JP2018115755A - 真空断熱材、真空断熱材の製造方法及び冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、この真空断熱材の前記芯材は、ガラス繊維の自重で繊維が僅かに変形を始める温度、又はプレス時の上下方向からの加重によりガラス繊維が変形可能となる温度であって、ガラス繊維の断面形状が大きく変化しない程度の温度で加圧成形されてガラス繊維の熱変形により繊維が延伸されている。
また、この真空断熱材は、繊維相互の結着でなく、ガラス繊維の一部が繊維相互間で絡み合って形状を保持している。
特許文献1には、前記した構成とすることにより、真空断熱材の断熱性能が大幅に改善された旨記載されている。
図1は、本実施形態に係る真空断熱材の構成を説明する概略断面図である。
図1に示すように、真空断熱材1は、芯材2と、包装体3と、を有する。
(芯材)
芯材2は、無機繊維の集合体であり、この集合体の表面に無機繊維の少なくとも一部を融着させた融着層2aが形成されている。
無機繊維は、ガラス繊維、セラミック繊維、ロックウールなどを用いることができるが、これらに限定されない。
無機繊維の集合体とは、任意の製造方法で製造された無数の無機繊維が絡み合って一体的に形成された原綿をいう。原綿の形状は、例えば、所定の厚みを有するシート状とするのが好ましいが、これに限定されない。無機繊維の集合体は、製造方法の都合上、前記原綿を一つのみを用いてもよいし、複数個用いてもよい。つまり、前記したようにシート状の原綿である場合は、一層のみとしてもよいし、複数層重ねてもよい。
なお、融着層2aは、寸法精度が高く、復元率が低い真空断熱材1を提供するという所期の効果を奏することができればよく、融着層2aに該当する領域が全て融着したものである必要はない。
図2に示すように、無機繊維2bの表面に針状の結晶2cが形成されていることが好ましい。このようにすると、無機繊維2b同士が密着することを抑制できるので、無機繊維2b同士の密着による熱伝導を抑制できる。
無機繊維2bの表面に形成させる針状の結晶2cの大きさは、無機繊維2bの径より小さくして、熱伝導率を低くするのが好ましい。
また、前記した針状の結晶2cは、硫黄で形成されている。硫黄の熱伝導率は無機繊維2bより低いため、真空断熱材1の熱伝導率を更に低くできる。
針状の結晶2cは、湿式抄造方式によって無機繊維2bをシート化するときの分散剤として硫酸を用いることで形成することができる。
包装体3は、芯材2を内包すると共に、内部が減圧状態(いわゆる真空状態)に保つものである。つまり、包装体3は、真空断熱材1の外装を成すものである。
包装体3は、ガスバリア性を有し、熱溶着可能なラミネートフィルムを好適に用いることができる。ラミネートフィルムは、表面保護層、第1ガスバリア層、第2ガスバリア層、熱溶着層の4層構造であるものを好適に用いることができる。
第1ガスバリア層は樹脂フィルムに金属蒸着層を設け、第2ガスバリア層は酸素バリア性の高い樹脂フィルムに金属蒸着層を設け、第1ガスバリア層と第2ガスバリア層は金属蒸着層同士が向かい合うように貼り合わせたものを用いるのが好ましい。
熱溶着層も表面保護層と同様に吸湿性の低い樹脂フィルムを用いるのが好ましい。
なお、本実施形態においては、包装体3の補強や芯材2の取扱いの容易化や保存等の目的で、必要に応じて内袋を用いてもよい。
以上に説明した本実施形態に係る真空断熱材1は、図1に示すように、無機繊維の集合体である芯材2の表面に前記した融着層2aを有している。そのため、真空断熱材1は、この融着層2aを有することによってその形状をしっかりと保つことができるので、真空断熱材1を成形する場合などにおいて寸法精度を高くすることができる。例えば、真空断熱材1によれば、融着層2aを有しているので、包装体3に内包する前や後記する真空密封工程における真空引き前などにおいて芯材1の端面をカットする場合に、そのカット精度を向上させることができる。また、真空断熱材1は、前記した融着層2aを有しているので、無機繊維が包装体3から露出した場合などであっても復元率を低くすることができる。
次に、本実施形態に係る真空断熱材の製造方法について説明する。
なお、本実施形態に係る真空断熱材の製造方法の説明において、前記した本実施形態に係る真空断熱材1と共通する構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
