以下、図面を参照して実施形態について説明する。
[全体構成]
まず、図1を参照して、本実施形態に係るアスファルトフィニッシャ100の全体構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るアスファルトフィニッシャ100の一例を示す図である。具体的には、図1(A)は、アスファルトフィニッシャ100の左側面図であり、図1(B)は、アスファルトフィニッシャ100の上面図である。
図1中にて、アスファルトフィニッシャ100は、その車長方向、車幅方向、及び車高方向が、それぞれ、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に対応するように配置されている。具体的には、車長方向の前側、即ち、アスファルトフィニッシャ100の前方向がX軸正方向(+X側)に対応し、車長方向の後側、即ち、アスファルトフィニッシャ100の後方向がX軸負方向(-X側)に対応している。また、車幅方向の左側、即ち、アスファルトフィニッシャ100の左方向がY軸正方向(+Y側)に対応し、車幅方向の右側、即ち、アスファルトフィニッシャ100の右方向がY軸負方向(-Y側)に対応している。また、車高方向の上側、即ち、アスファルトフィニッシャ100の上方向がZ軸正方向(+Z側)に対応し、車高方向の下側、即ち、アスファルトフィニッシャ100の下方向がZ軸負方向(-Z側)に対応している。
図1に示すように、アスファルトフィニッシャ100は、トラクタ1と、ホッパ2と、コンベアCVと、スクリュSCと、スクリード3と、を備える。
トラクタ1は、アスファルトフィニッシャ100の本体部に相当し、アスファルトフィニッシャ100を走行させる。トラクタ1は、後輪5及び前輪6を含み、後輪走行用モータ20(図3参照)を用いて後輪5を回転させ、且つ、前輪走行用モータ22(図3参照)を用いて前輪6を回転させることによってアスファルトフィニッシャ100を走行させる。
尚、トラクタ1は、車輪(後輪5及び前輪6)に代えて、クローラを備えていてもよい。
また、図1(A)に示すように、トラクタ1の上部には、運転席が設けられる。オペレータは、トラクタ1の上部の運転席でアスファルトフィニッシャの操作を行うことができる。
また、図1に示すように、トラクタ1には、例えば、コントローラ50が搭載される。
コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100に関する制御を行う。
コントローラ50は、その機能が任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。コントローラ50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置、及び外部との入出力用のインタフェース装置を含むコンピュータを中心に構成される。コントローラ50は、例えば、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPUに実行させることにより、各種機能を実現する。
例えば、コントローラ50は、油圧アクチュエータを駆動するための作動油を供給する後述の各種の油圧ポンプの吐出量を制御してよい。油圧アクチュエータは、後述の如く、各種の油圧シリンダや油圧モータを含む。
また、例えば、コントローラ50は、油圧アクチュエータと油圧ポンプとの間の作動油の流れを制御してよい。
ホッパ2は、ダンプトラックの荷台から供給される舗装材を受け入れる。舗装材は、例えば、アスファルト混合物等である。
図1に示すように、ホッパ2は、トラクタ1の前部に設けられ、ホッパシリンダ24によってY軸方向(車幅方向)に開閉可能なように構成される。アスファルトフィニッシャ100は、通常、ホッパ2を全開状態にしてダンプトラックの荷台から舗装材を受け入れる。また、アスファルトフィニッシャ100は、ダンプトラックの荷台から舗装材を受け入れているときも、プッシュローラ2bを介してダンプトラックを前方に押しながら走行を継続する。アスファルトフィニッシャ100のオペレータ(操作者)は、ホッパ2内の舗装材が減少するとホッパ2を閉じる操作を行い、ホッパ2の内壁付近にあった舗装材をホッパ2の中央部に集める。これにより、アスファルトフィニッシャ100は、ホッパ2の内部の舗装材が相対的に少ない状態であっても、ホッパ2の中央部の底にあるコンベアCVがトラクタ1の後側に舗装材を搬送可能な状態を維持させることができる。トラクタ1の後方に搬送された舗装材は、スクリュSCによってトラクタ1の方向且つスクリード3の前方の領域で車幅方向に敷き拡げられる。
尚、図1では、ホッパ2が全開状態であるときのアスファルトフィニッシャ100が示されている。
コンベアCVは、ホッパ2の中央部の舗装材をトラクタ1の後側に搬送する。コンベアCVは、油圧ポンプ(後述のコンベア・スクリュ用ポンプ14S)から作動油の供給を受けて回転する油圧モータ(後述のコンベア用モータ21C)によって駆動される。具体的には、コンベアCVは、トラクタ1に設けられる搬送通路CPを介して、ホッパ2内の舗装材をトラクタ1の後側へ搬送可能なように構成される。搬送通路CPは、トラクタ1の内部に形成される略直方体の空間であり、トラクタ1の前面にホッパ2内に開口する略長方形の入口OPを有する。コンベアCVは、例えば、アスファルトフィニッシャ100(トラクタ1)の車幅方向(Y軸方向)の中央を基準として左側及び右側のそれぞれに配置される2つのコンベアを含む。2つのコンベアのうちの左側コンベアは、後述の左メインスクリュSCLMに向けて舗装材を搬送するように構成され、右側のコンベアは、後述の右メインスクリュSCRMに向けて舗装材を搬送するように構成される。
スクリュSCは、上述の如く、コンベアCVによりトラクタ1の後側の地面に搬送される舗装材を敷き拡げる。スクリュSCは、油圧ポンプ(後述のコンベア・スクリュ用ポンプ14S)から作動油の供給を受けて回転する油圧モータ(後述のスクリュ用モータ21S)によって駆動される。スクリュSCは、左メインスクリュSCLMと、右メインスクリュSCRMと、左延長スクリュSCLEと、右延長スクリュSCREとを含む。
左メインスクリュSCLM及び右メインスクリュSCRMは、車幅方向において、トラクタ1の幅内に収まるように配置される。左延長スクリュSCLEは、左メインスクリュSCLMの左端部に連結され、車幅方向(Y軸方向)において、トラクタ1の左端部から左側に突出するように配置される。右延長スクリュSCREは、右メインスクリュSCRMの右端部に連結され、車幅方向において、トラクタ1の右端部から右側に突出するように配置される。
スクリード3は、スクリュSCの後方で、敷き拡げられた舗装材を敷き均す。スクリード3は、メインスクリード30と、伸縮スクリード31とを含む。
メインスクリード30は、例えば、アスファルトフィニッシャ100(トラクタ1)の車幅方向の中央を基準として、左側及び右側に配置される、左メインスクリード及び右メインスクリードを含む。伸縮スクリード31は、左伸縮スクリード31L及び右伸縮スクリード31Rを含む。メインスクリード30、左伸縮スクリード31L、及び右伸縮スクリード31Rは、車長方向(X軸方向)で重ならないように、前後にずらして配置されている。具体的には、車長方向において、メインスクリード30の後側に左伸縮スクリード31Lが配置され、左伸縮スクリード31Lの後側に右伸縮スクリード31Rが配置される。
伸縮スクリード31は、スクリード伸縮シリンダ27によって車幅方向に伸縮されるように構成される。スクリード伸縮シリンダ27は、メインスクリード30の筐体の後面に固定されている支持部によって支持され、伸縮スクリード31を車幅方向に伸縮させることが可能なように構成されている。スクリード伸縮シリンダ27は、左スクリード伸縮シリンダ27L及び右スクリード伸縮シリンダ27Rを含む。左スクリード伸縮シリンダ27Lは、メインスクリード30に対して左伸縮スクリード31Lを車幅方向の左側に伸縮させることができる。右スクリード伸縮シリンダ27Rは、メインスクリード30に対して右伸縮スクリード31Rを車幅方向の右側に伸縮させることができる。
スクリード3は、トラクタ1によって牽引される浮動スクリードであり、レベリングアーム3Aを介してトラクタ1に連結されている。スクリード3は、スクリードリフトシリンダ25の伸縮によってレベリングアーム3Aと共に上下に動かされる。
レベリングアーム3Aは、スクリード3をトラクタ1に連結可能に構成される。具体的には、レベリングアーム3Aは、一端がスクリード3に連結され、他端がトラクタ1に回動可能に連結されている。レベリングアーム3Aは、左レベリングアーム3AL及び右レベリングアーム3ARを含む。
