(5. 詳細な説明)
(5.1 化合物(I-S)の塩及び固体形態並びにそれらの合成)
化合物(I-S)は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-l-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンの(S)立体異性体である。ラセミ体3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-l-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンの調製方法は、米国特許公報第2011/0196150号に報告されており、これはその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。化合物(I-S)は、下記構造を有する:
化合物(I-S)の塩が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、化合物(I-S)は、H-Xの塩であり、ここでXは、F、Cl、Br、I、RSO3、又はRCO2であり、ここでRは、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、又はヒドロキシである。一部の実施態様において、化合物(I-S)は、酒石酸塩、例えばD若しくはL、又はヘミ-酒石酸塩である。一部の実施態様において、この塩は、塩酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、(+)カンファースルホン酸の塩、D-酒石酸又はL-酒石酸の塩である。一部の実施態様において、この塩は、炭酸塩又は硫酸塩である。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、これらの酸は、化合物(I-S)のモルホリン環上の窒素の塩基性窒素と会合されている。
また化合物(I-S)の固体形態及び化合物(I-S)の塩も、本明細書において提供される。一部の実施態様において、固体形態は、無水物、水和物、又は溶媒和物である。一部の実施態様において、溶媒和物は、テトラヒドロフラン又はジメチルスルホキシドの溶媒和物である。
本明細書で使用されるように、及び別途規定されない限り、「固体形態」という用語及び関連用語は、主として液体状態でも気体状態でもない物理的形態を指す。固体形態は、結晶性、非晶質、又はそれらの混合物であってよい。特定の実施態様において、固体形態は、液晶であってよい。
一部の実施態様において、化合物(I-S)は、単成分又は多成分固体形態である。化合物(I-S)を含む「単成分」固体形態は、化合物(I-S)から本質的になる。化合物(I-S)を含む「多成分」固体形態は、相当な量の1以上の追加の種、例えばイオン及び/又は分子を、該固体形態内に含む。例えば特定の実施態様において、化合物(I-S)を含む結晶性多成分固体形態は、結晶格子中の定位置で非共有結合している1以上の種をさらに含む。一実施態様において、本明細書に提供される多成分固体形態は、共晶である。
本明細書で使用されるように、及び別途規定されない限り、本明細書で使用される「結晶性」という用語及び関連用語は、物質、修飾、材料、成分、又は生成物を説明するために使用される場合、別途規定されない限り、該物質、修飾、材料、成分、又は生成物が、X線回折により決定されたとき、実質的に結晶性であることを意味する。例えば、「レミントン:薬学の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版、Lippincott-Williams and Wilkins社、ボルチモア, MD (2005);米国薬局方(USP)、第23版、1843-1844 (1995)を参照されたい。
本明細書で使用されるように、及び別途規定されない限り、本明細書中の「結晶形態」という用語及び関連用語は、結晶性である固体形態を指す。結晶形態には、単成分結晶形態及び多成分結晶形態が含まれ、かつ多形、溶媒和物、水和物、及び他の分子複合体、並びに塩、塩の溶媒和物、塩の水和物、塩の他の分子複合体、及びそれらの多形が含まれるが、これらに限定されない。ある実施態様において、物質の結晶形態は、非晶質形態及び/又は他の結晶形態を実質的に含まなくてもよい。ある実施態様において、物質の結晶形態は、重量ベースで約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%未満の1以上の非晶質形態及び/又は他の結晶形態を含み得る。ある実施態様において、物質の結晶形態は、物理的に及び/又は化学的に純粋であり得る。ある実施態様において、物質の結晶形態は、約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、又は90%物理的に及び/又は化学的に純粋であり得る。
同じく、化合物(I-S)の様々な塩の多形が、本明細書において提供される。本明細書で使用されるように、及び別途規定されない限り、本明細書中の「多形」、「多形形態」という用語及び関連用語は、同じ分子(単数)、分子(複数)、又はイオンから本質的になる2以上の結晶形態を指す。異なる結晶形態と同様、異なる多形は、結晶格子中の分子及び/又はイオンの配置又は立体配座の結果として、例えば、融点、融解熱、溶解度、溶解速度、及び/又は振動スペクトルなどの異なる物理的特性を有し得る。物理的特性の違いは、貯蔵安定性、圧縮性及び密度(製剤化及び製品製造において重要)、並びに溶解速度(バイオアベイラビリティにおける重要な因子)などの医薬パラメータに影響を及ぼし得る。安定性の違いは、化学反応性の変化(例えば、剤形が、ある多形から構成される場合に、別の多形から構成される場合よりも急速に変色するような、示差酸化)もしくは機械的変化(例えば、錠剤は、貯蔵時に、動力学的に有利な多形が熱力学的により安定な多形に変換するにつれて崩壊する)、又はその両方(例えば、ある多形の錠剤は、高湿度でより分解しやすい)に起因することがある。溶解度/溶解性の違いの結果として、極端な場合、固体状態転移は、効力の欠如をもたらし、又は別の極端な場合には、毒性をもたらすこともある。さらに、物理的特性は、加工において重要である場合がある(例えば、ある多形は、溶媒和物を形成する可能性がより高い場合があるか、又は不純物なく濾過及び洗浄することが難しい場合があり、かつ粒子形状及び粒径分布は、多形間で異なる場合がある)。
本明細書で使用されるように、及び別途規定されない限り、用語「溶媒和物」及び「溶媒和される」は、溶媒を含む物質の結晶形態を指す。用語「水和物」及び「水和される」は、溶媒が水を含む溶媒和物を指す。「溶媒和物の多形」は、特定の溶媒和物組成に関して、2種以上の結晶形態の存在を指す。同様に、「水和物の多形」は、特定の水和物組成に関して、2種以上の結晶形態の存在を指す。本明細書で使用される用語「脱溶媒和された溶媒和物」は、溶媒和物から溶媒を除去することにより調製することができる物質の結晶形態を指す。
本明細書で使用されるように、及び別途規定されない限り、用語「非晶質」、「非晶質形態」及び本明細書で使用される関連用語は、問題の物質、成分又は生成物が、X線回折により決定されたとき、実質的に結晶性でないことを意味する。特に、用語「非晶質形態」は、無秩序な固体形態、すなわち、長い範囲の結晶秩序を欠いている固体形態を説明する。ある実施態様において、物質の非晶質形態は、他の非晶質形態及び/又は結晶形態を実質的に含まないことができる。他の実施態様において、物質の非晶質形態は、重量ベースで約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%未満の1以上の他の非晶質形態及び/又は他の結晶形態を含有し得る。ある実施態様において、物質の非晶質形態は、物理的に及び/又は化学的に純粋であり得る。ある実施態様において、物質の非晶質形態は、約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、又は90%物理的に及び/又は化学的に純粋であり得る。
結晶形態及び非晶質形態の特徴決定の技術は、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)、X線粉末回折法(XRPD)、単結晶X線回折法、振動分光法、例えば、赤外線(IR)及びラマン分光法、固体状態及び液体核磁気共鳴(NMR)分光法、光学顕微鏡法、ホットステージ光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法(SEM)、電子線結晶学及び定量分析、粒径分析(PSA)、表面積分析、溶解度測定、溶解測定、元素分析及びカールフィッシャー分析を含むが、これらに限定されるものではない。特徴的単位格子パラメータは、非限定的に、単結晶回折及び粉末回折を含む、X線回折及び中性子回折などの、1以上の技術を用いて、決定することができる。粉末回折データの解析に有用な技術は、例えば2種以上の固相を含む試料中の単相に関連した回折ピークを分析するために使用することができる、リートベルト精密化などの、プロファイルの精密化を含む。粉末回折データの解析に有用な他の方法は、当業者が、結晶性粉末を含む試料から単位格子パラメータを決定することを可能にする、単位格子指標付けを含む。
本明細書で使用されるように、及び別途規定されない限りは、用語「約」及び「およそ」は、例として、例えば、融解、脱水、脱溶媒和又はガラス転移温度を説明するものなどの、具体的温度又は温度範囲;例えば温度又は湿度の関数としての質量変化などの、質量変化;例えば質量又は割合に換算した溶媒又は水の含量;あるいは例えば、IR又はラマン分光法又はXRPDによる分析などにおける、ピーク位置:などの特定の固体形態を特徴付けるために提供される数値又は値の範囲に結びつけて使用される場合は、この値又は値の範囲は、依然特定の固体形態を説明している限りは、当業者に妥当と思われる程度に逸脱してよいことを指摘している。例えば特定の実施態様において、用語「約」及び「およそ」は、この文脈において使用される場合、数値又は値の範囲が、列記された値又は値の範囲の25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.5%、又は0.25%以内で変動し得ることを指摘している。本明細書で使用されるように、数値又は値の範囲の前のチルド(すなわち「〜」)は、「約」及び「およそ」を指摘している。
一部の実施態様において、本明細書で説明される固体形態、例えば結晶形態又は非晶質形態は、実質的に純粋であり、すなわち、1以上の他の固体形態及び/又は他の化合物を、約25重量%、20重量%、15重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.75重量%、0.5重量%、0.25重量%又は0.1重量%未満含有し、他の固体形態及び/又は他の化学化合物を実質的に含まない。
固体形態は、本明細書に記載の結晶形態など、特定の固体形態に特有である、個別の物理的特性評価データを示すことができる。これらの特性評価データは、例えば、X線粉末回折、示差走査熱量測定、熱重量分析、及び核磁気共鳴分光法を含む、当業者に公知の様々な技術により得ることができる。これらの技術により提供されるデータは、特定の固体形態を同定するために使用することができる。当業者は、これらの特性評価技術の一つを実行することにより、及び得られたデータが、特定の固体形態に特徴的であると同定される本明細書に提供される参照データと「マッチする」かどうかを決定することにより、固体形態は、本明細書に記載の形態の一つであるかどうかを決定することができる。参照固体形態のデータと「マッチする」特性評価データは、参照固体形態と同じ固体形態に相当すると当業者により理解される。データが「マッチする」かどうかの分析において、当業者は、特定の特性評価データ点は、例えば、実験誤差及び通常の試料毎の分析のために、所与の固体形態を説明しつつも、妥当な程度変動し得ることを理解している。
本明細書に提供される固体形態は、結晶性、非晶質、又は中間形態であることができる。従って本明細書記載の結晶形態は、変動する結晶化度又は格子秩序を有することができる。本明細書記載の固体形態は、いずれか特定の結晶化度又は格子秩序に限定されず、0〜100%の結晶性であることができる。この結晶化度を決定する方法は、Suryanarayanan, R.の文献(「X線粉末回折、医薬塩の物理的特性評価(X-Ray Power Diffractometry, Physical Characterization of Pharmaceutical Salts,)」、H.G. Brittain編集, Mercel Dekkter社, マレーヒル, N.J., 1995, pp. 187-199)において説明された方法などが、当業者に公知であり、この文献はその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。一部の実施態様において、本明細書記載の固体形態は、約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%結晶である。
(i)遊離塩基無水物
化合物(I-S)の無水物が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本無水物は、化合物(I-S)及びアセトニトリルの混合物を加熱することにより得られる。一部の実施態様において、本無水物は、化合物(I-S)及びアセトニトリルの混合物を約40℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却することにより得られる。一部の実施態様において、本無水物は、化合物(I-S)及びアセトニトリルの混合物を約40℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却し、且つ濾過により無水物を分離することにより得られる。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、本無水物は、下記式を有する:
化合物(I-S)の無水物の代表的なXRPDパターンは、図1に提供されている。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:4.76、7.15、8.72、12.10、14.31、14.96、19.06、及び26.11度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)を含む固体形態が、本明細書において提供される。一実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。別の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。別の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ4.76、8.72、14.31、及び14.96度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ7.15、12.10、19.06、及び26.11度の2θにピークを含む。一部の実施態様において、本固体形態は、4.76、7.15、8.72、12.10、14.31、14.96、19.06、及び26.11度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図1に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本無水物の代表的熱特性は、図2及び図3に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図2に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約133℃及びオンセット温度約127℃で、ピーク温度約155℃で、又はピーク温度約215℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約133℃及びオンセット温度約127℃で、ピーク温度約155℃で、並びにピーク温度約215℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、ピーク温度約133℃を伴う事象は、融解に対応している。ある実施態様において、ピーク温度約155℃を伴う事象は、エピマー化及び結晶化に対応している。ある実施態様において、ピーク温度約215℃を伴う事象は、融解に対応している。一部の実施態様において、固体形態が、図2に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本無水物の代表的な熱重量分析曲線は、図3に提供され、これは、約25℃から約150℃へ加熱する際に、総試料重量の実質的変化を示さない。一部の実施態様において、固体形態が、図3に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本無水物の代表的なDVS等温線プロットが、図4に提供されている。一部の実施態様において、固体形態が、図4に提示されたDVS等温線プロットにマッチするDVS等温線プロットにより特徴付けられた、化合物(I-S)を含む固体形態が、本明細書において提供される。
(ii)遊離塩基水和物
化合物(I-S)の水和物が、本明細書において提供される。さらに、化合物(I-S)及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、化合物(I-S)及び水の混合物を加熱することにより得られる。一部の実施態様において、本固体形態は、化合物(I-S)及び水の混合物を、約50℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却することにより得られる。一部の実施態様において、本固体形態は、化合物(I-S)及び水の混合物を、約50℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却し、且つ濾過により固体形態を分離することにより得られる。一部の実施態様において、化合物(I-S)対水のモル比は、およそ2:1から1:2である。一部の実施態様において、化合物(I-S)対水のモル比は、およそ1:1である。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、本水和物は、下記式を有する:
化合物(I-S)の水和物の代表的なXRPDパターンは、図5に提供されている。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:8.31、11.80、13.42、13.79、15.92、17.15、17.37、18.31、20.41、22.07、25.58、26.00、及び27.14度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの10種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ8.31、11.80、及び17.37度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ13.79、17.15、26.00度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ8.31、11.80、13.42、13.79、15.92、17.15、17.37、18.31、20.41、22.07、25.58、26.00、及び27.14度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図5に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本水和物の代表的熱特性は、図6及び図7に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図6に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約110℃で、ピーク温度約188℃及びオンセット温度約180℃で、又はピーク温度約220℃及びオンセット温度約217℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)及び水を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約110℃で、ピーク温度約188℃及びオンセット温度約180℃で、並びにピーク温度約220℃及びオンセット温度約217℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、固体形態が、図6に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本水和物の代表的な熱重量分析曲線は、図7に提供され、これは、約30℃から約150℃へ加熱する際に、総試料重量の約5.43%の重量減少を示す。一部の実施態様において、固体形態が、図7に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。
(iii)遊離塩基THF溶媒和物
化合物(I-S)のテトラヒドロフラン(THF)溶媒和物が、本明細書において提供される。さらに、化合物(I-S)及びTHFを含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、化合物(I-S)及びTHFの混合物を加熱することにより得られる。一部の実施態様において、本固体形態は、化合物(I-S)及びTHFの混合物を、約40℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却することにより得られる。一部の実施態様において、本固体形態は、化合物(I-S)及びTHFの混合物を、約40℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却し、且つ濾過により本固体形態を分離することにより得られる。一部の実施態様において、化合物(I-S)対THFのモル比は、およそ2:1から1:2である。一部の実施態様において、化合物(I-S)対THFのモル比は、およそ1:1である。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、本溶媒和物は、下記式を有する:
化合物(I-S)のTHF溶媒和物の代表的なXRPDパターンは、図8に提供されている。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:6.03、8.65、10.40、11.80、15.12、17.71、17.90、18.23、18.59、20.49、20.89、22.16、23.24、26.47、及び29.14度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)及びTHFを含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの10種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ11.80、20.89、及び22.16度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)及びTHFを含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ6.03及び18.59度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ6.03、8.65、10.40、11.80、15.12、17.71、17.90、18.23、18.59、20.49、20.89、22.16、23.24、26.47、及び29.14度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図8に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)及びTHFを含む固体形態が、本明細書において提供される。
本溶媒和物の代表的熱特性は、図9及び図10に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図9に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約114℃及びオンセット温度約105℃で、ピーク温度約177℃及びオンセット温度約171℃で、又はピーク温度約219℃及びオンセット温度約219℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)及びTHFを含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約114℃及びオンセット温度約105℃で、ピーク温度約177℃及びオンセット温度約171℃で、並びにピーク温度約219℃及びオンセット温度約219℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)及びTHFを含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、固体形態が、図9に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)及びTHFを含む固体形態が、本明細書において提供される。
本溶媒和物の代表的な熱重量分析曲線は、図10に提供され、これは、約50℃から約175℃へ加熱する際に、総試料重量の約11.51%の重量減少を示す。一部の実施態様において、固体形態が、図10に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)及びTHFを含む固体形態が、本明細書において提供される。
(iv)ベシル酸塩
化合物(I-S)のベシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、化合物(II)、溶媒、及びベンゼンスルホン酸の混合物を加熱し、引き続き結晶化することにより得られる。
一部の実施態様において、この溶媒は、アセトニトリルである。一部の実施態様において、本固体形態は、(1)化合物(II)、ベンゼンスルホン酸、及びアセトニトリルの混合物を、約82℃まで加熱する工程、並びに(2)結晶化工程により得られる。一部の実施態様において、本固体形態は、濾過により分離される。
一部の実施態様において、本固体形態中の化合物(I-S)対ベンゼンスルホン酸のモル比は、およそ2:1から1:2である。一部の実施態様において、このモル比は、およそ1:1である。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、本ベシル酸塩は、下記式を有する:
ベシル酸塩化合物(I-S)の代表的なXRPDパターンは、図11に提供されている。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:7.06、7.69、9.51、9.99、15.48、15.92、16.42、18.28、19.07、20.36、20.71、21.34、21.66、22.33、22.52、23.60、23.96、24.31、24.44、25.14、25.32、26.02、27.58、27.99、28.36、及び29.82度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所、16箇所、17箇所、18箇所、19箇所、20箇所、21箇所、22箇所、23箇所、24箇所、25箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のベシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの9種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの11種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの15種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの17種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ19.07、20.71、及び23.96度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のベシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ15.48及び15.92度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ7.06、7.69、9.51、9.99、15.48、15.92、16.42、18.28、19.07、20.36、20.71、21.34、21.66、22.33、22.52、23.60、23.96、24.31、24.44、25.14、25.32、26.02、27.58、27.99、28.36、及び29.82度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図11に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のベシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本ベシル酸塩の代表的熱特性は、図12及び図13に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図12に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約220℃及びオンセット温度約211℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のベシル酸塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、固体形態が、図12に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のベシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本化合物(I-S)のベシル酸塩の代表的な熱重量分析曲線は、図13に提供され、これは、約30℃から約125℃へ加熱する際に、総試料重量の実質的変化を示さない。一部の実施態様において、固体形態が、図13に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のベシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
化合物(I-S)のベシル酸塩の代表的なDVS等温線プロットは、図14に提供されている。一部の実施態様において、固体形態が、図14に提示されたDVS等温線プロットにマッチするDVS等温線プロットにより特徴付けられている、化合物(I-S)のベシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
化合物(I-S)のベシル酸塩の代表的な1H-NMRスペクトルは、図15に提供されている。一部の実施態様において、固体形態が、図15に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のベシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
(V)ベシル酸塩DMSO溶媒和物
化合物(I-S)のベシル酸塩のDMSO溶媒和物を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、本固体形態は、化合物(I-S)のベシル酸塩を、DMSO及び溶媒中で接触させることにより得られる。一部の実施態様において、この溶媒は、酢酸エチルである。
一部の実施態様において、本固体形態中の化合物(I-S)対ベンゼンスルホン酸のモル比は、およそ2:1から1:2である。一部の実施態様において、このモル比は、およそ1:1である。
一部の実施態様において、本固体形態中の化合物(I-S)対DMSOのモル比は、およそ2:1から1:2である。一部の実施態様において、このモル比は、およそ1:1である。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、本溶媒和物は、下記式を有する:
本溶媒和物の代表的なXRPDパターンは、図16に提供されている。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:7.31、12.17、14.94、16.02、16.58、16.88、18.14、20.02、21.10、22.68、23.04、24.22、24.49、24.99、26.70、及び28.52度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のベシル酸塩のDMSO溶媒和物を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの9種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの11種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ16.88、18.14、及び20.02度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のベシル酸塩のDMSO溶媒和物を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ7.31及び24.49度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ7.31、12.17、14.94、16.02、16.58、16.88、18.14、20.02、21.10、22.68、23.04、24.22、24.49、24.99、26.70、及び28.52度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図26に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のベシル酸塩のDMSO溶媒和物を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本DMSO溶媒和物の代表的熱特性は、図17及び図18に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図17に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約146℃及びオンセット温度約143℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のベシル酸塩のDMSO溶媒和物を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、固体形態が、図17に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のベシル酸塩のDMSO溶媒和物を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本化合物(I-S)のベシル酸塩のDMSO溶媒和物の代表的な熱重量分析曲線は、図18に提供され、これは、約15℃から約110℃へ加熱する際に、総試料重量の実質的変化を示さない。一部の実施態様において、固体形態が、図18に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のベシル酸塩のDMSO溶媒和物を含む固体形態が、本明細書において提供される。
