JP6418944B2 - 真空断熱材 - Google Patents

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Description

本発明は、真空断熱材に関する。特に、本発明は、外装材部のヒートブリッジを有効に低減できる真空断熱材に関する。
冷蔵庫や自動販売機、保冷箱等には従来から断熱材が用いられており、近年では非常に優れた断熱性を有する断熱材として真空断熱材が多く使用されている。真空断熱材は気密性を有する袋状の外装材内部にガラス繊維、石綿、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレンなど断熱性コア材を充填し、その内部を真空排気して密封した構造を持つ。この外装材は内部を長期間真空状態に保つと共に、外部からのガスの侵入を防ぐために、ガスバリア性の高い材料を使用している。このガスバリア性の優れた材料としてアルミニウム箔が一般的に採用されている。アルミニウム箔は十分なガスバリア性能を有する半面、熱伝導率が高いため、外装材部を伝って熱移動(ヒートブリッジ)が生じやすく、断熱性能が低下してしまう欠点がある。
このような真空断熱材のヒートブリッジを低減する方法としては、外装材の一方にアルミ蒸着層とプラスチックの積層体を用いるものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開昭61−125577号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるアルミ蒸着層はガスバリア性が低いため、外部からのガスの侵入を防げず、長期的に真空断熱材内部の真空度を保持することが困難であった。また、特許文献1に開示されるアルミ蒸着層は、ヒートブリッジの問題はある程度解決しているが、ヒートブリッジのより低減が求められている。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、高いガスバリア性を維持しつつ、ヒートブリッジを低減できる真空断熱材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、外装材に準結晶金属膜を使用することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記諸目的は、芯材およびガス吸着剤を一対のガスバリア性を有する外装材で両面から挟むように内包し、内部を減圧して封止してなる真空断熱材であって、前記一対のガスバリア性を有する外装材の少なくとも一方が準結晶金属を用いて形成される準結晶金属膜を有する、真空断熱材によって達成される。
本発明の真空断熱材によれば、高いガスバリア性を維持しつつ、ヒートブリッジを低減できる。
本発明の真空断熱材の一例を示す模式断面図である。
本発明は、芯材およびガス吸着剤を一対のガスバリア性を有する外装材で両面から挟むように内包し、内部を減圧して封止してなる真空断熱材であって、前記一対のガスバリア性を有する外装材の少なくとも一方が準結晶金属を用いて形成される準結晶金属膜を有する、真空断熱材に関する。本発明は、真空断熱材の外装材に準結晶金属膜を使用することを特徴とする。このような構成により、外装材部のヒートブリッジの低減およびガスバリア性の向上を両立できる。ここで、本発明の構成による上記作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。なお、本発明は下記に限定されるものではない。
すなわち、外装材は、通常、ガスバリア性を有する金属層とプラスチックフィルムとの積層構造を有し、このうち、金属層の厚みがヒートブリッジを引き起こす主要な原因の一つである。詳細には、厚みの大きな金属層では、金属層を伝って外装材周辺(周囲)を介して回り込む熱量が大きいため、ヒートブリッジが大きくなる。換言すると、金属層の厚みとヒートブリッジの発生は正の相関関係がある。一方、本発明では、準結晶金属膜は、薄くとも、電気抵抗が高く(伝熱性が低く)、かつガスバリア性に優れる、即ち、長期的に真空断熱材内部の真空度を保持できる。このため、このような薄い(厚みの小さい)準結晶金属膜を使用することによって、外装材を伝って周囲から回り込む熱量を低く抑えることができる。ゆえに、本発明に係る外装材を使用することによって、ヒートブリッジを有効に抑制・防止できる。また、準結晶金属膜はスパッタ等で容易に成膜できるため、大量生産などの観点からも好ましい。
一般的に、真空断熱材を製造する際には、芯材およびガス吸着剤を一対のガスバリア性を有する外装材で内包した後、内部を減圧して封止するが、この際、外装材端部が相互に接合して凸状の接合部(シール部)が形成される。この接合部は製品時には折り曲げられるが、外装材の厚みが大きい場合には、接合部の屈曲性が低いため、芯材およびガス吸着剤が収納される真空断熱材本体部に密着するように折り曲げることが困難であるまたはできない。一方、本発明に係る準結晶金属膜は、薄膜状に容易に成形できかつ薄くともガスバリア性に優れる。このため、本発明に係る外装材は、接合部を容易にかつ密着した状態で真空断熱材本体部側に折り曲げることができる(加工性に優れる)。ゆえに、本発明の真空断熱材は、ガスバリア性及び加工性にも優れる。
