低下する傾向がある。HLB11未満のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルの具体例としては、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
上記のHLB11未満のポリグリセリン脂肪酸エステルの平均重合度は、通常2から20以下であることが好ましく、より好ましくは2から15、更に好ましくは2から10である。また構成する脂肪酸の炭素数は、特に限定されず、通常10以上が好ましく、より好ましくは12以上であり、通常22以下が好ましく、より好ましくは18以下である。
上記のHLB11未満のポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、「リョートーポリグリエステルS−24D」、「リョートーポリグリエステルS−28D」、「リョートーポリグリエステルO−50D」、「リョートーポリグリエステルB−70D」、「リョートーポリグリエステルER−60D」(以上、三菱化学フーズ社製、商品名);「SYグリスターTS−7S」、「SYグリスターSS−5S」、「SYグリスターTS−5S」、「SYグリスターPS−5S」、「SYグリスターMS−3S」、「SYグリスターTS−3S」、「SYグリスターPO−5S」、「SYグリスターMO−3S」、「SYグリスターML−310」(以上、阪本薬品工業社製、商品名);「サンソフトQ−18B」、「サンソフトQ−18D」、「サンソフトQ−17B」、「サンソフトQ−18F」、「サンソフトQ−17F」、「サンソフトA−171C」、「サンソフトA−181C」、「サンソフトA−143E」、「サンソフトA−173E」、「サンソフトA−183E」、「サンソフトA−186E」(以上、太陽化学社製、商品名);「ポエムDS−100A」、「ポエムDO−100V」、「ポエムDP−95RF」、「ポエムJ−2081V」(以上、理研ビタミン社製、商品名);「NIKKOL Hexaglyn DGMS」、「NIKKOL Tetraglyn 1−SV」、「NIKKOL Tetraglyn 1−OV」、「NIKKOL Decaglyn 3−OV」、「NIKKOL Decaglyn 3−SV」、「NIKKOL Hexaglyn 1−SV」、「NIKKOL Hexaglyn 1−OV」、「NIKKOL Decaglyn 2−SV」(以上、日光ケミカルズ社製、商品名)等が挙げられる。
上記のHLB11未満のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、中でも、エチレンオキサイドの付加数が3〜40であるものが好ましく、4〜35であるものがさらに好ましく、10〜30であるものが特に好ましい。
上記のHLB11未満のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの市販品としては、「レオドールTW−S106V」、「レオドールTW−S320V」、「レオドールTW−O106V」、「レオドール430V」(以上、花王社製、商品名)等が挙げられる。
上記した他の乳化剤であるソルビタン脂肪酸エステルの市販品としては、「ポエムS−60V」、「ソルマンS−300(V)」、「ポエムO−80V」、「L−300」、「ポエムSMV−302」(以上、理研ビタミン社製、商品名);「エマゾールL−10V」、「エマゾールP−10V」、「エマゾールS−10V」、「エマゾールO−10V」、「レオドールSP−L10」、「レオドールSP−P10」、「レオドールSP−S10V」、「レオドールSP−O10V」、「レオドールスーパーSP−L10」、「レオドールAS−10V」、「レオドールAO−10V」(以上、花王社製、商品名)等が挙げられる。
他の乳化剤を併用する場合のその使用量は、水溶性ヘミセルロースの種類や添加量、その他の乳化剤の種類によっても異なるが、HLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルと他の乳化剤の量比(重量比)が、通常1:99〜99:1であることが好ましく、より好ましくは10:90〜99:1、更に好ましくは1:4〜9:1である。
他の乳化剤を使用した場合は、当該乳化剤がHLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルと共に脂肪粒子の表面に吸着し、立体的な反発力や電気的な反発力、水和層の形成などにより、脂肪粒子の合一や凝集、脂肪の分離による浮上(オイルオフ)を抑制する効果を更に高めることが出来る利点がある。特に、ショ糖脂肪酸エステルを使用した場合、ショ糖のリジッドな立体構造と強い水和層形成力に起因する乳脂肪粒子表面の保護効果により、より一層優れた効果を発揮する。
上記の他の乳化剤は、脂肪含有酸性飲料中の割合として、通常0.001〜1重量%であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.75重量%、更に好ましくは0.01〜0.5重量%である。
