図1は、本発明の実施例に係る道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ100の概略図である。なお、図1(A)はアスファルトフィニッシャ100の左側面図であり、図1(B)はその上面図である。
アスファルトフィニッシャ100は、主に、トラクタ1、ホッパ2、スクリード3、及びコントローラ50で構成される。なお、本実施例では、トラクタ1から見たホッパ2の方向を前方とし、トラクタ1から見たスクリード3の方向を後方とする。
コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100を制御する制御装置である。本実施例では、コントローラ50は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成される。そして、コントローラ50の各種機能は、内部メモリに格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。
トラクタ1は、アスファルトフィニッシャ100を走行させるための機構である。本実施例では、トラクタ1は、後輪走行用モータ20L、20Rを用いて後輪5L、5Rを回転させ、且つ、前輪走行用モータ22L、22Rを用いて前輪6L、6Rを回転させてアスファルトフィニッシャ100を移動させる。なお、図1(A)及び図1(B)では各種油圧アクチュエータの概略位置が透過的に示され、後輪5R及び前輪6Rは隠れて見えない。後輪走行用モータ20L、20R及び前輪走行用モータ22L、22Rは、油圧源14から作動油の供給を受けて回転する。また、トラクタ1の上部には運転席、コントロールパネル60C、及びメインモニタ65Cを含むキャブが設置される。
ホッパ2は、舗装材を受け入れるための機構である。本実施例では、ホッパシリンダ24L、24Rによって車幅方向に開閉可能に構成される。アスファルトフィニッシャ100は、通常、ホッパ2を全開状態にしてダンプカー(図示せず。)の荷台から舗装材(例えばアスファルト合材である。)を受け入れる。なお、図1は、ホッパ2が全開状態であることを示す。そして、ホッパ2内のアスファルト合材が減少するとホッパ2を閉じ、ホッパ2の内壁付近にあったアスファルト合材をホッパ2の中央部に集めてコンベアCV及びスクリュ(図示せず。)でスクリード3に給送できるようにする。
スクリード3は、アスファルト合材を敷き均すための機構である。本実施例では、スクリード3は、主に、スクリードフレーム3F、左レベリングアーム3AL、右レベリングアーム3AR、左フロントスクリード3LF、右フロントスクリード3RF、左リアスクリード3LR、及び、右リアスクリード3RRを含む。また、スクリード3は、トラクタ1によって牽引される浮動スクリードであり、左レベリングアーム3AL及び右レベリングアーム3ARを介してトラクタ1と連結される。
スクリード3は、スクリードリフトシリンダ25L、25Rを用いて上下動され、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rを用いて車幅方向に伸縮される。
スクリードリフトシリンダ25L、25Rは、スクリード3を地面(舗装面)から持ち上げるための油圧アクチュエータである。本実施例では、スクリードリフトシリンダ25L、25Rは、シリンダがトラクタ1に連結され、ロッドがスクリード3に連結される。また、スクリード3を地面から持ち上げる場合、コントローラ50は、油圧源14が吐出する作動油がスクリードリフトシリンダ25L、25Rのそれぞれのロッド側油室内に流入可能となるようにしてスクリードリフトシリンダ25L、25Rを収縮させる。一方、持ち上げたスクリード3を地面に下ろす場合、コントローラ50は、スクリードリフトシリンダ25L、25Rのそれぞれのロッド側油室内の作動油が流出可能となるようにし、スクリード3の重量によってロッド側油室内の作動油を流出させてスクリードリフトシリンダ25L、25Rを伸張させる。
スクリード伸縮シリンダ27L、27Rは、スクリード3を車幅方向に伸縮させるための油圧アクチュエータである。本実施例では、スクリード伸縮シリンダ27Lは、左リアスクリード3LRを左フロントスクリード3LFに対して図の左方向に伸縮させる。また、スクリード伸縮シリンダ27Rは、右リアスクリード3RRを右フロントスクリード3RFに対して図の右方向に伸縮させる。
レベリングアーム3AL、3ARは、スクリード3をトラクタ1に連結する装置である。具体的には、レベリングアーム3AL、3ARは、一端がスクリード3に連結され、他端がトラクタ1に枢着される。
レベリングシリンダ23L、23Rは、アスファルトの施工厚さを調整するためにレベリングアーム3AL、3ARを上下動させる油圧アクチュエータである。本実施例では、レベリングシリンダ23L、23Rは、シリンダがトラクタ1に連結され、ロッドがレベリングアーム3AL、3ARのトラクタ1との枢着部に連結される。また、施工厚さを増大させる場合、コントローラ50は、油圧源14が吐出する作動油をレベリングシリンダ23L、23Rのそれぞれのロッド側油室内に流入させ、レベリングシリンダ23L、23Rを収縮させてレベリングアーム3AL、3ARを上昇させる。一方、施工厚さを低減させる場合、コントローラ50は、レベリングシリンダ23L、23Rのそれぞれのロッド側油室内の作動油を流出させ、レベリングシリンダ23L、23Rを伸張させてレベリングアーム3AL、3ARを下降させる。
また、左リアスクリード3LRの左端には左スイッチボックス60L及び左サイドモニタ65Lが取り付けられ、右リアスクリード3RRの右端には右スイッチボックス60R及び右サイドモニタ65Rが取り付けられる。
コントロールパネル60C、左スイッチボックス60L、及び右スイッチボックス60Rは、操作者の操作入力を受ける入力装置である。本実施例では、コントロールパネル60C、左スイッチボックス60L、及び右スイッチボックス60Rはそれぞれレベリングスイッチ60aC、60aL、60aRを含む。
レベリングスイッチ60aC、60aL、60aRは、レベリングシリンダ23L、23Rを伸縮させるための入力装置である。本実施例では、レベリングスイッチ60aC、60aL、60aRはそれぞれ一対のトグルスイッチで構成される。一対のトグルスイッチは、左レベリングシリンダ23Lを伸縮させるための左トグルスイッチ、及び、右レベリングシリンダ23Rを伸縮させるための右トグルスイッチを含む。
左トグルスイッチは、付属のレバーが一方(伸張方向)に倒されるとコントローラ50に対して左伸張指令を出力して左レベリングシリンダ23Lを伸張させる。また、左トグルスイッチは、付属のレバーが他方(収縮方向)に倒されるとコントローラ50に対して左収縮指令を出力して左レベリングシリンダ23Lを収縮させる。同様に、右トグルスイッチは、付属のレバーが一方(伸張方向)に倒されるとコントローラ50に対して右伸張指令を出力して右レベリングシリンダ23Rを伸張させる。また、右トグルスイッチは、付属のレバーが他方(収縮方向)に倒されるとコントローラ50に対して右収縮指令を出力して右レベリングシリンダ23Rを収縮させる。
メインモニタ65C、左サイドモニタ65L、及び右サイドモニタ65Rは各種情報を表示する装置である。本実施例では、メインモニタ65C、左サイドモニタ65L、及び右サイドモニタ65Rは何れも液晶ディスプレイで構成され、スピーカを搭載する。また、メインモニタ65C、左サイドモニタ65L、及び右サイドモニタ65Rは何れも警告出力装置として機能する。
次に、図2を参照し、図1のアスファルトフィニッシャ100に搭載される油圧システムについて説明する。なお、図2は、図1のアスファルトフィニッシャ100に搭載される油圧システムの構成例を示す油圧回路図である。
油圧システムは、主に、油圧源14、後輪駆動部F1、コンベア・スクリュ駆動部F2、前輪駆動部F3、操舵・締め固め装置駆動部F4、レベリング部F5、ホッパ駆動部F6、スクリードリフト部F7、クラウン装置駆動部F8、スクリード伸縮部F9、及び段差装置駆動部F10を含む。