したがって、本発明の真空断熱材は、熱伝導率が低く、ヒートブリッジの発生を有効に抑制でき、かつガスバリア性及び加工性に優れる。このため、本発明の真空断熱材は、冷蔵冷凍庫などの真空断熱材として有用である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
[真空断熱材]
図1は、本発明の真空断熱材の一例を示す模式断面図である。図1Aに示されるように、真空断熱材1は、芯材6およびガス吸着剤7を2枚の外装材2で両面から挟むように内包する構造を有する。ここで、外装材2は、準結晶金属膜4およびプラスチックフィルム3、5の積層体(ラミネートフィルム)から構成される。上述したように、準結晶金属膜は、薄くかつガスバリア性に優れるため、外装材2を伝って周囲からの回り込む熱量を低く抑えることができる。このため、本発明に係る外装材を使用することによって、ヒートブリッジを効率よく抑制・防止できる。
ここで、真空断熱材1は、この積層体の周囲を封止(例えば、ヒートシール)することにより3方袋状の外装材を作製し、この外装材2中に芯材6およびガス吸着剤7を収容し、この状態で内部を減圧して、開口部を封止(例えば、ヒートシール)することによって製造される。このため、図1に示されるように、外装材(積層体)2の周囲(端部)には、外装材(積層体)が相互に接合した接合部(シール部)8が存在する。この接合部8は、図1Bに示されるように、真空断熱材本体部側に折り曲げられて、真空断熱材製品となる。上述したように、外装材(特に準結晶金属膜)は、薄膜状に容易に成形できかつ薄くともガスバリア性に優れるため、接合部を真空断熱材本体に容易に密着させることができる。したがって、本発明によると、接合部を折り曲げた状態でも、真空断熱材表面に沿って熱が流れるヒートブリッジを有効に抑制・防止して断熱性能が向上すると同時に、ガスバリア性にも優れた信頼性の高い真空断熱材を提供できる。
以下、本願発明の真空断熱材の各部材について説明する。なお、本発明は、外装材に準結晶金属膜を使用することを特徴とするものであるため、それ以外の部材については従来と同様の部材が使用でき、下記形態に限定されない。
(外装材)
外装材の構成は特に制限されないが、外装材は、準結晶金属膜とプラスチックとの積層体からなることが好ましい。すなわち、一対のガスバリア性を有する外装材の少なくとも一方は、準結晶金属とプラスチックとの積層体からなることが好ましい。ここで、一対の外装材から真空断熱材が構成されるが、2つの外装材のうち少なくとも一方が準結晶金属膜とプラスチックとの積層体からなればよいが、双方の外装材ともが準結晶金属膜とプラスチックとの積層体から構成されることが好ましい。前者の場合の準結晶金属膜とプラスチックとの積層体でない外装材は、特に制限されないが、例えば、少なくともアルミニウム、鉄、金、銀、銅、ニッケル、SUS、錫、チタン、プラチナ、鉛、コバルト、亜鉛、炭素鋼などの金属箔および/またはそれらの少なくとも2種の合金箔やアルミニウム、ニッケル、コバルト、亜鉛、金、銀、銅、酸化珪素、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの蒸着膜および/またはそれらの少なくとも2種の合金蒸着膜と、プラスチックとの積層体などが挙げられる。
本明細書において、「準結晶金属」とは、長距離秩序は持っているが、並進対称性を持たない金属相を意味し、準周期的な構造(不規則な周期構造)を有する。準結晶金属は、結晶質金属材料と非晶質金属材料との中間的な構造を有する。準結晶金属は、電子回折によって、回析点から長距離秩序を、および5回対称性の存在から準周期的な構造(不規則な周期構造)を、それぞれ、分析することによって、確認される。
また、図1では、準結晶金属膜4およびプラスチックフィルム3、5は、それぞれ、単層(一層)形態で示されているが、外装材を構成する準結晶金属膜およびプラスチックフィルムは、それぞれ、単層形態で存在してもまたは2種以上の積層形態で存在してもよい。後者の場合、準結晶金属膜およびプラスチックフィルムは、2層以上が積層される構造であることが好ましい。また、準結晶金属膜およびプラスチックフィルムの積層形態は、いずれの形態であってもよいが、接着性(融着性)、表面保護効果などを考慮すると、最外層及び最内層がプラスチックフィルムであることが好ましい。すなわち、外装材は、外側から、プラスチックフィルム−準結晶金属膜−プラスチックフィルムの積層形態であることが好ましい。
本発明において、準結晶金属膜は、1層であっても2種以上の積層形態であってもよい。後者の場合、各準結晶金属膜は、同一の組成であってもあるいは異なる組成であってもよい。また、準結晶金属膜は、準結晶金属以外の成分を含んでもよいが、熱伝導率、熱抵抗(即ち、断熱性)およびガスバリア性のより向上効果の観点から、準結晶金属のみから構成されることが好ましい。すなわち、準結晶金属膜は、準結晶金属から構成されることが好ましい。
