JP2007269714A - カプシノイド含有乳化組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カプシノイド類化合物の乳化組成物中での安定性を高める方法を提供する。
【解決手段】カプシノイド化合物を含有する油相と、水相とを乳化剤により乳化してカプシノイド含有乳化組成物を製造する際に、前記油相に対して0.5〜5質量%の油増粘剤を添加する。
【選択図】なし

Description

本発明は、カプシノイド類化合物を含有する乳化組成物の製造方法に関する。
辛味の少ないトウガラシとして矢澤らにより選抜固定されたトウガラシの無辛味固定品種である「CH−19甘」は、辛味を呈さない新規なカプシノイド類化合物を多量に含有することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。このカプシノイド類に属する化合物(バニリルアルコールの脂肪酸エステル、カプシエイト、ジヒドロカプシエイト等、以下単に「カプシノイド化合物」、「カプシノイド」又は「カプシノイド類」ということがある。)は、トウガラシの辛味成分であるカプサイシノイド(カプサイシン、ジヒドロカプサイシン等)とは異なり、辛味を示さないものの、免疫の賦活化作用、エネルギー代謝の活性化作用等が報告されており(特許文献1参照)、今後の応用が期待されている。
カプシノイド類は、バニロイド基と脂肪酸側鎖間に存在するエステル結合が容易に加水分解されるため非常に不安定である。そこで、飲料などの液状食品へ添加していくには安定性を維持しながら水溶化可能な技術が必要とされている。このような技術として、カプシノイド含有油を各種乳化剤で乳化製剤化し、水溶化する技術が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−246478号公報 特開2003−192576号公報 矢澤ら、園芸学会雑誌、58巻、601−607頁、1989年
しかしながら、前記特許文献2ではカプシノイド含有乳化製剤の酸性領域中での安定性が示されているものの、実際に当該乳化製剤を水性飲料へ調製すると、乳化製剤中のカプシノイドが常温保管中に徐々に分解されているという問題がある。健康機能性食品の製造においては、生理機能を発揮する有効成分の含量は賞味期間を通じて一定の必要量を確保しなければならない。このため、中間原料の乳化組成物におけるカプシノイド化合物の安定性だけでなく、最終製品でのカプシノイド化合物の安定性が品質を確保する上で特に重要であり、長期間の保存条件下でも安定な乳化組成物の製造方法が望まれている。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を続けた結果、カプシノイド含有乳化組成物を調製する際に、カプシノイド化合物を混和する油相に増粘剤を添加することにより、油相中の油脂の粘度を高めることによって乳化組成物中におけるカプシノイド化合物の安定性が顕著に向上することを見出した。従来、油の増粘剤はマーガリンでの油分離防止等の用途に使用されているが、同時に配合される他成分を安定化するために使用された例は知られていない。また、カプシノイド化合物を添加する油の物性を変えることにより乳化組成物中のカプシノイド化合物の安定性が向上することも知られていない。
すなわち、本発明は少なくとも以下の内容を含む。
(1)カプシノイド化合物を含有する油相と、水相とを乳化剤により乳化してなるカプシノイド含有乳化組成物の製造方法であって、前記油相に対して0.5〜5質量%の油増粘剤を添加することを特徴とする製造方法。
(2)前記カプシノイド化合物が、ジヒドロカプシエイト、カプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、オクタン酸バニリル、ノナン酸バニリル、デカン酸バニリル及びこれらの混合物から選択される(1)に記載の製造方法。
(3)前記油相が、中鎖飽和脂肪酸トリグリセリド(MCT)、大豆油、ヤシ油、コメ油、コーン油、パーム油、紅花油、菜種油、オリーブ油、牛脂、豚脂、鶏脂、魚油、オレイン酸及びこれらの混合物から選択される油脂類を含む(1)又は(2)何れか記載の製造方法。
(4)前記乳化剤が、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、化工でん粉、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、ガッティガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸及びその塩類、カラギーナン、ゼラチン、オクテニルコハク酸澱粉並びにカゼインからなる群より選択される(1)〜(3)何れか記載の製造方法。