油圧源14は、各種駆動部F1〜F10を動作させる作動油を供給する機能要素である。本実施例では、油圧源14は、主に、エンジン14E、後輪走行用ポンプ14R、チャージポンプ14C、シリンダ用ポンプ14M、コンベア・スクリュ用ポンプ14S、及び前輪走行用ポンプ14Fを含む。
エンジン14Eは、各種油圧ポンプ14R、14C、14M、14S、14Fを駆動する駆動源である。
後輪走行用ポンプ14Rは、後輪駆動部F1に駆動用の作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。本実施例では、後輪走行用ポンプ14Rは、閉回路で用いられる斜板式可変容量型の双方向油圧ポンプである。
チャージポンプ14Cは、後輪駆動部F1に制御用の作動油を供給する固定容量型の油圧ポンプである。
シリンダ用ポンプ14Mは、駆動部F4〜F10に作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。本実施例では、シリンダ用ポンプ14Mは、斜板式可変容量型の油圧ポンプであり、吐出圧が所定圧で一定となるようにその吐出量が制御される。
コンベア・スクリュ用ポンプ14Sは、コンベア・スクリュ駆動部F2に作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。本実施例では、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sは、斜板式可変容量型の油圧ポンプである。
前輪走行用ポンプ14Fは、前輪駆動部F3に作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。本実施例では、前輪走行用ポンプ14Fは斜板式可変容量型の油圧ポンプである。
後輪駆動部F1は、後輪5L、5Rを駆動する機能要素である。本実施例では、後輪駆動部F1は、左後輪走行用モータ20L、右後輪走行用モータ20R、チェック弁20La、20Ra、リリーフ弁20Lb、20Rb、及び減速機切替バルブ40を含む。
左後輪走行用モータ20Lは、左側の後輪5Lを駆動する油圧モータである。また、右後輪走行用モータ20Rは、右側の後輪5Rを駆動する油圧モータである。本実施例では、左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rは無段変速式油圧モータであり、後輪走行用ポンプ14Rと共に閉回路(HST回路)を形成する。
チェック弁20Laは、後輪走行用ポンプ14Rの第1ポートと左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの第2ポートとを繋ぐ管路C1内の作動油の圧力を所定圧力以上に維持する。具体的には、チェック弁20Laは、管路C1内の作動油の圧力がチャージポンプ14Cの吐出圧を下回った場合にチャージポンプ14Cが吐出する作動油を管路C1内に流入させる。なお、図中の括弧内の数字はポート番号を表す。同様に、チェック弁20Raは、後輪走行用ポンプ14Rの第2ポートと左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの第1ポートとを繋ぐ管路C2内の作動油の圧力を所定圧力以上に維持する。具体的には、チェック弁20Raは、管路C2内の作動油の圧力がチャージポンプ14Cの吐出圧を下回った場合にチャージポンプ14Cが吐出する作動油を管路C2内に流入させる。
リリーフ弁20Lbは、管路C1内の作動油の圧力を所定のリリーフ圧未満に維持する。具体的には、リリーフ弁20Lbは、管路C1内の作動油の圧力がリリーフ圧を上回った場合に管路C1内の作動油を閉回路外に流出させる。同様に、リリーフ弁20Rbは、管路C2内の作動油の圧力を所定のリリーフ圧未満に維持する。具体的には、リリーフ弁20Rbは、管路C2内の作動油の圧力がリリーフ圧を上回った場合に管路C2内の作動油を閉回路外に流出させる。
減速機切替バルブ40は、左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの減速比を切り替える機構である。本実施例では、減速機切替バルブ40は、コントローラ50からの制御指令に応じ、チャージポンプ14Cが吐出する作動油を利用して左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの減速比を切り替える。
コンベア・スクリュ駆動部F2は、コンベア及びスクリュを駆動する機能要素である。本実施例では、コンベア・スクリュ駆動部F2は、主に、コンベア・スクリュモータ21及びコンベア・スクリュバルブ41を含む。
コンベア・スクリュモータ21は、開回路を形成する可変容量型油圧モータであり、コンベア用モータ及びスクリュ用モータを含む。また、コンベア・スクリュバルブ41は、コンベア用制御弁及びスクリュ用制御弁を含む。
コンベア用制御弁は、コントローラ50からの制御指令に応じて切り替わり、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sが吐出する作動油をコンベア用モータの吸込ポートに流入させ、且つ、コンベア用モータの吐出ポートから流出する作動油を作動油タンクTに排出する。同様に、スクリュ用制御弁は、コントローラ50からの制御指令に応じて切り替わり、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sが吐出する作動油をスクリュ用モータの吸込ポートに流入させ、且つ、スクリュ用モータの吐出ポートから流出する作動油を作動油タンクTに排出する。なお、スクリュ用モータの吐出ポートから流出する作動油は、オイルクーラー43を通って作動油タンクTに排出される。
前輪駆動部F3は、前輪6L、6Rを駆動する機能要素である。本実施例では、前輪駆動部F3は、主に、前輪走行用モータ22L、22R及び前輪走行用バルブ42を含む。
前輪走行用モータ22L、22Rは、開回路を形成する固定容量型油圧モータである。そして、前輪走行用バルブ42は、コントローラ50からの制御指令に応じて切り替わり、前輪走行用ポンプ14Fが吐出する作動油を前輪走行用モータ22L、22Rの吸込ポートに流入させる。なお、前輪走行用ポンプ14Fの吐出ポートから流出する作動油は、前輪走行用バルブ42を経由せずにそのまま作動油タンクTに排出される。
操舵・締め固め装置駆動部F4は、操舵装置及び締め固め装置(何れも図示せず。)を駆動する機能要素である。操舵装置は、前輪6L、6Rを操舵するための油圧装置である。本実施例では、操舵装置は、操作者によるステアリングST(図1(A)参照。)の操作に応じ、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を利用して前輪6L、6Rの操舵角を変化させる。また、締め固め装置はアスファルト合材を締め固めるための油圧装置である。本実施例では、締め固め装置はタンパ及びバイブレータを含み、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を利用してタンパ及びバイブレータを作動させる。
レベリング部F5は、アスファルトの施工厚さを調整する機能要素である。本実施例では、レベリング部F5は、主に、レベリング用制御弁33L、33R、レベリングシリンダ23L、23R、及びパイロットチェック弁33La、33Lb、33Ra、33Rbを含む。
レベリングシリンダ23L、23Rは、アスファルトの施工厚さを調整するためにレベリングアーム3AL、3ARを上下動させる油圧シリンダであり、施工厚さを増大させる際に収縮し、施工厚さを低減させる際に伸張する。
