JP2019054762A - 蛋白質品質改良剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】蛋白質を長期間安定化させ、また、飲み口が重くならず風味良好である酸性乳飲料、豆乳、経口流動食用の蛋白品質改良剤を提供することを目的とする。【解決手段】重合度5以上のポリグリセリンを50%以上含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが40%以下であるポリグリセリンと脂肪酸とをエステル化してなる、HLBが12以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを、酸性乳飲料、豆乳、経口流動食等の飲食品に添加することによって、上記課題を解決する。【選択図】なし
Description
本発明は、蛋白質の凝集や沈殿を抑制することで、分離や離水の抑制による品質安定性と、良好な風味や食感を有する飲食品を提供可能な、蛋白質凝集抑制剤、蛋白質沈殿抑制剤、蛋白質風味改善剤からなる群より選択される少なくとも1種以上を含む蛋白質品質改良剤及びそれを用いた飲食品の製造方法に関する。更に詳細には、加熱殺菌後においても蛋白質の凝集や沈殿を抑制することで、分離や離水が抑制され、保存による品質変化が少なく、また、口当たりが良く清涼感のある風味を有する酸性乳飲料、豆乳、風味や食感が改善された経口流動食に関する。
近年、飲料市場において、その機能性への注目が高まり、乳酸菌飲料やドリンクヨーグルトなどの酸性乳飲料が数多く商品化されている。一方で、カゼイン蛋白質はpH4.6付近に等電点を持つため、酸性領域では著しく水への分散性が低下し凝集することが知られている。飲料中の蛋白質の凝集や沈殿の発生は外観上好ましくなく、また飲用時に違和感が生じ良好な飲み口が得られないといった問題がある。
この問題を解決するためにHMペクチン、カルボキシメチルセルロースナトリウムあるいは大豆多糖類などを添加し凝集を防止する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながらHMペクチンとカルボキシメチルセルロースナトリウムは、添加量によっては粘度が増加し清涼感に欠け風味上好ましくない。また、非特許文献1にはそれぞれの至適pHについて記載されている。それによるとHMペクチン及び大豆多糖類の至適pHは3.7〜4.2及び3.3〜3.7となり、その範囲から外れると十分な効果が得られなかった。
また、酸性乳飲料の凝集抑制を目的として乳化剤を使用する方法が知られている。(例えば、特許文献2参照。)この方法では、HLBが7〜11のポリグリセリン脂肪酸エステルを使用しているが、この方法のようにHLBが12より低いポリグリセリン脂肪酸エステルを使用すると、pH4以下の一般的な酸性乳飲料のpHにおいては十分な効果が得られなかった。
最新・ソフトドリンクス 株式会社光琳、平成15年9月30日発行、P,367−368
本発明は、上記問題点を解決し、蛋白質の凝集や沈殿を抑制することで、分離や離水が抑制され、長期間の保存安定性に優れる、飲食品用蛋白質品質改良剤及びこれを用いて製造された酸性乳飲料、豆乳、経口流動食を提供することを目的とするものである。
本発明者らは上述の課題を解決するために、鋭意努力した結果、特定のポリグリセリン骨格及びHLBを有するポリグリセリン脂肪酸エステルを、酸性乳飲料、豆乳、経口流動食等の飲食品に添加することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、
「(1)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、重合度5以上のポリグリセリンを50重量%以上含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが40重量%以下であるポリグリセリンと脂肪酸とをエステル化してなる、HLBが12以上のポリグリセリン脂肪酸エステルである蛋白質品質改良剤。
(2)前記(1)記載の蛋白質品質改良剤を含有する酸性乳飲料、豆乳、経口流動食。
(3)前記(1)記載の蛋白質品質改良剤の添加工程を有することを特徴とする酸性乳飲料、豆乳、経口流動食の製造方法。」に関するものである。
「(1)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、重合度5以上のポリグリセリンを50重量%以上含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが40重量%以下であるポリグリセリンと脂肪酸とをエステル化してなる、HLBが12以上のポリグリセリン脂肪酸エステルである蛋白質品質改良剤。
(2)前記(1)記載の蛋白質品質改良剤を含有する酸性乳飲料、豆乳、経口流動食。