準結晶金属を構成する金属種は、特に制限されない。具体的には、準結晶金属を構成する準結晶金属は、Al−TM−M合金もしくはAl−TM合金(ここで、TMは、少なくとも1種の遷移金属を表わし;Mは、半金属及び半導体からなる群より選択される少なくとも1種の元素を表す)、またはRE−Mg−Zn合金(ここで、REは、希土類元素またはガリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表す)であることが好ましい。
上述したように、準結晶金属は、アルミニウム(Al)、少なくとも1種の遷移金属(TM)ならびに少なくとも1種の半金属および/または半導体(M)から構成されるAl−TM−M合金である、またはアルミニウム(Al)および少なくとも1種の遷移金属(TM)から構成されるアルミニウムおよびAl−TM合金でありうる。ここで、TMは、少なくとも1種の遷移金属(周期表で第3族元素から第11族元素の間に存在する元素)を表わす。好ましくは、TMは、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスニウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)およびウラン(U)などが挙げられる。より好ましくは、TMは、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、レニウム(Re)、オスニウム(Os)、および金(Au)である。ここで、TMは、1種の遷移金属でもあるいは2種以上の遷移金属であってもよいが、好ましくは1種または2種の遷移金属である。また、Mは、少なくとも1種の半金属および/または半導体を表す。ここで、半金属は、周期表の14族元素であり、好ましくはケイ素(Si)およびゲルマニウム(Ge)である。また、半導体は、周期表の1族、2族または13族の元素であり、好ましくはリチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、ガリウム(Ga)である。より好ましくは、Mは、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)およびゲルマニウム(Ge)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を表す。ここで、Mは、1種の上記金属でもあるいは2種以上の上記金属であってもよいが、好ましくは1種または2種の上記金属である。
Al−TM−M合金の組成は、特に制限されないが、全量に対して、10〜45原子%の遷移金属、5〜45原子%の半金属および/または半導体、ならびに残部がアルミニウム及び不可避的不純物から構成される[Al100−a−b−xTM;aは、遷移金属の組成であり、10≦a≦45、好ましくは10≦a≦20、より好ましくは14≦a≦20、bは、半金属および/または半導体の組成であり、5≦b≦45、好ましくは8≦b≦35、xは、不可避的不純物の組成であり、0≦x≦0.05)]ことが好ましい。具体的には、Al−TM−M合金の好ましい例としては、Al72Mn20Si、Al7220Si8、Al40Mn25Cu10Ge25、AlLiCu、Mg45Pd14Al41、AlLiAu、Al50Mg35Ag15がある。より好ましくは、Al−TM−M合金は、AlLiCu、Mg45Pd14Al41、AlLiAu、Al50Mg35Ag15である。このような組成であれば、準結晶金属膜は、十分低い熱伝導率及び十分高い熱抵抗(即ち、優れた断熱性)ならびに高いガスバリア性をさらに向上できる。なお、本明細書では、合金の組成は、原子%で表される。
また、Al−TM合金の組成は、特に制限されないが、全量に対して、16〜40原子%の遷移金属ならびに残部がアルミニウム及び不可避的不純物から構成される[Al100−c−yTM;cは、遷移金属の組成であり、16≦c≦40、yは、不可避的不純物の組成であり、0≦y≦0.05]ことが好ましい。具体的には、Al−TM合金の好ましい例としては、Al62.5Cu25Fe12.5、Al72Pd18.5Mn8.5、AlMn、Al84Cr16、Al65Cu20Fe15、Al65Cu20Ru15、Al65Cu20Os15、Al70Pd20Mn10、Al70Pd20Re10、AlMn、Al−Fe、Al−Pd、Al70Ni15Co15、Al65Cu20Co15、Al75Pd15Fe10、Al70Mn17Pd13がある。より好ましくは、Al−TM合金は、Al62.5Cu25Fe12.5、Al70Pd20Mn10、Al65Cu20Fe15、Al65Cu20Ru15、Al65Cu20Os15、Al70Pd20Mn10、Al70Pd20Re10、Al70Ni15Co15、Al65Cu20Co15、Al75Pd15Fe10、Al70Mn17Pd13である。このような組成であれば、準結晶金属膜は、十分低い熱伝導率及び十分高い熱抵抗(即ち、優れた断熱性)ならびに高いガスバリア性をさらに向上できる。