化合物(I-S)のベシル酸塩のDMSO溶媒和物の代表的な1H-NMRスペクトルは、図19に提供されている。一部の実施態様において、固体形態が、図19に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のベシル酸塩のDMSO溶媒和物を含む固体形態が、本明細書において提供される。
(vi)D-酒石酸塩
化合物(I-S)のD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、本固体形態は、化合物(I-S)の、D-酒石酸及び溶媒との混合物を加熱することにより得られる。一部の実施態様において、この溶媒は、アセトニトリルである。一部の実施態様において、この混合物は、約70℃まで加熱される。一部の実施態様において、溶媒はアセトニトリルであり、且つ混合物は、約70℃で約5時間加熱され、その後約50℃で約14時間維持され、引き続き冷却される。一部の実施態様において、本固体形態は、濾過により分離される。
一部の実施態様において、このモル比は、およそ1:1である。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、本酒石酸塩は、下記式を有する:
本酒石酸塩の代表的なXRPDパターンは、図20に提供されている。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:6.84、17.00、18.01、19.25、19.73、20.51、21.25、21.67、及び25.86度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ17.00、19.73、及び25.86度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ19.25及び21.25度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ6.84、17.00、18.01、19.25、19.73、20.51、21.25、21.67、及び25.86度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図20に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本D-酒石酸塩の代表的熱特性は、図21A及び図21Bに提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図21Aに提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約181℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、固体形態が、図21Aに提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本D-酒石酸塩の代表的な熱重量分析曲線は、図21Bに提供され、これは、約140℃から約250℃へ加熱する際に、総試料重量の約28.91%の重量減少を示す。一部の実施態様において、固体形態が、図21Bに提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
化合物(I-S)のD-酒石酸塩の代表的な1H-NMRスペクトルは、図22に提供されている。一部の実施態様において、固体形態が、図22に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
(vii)ヘミD-酒石酸塩
化合物(I-S)のヘミD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、本固体形態は、化合物(I-S)の、D-酒石酸及び溶媒との混合物を加熱することにより得られる。一部の実施態様において、この溶媒は、アセトニトリルである。一部の実施態様において、この混合物は、約60℃まで加熱される。一部の実施態様において、溶媒はアセトニトリルであり、且つ混合物は、約60℃で約1時間加熱され、その後約75℃で約1時間維持され、引き続き冷却される。一部の実施態様において、本固体形態は、濾過により分離される。
一部の実施態様において、本固体形態中の化合物(I-S)対酒石酸のモル比は、およそ2:1である。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、本ヘミ酒石酸塩は、下記式を有する:
本ヘミ酒石酸塩の代表的なXRPDパターンは、図23に提供されている。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:6.21、6.47、9.94、12.32、12.91、16.32、16.64、17.73、19.09、19.78、19.88、21.32、24.60、25.89、26.00、及び27.54度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のヘミD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの9種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの11種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ6.21、12.91、及び16.32度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のヘミD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ12.32及び19.09度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ66.21、6.47、9.94、12.32、12.91、16.32、16.64、17.73、19.09、19.78、19.88、21.32、24.60、25.89、26.00、及び27.54度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図23に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のヘミD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本ヘミD-酒石酸塩の代表的熱特性は、図24A及び図24Bに提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図24Aに提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約111℃で、又はピーク温度約169℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のヘミD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約111℃で、及びピーク温度約169℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のヘミD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、固体形態が、図24Aに提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のヘミD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本ヘミD-酒石酸塩の代表的な熱重量分析曲線は、図24Bに提供され、これは、約20℃から約150℃へ加熱する際に、総試料重量の約4.60%の重量減少を示す。一部の実施態様において、固体形態が、図24Bに提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のヘミD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本ヘミD-酒石酸塩の代表的な1H-NMRスペクトルは、図25に提供されている。一部の実施態様において、固体形態が、図25に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のヘミD-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
(viii)L-酒石酸塩
化合物(I-S)のL-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、本固体形態は、化合物(I-S)の、L-酒石酸及び溶媒との混合物を加熱することにより得られる。一部の実施態様において、この溶媒は、2-プロパノールである。一部の実施態様において、この混合物は、約50℃まで加熱される。一部の実施態様において、本固体形態は、濾過により分離される。
一部の実施態様において、化合物(I-S)対L-酒石酸のモル比は、およそ1:1である。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、本酒石酸塩は、下記式を有する:
本酒石酸塩の代表的なXRPDパターンは、図26に提供されている。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:6.27、7.21、10.90、11.97、14.41、15.32、17.08、17.75、18.79、20.82、23.40、及び25.28度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のL-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの9種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ6.27、10.90、及び15.32度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のL-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ11.97、14.41、及び17.08度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、6.27、7.21、10.90、11.97、14.41、15.32、17.08、17.75、18.79、20.82、23.40、及び25.28度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図26に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のL-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本L-酒石酸塩の代表的熱特性は、図27A及び図27Bに提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図27Aに提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約114℃で、又はピーク温度約123℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のL-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約114℃で、及びピーク温度約123℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のL-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、固体形態が、図27Aに提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のL-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本L-酒石酸塩の代表的な熱重量分析曲線は、図27Bに提供され、これは、約25℃から約125℃へ加熱する際に、総試料重量の約3.76%の重量減少を示す。一部の実施態様において、固体形態が、図27Bに提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のL-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
化合物(I-S)のL-酒石酸塩の代表的な1H-NMRスペクトルは、図28に提供されている。一部の実施態様において、固体形態が、図28に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のL-酒石酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
(ix)トシル酸塩
化合物(I-S)のトシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、本固体形態は、化合物(I-S)、溶媒及びp-トルエンスルホン酸水和物の混合物を加熱することにより得られる。一部の実施態様において、この溶媒は、アセトニトリルである。一部の実施態様において、本固体形態は、(1)アセトニトリル、化合物(I-S)、及びp-トルエンスルホン酸水和物の混合物を、70℃で約1.5時間加熱する工程;(2)引き続き温度約50℃で約5時間維持する工程;並びに、(3)最後に、温度約20℃で約15時間維持する工程:により得られる。一部の実施態様において、本固体形態は、濾過により分離される。
一部の実施態様において、固体形態中の化合物(I-S)対p-トルエンスルホン酸のモル比は、およそ2:1から1:2である。一部の実施態様において、このモル比は、およそ1:1である。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、本ベシル酸塩は、下記式を有する:
本化合物(I-S)のトシル酸塩の代表的なXRPDパターンは、図29に提供されている。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:7.41、9.22、9.77、15.41、18.70、18.84、19.25、20.66、20.89、21.98、22.37、22.97、23.83、24.36、24.89、25.29、25.55、27.69、及び28.08度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所、16箇所、17箇所、18箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のトシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの9種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの11種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの15種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの17種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ9.77、15.41、及び19.25度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のトシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ7.41及び22.97度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ77.41、9.22、9.77、15.41、18.70、18.84、19.25、20.66、20.89、21.98、22.37、22.97、23.83、24.36、24.89、25.29、25.55、27.69、及び28.08度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図29に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のトシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本トシル酸塩の代表的熱特性は、図30A及び図30Bに提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図30Aに提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約242℃及びオンセット温度約237℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のトシル酸塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、固体形態が、図30Aに提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のトシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本トシル酸塩の代表的な熱重量分析曲線は、図30Bに提供され、これは、約25℃から約150℃へ加熱する際に、総試料重量の実質的変化を示さない。一部の実施態様において、固体形態が、図30Bに提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のトシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本トシル酸塩の代表的な1H-NMRスペクトルは、図31に提供されている。一部の実施態様において、固体形態が、図31に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のトシル酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
(x)(+)カンファースルホン酸
化合物(I-S)の(+)カンファースルホン酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、本固体形態は、化合物(I-S)、溶媒、及び(+)カンファースルホネートの混合物を加熱することにより得られる。
一部の実施態様において、この溶媒は、酢酸エチルである。一部の実施態様において、本固体形態は、(1)化合物(II)、(+)カンファースルホネート、及び酢酸エチルの混合物を、約28時間還流し、且つ水を除去する工程により得られる。一部の実施態様において、水は、ディーンスターク装置により除去される。
一部の実施態様において、固体形態中の化合物(I-S)対(+)カンファースルホン酸のモル比は、およそ2:1から1:2である。一部の実施態様において、このモル比は、およそ1:1である。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、本(+)カンファースルホン酸塩は、下記式を有する:
本化合物(I-S)の(+)カンファースルホン酸塩の代表的なXRPDパターンは、図32に提供されている。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:5.61、9.05、11.12、13.97、14.61、15.34、16.12、16.35、16.82、17.20、17.52、18.67、20.92、21.53、26.40、及び27.34度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)の(+)カンファースルホン酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの9種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの11種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ9.05、14.61、及び16.82度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)の(+)カンファースルホン酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ13.97、15.34、及び16.35度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ5.61、9.05、11.12、13.97、14.61、15.34、16.12、16.35、16.82、17.20、17.52、18.67、20.92、21.53、26.40、及び27.34度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図32に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)の(+)カンファースルホン酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本(+)カンファースルホン酸塩の代表的熱特性は、図33及び図34に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図33に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約195℃及びオンセット温度約181℃で、又はピーク温度約251℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)の(+)カンファースルホン酸塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約195℃及びオンセット温度約181℃で、並びにピーク温度約251℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)の(+)カンファースルホン酸塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、固体形態が、図33に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)の(+)カンファースルホン酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本化合物(I-S)の(+)カンファースルホン酸塩の代表的な熱重量分析曲線は、図34に提供され、これは、約25℃から約150℃へ加熱する際に、総試料重量の約1.79%の重量減少を示す。一部の実施態様において、固体形態が、図34に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)の(+)カンファースルホン酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
化合物(I-S)の(+)カンファースルホン酸塩の代表的な1H-NMRスペクトルは、図35に提供されている。一部の実施態様において、固体形態が、図35に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)の(+)カンファースルホン酸塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
(5.2 化合物(I-S)HCl塩の様々な固体形態及びそれらの合成)
化合物(I-S)のHCl塩の固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、結晶性である。一部の実施態様において、固体形態は、水和物、無水物、又は溶媒和物である。化合物(I-S)のHCl塩のある種の固体形態は、先に説明されている。
化合物(I-S)のHCl塩の様々な多形形態が、本明細書に提供される。
(i)形態A
化合物(I-S)のHCl塩の形態A結晶形態が、本明細書において提供される。
形態Aの代表的なXRPDパターンは、図36に提供されている。一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:9.69、12.82、15.09、15.94、16.76、17.65、19.44、19.80、22.30、22.47、22.95、23.02、24.29、24.48、24.70、26.27、26.77、27.60、29.43、29.72、及び32.91度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所、16箇所、17箇所、18箇所、19箇所、20箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの10種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの15種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ15.09、15.94、及び22.30度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ17.65、22.47、及び26.77度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ9.69、12.82、15.09、15.94、16.76、17.65、19.44、19.80、22.30、22.47、22.95、23.02、24.29、24.48、24.70、26.27、26.77、27.60、29.43、29.72、及び32.91度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図36に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態A結晶形態は、不規則なロッド状の晶癖を有する。代表的な晶癖は、図37に提示されている。
本化合物(I-S)のHCl塩の形態A結晶形態の代表的熱特性は、図38及び図39に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図38に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約261℃及びオンセット温度約256℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、この事象は、融解及び/又は分解に対応している。一部の実施態様において、固体形態が、図38に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本形態Aの代表的な熱重量分析曲線は、図39に提供され、これは、約25℃から約120℃へ加熱する際に、総試料重量の約0.16%の重量減少を示す。ある実施態様において、固体形態が、図39に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
形態A結晶形態の代表的な1H-NMRスペクトルは、図40に提供されている。ある実施態様において、固体形態が、図40に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
代表的なDVS等温線プロットが、図41に提供されている。ある実施態様において、固体形態が、図41に提示されたDVS等温線プロットにマッチするDVS等温線プロットにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、約1.8%の質量変化が、相対湿度(RH)0%と95%の間で生じる。形態A結晶形態が吸着/脱離サイクルを受ける前及び後の形態A結晶形態の代表的XRPDパターンは、図42に提示されている。一実施態様において、形態A結晶は、それが吸着/脱離サイクルを受けた後に、形態A結晶として残存する。
一部の実施態様において、形態A結晶形態は、2000psiの約1分間の加圧後、形態A結晶形態として残存する。2000psiの約1分間の加圧後の形態Aの代表的なXRPDパターンは、図43に提示されている。一実施態様において、形態A結晶形態は、2000psiの約1分間の加圧後、形態A結晶形態として残存する。
一部の実施態様において、形態A結晶形態は、無水物である。
形態A結晶形態の更なる特性は、実施例の項に提供される。
(ii)形態B
化合物(I-S)のHCl塩の形態B結晶形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態B結晶形態は、形態A結晶形態のMeOH中での再結晶により得られる。
形態Bの代表的なXRPDパターンは、図44に提供されている。一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:7.11、7.87、9.93、11.48、13.90、14.20、15.71、20.71、20.96、21.36、23.61、26.68、27.69、27.76、28.05、及び31.63度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの10種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ7.11、14.20、及び20.71度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ9.93及び21.36度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ7.11、7.87、9.93、11.48、13.90、14.20、15.71、20.71、20.96、21.36、23.61、26.68、27.69、27.76、28.05、及び31.63度の2θにピークを含む。
ある実施態様において、固体形態が図44に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態B結晶形態は、不規則なロッド状の晶癖を有する。代表的な晶癖は、図45に提示されている。
本化合物(I-S)のHCl塩の形態B結晶形態の代表的熱特性は、図46及び図47に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図46に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約174℃及びオンセット温度約170℃で、又はピーク温度約250℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約174℃及びオンセット温度約170℃で、並びにピーク温度約250℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、ピーク温度約174℃でのこの事象は、融解に対応し、且つピーク温度約250℃でのこの事象は、分解に対応している。ある実施態様において、固体形態が、図46に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本形態Bの代表的な熱重量分析曲線は、図47に提供され、これは、約25℃から約125℃へ加熱する際に、総試料重量の約7.60%の重量減少を示す。ある実施態様において、固体形態が、図47に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、この重量減少は、水及び/又は溶媒の喪失に対応している。
形態B結晶形態の代表的な1H-NMRスペクトルは、図48に提供されている。ある実施態様において、固体形態が、図48に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態B結晶形態は、化合物(I-S)のHCl塩の水和物である。
一部の実施態様において、形態B結晶形態は、周囲環境貯蔵に供された後、図49に提示されたXRPD回折パターンを示す。一実施態様において、形態B結晶形態は、周囲環境貯蔵に供された後、形態A結晶形態へ変換する。
形態B結晶形態の更なる特性は、実施例の項に提供される。
(iii)形態C
化合物(I-S)のHCl塩の形態C結晶形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態C結晶形態は、化合物(I-S)のHCl塩の、DMSO/n-BuOH、DMSO/MTBE、又はDMSO BuOAC中での再結晶により得られる。
形態Cの代表的なXRPDパターンは、図50に提供されている。一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:6.55、7.65、9.09、13.14、13.37、19.62、19.80、22.40、及び23.32度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ6.55、13.14、及び13.37度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ9.09、19.62、及び19.80度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ6.55、7.65、9.09、13.14、13.37、19.62、19.80、22.40、及び23.32度の2θにピークを含む。
ある実施態様において、固体形態が図50に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態C結晶形態は、不規則な晶癖を有する。代表的な晶癖は、図51に提示されている。