(3)前記(1)記載の蛋白質品質改良剤の添加工程を有することを特徴とする酸性乳飲料、豆乳、経口流動食の製造方法。」に関するものである。
本発明により、蛋白質の凝集や沈殿を抑制することで、分離や離水が長期間抑制され、また、粘度の増加がなく飲み口が良好な酸性乳飲料、豆乳、経口流動食を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における蛋白質品質改良剤とは、特定のポリグリセリン骨格及びHLBを有するポリグリセリン脂肪酸エステルである。ポリグリセリンとのエステル化反応は公知の方法で製造される。例えばアルカリ触媒下又は酸触媒下にて常圧又は減圧下でエステル化することができる。具体的にはポリグリセリン、脂肪酸、触媒を仕込み、窒素ガス気流化で160℃〜260℃の温度で遊離脂肪酸が無くなるまで反応させて得ることができる。得られたポリグリセリン飽和脂肪酸エステルは製品の使用上の要求によっては、高真空蒸留器による分子蒸留によって精製することも可能であり、公知のいかなる方法であっても精製することが可能である。
本発明における蛋白質品質改良剤とは、特定のポリグリセリン骨格及びHLBを有するポリグリセリン脂肪酸エステルである。ポリグリセリンとのエステル化反応は公知の方法で製造される。例えばアルカリ触媒下又は酸触媒下にて常圧又は減圧下でエステル化することができる。具体的にはポリグリセリン、脂肪酸、触媒を仕込み、窒素ガス気流化で160℃〜260℃の温度で遊離脂肪酸が無くなるまで反応させて得ることができる。得られたポリグリセリン飽和脂肪酸エステルは製品の使用上の要求によっては、高真空蒸留器による分子蒸留によって精製することも可能であり、公知のいかなる方法であっても精製することが可能である。
本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルに使用するポリグリセリンとしては、グリセリン、グリシドール又はエピクロルヒドリンによる重合反応であれば、いずれも使用することができる。また、本発明におけるポリグリセリンの重合度としては、重合度5以上のポリグリセリンを50重量%以上含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが40重量%以下であるポリグリセリンが挙げられ、好ましくは重合度5以上のポリグリセリンを60重量%以上含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが30重量%以下であるポリグリセリンであり、さらに好ましくは重合度5以上のポリグリセリンを70重量%以上含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが25重量%以下である。なお、ポリグリセリンの重合度は、ポリグリセリンをTMS化及び/またはアセチル化した誘導体となし、その上でGC法(ガスクロマトグラフィー)にて分離定量を行ない求めることができる。GC法による分析は、例えばメチルシリコンなど低極性液相を化学結合せしめたフューズドシリカキャピラリー管を用いて100℃〜250℃まで10℃/分の昇温分析を行なえば、容易に実施することができる。また、ガスクロマトグラム上のピークの重合度の同定は、例えばガスクロマトグラフを二重収束マススペクトログラフに導入し、ケミカルアイオニゼーションなどの方法によりイオン化して測定し、次にその親イオンの分子量よりガスクロマトグラム上のピークの分子量を求め、更に化学式よりグリセリンの重合度を求めることにより簡単に行うことができる。
本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルに使用する脂肪酸としては、天然の動植物より抽出した油脂を加水分解し、分離し、又は分離せずに精製して得られるカルボン酸を官能基として含む物質の総称であって特に限定するものではない。本発明に使用する脂肪酸は石油などを原料にして化学的に合成して得られる脂肪酸であってもよく、これら脂肪酸を水素添加などして還元したものや、水酸基を含む脂肪酸を縮重合して得られる縮合脂肪酸や、不飽和結合を有する脂肪酸を加熱重合して得られる重合脂肪酸であってもよい。これら脂肪酸の選択にあたっては求める製品の効果を勘案して適宜決めればよい。
また、本発明に使用する脂肪酸の鎖長は炭素数8〜22が好ましく、その脂肪酸は、特に限定するものではないが、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、リシノール酸、縮合リシノール酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミトオレイン酸、ベヘン酸、又はこれら脂肪酸の混合物が挙げられる。