レベリングシリンダ23は、舗装材の敷き均し厚さ(舗装厚)を調節するためにレベリングアーム3Aの前端部分を上下動させることが可能に構成される。具体的には、図1(A)に示すように、レベリングシリンダ23は、シリンダ部がトラクタ1に連結され、ロッド部がレベリングアーム3Aの前端部分に連結されてよい。
レベリングアーム3Aの前端部分は、トラクタ1によって摺動可能に支持されている。舗装厚を増大させる場合、コントローラ50は、油圧ポンプ(後述のシリンダ用ポンプ14M)が吐出する作動油をレベリングシリンダ23のロッド側油室内に流入させ、レベリングシリンダ23を収縮させてレベリングアーム3Aの前端部分を上昇させる。一方、敷き均し厚さを低減させる場合、コントローラ50は、レベリングシリンダ23のロッド側油室内の作動油を流出させ、レベリングシリンダ23を伸長させてレベリングアーム3Aの前端部分を下降させる。
スクリードリフトシリンダ25は、スクリード3を施工時等の地面に相対的に近い状態(以下、便宜的に「通常状態」)から地面から相対的に離れた状態(以下、「リフトアップ状態」)に持ち上げたり、スクリード3をリフトアップ状態から通常状態に戻したりするために用いられる。これにより、アスファルト舗装の施工作業以外の状況では、スクリード3を地面(路盤)から相対的に離れたリフトアップ状態に維持し、スクリード3と地面との接触で、スクリード3や路盤が傷ついてしまうような事態を抑制することができる。具体的には、図1(A)に示すように、スクリードリフトシリンダ25は、シリンダ部がトラクタ1に連結され、ロッド部がレベリングアーム3Aの後端部分に連結されてよい。スクリード3を持ち上げる場合、コントローラ50は、油圧ポンプ(後述のシリンダ用ポンプ14M)が吐出する作動油をスクリードリフトシリンダ25のロッド側油室内に流入させる。その結果、スクリードリフトシリンダ25は収縮し、レベリングアーム3Aの後端部分が持ち上がりスクリード3が持ち上がる。一方、持ち上げられたスクリード3を下ろす場合、コントローラ50は、スクリードリフトシリンダ25のロッド側油室内の作動油を流出可能とする。その結果、スクリード3の重量によってスクリードリフトシリンダ25は伸長し、レベリングアーム3Aの後端部分が下降してスクリード3が下降する。以下、スクリードリフトシリンダ25を用いて、スクリード3を持ち上げたり、持ち上げたスクリード3を下降させたりする機能を「スクリードリフト機能」と称する場合がある。
また、アスファルトフィニッシャ100は、サイドプレート40と、伸縮モールドボードと、スクリードステップ42と、リテーニングプレート43とを備える。
サイドプレート40は、伸縮スクリード31の車幅方向の外端部に取り付けられる。サイドプレート40は、左サイドプレート40L及び右サイドプレート40Rを含む。具体的には、左サイドプレート40Lは、左伸縮スクリード31Lの車幅方向(Y軸方向)の外端部(左端部)に取り付けられ、右サイドプレート40Rは、右伸縮スクリード31Rの車幅方向の外端部(右端部)には、取り付けられている。
伸縮モールドボード41は、スクリュSCによって敷き拡げられた舗装材のうち、伸縮スクリード31の手前に滞留する舗装材の量を調節するための部材である。伸縮モールドボード41は、伸縮スクリード31と共に車幅方向に伸縮可能なように構成される。伸縮モールドボード41の車幅方向(Y軸方向)の外端部には、サイドプレート40が連結される。
具体的には、伸縮モールドボード41は、車幅方向に延びる板状部材であり、左伸縮モールドボード41L及び右伸縮モールドボード41Rを含む。左伸縮モールドボード41Lの車幅方向の外端部(左端部)には、左サイドプレート40Lが取り付けられ、右伸縮モールドボード41Rの外端(右端部)には、右サイドプレート40Rが取り付けられる。
また、伸縮モールドボード41は、伸縮スクリード31及びサイドプレート40とは無関係に、Z軸方向における高さを調節可能なように構成される。これにより、アスファルトフィニッシャ100は、伸縮モールドボード41を上下に移動させることで、伸縮モールドボード41の下端と路盤との間の隙間の大きさを調節し、その結果、その隙間を通過する舗装材の量を調節することができる。そのため、アスファルトフィニッシャ100は、伸縮モールドボード41を上下に移動させることで、伸縮モールドボード41の後方で且つ伸縮スクリード31の前方の領域に滞留する舗装材の量(高さ)を調節することができる。また、併せて、アスファルトフィニッシャ100は、伸縮スクリード31の下側に取り込まれる舗装材の量を調節することができる。
スクリードステップ42は、作業者がスクリード3の後方で作業する際の足場として用いられる部材である。具体的には、スクリードステップ42は、左スクリードステップ42Lと、中央スクリードステップ42Cと、右スクリードステップ42Rとを含む。
リテーニングプレート43は、スクリュSCによって車幅方向に送り出される舗装材がスクリュSCの前方に散らばってしまうのを防止するための板状部材である。アスファルトフィニッシャ100は、リテーニングプレート43の作用により、スクリュSCを用いて、舗装材を車幅方向に適切に送り出すことができる。具体的には、リテーニングプレート43は、左リテーニングプレート43L及び右リテーニングプレート43Rを含む。
また、アスファルトフィニッシャ100は、運転席操作部55と、操作部60とを備える。
運転席操作部55は、運転席の近傍、具体的には、運転席に着座するオペレータから手の届く範囲に設けられ、アスファルトフィニッシャ100に関する操作を行うために用いられる。
操作部60は、スクリード3を含むアスファルトフィニッシャ100に関する操作を行うために用いられる。操作部60は、スクリード3に設けられ、スクリードステップ42で作業を行う作業者や地上の作業者等のオペレータ以外のユーザも利用可能に構成される。操作部60は、スクリード3において、スクリードステップ42の上のユーザや地上のユーザが手を届かせやすい任意の場所に設置される。例えば、操作部60は、スクリード3の左右の少なくとも一方の端部の手すり等に取り付けられてよい。
[機能構成]
次に、図1に加え、図2を参照して、コントローラ50の機能構成について説明する。具体的には、スクリードリフト機能、及びアスファルトフィニッシャ100の動力源としてのエンジン14E(図3参照)の始動・停止機能(以下、「エンジン始動・停止機能」に関するコントローラ50の機能構成について説明する。
図2は、コントローラ50の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、コントローラ50は、運転席操作部55及び操作部60の何れか一方に対する操作に応じて、スクリードリフト機能及びエンジン始動・停止機能に関する制御を行う。具体的には、コントローラ50は、スクリードリフト部F7に制御指令を出力することにより、スクリードリフト機能を実現する。また、コントローラ50は、エンジン14E(具体的には、エンジン14Eに搭載される各種アクチュエータ)に制御指令を出力することにより、エンジン始動・停止機能を実現する。エンジン14Eに搭載されるアクチュエータには、例えば、エンジン14Eのシリンダ内に燃料を噴射する燃料噴射装置やエンジン14Eの始動時にクランクシャフトを電気駆動するスタータ等が含まれてよい。また、コントローラ50は、エンジン始動・停止機能に関連して、駆動部F1~F4,F6(後述の後輪駆動部F1、コンベア・スクリュ駆動部F2、前輪駆動部F3、及び操舵・締め固め装置駆動部F4、ホッパ駆動部F6)に制御指令を出力してよい。
運転席操作部55は、スクリードリフトスイッチ56と、エンジンスイッチ58とを含む。
スクリードリフトスイッチ56は、運転席のオペレータがスクリードリフト機能によりスクリード3を持ち上げさせたり、持ち上げられたスクリード3を下降させたりするために用いられる。スクリードリフトスイッチ56により受け付けられる入力内容に対応する信号は、コントローラ50に取り込まれる。