または、準結晶金属は、少なくとも1種の希土類元素(RE)、マグネシウム(Mg)および亜鉛(Zn)から構成されるRE−Mg−Zn合金でありうる。ここで、REは、希土類元素またはガリウム(Ga)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を表す。上記希土類元素は、特に制限されず、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)でありうる。好ましくは、希土類元素は、イットリウム(Y)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)である。ここで、REは、1種の希土類元素またはガリウム(Ga)でもあるいは2種以上の上記金属であってもよいが、好ましくは1種または2種の上記金属である。
具体的には、RE−Mg−Zn合金の組成は、特に制限されないが、全量に対して、18〜36原子%のマグネシウム、21〜70原子%の亜鉛ならびに残部が希土類元素及び不可避的不純物から構成される[RE100−d−e−zMgZn;dは、マグネシウムの組成であり、18≦d≦36、eは、亜鉛の組成であり、21≦e≦70、zは、不可避的不純物の組成であり、0≦z≦0.05]ことが好ましい。具体的には、RE−Mg−Zn合金の好ましい例としては、Ga10Mg18Zn21、Zn56Mg368、Zn56Mg36Gdがある。このような組成であれば、準結晶金属膜は、十分低い熱伝導率及び十分高い熱抵抗(即ち、優れた断熱性)ならびに高いガスバリア性をさらに向上できる。
上記準結晶金属のうち、熱伝導率のさらなる低減、熱抵抗(即ち、優れた断熱性)やガスバリア性のさらなる向上などを考慮すると、準結晶金属は、Al100−a−b−xTM合金(ここで、TMは、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、レニウム(Re)、オスニウム(Os)、および金(Au)からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属を表わし;Mは、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)およびゲルマニウム(Ge)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を表わし;aは、前記遷移金属の組成であり、10≦a≦20であり;bは、前記元素の組成であり、8≦b≦35であり;xは、不可避的不純物の組成であり、0≦x≦0.05である)もしくはAl100−c−yTM合金(ここで、TMは、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、レニウム(Re)、オスニウム(Os)、および金(Au)からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属を表わし;cは、前記遷移金属の組成であり、16≦c≦40であり;yは、不可避的不純物の組成であり、0≦y≦0.05である)、またはRE100−d−e−zMgZn合金(ここで、REは、イットリウム(Y)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)からなる群より選択される少なくとも1種の希土類元素を表わし;dは、マグネシウムの組成であり、18≦d≦36であり;eは、亜鉛の組成であり、21≦e≦70であり;zは、不可避的不純物の組成であり、0≦z≦0.05である)であることが好ましく、Al62.5Cu25Fe12.5、Al70Pd20Mn10またはYMg36Zn56であることが特に好ましい。
また、準結晶金属膜の厚みは特に制限されない。具体的には、準結晶金属膜の厚み(d)は、好ましくは1mm未満であり、より好ましくは0.01〜10μmであり、さらにより好ましくは0.05〜5μmである。なお、厚みが1mmを超えると、熱抵抗が低くなる、屈曲性などの加工性が悪くなる等の問題が生じる可能性がある。上記したような薄さの準結晶金属膜であれば、加工性に優れるため、外装材の接合部を真空断熱材本体に容易に密着させることができる。また、上記厚みであれば、外装材は、真空断熱材表面に沿って熱が流れるヒートブリッジをより有効に抑制・防止して断熱性能が向上でき、また、ガスバリア性にも優れる。なお、本明細書において、準結晶金属膜の厚みは、準結晶金属膜の最大厚みを意図する。
本発明に係る外装材は、断熱性、ヒートブリッジのより低減効果などを考慮すると、熱伝導率が低いことが好ましい。このため、準結晶金属膜もまた熱伝導率が低いことが好ましい。具体的には、準結晶金属膜は、10W/m・K以下の固有熱伝導率(λ)(以下、単に、「熱伝導率」とも称する)を有することが好ましく、5W/m・K以下の固有熱伝導率を有することがより好ましい。このような熱伝導率であれば、現行の圧延アルミニウム箔と比較して、ヒートブリッジを有効に抑制できる。なお、準結晶金属膜の熱伝導率は、低いほど好ましいため、下限は特に限定されず、通常、0W/m・Kであるが、1W/m・K以上であれば十分であり、3W/m・K以上であってもよい。このような熱伝導率であれば、外装材は断熱性に優れる。なお、準結晶金属膜の熱伝導率は、公知の測定方法によって測定できるが、本明細書において、「準結晶金属膜の熱伝導率」は、下記方法で測定される。
[準結晶金属膜の固有熱伝導率(熱伝導率)の測定]