(5)前記油増粘剤が、グリセリン脂肪酸エステルから選択される成分を含有する(1)〜(4)何れか記載の製造方法。
(6)前記グリセリン脂肪酸エステルが、ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステル、グリセリンモノベヘニン酸エステル及びこれらの混合物から選択される(5)に記載の製造方法。
(7)(1)〜(6)何れか記載の方法で製造されることを特徴とするカプシノイド含有乳化組成物。
(8)(7)に記載の乳化組成物を0.01〜5.0質量%含有することを特徴とする飲食品。
(9)(7)に記載の乳化組成物0.01〜5.0質量%と、水性成分95.0〜99.99質量%とからなることを特徴とする水性飲料。
本発明の方法で製造されたカプシノイド含有乳化組成物は、従来よりも安定性が向上し、カプシノイド化合物を含有する飲食品の製品設計やその製造がより簡便に行えることとなる。本発明の方法による安定化のメカニズムについては必ずしも明らかではないが、油増粘剤の添加により形成される微細構造が、乳化物界面におけるカプシノイド化合物の加水分解を抑制しているものと推測される。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(カプシノイド化合物)
本発明において、カプシノイド化合物とは、バニリルアルコールの脂肪酸エステルをいい、その代表的な成分としては、トウガラシ類に含有される成分として確認された、カプシエイト、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイトが含まれ、さらにバニリルデカノエイト、バニリルノナノエイト、バニリルオクタノエイト等のカプシエイトやノルジヒドロカプシエイトと同程度の脂肪酸鎖長を有する、各種直鎖又は分岐鎖脂肪酸とバニリルアルコールの脂肪酸エステルをも包含するが、これらに限定されない。カプシエイト(以下、「CST」と略する場合がある。)、ジヒドロカプシエイト(以下「DCT」と略する場合がある。)及びノルジヒドロカプシエイト(以下「NDCT」と略する場合がある。)はそれぞれ以下の化学式で表すことができる。
Figure 2007269714
Figure 2007269714
Figure 2007269714
カプシノイド化合物は、トウガラシ属に属する植物体(以下「トウガラシ」という。)に多く含まれるものであるため、トウガラシの植物体及び/又は果実から精製、分離することによって調製することができる。精製に使用するトウガラシは、カプシノイドを含有するトウガラシであれば特に制限はなく、「日光」や「五色」等に代表される在来の辛味を有するトウガラシ品種由来でもよいが、無辛味品種のトウガラシが好ましい。中でも、「CH−19甘」、「万願寺」、「伏見甘長」等の無辛味品種や、ししとう、ピーマン等にはカプシノイド化合物が多く含まれており好適に用いることができる。特に、無辛味品種である「CH−19甘」には当該成分の含有量が高いためさらに好ましい。本明細書において、用語「CH−19甘」は、「CH−19甘」品種、及び「CH−19甘」に由来する後代類縁品種等を含む一群の品種を意味する。カプシノイド化合物の精製、分離は、当業者にとって良く知られた溶媒抽出や、シリカゲルクロマトグラフィー等の各種のクロマトグラフィー、調製用高速液体クロマトグラフィー等の手段を単独、又は適宜組み合わせることにより行うことができ、例えば、上掲の特許文献1に記載の方法を用いることができる。
また、上記のカプシノイド化合物は、例えば、上掲の特許文献1に記載のような、対応する脂肪酸エステルとバニリルアルコールを出発原料としたエステル交換反応により合成することもできる。または、その構造式に基づいて、当業者にとって周知のその他の反応手法により合成することもできる。さらには、カプシノイドは酵素を用いる合成法により容易に調製することも可能である。例えば、特開2000−312598号公報や、Kobataら(Biosci. Biotechnol. Biochem., 66 (2), 319-327, 2002)記載の方法により、所望の化合物に対応する脂肪酸エステル、及び/又は当該脂肪酸を有するトリグリセリド等の化合物と、バニリルアルコールとを基質としたリパーゼの逆反応を利用することにより容易に所望のカプシノイド化合物を得ることができる。