スクリードリフトスイッチ56は、後述の如く、スクリード3を持ち上げるため操作(以下、便宜的に「アップ操作」)を受け付ける入力部と、スクリード3を下げるための操作(以下、「ダウン操作」)を受け付ける入力部とを含んでもよい。また、スクリードリフトスイッチ56は、1つの入力部で構成されてもよい。この場合、コントローラ50は、スクリード3が通常状態にあるかリフトアップ状態にあるかに応じて、スクリードリフトスイッチ56で受け付けられる操作内容を判断してよい。具体的には、コントローラ50は、スクリード3の通常状態で、スクリードリフトスイッチ56が操作される場合、スクリードリフトスイッチ56の操作内容を、スクリード3を持ち上げるアップ操作と判断してよい。一方、コントローラ50は、スクリード3のリフトアップ状態で、スクリードリフトスイッチ56が操作される場合、スクリードリフトスイッチ56の操作内容を、スクリード3を下げるダウン操作と判断してよい。以下、スクリードリフトスイッチ62の場合についても同様であってよい。
エンジンスイッチ58は、運転席のオペレータがエンジン始動・停止機能によりエンジン14Eを始動させたり、エンジン14Eを停止させたりするために用いられる。
尚、動力源としてのエンジン14Eの始動及び停止は、それぞれ、アスファルトフィニッシャ100の運転開始(起動)及び運転停止に相当する。
操作部60は、スクリードリフトスイッチ62と、エンジンスイッチ64とを含む。
スクリードリフトスイッチ62(第1の操作部の一例)は、スクリードステップ42の上のユーザや地上のユーザがスクリードリフト機能によりスクリード3を持ち上げさせたり、持ち上げられたスクリード3を下降させたりするために用いられる。スクリードリフトスイッチ62により受け付けられる入力内容に対応する信号は、コントローラ50に取り込まれる。
エンジンスイッチ64(第2の操作部の一例)は、スクリードステップ42の上のユーザや地上のユーザがエンジン始動・停止機能によりエンジン14Eを始動させたり、エンジン14Eを停止させたりするために用いられる。
スクリードリフト部F7は、後述の如く、油圧システムによって、スクリード3を持ち上げたり、持ち上げられたスクリードを下ろしたりすることが可能なように構成される。
エンジン14Eは、後述の如く、アスファルトフィニッシャ100の動力源として油圧源14の各種油圧ポンプを駆動する。
駆動部F1~F4,F6は、油圧システムによって、所定の駆動対象(即ち、被駆動部)を駆動する。後輪駆動部F1は、後述の如く、油圧システムによって、駆動対象(被駆動部)としての後輪5を駆動する。コンベア・スクリュ駆動部F2は、後述の如く、油圧システムによって、駆動対象(被駆動部)としてのコンベアCV及びスクリュSCを駆動する。前輪駆動部F3は、後述の如く、油圧システムによって、駆動対象(被駆動部)としての前輪6を駆動する。操舵・締め固め装置駆動部F4は、後述の如く、油圧システムによって、駆動対象(被駆動部)としての操舵装置及び締め固め装置を駆動する。ホッパ駆動部F6は、油圧システムによって、駆動対象(被駆動部)としてのホッパ2を駆動する。
コントローラ50は、スクリードリフト制御部50Aと、エンジン制御部50Bと、インタロック制御部50Cとを含む。スクリードリフト制御部50A、エンジン制御部50B、及びインタロック制御部50Cの機能は、例えば、それぞれ、補助記憶装置にインストールされる所定のプログラムをメモリ装置にロードしてCPUに実行させることにより実現される。
スクリードリフト制御部50Aは、スクリードリフト機能に関する制御を行う。具体的には、スクリードリフト制御部50Aは、スクリード3による施工が実行されていない場合において、スクリードリフトスイッチ56を通じてスクリード3を持ち上げる操作がされると、スクリードリフト部F7に制御指令を出力し、スクリード3をリフトアップ状態に移行させる。また、スクリードリフトスイッチ62を通じてスクリード3を持ち上げる操作がされる場合も同様である。また、スクリード3による施工が実施されていない場合において、スクリードリフトスイッチ56を通じてスクリード3を下げる操作がされると、スクリードリフト制御部50Aは、スクリードリフト部F7に制御指令を出力し、スクリード3を通常状態に移行させる。また、スクリードリフトスイッチ62を通じてスクリード3を下げる操作がされる場合も同様である。
尚、スクリード3は、アスファルトフィニッシャ100の外部からのリモート操作(遠隔操作)により、持ち上げられたり、下げられたりされたりしてもよい。この場合、スクリードリフト制御部50Aは、アスファルトフィニッシャ100の通信装置を通じて受信される、外部装置からのスクリード3を持ち上げるための要求信号(以下、「アップ要求信号」)に応じて、スクリード3をリフトアップ状態に移行させてよい。同様に、スクリードリフト制御部50Aは、通信装置を通じて受信される、外部装置からスクリード3を下ろすための要求信号(以下、「ダウン要求信号」)に応じて、スクリード3を通常状態に移行させてよい。外部装置は、例えば、ユーザが利用する端末装置(ユーザ端末)を含む。ユーザ端末は、例えば、デスクトップ型のコンピュータ端末等の定置型の端末装置であってよい。また、ユーザ端末は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のコンピュータ端末等の携帯型(可搬型)の端末装置(携帯端末)であってもよい。また、外部装置は、例えば、サーバ装置を含んでもよい。サーバ装置は、例えば、アスファルトフィニッシャ100の施工現場の遠隔に配置される管理センタ等に設置されるクラウドサーバであってもよいし、アスファルトフィニッシャ100の施工現場から相対的に近い位置に配置されるエッジサーバであってもよい。また、アップ要求信号やダウン要求信号は、外部装置からアスファルトフィニッシャ100に直接送信されてもよいし、外部装置から別の装置を経由してアスファルトフィニッシャ100に送信されてもよい。例えば、外部装置としてのユーザ端末から送信されるアップ要求信号やダウン要求信号は、管理センタのサーバ装置を経由してアスファルトフィニッシャ100に送信されてもよい。以下、後述する始動要求信号や停止要求信号についても同様であってよい。
エンジン制御部50Bは、エンジン14Eに関する制御を行う。エンジン制御部50Bは、例えば、エンジン始動・停止機能に関する制御を行う。具体的には、エンジン制御部50Bは、エンジン14Eが運転停止の状態で、エンジンスイッチ58がON操作されると、エンジン14Eを始動させる。より具体的には、エンジン制御部50Bは、エンジン14Eに搭載される燃料噴射装置やスタータ等に制御指令を出力することにより、エンジン14Eを始動させる。また、後述の如く、インタロック制御部50Cからエンジン14Eの始動禁止の制御指令(以下、「始動禁止指令」)が出力される仕様が採用される場合がある。この場合、エンジン制御部50Bは、更に、始動禁止指令が出力されていないことを追加条件として、エンジン14Eを始動させてよい。エンジンスイッチ64がON操作される場合についても同様である。また、エンジン制御部50Bは、エンジン14Eの運転中に、エンジンスイッチ58がOFF操作される場合、エンジン14Eを運転停止させる。より具体的には、エンジン制御部50Bは、エンジン14Eの燃料噴射装置等に制御指令を出力することにより、エンジン14Eを停止させる。エンジンスイッチ64がOFF操作される場合についても同様である。
尚、エンジン14Eは、スクリードリフト機能の場合と同様、アスファルトフィニッシャ100の外部からのリモート操作(遠隔操作)により、始動されたり、停止されたりしてもよい。この場合、エンジン制御部50Bは、通信装置を通じて受信される、外部装置からエンジン14Eの始動要求に相当する信号(以下、「始動要求信号」)に応じて、エンジン14Eを始動させてよい。また、インタロック制御部50Cから始動禁止指令が出力される仕様が採用される場合、エンジン制御部50Bは、始動要求が受信され、且つ、始動禁止指令が出力されていない場合に、停止状態のエンジン14Eを始動させてよい。同様に、エンジン制御部50Bは、通信装置を通じて受信される、外部装置からエンジン14Eの停止要求に相当する信号(以下、「停止要求信号」)に応じて、エンジン14Eを停止させてよい。
インタロック制御部50Cは、エンジン14Eの始動時におけるインタロック制御を行う。具体的には、インタロック制御部50Cは、駆動部F1~F4,F6の少なくとも一つがOFF操作されずON状態のままで、エンジン14Eの運転停止が行われた場合に、次回のエンジン14Eの始動時に駆動部F1~F4,F6の駆動対象が急に動いてしまうのを防止する。これにより、アスファルトフィニッシャ100のエンジン14Eの始動時における安全性を向上させることができる。