レベリング用制御弁33L、33Rは、コントローラ50からの制御信号に応じて弁位置を切り替える。施工厚さを増大させる場合、レベリング用制御弁33L、33Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をレベリングシリンダ23L、23Rのロッド側油室内に流入させ、且つ、レベリングシリンダ23L、23Rのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出する。この場合、レベリングシリンダ23L、23Rは収縮し、レベリングアーム3AL、3ARは上昇する。一方、施工厚さを低減させる場合、レベリング用制御弁33L、33Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をレベリングシリンダ23L、23Rのヘッド側油室内に流入させ、且つ、レベリングシリンダ23L、23Rのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出する。この場合、レベリングシリンダ23L、23Rは伸張し、レベリングアーム3AL、3ARは下降する。
パイロットチェック弁33La、33Lb、33Ra、33Rbは、外力によってレベリングシリンダ23L、23Rが動いてしまうのを防止する。例えば、パイロットチェック弁33Laは、操作者の操作に応じてレベリング用制御弁33Lが切り替わり、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油が左レベリングシリンダ23Lのヘッド側油室に流入する場合に限り、左レベリングシリンダ23Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを許容する。そして、それ以外の場合に左レベリングシリンダ23Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを禁止する。パイロットチェック弁33Lb、33Ra、33Rbについても同様である。
ホッパ駆動部F6は、ホッパ2を開閉させる機能要素である。本実施例では、ホッパ駆動部F6は、主に、ホッパ用制御弁34L、34R、ホッパシリンダ24L、24R、及びパイロットチェック弁34La、34Raを含む。
ホッパシリンダ24L、24Rは、ホッパ2を開閉する油圧アクチュエータであり、ホッパ2を開く際に収縮し、ホッパ2を閉じる際に伸張する。
ホッパ用制御弁34L、34Rは、コントローラ50からの制御信号に応じて弁位置を切り替える。ホッパ2を開く場合、ホッパ用制御弁34L、34Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をホッパシリンダ24L、24Rのロッド側油室内に流入させ、且つ、ホッパシリンダ24L、24Rのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出する。この場合、ホッパシリンダ24L、24Rは収縮する。一方、ホッパ2を閉じる場合、ホッパ用制御弁34L、34Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をホッパシリンダ24L、24Rのヘッド側油室内に流入させ、且つ、ホッパシリンダ24L、24Rのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出する。この場合、ホッパシリンダ24L、24Rは伸張する。
パイロットチェック弁34La、34Raは、ホッパ2の重量、又は、ホッパ2及びホッパ2内のアスファルト合材の重量によってホッパシリンダ24L、24Rが収縮し、ホッパ2が開いてしまうのを防止する。例えば、パイロットチェック弁34Laは、操作者の操作に応じてホッパ用制御弁34Lが切り替わり、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油がホッパシリンダ24Lのロッド側油室に流入する場合に限り、ホッパシリンダ24Lのヘッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを許容する。そして、それ以外の場合にホッパシリンダ24Lのヘッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを禁止する。パイロットチェック弁34Raについても同様である。
なお、ホッパ駆動部F6では、ホッパシリンダ24L、24Rのロッド側油室とホッパ用制御弁34L、34Rとの間にはパイロットチェック弁が設置されていない。これは、ホッパ2の重量が大きいので外力によってホッパシリンダ24L、24Rが意図せず伸張してしまう可能性が低いためである。但し、ホッパシリンダ24L、24Rのロッド側油室とホッパ用制御弁34L、34Rとの間にパイロットチェック弁が設置されてもよい。
スクリードリフト部F7は、スクリード3を持ち上げる機能要素である。本実施例では、スクリードリフト部F7は、主に、スクリードリフト用制御弁35、スクリードリフトシリンダ25L、25R、切替弁35a、リリーフ弁35b、及び切替弁35cを含む。
スクリードリフトシリンダ25L、25Rは、スクリード3を持ち上げる油圧アクチュエータであり、スクリード3を持ち上げる際に同時に収縮し、スクリード3を下ろす際に同時に伸張する。
スクリードリフト用制御弁35は、コントローラ50からの制御信号に応じて弁位置を切り替える。スクリード3を持ち上げる場合、スクリードリフト用制御弁35は、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をスクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室内に流入させる。この場合、切替弁35aは、コントローラ50からの制御信号に応じ、チェック弁を含む第1位置に切り替えられる。スクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室から作動油タンクTに向けて作動油が逆流するのを防止するためである。なお、スクリードリフトシリンダ25L、25Rのヘッド側油室から流出する作動油は、スクリードリフト用制御弁35を通過することなく作動油タンクTに排出される。この場合、スクリードリフトシリンダ25L、25Rは収縮する。一方、スクリード3を地面に下ろす場合、スクリードリフト用制御弁35は利用されない(図2に示す状態のまま維持される。)。この場合、切替弁35aは、コントローラ50からの制御信号に応じ、チェック弁を含まない第2位置に切り替えられる。スクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室の作動油を作動油タンクTに向けて流出させるためである。そのため、スクリードリフトシリンダ25L、25Rはスクリード3の重量によって伸張し、スクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室の作動油は切替弁35a及びリリーフ弁35bを通って作動油タンクTに排出される。
切替弁35a及びリリーフ弁35bは、アスファルトフィニッシャ100が移動しながら道路を舗装する際に発生する揚力(アスファルト合材がスクリード3を持ち上げようとする力)の変化に伴うスクリード3の上下動を実現する。具体的には、揚力の増大によりスクリード3が上昇するとスクリードリフトシリンダ25L、25Rは収縮する。この場合、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油は、管路C3、スクリードリフト用制御弁35、及び切替弁35aを通ってスクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室に流入する。一方、揚力の減少によりスクリード3が下降するとスクリードリフトシリンダ25L、25Rは伸張する。この場合、スクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室から流出する作動油は、切替弁35a、スクリードリフト用制御弁35、リリーフ弁35bを通って作動油タンクTに排出される。なお、切替弁35cは、アスファルトフィニッシャ100が移動しながら道路を舗装する際、コントローラ50からの制御信号に応じ、駆動部F8〜F10を使用しない間、チェック弁を含む第1位置に切り替えられる。下流にある各種駆動部F8〜F10に悪影響を及ぼさないようにするためである。具体的には、クラウン装置、段差装置等が意図せず動いてしまうのを防止するためである。