本発明の製造方法に用いる場合、カプシノイド化合物は、上記の抽出品や合成品のいずれであってもよく、また、単独のカプシノイド化合物でも或いは2種以上の混合物を用いてもよい。さらに、使用するカプシノイド化合物にはその分解物である遊離脂肪酸やバニリルアルコール等が含まれていてもよい。
(油相)
カプシノイド化合物を含有する油相とは、前記カプシノイド化合物と油脂類とを混和せしめてなる脂溶性物質をいう。当該油脂類としては、例えば、大豆油、ヤシ油、コメ油、コーン油、パーム油、紅花油、菜種油、オリーブ油等の植物性油脂、炭素数6〜10の飽和脂肪酸(例えば、カプリン酸、カプリル酸等)を主要な構成成分とした脂肪酸とグリセリンから構成される中鎖飽和脂肪酸トリグリセリド(以下、「MCT」ともいう。)、牛脂、豚脂、鶏脂、及び魚油等の動物油脂類、オレイン酸などの脂肪酸並びにこれらの混合物等が挙げられる。さらに、比重調整剤としてシュークロースアセテートイソブチレート(SAIB)なども添加される。
カプシノイド化合物を含有する油相は、上記油脂類の他に以下に述べる油増粘剤やその他の油性成分を含むことができ、それによって25℃で測定したときの当該油相の粘度が少なくとも50mPa・sに調整されることを特徴とする。当該粘度の測定は、当業者において公知の方法を用いて測定することができ、例えば、回転粘時計、毛細管粘時計、落球式粘時計等の通常用いられる測定器具を用いる。
(油増粘剤)
本発明において油増粘剤とは、油剤に溶解し増粘効果を示す物であれば特に限定されないが、例えば、長鎖脂肪酸エステル等の油脂固化剤が挙げられる。長鎖脂肪酸エステルとしては、炭素数20以上の脂肪酸のエステルが好ましい。炭素数20以上の脂肪酸のエステルとは、例えばアラキン酸、ベヘニン酸等と、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等とのエステルである。具体的には、グリセリンモノベヘニン酸エステル、グリセリンモノアラキン酸エステル、ソルビタンジアラキン酸エステル等が挙げられるがこれらに限定されない。中でも、ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステル、モノグリセリンモノベヘニン酸エステル、及びこれらの混合物が好ましく、具体的には、太陽化学社製の商品名「TAISET」が挙げられる。
油増粘剤の添加量は、当該油増粘剤を添加する前の疎水性成分の粘度から粘度を向上することのできる量であれば特に制限されないが、例えば0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%、さらに好ましくは1〜3質量%である。上記添加量の油増粘剤を含むカプシノイド含有疎水性成分は、25℃で測定した際に、好ましくは50〜350mPa・sの粘度に調整される。
(水相)
本発明の方法に使用する水相は、上記油相を乳化して水中油型の乳化組成物を調製するためのものである。必要に応じて、砂糖、水飴等の糖類、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の塩類、酸化防止剤、β−カロチン、パプリカ色素等の色素類等を適宜配合することもできる。水性成分のpHは、酸性領域のpHに調整することが好ましく、より好ましくはpH2〜6である。かかるpH調整に用いる酸性物質としては特に制限はないが、例えば、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、DL−リンゴ酸、安息香酸、グルコン酸、グルコノデルタラクトン等の有機酸及びその塩類、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム等の塩類、リン酸等の無機酸及びその塩類、ビタミンC及びその塩類等を挙げることができる。これらの酸性物質を用いて乳化組成物のpHを酸性領域に調整することによりカプシノイド化合物を安定性を長期間保持することができる。
(乳化剤及び乳化組成物の製造方法)
本発明の方法に使用しうる乳化剤も特に制限されるものではなく、従来から飲食品に用いられている各種の乳化剤が使用可能であり、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、化工でん粉、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、ガッティガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸及びその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、オクテニルコハク酸澱粉等を挙げることができる。