例えば、インタロック制御部50Cは、駆動部F1~F4,F6のうちの少なくとも一つがON状態のままで、エンジン14Eが運転停止される場合に、次回のエンジン14Eの始動を禁止してよい。具体的には、インタロック制御部50Cは、エンジン14Eの始動禁止を表す制御指令(以下、「始動禁止指令」)を出力してよい。インタロック制御部50Cから始動禁止指令が出力された場合、エンジン制御部50Bは、次回のエンジンスイッチ58,64の操作時に、エンジン14Eを始動させない。また、エンジン制御部50Bは、アスファルトフィニッシャ100に搭載される音出力装置(例えば、スピーカ等)を通じて、駆動部F1~F4,F6のうちの少なくとも一つがON状態のために、エンジン14Eを始動できない旨を音声出力してもよい。これにより、ユーザは、エンジン14Eが始動しない理由を把握することができる。
始動禁止指令は、エンジン14Eの運転停止時に出力されてもよいし、次回のエンジンスイッチ58,64のON操作時、駆動部F1~F4,F6のON/OFF状態が把握された後に、出力されてもよい。エンジン14Eの運転停止時に出力される場合、運転停止指令は、コントローラ50の補助記憶装置にフラグ(以下、「始動禁止フラグ」)として設定されてよい。これにより、エンジン制御部50Bは、次回のエンジンスイッチ58,64のON操作時に補助記憶装置から始動禁止フラグを読み出すことにより、始動禁止指令が出力されたことを把握することができる。以下、後述の駆動禁止指令についても同様であってよい。
また、例えば、インタロック制御部50Cは、駆動部F1~F4,F6のうちの少なくとも一つがON状態のままで、エンジン14Eが運転停止される場合、次回のエンジン14Eの始動時に駆動部F1~F4,F6の動作(始動)を禁止してもよい。具体的には、インタロック制御部50Cは、駆動部F1~F4,F6の動作(始動)を禁止する制御指令(以下、「駆動禁止指令」)を出力してよい。インタロック制御部50Cから駆動禁止指令が出力された場合、コントローラ50は、次回のエンジン14Eの始動時に、駆動部F1~F4,F6のON/OFF状態に依らず、駆動部F1~F4,F6の動作、即ち、その駆動対象(被駆動部)の動作を停止させる。
尚、駆動部F1~F4,F6の動作が禁止される場合、エンジン14Eの始動後に、スクリードリフト部F7を動作させることは可能である。そのため、スクリードリフト制御部50Aは、エンジン14Eの始動後、ユーザから受け付けられるスクリードリフトスイッチ56,62の操作や外部装置からの信号の受信に応じて、スクリード3を上下させることができる。
[油圧システム]
次に、図3を参照して、アスファルトフィニッシャ100に搭載される油圧システムについて説明する。
図3は、アスファルトフィニッシャ100の油圧システムの構成の一例を示す油圧回路図である。
油圧システムは、油圧源14と、後輪駆動部F1と、コンベア・スクリュ駆動部F2と、前輪駆動部F3と、操舵・締め固め装置駆動部F4と、レベリング部F5と、ホッパ駆動部F6と、スクリードリフト部F7と、スクリード伸縮部F8とを含む。
油圧源14は、作動油タンクTから作動油を吸い上げ、各種駆動部に作動油を供給する。油圧源14は、エンジン14Eと、後輪走行用ポンプ14Rと、チャージポンプ14Cと、シリンダ用ポンプ14Mと、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sと、前輪走行用ポンプ14Fとを含む。
エンジン14Eは、後輪走行用ポンプ14R、チャージポンプ14C、シリンダ用ポンプ14M、コンベア・スクリュ用ポンプ14S、及び前輪走行用ポンプ14Fを駆動する駆動源である。
後輪走行用ポンプ14Rは、後輪駆動部F1に駆動用の作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。具体的には、後輪走行用ポンプ14Rは、閉回路で用いられる斜板式可変容量型の双方向油圧ポンプであってよい。
チャージポンプ14Cは、後輪駆動部F1に制御用の作動油を供給する固定容量型の油圧ポンプである。
シリンダ用ポンプ14Mは、操舵・締め固め装置駆動部F4、レベリング部F5、ホッパ駆動部F6、スクリードリフト部F7、及びスクリード伸縮部F8のそれぞれに作動油を供給可能な可変容量型油圧ポンプである。シリンダ用ポンプ14Mは、斜板式可変容量型の油圧ポンプであり、吐出圧が所定圧で一定となるようにその吐出量が制御される。
コンベア・スクリュ用ポンプ14Sは、コンベア・スクリュ駆動部F2に作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。具体的には、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sは、斜板式可変容量型の油圧ポンプであってよい。
前輪走行用ポンプ14Fは、前輪駆動部F3に作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。具体的には、前輪走行用ポンプ14Fは斜板式可変容量型の油圧ポンプである。
後輪駆動部F1は、油圧源14から供給される作動油を用いて、後輪5を駆動可能に構成される。後輪駆動部F1は、左後輪走行用モータ20Lと、右後輪走行用モータ20Rと、チェック弁20La,20Raと、リリーフ弁20Lb,20Rbと、減速機切替弁V0とを含む。
左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rは、それぞれ、左側及び右側の後輪を駆動する。具体的には、左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rは、無段変速式油圧モータであってよく、後輪走行用ポンプ14Rと共に閉回路、即ち、HST(Hydro-Static Transmission)回路を構成してよい。
チェック弁20Laは、後輪走行用ポンプ14Rの第1ポート(図中の(1))と左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの第2ポート(図中の(2))とを繋ぐ管路C1内の作動油の圧力を所定圧力以上に維持する。具体的には、チェック弁20Laは、管路C1内の作動油の圧力がチャージポンプ14Cの吐出圧を下回った場合、チャージポンプ14Cが吐出する作動油を管路C1内に流入させる。同様に、チェック弁20Raは、後輪走行用ポンプ14Rの第2ポート(図中の(2))と左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの第1ポート(図中の(1))とを繋ぐ管路C2内の作動油の圧力を所定圧力以上に維持する。具体的には、チェック弁20Raは、管路C2内の作動油の圧力がチャージポンプ14Cの吐出圧を下回った場合、チャージポンプ14Cが吐出する作動油を管路C2内に流入させる。
リリーフ弁20Lbは、管路C1内の作動油の圧力を所定のリリーフ圧以下に維持する。具体的には、リリーフ弁20Lbは、管路C1内の作動油の圧力がリリーフ圧を上回った場合、管路C1内の作動油を閉回路の外部(例えば、作動油タンクT)に流出させる。同様に、リリーフ弁20Rbは、管路C2内の作動油の圧力を所定のリリーフ圧以下に維持する。具体的には、リリーフ弁20Rbは、管路C2内の作動油の圧力がリリーフ圧を上回った場合、管路C2内の作動油を閉回路の外部(例えば、作動油タンクT)に流出させる。
減速機切替弁V0は、左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの減速比を切り替える。具体的には、減速機切替弁V0は、コントローラ50からの制御指令に応じて、チャージポンプ14Cが吐出する作動油を利用し左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの減速比を切り替える。
コンベア・スクリュ駆動部F2は、油圧源14から供給される作動油を用いて、コンベアCV及びスクリュSCを駆動可能に構成される。コンベア・スクリュ駆動部F2は、コンベア用モータ21Cと、スクリュ用モータ21Sと、コンベア用制御弁V1Cと、スクリュ用制御弁V1Sとを含む。
コンベア用モータ21C及びスクリュ用モータ21Sは、何れも、開回路を構成する可変容量型油圧モータである。コンベア用モータ21Cは、左コンベア用モータ21CL及び右コンベア用モータ21CRを含む。スクリュ用モータ21Sは、左スクリュ用モータ21SL及び右スクリュ用モータ21SRを含む。コンベア用制御弁V1Cは、左コンベア用制御弁V1CL及び右コンベア用制御弁V1CRを含む。スクリュ用制御弁V1Sは、左スクリュ用制御弁V1SL及び右スクリュ用制御弁V1SRを含む。