本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルは、HLBが12以上のものが好ましく、12〜13のものがより好ましい。HLBが7未満では飲料に溶解し難く、7〜11までは本発明の効果が期待できないため好ましくない。HLBの算出方法は、特に限定するものではないが、HLBの代表的な測定方法としてグリフィン法、アトラス法、デイビス法、川上法が挙げられる。
本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量は、飲料中に0.005〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%である。0.005重量%より少ないと所望の効果が得られ難く、1.0重量%を超えて用いても使用量の増加に伴う効果の上昇は期待できず効果は頭打ちであり、飲料の風味が悪くなる場合があるため、好ましくない。
本発明の蛋白質品質改良剤には、上記のポリグリセリン脂肪酸エステルの他に、各種の成分を併用することができる。併用可能な成分としては、特に限定するものではないが、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、モノグリセライド、有機酸モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤及びペクチン、大豆多糖類、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガム、寒天、カラギナン、ローカストビーンガム、タラガム、ゼラチン等の増粘安定剤が挙げられる。また、形状としては、特に限定するものではないが、顆粒、粉末、液状などが挙げられる。
本発明の酸性乳飲料は、特に限定するものではないが、生乳、バター、クリーム、脱脂粉乳など乳製品を原料として加工製造した飲料、または主原料としたものや生乳、乳製品などを乳酸菌または酵母などで発酵させた糊状や液状、乳酸菌飲料、ドリンクヨーグルトを含む発酵乳、発酵乳を主原料としてこれに水を加えて薄めた乳性飲料(清涼飲料)等、または乳酸発酵を行わずに乳成分にクエン酸、乳酸、リンゴ酸等の酸を添加した清涼飲料水などが挙げられる。
本発明で使用する乳製品とは、特に限定するものではないが、牛乳、山羊乳など獣乳、生クリーム、豆乳、これらを粉末化した全粉乳、脱脂粉乳、さらに糖を添加した加糖脱脂練乳、加糖練乳、濃縮した濃縮乳、脱脂濃縮乳、分離したカゼイン蛋白質、バター、カルシウムなどのミネラル、ビタミン類を強化した加工乳および発酵乳やそれに由来する蛋白質などが挙げられる。
本発明の酸性乳飲料のpHは3.0〜4.6であり、好ましくはpH3.3〜4.2である。これよりもpHが低くなると、酸味が強く乳飲料として適さなくなり、これよりpHが高くなると清涼感がなく、風味上好ましくない上に、乳蛋白質の凝集や沈殿が起こりやすくなるからである。
本発明の豆乳は、豆乳類の日本農林規格(昭和56年11月16日農林水産省告示第1800号)に記載されている豆乳、調製豆乳及び豆乳飲料である。
豆乳とは大豆(粉末状のもの及び脱脂したものを除く)から熱水等により蛋白質その他の成分を溶出させ、繊維質を除去して得られた乳状の飲料(大豆豆乳液)であって大豆固形分が8%以上のものをいい、調製豆乳とは、大豆豆乳液に大豆油その他の植物油脂及び砂糖類、食塩等の調味料を加えた乳状の飲料(調製豆乳液)であって大豆固形分が6%以上のもの及び脱脂加工大豆(大豆を加えたものを含む)から熱水等により蛋白質その他の成分を溶出させ、繊維質を除去して得られたものに大豆油その他の植物油脂及び砂糖類、食塩等の調味料を加えた乳状の飲料(調製脱脂大豆豆乳液)であって大豆固形分が6%以上のものをいい、豆乳飲料とは、調製豆乳液又は調製脱脂大豆豆乳液に粉末大豆蛋白を加えた乳状の飲料(調製粉末大豆豆乳液)であって大豆固形分が4%以上のもの及び調製豆乳液、調製脱脂大豆豆乳液又は調製粉末大豆豆乳液に果実の搾汁、野菜の搾汁、乳又は乳製品、殻類粉末等の風味原料を加えた乳状の飲料であって大豆固形分が4%以上のものをいう。
豆乳とは大豆(粉末状のもの及び脱脂したものを除く)から熱水等により蛋白質その他の成分を溶出させ、繊維質を除去して得られた乳状の飲料(大豆豆乳液)であって大豆固形分が8%以上のものをいい、調製豆乳とは、大豆豆乳液に大豆油その他の植物油脂及び砂糖類、食塩等の調味料を加えた乳状の飲料(調製豆乳液)であって大豆固形分が6%以上のもの及び脱脂加工大豆(大豆を加えたものを含む)から熱水等により蛋白質その他の成分を溶出させ、繊維質を除去して得られたものに大豆油その他の植物油脂及び砂糖類、食塩等の調味料を加えた乳状の飲料(調製脱脂大豆豆乳液)であって大豆固形分が6%以上のものをいい、豆乳飲料とは、調製豆乳液又は調製脱脂大豆豆乳液に粉末大豆蛋白を加えた乳状の飲料(調製粉末大豆豆乳液)であって大豆固形分が4%以上のもの及び調製豆乳液、調製脱脂大豆豆乳液又は調製粉末大豆豆乳液に果実の搾汁、野菜の搾汁、乳又は乳製品、殻類粉末等の風味原料を加えた乳状の飲料であって大豆固形分が4%以上のものをいう。
