JP6430823B2 - 積層体およびこれを用いた真空断熱材 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体および前記積層体を外装材として用いた真空断熱材に関する。特に、本発明は、ヒートブリッジを有効に低減でき、加工性に優れ、ピンホールやクラックの発生が抑制される、積層体および真空断熱材に関する。
真空断熱材は、芯材やガス吸着剤をガスバリア性の外装材で真空包装してなり、内部を真空に保つことにより、熱伝導性を抑える。真空断熱材は、その低い熱伝導性により、冷凍庫、冷蔵庫、保温庫、自動販売機等の電気製品や住宅の壁材などに使用されている。
真空断熱材内部の真空度を保つために用いられているガスバリア性の外装材は、外部からのガスの侵入を防ぐため、アルミニウム箔とプラスチックとの積層体から構成される。しかしながら、アルミニウムは熱伝導率が237W/m・Kと高いため、上記したような積層体を外装材として用いた真空断熱材は、外装材部を伝って周囲からの熱が回り込んでしまうヒートブリッジが大きいという問題があった。
このような真空断熱材のヒートブリッジを低減する方法としては、外装材の一方にアルミ蒸着層とプラスチックとの積層体を用いるものがある(例えば、特許文献1参照)。また、ガスバリア性を保持しつつ、熱伝導量を低減させるために、ガスバリア層として、アルミニウム箔の代わりに熱伝導率の低い金属箔(鉄、鉛、すず、ステンレス等)を用いてなる真空断熱材が報告される(例えば、特許文献2参照)。
特開昭61−125577号公報 特開平9−137889号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるアルミ蒸着層はガスバリア性が低いため、外部からのガスの侵入を防げず、長期的に真空断熱材内部の真空度を保持することが困難であった。
特許文献2に開示される金属箔は圧延により作製されているため、鉄、鉛、すず、ステンレス等の金属箔では厚みが20μmと厚くなる(例えば、特許文献2の段落「0010」)。このため、ヒートブリッジが大きな問題となってしまう。さらに、金属箔とプラスチックとの積層体においては、金属箔とプラスチックのヤング率に大きな差があるため、真空断熱材製造時の折り曲げ工程において作業性に問題が発生しうる。また、ガスバリア層に応力が集中して外装材にピンホールやクラックが生じてしまい、その結果、ガスバリア性が低下してしまうなどの問題があった。また、特許文献2に開示される金属箔は、その厚みにより加工性が悪く、ウレタン封入時に流路の阻害要因になる余剰のヒートシール部を折り曲げる際に固く、ハンドリング性が悪いという問題もあった。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、ヒートブリッジを低減でき、かつ加工性に優れ、ピンホールやクラックの発生が抑制された積層体およびこれを用いた真空断熱材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、真空断熱材の外装材として用いる積層体のガスバリア層に所定の熱抵抗およびヤング率を有する材料を使用し、力学的中立軸がガスバリア層内に位置する層構成に制御することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的は、少なくとも1層のポリマー層、ガスバリア層、および少なくとも1層のポリマー層をこの順に有し、各層間に接着層を介して配置される積層体であって、前記ガスバリア層が650K/W以上の熱抵抗および100GPa以上のヤング率を有し、下記式で表される中立軸の位置が前記ガスバリア層中に位置することを特徴とする、積層体によって達成される。
式中、yは折り曲げ時圧縮側の上面から中立軸までの距離であり、Eiはi番目の層のヤング率であり、Siはi番目の層の断面一次モーメントであり、Aiはi番目の層の断面積であり、nは積層体を構成する層の数であり、5以上の整数である。
本発明によれば、ヒートブリッジを有効に低減でき、加工性に優れ、ピンホールやクラックの発生が抑制された積層体およびこれを用いた真空断熱材が提供される。
本発明の真空断熱材の一例を示す模式断面図である。 本発明の積層体の模式断面図である。
本発明は、少なくとも1層のポリマー層、ガスバリア層、および少なくとも1層のポリマー層をこの順に有し、各層間に接着層を介して配置される積層体であって、
前記ガスバリア層が650K/W以上の熱抵抗および100GPa以上のヤング率を有し、
下記式で表される中立軸の位置が前記ガスバリア層中に位置することを特徴とする、積層体である:
式中、yは折り曲げ時圧縮側の上面から中立軸までの距離であり、Eiはi番目の層のヤング率であり、Siはi番目の層の断面一次モーメントであり、Aiはi番目の層の断面積であり、nは積層体を構成する層の数であり、5以上の整数である。
本発明によれば、真空断熱材の外装材としての積層体の力学的中立軸がガスバリア層に位置する。このような構成により、圧縮や折り曲げ時にもガスバリア層が破れにくく、ピンホールやクラックが生じにくい。さらにガスバリア層の熱抵抗およびヤング率を所定の範囲に制御することで、加工性に優れるとともに、外装材のヒートブリッジを有効に低減できる。