左コンベア用制御弁V1CLは、コントローラ50からの制御指令に応じて動作し、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sが吐出する作動油を左コンベア用モータ21CLの吸込ポートに流入させ、且つ、左コンベア用モータ21CLの吐出ポートから流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。右コンベア用制御弁V1CRは、コントローラ50からの制御指令に応じて動作し、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sが吐出する作動油を右コンベア用モータ21CRの吸込ポートに流入させ、且つ、右コンベア用モータ21CRの吐出ポートから流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。同様に、左スクリュ用制御弁V1SLは、コントローラ50からの制御指令に応じて動作し、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sが吐出する作動油を左スクリュ用モータ21SLの吸込ポートに流入させ、且つ、左スクリュ用モータ21SLの吐出ポートから流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。右スクリュ用制御弁V1SRは、コントローラ50からの制御指令に応じて動作し、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sが吐出する作動油を右スクリュ用モータ21SRの吸込ポートに流入させ、且つ、右スクリュ用モータ21SRの吐出ポートから流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。左コンベア用モータ21CL、右コンベア用モータ21CR、左スクリュ用モータ21SL、及び右スクリュ用モータ21SRのそれぞれにおける吐出ポートから流出する作動油は、オイルクーラOCを通って作動油タンクTに排出される。
前輪駆動部F3は、油圧源14から供給される作動油を用いて、前輪6を駆動可能に構成される。前輪駆動部F3は、前輪走行用モータ22と、前輪走行用弁V2とを含む。
前輪走行用モータ22は、開回路を構成する固定容量型油圧モータである。前輪走行用モータ22は、左前輪走行用モータ22L及び右前輪走行用モータ22Rを含む。
前輪走行用弁V2は、コントローラ50からの制御指令に応じて動作し、前輪走行用ポンプ14Fが吐出する作動油を前輪走行用モータ22の吸込ポートに流入させる。前輪走行用ポンプ14Fは、前輪走行用弁V2を介して、左前輪走行用モータ22L及び右前輪走行用モータ22Rのそれぞれに対し並行して作動油を供給する。
操舵・締め固め装置駆動部F4は、油圧源14から供給される作動油を用いて、操舵装置及び締め固め装置(何れも不図示)を駆動可能に構成される。
操舵装置は、前輪6を操舵するための油圧装置である。操舵装置は、例えば、オペレータによるステアリングホイールの操作に応じて、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を利用し前輪6の操舵角を変化させる。また、締め固め装置は、舗装材を締め固めるための油圧装置である。締め固め装置は、タンパ及びバイブレータを含み、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を利用してタンパ及びバイブレータを作動させる。
レベリング部F5は、油圧源14から供給される作動油を用いて、舗装厚を調節可能に構成される。レベリング部F5は、レベリングシリンダ23と、レベリング用制御弁33と、パイロットチェック弁33Pとを含む。
レベリングシリンダ23は、上述の如く、舗装厚を調節するためにレベリングアーム3Aを上下動させる。具体的には、レベリングシリンダ23は、舗装厚を増大させる際に収縮し、舗装厚を低減させる際に伸長するように構成される。レベリングシリンダ23は、左レベリングシリンダ23L及び右レベリングシリンダ23Rを含む。
レベリング用制御弁33は、コントローラ50からの制御信号に応じて動作し、レベリングシリンダ23に供給される作動油の流量や流れの向きを制御する。レベリング用制御弁33は、左レベリング用制御弁33L及び右レベリング用制御弁33Rを含む。舗装厚を増大させる場合、左レベリング用制御弁33Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左レベリングシリンダ23Lのロッド側油室内に流入させ、且つ、左レベリングシリンダ23Lのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、左レベリングシリンダ23Lは収縮し、左レベリングアーム3ALは上昇する。右レベリングシリンダ23Rを収縮させる右レベリング用制御弁33Rについても同様である。一方、舗装厚を低減させる場合、左レベリング用制御弁33Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左レベリングシリンダ23Lのヘッド側油室内に流入させ、且つ、左レベリングシリンダ23Lのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、左レベリングシリンダ23Lは伸長し、左レベリングアーム3ALは下降する。右レベリングシリンダ23Rを伸長させる右レベリング用制御弁33Rについても同様である。
パイロットチェック弁33Pは、外力によってレベリングシリンダ23が動いてしまうのを防止するように構成される。パイロットチェック弁33Pは、パイロットチェック弁33PaL,33PbL,33PaR,33PbRを含む。例えば、パイロットチェック弁33PaLは、オペレータの操作に応じて左レベリング用制御弁33Lが動作し、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油が左レベリングシリンダ23Lのヘッド側油室に流入する場合に限り、左レベリングシリンダ23Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを許容する。そして、パイロットチェック弁33PaLは、それ以外の場合に左レベリングシリンダ23Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを禁止する。パイロットチェック弁33PbL、33PaR、33PbRについても同様である。
ホッパ駆動部F6は、油圧源14から供給される作動油を用いて、ホッパ2を開閉可能に構成される。ホッパ駆動部F6は、ホッパシリンダ24と、ホッパ用制御弁34と、パイロットチェック弁34Pとを含む。
ホッパシリンダ24は、ホッパ2を開閉させる。ホッパシリンダ24は、ホッパ2を開かせる際に収縮し、ホッパ2を閉じさせる際に伸長する。ホッパシリンダ24は、左ホッパシリンダ24L及び右ホッパシリンダ24Rを含む。
ホッパ用制御弁34は、コントローラ50からの制御信号に応じて動作し、ホッパシリンダ24に供給される作動油の流量や流れの向きを制御する。ホッパ用制御弁34は、左ホッパ用制御弁34L及び右ホッパ用制御弁34Rを含む。ホッパ2を開かせる場合、左ホッパ用制御弁34Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左ホッパシリンダ24Lのロッド側油室内に流入させ、且つ、左ホッパシリンダ24Lのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、左ホッパシリンダ24Lは収縮する。また、右ホッパ用制御弁34Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を右ホッパシリンダ24Rのロッド側油室内に流入させ、且つ、右ホッパシリンダ24Rのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、右ホッパシリンダ24Rは収縮する。一方、ホッパ2を閉じさせる場合、左ホッパ用制御弁34Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左ホッパシリンダ24Lのヘッド側油室内に流入させ、且つ、左ホッパシリンダ24Lのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、左ホッパシリンダ24Lは伸長する。また、右ホッパ用制御弁34Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を右ホッパシリンダ24Rのヘッド側油室内に流入させ、且つ、右ホッパシリンダ24Rのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、右ホッパシリンダ24Rは伸長する。