本化合物(I-S)のHCl塩の形態C結晶形態の代表的熱特性は、図52及び図53に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図52に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約142℃で、ピーク温度約147℃で、又はオンセット温度約252℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約142℃で、ピーク温度約147℃で、及びオンセット温度約252℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、オンセット温度約252℃でのこの事象は、融解及び/又は分解に対応している。ある実施態様において、固体形態が、図52に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本形態Cの代表的な熱重量分析曲線は、図53に提供され、これは、約30℃から約80℃へ加熱する際に、総試料重量の1.55%の重量減少を、約80℃から約175℃へ加熱する際に、総試料重量の15.14%の重量減少を示す。ある実施態様において、固体形態が、図53に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、この重量減少は、水及び/又は溶媒の喪失に対応している。
一部の実施態様において、形態C結晶形態は、165℃への加熱に供された後、図54に提示されたXRPD回折パターンを示す。一実施態様において、形態C結晶形態は、165℃への加熱に供された後、形態A結晶形態へ変換する。
形態C結晶形態の代表的な1H-NMRスペクトルは、図55に提供されている。ある実施態様において、固体形態が、図55に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態C結晶形態は、化合物(I-S)のHCl塩のDMSO溶媒和物である。
一部の実施態様において、形態C結晶形態は、例えばDVS装置において、高い湿度、例えば70%より高いRHに曝した時、形態A結晶形態へ変換する。DVS装置において高い湿度に曝される前及び後の形態C結晶形態の代表的XRPD回折パターンは、図56に提示されている。
形態C結晶形態の更なる特性は、実施例の項に提供される。
(iv)形態D
化合物(I-S)のHCl塩の形態D結晶形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態D結晶形態は、MeCN/水(95:5)中の形態Aの平衡化により得られる。
形態Dの代表的なXRPDパターンは、図57に提供されている。一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:6.82、8.07、9.56、12.23、13.52、14.16、14.82、15.71、18.61、18.85、20.27、21.65、22.06、25.00、25.99、27.93、及び28.62度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所、16箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの10種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの15種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ13.52、14.16、及び25.00度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ6.82、8.07、及び15.71度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ6.82、8.07、9.56、12.23、13.52、14.16、14.82、15.71、18.61、18.85、20.27、21.65、22.06、25.00、25.99、27.93、及び28.62度の2θにピークを含む。
ある実施態様において、固体形態が図57に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態D結晶形態は、不規則な晶癖を有する。代表的な晶癖は、図58に提示されている。
本化合物(I-S)のHCl塩の形態D結晶形態の代表的熱特性は、図59及び図60に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図59に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約60℃で、ピーク温度約169℃で、又はピーク温度約252℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約60℃で、ピーク温度約169℃で、及びピーク温度約252℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、ピーク温度約60℃での熱事象は、水及び/又は溶媒喪失に対応し、ピーク温度約169℃での熱事象は、融解に対応し、且つピーク温度約252℃での熱事象は、分解に対応している。ある実施態様において、固体形態が、図59に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本形態Dの代表的な熱重量分析曲線は、図60に提供され、これは、約25℃から約125℃へ加熱する際に、総試料重量の約9.19%の重量減少を示す。ある実施態様において、固体形態が、図60に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、この重量減少は、水及び/又は溶媒の喪失に対応している。
形態D結晶形態の代表的な1H-NMRスペクトルは、図61に提供されている。ある実施態様において、固体形態が、図61に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
代表的なDVS等温線プロットが、図62に提供されている。ある実施態様において、固体形態が、図62に提示されたDVS等温線プロットにマッチするDVS等温線プロットにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、乾燥質量に比べ約11%の質量変化が、相対湿度(RH)50%と80%の間で生じ、吸収時相対湿度80〜90%の間で約12%の質量変化が生じる。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、80〜90%RHの間の質量変化は、固体形態の転移に対応している。
吸着/脱離サイクルを受ける前及び後の形態D結晶形態の代表的XRPDパターンは、図63に提示されている。一実施態様において、形態D結晶形態は、吸着吸着/脱離サイクルを受けた後、形態F結晶形態へ変換する。
一部の実施態様において、形態D結晶形態は、化合物(I-S)のHCl塩の水和物である。
形態D結晶形態の更なる特性は、実施例の項に提供される。
(v)形態E
化合物(I-S)のHCl塩の形態E結晶形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態E結晶形態は、化合物(I-S)、HCl、水、及びアセトニトリルの混合物を約45℃で加熱し、引き続き冷却することにより得られる。一部の実施態様において、形態E結晶形態は、(1)化合物(I-S)、アセトニトリル、及び水の混合物を、約45℃で加熱する工程;(2)この混合物へHClを添加する工程;(3)この混合物を約室温まで冷却し、沈殿を誘導する工程;(4)この混合物を約45℃まで再加熱する工程;並びに、(4)この混合物を約室温まで冷却する工程:を含む方法により得られる。ある実施態様において、形態E結晶形態は、濾過により分離される。
形態Eの代表的なXRPDパターンは、図64に提供されている。一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:8.48、9.82、13.27、13.64、16.05、17.06、17.73、21.96、25.71、26.15、及び28.03度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの9種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ9.82、17.06、及び17.73度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ16.05、25.71、及び26.15度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ8.48、9.82、13.27、13.64、16.05、17.06、17.73、21.96、25.71、26.15、及び28.03度の2θにピークを含む。
ある実施態様において、固体形態が図64に提示されたXRPDパターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態E結晶形態は、不規則な晶癖を有する。代表的な晶癖は、図65に提示されている。
本化合物(I-S)のHCl塩の形態E結晶形態の代表的熱特性は、図66及び図67に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図66に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約111℃で、ピーク温度約185℃で、又はピーク温度約250℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約111℃で、ピーク温度約185℃で、及びピーク温度約250℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、ピーク温度約250℃での熱事象は、融解及び/又は分解に対応している。ある実施態様において、固体形態が、図66に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本形態Eの代表的な熱重量分析曲線は、図67に提供され、これは、約25℃から約120℃へ加熱する際に、総試料重量の約4.49%の重量減少を示す。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、この重量減少は、水の4.2重量%を示しているカールフィッシャー結果に対応している。ある実施態様において、固体形態が、図67に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
形態E結晶形態の代表的な1H-NMRスペクトルは、図68に提供されている。ある実施態様において、固体形態が、図68に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
代表的なDVS等温線プロットが、図69に提供されている。ある実施態様において、固体形態が、図69に提示されたDVS等温線プロットにマッチするDVS等温線プロットにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、乾燥質量に比べ約14%の質量変化が、相対湿度(RH)50%と80%の間で生じる。一部の実施態様において、吸収時相対湿度80〜90%の間で約12%の質量変化が認められる。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、80〜90%RHの間の質量変化は、固体形態の転移に対応している。
吸着/脱離サイクルを受ける前及び後の形態E結晶形態の代表的XRPDパターンは、図70に提示されている。一実施態様において、形態E結晶形態は、吸着/脱離サイクルを受けた後、形態F結晶形態へ変換する。
一部の実施態様において、形態E結晶形態は、IPAスラリー中で形態Aへ変換する。一部の実施態様において、形態E結晶形態は、IPA/水混合物中で形態Fへ変換する。
120℃まで加熱された後にとる形態E結晶形態の代表的なXRPDパターンは、図71に提示されている。一実施態様において、形態E結晶形態は、120℃までの加熱後、形態E結晶形態として残存する。190℃まで加熱後の形態Eの代表的なXRPDパターンは、図72に提示されている。一実施態様において、形態E結晶形態は、190℃まで加熱後、非晶質形態に変換する。
一部の実施態様において、形態E結晶形態は、水和物である。
形態E結晶形態の更なる特性は、実施例の項に提供される。
(vi)形態F
化合物(I-S)のHCl塩の形態F結晶形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態F結晶形態は、化合物(I-S)、HCl、水、及び2-プロパノールの混合物を約40℃で加熱し、引き続き冷却及び結晶化することにより得られる。一部の実施態様において、結晶化は、2-プロパノールの添加により誘導される。ある実施態様において、形態F結晶形態は、濾過により分離される。一部の実施態様において、形態F結晶形態は、IPA/水混合物中の形態Eのスラリー化により得られる。
形態Fの代表的なXRPDパターンは、図73に提供されている。一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:7.10、13.71、14.22、14.94、16.35、19.56、20.87、27.55、28.36、30.10、及び34.81度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの9種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ13.71、14.22、及び20.87度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ7.10、16.35、及び28.36度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ7.10、13.71、14.22、14.94、16.35、19.56、20.87、27.55、28.36、30.10、及び34.81度の2θにピークを含む。
ある実施態様において、固体形態が図73に提示されたXRPD回折パターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態F結晶形態は、不規則なロッド状の晶癖を有する。代表的な晶癖は、図74に提示されている。
本化合物(I-S)のHCl塩の形態F結晶形態の代表的熱特性は、図75及び図76に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図75に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約83℃及びオンセット温度約63℃で、ピーク温度約217℃及びオンセット温度約204℃で、又はピーク温度約250℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約83℃及びオンセット温度約63℃で、ピーク温度約217℃及びオンセット温度約204℃で、並びにピーク温度約250℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。ある実施態様において、固体形態が、図75に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本形態Fの代表的な熱重量分析曲線は、図76に提供され、これは、約30℃から約110℃へ加熱する際に、総試料重量の5.00%の重量減少を示す。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、この重量減少は、水の5.3重量%を示しているカールフィッシャー結果に対応している。ある実施態様において、固体形態が、図76に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
形態F結晶形態の代表的な1H-NMRスペクトルは、図77に提供されている。ある実施態様において、固体形態が、図77に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
代表的なDVS等温線プロットが、図78に提供されている。ある実施態様において、固体形態が、図78に提示されたDVS等温線プロットにマッチするDVS等温線プロットにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、乾燥質量に比べ約6.3%の質量変化が、相対湿度(RH)0%と90%の間で生じる。一部の実施態様において、DVSにより10%〜90%までで決定された水含量は、5.2〜6.3重量%の間で安定され、ある実施態様においてこれは、水およそ1.5〜1.9モル当量に相当している。
吸着/脱離サイクルを受ける前及び後の形態F結晶形態の代表的XRPDパターンは、図79に提示されている。一実施態様において、形態F結晶形態は、吸着/脱離サイクルを受けた後、形態F結晶形態として残存する。
一部の実施態様において、形態F結晶形態は、IPAスラリー中で形態Aへ変換する。
120℃まで加熱された後にとる形態F結晶形態の代表的なXRPDパターンは、図80に提示されている。120℃まで加熱された後にとる形態F結晶形態の代表的なTGAパターンは、図81に提示されている。一実施態様において、形態F結晶形態は、120℃までの加熱後、形態F結晶形態として残存する。
一部の実施態様において、形態F結晶形態は、水和物である。一部の実施態様において、形態F結晶形態は、セスキ水和物である。
形態F結晶形態の更なる特性は、実施例の項に提供される。
(vii)形態G
化合物(I-S)のHCl塩の形態G結晶形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態G結晶形態は、MeOH/MTBE中での形態Aの再結晶により得られる。
形態Gの代表的なXRPDパターンは、図82に提供されている。一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:6.85、7.81、9.56、11.59、13.69、16.30、19.05、20.20、20.60、23.25、23.57、25.26、26.81、26.99、27.51、及び31.57度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの10種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ6.85、20.20、及び20.60度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ9.56、13.69、19.05、及び23.57度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ6.85、7.81、9.56、11.59、13.69、16.30、19.05、20.20、20.60、23.25、23.57、25.26、26.81、26.99、27.51、及び31.57度の2θにピークを含む。
ある実施態様において、固体形態が図82に提示されたXRPD回折パターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本化合物(I-S)のHCl塩の形態G結晶形態の代表的熱特性は、図83及び図84に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図83に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約199℃及びオンセット温度約185℃で、又はピーク温度約248℃及びオンセット温度約222℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約199℃及びオンセット温度約185℃で、並びにピーク温度約248℃及びオンセット温度約222℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。ある実施態様において、固体形態が、図83に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本形態Gの代表的な熱重量分析曲線は、図84に提供され、これは、約30℃から約110℃へ加熱する際に、総試料重量の約1.92%の重量減少を示し、並びに約110℃から約210℃へ加熱する際に、総試料重量の約12.27%の重量減少を示す。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、約1.92%の重量減少は、水及び/又は溶媒の喪失に対応し、並びに12.27%の重量減少は、脱溶媒和に対応している。ある実施態様において、固体形態が、図84に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
形態G結晶形態の代表的な1H-NMRスペクトルは、図85に提供されている。ある実施態様において、固体形態が、図85に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態G結晶形態は、溶媒和物である。一部の実施態様において、形態G結晶形態は、MTBE溶媒和物である。ある実施態様において、この溶媒和物は、化合物(I-S)に対しMTBEを約0.5モル当量含む。
形態G結晶形態の更なる特性は、実施例の項に提供される。
(viii)形態H
化合物(I-S)のHCl塩の形態H結晶形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態H結晶形態は、MeOH/トルエン中での形態Aの再結晶により得られる。
形態Hの代表的なXRPDパターンは、図86に提供されている。一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:6.83、9.47、13.63、16.13、20.19、20.58、25.08、26.99、及び27.55度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ6.83、20.19、及び20.58度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ9.47及び13.63度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ6.83、9.47、13.63、16.13、20.19、20.58、25.08、26.99、及び27.55度の2θにピークを含む。
ある実施態様において、固体形態が図86に提示されたXRPD回折パターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本化合物(I-S)のHCl塩の形態H結晶形態の代表的熱特性は、図87及び図88に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図87に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約187℃で、又はピーク温度約255℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約187℃で、及びピーク温度約255℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。ある実施態様において、固体形態が、図87に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本形態Hの代表的な熱重量分析曲線は、図88に提供され、これは、約25℃から約80℃へ加熱する際に、総試料重量の約0.33%の重量減少を示し、並びに約80℃から約200℃へ加熱する際に、総試料重量の約15.30%の重量減少を示す。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、15.30%の重量減少は、脱溶媒和に対応している。ある実施態様において、固体形態が、図88に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
形態H結晶形態の代表的な1H-NMRスペクトルは、図89に提供されている。ある実施態様において、固体形態が、図89に提示された1H-NMRスペクトルにマッチする1H-NMRスペクトルにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態H結晶形態は、溶媒和物である。一部の実施態様において、形態G結晶形態は、トルエン溶媒和物である。
形態H結晶形態の更なる特性は、実施例の項に提供される。
(ix)形態I
化合物(I-S)のHCl塩の形態I結晶形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態I結晶形態は、DMSO/MeCN又はDMSO/アセトン中での形態Aの再結晶により得られる。
形態Iの代表的なXRPDパターンは、図90に提供されている。一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:13.29、13.51、13.95、23.39、24.10、及び24.30度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ13.95、23.39、及び24.10度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ13.51及び24.30度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ13.29、13.51、13.95、23.39、24.10、及び24.30度の2θにピークを含む。
ある実施態様において、固体形態が図90に提示されたXRPD回折パターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態I結晶形態は、MeOAcにより洗浄された後、図91に提示されたXRPDパターンを示す。一実施態様において、形態I結晶は、MeOAcにより洗浄された後、形態A結晶へ変換する。
一部の実施態様において、形態I結晶形態は、溶媒和物である。
形態I結晶形態の更なる特性は、実施例の項に提供される。
(x)形態J
化合物(I-S)のHCl塩の形態J結晶形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態J結晶形態は、DMSO/THF中での形態Aの再結晶により得られる。
形態Jの代表的なXRPDパターンは、図92に提供されている。一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:4.86、6.66、7.08、8.22、9.65、9.82、11.70、13.26、13.48、15.11、16.39、18.12、20.06、20.39、20.51、21.20、22.15、22.72、23.45、及び24.15度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所、16箇所、17箇所、18箇所、19箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの10種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの15種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ4.86、13.48、及び20.06度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ20.39、22.15、及び23.45度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ4.86、6.66、7.08、8.22、9.65、9.82、11.70、13.26、13.48、15.11、16.39、18.12、20.06、20.39、20.51、21.20、22.15、22.72、23.45、及び24.15度の2θにピークを含む。
ある実施態様において、固体形態が図92に提示されたXRPD回折パターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本化合物(I-S)のHCl塩の形態J結晶形態の代表的熱特性は、図93及び図94に提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図93に提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約70℃で、ピーク温度約106℃で、ピーク温度約127℃で、又はオンセット温度約251℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約70℃で、ピーク温度約106℃で、ピーク温度約127℃で、及びオンセット温度約251℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書に提供される。ある実施態様において、固体形態が、図93に提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本形態Jの代表的な熱重量分析曲線は、図94に提供され、これは、約25℃から約80℃へ加熱する際に、総試料重量の約4.73%の重量減少を示し、約80℃から約120℃へ加熱する際に、総試料重量の約7.59%の重量減少を示し、並びに約120℃から約200℃へ加熱する際に、総試料重量の約10.21%の重量減少を示す。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、約4.73%の重量減少は、水及び/又は溶媒の喪失に対応し、約7.59%の重量減少及び約10.21%の重量減少は、脱溶媒和に対応している。ある実施態様において、固体形態が、図94に提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態J結晶形態は、溶媒和物である。
形態J結晶形態の更なる特性は、実施例の項に提供される。
(xi)形態K
化合物(I-S)のHCl塩の形態K結晶形態が、本明細書において提供される。
一部の実施態様において、形態K結晶形態は、形態Fを相対湿度約0%で乾燥することにより得られる。一実施態様において、この乾燥は、形態Fを、ドライエライト(drierite)を含むチャンバー内に、約16時間配置することにより実行される。
形態Kの代表的なXRPDパターンは、図95に提供されている。一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:7.09、9.35、14.03、14.22、14.76、15.91、19.17、及び21.60度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられた化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ7.09、14.03、及び14.22度の2θにピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ9.35及び21.60度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ7.09、9.35、14.03、14.22、14.76、15.91、19.17、及び21.60度の2θにピークを含む。
ある実施態様において、固体形態が図95に提示されたXRPD回折パターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、化合物(I-S)のHCl塩を含む固体形態が、本明細書において提供される。
周囲条件に曝露された後の形態Kの代表的なXRPDパターンは、図96に提示されている。一実施態様において、形態K結晶は、周囲条件に曝露された後、形態F結晶に変換する。
形態K結晶形態の更なる特性は、実施例の項に提供される。
(xii)HCl形態の相互変換
形態A-Kの相互変換は、下記図に示されている。
(5.3 ラセミ化合物(I)の塩及び固体形態並びにそれらの合成)
ラセミ化合物(I)の塩が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、ラセミ化合物(I)は、H-Xの塩であり、式中、Xは、F、Cl、Br、I、RSO3、又はRCO2であり、ここでRは、アルキル、アリール、置換型アルキル、又は置換型アリールである。一部の実施態様において、この塩は、塩酸塩である。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、これらの酸は、ラセミ化合物(I)のモルホリン環上の窒素の塩基性窒素と会合されている。
ラセミ化合物(I)の及びラセミ化合物(I)の塩の固体形態も、本明細書において提供される。一部の実施態様において、この固体形態は、無水物、水和物、又は溶媒和物である。一部の実施態様において、この溶媒和物は、メタノール溶媒和物である。
(i)遊離塩基無水物
ラセミ化合物(I)の無水物が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、この無水物は、ラセミ化合物(I)及びアセトニトリルの混合物を加熱することにより得られる。一部の実施態様において、この無水物は、ラセミ化合物(I)及びアセトニトリルの混合物を約40℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却することにより得られる。一部の実施態様において、この無水物は、ラセミ化合物(I)及びアセトニトリルの混合物を約40℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却し、且つこの無水物を濾過により分離することにより得られる。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、この無水物は、下記式を有する:
ラセミ化合物(I)の無水物の代表的なXRPDパターンは、図97に提示される。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:4.95、7.11、8.96、9.97、12.67、14.30、14.83、16.20、19.26、20.09、20.61、21.81、22.82、23.21、23.58、24.37、26.57、27.09、及び32.16度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所、16箇所、17箇所、18箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられたラセミ化合物(I)を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの10種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの15種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ4.95、8.96、及び14.83度の2θにピークを含むXRPDパターンを有するラセミ化合物(I)を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ12.67、14.30、20.09、及び26.57度の2θにピークをさらに含む。一実施態様において、本固体形態は、4.95、7.11、8.96、9.97、12.67、14.30、14.83、16.20、19.26、20.09、20.61、21.81、22.82、23.21、23.58、24.37、26.57、27.09、及び32.16度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図97に提示されたXRPD回折パターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、ラセミ化合物(I)を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本無水物の代表的熱特性は、図98A及び図98Bに提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図98Aに提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約217℃及びオンセット温度約216℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、ラセミ化合物(I)を含む固体形態が、本明細書に提供される。ある実施態様において、この事象は、融解に対応している。一部の実施態様において、固体形態が、図98Aに提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、ラセミ化合物(I)を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本無水物の代表的な熱重量分析曲線は、図98Bに提供され、これは、約25℃から約200℃へ加熱する際に、総試料重量の実質的変化を示さない。一部の実施態様において、固体形態が、図98Bに提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、ラセミ化合物(I)を含む固体形態が、本明細書において提供される。
(ii)遊離塩基水和物
ラセミ化合物(I)の水和物が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、この水和物は、ラセミ化合物(I)、アセトニトリル、及び水の混合物を加熱することにより得られる。一部の実施態様において、この水和物は、ラセミ化合物(I)、アセトニトリル、及び水の混合物を約40℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却することにより得られる。一部の実施態様において、この水和物は、ラセミ化合物(I)、アセトニトリル、及び水の混合物を約40℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却し、且つこの水和物を濾過により分離することにより得られる。一部の実施態様において、この水和物の調製に使用したアセトニトリルの水に対する容積比は、約1:1である。一部の実施態様において、この水和物は、ラセミ化合物(I)の水に対するモル比、およそ2:1〜1:2を有する。一部の実施態様において、この水和物は、ラセミ化合物(I)の水に対するモル比、およそ1:1を有する。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、この水和物は、下記式を有する:
ラセミ化合物(I)の水和物の代表的なXRPDパターンは、図99に提示される。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:8.34、8.95、11.79、12.88、14.01、16.02、17.01、17.28、18.00、20.46、23.05、24.37、25.71、26.21、26.38、及び27.37度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられたラセミ化合物(I)及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの10種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ14.01、17.28、及び26.21度の2θにピークを含むXRPDパターンを有するラセミ化合物(I)及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ8.34、11.79、及び17.01度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、8.34、8.95、11.79、12.88、14.01、16.02、17.01、17.28、18.00、20.46、23.05、24.37、25.71、26.21、26.38、及び27.37度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図99に提示されたXRPD回折パターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、ラセミ化合物(I)及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本水和物の代表的熱特性は、図100A及び図100Bに提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図100Aに提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約94℃で、ピーク温度約137℃及びオンセット温度約128℃で、ピーク温度約157℃及びオンセット温度約149℃で、又はピーク温度約218℃及びオンセット温度約215℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、ラセミ化合物(I)及び水を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約94℃、ピーク温度約137℃及びオンセット温度約128℃、ピーク温度約157℃及びオンセット温度約149℃、並びにピーク温度約218℃及びオンセット温度約215℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、ラセミ化合物(I)及び水を含む固体形態が、本明細書に提供される。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、ピーク温度約94℃での事象は、融解に対応し、オンセット温度約149℃での事象は、再結晶に対応し、且つオンセット温度約215℃での事象は、融解に対応している。一部の実施態様において、固体形態が、図100Aに提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、ラセミ化合物(I)及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本水和物の代表的な熱重量分析曲線は、図100Bに提供され、これは、約25℃から約125℃へ加熱する際に、総試料重量の約4.90%の重量減少を示す。一部の実施態様において、固体形態が、図100Bに提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、ラセミ化合物(I)及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。
(iii)塩酸塩水和物
ラセミ化合物(I)の塩酸塩の水和物が、本明細書において提供される。ラセミ化合物(I)の塩酸塩及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)の塩酸塩、イソプロパノール、及び水の混合物を加熱することにより得られる。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)の塩酸塩、イソプロパノール、及び水の混合物を約50℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却することにより得られる。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)の塩酸塩、イソプロパノール、及び水の混合物を約50℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却し、且つこの固体形態を濾過により分離することにより得られる。一部の実施態様において、この固体形態の調製に使用したイソプロパノールの水に対する容積比は、約4: 1である。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)のHClに対するモル比、およそ2:1〜1:2を有する。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)のHClに対するモル比、およそ1:1を有する。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)の水に対するモル比、およそ2:1〜1:2を有する。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)の水に対するモル比、およそ1:1を有する。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、この塩酸塩水和物は、下記式を有する:
ラセミ化合物(I)のHCl塩水和物の代表的なXRPDパターンは、図101に提示される。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:5.17、7.17、9.84、13.88、14.30、15.36、16.42、19.82、20.48、21.22、25.74、及び26.95度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられたラセミ化合物(I)のHCl塩及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの10種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ13.88、14.30、及び15.36度の2θにピークを含むXRPDパターンを有するラセミ化合物(I)のHCl塩及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ9.84、16.42、及び19.82度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ5.17、7.17、9.84、13.88、14.30、15.36、16.42、19.82、20.48、21.22、25.74、及び26.95度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図101に提示されたXRPD回折パターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、ラセミ化合物(I)のHCl塩及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。
本水和物の代表的熱特性は、図102A及び図102Bに提供される。代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、図102Aに提示されている。一部の実施態様において、ピーク温度約122℃で、又はピーク温度約255℃及びオンセット温度約252℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、ラセミ化合物(I)のHCl塩及び水を含む固体形態が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、ピーク温度約122℃で、並びにピーク温度約255℃及びオンセット温度約252℃で、DSCにより特徴付けられた熱事象を示す、ラセミ化合物(I)のHCl塩及び水を含む固体形態が、本明細書に提供される。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、オンセット温度約252℃での事象は、融解/分解に対応している。一部の実施態様において、固体形態が、図102Aに提示されたDSCサーモグラムにマッチするDSCサーモグラムにより特徴付けられている、ラセミ化合物(I)のHCl塩及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。
ラセミ化合物(I)のHCl塩の水和物の代表的な熱重量分析曲線は、図102Bに提供され、これは、約25℃から約100℃へ加熱する際に、総試料重量の約4.27%の重量減少を示す。一部の実施態様において、固体形態が、図102Bに提示されたTGAサーモグラムにマッチするTGAサーモグラムにより特徴付けられている、ラセミ化合物(I)のHCl塩及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。
ラセミ化合物(I)のHCl塩の水和物の代表的なDVS等温線プロットは、図103に提供される。一部の実施態様において、固体形態が、図103に提示されたDVS等温線プロットにマッチするDVS等温線プロットにより特徴付けられている、ラセミ化合物(I)のHCl塩及び水を含む固体形態が、本明細書において提供される。
(iv)塩酸塩MeOH溶媒和物
ラセミ化合物(I)の塩酸塩のMeOH溶媒和物が、本明細書において提供される。ラセミ化合物(I)の塩酸塩及びMeOHを含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)の塩酸塩及びメタノールの混合物を加熱することにより得られる。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)の塩酸塩及びメタノールの混合物を約50℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却することにより得られる。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)の塩酸塩及びメタノールの混合物を約50℃まで加熱し、引き続きこの混合物を約室温まで冷却し、且つこの固体形態を濾過により分離することにより得られる。一部の実施態様において、この固体形態の調製に使用したメタノールは、3-A分子篩上で予備乾燥される。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)のHClに対するモル比、およそ2:1〜1:2を有する。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)のHClに対するモル比、およそ1:1を有する。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)のメタノールに対するモル比、およそ2:1〜1:2を有する。一部の実施態様において、この固体形態は、ラセミ化合物(I)のメタノールに対するモル比、およそ1:1を有する。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、一部の実施態様において、この塩酸塩水和物は、下記式を有する:
ラセミ化合物(I)のHCl塩のMeOH溶媒和物の代表的なXRPDパターンは、図104に提示される。
一部の実施態様において、以下の位置又は以下の概算位置:7.73、10.45、12.38、14.54、15.06、16.18、18.95、20.00、21.26、21.97、22.24、22.30、22.61、24.17、26.10、26.86、及び30.13度の2θのうち1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所、16箇所又は全てに位置するXRPDピークにより特徴付けられたラセミ化合物(I)のHCl塩及びメタノールを含む固体形態が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの3種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの5種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの7種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの10種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの13種により特徴付けられる。一部の実施態様において、本固体形態は、これらのピークの全てにより特徴付けられる。
一部の実施態様において、およそ12.38、14.54、及び26.10度の2θにピークを含むXRPDパターンを有するラセミ化合物(I)のHCl塩及びメタノールを含む固体形態が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本固体形態はさらに、およそ15.06、20.00、及び26.86度の2θにピークを含む。一実施態様において、本固体形態は、およそ7.73、10.45、12.38、14.54、15.06、16.18、18.95、20.00、21.26、21.97、22.24、22.30、22.61、24.17、26.10、26.86、及び30.13度の2θにピークを含む。
一部の実施態様において、固体形態が図104に提示されたXRPD回折パターンにマッチするXRPD回折パターンにより特徴付けられる、ラセミ化合物(I)のHCl塩及びメタノールを含む固体形態が、本明細書において提供される。
一実施態様において、ラセミ化合物(I)のHCl塩のMeOH溶媒和物は、周囲の水分に曝された場合に、ラセミ化合物(I)のHCl塩の水和物へ変換する。
(5.4 治療、予防及び管理の方法)
化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体を使用し、様々な疾患又は障害を治療する、予防する、及び/又は管理する方法が、本明細書に提供される。
疾患又は障害の例としては、癌、血管新生に関連した障害、非限定的に複合性局所疼痛症候群("CRPS")を含む疼痛、黄斑変性("MD")及び関連症候群、皮膚疾患、免疫不全疾患、睡眠障害及び関連障害、異常ヘモグロビン症及び関連障害(例えば貧血)、TNFα関連障害、並びに他の様々な疾患及び障害が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において使用される用語「治療する」、「治療している」及び「治療」は、別途規定されない限りは、疾患若しくは障害の、又は疾患若しくは障害に関連した1種以上の症状の、根絶若しくは改善を指す。ある実施態様において、これらの用語は、そのような疾患又は障害を伴う対象へ、1種以上の予防薬又は治療薬の投与の結果、疾患又は障害の播種又は増悪を最小化することを指す。
本明細書において使用される用語「予防している」は、別途規定されない限りは、特に癌及び/又は本明細書記載の他の障害のリスクのある患者へ、症状発現の前に、他の追加の活性化合物を伴う又は伴わない、本明細書において提供される化合物による処置又は投与を指す。用語「予防」は、特定の疾患の症状の阻害又は軽減を含む。特に疾患の家族歴を持つ患者は、ある実施態様における予防レジメンの候補である。加えて、症状を再発する病歴を持つ患者も、予防に関して可能性のある候補である。これに関して、用語「予防」は、用語「予防的処置」と互換的に使用することができる。
本明細書において使用される用語「管理する」、「管理している」及び「管理」は、別途規定されない限りは、疾患若しくは障害の、又はそれらの1種以上の症状の、進行、播種若しくは増悪の防止又は遅延を指す。ある症例において、対象が予防薬又は治療薬から誘導する有益な効果は、その疾患又は障害の治癒を生じない。
本明細書に使用される化合物の「治療的有効量」とは、別途規定されない限りは、疾患若しくは障害の治療若しくは管理における、又は疾患若しくは障害に関連した1種以上の症状の遅延若しくは最小化における、治療的恩恵を提供するのに十分な量である。化合物の治療的有効量は、疾患又は障害の治療又は管理において治療的恩恵を提供する、単独の又は他の療法と組み合わせた、治療薬の量を意味する。用語「治療的有効量」は、全般的治療を改善する量、疾患若しくは障害の症状又は原因を軽減又は回避する量、あるいは別の治療薬の治療上の有効性を増強する量を包含することができる。
本明細書に使用される化合物の「予防的有効量」とは、別途規定されない限りは、疾患の症状を阻害又は軽減する、あるいは疾患の再発を防止するのに十分な量である。化合物の予防的有効量は、疾患の症状を阻害又は軽減すること、あるいは疾患の再発を防止することにおいて予防的恩恵を提供する、単独の又は他の薬剤と組み合わせた、治療薬の量を意味する。用語「予防的有効量」は、全般的予防を改善する量、あるいは別の予防薬の予防上の有効性を増強する量を包含することができる。
一実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体を、患者へ投与することを含む、癌を治療及び予防する方法が、本明細書において提供される。
別の実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体を、患者へ投与することを含む、癌を管理する方法が、本明細書において提供される。
先に治療を受けていない患者に加え、先に癌治療を受けたが標準療法に反応しない患者を治療する方法も、本明細書において提供される。本発明はまた、いくつかの疾患又は障害が、ある年齢群においてより一般的であっても、患者の年齢にかかわらず、患者を治療する方法を包含している。本発明はさらに、手術を受けていない患者に加え、問題の疾患又は状態を治療することを試み、手術を受けた患者を治療する方法を包含している。癌患者は、不均一な臨床兆候及び変動する臨床の転帰を有するので、患者に与えられる治療は、患者の予後に応じて、変動し得る。熟練した臨床医は、個々の癌患者を治療するために効果的に使用することができる、具体的な二次的薬物、手術の型、及び非薬物ベースの標準療法の型を、過度の実験を伴わずに、容易に決定することができるであろう。
本明細書において使用される用語「癌」は、固形癌及び血液伝播性腫瘍を含むが、これらに限定されるものではない。癌の具体例は、皮膚(例えば、メラノーマ);リンパ節;乳房;子宮頸部;子宮;胃腸管;肺;卵巣;前立腺;結腸;直腸;口;脳;頭頚部;咽喉;睾丸;腎臓;膵臓;骨;脾臓;肝臓;膀胱;喉頭;鼻道の癌;及び、エイズによる癌を含むが、これらに限定されるものではない。本化合物はまた、多発性骨髄腫並びに急性及び慢性白血病、例えば、リンパ芽球性白血病、骨髄性白血病、リンパ球性白血病及び骨髄性白血病などの、血液及び骨髄の癌の治療にも有用である。本明細書において提供される化合物は、原発性腫瘍又は転移性腫瘍のいずれかの治療、予防、又は管理に使用することができる。
他の具体的癌は、進行した悪性腫瘍、アミロイド症、神経芽細胞腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、多形性膠芽腫、膠芽細胞腫、脳幹神経膠腫、予後不良悪性脳腫瘍、悪性神経膠腫、再発性悪性神経膠腫、未分化星状細胞腫、未分化希突起グリオーマ、神経内分泌腫瘍、直腸腺癌、デュークスC及びD結腸直腸癌、切除不能な結腸直腸癌、転移性肝細胞癌、カポジ肉腫、核型(karotype)急性骨髄芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、皮膚B細胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、転移性悪性黒色腫(非限定的に眼メラノーマを含む、局所的メラノーマ)、悪性中皮腫、悪性胸水中皮腫症候群、腹膜癌、乳頭状漿液性腺癌、婦人科肉腫、軟部組織肉腫、強皮症、皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組織球増加症、平滑筋肉腫、進行性骨化性線維形成異常、ホルモン抵抗性前立腺癌、切除した高リスク軟部組織肉腫、切除不能な肝細胞癌、ワルデンストロームマクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無痛骨髄腫、卵管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性IV期非転移性前立腺癌、ホルモン不応性前立腺癌、化学療法-非感受性前立腺癌、甲状腺乳頭癌、濾胞性甲状腺癌、甲状腺髄様癌、及び平滑筋腫を含むが、これらに限定されるものではない。具体的実施態様において、癌は、転移性である。別の実施態様において、癌は、化学療法又は放射線に対し、難治性又は抵抗性である。
ある実施態様において、癌は、血液伝播性腫瘍である。ある実施態様において、血液伝播性腫瘍は、転移性である。ある実施態様において、血液伝播性腫瘍は、薬物耐性である。ある実施態様において、癌は、骨髄腫、白血病又はリンパ腫である。
一実施態様において、2006年2月9日に公開された米国特許公報第2006/0030594号に開示されているような、再発性、難治性又は抵抗性である白血病を含む、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病及び急性骨髄芽球性白血病などの、白血病の様々な形態を治療、予防又は管理する方法が、本明細書において提供され、この公報の全体は引用により本明細書中に組み込まれている。一実施態様において、癌は、急性骨髄性白血病又は急性骨髄白血病である。別の実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体を使用し、骨髄増殖性疾患又は骨髄異形成症候群を治療、予防及び/又は管理する方法が、本明細書において提供される。
用語「白血病」とは、造血組織の悪性新生物を指す。白血病は、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病及び急性骨髄芽球性白血病を含むが、これらに限定されるものではない。白血病は、通常の療法に対し、再発性、難治性又は抵抗性であることができる。用語「再発性」とは、療法後白血病の寛解にある患者が、骨髄中の白血病細胞の回復及び正常血液細胞の減少を有する状況を指す。用語「難治性又は抵抗性」とは、患者が、集中治療後であっても、その骨髄中に残存する白血病細胞を有する状況を指す。
別の実施態様において、非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む、様々な型のリンパ腫を治療、予防又は管理する方法が、本明細書において提供される。用語「リンパ腫」とは、細網内皮系及びリンパ系に生じる新生物の不均一な群をいう。「NHL」とは、リンパ節、骨髄、脾臓、肝臓及び胃腸管を含む免疫系の部位における、リンパ球様細胞の悪性のモノクローナル性増殖をいう。NHLの例は、マントル細胞リンパ腫(MCL)、中分化型リンパ球性リンパ腫、中間型リンパ球性リンパ腫(ILL)、びまん性分化不良リンパ球性リンパ腫(PDL)、中心細胞性リンパ腫、びまん性核切れ込み小細胞型リンパ腫(DSCCL)、濾胞性リンパ腫、及び顕微下で認めることができるマントル細胞リンパ腫の任意の型(結節性、びまん性、芽球性及びマントル層リンパ腫)を含むが、これらに限定されるものではない。一実施態様において、癌は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、又はマントル細胞リンパ腫である。一実施態様において、予後判定因子を使用する、非限定的にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を含む非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療又は管理の方法が、本明細書において提供される。
ある実施態様において、癌は、固形癌である。ある実施態様において、固形癌は、転移性である。ある実施態様において、固形癌は、薬物抵抗性である。ある実施態様において、固形癌は、肝細胞癌、前立腺癌、卵巣癌、又は膠芽細胞腫である。
望ましくない血管新生に関連したか又はこれにより特徴付けられた疾患及び障害の例は、炎症疾患、自己免疫疾患、ウイルス性疾患、遺伝疾患、アレルギー性疾患、細菌性疾患、眼血管新生疾患、脈絡膜血管新生疾患、網膜血管新生症、及びルベオーシス(隅角の血管新生)を含むが、これらに限定されるものではない。望ましくない血管新生に関連したか又はこれにより特徴付けられた疾患及び障害の具体例は、関節炎、子宮内膜症、クローン病、心不全、進行性心不全、腎臓機能障害、内毒素血症、毒素性ショック症候群、変形性関節炎、レトロウイルス複製、消耗、髄膜炎、シリカ-起因性線維症、アスベスト起因性線維症、獣医障害(veterinary disorder)、悪性腫瘍-関連高カルシウム血症、脳卒中、循環性ショック、歯周炎、歯肉炎、大球性貧血、難治性貧血、及び5q-欠失症候群を含むが、これらに限定されるものではない。
本明細書に使用される用語「複合性局所疼痛症候群」、「CRPS」並びに「CRPS及び関連症候群」は、以下の1種以上により特徴付けられた慢性疼痛障害を意味する:異痛症(通常は痛みを伴わない刺激に対する痛みを伴う反応)及び痛覚過敏(通常軽度の痛みを伴うのみの刺激に対する強調された反応)を含む、自発性又は誘発型かを問わない疼痛;原因となる事象に不釣り合いな疼痛(例えば、足首の捻挫後長年にわたる重度の痛み);単独の末梢神経分布に限定されない局所疼痛;並びに、栄養状態の(trophic)皮膚変化(頭髪及び爪の成長異常並びに皮膚潰瘍)に関連した自律神経失調症(例えば、浮腫、血流の変化及び多汗症)。
MD及び関連症候群の例は、2004年5月13日に公開された、米国特許公報第2004/0091455号に開示されたものを含むが、これらに限定されるものではなく、この公報は引用により本明細書中に組み込まれている。具体例は、萎縮性(乾燥型)MD、滲出型(湿潤型)MD、加齢黄斑変性症(ARM)、脈絡膜血管新生(CNVM)、網膜色素上皮剥離(PED)、及び網膜色素上皮の萎縮(RPE)を含むが、これらに限定されるものではない。
皮膚疾患の例は、角化症及び関連症状、表皮の増殖により特徴付けられた皮膚疾患又は障害、強皮症、皮膚血管炎、座瘡、及び皺を含むが、これらに限定されるものではない。
免疫不全疾患の例は、2005年11月30日に出願された、米国特許出願第11/289,723号に開示されたものを含むが、これらに限定されるものではない。具体例は、アデノシンデアミナーゼ欠損症、正常又は上昇したIgを伴う抗体欠損症、運動失調-毛細血管拡張症、不全リンパ球症候群、分類不能型免疫不全症、高-IgMを伴うIg欠損症、Ig重鎖欠乏症、IgA欠損症、胸腺腫による免疫不全、細網異形成症、ネゼロフ症候群、選択的IgGサブクラス欠損症、幼児の一過性低ガンマグロブリン血症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、X連鎖無ガンマグロブリン血症、X連鎖重症複合型免疫不全を含むが、これらに限定されるものではない。
睡眠障害及び関連障害の例は、2005年10月6日に公開された、米国特許公報第2005/0222209A1号に開示されたものを含むが、これらに限定されるものではなく、この公報は引用により本明細書中に組み込まれている。具体例は、いびき、睡眠時無呼吸、不眠症、発作性睡眠、下肢静止不能症候群、夜驚症、夢遊病夢遊食事病、及び慢性神経学的状態又は炎症状態に関連した睡眠障害を含むが、これらに限定されるものではない。慢性神経学的状態又は炎症状態は、複合性局所疼痛症候群、慢性腰痛、筋骨格系疼痛、関節炎、神経根障害、癌に関連した疼痛、線維筋痛、慢性疲労症候群、内臓痛、膀胱痛、慢性膵炎、神経障害(糖尿病性、ヘルペス後、外傷性又は炎症性)、並びにパーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、ハンチントン舞踏病、動作緩慢などの神経変性障害;筋固縮;パーキンソン振戦;パーキンソン病様歩行;運動型すくみ;うつ病;長期記憶欠損、ルビンシュタイン・テイビ症候群(RTS);認知症;姿勢の不安定;運動低下障害;シヌクレイン障害;多系統萎縮症;線条体黒質変性症;オリーブ橋小脳萎縮症;シャイ・ドレーガー症候群;パーキンソン病の特徴を伴う運動ニューロン疾患;レビー小体型認知症;タウ病変障害;進行性核上麻痺;大脳皮質基底核変性症;前頭側頭型認知症;アミロイド病変障害;軽度認知障害;パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病;ウィルソン病;ハレルフォルデン・スパッツ病;シェディアック-東病;SCA-3脊髄小脳失調;X-連鎖失調症パーキンソニズム;プリオン病;運動過多障害;舞踏病;バリスム;ジストニア振戦;筋萎縮性側索硬化症(ALS);CNS外傷及び間代性筋けいれんを含むが、これらに限定されるものではない。
異常ヘモグロビン症及び関連障害の例は、2005年6月30日に公開された米国特許公報第2005/0143420A1号に説明されたものを含むが、これらに限定されるものではなく、これは引用により本明細書中に組み込まれている。具体例は、異常ヘモグロビン症、鎌状赤血球貧血、及びCD34+細胞の分化に関連したいずれか他の障害を含むが、これらに限定されるものではない。
TNFα関連障害の例は、WO 98/03502及びWO 98/54170に説明されたものを含むが、これらに限定されるものではなく、これら両公報は、それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。具体例は、内毒素血症又は毒素性ショック症候群;悪液質;成人呼吸窮迫症候群;関節炎などの、骨吸収疾患;高カルシウム血症;対宿主性移植片反応;脳マラリア;炎症;腫瘍増殖;慢性肺炎症疾患;再灌流障害;心筋梗塞;脳卒中;循環性ショック;関節リウマチ;クローン病;HIV感染症及びAIDS;関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節炎、乾癬性関節炎及び他の関節炎状態、敗血性ショック、敗血症、内毒素性ショック、移植片対宿主拒絶反応、消耗、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ハンセン病のENL、HIV、AIDS、及びAIDSの日和見感染症などの、他の障害;敗血性ショック、敗血症、内毒素性ショック、血行力学ショック及び敗血症候群、虚血後再灌流損傷、マラリア、マイコバクテリア感染、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症、悪液質、移植片拒絶反応、発癌性又は癌性状態、喘息、自己免疫疾患、放射線障害、及び過酸素肺胞損傷などの、障害;ヘルペスウイルスにより引き起こされた感染などの、ウイルス感染;ウイルス性結膜炎;又は、アトピー性皮膚炎を含むが、これらに限定されるものではない。