所定の組成の準結晶金属(合金)を、アーク溶解炉を用いてバルク形状(直径:20mmφ、厚さ:約5mm)作製した後、合金を真空中(10−3Pa)で650℃で24時間、熱処理して、バルク体を作製した。次に、作製したバルク体の表面を研磨し、直径:10mmφ、厚さ:1〜3mmの円筒形状に成形して、サンプルを作製する。このサンプルについて、レーザーフラッシュ法を用いて固有熱伝導率(熱伝導率)(λ)(W/m・K)を測定する。
上述したように、本発明に係る外装材を使用することによって、ヒートブリッジの問題を解消する。ヒートブリッジの抑制効果を考慮すると、外装材は、薄くかつ熱伝導率が低いことが好ましい。上記点を考慮すると、準結晶金属膜の熱抵抗は高いことが好ましく、例えば、準結晶金属膜が、800K/W以上の熱抵抗(R)を有することが好ましく、50,000K/Wを超える熱抵抗(R)を有することがより好ましく、100,000K/W以上の熱抵抗(R)を有することがさらにより好ましく、さらに200,000K/W以上の熱抵抗(R)を有することが特に好ましい。なお、準結晶金属膜の熱抵抗は、高いほど好ましいため、上限は特に限定されないが、通常、1,000,000K/W以下であれば十分であり、3,000,000K/W以下であってもよく、または500,000K/W以下であってもよい。熱抵抗及び厚みが上記いずれかの範囲である準結晶金属膜(ゆえに、外装材)を用いてなる真空断熱材は、従来のアルミニウム箔に比して、良好な加工性を確保したまま、ヒートブリッジの発生をより有効に抑制・防止できる。なお、本明細書において、「熱抵抗」とは、単位面積あたりの金属箔に対して、厚み方向と垂直の熱抵抗を指し、熱抵抗(R)(K/W)は、準結晶金属膜の厚み(d)及び熱伝導率(λ)から測定され、具体的には、下記式によって算出される。
本発明に係る外装材は、ガスバリア性に優れることが好ましい。このため、準結晶金属膜もまたガスバリア性に優れることが好ましい。具体的には、準結晶金属膜の水蒸気透過度が、8×10−3(g/m・day)以下が好ましく、5×10−3(g/m・day)未満であることがより好ましい。水蒸気透過度が8×10−3(g/m・day)より大きい場合、外装材のガスバリア性が悪く、真空断熱材の内部の真空度を長期間維持できなくなる可能性がある。なお、準結晶金属膜の水蒸気透過度は、低いほど好ましいため、下限は特に限定されないが、通常、1×10−7(g/m・day)以上であれば十分である。本明細書において、準結晶金属膜の「水蒸気透過度(g/m・day)」は、ISO15106−3に準拠するAquatran(MOCON社製)を用いて、40℃の温度及び90%RHの相対湿度で測定した値を採用する。
本発明において、準結晶金属の製造方法は、特に制限されない。例えば、準結晶金属は、所望の原子比で秤量した原料金属を不活性雰囲気(例えば、アルゴン雰囲気)中でアーク溶解炉を用いて溶解して、母合金を作製し、作製した母合金を真空中または不活性雰囲気(例えば、アルゴン雰囲気)中で適当な温度(例えば、650〜950℃)で適当な時間(例えば、12〜24時間)、熱処理を行うことによって、準結晶のバルク体を得るバルク法によって得られる。同様にして、準結晶金属膜の製造方法は、特に制限されず、公知の方法が使用できる。または、準結晶金属膜は市販品を使用してもよい。準結晶金属膜を製造する具体的な方法としては、圧延法、蒸着(例えば、PLD(Pulse Laser Deposition))法、スパッタリング法、急冷凝固法などが挙げられる。上記方法のうち、圧延法では、上記で得られたバルクを圧延することにより、準結晶金属膜を製造できる。PLD法やスパッタリング法では、所望の原子比で秤量した原料金属を用いて成膜ターゲットを作製し、この成膜ターゲット及び基板を真空チャンバー内に配置し、チャンバー内を適当に(例えば、10−4Pa以下に)真空引きを行った後、基板温度を適切(例えば、室温(25℃))に調節して所望の膜厚にまで成膜を行うことにより、準結晶金属膜を製造できる。なお、上記成膜に使用するレーザーは、特に制限されないが、例えば、Ndパルスレーザー(λ:527nm,τ=250fs,10Hz)を使用することができる。また、成膜条件も特に制限されないが、例えば、アノードとカソードの距離は4mm、ターゲットと基板の距離は50mm、基板温度は室温(25℃)、基板バイアス電圧は−400Vとすることができる。急冷凝固法では、上記と同様にしてアーク溶解で母合金を作製した後、単ロール法等で液体急冷凝固装置を用いて準結晶金属膜を急冷薄帯の形態で作製する、または上記と同様にしてアーク溶解で母合金を作製した後、母合金を石英ノズルに投入し、不活性雰囲気(例えば、アルゴン雰囲気)中で高周波加熱により母合金を溶融し、溶融金属を適当な速度で回転する銅ロール上に不活性ガス(例えば、アルゴンガス)圧を加えて噴射し、準結晶金属膜を急冷薄帯の形態で作製することができる。これらの方法うち、圧延法、スパッタリング法が好ましい。すなわち、準結晶金属膜は、圧延またはスパッタリングによって製造されることが好ましい。上記方法によって得られる準結晶金属膜は、その薄さにより、外装材部を伝って周囲からの回り込む熱量を低く抑えることができる。このため、このような準結晶金属膜を用いてなる外装材は、真空断熱材のヒートブリッジを効率よく抑制・防止できる。また、同様の理由により、外装材の厚みが薄いため加工性(屈曲性)に優れ、ウレタン封入時に妨げとなる接合部の折り曲げが容易になり、接合部を真空断熱材本体に容易に密着させることができる。なお、準結晶金属膜は、単層の形態であってもまたは2種以上の積層形態であってもよい。