また、本発明の脂肪含有酸性飲料には、タンパク質を含有させることが出来る。タンパク質としては、前記した、脂肪源として使用する動物由来の油脂である乳成分や、植物由来の油脂中に含有されていてもよいし、これとは別に、乳清タンパク、カゼイン及びその塩、又はそれらの分解物などの乳タンパク質、又はその他の植物および動物由来のタンパク質、又はそれらの分解物を添加してもよい。
本発明の脂肪含有酸性飲料のタンパク質の含有量は、通常0.01重量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.9重量%以上であり、通常10重量%以下であることが好ましく、より好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは2重量%以下である。下限を下回ると風味が弱くなる場合があり、上限を上回るとタンパク質成分の沈殿を抑制する効果が十分に発揮できない場合がある。
本発明の脂肪含有酸性飲料は、25℃における粘度が、通常5mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2.5mPa・s以下、更に好ましくは2.0mPa・s以下、更により好ましくは1.8mPa・s以下、特に好ましくは1.7mPa・s以下、最も好ましくは1.6mPa・s以下である。粘度の下限は、通常0.1mPa・s以上であることが好ましい。このような低粘度にすることにより、糊状感が少なく、清涼感が感じられやすい液性とすることが出来る。また、本発明においては、このような低粘度であっても、乳タンパク質などのタンパク質成分の沈殿を抑制することが出来る。
また、本発明の脂肪含有酸性飲料は、そのメジアン径が1μm未満であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
本発明の脂肪含有酸性飲料には、本発明の効果に影響を与えない限度において、必要により、更に、砂糖、果糖、ブドウ糖、マルトース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、トレハロース、ラクトース、マンノオリゴ糖、マルトオリゴ糖、α‐、β‐、γ‐シクロデキストリン、デキストリン、難消化性デキストリン、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、タマリンドシードガム、タラガム、カラヤガム、グアガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、プルラン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、アラビアガム、キサンタンガム、寒天、微結晶セルロース、発酵セルロース、キトサン、ファーセラン、でんぷん、加工でんぷん、イヌリン等の単糖やオリゴ糖、多糖類を含む糖類;エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、マンニトール、イノシトール等の糖アルコール;スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物などの各種甘味料;カゼインナトリウム、ホエータンパク質、アルブミン、ゼラチン、大豆タンパク質などの各種動物および植物由来のタンパク質とその分解物;レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル等の香料;β−カロテン、アスタキサンチン、リコピン、パプリカ色素などのカロテノイド、クロロフィル等の色素;果汁や果肉およびその粉砕物やペースト、ココアパウダー、大豆や小豆、コメ、麦などの穀物またはその粉末、コーヒー、紅茶、緑茶およびそのエキス、食塩などの風味付け素材;カルシウム、鉄などのミネラル素材;ビタミンやコエンザイムQ10、アミノ酸、ペプチド等のような栄養素材;二酸化炭素;リキュール、ウォッカ、焼酎などの酒類;エタノール;ローズマリー抽出物、茶抽出物、ヤマモモ抽出物などの酸化防止剤;カラシ抽出物、リゾチーム等の日持向上剤;ナイシン、ソルビン酸およびその塩などの保存料などを添加することも出来る。
本発明の脂肪含有酸性飲料の製造方法としては、水溶性ヘミセルロース及びHLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルを含むように製造する方法であれば特に限定されないが、例えば、脂肪成分を含有する系と水溶性ヘミセルロース及びHLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルを含有する系の水溶液を別途に調製したのちに、両者を合わせてpHを酸性域に調整し、均質化、加熱殺菌後容器充填することにより製造する方法などを挙げることが出来る。なお、均質化の条件は限定はされないが、少なくとも10kg/cm以上の圧力で行うのが好ましく、より好ましくは50〜500kg/cmである。
本発明の脂肪含有酸性飲料は、低粘度の酸性飲料とした場合や、全脂粉乳を乳成分に使用して酸性飲料とした場合においても、クリーム分離やオイルオフ、タンパク質の沈殿の発生を十分に抑制することが出来る。このため、特に、PET容器詰め用の脂肪含有酸性乳飲料に有用である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例および比較例)