同じく、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の治療的有効量を投与することを含む、免疫-関連疾患及び炎症疾患に関連した疾患、障害及び/又は状態を治療、予防、及び/又は管理する方法も、本明細書において提供される。ある実施態様において、この疾患は、狼瘡、強皮症、シェーグレン症候群、ANCA-誘導型血管炎、抗-リン脂質抗体症候群及び重症筋無力症から選択される。ある実施態様において、この疾患は、強皮症又は狼瘡である。
ある実施態様において、強皮症を有する患者へ、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の治療的有効量を投与することを含む、強皮症又はそれらの症状を治療、予防、及び/又は管理する方法が、本明細書において提供される。
ある実施態様において、強皮症を有するリスクのある患者へ、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を投与することを含む、強皮症又はそれらの症状を予防する方法も、本明細書において提供される。
ある実施態様において、強皮症は、局所性、全身性、限局型又はびまん型強皮症である。
ある実施態様において、全身性強皮症は、CREST症候群(石灰沈着症、レイノー症候群、食道の機能障害又は運動不全、強指症、毛細血管拡張症)を含む。強皮症はまた、全身性硬化症又は全身性進行性硬化症としても知られている。ある実施態様において、レイノー病又は症候群を治療又は予防する方法が、本明細書において提供される。ある実施態様において、全身性硬化症は、強皮症性肺疾患、強皮症腎クリーゼ、心臓の兆候、筋力低下(疲労又は限局的CRESTを含む)、胃腸運動不全及び胃腸攣縮、並びに中枢神経、末梢神経及び自律神経系の異常(手根管症候群に続く、三叉神経痛を含む)を含む。これはまた、うつ病を含む全身の不能、及び生活の質への影響も含む。
ある実施態様において、限局型強皮症は、手、顔、首、又はそれらの組合せに限定される。
ある実施態様において、びまん型強皮症は、皮膚の硬直を含み、手首より上側(又は肘)にも生じる。ある実施態様において、びまん型全身性硬化症は、内臓線維症を含むが、皮膚硬直のない強皮症;又は、家族性全身性進行性硬化症である。
一実施態様において、強皮症は、疾患-関連消耗などの消耗に関連していない。
一実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含む、強皮症の下記の症状の1種以上の軽減、阻害、又は予防のための方法が、本明細書において提供される:(i)皮膚の段階的硬化、肥厚、及び硬直(例えば、手、顔及び足などの先端において);(ii)皮膚の変色;(iii)先端の無感覚;(iv)艶のある皮膚;(v)チョークのように白い液体を噴出する皮膚表面下の小さい白色塊へ;(vi)レイノー現象の食道機能障害(寒気又は情動ストレスに曝された時の、血管収縮により引き起こされた手の疼痛、無感覚、及び/又は色の変化);(vii)毛細血管拡張症(例えば、手、掌、前腕、顔、及び唇の赤色斑);(viii)関節の疼痛及び/又は硬直;(ix)手足の腫れ;(x)皮膚のそう痒;(xi)指の硬直及びそり;(xii)指関節及び肘などのある関節の外側上の潰瘍(ただれ);(xiii)胸焼け、嚥下困難、下痢、過敏性大腸、及び便秘などの、消化器異常;(xiv)疲労及び虚弱;(xv)息切れ;(xvi)関節炎;(xvii)脱毛;(xviii)内臓の問題;(xix)手指の潰瘍;又は、(xx)手指の自然脱落(auto-amputation)。
いずれか特定の理論により限定されるものではないが、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、Th1免疫応答を増強し、Th2免疫応答を抑制し、これは皮膚の抗線維化作用を生じると考えられる。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者の皮膚厚を改善又は減少する方法が、本明細書において提供される。一実施態様において、皮膚厚は、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%又はそれ以上減少される。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含む、強皮症に関連した1種以上の臨床上のエンドポイントを達成する方法が、本明細書において提供される。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者の全生存期間、奏功率、無増悪期間、無増悪生存期間及び/又は治療成功期間を増加する方法が、本明細書において提供される。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者の死亡率、呼吸器関連死亡率及び/又は呼吸器関連入院を減少する方法が、本明細書において提供される。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者の改変Rodnanスキンスコアを改善する方法が、本明細書において提供される。一実施態様において、改変Rodnanスキンスコアの改善は、5、10、15又は20ポイント又はそれ以上である。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者の皮膚厚を改善又は減少する方法が、本明細書において提供される。一実施態様において、皮膚厚は、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%又はそれ以上減少される。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者の皮膚硬化を改善又は減少する方法が、本明細書において提供される。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者の皮膚科学的生活の質(QOL)指数を改善する方法が、本明細書において提供される。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者の肺機能を改善する方法が、本明細書において提供される。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者の一酸化炭素拡散能を改善する方法が、本明細書において提供される。一実施態様において、患者の一酸化炭素拡散能は、肺の一酸化炭素拡散能(DLCO)を約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%又はそれ以上向上することにより改善される。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者のMahler Dyspnea指数を改善する方法が、本明細書において提供される。一実施態様において、Mahler Dyspnea指数の改善は、4、5、6、7、8、9又は10ポイント又はそれ以上である。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者のSaint George呼吸系アンケートスコアを改善する方法が、本明細書において提供される。一実施態様において、Saint George呼吸系アンケートスコアの改善は、4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52ポイント又はそれ以上である。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者のUCLA強皮症国際多施設臨床試験の胃腸管スコアを改善する方法が、本明細書において提供される。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症の患者又は患者集団の手指潰瘍を治療又は予防する方法が、本明細書において提供される。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者の血流介在血管拡張反応を改善する方法が、本明細書において提供される。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、強皮症患者の6分間歩行距離を改善又は増加する方法が、本明細書において提供される。一実施態様において、6分間歩行距離の改善は、約200m、約250m、約300m、約350m、約400m又はそれ以上である。
ある実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の治療的有効量を、紅斑性狼瘡を有する患者へ投与することを含む、紅斑性狼瘡又はその症状を治療、予防、及び/又は管理する方法が、本明細書において提供される。
一実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、紅斑性狼瘡のリスクのある患者へ投与することを含む、紅斑性狼瘡又はその症状を予防する方法が、本明細書において提供される。
ある実施態様において、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、皮膚紅斑性狼瘡(CLE)、円板状紅斑性狼瘡(DLE)、又は薬剤誘発性狼瘡を治療、予防及び/又は管理する方法が、本明細書において提供される。
語句「全身性紅斑性狼瘡」は、本明細書においてSLE及び狼瘡と互換的に使用され、且つ当該技術分野において公知のこの疾患の全ての兆候(寛解及び再燃を含む)を指す。SLEにおいて、Bリンパ球の異常な高活性及び免疫グロブリンγ(IgG)自己-抗体の大量の異常な産生は、重要な役割を果たす。この病理進行過程は、 Ig-コートされた細胞の隔離(sequestration)及び破壊、補体タンパク質の固定及び切断、並びに走化物質、血管作用性ペプチド及び破壊酵素の組織への放出を生じる(Hahn BHの文献、「全身性紅斑性狼瘡(Systemic Lupus Erythematosus)」、Kasper DL、Braunwald E、Fauci AS、Hauser SL、Longo DL、Jameson, JL編集、ハリソン内科学(Harrison's Principles of Internal Medicine))(第16版)、ニューヨーク(US):McGraw-Hill社;2005年、1960-1967頁)。
SLEの症状は、個人毎に変動し、現れたり消えたりする。ほとんどの患者において、その症状は、関節痛及び腫脹を含む。頻繁に影響を受ける関節は、指、手、手首、及び膝である。一部の患者は、関節炎を発症する。他の一般的症状は、以下を含む:深呼吸した際の胸痛、疲労、他の原因のない発熱、全身の不快感、不安感(uneasiness)、又は嫌悪感(不快感)、脱毛、口内びらん、腫れたリンパ節、太陽光に対する過敏、皮膚発疹−頬及び鼻梁を覆う「蝶形」発疹は、SLE患者のほぼ半分を冒し、一部の患者において、この発疹は太陽光により増悪し、且つこの発疹はまた広がり得る。
他の症状は、体のどの部位が冒されたかによって左右され、且つ以下を含み得る:
脳及び神経系:頭痛、無感覚、うずき、発作、視覚の問題、人格の変化、
消化管:異常な疼痛、悪心、及び吐気、
心臓:異常な心拍(不整脈)
肺:喀血及び呼吸困難、並びに
皮膚:斑状皮膚変色、寒冷時変色した指(レイノー現象)。
一部の患者は、皮膚症状のみを有する。これは、円板状狼瘡と称される。
一実施態様において、中等度、重度、又は非常に重度のSLEを治療する方法が、本明細書において提供される。本明細書において使用される用語「重度SLE」とは、患者が、1種以上の重度又は生命を脅かす症状(溶血性貧血、広範な心肺の関与、腎疾患、又は中枢神経系の関与など)を有するSLE状態をいう。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含む、SLEに関連した1種以上の臨床上のエンドポイントを達成する方法が、本明細書において提供される。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の有効量を、患者へ投与することを含む、全生存期間、奏功率、無増悪期間、無増悪生存期間及び/又は治療成功期間を増加する方法が、本明細書において提供される。
ある実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、形質芽球期への初代ヒト記憶CD19+ B細胞の分化を阻害する様に作用する。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、細胞を未熟段階でブロックし、それにより高レベルの免疫グロブリンを産生することが可能である形質芽球の数を減少すると考えられる。この作用の機能的結果は、これらの分化培養物における、減少した免疫グロブリンG(IgG)及び免疫グロブリンM(IgM)の産生である。
ある実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、初代ヒト記憶CD19+ B細胞の形質芽球期へと分化する能力を阻害する。ある実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、短期培養において、成熟CD138+形質細胞に対し有意な作用を有さない。ある実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、インターフェロン調節因子4(IRF4)、リンパ球-誘導型成熟タンパク質(BLIMP)、X-ボックス-タンパク質-1(XBP-1)及びB細胞リンパ腫6(Bcl6)を含む、B細胞分化因子を阻害する。
さらに、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体を使用し、他の免疫関連疾患又は状態を治療、管理又は予防する方法が、本明細書において提供される。ある実施態様において、例えば、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体を個体へ投与することを含む、疾患又は障害が、不適切な又は望ましくない免疫応答により引き起こされるか、あるいはそれに関連しているような疾患又は障害を、例えば免疫抑制により有益に治療され得る疾患、障害又は状態であるような、疾患又は障害を有する個体を治療する方法が、本明細書において提供される。
様々な具体的実施態様において、該免疫関連疾患は、シェーングレン症候群、ANCA-誘導型血管炎、抗リン脂質症候群、重症筋無力症、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、抗リン脂質症候群(原発性又は続発性)、喘息、自己免疫性胃炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ球増殖性疾患、自己免疫性血小板減少性紫斑病、バロ(Balo)病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、瘢痕性類天庖瘡(例えば、粘膜類天疱瘡)、寒冷凝集素病、ドゴー病、疱疹状皮膚炎、本態性混合型クリオグロブリン血症、グッドパスチャー症候群、グレーヴス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎(橋本病;自己免疫性甲状腺炎)、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、若年性関節炎、扁平苔癬、メニエール病、混合性結合組織病、斑状強皮症、発作性睡眠、神経ミオトニー、小児自己免疫性精神神経疾患(PANDA)、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、リウマチ性多発性筋痛、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変症、レイノー病(レイノー現象)、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、リウマチ熱、シェーグレン症候群、硬直人間症候群(メルシュ‐ヴォルトマン症候群)、高安動脈炎、側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)、ブドウ膜炎、血管炎(例えば、紅斑性狼瘡に無関係の血管炎)、白斑、及び/又はヴェーゲナー肉芽腫症から選択される1種以上である。
他の実施態様において、ワクチン接種と組合せた、例えばワクチンアジュバントとしての、様々な免疫学的適用における、本塩又は固体形態の使用が、本明細書において提供される。ワクチンと組合せた本明細書において提供される塩又は固体形態の使用の任意の方法及び様式が、本明細書において意図されているが、そのような使用の非限定的例は、2005年9月1日に出願された米国特許仮出願第60/712,823号に開示されている投与レジメンに従う、ワクチンアジュバントとしての、本明細書において提供される塩又は固体形態の使用であり、この仮出願はその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。これらの実施態様はまた、癌又は感染症の治療又は予防のための、ワクチンと組合せた、本明細書において提供される塩及び固体形態の使用、並びに非限定的にアレルギー反応の軽減又は脱感作などの、本明細書において提供される化合物のその他の様々な使用に関連している。
本明細書において提供される塩又は固体形態の投与量は、下記のような要因に応じて変動する:治療、予防、又は管理されるべき具体的適応症;患者の年齢及び状態;並びに、もしあれば、使用される第二の活性薬の量。ある実施態様において、本化合物の治療的又は予防的有効量は、約0.005〜約1,000mg/日、約0.01〜約500mg/日、約0.01〜約250mg/日、約0.01〜約100mg/日、約0.1〜約100mg/日、約0.5〜約100mg/日、約1〜約100mg/日、約0.01〜約50mg/日、約0.1〜約50mg/日、約0.5〜約50mg/日、約1〜約50mg/日、約0.02〜約25mg/日、又は約0.05〜約10mg/日である。
ある実施態様において、治療的又は予防的有効量は、約0.005〜約1,000mg/日、約0.01〜約500mg/日、約0.01〜約250mg/日、約0.01〜約100mg/日、約0.1〜約100mg/日、約0.5〜約100mg/日、約1〜約100mg/日、約0.01〜約50mg/日、約0.1〜約50mg/日、約0.5〜約50mg/日、約1〜約50mg/日、約0.02〜約25mg/日、又は隔日に約0.05〜約10mgである。
ある実施態様において、治療的又は予防的有効量は、1日につき約0.1、約0.2、約0.5、約1、約2、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約40、約45、約50、約60、約70、約80、約90、約100、又は約150mgである。
一実施態様において、本明細書記載の状態に関して、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の推奨される1日投与量の範囲は、好ましくは単回一日投与量として、又は一日を通じた分割量として、約0.5mg〜約50mg/日の範囲内にある。一部の実施態様において、用量は、約1mg〜約50mg/日の範囲である。他の実施態様において、用量は、約0.5〜約5mg/日の範囲である。具体的一日当たりの投与量は、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50mg/日を含む。
具体的実施態様において、推奨される開始用量は、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25又は50mg/日であることができる。別の実施態様において、推奨される開始用量は、0.5、1、2、3、4、又は5mg/日であることができる。この投与量は、15、20、25、30、35、40、45及び50mg/日まで漸増することができる。具体的実施態様において、本化合物は、NHL(例えばDLBCL)の患者へ、約25mg/日の量で投与することができる。特定の実施態様において、本化合物は、NHL(例えばDLBCL)の患者へ、約10mg/日の量で投与することができる。
ある実施態様において、治療的又は予防的有効量は、約0.001〜約100mg/kg/日、約0.01〜約50mg/kg/日、約0.01〜約25mg/kg/日、約0.01〜約10mg/kg/日、約0.01〜約9mg/kg/日、0.01〜約8mg/kg/日、約0.01〜約7mg/kg/日、約0.01〜約6mg/kg/日、約0.01〜約5mg/kg/日、約0.01〜約4mg/kg/日、約0.01〜約3mg/kg/日、約0.01〜約2mg/kg/日、又は約0.01〜約1mg/kg/日である。
投与された投与量はまた、mg/kg/日以外の単位で表すこともできる。例えば、非経口的投与に関する投与量は、mg/m2/日として表すことができる。当業者は、与えられた対象の身長又は体重のいずれか若しくはこれら両方に対する投与量を、mg/kg/日からmg/m2/日へ変換する方法を、容易に認めるであろう(www.fda.gov/cder/cancer/animalframe.htmを参照)。例えば、65kgのヒトに関して、1mg/kg/日の投与量は、38mg/m2/日とほぼ等しい。
ある実施態様において、投与される本化合物の量は、約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.02〜約25μM、約0.05〜約20μM、約0.1〜約20μM、約0.5〜約20μM、又は約1〜約20μMの範囲の、定常状態での化合物の血漿濃度を提供するのに十分である。
他の実施態様において、投与される本化合物の量は、約5〜約100nM、約5〜約50nM、約10〜約100nM、約10〜約50nM、又は約50〜約100nMの範囲の、定常状態での化合物の血漿濃度を提供するのに十分である。
本明細書において使用する用語「定常状態での血漿濃度」とは、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体のある期間の投与後に到達した濃度である。一旦定常状態に到達すると、化合物の血漿濃度の時間依存曲線上に、小さいピーク及びトラフが存在する。
ある実施態様において、投与される本化合物の量は、約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.02〜約25μM、約0.05〜約20μm、約0.1〜約20μM、約0.5〜約20μM、約1〜約20μMの範囲の、本化合物の最大血漿濃度(ピーク濃度)を提供するのに十分である。
ある実施態様において、投与される本化合物の量は、約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.01〜約25μM、約0.01〜約20μM、約0.02〜約20μM、約0.02〜約20μM、又は約0.01〜約20μMの範囲の、本化合物の最小血漿濃度(トラフ濃度)を提供するのに十分である。
ある実施態様において、投与される本化合物の量は、約100〜約100,000ng*hr/mL、約1,000〜約50,000ng*hr/mL、約5,000〜約25,000ng*hr/mL、又は約5,000〜約10,000ng*hr/mLの範囲の、本化合物の曲線下面積(AUC)を提供するのに十分である。
ある実施態様において、本明細書において提供される方法の一つにより治療されるべき患者は、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の投与の前に、抗癌療法により治療されていない。ある実施態様において、本明細書において提供される方法の一つにより治療されるべき患者は、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の投与の前に、抗癌療法により治療されている。ある実施態様において、本明細書において提供される方法の一つにより治療されるべき患者は、抗癌療法に対し薬物耐性を発症している。
本明細書において提供される方法は、一部の疾患又は障害は、ある年齢群においてより一般的であるが、患者の年齢とは関わりなく、患者を治療することを包含している。さらに、問題の疾患又は状態を治療する試みで手術を受けた患者に加え、受けていない患者を治療する方法が、本明細書において提供される。癌を伴う対象は、不均一な臨床兆候及び変動する臨床の転帰を有するので、特定の対象に与えられる治療は、患者の予後に応じて、変動し得る。熟練した臨床医は、個々の癌対象を治療するために効果的に使用することができる、具体的な二次的薬物、手術の型、及び非薬物ベースの標準療法の型を、過度の実験を伴わずに、容易に決定することができるであろう。
治療されるべき疾患及び対象の状態に応じて、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、CIV、嚢内への注射若しくは注入、皮下注射、又は埋植)、吸入、経鼻、経膣、経直腸、舌下、又は局所的(例えば、経真皮若しくは局部的)投与経路により投与することができる。化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、好適な単位用量において、単独で、又は各投与経路に適した医薬として許容し得る賦形剤、担体、アジュバント及びビヒクルと一緒に、製剤化することができる。
一実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、経口的に投与される。別の実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、非経口的に投与される。さらに別の実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、静脈内に投与される。
化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、例えば、単回ボーラス注射、又は経口錠剤若しくは丸剤などの、単回投与量として;あるいは、例えば、経時的な連続注入若しくは経時的分割ボーラス投与量など、経時的に、送達することができる。本化合物は、例えば、患者が安定した疾患若しくは寛解を経験するまで、あるいは患者が疾患進行若しくは許容し難い毒性を経験するまで、必要ならば、反復投与することができる。例えば、固形癌に関して安定した疾患とは、一般に、測定可能な病巣の直交する直径が、最後の測定から、25%又はそれ以上増大していないことを意味する。固形癌の治療効果判定のための(RECIST)ガイドライン(Journal of the National Cancer Institute, 92(3): 205-216 (2000))。安定した疾患又はそれらの欠如は、X-線、CAT、PET、又はMRI走査及び他の一般に受け容れられた評価様式を使用し画像化されている、患者症状の評価、生理的試験、腫瘍の視覚化などの、当該技術分野において公知の方法により決定される。
化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、1日1回(QD)で、又は1日2回(BID)、1日3回(TID)、及び1日4回(QID)など、複数回の1日投与量に分割して、投与することができる。加えて、投与は、連続して(すなわち、連続する日に毎日、又は毎日)、間欠的に、例えばサイクルで(すなわち、数日、数週間、又は数ヶ月の休薬期間を含む)であることができる。本明細書において使用される用語「毎日」とは、治療的化合物が、例えば、ある期間にわたり、各日に1回又は2回以上投与されることを意味することが意図されている。用語「連続」は、治療的化合物が、少なくとも10日間から52週間までの断続されることのない期間、毎日投与されることを意味することが意図されている。本明細書において使用される用語「断続」又は「断続的に」とは、規則的間隔又は不規則な間隔のいずれかで、停止及び開始することを意味することが意図されている。例えば、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体の断続的投与は、1週間につき1〜6日間の投与、サイクル投与(例えば、2〜8連続する週について毎日投与、その後最大1週間は投与しない休薬期間)、又は隔日投与である。本明細書において使用される用語「サイクル」は、治療的化合物が、休薬期間を伴い、毎日又は連続して投与されることを意味することが意図されている。
一部の実施態様において、投与頻度は、約1日投与量から約1月投与量までの範囲である。ある実施態様において、投与は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、隔日1回、週2回、週1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回である。一実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、1日1回投与される。別の実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、1日2回投与される。また別の実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、1日3回投与される。さらに別の実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、1日4回投与される。
ある実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、1日から6ヶ月まで、1週間から3ヶ月まで、1週間から4週間まで、1週間から3週間まで、又は1週間から2週間まで、1日1回投与される。ある実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、1週間、2週間、3週間、又は4週間、1日1回投与される。一実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、1週間、1日1回投与される。別の実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、2週間、1日1回投与される。また別の実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、3週間、1日1回投与される。さらに別の実施態様において、化合物(I)の固体形態、化合物(I)の塩、化合物(I)の塩の固体形態、又はそれらの立体異性体は、4週間、1日1回投与される。
(5.5 癌承認のための臨床試験エンドポイント)
「全生存期間」は、無作為化から何らかの理由による死亡までの時間として定義され、且つ治療企図解析(ITT)集団において測定される。全生存期間は、ランダム化対照比較試験において評価されるべきである。全生存期間において統計学的に有意な改善を示すのは、毒性プロファイルが許容し得る場合に、臨床的に有意であると考えることができ、且つ新薬承認を裏付けることが多い。
いくつかのエンドポイントが、腫瘍評価を基にしている。これらのエンドポイントは、無病生存期間(DFS)、奏功率(ORR)、無増悪期間(TTP)、無増悪生存期間(PFS)、及び治療成功期間(TTF)を含む。これらの時間依存式エンドポイントのデータの収集及び解析は、間接的評価、計算、及び概算(例えば、腫瘍測定)を基にしている。
一般に「無病生存期間」(DFS)は、無作為化から腫瘍の再発又は何らかの原因による死亡までの時間として定義される。全生存期間は、ほとんどの補助的設定についての慣習的エンドポイントであるが、DFSは、生存が延長され、生存エンドポイントが実用的でなくなるような状況において、重要なエンドポイントであることができる。DFSは、臨床的有用性の代替であることができるか、又はこれは、臨床的有用性の直接の証拠を提供することができる。この決定は、効果の大きさ、そのリスク-ベネフィットの相関関係、及び疾患状況を基にしている。DFSの定義は、特に前もって腫瘍進行が文書化されずに死亡が記録された場合に、複雑であることができる。これらの事象は、疾患再発として又は打ち切り事象としてのいずれかでスコア化することができる。死亡の統計解析の全ての方法にはいくつかの制限があるが、再発として全ての死亡(あらゆる原因による死亡)を考慮し、バイアスを最小化することができる。DFSは、この定義を使用し、特に長期間観察せずに死亡した患者において、過大評価され得る。バイアスは、長期にわたる経過観察来院の頻度が、試験アーム間で類似しない場合、又は脱落例が毒性のために無作為化されない場合に、導入することができる。
「奏功率」(ORR)は、予め規定された量及び最短の時間間隔について、腫瘍サイズ減少を伴う患者の割合として定義される。反応期間は通常、最初の反応の時点から文書化された腫瘍進行まで測定される。一般に、FDAは、ORRを、部分奏効と完全奏効の合計として定義している。この様式で定義される場合、ORRは、薬物の抗腫瘍活性の直接測定であり、これは単-アーム試験において評価することができる。利用可能である場合は、標準化された判定基準が、反応を評価するために使用されるべきである。様々な反応判定基準(例えば、RECIST判定基準)が適していると考えられている(Therasseらの文献、(2000) J. Natl. Cancer Inst, 92: 205-16)。ORRの有意性は、その大きさ及び期間、並びに完全奏効(腫瘍の検出可能な証拠がない)の割合により評価される。
「無増悪期間」(TTP)及び「無増悪生存期間」(PFS)は、薬物承認のための主要エンドポイントとして役立つ。TTPは、無作為化から他覚腫瘍進行までの時間として定義され;TTPは死亡を含まない。PFSは、無作為化から他覚腫瘍進行又は死亡までの時間として定義される。TTPと比べ、PFSは、好ましい規制エンドポイントである。PFSは死亡を含み、結果的に全生存期間により良く相関し得る。PFSは、患者の死亡は、腫瘍進行とは無作為に関連していると仮定する。しかし、死亡の大半が癌とは無関係である状況において、TTPは、許容し得るエンドポイントであることができる。
薬物承認を支援するエンドポイントとして、PFSは、腫瘍増殖を反映することができ、且つ生存利益の決定前に評価され得る。その決定は、後続の療法により混乱されない。所定の試料サイズに関して、PFSに対する作用の大きさは、全生存期間に対する作用よりも大きいことができる。しかし存在する多くの異なる悪性疾患に関する生存の代替としての正式なPFSのバリデーションは、困難であり得る。データは時には、生存に対する作用とPFSの間の相関関係を強固に評価するには不充分である。癌治験は、小規模であることが多く、且つ現存する薬物の証明された生存利益は、一般に控えめである。ライセンス供与承認を裏付けるエンドポイントとしてのPFSの役割は、異なる癌設定において変動する。PFSの改善が、直接の臨床的有用性を又は臨床的有用性の代替を表しているかどうかは、利用可能な療法と比較した、新規治療の効果の大きさ及びリスク-ベネフィットに応じて変動する。