融着層形成工程は、無機繊維の集合体である芯材2を無機繊維の歪点よりも高い温度でプレスし、前記集合体(芯材2)の表面に前記融着層2aを形成する工程である。なお、「歪点」とは、それ以上になると、無機繊維が歪み始める温度をいう。換言すると、それよりも低いと、無機繊維の歪みが生じない温度をいう。つまり、歪点とは、無機繊維の粘性流動が事実上起こり得ない温度をいう。融着層形成工程において、無機繊維の歪点よりも高い温度でプレスすることにより、無機繊維の少なくとも一部が融解し、無機繊維同士を融着させることができる。従って、この融着層形成工程を経た芯材2は、前述したように、その形状をしっかりと保つことができるようになる。
金型の加熱温度は、融着層2aを形成する無機繊維の歪点に合わせて適宜設定するとよい。なお、本実施形態においては、無機繊維の歪点よりも高い温度が500℃以上であるのが好ましいため、金型の加熱温度はそれ以上に設定するのが好ましい。但し、無機繊維の歪点が500℃よりも低い場合もあるため、そのような無機繊維を用いる場合は、無機繊維の歪点に応じて適宜金型の加熱温度を変更することができる。例えば、金型の加熱温度は、500〜600℃の範囲で設定することができる。なお、加熱温度が高いほど、繊維先端の溶着部が大きくなることから、500〜550℃の範囲とすることが、より好ましい。
金型による加熱時間は、例えば、10分から20分とすることができるが、融着層2aを形成できればよく、この範囲に限定されない。金型の成形荷重は、例えば、0.05〜0.5MPaとすることができるが、この範囲に限定されない。
真空密封工程は、融着層2aを形成した芯材2を包装体3に内包させ、包装体3の内部を減圧状態にしつつ密封する工程である。なお、芯材2を包装体3に内包させるにあたり、必要に応じて芯材2の端面をカットすることができる。このとき、前記したように、芯材2は融着層2aを有しているので、カット精度を向上させることができる。
以上に説明した本実施形態に係る真空断熱材の製造方法によれば、融着層形成工程と、真空密封工程と、を有している。そのため、無機繊維の集合体であり、集合体の表面に無機繊維の少なくとも一部を融着させた融着層2aが形成されている芯材2と、芯材2を内包すると共に、内部が減圧状態に保たれている包装体3と、を有する真空断熱材1を製造することができる。このようにして製造された真空断熱材1は、前記した融着層2aを有しているので、その形状をしっかりと保つことができる。そのため、真空断熱材1は、真空断熱材1を成形する場合などにおいて寸法精度を高くすることができる。また、真空断熱材1は、前記した融着層2aを有しているので、無機繊維が包装体3から露出した場合などであっても復元率を低くすることができる。更に、真空断熱材1の復元率が低いことから、真空密封工程における真空引き時(大気開放時)の寸法変化を少なくすることができる。従って、これによっても真空断熱材1の寸法精度を高くすることに寄与するものである。
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態に係る冷蔵庫について説明する。
図3は、本実施形態に係る冷蔵庫の構成を説明する概略断面図である。図4は、図3のA−A線断面図である。
なお、本実施形態に係る冷蔵庫の説明において、前記した本実施形態に係る真空断熱材及びその製造方法と共通する構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
また、冷蔵庫10は、真空断熱材1(1c、1d、1e)が、外箱25と内箱26とによって形成される断熱箱体24の内部24bに備えられている。
更に、冷蔵庫10は、真空断熱材1(1f)が、断熱箱体24に形成された貯蔵室を開閉する外板10aと内板10bとによって形成される貯蔵室扉(冷蔵室扉16a、16b、製氷室扉17a、上段冷凍室扉17b、下段冷凍室扉18、野菜室扉19)の内部10cに備えられている。
なお、冷蔵庫10は、真空断熱材1(1a〜1f)を前記した態様で示したうちの少なくとも一つを備えていることによって優れた断熱性を得ることができるが、より優れた断熱性を得る観点から全てを備えていることが好ましい。