従来、真空断熱材の内部の高い真空度を維持するために、ガスバリア層として安価でガスバリア性の高いアルミニウム箔が用いられてきた。しかしながら、アルミニウムは金属の中でも熱伝導率が高いため、真空断熱材の外装材部を伝って熱が回りこんでしまう(ヒートブリッジ)問題があった。また、圧延法により製造される場合、ピンホールや引張強度の問題から厚みを7μm以下にすることが困難であり、結果として熱抵抗を高くすることに限界があった。
その問題を解決するために、蒸着膜や熱伝導率の低い金属箔への代替が考えられてきた。しかしながら、蒸着膜では真空断熱材内部の真空度を保つためのガスバリア性が不足している問題がある。また他の熱伝導率の低い金属箔に変更したとしても圧延法では10μm以下の箔を製造するのが困難であり、かつ、金属箔のヤング率が金属箔と積層されるプラスチックのヤング率と大きく異なるため、真空断熱材製造時の折り曲げ工程において作業性に問題が発生してしまう、ガスバリア層に応力が集中して破れてしまう等の問題があった。
そのため、本発明では外装材として用いる積層体のガスバリア層に熱抵抗が高い材料を用い、かつガスバリア層中に力学的な中立軸が位置するように層構成を設計する。中立軸は、折り曲げたときに負荷がかからない軸であり、中立軸から離れるほど、負荷が大きい。本発明によれば、圧縮や折り曲げ時にも、ガスバリア層にかかる応力を最小限にすることができるため、折り曲げ耐性に優れた積層体および真空断熱材を作製することができる。
したがって、本発明の積層体を用いた真空断熱材は、ヒートブリッジを低減でき、かつ加工性に優れ、ピンホールやクラックの発生が抑制される。このため、本発明の積層体を用いた真空断熱材は、冷蔵冷凍庫などの真空断熱材として有用である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」及び「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
[真空断熱材]
図1は、本発明の真空断熱材の一例を示す模式断面図である。図1Aに示されるように、真空断熱材1は、芯材7およびガス吸着剤8を2枚の外装材としての積層体2で両面から挟むように内包する構造を有する。ここで、積層体2は、少なくとも、ガスバリア層4と、その両面に少なくとも1層ずつ、好ましくは合わせて3層以上(図1では合わせて3層)、積層されるポリマー層3、5、6を有する積層体(ラミネートフィルム)である。そして、ガスバリア層4およびポリマー層3、5、6は互いに接着層(図示せず)を介して接着される。上述したように、一定以上の熱抵抗を有するガスバリア層4を設けることで、積層体2を伝って周囲からの回り込む熱量を低く抑えることができる。このため、本発明に係る積層体2を使用することによって、ヒートブリッジを効率よく抑制・防止できる。
ここで、真空断熱材1は、この積層体2の周囲を封止(例えば、ヒートシール)することにより3方袋状の外装材を作製し、この積層体2中に芯材7およびガス吸着剤8を収容し、この状態で内部を減圧して、開口部を封止(例えば、ヒートシール)することによって製造される。このため、図1に示されるように、積層体2の周囲(端部)には、積層体が相互に接合した接合部(シール部)9が存在する。この接合部9は、図1Bに示されるように、真空断熱材本体部側に折り曲げられて、真空断熱材製品となる。
以下、本発明の真空断熱材の各部材について説明する。なお、本発明は、外装材としての積層体に特徴を有するものであるため、それ以外の部材については従来と同様の部材が使用でき、下記形態に限定されない。
(外装材)
外装材は、図2に示すように、少なくとも1層のポリマー層(11)、ガスバリア層(13)、および少なくとも1層のポリマー層(15、17)をこの順に有し、これらの層が接着層(12、14、16)を介して積層される積層体である。本発明の積層体は、ガスバリア層が650K/W以上の熱抵抗を有する。また、ヤング率が100GPa以上のガスバリア層を有する積層体において、積層体の中立軸の位置が、ガスバリア層中に位置する(図2)ことを特徴とする。
本発明において、芯材およびガス吸着剤を一対のガスバリア性を有する外装材で両面から挟むように内包し、内部を減圧して封止して真空断熱材が構成されるが、この一対のガスバリア性を有する積層体の少なくとも一方が上記の積層体からなる。外装材の両方が上記の積層体から構成されることが好ましい。
この際、積層体を構成する層の合計の積層数をn層とし、折り曲げ時圧縮側の積層体の上面から、m番目の層をガスバリア層とすると、ポリマー層の上面から、1、3、・・・、m−2番目の層、および、m+2、m+4・・・n番目の層がポリマー層である。折り曲げ時圧縮側の積層体の上面から、2、4、・・・m−1番目の層、および、m+1、m+3・・・n−1番目の層が接着層である。
この際、nは5以上の整数であり、好ましくは5〜13の整数である。mは、3以上の整数であり、好ましくは、3〜7の整数である。
中立軸の位置は、それぞれのポリマー層およびガスバリア層のヤング率および厚みから下記式にしたがって計算することができる。
式中、yは折り曲げ時圧縮側の上面から中立軸までの距離であり、Eiはi番目の層のヤング率であり、Siはi番目の層の断面一次モーメントであり、Aiはi番目の層の断面積であり、nは5以上の整数である。