パイロットチェック弁34Pは、ホッパ2の重量、或いは、ホッパ2とホッパ2内の舗装材の重量によってホッパシリンダ24が収縮し、ホッパ2が開いてしまうのを防止するように構成される。パイロットチェック弁34Pは、パイロットチェック弁34PL及びパイロットチェック弁34PRを含む。例えば、パイロットチェック弁34PLは、オペレータの操作に応じて左ホッパ用制御弁34Lが動作し、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油が左ホッパシリンダ24Lのロッド側油室に流入する場合に限り、左ホッパシリンダ24Lのヘッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを許容する。そして、パイロットチェック弁34PLは、それ以外の場合に左ホッパシリンダ24Lのヘッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを禁止する。パイロットチェック弁34PRについても同様である。
尚、ホッパ駆動部F6では、ホッパシリンダ24のロッド側油室とホッパ用制御弁34との間にはパイロットチェック弁が設置されていない。これは、ホッパ2の重量が大きいので外力によってホッパシリンダ24が意図せず伸長してしまう可能性が低いからである。但し、ホッパシリンダ24のロッド側油室とホッパ用制御弁34との間にパイロットチェック弁が設置されてもよい。
スクリードリフト部F7は、油圧源14から供給される作動油を用いて、スクリード3を持ち上げたり、持ち上げられたスクリードを下ろしたりすることが可能なように構成される。スクリードリフト部F7は、スクリードリフトシリンダ25と、スクリードリフト用制御弁35と、切替弁35aと、リリーフ弁35bと、切替弁35cとを含む。
スクリードリフトシリンダ25は、上述の如く、スクリード3を持ち上げたり、持ち上げられたスクリード3を下ろしたりする。具体的には、スクリードリフトシリンダ25は、スクリード3を持ち上げる際に収縮し、スクリード3を下ろす際に伸長する。スクリードリフトシリンダ25は、左スクリードリフトシリンダ25L及び右スクリードリフトシリンダ25Rを含む。
スクリードリフト用制御弁35は、コントローラ50からの制御信号に応じて動作し、スクリードリフトシリンダ25に供給される作動油の流量や流れの向きを制御する。スクリード3を持ち上げる場合、スクリードリフト用制御弁35は、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をスクリードリフトシリンダ25のロッド側油室内に流入させる。この場合、切替弁35aは、コントローラ50からの制御信号に応じて、チェック弁を含む第1位置に切り替えられる。これにより、スクリードリフトシリンダ25のロッド側油室から作動油タンクTに向けて作動油が逆流するのを防止することができる。スクリードリフトシリンダ25のヘッド側油室から流出する作動油は、スクリードリフト用制御弁35を通過することなく作動油タンクTに排出される。この場合、スクリードリフトシリンダ25は収縮する。一方、スクリード3を地面に下ろす場合、スクリードリフト用制御弁35は利用されず、図3に示す状態のまま維持される。この場合、切替弁35aは、コントローラ50からの制御信号に応じて、チェック弁を含まない第2位置に切り替えられる。これにより、スクリードリフトシリンダ25のロッド側油室の作動油を作動油タンクTに向けて流出させることができる。そのため、スクリードリフトシリンダ25は、スクリード3の重量によって伸長し、スクリードリフトシリンダ25のロッド側油室の作動油は切替弁35a及びリリーフ弁35bを通って作動油タンクTに排出される。
切替弁35a及びリリーフ弁35bは、アスファルトフィニッシャ100が移動しながら道路を舗装する際に発生する揚力(即ち、舗装材がスクリード3を持ち上げようとする力)の変化に伴うスクリード3の上下動を実現する。具体的には、揚力の増大によりスクリード3が上昇するとスクリードリフトシリンダ25は収縮する。この場合、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油は、管路C3、スクリードリフト用制御弁35、及び切替弁35aを通ってスクリードリフトシリンダ25のロッド側油室に流入する。一方、揚力の減少によりスクリード3が下降するとスクリードリフトシリンダ25は伸長する。この場合、スクリードリフトシリンダ25のロッド側油室から流出する作動油は、切替弁35a、スクリードリフト用制御弁35、及びリリーフ弁35bを通って作動油タンクTに排出される。切替弁35cは、アスファルトフィニッシャ100が移動しながら道路を舗装する際、即ち、下流のスクリード伸縮部F8等の油圧装置が使用されない間、コントローラ50からの制御信号に応じて、チェック弁を含む第1位置に切り替えられる。これにより、下流のスクリード伸縮部F8等の油圧装置に悪影響を及ぼさないようにすることができる。具体的には、伸縮スクリード31、クラウン装置、及び段差装置(何れも不図示)等が意図せず動いてしまうのを防止するためである。
スクリード伸縮部F8は、油圧源14から供給される作動油を用いて、伸縮スクリード31を車幅方向(Y軸方向)に伸縮可能なように構成される。スクリード伸縮部F8は、スクリード伸縮シリンダ27と、スクリード伸縮用制御弁37と、パイロットチェック弁37Pと、リリーフ弁37Vとを含む。
スクリード伸縮用制御弁37は、コントローラ50からの制御信号に応じて動作し、スクリード伸縮シリンダ27に供給される作動油の流量や流れの向きを制御する。スクリード伸縮用制御弁37は、左スクリード伸縮用制御弁37L及び右スクリード伸縮用制御弁37Rを含む。
左伸縮スクリード31Lを引っ込ませる場合、左スクリード伸縮用制御弁37Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左スクリード伸縮シリンダ27Lのロッド側油室内に流入させ、且つ、左スクリード伸縮シリンダ27Lのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、左スクリード伸縮シリンダ27Lは収縮し、左伸縮スクリード31Lは引っ込められる。右スクリード伸縮用制御弁37Rによって、右伸縮スクリード31Rを引っ込ませる場合についても同様である。一方、左伸縮スクリード31Lを押し出させる場合、左スクリード伸縮用制御弁37Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左スクリード伸縮シリンダ27Lのヘッド側油室内に流入させ、且つ、左スクリード伸縮シリンダ27Lのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、左スクリード伸縮シリンダ27Lは伸長し、左伸縮スクリード31Lは押し出される。右スクリード伸縮用制御弁37Rによって、右伸縮スクリード31Rを引っ込ませる場合についても同様である。
パイロットチェック弁37Pは、外力によってスクリード伸縮シリンダ27が意図せずに動いてしまうのを防止するように構成される。パイロットチェック弁37Pは、パイロットチェック弁37PaL,37PaR,37PbL,37PbRを含む。
例えば、パイロットチェック弁37PaLは、オペレータの操作に応じて左スクリード伸縮用制御弁37Lが動作し、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油が左スクリード伸縮シリンダ27Lのヘッド側油室に流入する場合に限り、左スクリード伸縮シリンダ27Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを許容する。そして、パイロットチェック弁37PaLは、それ以外の場合に左スクリード伸縮シリンダ27Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを禁止する。パイロットチェック弁37PbL,37PaR,37PbRについても同様である。