このようにして得られた準結晶金属膜は、プラスチックフィルムと積層されて、本発明に係る外装材が得られる。ここで、プラスチックフィルムは、1層であっても2種以上の積層形態であってもよい。また、プラスチックフィルムの組成は、特に制限されないが、通常、準結晶金属膜より内側(芯材やガス吸着剤が収容されている側)のプラスチックフィルム(図1中のプラスチックフィルム5)が熱溶着性を有するフィルムであり、準結晶金属膜より外側(外気に接触する側)のプラスチックフィルム(図1中のプラスチックフィルム3)が表面保護効果のあるフィルム(表面保護フィルム)であることが好ましい。
ここで、熱溶着フィルムは、通常のシール法(例えば、ヒートシール)によって接着できるものであれば特に限定されない。熱溶着フィルムを構成する材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。なお、上記材料は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物であってもよい。また、熱溶着フィルムは、単層であってもまたは2層以上の積層形態であってもよい。後者の場合、各層は、同様の組成を有していてもまたは異なる組成を有していてもよい。
熱溶着フィルムの厚みは、特に制限されず、公知の厚みと同様の厚みでありうる。具体的には、熱溶着フィルムの厚みは、好ましくは10〜100μmである。10μmより薄い場合、ヒートシール時に十分な密着強度を得ることができず、100μmより厚い場合、屈曲性等の加工性が悪くなる。なお、熱溶着フィルムが2層以上の積層構造を有する場合には、熱溶着フィルムの厚みは、合計厚みを意味する。また、この場合には、各層の厚みは、同じであってもまたは異なってもよい。
また、表面保護フィルムは、特に制限されず、外装材の表面保護フィルムとして通常使用されるのと同様の材料が使用できる。表面保護フィルムを構成する材料としては、例えば、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(ナイロン)(PA)、ポリエチレンテレタフレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルフォン(PES),ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリルニトリル樹脂(PAN)などが挙げられる。また、これらのフィルムは周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていてもよい。なお、上記材料は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物であってもよい。また、表面保護フィルムは、単層であってもまたは2層以上の積層形態であってもよい。後者の場合、各層は、同様の組成を有していてもまたは異なる組成を有していてもよい。
表面保護フィルムの厚みは、特に制限されず、公知の厚みと同様の厚みでありうる。具体的には、表面保護フィルムの厚みは、好ましくは10〜100μmである。10μmより薄い場合、バリア層の保護が十分でなく、クラック等の原因となりえる。また100μmより厚い場合、熱溶着フィルムと同様に屈曲性等の加工性が悪くなる可能性がある。なお、表面保護フィルムが2層以上の積層構造を有する場合には、上記厚みは、合計厚みを意味する。また、この場合には、各層の厚みは同じであってもまたは異なってもよい。
外装材の厚みは、特に制限されない。具体的には、外装材の厚みは、好ましくは20〜210μmである。上記したような薄さの外装材であれば、ヒートブリッジをより有効に抑制・防止して断熱性能が向上でき、また、ガスバリア性及び加工性にも優れる。
また、本発明に係る外装材は、断熱性を考慮すると、熱伝導率が低いことが好ましい。このため、真空断熱材(外装材)もまた熱伝導率が低いことが好ましい。具体的には、真空断熱材(外装材)の熱伝導率(λ)は、好ましくは0.01W/m・K以下、より好ましくは0.005W/m・K以下である。このような熱伝導率であれば、真空断熱材は断熱性に優れる。なお、真空断熱材(外装材)の熱伝導率は、低いほど好ましいため、下限は特に限定されないが、通常、0.0005W/m・K以上であれば十分である。また、真空断熱材(外装材)の熱伝導率は、公知の測定方法によって測定できるが、本明細書において、「真空断熱材(外装材)の熱伝導率(mW/m・K)」は、HFM436(NETZSCH社製・熱流計部中央100mm×100mm)を用いて測定される値を採用する。