なお、中立軸の位置は折り曲げ圧縮の条件によらないが、後述の実施例に記載の条件での折り曲げを行ったときの中立軸の位置を採用することができる。
本発明の積層体において、ガスバリア層の両側の面に積層されるポリマー層について、材質、厚み、積層数、積層順などを、応力のバランスがとれるように配置することで、中立軸の位置をガスバリア層に存在するように制御することができる。すなわち、各層のヤング率および厚みから、層構成を設計することができる。
また、図1では、ガスバリア層4の両側のポリマー層3、5、6は、それぞれ、単層と2層形態で示されているが、ポリマー層は、それぞれ、単層形態で存在してもまたは2種以上の積層形態で存在してもよい。
本発明に係る積層体は、断熱性を考慮すると、熱伝導率が低いことが好ましい。このため、ガスバリア層もまた熱伝導率が低いことが好ましい。具体的には、ガスバリア層の熱伝導率(λ)は、好ましくは130W/m・K以下であり、より好ましくは100W/m・K以下である。熱伝導率が130W/m・K以下であれば、現行の圧延アルミニウム箔と比較して、優れたヒートブリッジの抑制効果が得られる。なお、ガスバリア層の熱伝導率は、低いほど好ましいため、下限は特に限定されないが、通常、10W/m・K以上であれば十分であり、20W/m・K以上であってもよい。このような熱伝導率であれば、外装材としての積層体は断熱性に優れる。なお、ガスバリア層の熱伝導率は、公知の測定方法によって測定できるが、本明細書において、ガスバリア層の熱伝導率は、下記実施例に記載される方法で測定される。
上述したように、本発明に係る積層体を使用することによって、ヒートブリッジの問題を解消する。ヒートブリッジの抑制効果を考慮すると、積層体は、薄くかつ熱伝導率が低いことが好ましい。上記点を考慮すると、ガスバリア層の熱抵抗は一定以上の値を有することが求められ、本発明の積層体に用いられるガスバリア層は、650K/W以上の熱抵抗(R)を有する。ガスバリア層は、750K/W以上の熱抵抗(R)を有することが好ましく、1000K/W以上の熱抵抗(R)を有することがより好ましく、1500K/W以上の熱抵抗(R)を有することがさらに好ましい。ガスバリア層の熱抵抗が650K/Wを下回るとヒートブリッジを抑制する効果が十分に得られない。なお、ガスバリア層の熱抵抗は、高いほど好ましいため、上限は特に限定されないが、通常、20,000K/W以下であれば十分であり、10,000K/W以下であってもよい。特に、熱抵抗が650K/W以上で且つ厚みが10μm以下のガスバリア層を用いてなる積層体は、従来のアルミニウム箔を用いた場合と比較して、良好な加工性を確保したまま、ヒートブリッジの発生をより有効に抑制・防止できる。なお、本明細書において、ガスバリア層の熱抵抗とは、単位面積あたりのガスバリア層に対して、厚み方向と垂直の熱抵抗を指し、熱抵抗(R)(K/W)は、ガスバリア層の厚み(d)(m)及び熱伝導率(λ)(W/m・K)から求めることができ、具体的には、下記式によって算出される。
また、ガスバリア層の厚み(d)は特に制限されないが、好ましくは0.1〜6μmである。より好ましくは、0.1〜4μmであり、さらに好ましくは0.3〜3μmであり、特に好ましくは0.5〜2μmである。ガスバリア層の厚みが0.1μm以上であれば、十分なガスバリア性が確保できる。また、6μm以下であれば、熱抵抗が十分に高くなるため、真空断熱材表面に沿って熱が流れるヒートブリッジをより有効に抑制・防止して断熱性能が向上しうる。さらに、屈曲性などの加工性に優れるため、外装材の接合部を真空断熱材本体に容易に密着させることができる。なお、本明細書において、ガスバリア層の厚みは最大厚みを意図する。
また、上記のように、本発明の積層体のガスバリア層は、100GPa以上のヤング率を有する。ヤング率が100GPa以上の金属は、硬いため割れやすく、このような金属をガスバリア層に用いた積層体は、折り曲げによって積層体が破れたり、クラックやピンホールが生じることでガスバリア性が大きく低下してしまいやすい。しかしながら、本発明の積層体においては、中立軸の位置をガスバリア層中に位置するように制御することで、ヤング率が100GPa以上のガスバリア層を用いた場合であっても、折り曲げ耐性に優れた積層体を得ることができる。
ガスバリア層は、上記の特定の熱抵抗およびヤング率を有するものであれば、その材質は特に制限されない。例えば、鉄(ヤング率:約192GPa)、銅(ヤング率:約130GPa)、ニッケル(ヤング率:約200GPa)、SUS(ヤング率:約199GPa)、チタン(ヤング率:約107GPa)、白金(ヤング率:約168GPa)、コバルト(ヤング率:約209GPa)、炭素鋼(ヤング率:約206GPa)などの金属、および/またはそれらの金属を含む合金から構成される金属箔や、ニッケル、銅、酸化珪素、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの蒸着膜および/またはそれらの金属を含む合金蒸着膜を含む金属蒸着膜が用いられうる。このうち、薄膜状に容易に成形できかつ薄くともガスバリア性に優れることから、金属箔を用いることが好ましい。