本発明の経口流動食は、種々の原因で低栄養状態あるいは消化吸収機能低下状態にあるものに与えることを目的とした治療食であり、カロリー値が1kcal/mL以上、栄養成分として蛋白質,脂質,炭水化物,ミネラル,ビタミンからなる群より選択される少なくとも1種以上を含み、常温で液体の食品を指す。
本発明の酸性乳飲料、豆乳、経口流動食は、保存性を高める目的で加熱殺菌して容器に充填され、最終製品とすることができる。この加熱殺菌条件は、特に限定するものではないが、本発明の酸性乳飲料、豆乳、経口流動食は、高温で殺菌しても蛋白質の凝集や沈殿が少ないという特徴があり、80℃以上の高温殺菌にも耐え得る。
本発明の酸性乳飲料、豆乳、経口流動食には、本発明の効果に影響を及ぼさない程度で、特に限定するものではないが、砂糖、果糖、糖アルコール、スクラロース、アスパルテーム、ステビアなどの甘味料、りんご、桃、オレンジ、ストロベリーなどの果汁、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、食物繊維、酸味料、調味料、色素、香料などを添加することもできる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定するものではない。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定するものではない。
実施例1
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸422gを入れ、水酸化ナトリウム0.14gを入れ、ポリグリセリンA(重合度5以上のポリグリセリンを96.8%含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが2.8%であるポリグリセリン。太陽化学株式会社製。)278gを仕込み、窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。本品のHLBをアトラス法により算出すると12.9であった。
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸422gを入れ、水酸化ナトリウム0.14gを入れ、ポリグリセリンA(重合度5以上のポリグリセリンを96.8%含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが2.8%であるポリグリセリン。太陽化学株式会社製。)278gを仕込み、窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。本品のHLBをアトラス法により算出すると12.9であった。
実施例2
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸436gを入れ、水酸化ナトリウム0.14gを入れ、ポリグリセリンB(重合度5以上のポリグリセリンを73.9%含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが20.8%であるポリグリセリン。太陽化学株式会社製。)264gを仕込み、窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。本品のHLBをアトラス法により算出すると12.5であった。
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸436gを入れ、水酸化ナトリウム0.14gを入れ、ポリグリセリンB(重合度5以上のポリグリセリンを73.9%含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが20.8%であるポリグリセリン。太陽化学株式会社製。)264gを仕込み、窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。本品のHLBをアトラス法により算出すると12.5であった。
実施例3
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸449gを入れ、リン酸三カリウム0.14gを入れ、ポリグリセリンC(重合度5以上のポリグリセリンを51.0%含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが38.8%であるポリグリセリン。太陽化学株式会社製。)251gを仕込み、窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリンス脂肪酸エステルを得た。本品のHLBをアトラス法により算出すると12.0であった。