真空断熱材の製造方法に関しては、特に制限されず、公知と同様の方法あるいは公知の方法を適宜修飾した方法が使用できる。例えば、(i)2枚の外装材を用意し、一方の外装材(ラミネートフィルム)を折り返し、対向する外装材の端部に位置する熱溶着フィルム同士を熱溶着することで袋状の外装材を得、この外装材内へ、芯材及びガス吸着剤を挿入し、減圧下にて袋状ラミネートフィルムの開口部に位置する熱溶着フィルム同士を熱溶着する方法、(ii)熱溶着フィルム同士が対向するよう2枚の外装材(ラミネートフィルム)を配置し、各外装材の端部に位置する熱溶着フィルム同士を熱溶着することで袋状の外装材を得て、この袋状の外装材内に、芯材及びガス吸着剤を挿入し、減圧下にて袋状ラミネートフィルムの開口部付近に位置する熱溶着フィルム同士を熱溶着する方法などが挙げられる。
(芯材)
本発明で使用できる芯材は、真空断熱材の骨格となり、真空空間を形成する。ここで、芯材の材質としては、特に限定されず、公知の芯材材料が使用できる。具体的には、グラスウール、ロックウール、アルミナ繊維、熱伝導率の低い金属からなる金属繊維等の無機繊維;ポリエステルやポリアミド、アクリル、ポリオレフィンなどの合成繊維や木材パルプから製造されるセルロース、コットン、麻、ウール、シルクなどの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維等の有機繊維などが挙げられる。上記芯材材料は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物であってもよい。これらのうち、グラスウールが好ましい。これらの材料からなる芯材は、繊維自体の弾性が高く、また繊維自体の熱伝導率が低く、なおかつ工業的に安価である。
(ガス吸着剤)
本発明で使用できるガス吸着剤は、真空断熱材の密閉空間に残存または侵入する水蒸気や空気(酸素、窒素)等のガスを吸着する。ここで、ガス吸着剤としては、特に限定されず、公知のガス吸着剤が使用できる。具体的には、酸化カルシウム(生石灰)、酸化マグネシウム等の化学吸着物質、ゼオライト等の物理吸着物質、連通ウレタン、リチウム化合物、化学吸着性及び物理吸着性を有する銅イオン交換ZSM−5型ゼオライト、モレキュラシーブ13Xなどが挙げられる。上記芯材材料は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物であってもよい。
上述したように、本発明の真空断熱材は、熱伝導率が低く、ヒートブリッジの発生を有効に抑制でき、かつガスバリア性及び加工性に優れる。したがって、本発明の真空断熱材は、冷凍庫、冷蔵庫、自動販売機、給湯容器、建造物用断熱材、自動車用断熱材、及び保冷/保温ボックスなど、断熱性能の維持が必要な機器に、好適に適用できる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「重量%」および「重量部」を意味する。
実施例1
アーク溶解炉を用いてバルク形状(20mmφ、厚さ約5mm)のAl62.5Cu20Fe12.5(原子比)合金を作製した。このAl62.5Cu20Fe12.5合金を溶解、粉砕、焼結した後、直径200mmφの銅製スパッタリング用バッキングプレート上に厚さ3mmでボンディングし、スパッタリングターゲットを作製した。真空チャンバー内に、上記スパッタリングターゲットおよびポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(100mm×300mm×52μm)を対向させて配置し、チャンバー内を10−6Paまで真空引きした後、アルゴンガスを0.3Paの圧力まで注入した。なお、この際、投入電力は150W、基板温度は室温(25℃)、成膜速度は250nm/hとして、PETフィルム上に、厚みが100nmの準結晶金属膜(1)を作製した。
このようにして得られた準結晶金属膜(1)について、固有熱伝導率(λ)(W/m・K)、熱抵抗(R)(K/W)および水蒸気透過度(g/m・day)を測定した。結果を下記表1に示す。
実施例2
実施例1において、準結晶金属膜の厚みを7μmに変更した以外は、上記実施例1と同様の操作を行って、準結晶金属膜(2)を作製した。このようにして得られた準結晶金属膜(2)について、固有熱伝導率(λ)(W/m・K)、熱抵抗(R)(K/W)および水蒸気透過度(g/m・day)を測定した。結果を下記表1に示す。
実施例3
アーク溶解炉を用いてバルク形状(20mmφ、厚さ約5mm)のAl70Pd20Mn10(原子比)合金を作製した。このAl70Pd20Mn10合金を溶解、粉砕、焼結した後、直径200mmφの銅製スパッタリング用バッキングプレート上に厚さ3mmでボンディングし、スパッタリングターゲットを作製した。真空チャンバー内に、上記スパッタリングターゲットおよびポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(100mm×300mm×52μm)を対向させて配置し、チャンバー内を10−6Paまで真空引きした後、アルゴンガスを0.3Paの圧力まで注入した。なお、この際、投入電力は150W、基板温度は室温(25℃)、成膜速度は250nm/hとして、PETフィルム上に、厚みが100nmの準結晶金属膜(3)を作製した。
このようにして得られた準結晶金属膜(3)について、固有熱伝導率(λ)(W/m・K)、熱抵抗(R)(K/W)および水蒸気透過度(g/m・day)を測定した。結果を下記表1に示す。
比較例1