本発明の積層体において、ガスバリア層は電解金属箔であることが好ましい。金属箔のなかでも、電解金属箔は、薄膜状に容易に成形でき、かつ薄くともガスバリア性に優れるため、接合部を真空断熱材本体に容易に密着させることができる。そのため、接合部を折り曲げた状態でも、真空断熱材表面に沿って熱が流れるヒートブリッジを有効に抑制・防止して断熱性能が向上すると同時に、ガスバリア性にも優れた信頼性の高い真空断熱材を提供できる。
電解金属箔の製造方法は、特に制限されず、公知の金属の電解法(回転するドラムに金属を電着させる方法)が同様にしてあるいは適宜修飾されて適用できる。または、電解金属箔は市販品を使用してもよい。
なお、一般的に、金属箔の製造方法は、電気金属(例えば、電気銅)を圧延・焼鈍を繰り返して箔状にする圧延法、および上記電解法に大きく分かれる。金属箔が、上記圧延法または電解法によって製造されたかについては、下記方法によって識別できる。すなわち、圧延法によって製造された金属箔は結晶粒が大きく、圧延の操作により箔の面方向に引き延ばされているのに対して、電解法によって製造された金属箔は結晶粒が緻密で且つ、箔の厚み方向に成長している。また、電解金属箔は圧延金属箔と比較してその製造工程から表面粗さが大きい。好ましくは、電解金属箔の表面粗さ(Rz)は、0.05μm〜3μmであり、より好ましくは0.05μm〜2.5μmであり、さらに好ましくは0.05μm〜2μmである。
また、金属箔の組成は、いずれの材料から構成されてもよく、特に制限されないが、例えば、ニッケル、鉄、銅など、上記の100GPa以上のヤング率を有する金属などが好ましく用いられうる。金属箔は、1種単独の金属から構成される金属箔であっても、あるいは2種以上の金属の合金から構成される合金箔であってもよい。好ましくは、金属箔がニッケルを含む。すなわち、金属箔は、ニッケル箔またはニッケルを含む合金箔であることが好ましい。
また、金属箔が合金箔である場合の合金組成は、特に制限されず、所望の熱伝導率、金属箔の厚みの制御のしやすさ、熱抵抗などを考慮して適宜選択される。具体的には、金属箔がニッケル合金箔(ニッケルを含む合金箔)である場合には、ニッケルが、金属箔(金属箔を構成する金属の合計重量)に対して、1重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましい。なお、ニッケル組成の上限は、特に限定されないが、金属箔(金属箔を構成する金属の合計重量)に対して、50重量%以下であることが好ましい。このような組成であれば、十分低い熱伝導率及び十分高い熱抵抗(即ち、優れた断熱性)ならびに高いガスバリア性を発揮できる。
ガスバリア層は、その両側の面に、接着層を介してポリマー層と積層されて、本発明に係る積層体が得られる。また、ポリマー層の組成は、特に制限されないが、通常、ガスバリア層より内側(芯材やガス吸着剤が収容されている側)のポリマー層(図1中のポリマー層6)として、熱溶着性を有するフィルムを含むことが好ましい。また、ガスバリア層より外側(外気に接触する側)のポリマー層(図1中の3で表される層)が表面保護効果のあるフィルム(表面保護フィルム)であることが好ましい。また、ガスバリア層の内側にも表面保護効果のあるフィルムであるポリマー層(図1中の5で表される層)をさらに設けることが好ましい。
好ましくは、本実施形態の積層体は、各層間で接着層を介して、少なくともヤング率が5〜100MPaでありヒートシール性を有するポリマー層1、ヤング率が3〜5GPaであるポリマー層2、ヤング率が100〜300GPaであるガスバリア層、およびヤング率が1〜3GPaであるポリマー層3の順に積層される。このような構成であれば、積層体にかかる応力のバランスをとりやすいため、発明の効果が顕著に得られうる。
この際、上記積層体は、外装材として用いる場合、内側(芯材やガス吸着剤が収容されている側)にポリマー1が配置されるようにすることが好ましい。
ポリマー層1(熱溶着フィルム)として用いられるヒートシール性を有するポリマーは、通常のヒートシール法によって接着できるものであれば特に限定されない。ポリマー層1(熱溶着フィルム)を構成する材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。なかでも、コストや溶融温度、ラミネート強度の観点から、ポリエチレンを用いることが好ましい。なお、上記材料は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物であってもよい。また、ポリマー層1(熱溶着フィルム)は、単層であってもまたは2層以上の積層形態であってもよい。後者の場合、各層は、同様の組成を有していてもまたは異なる組成を有していてもよい。また、ポリマー層1(熱溶着フィルム)は、無延伸のフィルムであってもよいし、一軸あるいは二軸に延伸されているものであってもよい。
ポリマー層1(熱溶着フィルム)の厚みは、特に制限されないが、好ましくは30〜80μmである。30μm以上であれば、積層体の中立軸をガスバリア層中に位置するように制御しやすい。また、ヒートシール時に十分な密着強度を得ることができるため好ましい。ポリマー層1(熱溶着フィルム)の厚みが80μm以下であれば、屈曲性等の加工性に優れる。なお、熱溶着フィルムが2層以上の積層構造を有する場合には、熱溶着フィルムの厚みは、合計厚みを意味する。また、この場合には、各層の厚みは、同じであってもまたは異なってもよい。