クラウン装置駆動部F8は、クラウン装置を駆動する機能要素である。本実施例では、クラウン装置駆動部F8は、主に、クラウン装置用制御弁36及びクラウン装置用モータ26を含む。
クラウン装置は、左フロントスクリード3LFと右フロントスクリード3RFの間に取り付けられるターンバックル26a(図1(B)参照。)の長さを伸縮させ、後方から見たときのスクリード3の形状を凸状又は凹状にする機構である。具体的には、クラウン装置は、コントローラ50からの制御指令に応じて油圧アクチュエータとしてのクラウン装置用モータ26を回転させることでターンバックル26aの長さを伸縮させる。
スクリード3は、ターンバックル26aの長さが基準長さに比べて大きいほど凸状度が大きくなり、ターンバックル26aの長さが基準長さに比べて小さいほど凹状度が大きくなり、基準長さに等しい場合に直線状となる。
クラウン装置用制御弁36は、コントローラ50からの制御信号に応じて弁位置を切り替える。スクリード3の凸状度を大きくする場合、クラウン装置用制御弁36は、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をクラウン装置用モータ26の一方のポートに流入させる。また、スクリード3の凹状度を大きくする場合、クラウン装置用制御弁36は、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をクラウン装置用モータ26の他方のポートに流入させる。
スクリード伸縮部F9は、リアスクリードを車幅方向に伸縮させる機能要素である。本実施例では、スクリード伸縮部F9は、主に、スクリード伸縮用制御弁37L、37R、スクリード伸縮シリンダ27L、27R、パイロットチェック弁37La、37Lb、37Ra、37Rb、及びリリーフ弁37Lc、37Rcを含む。
スクリード伸縮シリンダ27Lは、左リアスクリード3LRを車幅方向に伸縮させる油圧アクチュエータであり、幅を狭める際に収縮し、幅を拡げる際に伸張する。また、スクリード伸縮シリンダ27Rは、右リアスクリード3RRを車幅方向に伸縮させる油圧シリンダであり、幅を狭める際に収縮し、幅を拡げる際に伸張する。
スクリード伸縮用制御弁37L、37Rは、コントローラ50からの制御信号に応じて弁位置を切り替える。幅を狭める場合、スクリード伸縮用制御弁37L、37Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をスクリード伸縮シリンダ27L、27Rのロッド側油室内に流入させ、且つ、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出する。この場合、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rは収縮し、左リアスクリード3LR、右リアスクリード3RRは中央に引っ込められる。一方、幅を拡げる場合、スクリード伸縮用制御弁37L、37Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をスクリード伸縮シリンダ27L、27Rのヘッド側油室内に流入させ、且つ、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出する。この場合、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rは伸張し、左リアスクリード3LR、右リアスクリード3RRは左右に押し出される。
パイロットチェック弁37La、37Lb、37Ra、37Rbは、外力によってスクリード伸縮シリンダ27L、27Rが意図せずに動いてしまうのを防止する。例えば、パイロットチェック弁37Laは、操作者の操作に応じてスクリード伸縮用制御弁37Lが切り替わり、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油がスクリード伸縮シリンダ27Lのヘッド側油室に流入する場合に限り、スクリード伸縮シリンダ27Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを許容する。そして、それ以外の場合にスクリード伸縮シリンダ27Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを禁止する。パイロットチェック弁37Lb、37Ra、37Rbについても同様である。
リリーフ弁37Lc、37Rcは、リアスクリードを収縮させる方向に作用する過度の外力によってリアスクリードに関連する部材が破壊されるのを防止する。例えば、リリーフ弁37Lcは、スクリード伸縮シリンダ27Lを収縮させる方向に作用する過度の外力を受けてスクリード伸縮シリンダ27Lのヘッド側油室における作動油の圧力が過度に上昇した場合、ヘッド側油室における作動油の作動油タンクTへの流出を許容する。その結果、スクリード伸縮シリンダ27Lは収縮して外力の一部を吸収することで左リアスクリード3LRが損傷を受けるのを防止する。リリーフ弁37Rcについても同様である。
段差装置駆動部F10は、段差装置を駆動する機能要素である。本実施例では、段差装置駆動部F10は、主に、段差装置用制御弁38L、38R、及び、段差装置用モータ28L、28Rを含む。
段差装置は、フロントスクリードによる舗装面とリアスクリードによる舗装面との間に形成される段差を解消するためにリアスクリードを上下動させる機構である。具体的には、段差装置はコントローラ50からの制御指令に応じて油圧アクチュエータとしての段差装置用モータ28L、28Rを回転させ、リアスクリードに取り付けられた回転・直動変換機構を駆動してリアスクリードを上下動させる。
段差装置用制御弁38Lは、コントローラ50からの制御信号に応じて弁位置を切り替える。左リアスクリード3LRを上昇させる場合、段差装置用制御弁38Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を段差装置用モータ28Lの一方のポートに流入させる。また、左リアスクリード3LRを下降させる場合、段差装置用制御弁38Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を段差装置用モータ28Lの他方のポートに流入させる。段差装置用制御弁38Rが右リアスクリード3RRを上下動させる場合についても同様である。
次に、図3を参照し、アスファルトフィニッシャ100に搭載されるレベリング調整システムSYSの構成例について説明する。なお、図3は、アスファルトフィニッシャ100に搭載されるレベリング調整システムSYSの構成例を示す機能ブロック図である。
レベリング調整システムSYSは、操作者によるレベリング調整を実現するシステムである。本実施例では、レベリング調整システムSYSは、主に、コントローラ50、入力装置60、左ストローク量検出装置61L、右ストローク量検出装置61R、警告出力装置65、記憶装置66、左レベリング用制御弁33L、及び右レベリング用制御弁33Rを含む。また、レベリング調整システムSYSの各構成要素はCANバスで接続される。但し、レベリング調整システムSYSの各構成要素は専用線で接続されてもよく、他の任意の通信ネットワークを用いて接続されてもよい。
コントローラ50は、レベリング調整部51を有する。レベリング調整部51は、入力装置60、左ストローク量検出装置61L、及び右ストローク量検出装置61Rの出力を受け、各種演算を実行し、その演算結果に応じた制御指令を警告出力装置65、左レベリング用制御弁33L、及び右レベリング用制御弁33Rに対して出力する。