「治療成功期間」(TTF)は、無作為化から、疾患進行、治療毒性、及び死亡を含む何らかの理由による治療の中断までの時間を測定する、複合エンドポイントとして定義される。TTFは、薬物承認のための規制エンドポイントとしては推奨されない。TTFは、これらの追加の変数から、有効性を適切に識別しない。規制エンドポイントは、薬物の有効性を、毒性、患者若しくは医師の離脱、又は患者の不耐性から明確に識別しなければならない。
(5.6 第二活性薬)
本明細書において提供される塩又は固体形態は、本明細書において提供される方法及び組成物において、他の薬理学的活性化合物(「第二活性薬」)と組合せることができる。ある種の組合せは、特定の型の疾患又は障害の、並びにそのような疾患又は障害に関連した状態及び症状の治療において、相乗的に働き得る。塩又は固体形態はまた、ある種の第二活性薬に関連した有害作用を緩和するよう働くことができ、またその逆も同様である。
1種以上の第二の活性成分又は薬剤を、本明細書において提供される方法及び組成物において使用することができる。第二活性薬は、大型分子(例えばタンパク質)又は小型分子(例えば、合成無機分子、有機金属分子、又は有機分子)であることができる。
大型分子の活性薬の例としては、造血成長因子、サイトカイン、並びにモノクローナル及びポリクローナル抗体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの活性薬の具体例は、抗-CD40モノクローナル抗体(例えば、SGN-40など);ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、SAHA及びLAQ 824など);ヒートショックタンパク質-90阻害剤(例えば、17-AAGなど);インスリン-様増殖因子-1受容体キナーゼ阻害剤;血管内皮増殖因子受容体キナーゼ阻害剤(例えば、PTK787など);インスリン増殖因子受容体阻害剤;リゾホスファチジン酸アシル基転移酵素阻害剤;IκBキナーゼ阻害剤;p38MAPK阻害剤;EGFR阻害剤(例えば、ゲフィチニブ及びエルロチニブHCLなど);HER-2抗体(例えば、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))及びペルツズマブ(オムニターグ(商標))など);VEGFR抗体(例えば、ベバシズマブ(アバスチン(商標))など);VEGFR阻害剤(例えば、flk-1特異的キナーゼ阻害剤、SU5416及びptk787/zk222584など);PI3K阻害剤(例えば、ウォルトマニンなど);C-Met阻害剤(例えば、PHA-665752など);モノクローナル抗体(例えば、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、トシツモマブ(ベキサール(登録商標))、エドレコロマブ(パノレックス(登録商標))及びG250など);並びに、抗-TNF-α抗体がある。小型分子活性薬の例としては、抗癌剤及び抗生物質(例えば、クラリスロマイシン)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ある実施態様において、大型分子活性薬は、天然に生じた又は人工的に作製されたタンパク質などの、生物学的分子である。本開示において特に有用なタンパク質は、インビトロ又はインビボにおいて造血前駆体細胞及び免疫学的活性のある造血(poietic)細胞の生存及び/又は増殖を刺激するタンパク質を含む。他のものは、インビトロ又はインビボにおいて細胞内の拘束された赤血球前駆細胞の分裂及び分化を刺激する。特定のタンパク質としては、インターロイキン、例えばIL-2(組換えIL-II(「rIL2」)及びカナリアポックスIL-2を含む)、IL-10、IL-12、及びIL-18など;インターフェロン、例えばインターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-n1、インターフェロンα-n3、インターフェロンβ-Ia、及びインターフェロンγ-Ibなど;GM-CF及びGM-CSF;GC-CSF、BCG、癌抗体、及びEPOが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本開示の方法及び組成物において使用することができる特定のタンパク質としては、米国において商品名NEUPOGEN(登録商標)(Amgen社、サザンオーク、CA)で販売されているフィルグラスチム;米国において商品名LEUKINE(登録商標)(Immunex社、シアトル、WA)で販売されている サルグラモスチム;及び、米国において商品名EPGEN(登録商標)(Amgen社、サザンオーク、CA)で販売されている組換えEPOが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ActRII受容体の阻害剤又はアクチビン-ActRII阻害剤を、本明細書において提供される方法及び組成物において使用することができる。ActRII受容体の阻害剤は、ActRIIA阻害剤及びActRIIB阻害剤を含む。ActRII受容体の阻害剤は、ActRIIのアクチビン-結合ドメインを含むポリペプチドであることができる。ある実施態様において、アクチビン-結合ドメインを含むポリペプチドは、抗体のFc部分に連結される(すなわち、ActRII受容体のアクチビン-結合ドメインを含むポリペプチド及び抗体のFc部分を含む複合体が、作製される)。ある実施態様において、アクチビン-結合ドメインは、抗体のFc部分へ、リンカーを介して、例えばペプチドリンカーを介して、連結されている。そのようなアクチビン又はActRIIA結合のために選択された非-抗体タンパク質の例、並びにこれを設計及び選択する方法は、WO/2002/088171、WO/2006/055689、WO/2002/032925、WO/2005/037989、US 2003/0133939、及びUS 2005/0238646に認められ、これらは各々その全体が引用により本明細書中に組み込まれている。一実施態様において、ActRII受容体の阻害剤は、ACE-11である。別の実施態様において、ActRII受容体の阻害剤は、ACE-536である。
GM-CSFの組換え体及び変異型は、米国特許第5,391,485号;第5,393,870号;及び、第5,229,496号に記載されたように、調製することができ;これらの各特許の開示は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている。G-CSFの組換え体及び変異型は、米国特許第4,810,643号;第4,999,291号;第5,528,823号;及び、第5,580,755号に記載されたように、調製することができ;これらの各特許の開示は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
本開示は、未変性のタンパク質、天然に生じるタンパク質、及び組換えタンパク質の使用を包含している。本開示はさらに、インビボにおいて、それらがベースにしているタンパク質の薬理活性の少なくとも一部を示す、天然に生じるタンパク質の変異体及び誘導体(例えば、修飾型)を包含している。変異体の例としては、そのタンパク質の天然に生じる型の対応する残基とは異なるアミノ酸残基を1つ以上有するタンパク質が挙げられるが、これに限定されるものではない。同じく、用語「変異体」は、それらの天然に生じる型において通常存在する糖部分を欠いているタンパク質(例えば、非グリコシル化型)も包含している。誘導体の例としては、ペグ化誘導体、並びに関心対象のタンパク質又はタンパク質の活性部分へIgG1又はIgG3を融合することにより形成されるタンパク質などの、融合タンパク質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、Penichet, M.L.及びMorrison, S.L.の文献、J. Immunol. Methods 248:91-101 (2001)を参照されたい。
本明細書において提供される化合物と組合せて使用することができる抗体は、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を含む。抗体の例としては、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、ベバシズマブ(アバスチン(商標))、ペルツズマブ(オムニターグ(商標))、トシツモマブ(ベキサール(登録商標))、エドレコロマブ(パノレックス(登録商標))、パニツムマブ及びG250が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書において提供される化合物は、抗-TNF-α抗体と組合せるか又は組合せて使用することもできる。
大型分子活性薬は、抗癌ワクチンの形で投与することができる。例えば、IL-2、SCF、CXCl4(血小板因子4)、G-CSF、及びGM-CSFなどのサイトカインを分泌するか又はこれらの分泌を引き起こすワクチンを、本開示の方法、医薬組成物、及びキットにおいて使用することができる。例えば、Emens, L.A.らの文献、Curr. Opinion Mol. Ther. 3(l):77-84 (2001)を参照されたい。
小型分子である第二活性薬も、本明細書において提供される化合物の投与に関連した有害作用を緩和するために使用することができる。しかし一部の大型分子同様、多くは、本明細書において提供される化合物と共に(例えば、前に、後に又は同時に)投与される場合、相乗効果を提供することが可能であると考えられる。小型分子の第二活性薬の例としては、抗癌剤、抗生物質、免疫抑制薬、及びステロイドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において提供される化合物と組合せることができる具体的第二活性化合物は、治療、予防又は管理されるべき具体的適応症に応じて決まる。
例えば、癌の治療、予防又は管理のための第二活性薬としては、以下が挙げられるが、これらに限定されるものではない:セマキサニブ;シクロスポリン;エタネルセプト;ドキシサイクリン;ボルテゾミブ;ラパチニブ(タイカーブ(登録商標));アブラキサン;ace-11;アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アムルビシン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ジメシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;セレコキシブ(COX-2阻害剤);クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクォン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキサート;塩酸エフロルニチン;エルサミツルシン;エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸エステルナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロキシウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ハーセプチン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン;イプロプラチン;イリノテカン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;ラパチニブ;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲステロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ロミデプシン;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン; PDA-001などの幹細胞治療薬;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;タキソテレ;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;及び、塩酸ゾルビシン。
他の第二の薬剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されるものではない:20-epi-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TK拮抗薬;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗-背側化形態形成タンパク質-1;抗アンドロゲン物質、前立腺癌;抗エストロゲン物質;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィディコリン;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節因子;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABL拮抗薬;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;β-アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来の阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロルルンス(chlorlns);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェンアナログ;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチンアナログ;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシンA;シクロペンタンセラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクフォスファート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロダイデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デキスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクォン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタキソール,9-;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメネ;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチンアナログ;エストロゲン作動薬;エストロゲン拮抗薬;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エクセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;ホルフェニメクス;ホルメスタン;ホストリエシン;ホテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イマチニブ(グリーベック(登録商標))、イミキモド;免疫賦活ペプチド;インスリン-様増殖因子-1受容体阻害剤;インターフェロン作動薬;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール,4-;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;三酢酸ラメラリン-N;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトールスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミソール;リアロゾール;線状ポリアミンアナログ;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;細胞溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシンアナログ;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞増殖因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;エルビタックス、ヒト絨毛膜ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム細胞壁スケルトン(sk);モピダモール;マスタード抗癌剤;マイカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換型ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;窒素酸化物の抗酸化剤;ニトルリン;オブリメルセン(ゲナセンス(登録商標));O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘発薬;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセルアナログ;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ポリ硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニル酢酸;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金-トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニソン;プロピルビスアクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインA系免疫調節物質;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤、ミクロアルガル;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ポリオキシエチレンヘモグロビン重合体;raf拮抗剤;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質転移酵素阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチルレテリプチン;レニウム(Re186)エチドロン酸;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメクス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1様物質;セムスチン;老化由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプテイトナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;スチピアミド;ストロメライシン阻害剤;スルフィノシン;過活動性血管作動性腸管ペプチド拮抗薬;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン様物質;チマルファシン;チモポイエチン受容体アゴニスト;サイモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;エチルエチオプルプリン錫;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来増殖阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベラレソール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;及び、ジノスタチンスチマラマー。
一実施態様において、第二活性薬は、プロテアソーム阻害剤である。一実施態様において、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガレート、サリノスポラミドA、カーフィルゾミブ、ONX 0912、CEP-18770、又はMLN9708である。
一実施態様において、第二活性薬は、HDAC阻害剤である。一実施態様において、HDAC阻害剤は、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、ベリノスタット、モセチノスタット、アベキシノスタット、エンチノスタット、SB939、レミノスタット、ギビノスタット、CUDC-101、AR-42、CHR-2845、CHR-3996、4SC-202、CG200745、ACY-1215、スルホラファン、ケベトリン、又はトリコスタチンAである。
一実施態様において、第二活性薬は、有糸分裂阻害剤である。一実施態様において、有糸分裂阻害剤は、タキサン、ビンカアルカロイド、又はコルヒチンである。一実施態様において、タキサンは、パクリタキセル(アブラキサン)又はドセタキセルである。一実施態様において、ビンカアルカロイドは、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、又はビノレルビンである。
具体的第二活性薬としては、2-メトキシエストラジオール、テロメスタチン、多発性骨髄腫細胞におけるアポトーシス誘導因子(例えばTRAILなど)、スタチン、セマキサニブ、シクロスポリン、エタネルセプト、ドキシサイクリン、ボルテゾミブ、オブリメルセン(ゲナセンス(登録商標))、レミケード、ドセタキセル、セレコキシブ、メルファラン、デキサメタゾン(デカドロン(登録商標))、ステロイド、ゲムシタビン、シスプラチナム、テモゾロミド、エトポシド、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデル、タモキシフェン、トポテカン、メトトレキセート、Arisa(登録商標)、タキソール、タキソテレ、フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、キセロダ、CPT-11、インターフェロンα、ペグ化インターフェロンα(例えばPEGイントロン-A)、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、ダウノルビシンリポソーム製剤、シタラビン、ドキセタキソール、パシリタキセル、ビンブラスチン、IL-2、GM-CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、ビアキシン、ブスルファン、プレドニソン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン(ドキシル(登録商標))、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、リン酸エストラムスチンナトリウム(エムシト(登録商標))、スリンダク、及びエトポシドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
別の実施態様において、治療、予防、又は管理されるべき適応症に準じた具体的第二活性薬の例は、以下の参考文献において認められ、これらは全て引用によりそれらの全体が本明細書中に組み込まれている:米国特許第6,281,230号及び第5,635,517号;米国特許公報第2004/0220144号、第2004/0190609号、第2004/0087546号、第2005/0203142号、第2004/0091455号、第2005/0100529号、第2005/0214328号、第2005/0239842号、第2006/0154880号、第2006/0122228号、及び第2005/0143344号;並びに、米国特許仮出願第60/631,870号。
疼痛の治療、予防及び/又は管理に使用することができる第二活性薬の例としてはは、疼痛の治療又は予防に使用される常用の治療薬、例えば抗うつ薬、抗痙攣薬、降圧薬、抗不安薬、カルシウムチャネル遮断薬、筋弛緩薬、非-麻薬性鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬、抗炎症薬、cox-2阻害剤、免疫調節薬、αアドレナリン作動性受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、免疫抑制薬、コルチコステロイド、高圧酸素、ケタミン、他の麻酔剤、NMDAアンタゴニスト、並びに例えば「米国医薬品便覧(PDR)」(2003)に認められる他の治療薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体例としては、アセチルサリチル酸(アスピリン(登録商標))、セレコキシブ(セレブレックス(登録商標))、エンブレル(登録商標)、ケタミン、ガバペンチン(ニューロンチン(登録商標))、フェニトイン(ジランチン(登録商標))、カルバマゼピン(テグレトール(登録商標))、オキシカルバゼピン(トリレプタール(登録商標))、バルプロ酸(デパケン(登録商標))、硫酸モルヒネ、ヒドロモルフォン、プレドニソン、グリセオフルビン、ペントニウム、アレンドロネート、ジフェンヒドラミド、グアネチジン、ケトロラク(アキュラー(登録商標))、サイロカルシトニン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロニジン(カタプレス(登録商標))、ブレチリウム、ケタンセリン、レセルピン、ドロペリドール、アトロピン、フェントラミン、ブピバカイン、リドカイン、アセトアミノフェン、ノルトリプチリン(パメロール(登録商標))、アミトリプチリン(エラビル(登録商標))、イミプラミン(トフラニール(登録商標))、ドキセピン(サイネクアン(登録商標))、クロミプラミン(アナフラニール(登録商標))、フルオキセチン(プロザック(登録商標))、セルトラリン(ゾロフト(登録商標))、ナプロキセン、ネファゾドン(サーゾーン(登録商標))、ベンラファキシン(エフェキソール(登録商標))、トラゾドン(デジレル(登録商標))、ブプロピオン(ウェルブトリン(登録商標))、メキシレチン、ニフェジピン、プロプラノロール、トラマドール、ラモトリギン、バイオックス、ジコノチド、ケタミン、デキストロメトルファン、ベンゾジアゼピン、バクロフェン、チザニジン及びフェノキシベンズアミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
黄斑変性及び関連症候群の治療、予防及び/又は管理に使用することができる第二活性薬の例としては、ステロイド、光増感剤、インテグリン、抗酸化剤、インターフェロン、キサンチン誘導体、成長ホルモン、神経栄養因子、血管新生の調節因子、抗-VEGF抗体、プロスタグランジン、抗生物質、フィトエストロゲン、抗炎症化合物若しくは血管新生抑制化合物、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体例としては、ベルテポルフィン、プルリチン(purlytin)、血管新生抑制ステロイド、rhuFab、インターフェロン-2α、ペントキシフィリン、エチオプルプリン錫、モテクサフィン、ルセンティス、ルテチウム、9-フルオロ-11,21-ジヒドロキシ-16、17-1-メチルエチリジンビス(オキシ)プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン、ラタノプロスト(米国特許第6,225,348号参照)、テトラサイクリン及びその誘導体、リファマイシン及びその誘導体、マクロライド、メトロニダゾール(米国特許第6,218,369号及び第6,015,803号)、ゲニステイン、ゲニスチン、6'-O-Malゲニスチン、6'-O-Acゲニスチン、ダイゼイン、ダイドジン、6'-O-Malダイドジン、6'-O-Acダイドジン、グリシテイン、グリシチン、6'-O-Malグリシチン、ビオチャニンA、フォルモノネチン(米国特許第6,001,368号)、トリアムシノロンアセトアミド、デキサメタゾン(米国特許第5,770,589号)、サリドマイド、グルタチオン(米国特許第5,632,984号)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、トランスフォーミング増殖因子b(TGF-b)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、プラスミノーゲン活性化因子2型(PAI-2)、EYE101(Eyetech Pharmaceuticals社)、LY333531(Eli Lilly社)、ミラバント、及びRETISERTインプラント(Bausch & Lomb社)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書に列記された参考文献は全て、引用によりそれらの全体が本明細書中に組み込まれている。
皮膚疾患の治療、予防及び/又は管理に使用することができる第二活性薬の例としては、角質溶解薬、レチノイド、α-ヒドロキシ酸、抗生物質、コラーゲン、ボツリヌス毒素、インターフェロン、ステロイド、及び免疫調節薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体例としては、5-フルオロウラシル、マソプロコール、トリクロロ酢酸、サリチル酸、乳酸、乳酸アンモニウム、尿素、トレチノイン、イソトレチノイン、抗生物質、コラーゲン、ボツリヌス毒素、インターフェロン、コルチコステロイド、トランスレチノイン酸、並びにヒト胎盤コラーゲン、動物胎盤コラーゲン、Dermalogen、AlloDerm、Fascia、Cymetra、Autologen、Zyderm、Zyplast、Resoplast、及びIsolagenなどのコラーゲンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
免疫不全疾患の治療、予防及び/又は管理に使用することができる第二活性薬の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されるものではない:非限定的にアンピシリン、テトラサイクリン、ペニシリン、セファロスポリン、ストレプトマイシン、カナマイシン、及びエリスロマイシンなどの、抗生物質(治療薬又は予防薬);非限定的にアマンタジン、リマンタジン、アシクロビル、及びリバビリンなどの、抗ウイルス薬;免疫グロブリン;血漿;非限定的にレバミゾール及びイソプリノシンなどの、免疫賦活薬;非限定的にγグロブリン、伝達因子、インターロイキン、及びインターフェロンなどの生物製剤;非限定的に胸腺ホルモンなどの、ホルモン;並びに、非限定的にB細胞刺激因子(例えばBAFF/BlyS)、サイトカイン(例えばIL-2、IL-4、及びIL-5)、増殖因子(例えばTGF-α)、抗体(例えば抗-CD40及びIgM)、非メチル化CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド、及びワクチン(例えばウイルスワクチン及び腫瘍ペプチドワクチン)などの、その他の免疫薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
睡眠障害及び関連症候群の治療、予防及び/又は管理に使用することができる第二活性薬の例としては、三環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取込み阻害薬、抗てんかん薬(ガバペンチン、プレガバリン、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、レベチラセタム、トピラマート)、抗不整脈薬、ナトリウムチャネル遮断薬、選択的炎症メディエーター阻害薬、オピオイド剤、第二の免疫調節化合物、併用薬、及び睡眠療法に使用されるその他の公知若しくは常用の薬剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体例としては、ニューロンチン、オキシコンチン、モルヒネ、トピラマート、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、カルバマゼピン、レボドパ、L-DOPA、コカイン、α-メチル-チロシン、レセルピン、テトラベナジン、ベンゾトロピン、パルギリン、メシル酸フェノドルパム、カベルゴリン、プラミペキソール二塩酸塩、ロピニロール、塩酸アマンタジン、塩酸セレギリン、カルビドパ、メシル酸ペルゴリド、シネメットCR、シンメトレル、イプロニアジド、クロルギリン、フェネルジン、イソカルボキサジド、トルカポン、エンタカポン、サリチル酸フィゾスチグミン、硫酸フィゾスチグミン、臭化フィゾスチグミン、臭化メオスチグミン、メチル硫酸ネオスチグミン、塩化アンベノニウム、塩化エドロホニウム、タクリン、塩化プラリドキシム、塩化オビドキシム、臭化トリメドキシム、ジアセチルモノキシム、エドロホニウム、ピリドスチグミン、デメカリウム、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、セレコキシブ、スリンダク、オキサプロジン、ジフルニサル、エトドラク、メロキシカム、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、レフェコキシブ、メトトレキセート、レフルノミド、スルファサラジン、金塩、RHo-D免疫グロブリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、アザチオプリン、タクロリムス、バシリキシマブ、ダクリツマブ、サリチル酸、アセチルサリチル酸、メチルサリチル酸、ジフルニサル、サルサラート、オルサラジン、スルファサラジン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダク、メフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、トルメチン、ケトロラク、ジクロフェナック、フルルビプロフェン(flurbinprofen)、オキサプロジン、ピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、ドロキシカム、ピボキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、アンチピリン、アミノピリン、アパゾン、ジレウトン、アウロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、メトトレキセート、コルヒチン、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、ベタメタゾン及び他の糖質コルチコイド、メトクロプロミド、ドンペリドン、プロクロルペラジン、プロメタジン、クロルプロマジン、トリメトベンズアミド、オンダンセトロン、グラニセトロン、ヒドロキシジン、アセチルロイシンモノエタノールアミン、アリザプリド、アザセトロン、ベンゾキナミド、ビエタナウチン(bietanautine)、ブロモプリド、ブクリジン、クレボプリド、シクリジン、ジメンヒドリナート、ジフェニドール、ドラセトロン、メクリジン、メタラタール、メトピマジン、ナビロン、オキシペルンジル、ピパマジン、スコポラミン、スルピリド、テトラヒドロカンナビノール、チエチルペラジン、チオプロペラジン、トロピセトロン、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