ポリマー層1(熱溶着フィルム)のヤング率は、特に制限されないが、5〜100MPaであることが好ましい。ヤング率が5MPa以上であれば、積層体の中立軸をガスバリア層中に位置するように制御しやすい。ヤング率が100MPa以下であれば、屈曲性等の加工性に優れる。なお、熱溶着フィルムが2層以上の積層構造を有する場合には、少なくとも1層の熱融着フィルムが上記のヤング率を有することが好ましく、すべての熱融着フィルムが上記のヤング率を有することがより好ましい。
ポリマー層2としては、好ましくは、ヤング率が3〜5GPaであるポリマー層が用いられる。ヤング率が3〜5GPaであるポリマー層2と、後述するポリマー層3(表面保護フィルム)とでガスバリア層を挟む構成とすることで、積層体の中立軸をガスバリア層に位置するように容易に調節することができる。ポリマー層2を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレタフレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリルニトリル樹脂(PAN)などが挙げられる。なかでも、コストやガスバリア性等の観点から、ポリエチレンテレタフレート(PET)またはエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)を用いることが好ましい。また、これらのフィルムは周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていてもよい。なお、上記材料は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物であってもよい。また、ポリマー層2は、単層であってもまたは2層以上の積層形態であってもよい。後者の場合、各層は、同様の組成を有していてもまたは異なる組成を有していてもよい。また、ポリマー層2は、無延伸のフィルムであってもよいし、一軸あるいは二軸に延伸されているものであってもよいが、延伸されたフィルムであることが好ましい。延伸することで強度が高くなり、ヤング率が大きくなる。また、薄いフィルムにすることができ、加工性が向上しうる。
ポリマー層2の厚みは、特に制限されないが、好ましくは10〜30μmである。上記範囲であれば、積層体にかかる応力のバランスをとりやすく、積層体の中立軸をガスバリア層中に位置するように制御しやすい。また屈曲性等の加工性に優れる。なお、ポリマー層2が2層以上の積層構造を有する場合には、上記厚みは、合計厚みを意味する。また、この場合には、各層の厚みは同じであってもまたは異なってもよい。
なお、ポリマー層2が2層以上の積層構造を有する場合には、少なくとも1層が上記のヤング率を有することが好ましく、すべての層が上記のヤング率を有することがより好ましい。
ポリマー層3(表面保護フィルム)は、特に制限されず、外装材の表面保護フィルムとして通常使用されるのと同様の材料が使用できる。表面保護フィルムを構成する材料としては、外装材の破袋を抑制する観点から突き刺し特性が高い、例えば、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(ナイロン)(PA)などが挙げられる。また、これらのフィルムは周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていてもよい。なお、上記材料は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物であってもよい。また、表面保護フィルムは、単層であってもまたは2層以上の積層形態であってもよい。後者の場合、各層は、同様の組成を有していてもまたは異なる組成を有していてもよい。また、ポリマー層3は、無延伸のフィルムであってもよいし、一軸あるいは二軸に延伸されているものであってもよいが、延伸されたフィルムであることが好ましい。延伸することで強度が高くなり、ヤング率が大きくなる。また、薄いフィルムにすることができ、加工性が向上しうる。さらに、突き刺しなどから保護する効果が高められる。
ポリマー層3(表面保護フィルム)の厚みは、特に制限されず、公知の厚みと同様の厚みでありうる。具体的には、表面保護フィルムの厚みは、好ましくは10〜30μmである。10μm以上であれば、ガスバリア層の保護効果が十分に得られ、クラック等が発生しにくい。また30μm以下であれば、屈曲性等の加工性に優れる。なお、ポリマー層3(表面保護フィルム)が2層以上の積層構造を有する場合には、上記厚みは、合計厚みを意味する。また、この場合には、各層の厚みは同じであってもまたは異なってもよい。
ポリマー層3(表面保護フィルム)のヤング率は、特に制限されないが、1〜3GPaであることが好ましい。ヤング率が1GPa以上であれば、積層体の中立軸をガスバリア層中に位置するように制御しやすい。ヤング率が3GPa以下であれば、屈曲性等の加工性に優れる。なお、ポリマー層3(表面保護フィルム)が2層以上の積層構造を有する場合には、少なくとも1層の表面保護フィルムが上記のヤング率を有することが好ましく、すべての表面保護フィルムが上記のヤング率を有することがより好ましい。