冷蔵庫10は、前記した態様とすることで、断熱箱体24内の各貯蔵室と外部とを任意に断熱できる。
また、断熱箱体24に形成された各貯蔵室を開閉する外板10aと内板10bとによって形成される貯蔵室扉の内部10cにはそれぞれ真空断熱材1fが配置され、外部と断熱している。
以上に説明した本実施形態に係る冷蔵庫10は、外箱25と内箱26とによって形成される断熱箱体24の内部24bと、断熱箱体24に形成された貯蔵室を開閉する外板10aと内板10bとによって形成される貯蔵室扉の内部10cと、貯蔵温度帯の異なる部屋(貯蔵室)を仕切る仕切断熱壁の内部とのうちの少なくとも一つに前記した本実施形態に係る真空断熱材1を備えている。この真空断熱材1は、融着層2aを有しているので、寸法精度が高く、復元率が低いだけでなく、芯材2の厚さを薄く保つことができる。そのため、真空断熱材1を包装する包装体3の寸法を小さくすることができ、また、内袋も不要であるから、これを備える冷蔵庫10の低コスト化を図ることができる。また、冷蔵庫10は、包装体3が破れるなどして真空断熱材1が露出した場合であっても、無機繊維の復元率が低いので、内箱26が変形するなどの現象が生じ難く、また、無機繊維の取扱い・処理・保管などを容易にすることができる。
幅300mm×長さ570mm×高さ約150mm(目付量4200g/m2)の無機繊維(B2O3が5%未満、歪点498℃)を用意した。なお、高さは目標値であり、試験に用いた無機繊維の実際の高さは、表1の「初期厚み」に示したとおりである。
そして、表1、図5に示すように、400〜600℃の温度でそれぞれ10分間プレス(成形荷重0.1MPa)を行った。なお、図5は、各プレス温度で10分プレスした場合における芯材の厚みの復元量を示すグラフである。
復元率(%)={(3日後の厚み/プレス直後の厚み)−1}×100 …式(1)
500℃以上×10分間以上プレスすることで、芯材の厚みを低減でき、復元量(復元率)が小さいことが確認された。特に、プレス温度を520℃以上にすると、復元量(復元率)がより小さくなることが確認された。
なお、表1に示すように、いずれの例も無機繊維の厚さ方向のほぼ中間位置の温度(プレス後の中心温度)が歪点よりも低かったので、芯材の内部までは融着していなかった。このように、芯材の内部までは融着していない態様とすると、空隙率が高いので、より高い断熱性を得ることができる。
2 芯材
2a 融着層
2b 無機繊維
2c 針状の結晶
3 包装体
10 冷蔵庫
24 断熱箱体
25 外箱
26 内箱
10a 外板
10b 内板
Claims (7)
- 無機繊維の集合体であり、前記集合体の表面に前記無機繊維の少なくとも一部を融着させた融着層が形成されている芯材と、
前記芯材を内包すると共に、内部が減圧状態に保たれている包装体と、を有する
ことを特徴とする真空断熱材。 - 請求項1において、
前記融着層の厚さが2mm以下であることを特徴とする真空断熱材。 - 請求項1又は請求項2において、
前記無機繊維の表面に針状の結晶が形成されていることを特徴とする真空断熱材。 - 請求項3において、
前記針状の結晶が硫黄を含むことを特徴とする真空断熱材。 - 無機繊維の集合体である芯材を前記無機繊維の歪点よりも高い温度でプレスし、前記集合体の表面に前記無機繊維の少なくとも一部を融着させた融着層を形成する融着層形成工程と、
前記融着層を形成した芯材を包装体に内包させ、前記包装体の内部を減圧状態にしつつ密封する真空密封工程と、を有する
ことを特徴とする真空断熱材の製造方法。 - 請求項5において、
前記融着層形成工程における前記無機繊維の歪点よりも高い温度が500℃以上であることを特徴とする真空断熱材の製造方法。 - 無機繊維の集合体であり、前記集合体の表面に前記無機繊維の少なくとも一部を融着させた融着層が形成されている芯材と、前記芯材を内包すると共に、内部が減圧状態に保たれている包装体と、を有する真空断熱材を、外箱と内箱とによって形成される断熱箱体の内部と、前記断熱箱体に形成された貯蔵室を開閉する外板と内板とによって形成される貯蔵室扉の内部と、貯蔵温度帯の異なる部屋を仕切る仕切断熱壁の内部と、のうちの少なくとも一つに備えていることを特徴とする冷蔵庫。
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