入力装置60は、コントロールパネル60C、左スイッチボックス60L、及び右スイッチボックス60Rのうちの少なくとも1つを含む。
左ストローク量検出装置61Lは左レベリングシリンダ23Lのストローク量を検出する装置であり、右ストローク量検出装置61Rは右レベリングシリンダ23Rのストローク量を検出する装置である。本実施例では、左ストローク量検出装置61L及び右ストローク量検出装置61Rは各シリンダの外部に設置されるストロークセンサである。なお、ストロークセンサは各シリンダの内部に設置されてもよい。また、ストロークセンサは、リニアポテンショメータ、ロータリポテンショメータ、ホールセンサ等の任意のセンサで構成され得る。また、ストロークセンサは、各シリンダに流出入する作動油の流量を検出する流量計であってもよい。この場合、ストロークセンサは、各シリンダに流出入する作動油の流量に基づいてストローク量を導き出す。
警告出力装置65は、メインモニタ65C、左サイドモニタ65L、及び右サイドモニタ65Rのうちの少なくとも1つを含む。
記憶装置66は、各種情報を記憶する装置である。本実施例では、記憶装置66は、アスファルトフィニッシャ100に搭載される不揮発性記憶媒体である。
レベリング調整部51は、入力装置60を介した操作者の操作入力に応じ、左レベリング用制御弁33L、右レベリング用制御弁33Rに対して制御指令を出力する。
具体的には、レベリング調整部51は、入力装置60から左レベリングシリンダ23Lを伸張させるための左伸張指令を受けると左レベリング用制御弁33Lに対して伸張指令を出力する。伸張指令を受けた左レベリング用制御弁33Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左レベリングシリンダ23Lのヘッド側油室に流入させて左レベリングシリンダ23Lを伸張させる。また、レベリング調整部51は、入力装置60から左レベリングシリンダ23Lを収縮させるための左収縮指令を受けると左レベリング用制御弁33Lに対して収縮指令を出力する。収縮指令を受けた左レベリング用制御弁33Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左レベリングシリンダ23Lのロッド側油室に流入させて左レベリングシリンダ23Lを収縮させる。右レベリングシリンダ23Rの伸縮についても同様である。
また、レベリング調整部51は、左ストローク量検出装置61L及び右ストローク量検出装置61Rの出力に基づいて左レベリングシリンダ23Lのストローク量と右レベリングシリンダ23Rのストローク量の差(以下、「レベリング差」とする。)を導き出す。また、レベリング調整部51は、導き出したレベリング差を記憶装置66に記憶する。本実施例では、レベリング調整部51は、所定の時間間隔で時系列的にレベリング差を記憶装置66に記憶する。また、レベリング調整部51は、左レベリングシリンダ23Lのストローク量、右レベリングシリンダ23Rのストローク量、レベリング差等の推移をメインモニタ65C、左サイドモニタ65L、及び右サイドモニタ65Rのうちの少なくとも1つに表示させてもよい。
そして、レベリング調整部51はレベリング差が所定値D1(例えば150mm)以上となった場合に警告出力装置65に対して警告指令を出力する。警告指令を受けた警告出力装置65は警告メッセージを出力する。具体的には、警告出力装置65は「片側のレベリングシリンダのみを動かさないで下さい」等、スクリードフレーム3Fのねじれ破損を引き起こすおそれがある旨を表すテキストメッセージを表示する。なお、警告出力装置65は、テキストメッセージを表示する代わりに或いはテキストメッセージの表示に加えて音声メッセージを音声出力させてもよい。また、警告出力装置65は警告メッセージの出力と共にその出力を解除するための方法を表す解除メッセージを出力してもよい。具体的には、警告出力装置65は「解除ボタンを押して下さい」等の警告メッセージの出力を解除する方法を示すテキストメッセージを表示する。なお、警告出力装置65は、解除のためのテキストメッセージを表示する代わりに或いは解除のためのテキストメッセージの表示に加えて音声メッセージを音声出力させてもよい。
また、レベリング調整部51はレベリング差が所定値D2(例えば300mm)以上となった場合に左レベリング用制御弁33L及び右レベリング用制御弁33Rのうちの少なくとも一方に対して停止指令を出力する。具体的には、左レベリングシリンダ23Lを伸張させている場合にレベリング差が所定値D2以上になると、レベリング調整部51は左レベリング用制御弁33Lに対して停止指令を出力する。停止指令を受けた左レベリング用制御弁33Lは中立位置に切り替わり左レベリングシリンダ23Lに流出入する作動油の流れを遮断して左レベリングシリンダ23Lの伸張を停止させる。レベリング差が所定値D2を超えて大きくなるように左レベリングシリンダ23Lを収縮させる場合、及び、レベリング差が所定値D2を超えて大きくなるように右レベリングシリンダ23Rを伸張或いは収縮させる場合についても同様である。
また、左レベリングシリンダ23Lを伸張させ且つ右レベリングシリンダ23Rを収縮させている場合にレベリング差が所定値D2以上になると、レベリング調整部51は左レベリング用制御弁33L及び右レベリング用制御弁33Rに対して停止指令を出力する。停止指令を受けた左レベリング用制御弁33Lは中立位置に切り替わり左レベリングシリンダ23Lに流出入する作動油の流れを遮断して左レベリングシリンダ23Lの伸張を停止させる。また、停止指令を受けた右レベリング用制御弁33Rは中立位置に切り替わり右レベリングシリンダ23Rに流出入する作動油の流れを遮断して右レベリングシリンダ23Rの収縮を停止させる。レベリング差が所定値D2を超えて大きくなるように左レベリングシリンダ23Lを収縮させ且つ右レベリングシリンダ23Rを伸張させる場合についても同様である。
なお、レベリング調整部51は、左レベリングシリンダ23L及び右レベリングシリンダ23Rの少なくとも一方を停止させた場合にも警告出力装置65に対して警告指令を出力してもよい。
次に、図4を参照し、レベリング差が過度に大きくならないようレベリング調整部51が操作者によるレベリング調整を支援する処理(以下、「レベリング調整支援処理」とする。)について説明する。なお、図4は、レベリング調整支援処理の流れを示すフローチャートであり、レベリング調整部51は、所定周期で繰り返しこのレベリング調整支援処理を実行する。
最初に、レベリング調整部51は、レベリング差を導き出す(ステップS1)。本実施例では、レベリング調整部51は、左ストローク量検出装置61L及び右ストローク量検出装置61Rの出力に基づいて左レベリングシリンダ23Lのストローク量と右レベリングシリンダ23Rのストローク量の差をレベリング差として導き出す。また、レベリング調整部51は、導き出したレベリング差を記憶装置66に記憶する。
その後、レベリング調整部51は、レベリング差が所定値D1以上であるか否かを判定する(ステップS2)。一対のレベリングシリンダが所定状態になったか否かを判定するためである。所定状態は、例えば、スクリードフレーム3Fのねじれ破損を引き起こすおそれがある状態である。本実施例では、レベリング調整部51は、内部メモリに予め記憶された所定値D1を読み出し、導き出したレベリング差と読み出した所定値D1とを比較する。
レベリング差が所定値D1以上であると判定した場合(ステップS2のYES)、レベリング調整部51は警告を出力する(ステップS3)。本実施例では、レベリング調整部51は、警告出力装置65に対して警告指令を出力し、スクリードフレーム3Fが破損するおそれがある旨を知らせる警告メッセージをメインモニタ65C、左サイドモニタ65L、及び右サイドモニタ65Rに表示する。なお、レベリング調整部51は、操作入力が行われた入力装置60に対応する警告出力装置65のみで警告を出力させてもよい。例えば、左スイッチボックス60Lでレベリングスイッチ60aLが操作されていた場合、レベリング調整部51は、左サイドモニタ65Lのみで警告を出力させてもよい。