中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が乳化安定性の観点から好ましい。これら乳化剤の使用量は厳密に制限されるものではなく、用いる乳化剤の種類等に応じて広い範囲にわたり適宜変更可能であるが、通常、カプシノイド化合物を含有する油相、水相及び乳化剤の合計量に対し、約2〜30質量%、好ましくは約3〜25質量%使用することができる。例えば、乳化剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する場合は、約6〜10質量%の範囲内で使用することが好ましい。この際、乳化剤、油相及び水相の混和比率は、水中油型の乳化組成物を形成する比率であれば良く、選択した油種や乳化剤に応じて、適宜当業者であれば決定することができる。
本発明のカプシノイド含有乳化組成物の製造にあたっては、カプシノイド化合物を含有する油相に、好ましくは上記油増粘剤を含む油相に乳化剤を添加し、通常用いられる油脂の乳化方法により適宜乳化組成物を調製することができる。例えば、好ましい1つの実施形態において、まずカプシノイド化合物を含有する油相と、水に上記乳化剤を加熱溶解させた水相とを混合し、必要に応じて乳化組成物のpHが2〜6の範囲となるように上記酸性物質で調整し、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー等を用いて混合処理を行うことにより、カプシノイド化合物の安定性に優れた乳化組成物を調製することができる。
(本発明の乳化組成物を含有する飲食品及び水性飲料)
本発明の方法により製造された乳化組成物は、例えば飲料、ヨーグルトなどの乳製品、アイスクリームなどの冷菓、チョコレート、キャンディ、チューインガム、ベーカリー類、水産加工食品、畜肉加工食品、レトルト食品、冷凍食品、健康食品等の飲食品類に適当量を配合することにより、長期間安定にカプシノイド化合物の生理作用が付与された飲食品類を提供することができる。中でも、カプシノイド含有水性飲料が好ましい。水性飲料としては、果汁、ビタミン、アミノ酸、香料、糖類等を添加した清涼飲料水又は炭酸飲料水として提供することができる。これらの水性飲料に配合されるカプシノイド含有乳化組成物の使用量は、使用目的、飲食品の種類、形態等によって異なるが、一般的には、水性飲料に対して約0.01〜約5質量%の範囲で使用することができる。これらの製品には、本発明の水性飲料等が免疫機構を賦活し、エネルギー代謝を活性化して生活習慣病の改善のために用いられるものである旨の表示を伴ってもよい。これらの表示は、製品の包装に表示されていてもよく、又は添付文書として同梱されていてもよい。これらの表示には、一日当たりの適切な摂取量や摂取方法などの説明が記載されていることが好ましい。
[油増粘剤を添加したカプシノイド乳化液の試作と安定性評価]
デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(太陽化学製)0.857gとデカグリセリンペンタオレイン酸エステル(太陽化学製)0.143gをビーカーに計量後、0.01Mクエン酸緩衝液(pH7.0)を加えて全量を100gとした後、70℃以上の温水中で乳化剤を溶解した。乳化剤が溶解した1%乳化剤クエン酸緩衝液は室温まで放冷した。カプシノイド類は3種混合カプシノイド4.39g(14.3mmol)(Kobataら(Biosci. Biotechnol. Biochem., 66(2), 319-327, 2002)記載の方法に準じて合成、カプシエイト:ノルジヒドロカプシエイト:ジヒドロカプシエイト=62:7:30の比率で含有する3種混合品、純度88%)を使用した。合成カプシノイド2.0g、カプサイシノイド(Sigma製)0.5g、中鎖脂肪酸トリグリセライド(花王製、商品名ココナードRK)97.5gを混合しカプシノイド含有油を調製した。続いて、カプシノイド含有油5.0gに対し、油増粘剤(太陽化学製、商品名TAISET)をそれぞれ0.05g(対油1%)、0.10g(対油2%)、0.15g(対油3%)添加して、油増粘剤入りカプシノイド含有油を調製した。