ポリマー層とガスバリア層との間、およびそれぞれのポリマー層の間には接着層が設けられる。接着層は、ポリマー層およびガスバリア層、またはポリマー層どうしを互いに接着させる。接着層に用いられる接着剤としては、特に制限されないが、ウレタン系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤などが挙げられる。なかでも、ウレタン系接着剤が好ましく、特には、主剤(ポリオール)と硬化剤(ポリイソシアネート)を混合して使用する二液硬化型イソシアネート系接着剤を用いることが好ましい。ウレタン系接着剤を用いると、曲げ加工を行ってもピンホールが発生しにくく、真空断熱材の断熱効果を長期間にわたり維持することができる。各接着層に用いられる接着剤は同一であってもよく、異なっていてもよい。
接着層のヤング率は、特に制限されないが、積層体の中立軸の位置を制御しやすくする観点から、10MPa以下であることが好ましい。
また、接着層の厚みは特に制限されないが、例えば、1〜5μmである。上記範囲であれば積層体の中立軸をガスバリア層内に位置するように制御することが容易になる。各接着層の厚みは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
積層体の厚みは、特に制限されない。具体的には、積層体の厚みは、好ましくは40〜210μmである。上記したような厚みの積層体であれば、ヒートブリッジをより有効に抑制・防止して断熱性能が向上でき、また、ガスバリア性及び加工性にも優れる。
本発明に係る積層体は、ガスバリア性に優れることが好ましい。具体的には、積層体の水蒸気透過度が、1×10−3(g/m・day)以下であることが好ましく、5×10−4(g/m・day)以下であることがより好ましい。積層体の水蒸気透過度が1×10−3(g/m・day)以下であれば、これを外装材として用いた真空断熱材の内部の真空度を長期間維持できる。なお、積層体の水蒸気透過度は、低いほど好ましいため、下限は特に限定されないが、通常、1×10−7(g/m・day)以上であれば十分である。また、折り曲げ後の水蒸気透過度が、1×10−3(g/m・day)以下であることが好ましく、5×10−4(g/m・day)以下であることがより好ましい。本明細書において、積層体の水蒸気透過度、および積層体の折り曲げ後の水蒸気透過度は、下記実施例に記載される方法で測定される。
また、本発明に係る積層体は、断熱性を考慮すると、熱伝導率が低いことが好ましい。そして、この積層体を外装材として用いた真空断熱材もまた熱伝導率が低いことが好ましい。具体的には、真空断熱材(外装材)の熱伝導率(λ)は、好ましくは0.01W/m・K以下、より好ましくは0.005W/m・K以下である。このような熱伝導率であれば、真空断熱材は断熱性に優れる。なお、真空断熱材(外装材)の熱伝導率は、低いほど好ましいため、下限は特に限定されないが、通常、0.0005W/m・K以上であれば十分である。また、真空断熱材(外装材)の熱伝導率は、公知の測定方法によって測定できるが、本明細書において、真空断熱材の熱伝導率は、下記実施例に記載の方法で測定される。
また、加速劣化試験前後の真空断熱材の熱伝導率差が、好ましくは10mW/m・K以下であり、より好ましくは5mW/m・K以下であり、さらに好ましくは2mW/m・K以下であり、特に好ましくは1.5mW/m・K以下である。本明細書において、真空断熱材の加速劣化試験前後の真空断熱材の熱伝導率差は、下記実施例に記載される方法で測定される。
真空断熱材の製造方法に関しては、特に制限されず、公知と同様の方法あるいは公知の方法を適宜修飾した方法が使用できる。例えば、(i)2枚の積層体を用意し、一方の積層体(ラミネートフィルム)を折り返し、対向する積層体の端部に位置する熱溶着フィルム同士を熱溶着することで袋状の外装材を得、この外装材内へ、芯材及びガス吸着剤を挿入し、減圧下にて袋状ラミネートフィルムの開口部に位置する熱溶着フィルム同士を熱溶着する方法、(ii)熱溶着フィルム同士が対向するよう2枚の積層体(ラミネートフィルム)を配置し、各積層体の端部に位置する熱溶着フィルム同士を熱溶着することで袋状の外装材を得て、この袋状の外装材内に、芯材及びガス吸着剤を挿入し、減圧下にて袋状ラミネートフィルムの開口部付近に位置する熱溶着フィルム同士を熱溶着する方法などが挙げられる。
(芯材)
本発明で使用できる芯材は、真空断熱材の骨格となり、真空空間を形成する。ここで、芯材の材質としては、特に限定されず、公知の芯材材料が使用できる。具体的には、グラスウール、ロックウール、アルミナ繊維、熱伝導率の低い金属からなる金属繊維等の無機繊維;ポリエステルやポリアミド、アクリル、ポリオレフィンなどの合成繊維や木材パルプから製造されるセルロース、コットン、麻、ウール、シルクなどの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維等の有機繊維などが挙げられる。上記芯材材料は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物であってもよい。これらのうち、グラスウールが好ましい。これらの材料からなる芯材は、繊維自体の弾性が高く、また繊維自体の熱伝導率が低く、なおかつ工業的に安価である。
(ガス吸着剤)