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸449gを入れ、リン酸三カリウム0.14gを入れ、ポリグリセリンC(重合度5以上のポリグリセリンを51.0%含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが38.8%であるポリグリセリン。太陽化学株式会社製。)251gを仕込み、窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリンス脂肪酸エステルを得た。本品のHLBをアトラス法により算出すると12.0であった。
実施例4
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸442gを入れ、リン酸三カリウム0.14gを入れ、ポリグリセリンD(重合度5以上のポリグリセリンを62.4%含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが29.8%であるポリグリセリン。太陽化学株式会社製。)265gを仕込み、窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリンス脂肪酸エステルを得た。本品のHLBをアトラス法により算出すると12.2であった。
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸442gを入れ、リン酸三カリウム0.14gを入れ、ポリグリセリンD(重合度5以上のポリグリセリンを62.4%含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが29.8%であるポリグリセリン。太陽化学株式会社製。)265gを仕込み、窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリンス脂肪酸エステルを得た。本品のHLBをアトラス法により算出すると12.2であった。
比較例1
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸471gを入れ、リン酸三カリウム0.14gを入れ、ポリグリセリンE(重合度5以上のポリグリセリンを39.5%含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが47.8%であるポリグリセリン。太陽化学株式会社製。)229gを仕込み、窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。本品のHLBをアトラス法により算出すると12.5であった。
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸471gを入れ、リン酸三カリウム0.14gを入れ、ポリグリセリンE(重合度5以上のポリグリセリンを39.5%含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが47.8%であるポリグリセリン。太陽化学株式会社製。)229gを仕込み、窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。本品のHLBをアトラス法により算出すると12.5であった。
比較例2
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸531gを入れ、リン酸三カリウム0.14gを入れ、ポリグリセリンF(重合度5以上のポリグリセリンを39.5%含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが47.8%であるポリグリセリン。太陽化学株式会社製。)169gを仕込み、窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。本品のHLBをアトラス法により算出すると15.1であった。
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸531gを入れ、リン酸三カリウム0.14gを入れ、ポリグリセリンF(重合度5以上のポリグリセリンを39.5%含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが47.8%であるポリグリセリン。太陽化学株式会社製。)169gを仕込み、窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。本品のHLBをアトラス法により算出すると15.1であった。
酸性乳飲料(清涼飲料)
本発明品1〜3及び比較品1〜2