<脂肪含有酸性飲料の製造>
水に、砂糖、脱脂粉乳(北海道乳業社製、脂肪含有率0.9重量%、タンパク質含有率34.5重量%)、全脂粉乳(北海道乳業社製、脂肪含有率26.2重量%、タンパク質含有率25.5重量%)を適量添加し、50℃に加温して溶解させた。その後、予め水に溶解または分散させておいた水溶性ヘミセルロース、HLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステル等の表1に記載の材料を含む水溶液を、最終的な含有量が表1の濃度になるように、それぞれ添加、混合した。
これに、クエン酸、乳酸、クエン酸ナトリウムを適量加えることにより、殺菌後のpHが何れも表2に記載のpHとなるように調製した。その後、水で成分濃度を調整した。得られた調製液を65℃まで加温後、200kg/cmで均質化処理し、ガラス瓶に封入した。これを90℃まで加温し、2分間保持した後、直ぐに冷却し、表2に記載の脂肪分およびタンパク質を含む脂肪含有酸性飲料を得た。
得られた脂肪含有酸性飲料についてpHを測定し、さらに、以下の方法または基準により、粘度、乳化安定性の評価、沈殿量の測定を行った。得られた結果を表2に示す。
尚、表1に記載の材料は、以下に記載のものを使用した。また、表1に記載の組成は、重量%で記載されている。また、表2中の沈殿量、タンパク質量および脂肪量は、重量%で記載されている。
<材料>
○水溶性ヘミセルロース:大豆多糖類、不二製油社製、ソヤファイブS−DA100
○HLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステル:
(A1)デカグリセリンステアリン酸エステル、SWA−10D、HLB14、固形分40重量%、三菱化学フーズ社製
(A2)デカグリセリンステアリン酸エステル、SWA−15D、HLB13、固形分30重量%、三菱化学フーズ社製
(A3)デカグリセリンラウリン酸エステル、L−10D、HLB16、三菱化学フーズ社製
(A4)ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル、TW−S120V、HLB14.9、花王社製
(A5)ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、TW−L120V、HLB16.7、花王社製
○その他乳化剤
HLB11未満のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステル:
(B1)テトラグリセリンステアリン酸エステル、MS−3S、HLB8.4、阪本薬品工業社製
(B2)ジグリセリンパルミチン酸エステル、DP−95RF、HLB8.0、理研ビタミン社製
(B3)デカグリセリンステアリン酸エステル、S−28D、HLB9、三菱化学フーズ社製
ショ糖脂肪酸エステル:
(C1)ショ糖パルミチン酸エステル、P−1570、HLB15、三菱化学フーズ社製
(C2)ショ糖パルミチン酸エステル、P−1670、HLB16、三菱化学フーズ社製
(C3)ショ糖ステアリン酸エステル、S−1570、HLB15、三菱化学フーズ社製
(C4)ショ糖ステアリン酸エステル、S−1170、HLB11、三菱化学フーズ社製
ソルビタン脂肪酸エステル:ソルビタンステアリン酸エステル、S−60V、HLB5.1、理研ビタミン社製
○モノグリセリン脂肪酸エステル:モノグリセリンステアリン酸エステル、DIMODAN HP/20−M、HLB4、ダニスコ・ジャパン社製
○ペクチン:ハイメトキシペクチン、GENU pectin type YM−150−LJ、三晶社製
○タマリンドシードガム:グリエイト、DSP五協フード&ケミカル社製
○CMC−Na
(D1)カルボキシメチルセルロースナトリウム、セロゲンF−907A、第一工業製薬社製
(D2)カルボキシメチルセルロースナトリウム、CMC FL100、欣融社製
<粘度>
株式会社トキメック製「VISCONIC ELD型」粘度計を使用し、25℃における粘度を測定した。
<乳化安定性の評価(1)>
上記方法で得られた脂肪含有酸性飲料を35℃、4週間保存した後、以下の基準で目視観察して評価した(第一段階の評価)。
〔評価基準〕
AA: オイルオフ、クリーム分離がないか、わずかにクリーム分離が認められる。
A : オイルオフがわずかに認められる。
B : オイルオフやクリーム分離がはっきりと認められる。
C : オイルオフやクリーム分離が多量に認められ、乳化が破壊されている。
<乳化安定性の評価(2)>
上記方法で得られた脂肪含有酸性飲料を35℃、4週間保存した後、第一段階の評価よりさらに厳密な基準を設け、目視観察して評価した(第二段階の評価)。
〔評価基準〕
満点を10点として、以下の評価結果から、減点式で点数を算出した。なお、メジアン径が粗大化(1μm以上)したものは、さらに−5点とした。算出した点数が、5点以下だった場合、乳化状態が不安定であると判断した。
(クリーム分散性)
0 :クリームの分散性がよく、容器への付着も少ない
−1:クリームの分散性が悪いが、撹拌後でほぼ消失する。容器への付着は少ない。
−2:クリームの分散性が悪いが、撹拌後でほぼ消失する。容器への付着は多い。
−3:クリームの分散性が悪く、撹拌後もかなり残る。