異常ヘモグロビン症及び関連障害の治療、予防及び/又は管理に使用することができる第二活性薬の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されるものではない:IL-2(組換えIL-II("rIL2")及びカナリアポックスIL-2を含む)、IL-10、IL-12、及びIL-18などの、インターロイキン;インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-n1、インターフェロンα-n3、インターフェロンβ-Ia、及びインターフェロンγ-Ibなどの、インターフェロン;並びに、G-CSF;ヒドロキシ尿素;ブチラート又はブチラート誘導体;亜酸化窒素;ヒドロキシ尿素;HEMOXIN(商標)(NIPRISAN(商標));米国特許第5,800,819号参照);クロトリマゾール及びトリアリールメタン誘導体などの、ガルドスチャンネルアンタゴニスト;デフェロキサミン;プロテインC;並びに、血液、又はHemospan(商標)若しくはHemospan(商標)PS(Sangart社)などの代替血液の注入。
本明細書において提供される塩又は固体形態及び第二活性薬の患者への投与は、同じ又は異なる投与経路により、同時又は逐次行うことができる。特定の活性薬のために利用される特定の投与経路の適性は、活性薬それ自身(例えば、それが血流に進入する前に分解されることなく経口投与することができるかどうか)及び治療される疾患によって決まる。本明細書において提供される化合物に関する投与の一つは、経口である。第二活性薬又は成分の投与経路は、当業者に公知である。例えば「米国医薬品便覧(PDR)」(第60版、2006)を参照されたい。
一実施態様において、第二活性薬は、静脈内又は皮下に、約1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、又は約50〜約200mgの量で1日1又は2回、投与される。第二活性薬の具体的な量は、使用される具体的薬剤、治療又は管理されるべき疾患の種類、疾患の重症度及び病期、並びに患者へ同時投与される本明細書において提供される化合物及び任意に追加される活性薬の量により決まるであろう。
本明細書別所において考察するように、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法及び免疫療法を含むが、これらに限定されるものではない、通常の療法に関連した有害作用又は望ましくない作用を軽減、治療及び/又は予防する方法も、包含される。本明細書において提供される塩及び固体形態並びに他の活性成分は、通常の療法に関連した有害作用の発生前、発生時、又は発生後に、患者へ投与することができる。
(5.7 循環療法)
ある実施態様において、本明細書において提供される予防薬又は治療薬は、患者へ循環投与される。循環療法は、ある期間の活性薬の投与、それに続くある期間の休薬(すなわち、投与の中断)、及びこの逐次投与の繰り返しに関与している。循環療法は、1種以上の療法に対する抵抗性の発生を低下し、これらの療法の一つの副作用を回避又は軽減し、及び/又は治療の有効性を改善することができる。
結果的に一実施態様において、本明細書において提供される塩又は固体形態は、約1週間又は2週間の休薬期間を伴い、4〜6週間のサイクルで単回投与量又は分割投与量が、毎日投与される。循環療法はさらに、投薬サイクルの頻度、回数及び長さを増大することが可能である。従って別の実施態様は、それが単独で投与される場合の典型よりも、より多いサイクルでの、本明細書において提供される化合物の投与を包含している。さらに別の実施態様において、本明細書において提供される塩又は固体形態は、第二活性成分が投与されない患者において、典型的には投与量を制限する毒性を引き起こすサイクルよりも、より大きいサイクル数で投与される。
一実施態様において、本明細書において提供される塩又は固体形態は、投与量約0.1mg〜約500mg/日で3又は4週間、毎日且つ連続して投与され、その後1又は2週間休薬する。他の実施態様において、投与量は、約1mg〜約300mg、約0.1mg〜約150mg、約1mg〜約200mg、約10mg〜約100mg、約0.1mg〜約50mg、約1mg〜約50mg、約10mg〜約50mg、約20mg〜約30mg、又は約1mg〜約20mgであり、それに休薬が続く。
一実施態様において、本明細書において提供される塩又は固体形態及び第二活性成分は、経口投与され、4〜6週間のサイクルの期間、第二活性成分投与の30〜60分前に本明細書において提供される化合物が投与される。別の実施態様において、本明細書において提供される化合物及び第二活性成分の組合せは、約90分間にわたる各サイクルで、静脈内注入により投与される。
典型的には、その期間にこの組合せ治療が患者へ投与されるサイクルの回数は、約1〜約24サイクル、約2〜約16サイクル、又は約4〜約3サイクルであろう。
(5.8 医薬組成物及び剤形)
医薬組成物は、個々の、単一単位剤形の調製において使用することができる。本明細書に提供される医薬組成物及び剤形は、本明細書に提供される塩又は固体形態を含む。医薬組成物及び剤形は、1以上の賦形剤をさらに含むことができる。
本明細書に提供される医薬組成物及び剤形は、1以上の追加の活性成分を含むこともできる。任意の第二の又は追加の活性成分の例は、先に明らかにされている。
本明細書に提供される単一単位剤形は、患者に対する経口投与、粘膜投与(例えば、鼻腔投与、舌下投与、膣投与、口腔投与、又は直腸投与)、非経口投与(例えば、皮下投与、静脈内投与、ボーラス注射、筋肉内投与、又は動脈内投与)、局所投与(例えば、点眼薬又は他の眼科調製物)、経皮(transdermal)又は経皮(transcutaneous)投与に好適である。剤形の例としては:錠剤;カプレット剤;カプセル剤、例えば、軟弾性ゼラチンカプセル剤;カシェ剤;トローチ剤;舐剤;分散剤;坐剤;散剤;エアゾール剤(例えば、鼻スプレー剤又は吸入剤);ゲル剤;懸濁剤(例えば、水性もしくは非水性液体懸濁剤、水中油型乳剤、又は油中水液体型乳剤)、液剤、及びエリキシル剤を含む、患者に対する経口又は粘膜投与に好適な液体剤形;患者に対する非経口投与に好適な液体剤形;局所投与に好適な点眼薬又は他の眼科調製物;並びに、患者に対する非経口投与に好適な液体剤形を提供するために再構成することができる滅菌固体(例えば、結晶性又は非晶質固体)が挙げられるが、これらに限定されない。
剤形の組成、形状、及び種類は、典型的には、それらの用途に応じて異なる。例えば、疾患の急性治療において使用される剤形は、同じ疾患の慢性治療において使用される剤形よりも多くの量のそれが含む1以上の活性成分を含むことができる。同様に、非経口剤形は、同じ疾患を治療するのに使用される経口剤形よりも少ない量のそれが含む1以上の活性成分を含むことができる。具体的な剤形が使用されるこれらの及びその他の方法は、互いに異なることは、当業者には明白であろう。例えば、「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第20版、Mack Publishing社, イーストン PA(2000)を参照されたい。
一実施態様において、医薬組成物及び剤形は、1以上の賦形剤を含む。好適な賦形剤は、薬学の分野の当業者に周知であり、好適な賦形剤の非限定的な例が、本明細書に提供される。特定の賦形剤が、医薬組成物又は剤形への組込みに好適であるかどうかは、限定されないが、該剤形が患者に投与される方法を含む、当技術分野で周知の種々の因子によって決まる。例えば、経口剤形、例えば錠剤は、非経口剤形での使用に好適でない賦形剤を含有していてもよい。特定の賦形剤の好適性は、剤形中の具体的な活性成分によっても決まり得る。例えば、いくつかの活性成分の分解を、乳糖などのいくつかの賦形剤によって、又は水に曝した場合に、加速させることができる。第1級又は第2級アミンを含む活性成分は、そのような加速的分解を特に受けやすい。結果として、あるとしても、ごく少量の乳糖、他の単糖又は二糖しか含まない医薬組成物及び剤形が提供される。本明細書で使用される場合、「乳糖不含」は、存在する乳糖の量が、あるとしても、活性成分の分解速度を実質的に上昇させるのに不十分であることを意味する。
乳糖不含組成物は、当技術分野で周知であり、かつ例えば、米国薬局方(USP) 25-NF20(2002)に収載されている賦形剤を含むことができる。一般に、乳糖不含組成物は、活性成分、結合剤/充填剤、及び滑沢剤を医薬として適合し得る量及び医薬として許容し得る量で含む。一実施態様において、乳糖不含剤形は、活性成分、微晶質セルロース、アルファ化デンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形も提供され、それは、水がいくつかの化合物の分解を促進し得るからである。例えば、水(例えば、5%)の添加は、貯蔵期間又は時間経過に伴う製剤の安定性などの特徴を決定するために長期貯蔵をシミュレートする手段として製薬分野において広く許容されている。例えば、Jens T. Carstensenの文献、「薬物安定性:原理及び実践(Drug Stability: Principles & Practice)」、第2版、Marcel Dekker社, NY, NY, 1995, 379〜80頁を参照されたい。実際、水及び熱は、いくつかの化合物の分解を加速する。したがって、製剤の製造時、取扱い時、包装時、貯蔵時、輸送時、及び使用時には、通常、水分及び/又は湿気に曝されるので、製剤に対する水の影響は、非常に重大であり得る。
無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分、及び低水分又は低湿度条件を用いて調製することができる。製造時、包装時、及び/又は貯蔵時に水分及び/又は湿気との実質的な接触が予想される場合、乳糖と、第1級又は第2級アミンを含む少なくとも1種の活性成分とを含む医薬組成物及び剤形は、無水である。
無水医薬組成物は、その無水性が維持されるように調製及び貯蔵すべきである。したがって、無水組成物は、一実施態様において、それを好適な処方キットに含めることができるように、水への曝露を防ぐことが知られている材料を用いて包装されることが好ましい。好適な包装の例としては、密封箔、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
活性成分が分解する速度を低下させる1種以上の化合物を含む医薬組成物及び剤形も提供される。そのような化合物は、本明細書では「安定化剤」と呼ばれ、これには、アスコルビン酸などの抗酸化剤、pH緩衝剤、又は塩緩衝剤が含まれるが、これらに限定されない。
賦形剤の量及び種類と同様に、剤形中の活性成分の量及び具体的な種類は、限定されないが、それが患者に投与されることになる経路などの因子によって決まり得る。一実施態様において、剤形は、本明細書に提供される化合物を、約0.10〜約500mgの量で含む。他の実施態様において、剤形は、本明細書に提供される化合物を、約0.1、1、2、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500mgの量で含む。
他の実施態様において、剤形は、第二の活性成分を、1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、又は約50〜約200mgの量で含む。当然ながら、第二活性薬の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療又は管理されている疾患又は障害、並びに本明細書に提供される化合物及び患者に同時に投与されるいずれかの任意の追加の活性薬の量によって決まる。
(5.8.1 経口剤形)
経口投与に好適である医薬組成物は、個別剤形、例えば、限定されないが、錠剤(例えば、咀嚼錠剤)、カプレット剤、カプセル剤、及び液剤(例えば、フレーバーシロップ)として提供することができる。そのような剤形は、所定量の活性成分を含有しており、当業者に周知の薬学の方法によって調製することができる。一般に、「レミントン薬科学」(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第20版、Mack Publishing社, イーストン PA(2000)を参照されたい。
本明細書に提供される経口剤形は、従来の医薬配合技術に従って、活性成分を少なくとも1つの賦形剤と密接に混合させて組合せることによって調製される。賦形剤は、投与に望ましい調製物の形態に応じて、多種多様な形態を取ることができる。例えば、経口液剤又はエアゾール剤形中での使用に好適な賦形剤としては、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、及び着色剤が挙げられるが、これらに限定されない。固体経口剤形(例えば、散剤、錠剤、カプセル剤、及びカプレット剤)中での使用に好適な賦形剤の例としては、デンプン、糖、微晶質セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施態様において、経口剤形は、錠剤又はカプセル剤であり、その場合には、固体賦形剤が利用される。別の実施態様において、錠剤は、標準的な水性又は非水性技術によってコーティングすることができる。そのような剤形は、薬学の方法のいずれかによって調製することができる。一般に、医薬組成物及び剤形は、活性成分を液体担体、微細に分割された固体担体、又はその両方と均一かつ緊密に混合し、その後、必要であれば、この生成物を所望の体裁に成形することによって調製される。
例えば、錠剤は、圧縮又は成形によって調製することができる。圧縮錠は、粉末又は顆粒などの自由流動形態の活性成分を、任意に賦形剤と混合して、好適な機械の中で圧縮することによって調製することができる。成形錠は、不活性な液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を、好適な機械の中で成形することによって作製することができる。
本明細書に提供される経口剤形中で使用することができる賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤、及び滑沢剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物及び剤形中での使用に好適な結合剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、又は他のデンプン、ゼラチン、天然及び合成ゴム、例えばアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギネート、粉末化トラガカント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、番号2208、2906、2910)、微晶質セルロース、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
微晶質セルロースの好適な形態としては、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103 AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105として販売されている材料(FMC社、American Viscose Division, Avicel Sales, マーカスフック, PAから入手可能)、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な結合剤は、AVICEL RC-581として販売されている、微晶質セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物である。好適な無水又は低水分の賦形剤又は添加物としては、AVICEL-PH-103(商標)及びStarch 1500 LMが挙げられる。
本明細書に開示される医薬組成物及び剤形中での使用に好適な充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微晶質セルロース、粉末化セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、医薬組成物中の結合剤又は充填剤は、該医薬組成物又は剤形の約50〜約99重量パーセントで存在する。
崩壊剤を組成物中で用いて、水性環境に曝されたときに崩壊する錠剤を提供する。多過ぎる崩壊剤を含む錠剤は貯蔵中に崩壊する場合があり、一方、少な過ぎる崩壊剤を含む錠剤は、所望の速度又は所望の条件下で崩壊しない場合がある。したがって、活性成分の放出を悪く変化させるほど多過ぎることも少な過ぎることもない十分な量の崩壊剤を用いて、固体経口剤形を形成することができる。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類に基づいて異なり、かつ当業者に容易に認識される。一実施態様において、医薬組成物は、約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤、又は約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
医薬組成物及び剤形中で使用することができる崩壊剤としては、アガーアガー、アルギン酸、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモデンプン又はタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
医薬組成物及び剤形中で使用することができる滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる滑沢剤としては、例えば、syloidシリカゲル(W.R.Grace社(ボルチモア, MD)により製造されているAEROSIL200)、合成シリカの凝集エアゾール(Degussa社(プラノ, TX)により市販されている)、CAB-O-SIL(Cabot社(ボストン, MA)により販売されている焼成二酸化ケイ素製品)、及びこれらの混合物が挙げられる。使用されるとしても、滑沢剤は、それが組み込まれる医薬組成物又は剤形の約1重量パーセント未満の量で使用される。
一実施態様において、固体経口剤形は、本明細書に提供される塩又は固体形態、無水乳糖、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ、及びゼラチンを含む。
(5.8.2 制御放出剤形)
本明細書に提供される化合物、塩及び固体形態などの活性成分は、制御放出手段によるか、又は当業者に周知である送達装置によって投与することができる。例としては、その各々が引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許第:3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;及び第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号;第5,639,480号;第5,733,566号;第5,739,108号;第5,891,474号;第5,922,356号;第5,972,891号;第5,980,945号;5,993,855号;第6,045,830号;第6,087,324号;第6,113,943号;第6,197,350号;第6,248,363号;第6,264,970号;第6,267,981号;第6,376,461号;第6,419,961号;第6,589,548号;第6,613,358号;第6,699,500号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。そのような剤形を用いて、所望の放出プロファイルを提供するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、又はこれらの組合せを様々な割合で用いて、1種以上の活性成分の遅延放出又は制御放出を提供することができる。本明細書に記載のものを含む、当業者に公知の好適な制御放出製剤は、本明細書に提供される活性成分とともに使用するために容易に選択することができる。従って提供される組成物は、経口投与に好適な単一単位剤形、例えば、限定されないが、制御放出に適している錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、及びカプレット剤を包含している。
制御放出医薬製品は全て、その非制御対応物によって達成されるものよりも薬物療法を改善させるという共通の目的を有する。理想的には、医療における最適に設計された制御放出調製物の使用は、最小限の原薬を用いて最小限の時間で病態を治癒させるか又は制御することを特徴とする。制御放出製剤の利点としては、薬物活性の延長、投薬頻度の低下、及び対象コンプライアンスの向上が挙げられる。加えて、制御放出製剤を用いて、作用発現時間、又は薬物の血中濃度などの他の特性に影響を及ぼすことができ、したがって、副作用(例えば、有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
ほとんどの制御放出製剤は、所望の治療効果を素早くもたらす量の薬物(活性成分)を最初に放出し、このレベルの治療又は予防効果を長期間にわたって維持する他の量の薬物を徐々にかつ継続的に放出するように設計されている。この一定の薬物レベルを体内で維持するために、薬物は、代謝されて体から排泄される薬物の量を補う速度で剤形から放出されなければならない。活性成分の制御放出は、限定されないが、pH、温度、酵素、水、又は他の生理的条件もしくは化合物を含む、様々な条件によって刺激することができる。
ある実施態様において、本薬物は、静脈内注入、埋め込み型浸透圧ポンプ、経皮貼付剤、リポソーム、又は他の投与様式を用いて投与することができる。一実施態様において、ポンプを使用することができる(Seftonの文献、CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201 (1987);Buchwaldらの文献、Surgery, 88:507 (1980);Saudekらの文献、N. Engl. J. Med. 321 :574 (1989)を参照されたい)。別の実施態様において、高分子材料を使用することができる。さらに別の実施態様において、制御放出システムは、熟練施術者により決定された好適な部位で、対象内に配置することができ、従って全身投与量の一部分のみ必要である(例えば、Goodsonの文献、「制御放出の医学適用(Medical Applications of Controlled Release)」、第2巻、115-138頁(1984)を参照されたい)。他の制御放出システムは、Langerにより(Science 249: 1527-1533 (1990))総説において考察されている。体液に不溶性である、外側ポリマー膜、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレンとの塩化ビニルのコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、並びにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーなどのにより取り囲まれた、固体の内側マトリックス、例えばポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化又は非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋されたポリビニルアルコール及び架橋された部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルなどの中に、活性成分は分散することができる。その後活性成分は、放出速度を制御する工程で、外側ポリマー膜を通って拡散する。そのような非経口組成物中の活性成分の割合は、対象の必要性に加え、それらの具体的性質に大きく左右される。
(5.8.3 非経口剤形)
非経口剤形は、限定されないが、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内、及び動脈内を含む、様々な経路によって患者に投与することができる。一部の実施態様において、非経口剤形の投与は、汚染物質に対する患者の自然防御を回避するので、これらの実施態様において、非経口剤形は、滅菌されているか、又は患者に投与する前に滅菌することができることが好ましい。非経口剤形の例としては、注射にそのまま利用可能な液剤、注射のための医薬として許容し得るビヒクルにすぐに溶解又は懸濁させることができる乾燥品、注射にそのまま利用可能な懸濁剤、及び乳剤が挙げられるが、これらに限定されない。
非経口剤形を提供するために使用することができる好適なビヒクルは、当業者に周知である。例としては:注射用水USP;水性ビヒクル、例えば、限定されないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースと塩化ナトリウムの注射液、及び乳酸加リンゲル注射液;水混和性ビヒクル、例えば、限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール;並びに、非水性ビヒクル、例えば、限定されないが、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示される活性成分の1種以上の溶解性を増大させる塩及び固体形態を、非経口剤形に組み込むこともできる。例えば、シクロデキストリン及びその誘導体を用いて、本明細書に提供される化合物の溶解性を増大させることができる。例えば、引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第5,134,127号を参照されたい。
(5.8.4 局所及び粘膜剤形)
本明細書に提供される局所及び粘膜剤形としては、スプレー剤、エアゾール剤、液剤、乳剤、懸濁剤、点眼薬もしくは他の眼科調製物、又は当業者に公知の他の形態が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、「レミントン薬科学」、第16版、第18版及び第20版、Mack Publishing社, イーストン PA(1980、1990及び2000);並びに、「医薬剤形入門(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms)」、第4版、Lea & Febiger社, フィラデルフィア(1985)を参照されたい。口腔内の粘膜組織を治療するのに好適な剤形は、マウスウォッシュとしてか又はオーラルゲルとして製剤化することができる。
本明細書に包含される局所及び粘膜剤形を提供するために使用することができる好適な賦形剤(例えば、担体及び希釈剤)並びに他の材料は、医薬分野の当業者に周知であり、所与の医薬組成物又は剤形が適用される特定の組織によって決まる。一実施態様において、賦形剤としては、液剤、乳剤、又はゲル剤を形成するための、無毒でかつ医薬として許容し得る、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。湿潤剤又は保湿剤を医薬組成物及び剤形に添加することもできる。そのような追加の成分の例は、当技術分野で周知である。例えば、「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第16版、第18版及び第20版、Mack Publishing社, イーストン PA(1980、1990及び2000)を参照されたい。
医薬組成物又は剤形のpHを調整して、1種以上の活性成分の送達を向上させることもできる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、又は等張性を調整して、送達を向上させることもできる。ステアリン酸塩などの化合物を医薬組成物又は剤形に添加して、送達を向上させるように、1種以上の活性成分の親水性又は親油性を変化させることもできる。他の実施態様において、ステアリン酸塩は、製剤用の脂質ビヒクルとしての、乳化剤又は界面活性剤としての、及び送達増強剤又は浸透増強剤としての役割を果たすことができる。他の実施態様において、活性成分の塩、溶媒和物、プロドラッグ、クラスレート、又は立体異性体を用いて、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
(5.9 キット)
一実施態様において、本明細書において提供される活性成分は、同時に又は同じ投与経路では患者へは投与されない。別の実施態様において、活性成分の適量の投与を簡単にすることができるキットが、提供される。
一実施態様において、キットは、本明細書において提供される化合物の剤形を備える。キットはさらに、オブリメルセン(ゲナセンス(登録商標))、メルファラン、G-CSF、GM-CSF、EPO、トポテカン、ダカルバジン、イリノテカン、タキソテレ、IFN、COX-2阻害剤、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、デキサメタゾン、IL2、IL8、IL18、Ara-C、ビノレルビン、イソトレチノイン、13 cis-レチノイン酸、又はそれらの薬学的に活性のある変異体若しくは誘導体、又はそれらの組合せなどの追加の活性成分を備えることができる。追加の活性成分の例としては、本明細書に開示したものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
他の実施態様において、キットは、本活性成分を投与するのに使用される装置をさらに備えることができる。そのような装置の例としては、注射器、点滴バッグ、貼付剤、及び吸入器を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
キットは、移植のための細胞又は血液に加え、1種以上の活性成分を投与するために使用することができる医薬として許容し得るビヒクルをさらに備えることができる。例えば、活性成分が非経口的投与のためには再構成されなければならない固体の形態で提供される場合、キットは、非経口的投与に適している粒子非含有の無菌溶液を形成するために、その中に活性成分を溶解することができる好適なビヒクルの密閉容器を備えることができる。医薬として許容し得るビヒクルの例としては、注射用水USP;水性ビヒクル、例えば、限定されないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースと塩化ナトリウムの注射液、及び乳酸加リンゲル注射液;水混和性ビヒクル、例えば、限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール;並びに、非水性ビヒクル、例えば、限定されないが、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルが挙げられるが、これらに限定されない。
(6. 実施例)
(6.1 化合物(I-S)の塩及び溶媒和物)
(6.1.1 化合物(I-S)の合成)
化合物(I-S)のベシル酸塩(75g, 1×)及び炭酸水素ナトリウム(11.4g, 0.15×)を、頭上式撹拌機及び窒素ブランケットを装着した3リットル外套付き落下式(bottom drop)容器中の、酢酸メチル(1350mL, 18×)及び水(300mL, 4×)へ添加した。この混合物を、固形物が溶解するまで、15〜25℃で攪拌した。この混合物を、静置し、分離させた。有機相へ、水(75mL, 1×)を添加し、15〜25℃で5分間攪拌し、静置し、且つ分離させた。有機層を乾燥させ、化合物(I-S)を供した。
(6.1.2 遊離塩基無水物)
バイアル中で、化合物(I-S)〜50mg及びアセトニトリル〜250μLを、〜40℃まで加熱し、その後室温まで冷却した。得られたスラリーを濾過し、化合物(I-S)遊離塩基無水物の固形物を得た。
(6.1.3 遊離塩基水和物)
バイアル中で、化合物(I-S)〜150mg及び水〜1.5mLを、50℃まで加熱し、その後室温まで冷却した。得られたスラリーを濾過し、化合物(I-S)遊離塩基水和物の固形物を得た。
(6.1.4 遊離塩基THF溶媒和物)
バイアル中で、化合物(I-S)〜50mg及びTHF〜250μLを、40℃まで加熱し、その後室温まで冷却した。得られたスラリーを濾過し、化合物(I-S)のTHF溶媒和物を得た。
(6.1.5 ベシル酸塩)
化合物(II)(175g, 1×)及びベンゼンスルホン酸(68.7g, 0.39×)を、アセトニトリル(1400mL, 8×)に投入した。
この混合物を、1時間当たりアセトニトリル1〜3×容量の速度で、90℃で4時間、蒸留した。種化合物(1.75g, 0.01×, アセトニトリル17.5mL中のスラリーとして)を添加した。この混合物を、1時間当たりアセトニトリル1〜3×容量の速度で、さらに4〜5時間、連続蒸留した(合計8〜9時間)。この混合物を、約1〜4時間かけて、15〜25℃まで冷却し、15〜25℃で少なくとも1時間攪拌した。固形物を濾過し、アセトニトリル(350mL, 2×)で洗浄し、窒素を流しながら、減圧下、35〜50℃で乾燥させ、化合物(I-S)のベシル酸塩を得た。
(6.1.6 ベシル酸塩DMSO溶媒和物)
化合物(I-S)のベシル酸塩5gを、ジメチルスルホキシド10mL及び酢酸エチル10mL中に溶解した。酢酸エチル50mLを、室温で約5時間かけて添加し、この混合物を、室温で15時間攪拌した。反応混合物を濾過し、溶媒和物を得、これを酢酸エチル10mLにより洗浄した。
(6.1.7 D-酒石酸塩)
化合物(I-S)250mgを、アセトニトリル5mLに投入した。D-酒石酸83mg(1モル当量)を投入した。反応混合物を、70℃まで加熱し、この温度で2時間維持し、その後50℃で14時間維持し、次に20℃まで冷却した。D-酒石酸塩を濾過し、真空下で乾燥した。
(6.1.8 ヘミD-酒石酸塩)
化合物(I-S)2g及びD-酒石酸0.71gを、アセトニトリル30mLへ添加した。この混合物を、60℃で1時間、その後75℃で1時間加熱した。次に混合物を20℃まで冷却し、ヘミD-酒石酸塩を収集した。
(6.1.9 L-酒石酸塩)
バイアルへ、化合物(I-S)100mg、L-(+)酒石酸溶液(水中25%w/w)120mg及び2-プロパノール2mLを添加した。次にこのスラリーを、50℃まで加熱し、その後室温まで冷却した。次にスラリーを濾過し、乾燥し、酒石酸塩を得た。