圧延アルミニウム箔(7μm)を用いた。このアルミニウム箔について、固有熱伝導率(λ)(W/m・K)、熱抵抗(R)(K/W)および水蒸気透過度(g/m・day)を測定した。結果を下記表1に示す。
比較例2
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚さ100nmのAl蒸着膜を形成した。このAl蒸着膜について、固有熱伝導率(λ)(W/m・K)、熱抵抗(R)(K/W)および水蒸気透過度(g/m・day)を測定した。結果を下記表1に示す。
上記表1の結果から、実施例1〜3の準結晶金属膜(1)〜(3)は、比較例1のアルミニウム箔や比較例2のアルミニウム蒸着膜に比して、熱抵抗が有意に高いことが示される。また、実施例1〜3の準結晶金属膜(1)〜(3)は、比較例2のアルミニウム蒸着膜に比して、ガスバリア性が有意に向上している(水蒸気透過度が有意に低い)ことも示される。これらの結果から、本発明の準結晶金属を外装材に用いた真空断熱材は、高いガスバリア性を維持しつつ、従来のアルミニウム箔やアルミニウム蒸着膜を外装材に用いた真空断熱材に比して、熱抵抗が向上し、ヒートブリッジの影響を抑制することが可能になることが示され、優れた断熱性を発揮できると、考察される。
1…真空断熱材、
2…外装材、
3、5…プラスチックフィルム、
4…準結晶金属膜、
6…芯材、
7…ガス吸着剤、
8…接合部(シール部)。

Claims (8)

  1. 芯材およびガス吸着剤を一対のガスバリア性を有する外装材で両面から挟むように内包し、内部を減圧して封止してなる真空断熱材であって、前記一対のガスバリア性を有する外装材の少なくとも一方が準結晶金属を用いて形成される準結晶金属膜を有する、真空断熱材。
  2. 前記準結晶金属膜は、10W/m・K以下の固有熱伝導率を有する、請求項1に記載の真空断熱材。
  3. 前記準結晶金属は、Al−TM−M合金もしくはAl−TM合金(ここで、TMは、少なくとも1種の遷移金属を表わし;Mは、半金属及び半導体からなる群より選択される少なくとも1種の元素を表す)、またはRE−Mg−Zn合金(ここで、REは、希土類元素またはガリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表す)である、請求項1または2に記載の真空断熱材。
  4. 前記準結晶金属は、Al100−a−b−xTM合金(ここで、TMは、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、レニウム(Re)、オスニウム(Os)、および金(Au)からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属を表わし;Mは、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)およびゲルマニウム(Ge)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を表わし;aは、前記遷移金属の組成であり、10≦a≦20であり;bは、前記元素の組成であり、8≦b≦35であり;xは、不可避的不純物の組成であり、0≦x≦0.05である)もしくはAl100−c−yTM合金(ここで、TMは、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、レニウム(Re)、オスニウム(Os)、および金(Au)からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属を表わし;cは、前記遷移金属の組成であり、16≦c≦40であり;yは、不可避的不純物の組成であり、0≦y≦0.05である)、またはRE100−d−e−zMgZn合金(ここで、REは、イットリウム(Y)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)からなる群より選択される少なくとも1種の希土類元素を表わし;dは、マグネシウムの組成であり、18≦d≦36であり;eは、亜鉛の組成であり、21≦e≦70であり;zは、不可避的不純物の組成であり、0≦z≦0.05である)である、請求項3に記載の真空断熱材。
  5. 前記準結晶金属は、Al62.5Cu25Fe12.5、Al70Pd20Mn10またはYMg36Zn56である、請求項4に記載の真空断熱材。
  6. 前記準結晶金属膜は、圧延またはスパッタリングによって製造される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の真空断熱材。
  7. 前記一対のガスバリア性を有する外装材の少なくとも一方は、前記準結晶金属とプラスチックとの積層体からなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の真空断熱材。
  8. 前記準結晶金属膜は、前記準結晶金属から構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の真空断熱材。
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