(オイルオフ)
0 :オイルオフがない。
−2:わずかにオイルオフがある。
−4:オイルオフがはっきりと確認される。
−6:オイルオフが多量に確認される。
<メジアン径>
上記方法で得られた脂肪含有酸性飲料を35℃、4週間保存した後、粒度分布計(堀場製作所社製LA−920)を使用し、メジアン径を測定した。
<沈殿量の測定>
上記方法で得られた脂肪含有酸性飲料を35℃、4週間保存した後、試料の一部を採取し、5000rpm、20分間遠心分離した。その後、上澄み液を捨て、20分間転倒静置後、残った沈殿の重量を測定した。沈殿の量を、採取した脂肪含有酸性飲料に対する重量割合として算出した。
Figure 0006420267
Figure 0006420267
以上の結果より、本発明の、水溶性ヘミセルロースおよびHLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルを含有する脂肪含有酸性飲料は、沈殿量も少なく、オイルオフやクリーム分離が少なく乳化安定性に優れていることがわかった。また、タンパク質や脂肪が多い系であっても、高い乳化安定性が得られることがわかった。
水溶性ヘミセルロースに代えて、ペクチン、タマリンドシードガム、CMC−Naを用いた飲料は、乳化安定性が悪かった(比較例2,3,15,13)。
また、HLB11以上のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルに代えて、乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステル(比較例4,5,12)、モノグリセリン脂肪酸エステル(比較例5,14)、及びHLB11未満のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステル(比較例7,8,12)、ソルビタン脂肪酸エステル(比較例9)を用いた飲料もまた、乳化安定性が悪かった。
本発明を詳細にまた特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2010年3月16日出願の日本特許出願(特願2010−059754)、2010年8月10日出願の日本特許出願(特願2010−179389)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明によれば、低粘度の酸性飲料とした場合においても、飲料中に含有する乳タンパク質などのタンパク質成分の沈殿を抑制できると共に、クリーム分離やオイルオフの発生を十分に抑制できる脂肪含有酸性飲料を提供できる。

Claims (4)

  1. 水溶性ヘミセルロース及びHLB13以上16.7以下のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルを含有するpH5以下の脂肪含有酸性飲料であって、
    さらに、HLB7以上20以下のショ糖脂肪酸エステル、HLB6以上9以下のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種以上を含有し、
    さらに、タンパク質を含有し、
    前記水溶性ヘミセルロースの含有量が、脂肪含有酸性飲料中の割合として0.05〜1重量%であり、
    前記水溶性ヘミセルロースと前記HLB13以上16.7以下のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルの重量比(水溶性ヘミセルロース:HLB13以上16.7以下のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステル)は100:1〜0.1:1であり、
    レシチンが未添加であることを特徴とする、pH5以下の脂肪含有酸性飲料。
  2. メジアン径が1μm未満である、請求項1に記載の脂肪含有酸性飲料。
  3. 有機酸および/又はその塩を含有する、請求項1または2に記載の脂肪含有酸性飲料。
  4. 水溶性ヘミセルロース及びHLB13以上16.7以下のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルを含有するpH5以下の脂肪含有酸性飲料の製造方法であって、
    HLB7以上20以下のショ糖脂肪酸エステル、HLB6以上9以下のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種以上を添加し、
    さらに、タンパク質を含有し、
    前記水溶性ヘミセルロースの含有量が、脂肪含有酸性飲料中の割合として0.05〜1重量%であり、
    前記水溶性ヘミセルロースとHLB13以上16.7以下のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステルの重量比(水溶性ヘミセルロース:HLB13以上16.7以下のポリオキシアルケン鎖を有する脂肪酸エステル)は100:1〜0.1:1であり、
    レシチンが添加されていないことを特徴とする、pH5以下の脂肪含有酸性飲料の製造方法。
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