(6.1.10 トシル酸塩)
化合物(I-S)250mgを、アセトニトリルへ投入した。p-トルエンスルホン酸水和物106mg(1当量)を、この混合物へ投入した。この混合物を、70℃で1.5時間、50℃で5時間、及び20℃で15時間攪拌した。その後固形物を濾過し、トシル酸塩を得た。
(6.1.11 (+)カンファースルホン酸塩)
化合物(II)2g(3.82mmol)、(+)カンファースルホネート1.15g(4.97 mmol)を、酢酸エチル20mLへ投入した。
この混合物を、28時間還流加熱し、水をディーンスターク装置で除去した。次にこの混合物を冷却し、濾過し、(+)カンファースルホン酸塩を得た。
(6.2 化合物(I-S)HCl塩の多形スクリーン)
異なる溶媒、温度及び湿度変化などの様々な条件下で、化合物(I-S)HCl塩の異なる固体形態が生成され得るかどうかを調べるために、化合物(I-S)HCl(塩酸塩)の多形スクリーンを行った。
この多形性試験において、HCl塩について、合計11種の独特の結晶形態が認められた。形態Aは、この試験において認められた唯一の無水物形態であった。他の形態は全て、水和物又は溶媒和物のいずれかであることが認められた。
可能な限り多くの固体形態を作製することを試みて、多形スクリーンを開始した。スクリーン時に生成された結晶形態の特徴付けは、X-線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、小型走査型電子顕微鏡(小型SEM)及び動的水蒸気吸着(DVS)により行った。水性溶媒及び様々な通常の有機溶媒中の溶解度の情報も得た。このスクリーンに使用した実験手順の説明は、以下に説明している。
(6.2.1 おおよその溶解度)
多形スクリーンに使用した溶媒は、HPLC等級又は試薬等級のいずれかの、アセトン、アセトニトリル(MeCN)、MeCN/水(1:1)、n-ブタノール(n-BuOH)、無水エタノール(EtOH)、エタノール/水(1:1)、メタノール(MeOH)、2-プロパノール(IPA)、酢酸エチル(EtOAc)、ジクロロメタン(DCM)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、ヘプタン、トルエン、酢酸メチル(MeOAc)、テトラヒドロフラン(THF)、THF/水(1:1)及び水であった。化合物(I-S)HCl塩(約100mg)の秤量した試料を、容積のわかっている試験溶媒により処理した。得られた混合物を、室温で、少なくとも24時間攪拌した。目視検査で、全ての固形物が溶解したように見えた場合、完全溶液を生じるために使用した溶媒の総容積を基に、推定溶解度を算出した。固形物が存在する場合は、容積のわかっている濾液を蒸発乾固させ、残渣の重量を測定し、溶解度を推定した。
(6.2.2 平衡化/スラリー及び蒸発)
最大2mLの試験溶媒へ、過剰なHCl塩を添加することにより、平衡化実験及び蒸発実験を実施した。得られた混合物を、室温及び50℃で個別に少なくとも24時間攪拌した。平衡に達した時点で、飽和上清溶液を取り出し、0.45μm PTFEフィルターを用いて濾過し、窒素下、各々、室温及び50℃で、蓋のないバイアル中で蒸発させた。平衡化から得られた固形物を分離し、風乾し、その後分析した。
(6.2.3 再結晶)
冷却再結晶に関して、選択した溶媒(MeOH)を、HCl塩により60℃で飽和させた。この溶液を、60℃で10分間攪拌し、0.45μm PTFEフィルター付きシリンジを用いて濾過し、その後20℃/分で室温まで冷却し、一晩放置した。この溶液を、冷蔵庫に5日間放置した。再結晶から得られた固形物を分離し、風乾し、その後分析した。
抗-溶媒再結晶に関して、選択した溶媒(DMSO及びMeOH)を、HCl塩により60℃で飽和させた。一旦固形物が完全に溶解したならば、この溶液の一部を、抗-溶媒(アセトン、MeCN、BuOAc、n-BuOH、MTBE、トルエン又はTHF)へと濾過した。DMSO/MTBE及びDMSO/THFの混合液を、室温で一晩攪拌した。これらの溶液の残りを、冷蔵庫に5日間放置した。再結晶から得られた固形物を分離し、風乾し、その後分析した。
(6.2.4 特徴決定)
(A)X-線粉末回折(XRPD)
多形スクリーンで生成された固体試料の全てをXRPDにより分析した。XRPD分析は、1.54ÅのCu Kα線を用いて、PANalytical Empyrean又はThermo ARL X’TRA X線粉末回折計で実施した。
PANalytical Empyrean装置に高精度焦点X線管を装備した。X線発生装置の電圧及びアンペア数を、それぞれ、45kV及び40mAに設定した。発散スリットを1/16°及び1/8°に設定し、受光スリットを1/16°に設定した。回折される放射線をPixel 2D検出器を用いて測定した。θ-2θ連続スキャンを、3°から40°の2θまで、0.013又は0.026の間隔サイズに設定し、試料回転速度を4とした。焼結アルミナ標準を用いて、ピーク位置を調べた。
Thermo ARL X’TRA装置に高精度焦点X線管を装備した。X線発生装置の電圧及びアンペア数を、それぞれ、45kV及び40mAに設定した。発散スリットを4mm及び2mmに設定し、測定スリットを0.5mm及び0.2mmに設定した。回折される放射線を、ペルチェ冷却Si(Li)固体状態検出器を用いて測定した。1.5°から40°の2θまで、2.40°/分(0.5秒/0.02°の間隔)のθ-2θ連続スキャンを使用した。焼結アルミナ標準を用いて、ピーク位置を調べた。
(B)示差走査熱量測定(DSC)
DSC分析をTA装置Q2000示差走査熱量計で実施した。インジウムを較正基準として使用した。約2〜5mgの試料をDSCパンに入れた。該試料を、窒素下、10℃/分の速度で、300℃の最終温度まで加熱した。融点を外挿開始温度として報告した。
(C)熱重量分析(TGA)
TGA分析をTA装置Q5000熱重量分析計で実施した。シュウ酸カルシウムを性能チェックに使用した。約2〜10mgの正確に秤量された試料をパンの上に置き、TGA加熱炉に入れた。該試料を、窒素下、10℃/分の速度で、最大300℃の最終温度まで加熱した。
(D)小型走査型電子顕微鏡(小型SEM)
試料の形態分析をEven小型SEMで実施した。少量の試料を試料ホルダー上に分散させ、その後、200×及び1000×の倍率で見られる金でコーティングした。
(E)動的水蒸気収着(DVS)
吸湿性を表面測定システムDVSで決定した。通常、5〜30mgの試料サイズをDVS装置の試料パンに入れ、該試料を、DVS自動収着分析計で、室温で分析した。相対湿度を0%から90%RHまで10%RH間隔で上昇させ、その後95%RHとした。次に相対湿度を同様の様式で低下させて、完全な吸着/脱離サイクルを達成した。水和物形態に関して、この分析を、50%RHで開始し、10%RH間隔で90%RHまで上昇させた。次に、相対湿度を同様の様式で0%RHまで低下させ、引き続き50%RHまで上昇させた。
(F)核磁気共鳴(NMR)
1H NMRスペクトルは、Bruker 300 MHz NMR装置において得た。試料は、DMSO-d6中に溶解し、64から128スキャンで分析した。形態C試料は、MeOD中に溶解した。
(6.2.5 結果)
様々な溶媒中、周囲温度での、HCl塩形態Aのおおよその溶解度を、説明したように推定した。結果を、表1にまとめる。
表1. HCl塩形態Aの選択された溶媒中室温でのおおよその溶解度
該HCl塩は、MeCN/水(1:1)、EtOH/水(1:1)、THF/水(1:1)、及び水の中で、最も可溶性である(50mg/mLより大きい)ことがわかった。該HCl塩は、MeOH中で、中等度の溶解度を示した。該HCl塩は、アセトン、MeCN、n-BuOH、EtOH、IPA、EtOAc、MEK、DCM、MTBE、ヘプタン、MeOAc、トルエン及びTHF中で、低い又は非常に低い溶解度を示した(約1mg/mL又はそれ未満)。
多形スクリーンにおいて試料を作製するために使用した薬物物質のHCl塩のXRPDパターンを、図94及び図35に示した。この結晶パターンは、形態Aと指定した。
平衡化実験を、出発物質としてHCl塩形態Aを使用し、室温及び50℃で行った。結果を、表2にまとめている。
表2. 形態Aの室温及び50℃での平衡化
n/a:全ての固体は溶液となったか又は実験を行わなかった
スラリーの24時間後の非水性溶媒から分離した全ての固体は、XRPDにより形態Aであることが確認された。水溶液中又は水性/有機溶媒混合液の50/50混合液中の固体は全て溶液となったので、追加の平衡化実験を、水5%を含有する有機物/水混合液中で室温で行い、これはアセトン/水、MeCN/水、EtOH/水、IPA/水、MeOAc/水及びTHF/水を含んだ。MeCN/水からの固体を除いて、分離した全ての固体は、XRPDにより形態Aであることが確認された。この条件から得られた独特のXRPDパターンは、形態Dと指定した。
蒸発実験を、室温及び50℃で行った。結果を、表3にまとめている。
表3. 室温及び50℃での形態Aの蒸発
− 分析不可能
このHCl塩の溶解度は、ほとんどの試験した有機溶媒中では低かったので、これらの溶媒から得られた残存する固体は、分析には十分ではなかった。MeOH及びMeOAcからの蒸発は、XRPDにより形態Aであることが確認された固体を生じた。室温及び50℃での水又は水/有機物混合液の蒸発から分離された固体は全て、非晶質XRPDパターンを示した。
冷却再結晶及び抗-溶媒再結晶を行った。MeOHを、冷却再結晶のための単独の溶媒として使用した。抗-溶媒再結晶のために、一次溶媒としてDMSO又はMeOHを使用し、並びに抗-溶媒としてアセトン、MeCN、MTBE、BuOAc、n-BuOH、トルエン又はTHFを使用した。結果を、表4にまとめている。
表4. 再結晶実験のまとめ
n/a:分析不可能
*:追加の回折ピークが認められたが、明確には同定不可能
MeOHからの固体は、形態Bと指定された独特のXRPDパターンを示した。MeOH//MTBE及びMeOH/トルエンからの固体に関するXRPDパターンは、類似の回折ピークを示したが、後に異なる固体形態と同定され、各々、形態G及び形態Hと指定された。DMSO/n-BuOH、DMSO/MTBE及びDMSO/BuOAcからの固体は、形態Cと指定された独特のXRPDパターンを示した。DMSO/アセトン又はDMSO/MeCNからの固体は、形態Iと指定された独特のXRPDパターンを示した。並びにDMSO/THFからの固体のパターンは、形態Jと指定された。
更なる形態変換実験を行い、固体形態間の相互変換を決定した。形態変換はまた、これらの固体形態の更なる特徴決定時にも認められた。結果を表5にまとめている。
表5. HCl塩の安定性及び形態転移実験
競合的スラリー実験を、形態E及び形態Fについて行った。結果を表6にまとめている。
表6. HCl塩形態E及び形態Fの転移のまとめ
(6.2.6 多形形態の特徴決定)
合計11種のHCl塩の結晶形態が、この多形スクリーン試験時に認められた。これらの形態に関するXRPDパターンのスタックプロットを、図105に示し、且つ物理的特徴付けを、表7にまとめている。
表7. HCl塩結晶形態の物理的特徴決定のまとめ
n/a:入手不可能
(A)形態A
バイアルへ、化合物(I-S)のHCl塩の水和物100mg及び2-プロパノール2mLを添加した。このスラリーを、75℃まで加熱した。追加の2-プロパノール2mLを添加し、得られたスラリーを薄めた。その後このバッチを室温まで冷却し、スラリーを濾過し、乾燥し、形態Aである化合物(I-S)HCl塩の無水物を得た。また形態Aは、最も平衡であることがわかり、蒸発実験をこの試験において行った。形態Aは、図36に示した結晶XRPDパターン及び図37に示した不規則なロッド状の晶癖を有した。形態AのDSC及びTGAサーモグラムは、各々、図38及び図39に示している。DSCサーモグラムは、オンセット温度256℃で1つの主要な事象のみを示し、これは融解/分解に対応している。TGA重量減少0.16%が、〜120℃までに認められた。形態Aの1H-NMRスペクトルは、少量の残留溶媒を伴う化合物(I-S)構造と一致した(図40)。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、これらのデータを基に、形態Aは無水物である。
形態Aの水分収着/脱離挙動は、DVSにより決定し、その結果は、図41にまとめている。総質量変化1.8%が、0%RHと95%RHの間で認められ、このことは形態Aはわずかに吸湿性であることを示唆している。吸着/脱離サイクルを受けた後、本試料のXRPD回折像は、変化を示さなかった(図42)。
形態Aの安定性は、圧縮試験及び形態転移実験によりさらに特徴付けられた。圧力2000psiの約1分間の加圧時に、本物質は、形態Aであり続けた(図43)。形態転移実験からの結果(表5及び6)は、全ての水和物及び溶媒和物の形態は、IPAスラリーにおいて形態Aへ変換することを示した。さらに形態Aはまた、水及び試験した水性/有機性混合液において、水和物形態よりも、より安定している。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、これらの結果は、形態Aは、HCl塩の安定した無水物形態であることを示唆している。
(B)形態B
形態Bは、MeOH中の形態Aの再結晶から得られた。形態Bは、図44に示した結晶XRPDパターン及び図45に示した不規則なロッド状の晶癖を有した。形態BのDSC及びTGAサーモグラムは、各々、図46及び図47に示している。TGA重量減少7.6wt%が、80℃辺りのDSCブロードピークのブロード化に対応し、これは形態Bにおける水/溶媒の喪失に起因し得る。DSCサーモグラムはまた、174℃及び250℃で、各々、吸熱性ピークを示した。1H-NMRスペクトルを、形態B試料について入手し、これは著しい分解又は残留溶媒を示さなかった(図48)。形態B試料は、周囲環境貯蔵時に形態Aへ変換されることがわかった(図49)。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、入手可能な特徴決定データを基に、形態Bは、化合物(I-S)HCl塩の水和物である。
(C)形態C
形態Cは、DMSO/n-BuOH、DMSO/MTBE又はDMSO/BuOAc中の抗-溶媒再結晶から得られた。形態Cは、図50に示した結晶XRPDパターン及び図51に示した不規則な晶癖を有した。形態CのDSC及びTGAサーモグラムは、各々、図52及び図53に示している。TGA重量減少1.6及び15.1wt%は、各々、50℃辺りのブロードDSC吸熱のブロード化及び142〜146℃辺りでの吸熱に対応し、且つ形態Cにおける溶媒/水の喪失に起因し得る。オンセット温度251.8℃でのDSCサーモグラムは、最終融解/分解のせいである。観察された脱溶媒和事象をさらに確認するために、形態C試料を165℃まで加熱し、XRPDについて試験した。加熱した試料のXRPDパターンは、形態Aと一致した(図54)。形態Cの1H-NMRスペクトルは、DMSO溶媒およそ1モル当量(又は〜13.9wt%)を伴う化合物I構造と一致した(図55)。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、形態CはDMSO溶媒和物である。
形態C試料は、DVS装置において高湿度(70%RHよりも高い)への曝露時に、形態Aへ変換されることがわかった(図56)。形態Cはまた、IPAスラリーにおいて形態Aへ変換されることもわかった(表5)。
(D)形態D
形態Dは、MeCN/水(95:5)における形態Aの平衡化から得られた。形態Dは、図57に示した結晶XRPDパターン及び図58に示した不規則な晶癖を有した。形態DのDSC及びTGAサーモグラムは、各々、図59及び図60に示している。TGA重量減少9.2wt%は、60℃辺りのブロードDSC吸熱に対応している。DSCサーモグラムはまた、169℃及び250℃での吸熱性ピークを示した。形態Dの1H-NMRスペクトルは、著しい分解又は残留溶媒を伴わない化合物(I-S)構造と一致した(図61)。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、形態Dは水和物である。
形態Dの水分収着/脱離挙動は、DVSにより決定し、その結果は、図62にまとめている。形態Dは、相対湿度が50から80%RHへ上昇した場合に、乾燥質量に対し〜11%の質量変化を示し、これは形態Dは吸湿性物質であることを示唆している。〜12%の急勾配の質量変化が、吸着時に80〜90%RHの間で認められ、固体形態の転移による可能性が最も高い。吸着/脱離サイクルを受けた後、本試料のXRPD回折像は、この物質が、最初の形態Dから形態Fへ代わったことを示した(図63)。この結果は、形態Dについて得られた脱離曲線及び第二吸着曲線は、形態Fのものに類似している理由を説明していた。これらの知見は、形態Dは形態Fよりも安定性の低い水和物であることを示唆した。
(E)形態E
フラスコへ、化合物(I-S)1g、アセトニトリル19mL、及び水1mLを添加し、45℃まで加熱し、固体を溶解した。その後6M HClおよそ0.4mLを添加し、このバッチを室温まで冷却した。バッチを、沈殿が生じるまで室温に維持し、この時点でバッチを45℃まで再加熱した。その後バッチを室温まで冷却し、濾過し、乾燥し、形態Eである化合物(I-S)HCl塩の水和物を得た。形態Eは、図64に示した結晶XRPDパターン及び図65に示した不規則な晶癖を有した。形態EのDSC及びTGAサーモグラムは、各々、図66及び図67に示している。TGA重量減少4.5wt%は、100℃辺りのブロードDSC吸熱に対応し、且つ水4.2wt%を示したカールフィッシャー結果にも相当していた。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、形態Eは水和物である。DSCサーモグラムは、185℃辺りでの吸熱、及び250℃辺りでの最終融解/分解を示した。形態Eの1H-NMRスペクトルは、著しい分解又は残留溶媒を伴わない化合物(I-S)構造と一致した(図68)。
形態Eの水分収着/脱離挙動は、DVSにより決定し、その結果は、図69にまとめている。形態Eは、相対湿度が50から80%RHへ上昇した場合に、乾燥質量に対し〜14%の質量変化を示し、これは形態Eは吸湿性であることを示唆している。急勾配の質量変化が、吸着時に80〜90%RHの間で認められ、固体形態の転移による可能性が最も高い。吸着/脱離サイクルを受けた後、本試料のXRPD回折像は、この物質が、形態Fへ部分的に変換したことを示した(図70)。
形態E試料を、120℃まで加熱し、XRPDについて分析した。得られたXRPDパターンは、形態Eと一致し、これは形態E格子は、穏やかに加熱した際には安定していることを示唆している。さらに、形態E試料を190℃まで加熱し、非晶質パターンが生じ、これは185℃での吸熱事象は、融解又は形態Eの結晶格子の破壊に対応していることを確認している。データは、図71及び図82に示している。
形態転移実験は、IPAスラリー中で、形態Eは形態Aへ変換されることを示した(表5)。形態Eはまた、様々なIPA/水混合液中で、形態Fへ変換されることもわかった(表6)。
(F)形態F
フラスコへ、化合物(I-S)2.5g、2-プロパノール5mL、及び水7.5mLを添加した。その後濃HClおよそ0.5mLを添加した。このバッチを、40℃まで加熱し、その後25℃まで冷却した。2-プロパノールおよそ50mLを滴加し、結晶化を引き起こした。このスラリーを濾過及び乾燥し、化合物(I-S)HCl塩の水和物を得た。形態Fはまた、形態Eを、IPA/水溶媒混合液中でスラリー化した場合にも、自発的に形成された。形態Fは、図73に示した結晶XRPDパターン及び図74に示した不規則なロッド状の晶癖を有した。形態FのDSC及びTGAサーモグラムは、各々、図75及び図76に示している。TGA重量減少5.0wt%は、83℃辺りのブロードDSC吸熱に対応し、且つ水5.3wt%を示したカールフィッシャー結果にも相当していた。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、形態Fは水和物である。測定した水含量は、化合物(I-S)HCl塩のセスキ-水和物の理論的水含量と合致した。DSCサーモグラムはまた、217℃辺りでの吸熱、及び250℃辺りでの最終分解を示した。形態Fの1H-NMRスペクトルは、著しい分解又は残留溶媒を伴わない化合物(I-S)構造と一致した(図77)。
形態Fの水分収着/脱離挙動は、DVSにより決定し、その結果は、図78にまとめている。形態Fは、相対湿度が0から90%RHへ上昇した場合に、乾燥質量に対し6.3%の総質量変化を示した。水含量は、10から90%RHまでで、5.2〜6.3wt%の間で安定しており、これは水およそ1.5〜1.8モル当量に相当している。急勾配の質量変化5.2wt%が、脱離時に10〜0%RHの間で認められた。吸着/脱離サイクルを受けた後、本試料のXRPD回折像は、この物質が、最初の形態Fから変化しなかったことを示した(図79)。
形態転移実験は、IPAスラリー中で、形態Fは形態Aへ変換されることを示した(表5)。表6に列記した競合的スラリー実験も、様々な水性/IPA混合液において、形態Fは形態Aよりも安定性が低いことを示した。形態Fの安定性をさらに調べるために、形態F試料を、120℃まで加熱し、XRPDについて分析した。得られたXRPDパターンは、形態Fと一致した(図80)。加熱した試料のTGAプロットは、4.9wt%の重量減少を示し(図81)、これは形態Fにおける予想された水含量と一致した。さらに形態F 試料を、ドライエライトを含むチャンバー内に16時間配置し、得られた固体は、形態Kと指定される独特のXRPDパターンを提供した。
(G)形態G
形態Gは、MeOH/MTBE中での形態Aの再結晶から得られた。形態Gは、図82に示した結晶XRPDパターンを有した。このパターンは、形態B及び形態Hのパターンとの類似性を示したが、異なる溶媒和物形態であることが分かった。形態GのDSC及びTGAサーモグラムは、各々、図83及び図84に示している。最初のTGA重量減少1.9wt%は、60℃辺りでのDSCブロードピークのブロード化に対応し、恐らく形態Gにおける表面の水/溶媒の喪失に起因しているであろう。大きいTGA重量減少12.3wt%は、199℃でのDSC吸熱ピークに対応している。1H-NMRスペクトルを、形態G試料について入手し、これはMTBEおよそ0.5モル当量(又は〜8.3wt%)を示した(図85)。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、形態Gは、化合物(I-S)HCl塩のMTBE溶媒和物である。
(H)形態H
形態Hは、MeOH/トルエン中の形態Aの再結晶から得られた。形態Hは、図86に示した結晶XRPDパターンを有した。このパターンは、形態Bと若干の類似性を示し、且つ形態Gとほぼ同一であったが、異なる溶媒和物形態であることがわかった。形態HのDSC及びTGAサーモグラムは、各々、図87及び図88に示している。15.3wt%の大きいTGA重量減少は、187℃でのDSC吸熱ピークに対応している。1H-NMRスペクトルを、形態H試料について入手し、これはトルエンおよそ0.8モル当量(又は〜13.2wt%)を示した(図89)。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、形態Hは、化合物(I-S)HCl塩のトルエン溶媒和物である。
(I)形態I
形態Iは、DMSO/MeCN又はDMSO/アセトン中の形態Aの再結晶から得られた。形態Iは、図90に示した結晶XRPDパターンを有した。形態Iは、形態Aへ変化することがわかった。結晶化実験時に、残留DMSOを除去するために、形態I固体の一部を、MeOAcで洗浄した。得られた固体のXRPDパターンは、形態Aと一致した(図91)。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、形態Iは、化合物(I-S)HCl塩の溶媒和物である。
(J)形態J
形態Jは、DMSO/THF中の形態Aの再結晶から得られた。形態Jは、図92に示した結晶XRPDパターンを有した。形態JのDSC及びTGAサーモグラムは、各々、図93及び図94に示している。最初のTGA重量減少4.7wt%は、70℃辺りでのDSCブロードピークのブロード化に対応し、恐らく形態Jにおける表面の水/溶媒の喪失に起因しているであろう。TGA重量減少7.6wt%及び10.3wt%は、各々、106℃及び127℃でのDSC吸熱ピークに対応している。いずれか特定の理論により限定されるものではないが、形態Jは、HCl塩の溶媒和物である。
(K)形態K
形態Kは、0%RH条件近くでの、形態Fの乾燥から得られた。詳細には、形態F試料を、ドライエライトを含むチャンバー内に16時間配置した。得られた固体は、図95に示した、独特のXRPDパターンを供した。形態Kは、周囲条件への曝露後に形態Fへ変換されることが認められた(図96)ので、この形態としては入手可能ではない。
(6.3 ラセミ化合物(I)の塩及び溶媒和物)
(6.3.1 遊離塩基無水物)
バイアル中で、ラセミ化合物(I)〜50mg及びアセトニトリル〜250μLを、40℃まで加熱し、その後室温まで冷却した。得られたスラリーを濾過し、ラセミ化合物(I)の遊離塩基無水物固体を得た。
(6.3.2 遊離塩基水和物)
バイアル中で、ラセミ化合物(I)〜50mg及び1/1のアセトニトリル/水〜250μLを、40℃まで加熱し、その後室温まで冷却した。得られたスラリーを濾過し、ラセミ化合物(I)の遊離塩基水和物固体を得た。
(6.3.3 塩酸塩水和物)
バイアル中で、ラセミ化合物(I)塩酸塩〜750mg及び80/20のイソプロパノール/水〜15mLを、50℃まで加熱し、その後室温まで冷却した。得られたスラリーを濾過し、ラセミ化合物(I)塩酸塩の水和物固体を得た。
(6.3.4 塩酸塩メタノール溶媒和物)
バイアル中で、ラセミ化合物(I)塩酸塩〜70mg及び3-A分子篩上で乾燥したメタノール1mLを添加した。この懸濁液を、50℃まで加熱し、その後室温まで冷却した。得られたスラリーを濾過し、ラセミ化合物(I)塩酸塩のメタノール溶媒和物の湿潤固体を得た。この生成物は、周囲の水分に曝露時に、ラセミ化合物(I)塩酸塩の水和物へ変換した。
(6.4 アッセイ)
(6.4.1 hPMBCにおけるTNFα阻害アッセイ)
健常ドナー由来のヒト末梢血単核細胞(hPBMC)を、フィコールハイパック(Pharmacia社, ピスカタウェイ, NJ, USA)密度遠心分離法により得た。細胞を、10%AB+ヒト血清(Gemini Bio-products社, ウッドランド, CA, USA)、2mM L-グルタミン、100U/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトマイシン(Life Technologies社, グランドアイランド, NY, USA)を補充した、RPMI 1640(Life Technologies社)において培養した。
PBMC(2×105個細胞)を、96-ウェル平底Costar組織培養プレート(Corning社, NY, USA)に、3つ組で播種した。細胞を、LPS(サルモネラ・アボルタス・エクイ由来、Sigma社カタログ番号L-1887, セントルイス, MO, USA)の最終1ng/mlで、化合物存在又は非存在下で刺激した。本明細書において提供される化合物は、DMSO(Sigma社)中に溶解し、使用直前に、培養培地中で更なる希釈を行った。全てのアッセイにおける最終DMSO濃度は、約0.25%であることができる。化合物を細胞へ添加し、その1時間後にLPS刺激した。その後細胞を、5%CO2中、37℃で18〜20時間インキュベーションし、その後上清を収集し、培養培地で希釈し、TNFαレベルについてELISA(Endogen社, ボストン, MA, USA)によりアッセイした。IC50を、トップ100%及びボトム0%で拘束し、可変勾配を可能にした、非線形回帰シグモイド用量-反応を用い(GraphPad Prism v3.02)、算出した。
(6.4.2 T細胞によるIL-2及びMIP-3α生成)
PBMCを、10cm組織培養皿1個につき、完全培地10ml(10%熱不活化したウシ胎仔血清、2mM L-グルタミン、100U/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトマイシンを補充したRPMI 1640)中に、1×108個PBMCを37℃の5%CO2培養装置内で30〜60分間、配置することにより、接着性の単球を枯渇した。この皿を、培地によりそそぎ、非接着性のPBMC全てを除去した。各1×108個非接着性PBMCについて、下記抗体(Pharmingen社)及びDynabead(Dynal社)の混合物を使用する、陰性選択により、T細胞を精製した:0.3mlヒツジ抗-マウスIgGビーズ、15μl抗-CD16、15μl抗-CD33、15μl抗-CD56、0.23ml抗-CD19ビーズ、0.23ml抗-HLAクラスIIビーズ、及び56μl抗-CD14ビーズ。これらの細胞とビーズ/抗体の混合物を、4℃で30〜60分間、倒立して回転させた。精製されたT細胞を、Dynal磁石を用い、ビーズから除去した。典型的収率は、フローサイトメトリーにより、T細胞約50%、CD3+ 87〜95%であった。
組織培養96-ウェル平底プレートを、1ウェル当たり100μlのPBS中の抗-CD3抗体OKT3の5μg/mlによりコートし、37℃で3〜6時間インキュベーションし、その後完全培地100μl/ウェルで4回洗浄し、その直後にT細胞を添加した。化合物を、丸底組織培養96-ウェルプレート中で、最終的に20倍希釈した。最終濃度は、約10μM〜約0.00064μMであった。本明細書において提供される化合物の10mMストック液を1:50で完全に希釈し、これは最初に2%DMSO中に200μMを20×希釈し、2%DMSOへ1:5で連続希釈した。化合物を、培養物200μl当たり10μlで添加し、最終DMSO濃度を0.1%とした。培養物を、37℃、5%CO2で、2〜3日間インキュベーションし、上清を、ELISA(R&D Systems社)により、IL-2及びMIP-3αについて分析した。IL-2及びMIP-3αレベルは、ある量の本明細書において提供される化合物の存在下で生成された量へ規準化し、且つEC50sを、トップ100%及びボトム0%で拘束し、可変勾配を可能にした、非線形回帰シグモイド用量-反応を用い(GraphPad Prism v3.02)、算出した。
(6.4.3 細胞増殖アッセイ)
細胞株(例えば、Namalwa、MUTZ-5、UT-7、及び様々なNHL細胞株)は、ドイツ微生物培養細胞コレクション(ブラウンシュバイク, 独国)から入手した。細胞株KG-1は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(マナサス, VA, USA)から入手した。3H-チミジン取込みにより示された細胞増殖を、下記のように、全ての細胞株において測定した。
細胞を、96-ウェルプレート中に、培地中1ウェル当たり6000個細胞で播種した。これらの細胞は、37℃の加湿したインキュベーター中、5%CO2で、72時間、3つ組で、最終濃度約0.25%のDMSO中に、化合物約100、10、1、0.1、0.01、0.001、0.0001及び0μMにより前処理した。その後3H-チミジン(Amersham社)1μCiを、各ウェルへ添加し、再度細胞を、37℃の加湿したインキュベーター中、5%CO2で、6時間インキュベーションした。細胞収集器(Tomtec社)を用い、細胞を、UniFilter GF/Cフィルタープレート(Perkin Elmer社)上に収集し、これらのプレートを、一晩乾燥させた。Microscint 20 (Packard社)(25μl/ウェル)を添加し、プレートをTopCount NXT (Packard社)において分析した。各ウェルは、1分間カウントした。細胞増殖の阻害率(%)を、3つ組全てを平均し、且つDMSO対照(0%阻害)に対し規準化することにより、算出した。各化合物は、各細胞株において、3つの個別の実験において試験した。最終的IC50は、トップ100%及びボトム0%で拘束し、可変勾配を可能にした、非線形回帰シグモイド用量-反応を用い(GraphPad Prism v3.02)、算出した。
(6.4.4 免疫沈降及び免疫ブロット法)
細胞(例えば、様々なNHL細胞株)を、DMSO又はある量の本明細書において提供される化合物により、1時間処理し、その後10U/mlのEpo(R&D Systems社)により30分間刺激した。細胞溶解液を調製し、Epo受容体Abにより免疫沈降させるか、又はSDS-PAGEにより直ちに分離するかのいずれかを行った。免疫ブロット法は、Akt、ホスホ-Akt(Ser473又はThr308)、ホスホ-Gab1(Y627)、Gab1、IRS2、アクチン及びIRF-1抗体によりプロービングし、且つImageQuantソフトウェアを使用しStorm 860 Imager(Molecular Dynamics社)上で分析した。
(6.4.5 細胞周期分析)
細胞は、DMSO又はある量の本明細書において提供される化合物により、一晩処理した。細胞周期に関してヨウ化プロピジウム染色を、CycleTEST PLUS(Becton Dickinson社)を製造業者のプロトコールに従い実施した。染色後、細胞を、ModFit LTソフトウェア(Becton Dickinson社)を用い、FACSCaliburフローサイトメーターにより分析した。
(6.4.6 アポトーシス分析)
細胞を、DMSO又はある量の本明細書において提供される化合物により、様々な時点で処理し、その後アネキシン-V洗浄緩衝液(BD Biosciences社)により洗浄した。細胞を、アネキシン-V結合タンパク質及びヨウ化プロピジウム(BD Biosciences社)と一緒に10分間インキュベーションした。試料を、フローサイトメーターを用いて分析した。
(6.4.7 ルシフェラーゼアッセイ)
Namalwa細胞を、1×106個細胞当たり4μgのAP1-ルシフェラーゼ(Stratagene社) 及び3μlのリポフェクタミン2000(Invitrogen社)試薬により、製造業者の指示に従い、トランスフェクションした。トランスフェクションの6時間後、細胞を、DMSO又はある量の本明細書において提供される化合物により処理した。ルシフェラーゼ活性は、ルシフェラーゼ溶解緩衝液及び基質(Promega社)を用いてアッセイし、且つルミノメーター(Turner Designs社)を用いて測定した。
前述の実施態様は、単に例証することを意図しており、当業者は、具体的化合物、物質及び手順の多くの同等物を認めるか、又はこれらを単に慣習的な実験を用い確認するであろう。そのような同等物は全て、請求された主題の範囲内であると考えられ、且つ添付の特許請求の範囲により包含される。
本明細書に引用した特許、特許出願及び刊行物は全て、それらの全体が本明細書中に組み込まれている。本出願中のいずれの参考文献の引用又は確定も、そのような参考文献が、請求された主題に先行する技術として利用可能であることを認めるものではない。本発明の全範囲は、添付の特許請求の範囲を参照してより良く理解される。