リリーフ弁37Vは、伸縮スクリード31を引っ込めさせる方向に作用する過度の外力によって伸縮スクリード31に関連する部材が破壊されるのを防止するように構成される。リリーフ弁37Vは、左リリーフ弁37VL及び右リリーフ弁37VRを含む。
例えば、左リリーフ弁37VLは、左スクリード伸縮シリンダ27Lを収縮させる方向に作用する過度の外力を受けて左スクリード伸縮シリンダ27Lのヘッド側油室における作動油の圧力が過度に上昇した場合、ヘッド側油室における作動油の作動油タンクTへの流出を許容する。その結果、左スクリード伸縮シリンダ27Lは、収縮して外力の一部を吸収し、左伸縮スクリード31Lが損傷を受けるのを防止する。右リリーフ弁37VRについても同様である。
[アスファルトフィニッシャのオペレータの乗降手順]
次に、図1~図3に加え、図4を参照して、アスファルトフィニッシャ100のオペレータの乗降手順について説明する。
<オペレータの乗車手順>
オペレータは、アスファルト舗装の施工開始時、或いは、作業の休憩終了時等に、駐機されているアスファルトフィニッシャ100に乗車する。
アスファルトフィニッシャ100は、上述の如く、スクリード3や路盤の損傷を防止するため、通常、スクリード3が持ち上げられたリフトアップ状態で駐機される。
例えば、短い休憩のためにエンジン14Eの稼働状態が維持される場合がある。この場合、オペレータのアスファルトフィニッシャ100への乗車時において、エンジン14Eが稼働中であるため、オペレータは、スクリード3に設置される操作部60のスクリードリフトスイッチ62に対して、ダウン操作を行う。
例えば、図4は、操作部60の一例を示す図である。
図4に示すように、本例では、操作部60の上部に、アップスイッチ62A及びダウンスイッチ62Bを含むスクリードリフトスイッチ62が設けられる。
本例では、オペレータは、ダウンスイッチ62Bを操作する。その結果、スクリードリフト制御部50Aは、ダウンスイッチ62Bからの入力信号に応じて、リフトアップ状態のスクリード3を下げる。これにより、スクリード3に設置されるスクリードステップ42と地面(路盤)との高さの差が相対的に小さくなる。そのため、オペレータは、容易にスクリードステップ42に足を乗せながらスクリード3に乗ることができる。
また、上述の如く、リモート操作によりスクリードリフト機能が実現される場合、オペレータは、ダウンスイッチ62Bの操作に代えて、ユーザ端末を操作し、ユーザ端末からアスファルトフィニッシャ100にダウン要求信号を送信させてもよい。その結果、スクリードリフト制御部50Aは、ダウン要求信号の受信に応じて、リフトアップ状態のスクリード3を下げる。これにより、上述の場合と同様、オペレータは、容易にスクリードステップ42に足を乗せながらスクリード3に乗ることができる。
また、例えば、オペレータのアスファルトフィニッシャ100への乗車時において、エンジン14Eが稼働停止中の場合がある。この場合、オペレータは、スクリードリフト機能を有効にするため、エンジン14Eを始動させる必要が生じる。
図4に示すように、本例では、操作部60の下部に、エンジンスイッチ64が設けられる。そのため、オペレータは、エンジンスイッチ64をON操作する。その結果、エンジン制御部50Bは、エンジンスイッチ64のON操作に対応する入力信号に応じて、エンジン14Eを始動させる。これにより、アスファルトフィニッシャ100のスクリードリフト機能が有効になる。
また、上述の如く、リモート操作によりエンジン14Eの始動が実現される場合、オペレータは、エンジンスイッチ64のON操作に代えて、ユーザ端末を操作し、ユーザ端末からアスファルトフィニッシャ100に始動要求信号を送信させてもよい。その結果、エンジン制御部50Bは、始動要求信号の受信に応じて、エンジン14Eを始動させる。これにより、上述の場合と同様、アスファルトフィニッシャ100のスクリードリフト機能が有効になる。
尚、インタロック制御部50Cは、前回のエンジン14Eの停止時に、駆動部F1~F4,F6のうちの少なくとも一つが稼働状態(ON状態)のままであった場合、上述の如く、駆動部F1~F4,F6の駆動を禁止してよい。この場合、コントローラ50は、エンジンスイッチ64のON操作や始動要求信号の受信がされる場合に、駆動部F1~F4,F6を駆動させない。これにより、コントローラ50は、エンジン14Eの始動を実現しつつ、駆動部F1~F4,F6が急に動いてしまうことを防止し、安全性を向上させることができる。また、インタロック制御部50Cは、前回のエンジン14Eの停止時に、駆動部F1~F4,F6のうちの少なくとも一つが稼働状態(ON状態)のままであった場合、上述の如く、エンジン14Eの始動を禁止してもよい。この場合、コントローラ50は、エンジンスイッチ64がON操作されても、エンジン14Eを始動させない。これにより、コントローラ50は、駆動部F1~F4,F6が急に動いてしまうことを防止し、安全性を向上させることができる。
エンジン14Eが始動されると、オペレータは、ダウンスイッチ62Bを操作する。また、オペレータは、上述の如く、ダウンスイッチ62Bの操作に代えて、ユーザ端末を操作し、ユーザ端末からアスファルトフィニッシャ100に始動要求信号を送信させてもよい。その結果、上述の場合と同様、スクリードリフト制御部50Aは、ダウンスイッチ62Bからの入力信号やユーザ端末からの始動要求信号に応じて、リフトアップ状態のスクリード3を下げる。これにより、上述の場合と同様、オペレータは、容易にスクリードステップ42に足を乗せながらスクリード3に乗ることができる。
スクリード3に乗車したオペレータは、スクリード3からトラクタ1に移動し、運転席に座る。そして、運転席操作部55のスクリードリフトスイッチ56に対してアップ操作を行う。その結果、スクリードリフト制御部50Aは、スクリードリフトスイッチ56からの入力信号に応じて、通常状態のスクリード3を持ち上げる。これにより、アスファルトフィニッシャ100は、駐機場所から施工場所への移動時に、スクリード3と路盤との間の接触によるスクリード3や路盤の損傷を抑制することができる。
尚、操作部60は、アスファルトフィニッシャ100に乗車する地上のユーザ(オペレータ)から手の届く範囲であれば、スクリード3以外の場所に設置されてもよい。例えば、操作部60は、トラクタ1の側面の後部に設けられてもよい。また、スクリードリフト機能をアスファルトフィニッシャの外部からリモート操作で実現可能な場合には、操作部60のスクリードリフトスイッチ62は、省略されてもよい。また、エンジン14Eをアスファルトフィニッシャ100の外部からリモート操作で始動させることが可能な場合等、エンジン14Eの稼働中の乗車を前提とする場合には、操作部60のエンジンスイッチ64は、省略されてもよい。
<オペレータの降車手順>
アスファルトフィニッシャ100は、アスファルト舗装の施工終了時、或いは、作業の休憩時に、駐機場所まで移動する。この際、オペレータは、運転席操作部55のスクリードリフトスイッチ56に対してアップ操作を行う。その結果、スクリードリフト制御部50Aは、スクリードリフトスイッチ56からのアップ操作に対応する入力信号に応じて、通常状態のスクリード3を持ち上げる。これにより、オペレータは、スクリード3を地面(路盤)から相対的に離れた状態で、アスファルトフィニッシャ100を駐機場所まで移動させることができる。そのため、アスファルトフィニッシャ100は、スクリード3や路盤の接触によるスクリード3や路盤の損傷を抑制することができる。
オペレータは、アスファルトフィニッシャ100を駐機場所まで移動させると、アスファルトフィニッシャを停車させ、エンジン14Eが稼働状態のまま、トラクタ1の上部の運転席からトラクタ1の後方のスクリード3のスクリードステップ42に移動する。そして、オペレータは、スクリード3に設置される操作部60のスクリードリフトスイッチ62に対して、スクリード3のダウン操作を行う。
例えば、図4に示すように、オペレータは、操作部60のダウンスイッチ62Bを操作する。その結果、スクリードリフト制御部50Aは、ダウンスイッチ62Bからの入力信号に応じて、リフトアップ状態のスクリード3を下げる。これにより、スクリード3に設置されるスクリードステップ42と地面(路盤)との高さの差が相対的に小さくなる。そのため、オペレータは、スクリード3(スクリードステップ42)から地面に対して容易に足を下ろすことができる。