また、レベリング調整部51は、レベリング差が所定値D1以上である間、継続的に警告を出力させる。但し、レベリング調整部51は、レベリング差が所定値D1以上であっても、所定の操作が行われた場合には警告の出力を中止してもよい。具体的には、レベリング調整部51は、例えば、解除ボタンが押下された場合に警告の出力を停止させる。解除ボタンは、例えば、警告出力装置65の周囲に設置されるハードウェアボタン又はソフトウェアボタンである。
なお、レベリング差が所定値D1未満であると判定した場合(ステップS2のNO)、レベリング調整部51は、既に警告が出力されている場合にはその警告の出力を停止させた後(ステップS4)、今回のレベリング調整支援処理を終了させる。警告が出力されていない場合にはそのまま今回のレベリング調整支援処理を終了させる。
レベリング差が所定値D1以上であると判定した場合、レベリング調整部51は、レベリング差が所定値D2以上であるか否かを判定する(ステップS5)。本実施例では、レベリング調整部51は、内部メモリに予め記憶された所定値D2を読み出し、導き出したレベリング差と読み出した所定値D2とを比較する。
レベリング差が所定値D2以上であると判定した場合(ステップS5のYES)、レベリング調整部51は、レベリング差を大きくするレベリングシリンダ23L、23Rの動きを停止させる(ステップS6)。
例えば、レベリング調整部51は、入力装置60からの左伸張指令に応じて左レベリングシリンダ23Lを伸張させた結果、レベリング差が所定値D2以上となった場合には、左伸張指令を継続的に受けているときであっても左レベリングシリンダ23Lの伸張を停止させる。具体的には、レベリング調整部51は、左レベリング用制御弁33Lに対して停止指令を出力して左レベリング用制御弁33Lを中立位置に切り替える。また、この場合、レベリング調整部51は、右収縮指令を受けた場合であっても右レベリングシリンダ23Rを収縮させないようにする。具体的には、レベリング調整部51は、右収縮指令を受けた場合であっても右レベリング用制御弁33Rに対して収縮指令を出力しない。右レベリングシリンダ23Rを収縮させるとレベリング差を大きくしてしまうためである。なお、この場合であっても、レベリング調整部51は、レベリング差を小さくするレベリングシリンダ23L、23Rの動きを許容する。具体的には、左レベリングシリンダ23Lの収縮、及び、右レベリングシリンダ23Rの伸張を許容する。
なお、レベリング差が所定値D2未満であると判定した場合(ステップS5のNO)、レベリング調整部51は、レベリングシリンダ23L、23Rの動きを停止させることなく、今回のレベリング調整支援処理を終了させる。
以上の構成により、図3のレベリング調整システムSYSは、レベリング差が所定値D1以上となった場合に操作者に対して警告を出力する。そのため、レベリング差がそれ以上拡がらないようにする操作を操作者に促すことができる。また、コントローラ50は、レベリング差が所定値D2以上となった場合にはレベリング差をさらに大きくするレベリングシリンダ23L、23Rの動きを停止させる。そのため、レベリング差が所定値D2を超えて増大するのを確実に防止できる。その結果、レベリング調整によるスクリード3の破損を防止できる。また、スクリード3のねじり剛性を低めに設定できるため、スクリード3の軽量化を促進できる。
次に、図5を参照し、アスファルトフィニッシャ100に搭載されるレベリング調整システムSYSの別の構成例について説明する。なお、図5は、アスファルトフィニッシャ100に搭載されるレベリング調整システムSYSの別の構成例を示す機能ブロック図である。
なお、図5のレベリング調整システムSYSは、左ストローク量検出装置61L及び右ストローク量検出装置61Rを省略した点で図3のレベリング調整システムSYSと相違するがその他の点で共通する。そのため、共通点の説明を省略し、相違点を詳細に説明する。
図5のレベリング調整システムSYSでは、レベリング調整部51は、一対のレベリングシリンダ23L、23Rの操作継続時間に基づいて一対のレベリングシリンダ23L、23Rが所定状態になったか否かを判定する。所定状態は、例えば、スクリードフレーム3Fのねじれ破損を引き起こすおそれがある状態である。
例えば、レベリング調整部51は、左レベリングシリンダ23Lのみを伸張させる操作(以下、「伸張操作」とする。)が所定時間T1(例えば3秒)に亘って継続された場合、或いは、左レベリングシリンダ23Lのみを収縮させる操作(以下、「収縮操作」とする。)が所定時間T1に亘って継続された場合、レベリング差が所定値D1以上になったと判定する。右レベリングシリンダ23Rを伸縮させる場合も同様である。なお、レベリング調整部51は複数回の操作継続時間を累計してもよい。例えば、伸張操作が行われた後で収縮操作が行われ、さらにその後に伸張操作が再開された場合、レベリング調整部51は、1回目の伸張操作の継続時間と2回目の伸張操作の継続時間の合計時間から収縮操作の継続時間を差し引いた時間を最終的な伸張操作の継続時間として導き出してもよい。
また、レベリング調整部51は、左レベリングシリンダ23Lの収縮操作と右レベリングシリンダ23Rの伸張操作との複合操作が所定時間Th(=T1/2)に亘って継続された場合、或いは、左レベリングシリンダ23Lの伸張操作と右レベリングシリンダ23Rの収縮操作との複合操作が所定時間Thに亘って継続された場合、一対のレベリングシリンダ23L、23Rが所定状態になったと判定する。左レベリングシリンダ23Lの単独操作(例えば収縮操作)を継続した場合に比べ、レベリング差が2倍の速さで増加するためである。なお、レベリング調整部51は複合操作が行われた場合であっても単独操作が行われた場合と同様に複数回の操作継続時間を累計してもよい。また、レベリング調整部51は、複合操作時の操作継続時間と単独操作時の操作継続時間とを累計してもよい。
そして、レベリング調整部51は、操作継続時間が所定時間T1以上となった場合に警告出力装置65に対して警告指令を出力する。警告指令を受けた警告出力装置65は警告メッセージを出力する。
また、レベリング調整部51は操作継続時間が所定時間T2(>T1)以上となった場合に左レベリング用制御弁33L及び右レベリング用制御弁33Rのうちの少なくとも一方に対して停止指令を出力する。具体的には、左レベリングシリンダ23Lを継続的に伸張させている場合に操作継続時間が所定時間T2以上になると、レベリング調整部51は左レベリング用制御弁33Lに対して停止指令を出力する。停止指令を受けた左レベリング用制御弁33Lは中立位置に切り替わり左レベリングシリンダ23Lに流出入する作動油の流れを遮断して左レベリングシリンダ23Lの伸張を停止させる。左レベリングシリンダ23Lを継続的に収縮させる場合、及び、右レベリングシリンダ23Rを継続的に伸張或いは収縮させる場合についても同様である。
また、左レベリングシリンダ23Lを継続的に伸張させ且つ右レベリングシリンダ23Rを継続的に収縮させている場合に操作継続時間が所定時間Th以上になると、警告出力装置65に対して警告指令を出力する。また、操作継続時間が所定時間Tk(=T2/2)以上になると、レベリング調整部51は左レベリング用制御弁33L及び右レベリング用制御弁33Rに対して停止指令を出力する。停止指令を受けた左レベリング用制御弁33Lは中立位置に切り替わり左レベリングシリンダ23Lに流出入する作動油の流れを遮断して左レベリングシリンダ23Lの伸張を停止させる。また、停止指令を受けた右レベリング用制御弁33Rは中立位置に切り替わり右レベリングシリンダ23Rに流出入する作動油の流れを遮断して右レベリングシリンダ23Rの収縮を停止させる。左レベリングシリンダ23Lを継続的に収縮させ且つ右レベリングシリンダ23Rを継続的に伸張させる場合についても同様である。