本発明で使用できるガス吸着剤は、真空断熱材の密閉空間に残存または侵入する水蒸気や空気(酸素、窒素)等のガスを吸着する。ここで、ガス吸着剤としては、特に限定されず、公知のガス吸着剤が使用できる。具体的には、酸化カルシウム(生石灰)、酸化マグネシウム等の化学吸着物質、ゼオライト等の物理吸着物質、連通ウレタン、リチウム化合物、化学吸着性及び物理吸着性を有する銅イオン交換ZSM−5型ゼオライト、モレキュラシーブ13Xなどが挙げられる。上記芯材材料は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物であってもよい。
上述したように、本発明の積層体は、ヒートブリッジの発生を有効に抑制でき、加工性に優れ、ピンホールやクラックの発生が抑制される。したがって、本発明の積層体を外装材として使用した真空断熱材は、冷凍庫、冷蔵庫、自動販売機、給湯容器、建造物用断熱材、自動車用断熱材、及び保冷/保温ボックスなど、断熱性能の維持が必要な機器に、好適に適用できる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「重量%」および「重量部」を意味する。
実施例1
表面保護フィルム(上面)から熱溶着フィルム(下面)まで順に、ポリマー層3である二軸延伸ナイロン(厚み:25μm;ヤング率:1.4GPa)、ガスバリア層であるニッケル電解箔(厚み:1μm;熱抵抗:11,173K/W;ヤング率:200GPa)、ポリマー層2である二軸延伸エチレンビニルアルコール共重合体(厚み:12μm;ヤング率:4GPa)、ポリマー層1である直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚み:50μm;ヤング率:10MPa)とし、各層を接着層として二液硬化型イソシアネート系接着剤(厚み:3μm;ヤング率:3.1MPa)を介してドライラミネートで貼り合わせ積層体1とした。
短繊維グラスウールの積層体を芯材とし、および通気性のある外包材に収納される生石灰をガス吸着剤として、それぞれ使用した。これら積層体1、芯材及びガス吸着剤を用いて、巾290mm×奥行き410mm×高さ12mmの真空断熱材1を作製した。
実施例2
上記実施例1において、ニッケル電解箔の厚みを3μmに変更した以外は同じ方法で積層体2および真空断熱材2を作製した。
実施例3
上記実施例1において、ポリマー層2として、二軸延伸エチレンビニルアルコール共重合体を二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(厚み:12μm;ヤング率:3.4GPa)に変更した以外は同じ方法で積層体3および真空断熱材3を作製した。
実施例4
上記実施例3において、ニッケル電解箔の厚みを3μmに変更した以外は同じ方法で積層体4および真空断熱材4を作製した。
比較例1
上記実施例3において、積層体の構成を上面から下面まで順に、二軸延伸ナイロン(厚み:25μm;ヤング率:1.4GPa)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(厚み:12μm;ヤング率:3.4GPa)、ガスバリア層である圧延アルミニウム箔(厚み:7μm;熱抵抗:602K/W;ヤング率:69GPa)、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚み:50μm;ヤング率:10MPa)とした以外は同じ方法で、積層体5および真空断熱材5を作製した。
比較例2
上記実施例3において、積層体の構成を上面から下面まで順に二軸延伸ナイロン(厚み:25μm;ヤング率:1.4GPa)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(厚み:12μm;ヤング率:3.4GPa)、VM−PET(厚み:12μm)、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚み:50μm;ヤング率:10MPa)とした以外は同じ方法で、積層体6および真空断熱材6を作製した。ここで、VM−PETとしては、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート上に厚さ30nmのAl蒸着膜が形成されたものを用い、Al蒸着膜が二軸延伸ポリエチレンテレフタレート側になるように積層した。
比較例3
上記実施例3において、積層体の構成を上面から下面まで順に二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(厚み:12μm;ヤング率:3.4GPa)、二軸延伸ナイロン(厚み:25μm;ヤング率:1.4GPa)、ガスバリア層であるニッケル電解箔(厚み:1μm;熱抵抗:11,173K/W;ヤング率:200GPa)、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚み:50μm;ヤング率:10MPa)とした以外は同じ方法で、積層体7および真空断熱材7を作製した。
上記で作製した積層体1〜7および真空断熱材1〜7について、下記評価を行った。
<評価1:中立軸の位置>
上記実施例1〜4及び比較例1〜3で作製した積層体1〜7の中立軸の位置については、下記式を用いて計算した。中立軸の位置は表面保護フィルム側(上側)からの距離(μm)で示す。