50mLファルコンチューブ(Becton Dickinson製)へ1%乳化剤クエン酸緩衝液36.0gと、それぞれカプシノイド含有油4.0g(対油0%)、油増粘剤入りカプシノイド含有油4.04g(対油1%)、4.08g(対油2%)、あるいは4.12g(対油3%)を加えた。そして、ホモミキサー(Heidolph、DIAX900)ダイアル4(19,000rpm相当)で強攪拌して予備乳化を行った。
続いて、この予備乳化液をフィルターを通過させる事により膜乳化した。膜乳化液はよく混合した上で4gずつ褐色瓶へ分注、保存中の水分蒸発を避けるためにふた部分をパラフィルムでしっかりと巻いた。褐色瓶は加速条件である44℃で保存、保存してから5時間後、24時間後に取り出してカプシノイド含量を分析した。さらに保存前後で乳化粒子径を測定し、乳化粒子径は変化していない事を確認した。
カプシノイド含量の分析は以下の通りである。膜乳化液はよく振った上で1gを20mLメスフラスコへ採取し、酢酸エチル:メタノール=6:4の混合溶媒を加えてメスアップした。メスアップした溶液をさらに同一の混合溶媒にて5倍希釈してから高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。
油増粘剤入りカプシノイド乳化液の保存結果を図1に示す。図1よりカプシノイド乳化液の保存安定性は、油増粘剤を1%以上添加すると添加しない場合と比べて10%以上向上する事が確認された。ちなみに、この油増粘剤を添加した場合の粘度は、菜種油に添加した場合、25℃でTAインスツルメンツ社製ARES法)で測定したところ(Geometry Cone 50mm、Cone Angle 0.00394 radians、Shear Rate 50 1/s)で測定すると1%添加で59mPa・s、2%添加で200mPa・s、3%添加で330mPa・sであった。
本発明の方法は、食品分野、化粧品分野等で利用可能である。
実施例1において、種々の濃度で油増粘剤を添加したカプシノイド含有乳化組成物の保存安定性を調べた結果である。

Claims (9)

  1. カプシノイド化合物を含有する油相と、水相とを乳化剤により乳化してなるカプシノイド含有乳化組成物の製造方法であって、前記油相に対して0.5〜5質量%の油増粘剤を添加することを特徴とする製造方法。
  2. 前記カプシノイド化合物が、ジヒドロカプシエイト、カプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、オクタン酸バニリル、ノナン酸バニリル、デカン酸バニリル及びこれらの混合物から選択される請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記油相が、中鎖飽和脂肪酸トリグリセリド(MCT)、大豆油、ヤシ油、コメ油、コーン油、パーム油、紅花油、菜種油、オリーブ油、牛脂、豚脂、鶏脂、魚油、オレイン酸及びこれらの混合物から選択される油脂類を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記乳化剤が、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、化工でん粉、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、ガッティガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸及びその塩類、カラギーナン、ゼラチン、オクテニルコハク酸澱粉、並びにカゼインからなる群より選択される請求項1〜3何れか記載の製造方法。
  5. 前記油増粘剤が、グリセリン脂肪酸エステルから選択される成分を含有する請求項1〜4何れか記載の製造方法。
  6. 前記グリセリン脂肪酸エステルが、ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステル、グリセリンモノベヘニン酸エステル及びこれらの混合物から選択される請求項5に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜6何れか記載の方法で製造されることを特徴とするカプシノイド含有乳化組成物。
  8. 請求項7に記載の乳化組成物を0.01〜5.0質量%含有することを特徴とする飲食品。
  9. 請求項7に記載の乳化組成物0.01〜5.0質量%と、水相95.0〜99.99質量%とからなることを特徴とする水性飲料。

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