なお、レベリング調整部51は、左レベリングシリンダ23L及び右レベリングシリンダ23Rの少なくとも一方を停止させた場合にも警告出力装置65に対して警告指令を出力してもよい。この場合、警告出力装置65は警告メッセージの出力と共にその警告メッセージの出力を解除するための方法を表す解除メッセージを出力してもよい。
次に、図6を参照し、図5のレベリング調整システムSYSが実行するレベリング調整支援処理について説明する。なお、図6は、図5のレベリング調整システムSYSが実行するレベリング調整支援処理の流れを示すフローチャートであり、レベリング調整部51は、所定周期で繰り返しこのレベリング調整支援処理を実行する。
最初に、レベリング調整部51は、操作継続時間を導き出す(ステップS11)。本実施例では、レベリング調整部51は、入力装置60から制御指令を受けたときに操作開始時刻を記録する。そして、入力装置60が同じ内容の制御指令を出力し続ける限り、操作開始時刻と現在時刻との差を操作継続時間として導き出す。なお、レベリング調整部51は、カウンタを用いて操作継続時間を管理してもよい。
例えば、レベリング調整部51は、入力装置60から左伸張指令を受けたときに第1左伸張操作開始時刻を記録する。そして、入力装置60が左伸張指令を出力し続ける限り、第1左伸張操作開始時刻と現在時刻との差を暫定的な第1左伸張操作継続時間として導き出す。その後、レベリング調整部51は、入力装置60による左伸張指令の出力が中断されたときに第1左伸張操作終了時刻を記録する。そして、第1左伸張操作開始時刻と第1左伸張操作終了時刻との差を第1左伸張操作継続時間として導き出す。また、レベリング調整部51は、その後に左伸張指令の出力が再開された場合、第2左伸張操作開始時刻を記録する。そして、入力装置60が左伸張指令を出力し続ける限り、第2左伸張操作開始時刻と現在時刻との差を暫定的な第2左伸張操作継続時間として導き出す。また、第1左伸張操作継続時間と暫定的な第2左伸張操作継続時間との合計を暫定的な左操作継続時間として導き出す。その後、レベリング調整部51は、入力装置60による左伸張指令の出力が中断されたときに第2左伸張操作終了時刻を記録する。そして、第2左伸張操作開始時刻と第2左伸張操作終了時刻との差を第2左伸張操作継続時間として導き出し、さらに第1左伸張操作継続時間と第2左伸張操作継続時間との合計を左操作継続時間として導き出す。
また、レベリング調整部51は、第1左伸張操作継続時間が導き出された後で左収縮指令の出力が開始された場合には、第1左収縮操作開始時刻を記録する。そして、入力装置60が左収縮指令を出力し続ける限り、第1左収縮操作開始時刻と現在時刻との差を暫定的な第1左収縮操作継続時間として導き出す。また、第1左伸張操作継続時間と第1左収縮操作継続時間との差を暫定的な左操作継続時間として導き出す。その後、レベリング調整部51は、入力装置60による左収縮指令の出力が中断されたときに第1左収縮操作終了時刻を記録する。そして、第1左伸張操作開始時刻と第1左収縮操作終了時刻との差を左操作継続時間として導き出す。
また、レベリング調整部51は、左操作継続時間と右操作継続時間との差を総合操作継続時間として導き出してもよい。この場合、総合操作継続時間は、左伸張操作継続時間及び右伸張操作継続時間を正値とし、左収縮操作継続時間及び右収縮操作継続時間を負値として算出される。例えば、左レベリングシリンダ23Lの伸張と右レベリングシリンダ23Rの収縮とが行われた場合、総合操作継続時間は左伸張操作継続時間(正値)と右収縮操作継続時間(負値)のそれぞれの絶対値の合計に相当する。伸縮方向が異なるためである。また、左レベリングシリンダ23Lの伸張と右レベリングシリンダ23Rの伸張とが行われた場合、総合操作継続時間は左伸張操作継続時間(正値)と右伸張操作継続時間(正値)のそれぞれの絶対値の差に相当する。伸縮方向が等しいためである。
なお、カウンタを用いる場合、レベリング調整部51は、入力装置60が左伸張指令を出力する際に左操作カウンタ値をインクリメントし、入力装置60が左収縮指令を出力する際に左操作カウンタ値をデクリメントする。また、レベリング調整部51は、入力装置60が右伸張指令を出力する際に右操作カウンタ値をインクリメントし、入力装置60が右収縮指令を出力する際に右操作カウンタ値をデクリメントする。また、レベリング調整部51は、左操作カウンタ値と右操作カウンタ値との差を総合操作カウンタ値として導き出してもよい。例えば、左レベリングシリンダ23Lの伸張と右レベリングシリンダ23Rの収縮とが行われた場合、総合操作カウンタ値は左伸張操作カウンタ値(正値)と右収縮操作継続時間(負値)のそれぞれの絶対値の合計に相当する。伸縮方向が異なるためである。また、左レベリングシリンダ23Lの伸張と右レベリングシリンダ23Rの伸張とが行われた場合、総合操作カウンタ値は左操作カウンタ値(正値)と右操作カウンタ値(正値)のそれぞれの絶対値の差に相当する。伸縮方向が等しいためである。
また、レベリング調整部51は、導き出した操作継続時間又は操作カウンタ値を記憶装置66に記憶する。本実施例では、レベリング調整部51は、所定の時間間隔で時系列的に左操作継続時間(左操作カウンタ値)、右操作継続時間(右操作カウンタ値)、及び総合操作継続時間(総合操作カウンタ値)を記憶装置66に記憶する。
その後、レベリング調整部51は、操作継続時間が所定時間T1以上となったか否かを判定する(ステップS12)。本実施例では、レベリング調整部51は、内部メモリに予め記憶された所定時間T1を読み出し、導き出した操作継続時間と読み出した所定時間T1とを比較する。なお、「操作継続時間」は、具体的には左操作継続時間又は右操作継続時間であり、暫定的な操作継続時間を含み、且つ、複数回の操作継続時間を累計して導き出される。但し、レベリング調整部51は、複数回の操作継続時間の累計ではなく、各回の操作継続時間に基づいて判定を行ってもよい。また、レベリング調整部51は、総合操作継続時間に基づいて判定を行ってもよい。また、レベリング調整部51は、左レベリングシリンダ23Lと右レベリングシリンダ23Rとが互いに逆方向に伸縮されている場合には所定時間T1より短い所定時間(例えば所定時間T1の2分の1)を用いて判定を行うようにしてもよい。左レベリングシリンダ23L及び右レベリングシリンダ23Rのうちの一方を伸縮させる場合に比べてレベリング差の増大が速いためである。
なお、カウンタ値を用いる場合、以下の説明における「操作継続時間」は「操作カウンタ値が表す時間」で読み替えられる。
操作継続時間が所定時間T1以上であると判定した場合(ステップS12のYES)、レベリング調整部51は警告を出力する(ステップS13)。本実施例では、レベリング調整部51は、警告出力装置65に対して警告指令を出力し、スクリードフレーム3Fが破損するおそれがある旨を知らせる警告メッセージをメインモニタ65C、左サイドモニタ65L、及び右サイドモニタ65Rに表示する。なお、レベリング調整部51は、操作入力が行われた入力装置60に対応する警告出力装置65のみで警告を出力させてもよい。例えば、左スイッチボックス60Lでレベリングスイッチ60aLが操作されていた場合、レベリング調整部51は左サイドモニタ65Lのみで警告を出力させてもよい。
また、レベリング調整部51は、操作継続時間が所定時間T1以上である間、継続的に警告を出力させる。但し、レベリング調整部51は、操作継続時間が所定時間T1以上であっても、所定の操作が行われた場合には警告の出力を中止してもよい。具体的には、レベリング調整部51は、例えば解除ボタンが押下された場合に警告の出力を停止させる。解除ボタンは、例えば、警告出力装置65の周囲に設置されるハードウェアボタン又はソフトウェアボタンである。
なお、操作継続時間が所定時間T1未満であると判定した場合(ステップS12のNO)、レベリング調整部51は、既に警告が出力されている場合にはその警告の出力を停止させた後(ステップS14)、今回のレベリング調整支援処理を終了させる。警告が出力されていない場合にはそのまま今回のレベリング調整支援処理を終了させる。