脱脂粉乳10g、ショ糖87g、クエン酸三ナトリウム2g、ハイメトキシルペクチン(ネオソフトP−481、太陽化学株式会社製。)2gを粉体混合した後、イオン交換水300gに分散させて85℃、5分間加熱溶解した。次いで、実施例1〜3または比較例1〜2のポリグリセリン脂肪酸エステル0.5gを添加し、50.0重量%クエン酸水溶液にてpH3.8に調整した後、イオン交換水を加えて全量を1000gとした。調合液を65〜70℃に昇温し、高圧ホモジナイザーにて15MPaの圧力で均質化後、93℃達温での加熱殺菌を行い、実施例1〜3または比較例1〜2を0.05%添加した、乳性飲料である本発明品1〜3及び比較品1〜2を得た。
本発明品1〜3及び比較品1〜2
脱脂粉乳10g、ショ糖87g、クエン酸三ナトリウム2g、ハイメトキシルペクチン(ネオソフトP−481、太陽化学株式会社製。)2gを粉体混合した後、イオン交換水300gに分散させて85℃、5分間加熱溶解した。次いで、実施例1〜3または比較例1〜2のポリグリセリン脂肪酸エステル0.5gを添加し、50.0重量%クエン酸水溶液にてpH3.8に調整した後、イオン交換水を加えて全量を1000gとした。調合液を65〜70℃に昇温し、高圧ホモジナイザーにて15MPaの圧力で均質化後、93℃達温での加熱殺菌を行い、実施例1〜3または比較例1〜2を0.05%添加した、乳性飲料である本発明品1〜3及び比較品1〜2を得た。
試験例1
本発明品1〜3及び比較品1〜2の酸性乳飲料の調製直後及び37℃にて30日間保存した後の凝集・沈殿の発生状況について以下の評価基準により評価を行った。また、調製直後については、専門パネラー10名による風味、口当たりを評価した。結果を表1に示した。
本発明品1〜3及び比較品1〜2の酸性乳飲料の調製直後及び37℃にて30日間保存した後の凝集・沈殿の発生状況について以下の評価基準により評価を行った。また、調製直後については、専門パネラー10名による風味、口当たりを評価した。結果を表1に示した。
<凝集・沈殿評価の基準>
5:凝集・沈殿が発生しない
4:凝集・沈殿が僅かに発生するが、軽く振盪することにより分散消失する
3:凝集・沈殿が発生するが、振盪することにより分散消失する
2:凝集・沈殿が発生し、振盪しても分散しない
1:凝集・沈殿の発生量が多く、振盪により分散しない
5:凝集・沈殿が発生しない
4:凝集・沈殿が僅かに発生するが、軽く振盪することにより分散消失する
3:凝集・沈殿が発生するが、振盪することにより分散消失する
2:凝集・沈殿が発生し、振盪しても分散しない
1:凝集・沈殿の発生量が多く、振盪により分散しない
<官能評価の基準>
5:大変良好である
4:良好である
3:どちらともいえない
2:やや悪い
1:悪い
5:大変良好である
4:良好である
3:どちらともいえない
2:やや悪い
1:悪い
表1の結果より明らかなように本発明品である酸性乳飲料は、非常に安定であり、風味良好であった。
ドリンクヨーグルト
本発明品4と5及び比較品3
牛乳120gとイオン交換水250gの混合液にディスパーを用いて攪拌しながら、脱脂粉乳70gを加え、95℃で15分殺菌処理した。この溶液を40℃まで冷却し、スターターとして市販のプレーンヨーグルト60gを加えて全量を500gとした後、40℃の恒温槽にてpH4.3まで発酵させた。発酵後、ホモミキサーを用いてカードを破砕し、10℃以下に冷却した後、ホモジナイザーを使用して10MPaで均質化処理し、濃縮発酵乳を得た。また、イオン交換水400gに、砂糖60g、実施例4のポリグリセリン脂肪酸エステルを0.5gまたは1.0g、ハイメトキシルペクチン(ネオソフトP−481、太陽化学株式会社製。)を0.5g配合し、85℃、5分間加熱溶解した。次いで、水で全量を500gとし、シロップ溶液を得た。この濃縮発酵乳500gとシロップ溶液500gをプロペラ攪拌にて30分間混合し、実施例4を0.05%または0.1%、ハイメトキシルペクチン(ネオソフトP−481、太陽化学株式会社製。)を0.05%添加した、ドリンクヨーグルトである本発明品4と5及び比較品3を調製した。
本発明品4と5及び比較品3
牛乳120gとイオン交換水250gの混合液にディスパーを用いて攪拌しながら、脱脂粉乳70gを加え、95℃で15分殺菌処理した。この溶液を40℃まで冷却し、スターターとして市販のプレーンヨーグルト60gを加えて全量を500gとした後、40℃の恒温槽にてpH4.3まで発酵させた。発酵後、ホモミキサーを用いてカードを破砕し、10℃以下に冷却した後、ホモジナイザーを使用して10MPaで均質化処理し、濃縮発酵乳を得た。また、イオン交換水400gに、砂糖60g、実施例4のポリグリセリン脂肪酸エステルを0.5gまたは1.0g、ハイメトキシルペクチン(ネオソフトP−481、太陽化学株式会社製。)を0.5g配合し、85℃、5分間加熱溶解した。次いで、水で全量を500gとし、シロップ溶液を得た。この濃縮発酵乳500gとシロップ溶液500gをプロペラ攪拌にて30分間混合し、実施例4を0.05%または0.1%、ハイメトキシルペクチン(ネオソフトP−481、太陽化学株式会社製。)を0.05%添加した、ドリンクヨーグルトである本発明品4と5及び比較品3を調製した。