また、上述の如く、リモート操作によりスクリードリフト機能が実現される場合、オペレータは、ダウンスイッチ62Bの操作に代えて、ユーザ端末を操作し、ユーザ端末からアスファルトフィニッシャ100にダウン要求信号を送信させてもよい。その結果、スクリードリフト制御部50Aは、ダウン要求信号の受信に応じて、リフトアップ状態のスクリード3を下げる。これにより、上述の場合と同様、スクリード3(スクリードステップ42)から地面に対して容易に足を下ろすことができる。
アスファルトフィニッシャ100から降車したオペレータは、操作部60のスクリードリフトスイッチ62に対してアップ操作を行う。例えば、オペレータは、操作部60のアップスイッチ62Aを操作する。その結果、スクリードリフト制御部50Aは、アップスイッチ62Aからの入力信号に応じて、通常状態のスクリード3を持ち上げる。これにより、アスファルトフィニッシャ100は、駐機状態において、スクリード3や路盤の接触によるスクリード3や路盤の損傷を抑制することができる。
また、上述の如く、リモート操作によりスクリードリフト機能が実現される場合、オペレータは、アップスイッチ62Aの操作に代えて、ユーザ端末を操作し、ユーザ端末からアスファルトフィニッシャ100にアップ要求信号を送信させてもよい。その結果、スクリードリフト制御部50Aは、アップ要求信号の受信に応じて、通常状態のスクリード3を持ち上げる。これにより、上述の場合と同様、アスファルトフィニッシャ100は、駐機状態において、スクリード3や路盤の接触によるスクリード3や路盤の損傷を抑制することができる。
スクリード3がリフトアップ状態に移行した後、オペレータは、操作部60のエンジンスイッチ64のOFF操作を行ってよい。その結果、エンジン制御部50Bは、エンジンスイッチ64からの入力信号に応じて、エンジン14Eを稼働停止させる。これにより、オペレータは、エンジン14Eを稼働停止させた状態で、アスファルトフィニッシャ100を駐機しておくことができる。
また、上述の如く、リモート操作によりエンジン14Eの始動が実現される場合、オペレータは、エンジンスイッチ64のOFF操作に代えて、ユーザ端末を操作し、ユーザ端末からアスファルトフィニッシャ100に停止要求信号を送信させてもよい。その結果、エンジン制御部50Bは、停止要求信号の受信に応じて、エンジン14Eを停止させる。これにより、上述の場合と同様、オペレータは、エンジン14Eを稼働停止させた状態で、アスファルトフィニッシャ100を駐機しておくことができる。
また、エンジン14Eの稼働状態(アイドリング状態)のままでアスファルトフィニッシャ100が駐機される場合もある。この場合、オペレータは、エンジン14Eを停止させない。
尚、操作部60は、アスファルトフィニッシャ100から地上に降りたユーザ(オペレータ)から手の届く範囲であれば、スクリード3以外の場所に設置されてもよい。例えば、操作部60は、上述の如く、トラクタ1の側面の後部に設けられてもよい。また、スクリードリフト機能をアスファルトフィニッシャの外部からリモート操作で実現可能な場合には、操作部60のスクリードリフトスイッチ62は、省略されてもよい。また、エンジン14Eをアスファルトフィニッシャ100の外部からリモート操作で稼働停止させることができる場合やエンジン14Eを停止させずにアスファルトフィニッシャ100を駐機させる場合、操作部60のエンジンスイッチ64は、省略されてもよい。
[作用]
次に、本実施形態に係るアスファルトフィニッシャ100の作用について説明する。
本実施形態では、アスファルトフィニッシャ100は、降車中のユーザからの要求に応じて、スクリード3を上下に移動させることが可能に構成される。具体的には、アスファルトフィニッシャ100は、トラクタ1の後部、又はスクリード3に設けられ、スクリード3を上下に移動させるための操作部60を備える。
これにより、ユーザ(オペレータ)は、アスファルトフィニッシャ100への乗車時に、地上にいる状態で、リフトアップ状態のスクリード3を下げさせることができる。また、ユーザ(オペレータ)は、アスファルトフィニッシャ100からの降車時に、スクリード3が下がった状態(通常状態)でスクリード3から地上に降り、地上にいる状態で、スクリード3をリフトアップ状態に戻すことができる。そのため、アスファルトフィニッシャ100は、スクリード3と路盤との接触によるスクリード3や路盤の傷付きを抑制しつつ、オペレータの乗降性を向上させることができる。
また、本実施形態では、操作部60は、スクリード3を上下に移動させるためのスクリードリフトスイッチ62と、アスファルトフィニッシャ100の動力源としてのエンジン14Eを起動させるためのエンジンスイッチ64とを含んでよい。
これにより、ユーザ(オペレータ)は、アスファルトフィニッシャ100への乗車時に、エンジンスイッチ64をON操作し、稼働停止状態のエンジン14Eを始動させることで、スクリードリフト機能を有効にすることができる。また、ユーザ(オペレータ)は、アスファルトフィニッシャ100からの降車時に、スクリードリフト機能によって、スクリード3を下ろして地上に降りた後に、スクリード3をリフトアップ状態に戻して、最後に、エンジン14Eを停止させることができる。そのため、ユーザの利便性を向上させることができる。
また、本実施形態では、アスファルトフィニッシャ100は、被駆動部を駆動する駆動部F1~F4,F6がON状態のままで自機が稼働停止されている場合、エンジン14Eを始動させないようにしてよい。具体的には、アスファルトフィニッシャ100は、上述の如く、駆動部F1~F4,F6の少なくとも一つがON状態のままで、自機が稼働停止された場合、エンジンスイッチ58,64が操作されても、エンジン14Eを始動させない。また、アスファルトフィニッシャ100は、被駆動部を駆動する駆動部F1~F4,F6の動作が有効な状態のままで自機が稼働停止されている場合、エンジン14Eが始動しても、被駆動部を動作させないようにしてよい。具体的には、アスファルトフィニッシャ100は、上述の如く、駆動部F1~F4,F6の少なくとも一つがON状態のままで、自機が稼働停止された場合、エンジンスイッチ58,64の操作に応じてエンジン14Eを始動させても、被駆動部を動作させないようにしてよい。
これにより、アスファルトフィニッシャ100は、ユーザ(オペレータ)の乗車時に、エンジン14Eが始動され、ON状態を維持したままの駆動部の駆動動作によって、被駆動部が急に動作してしまうような事態を抑制することができる。そのため、アスファルトフィニッシャ100は、ユーザ(オペレータ)の乗車時における安全性を向上させることができる。
また、アスファルトフィニッシャ100は、外部からのリモート操作(遠隔操作)により、スクリード3を上下に移動させることが可能に構成されてもよい。具体的には、アスファルトフィニッシャ100(スクリードリフト制御部50A)は、外部から入力される、スクリード3を持ち上げるための制御指令(アップ要求信号)に応じて、スクリード3を持ち上げて、通常状態からリフトアップ状態に移行させてよい。同様に、アスファルトフィニッシャ100(スクリードリフト制御部50A)は、外部から入力される、スクリード3を下げるための制御指令(ダウン要求信号)に応じて、スクリード3を下げて、リフトアップ状態から通常状態に移行させてよい。
これにより、ユーザ(オペレータ)は、アスファルトフィニッシャ100への乗車時に、地上にいる状態で、リフトアップ状態のスクリード3を下げさせることができる。また、ユーザ(オペレータ)は、アスファルトフィニッシャ100からの降車時に、スクリード3が下がった状態(通常状態)でスクリード3から地上に降り、地上にいる状態で、スクリード3をリフトアップ状態に戻すことができる。そのため、アスファルトフィニッシャ100は、スクリード3と路盤との接触によるスクリード3や路盤の傷付きを抑制しつつ、オペレータの乗降性を向上させることができる。
また、アスファルトフィニッシャ100(エンジン制御部50B)は、外部からのリモート操作(遠隔操作)により、外部からの入力される指令(始動要求信号)に応じて、エンジン14Eを始動させてもよい。
これにより、ユーザ(オペレータ)は、例えば、アスファルトフィニッシャ100への乗車時に、リモート操作により、稼働停止状態のエンジン14Eを始動させることで、スクリードリフト機能を有効にすることができる。また、ユーザ(オペレータ)は、例えば、アスファルトフィニッシャ100からの降車時に、スクリードリフト機能によって、スクリード3を下ろして地上に降り、スクリード3をリフトアップ状態に戻して、最後に、リモート操作でエンジン14Eを停止させることができる。そのため、ユーザの利便性を向上させることができる。
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。