操作継続時間が所定時間T1以上であると判定した場合、レベリング調整部51は、操作継続時間が所定時間T2(>T1)以上であるか否かを判定する(ステップS15)。本実施例では、レベリング調整部51は、内部メモリに予め記憶された所定時間T2を読み出し、導き出した操作継続時間と読み出した所定時間T2とを比較する。
操作継続時間が所定時間T2以上であると判定した場合(ステップS15のYES)、レベリング調整部51は、操作継続時間を大きくするレベリングシリンダ23L、23Rの動きを停止させる(ステップS16)。
例えば、レベリング調整部51は、入力装置60からの左伸張指令に応じて左レベリングシリンダ23Lを伸張させた結果、左伸張操作継続時間が所定時間T2以上となった場合には、左伸張指令を継続的に受けているときであっても左レベリングシリンダ23Lの伸張を停止させる。具体的には、レベリング調整部51は、左レベリング用制御弁33Lに対して停止指令を出力して左レベリング用制御弁33Lを中立位置に切り替える。また、この場合、レベリング調整部51は、右収縮指令を受けた場合であっても右レベリングシリンダ23Rを収縮させないようにする。具体的には、レベリング調整部51は、右収縮指令を受けた場合であっても右レベリング用制御弁33Rに対して収縮指令を出力しない。右レベリングシリンダ23Rを収縮させると右収縮操作継続時間ひいては総合操作継続時間を大きくしてしまうためである。なお、この場合であっても、レベリング調整部51は、左操作継続時間又は総合操作継続時間を小さくするレベリングシリンダ23L、23Rの動きを許容する。具体的には、左レベリングシリンダ23Lの収縮、及び、右レベリングシリンダ23Rの伸張を許容する。
なお、操作継続時間が所定時間T2未満であると判定した場合(ステップS15のNO)、レベリング調整部51は、レベリングシリンダ23L、23Rの動きを停止させることなく、今回のレベリング調整支援処理を終了させる。
以上の構成により、図5のレベリング調整システムSYSは、操作継続時間が所定時間T1以上となった場合に操作者に対して警告を出力する。そのため、操作継続時間がそれ以上大きくならないような操作を操作者に促すことができる。また、コントローラ50は、操作継続時間が所定時間T2(>T1)以上となった場合には操作継続時間をさらに大きくするレベリングシリンダ23L、23Rの動きを停止させる。そのため、操作継続時間が所定時間T2以上となるのを確実に防止できる。その結果、レベリング調整によるスクリード3の破損を防止できる。また、スクリード3のねじり剛性を低めに設定できるため、スクリード3の軽量化を促進できる。
また、図5のレベリング調整システムSYSは、左ストローク量検出装置61L及び右ストローク量検出装置61Rを省略する。そのため、図3のレベリング調整システムSYSよりも簡易且つ低コストな構成を実現しながら、図3のレベリング調整システムSYSと同じ効果を実現できる。
次に、図7を参照し、アスファルトフィニッシャ100に搭載されるレベリング調整システムSYSのさらに別の構成例について説明する。なお、図7は、アスファルトフィニッシャ100に搭載されるレベリング調整システムSYSのさらに別の構成例を示す機能ブロック図である。
なお、図7のレベリング調整システムSYSは、厚み自動管理システム62の出力を利用する点で図3のレベリング調整システムSYSと相違するがその他の点で共通する。そのため、共通点の説明を省略し、相違点を詳細に説明する。
厚み自動管理システム62は、レベリング調整を自動的に行うAGC(Automatic Grade Control)システムである。本実施例では、厚み自動管理システム62は、舗装材が敷き均される前の地面の高さと基準高さとの距離を測定する第1距離センサ(図示せず。)、及び、舗装材が敷き均された後の舗装面の高さと基準高さとの距離を測定する第2距離センサ(図示せず。)を含む。そして、厚み自動管理システム62は、第1距離センサ及び第2距離センサの出力に基づき、敷き均された舗装材の厚みを導き出す。例えば、厚み自動管理システム62は、左リアスクリード3LRが敷き均した舗装材の厚みが予め設定された目標厚みより厚いと判断した場合にコントローラ50に対して左伸張指令を出力して左レベリングシリンダ23Lを伸張させる。その結果、左リアスクリード3LRが下降し、左リアスクリード3LRが敷き均す舗装材の厚みは薄くなる。また、厚み自動管理システム62は、左リアスクリード3LRが敷き均した舗装材の厚みが予め設定された目標厚みより薄いと判断した場合にコントローラ50に対して左収縮指令を出力して左レベリングシリンダ23Lを収縮させる。その結果、左リアスクリード3LRが上昇し、左リアスクリード3LRが敷き均す舗装材の厚みは厚くなる。
レベリング調整部51は、厚み自動管理システム62によるレベリング調整が行われる場合であっても、図3のレベリング調整システムSYSの場合と同様に、図4に示すレベリング調整支援処理を実行する。
具体的には、レベリング調整部51は、左ストローク量検出装置61L及び右ストローク量検出装置61Rの出力に基づいて導き出したレベリング差が所定値D1以上となった場合に警告出力装置65に対して警告指令を出力する。また、レベリング調整部51はレベリング差が所定値D2以上となった場合に左レベリング用制御弁33L及び右レベリング用制御弁33Rのうちの少なくとも一方に対して停止指令を出力する。
以上の構成により、図7のレベリング調整システムSYSは、厚み自動管理システム62によるレベリング調整が行われる場合であっても、図3のレベリング調整システムSYSによる効果と同様の効果を実現できる。その結果、厚み自動管理システム62の誤動作によるスクリード3の破損を防止できる。
また、図7のレベリング調整システムSYSは、図3のレベリング調整システムSYSと同様に、左ストローク量検出装置61L及び右ストローク量検出装置61Rを備えるが、図5のレベリング調整システムSYSと同様に、左ストローク量検出装置61L及び右ストローク量検出装置61Rを省略してもよい。この場合、図7のレベリング調整システムSYSは、図6に示すレベリング調整支援処理を実行する。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例において、レベリング調整システムSYSは、導き出したレベリング差を記憶装置66に時系列的に記憶する。そのため、アスファルトフィニッシャ100の管理者は、左レベリングシリンダ23L及び右レベリングシリンダ23Rのそれぞれのストローク量の時間的推移、レベリング差が所定値D1以上となった時期、時間、回数、レベリング差が所定値D2以上となった時期、時間、回数等を事後的に確認できる。また、レベリング調整システムSYSは、導き出した操作継続時間を記憶装置66に時系列的に記憶する。そのため、アスファルトフィニッシャ100の管理者は、左操作継続時間及び右操作継続時間のそれぞれの時間的推移、総合操作継続時間の時間的推移、操作継続時間が所定時間T1以上となった時期、時間、回数、操作継続時間が所定時間T2以上となった時期、時間、回数等を事後的に確認できる。このように、管理者は、記憶されたデータを読み出すことで操作者又は厚み自動管理システム62がレベリング調整をどのように行ったかを事後的に確認できる。なお、レベリング調整システムSYSは、無線LAN、携帯電話通信網、衛星通信網等を通じ、記憶装置66に記憶したデータを通信センタに送信してもよい。通信センタで作業する管理者が複数のアスファルトフィニッシャ100におけるレベリング調整の実施状況をまとめて管理できるようにするためである。
また、上述の実施例では、本発明はアスファルトフィニッシャ100に適用されたが、コンクリートフィニッシャ、路盤形成機等、スクリード3のような敷き均し装置を備える他の道路機械に適用されてもよい。