試験例2
本発明品4と5及び比較品3のドリンクヨーグルトを50ml遠沈管に45ml充填し、5℃で20日間保存した後の以下の評価基準により凝集・沈殿の発生状況について評価を行った。また、調製直後については、専門パネラー10名による風味、口当たりを算出した。結果表2に示す。
本発明品4と5及び比較品3のドリンクヨーグルトを50ml遠沈管に45ml充填し、5℃で20日間保存した後の以下の評価基準により凝集・沈殿の発生状況について評価を行った。また、調製直後については、専門パネラー10名による風味、口当たりを算出した。結果表2に示す。
<凝集・沈殿評価の基準>
5:凝集・沈殿が発生しない
4:凝集・沈殿が僅かに発生するが、軽く振盪することにより分散消失する
3:凝集・沈殿が発生するが、振盪することにより分散消失する
2:凝集・沈殿が発生し、振盪しても分散しない
1:凝集・沈殿の発生量が多く、振盪により分散しない
5:凝集・沈殿が発生しない
4:凝集・沈殿が僅かに発生するが、軽く振盪することにより分散消失する
3:凝集・沈殿が発生するが、振盪することにより分散消失する
2:凝集・沈殿が発生し、振盪しても分散しない
1:凝集・沈殿の発生量が多く、振盪により分散しない
<官能評価の基準>
5:大変良好である
4:良好である
3:どちらともいえない
2:やや悪い
1:悪い
5:大変良好である
4:良好である
3:どちらともいえない
2:やや悪い
1:悪い
表2の結果より明らかなように、本発明品4と5のドリンクヨーグルトは、保存後も離水や蛋白質の凝集もなく、安定性に優れていた。また、飲み口が軽く風味も非常に良好であった。これに対して、従来技術であるハイメトキシルペクチンを用いた、比較品3のドリンクヨーグルトでは、蛋白質の凝集や沈殿は抑制されたものの、粘度上昇があり、風味の低下が認められた。
本発明の蛋白質凝集抑制剤により、非常に安定で風味良好な酸性乳飲料、豆乳、経口流動食を製造することができ、産業上貢献大である。
Claims (3)
- 重合度5以上のポリグリセリンを50%以上含み、かつ重合度3以下のポリグリセリンが40%以下であるポリグリセリンと脂肪酸とをエステル化してなる、HLBが12以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する蛋白質品質改良剤。
- 請求項1記載の蛋白質品質改良剤を含有する、酸性乳飲料、豆乳、経口流動食からなる群より選択されるいずれか1種の飲食品。
- 請求項1記載の蛋白質品質改良剤の添加工程を有することを特徴とする酸性乳飲料、豆乳、又は経口流動食の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017181704A JP2019054762A (ja) | 2017-09-21 | 2017-09-21 | 蛋白質品質改良剤 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017181704A JP2019054762A (ja) | 2017-09-21 | 2017-09-21 | 蛋白質品質改良剤 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Country | Link |
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JP (1) | JP2019054762A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022211013A1 (ja) * | 2021-03-31 | 2022-10-06 | 不二製油グループ本社株式会社 | 植物性蛋白質含有液状食品及びその製造方法 |
-
2017
- 2017-09-21 JP JP2017181704A patent/JP2019054762A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022211013A1 (ja) * | 2021-03-31 | 2022-10-06 | 不二製油グループ本社株式会社 | 植物性蛋白質含有液状食品及びその製造方法 |
JPWO2022211013A1 (ja) * | 2021-03-31 | 2022-10-06 | ||
JP7332074B2 (ja) | 2021-03-31 | 2023-08-23 | 不二製油株式会社 | 植物性蛋白質含有液状食品及びその製造方法 |
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