ここで、y:折り曲げ時圧縮側の上面から中立軸までの距離(μm)、Ei:i番目の層のヤング率(Pa)、Si:i番目の層の断面一次モーメント(μm)、Ai:i番目の層の断面積(μm)とする。結果を下記表1に示す。
なお、折り曲げ圧縮は、積層体の上面(二軸延伸ナイロン側の面)の側に、表面が接するように積層体を二つ折りにし、その後、一度開いてさらに反対側に折り曲げることで実施した。
<評価2:折り曲げ前後の水蒸気透過度>
上記実施例1〜4及び比較例1〜3で作製した積層体1〜7について、以下方法に従って、折り曲げ前後の水蒸気透過度(g/m・day)を測定した。なお、折り曲げ後とは、折り曲げ前に測定したサンプルを十字に折り曲げた後を意味する。水蒸気透過度は、ISO15106−3に準拠するAquatran(MOCON社製)を用いて、40℃の温度及び90%RHの相対湿度で測定した。結果を下記表1に示す。
<評価3:ガスバリア層の熱伝導率および熱抵抗>
上記実施例1〜4及び比較例1〜3で使用したガスバリア層(金属部)について、Thermowave Analyzer(日産アーク社製)を用いて、面内方向の熱拡散率を測定し、各金属の比熱及び密度から、熱伝導率(W/m・K)を算出した。また、得られた熱伝導率および厚みから熱抵抗(K/W)を算出した。結果を下記表1に示す。
<評価4:真空断熱材の断熱性維持性能>
上記実施例1〜4及び比較例1〜3で作製した真空断熱材1〜7について、HFM436(NETZSCH社製)を用いて、初期及び恒温恒湿槽による10年相当の加速試験実施後の熱伝導率(mW/m・K)をそれぞれ測定し、その差から断熱性維持性能を比較した。結果を下記表1に示す。
<評価5:真空断熱材のヒートブリッジ性能>
上記実施例1〜4及び比較例1〜3で作製した真空断熱材1〜7について、ヒートフローメーターHFM436(NETZSCH社製)を用いて、両側から2個の真空断熱材を挿入し、測定部中央で2個の真空断熱材がぶつかるように配置し熱伝導率(mW/m・K)を測定しヒートブリッジ性能を比較した。結果を下記表1に示す。
上記表1に示されるように、所定の熱抵抗およびヤング率を有するガスバリア層を有し、積層体の力学的中立軸がガスバリア層内に位置する実施例1〜4の積層体は、ガスバリア層の熱抵抗が650K/Wを下回る比較例1の積層体と比較して、ヒートブリッジの影響を抑制する効果が高い。また、力学的中立軸の位置がガスバリア層以外の層に位置する比較例2、3の積層体と比べて、折り曲げの後であっても、折り曲げ前と同等の優れたガスバリア性を示し、高い耐久性(折り曲げ耐性)が得られることがわかった。
1…真空断熱材、
2…積層体、
3、5、6…ポリマー層、
4…ガスバリア層、
7…芯材、
8…ガス吸着剤、
9…接合部(シール部)、
11、15、17…ポリマー層、
12、14、16…接着層、
13…ガスバリア層。

Claims (10)

  1. 少なくとも1層のポリマー層、ガスバリア層、および少なくとも1層のポリマー層をこの順に有し、各層間に接着層を介して配置される積層体であって、
    前記ガスバリア層が650K/W以上の熱抵抗および100GPa以上のヤング率を有し、
    下記式で表される中立軸の位置が前記ガスバリア層中に位置することを特徴とする、積層体:
    式中、yは折り曲げ時圧縮側の上面から中立軸までの距離であり、Eiはi番目の層のヤング率であり、Siはi番目の層の断面一次モーメントであり、Aiはi番目の層の断面積であり、nは積層体を構成する層の数であり、5以上の整数である。
  2. 前記ガスバリア層が金属箔から構成される、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記金属箔が電解金属箔である、請求項2に記載の積層体。
  4. 前記金属箔の厚みが0.1〜6μmである、請求項2または3に記載の積層体。
  5. 前記金属箔がニッケル箔である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記積層体が各層間で接着層を介して、少なくともヤング率が5〜100MPaでありヒートシール性を有するポリマー層1、ヤング率が3〜5GPaであるポリマー層2、ヤング率が100〜300GPaであるガスバリア層、およびヤング率が1〜3GPaであるポリマー層3の順に積層される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記ポリマー層1がポリエチレンである、請求項6に記載の積層体。
  8. 前記ポリマー層2がポリエチレンテレフタレートまたはエチレンビニルアルコール共重合体である、請求項6または7に記載の積層体。
  9. 前記ポリマー層3がナイロンである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 芯材およびガス吸着剤を一対のガスバリア性を有する外装材で両面から挟むように内包し、内部を減圧して封止してなる真空断熱材であって、前記一対のガスバリア性を有する外装材の少なくとも一方が請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体である、真空断熱材。
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