JP2016084827A - 真空断熱材用外装材および真空断熱材 - Google Patents

真空断熱材用外装材および真空断熱材 Download PDF

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将博 今井
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Abstract

【課題】低温環境下において層間剥離が生じにくく、高い耐久性を示すことが可能な真空断熱材用外装材、およびそれを用いた真空断熱材を提供する。【解決手段】芯材および上記芯材を覆うように対向して配置される外装材10を有し、対向する上記外装材の周縁が封止された真空断熱材に用いられる真空断熱材用外装材であって、上記真空断熱材用外装材は、ガスバリア層1、上記ガスバリア層の一方の面上に形成された層間接着層2、および上記層間接着層の上記ガスバリア層が配置された側と反対側の面上に形成された熱溶着層3を少なくとも有し、上記熱溶着層は、上記層間接着層と接する面のJISK6768に基づいて測定される表面濡れ張力が35dyn/cm以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、低温環境下において高い耐久性を示すことが可能な真空断熱材に用いられる真空断熱材用外装材に関する。
近年、地球温暖化防止のため温室効果ガスの削減が推進されており、電気製品や車両、設備機器ならびに建物等の省エネルギー化が求められている。
中でも、消費電力量の低減の観点から、電気製品、車両、建築、貯蔵庫等の物品への真空断熱材の採用が進められている。これらの物品に真空断熱材を備えることで、物品全体としての断熱性能を向上させることが可能となり、エネルギー削減効果が期待される。
真空断熱材は、一般に、対向させた2枚の外装材の周縁を熱で溶着させて袋体とし、その中に発泡樹脂や繊維材等の芯材を入れ、脱気して内部を真空状態とし、袋体の開口を封止して密閉することで形成されている。
真空断熱材はその内部が高真空状態にあることから、内部での空気の対流による熱移動が遮断されるため、高い断熱性能を発揮することができる。
このような真空断熱材に用いられる外装材として、特許文献1〜3では、熱溶着層と、単層または多層のガスバリア層と、単層または多層の保護層とがこの順で積層された積層体が開示されている。
特開2010−255938号公報 特開2011−89740号公報 特開2006−194297号公報
真空断熱材は、使用環境温度下で長期間曝露されることから、内部の真空状態を長期間維持するために高い耐久性が求められる。このため、外装材についても耐久性に優れたものでなければならない。
例えば、窒素、アルゴン、酸素、炭酸ガス等の無機系ガスや天然ガス、エチレン等の有機系ガスを液化した低温液化ガスを貯蔵および運搬する際に使用される貯蔵容器では、低温液化ガスを液体のまま容器内にて長期間保存するために、内部温度を液化温度以下に維持する必要があることから、貯蔵容器の壁面に真空断熱材を具備することで、外部からの熱伝導を遮断し、液化ガスの気化による損失低減を図っている。
上記用途においては、真空断熱材は低温液化ガスの液化温度下で長期間曝露されることから、外装材を含めた真空断熱材全体として液化温度に対する耐寒性が求められる。
しかし、真空断熱材を構成する外装材の耐久性が十分でない場合、低温環境下において真空断熱材が長期間曝露されることで、外装材を構成する各層の層間において剥離が生じてしまう。このため、真空断熱材内部の真空状態が損なわれる結果、真空断熱材による断熱効果が得られなくなるという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、低温環境下において層間剥離が生じにくく、高い耐久性を示すことが可能な真空断熱材用外装材、およびそれを用いた真空断熱材を提供することを主目的とする。
上記問題を解決するために、本発明は、芯材および上記芯材を覆うように対向して配置される外装材を有し、対向する上記外装材の周縁が封止された真空断熱材に用いられる真空断熱材用外装材であって、上記真空断熱材用外装材は、ガスバリア層、上記ガスバリア層の一方の面上に形成された層間接着層、および上記層間接着層の上記ガスバリア層が配置された側と反対側の面上に形成された熱溶着層を少なくとも有し、上記熱溶着層は、上記層間接着層と接する面のJIS K6768に基づいて測定される表面濡れ張力が35dyn/cm以上であることを特徴とする真空断熱材用外装材を提供する。
なお、以下の説明において、「JIS K6768に基づいて測定される表面濡れ張力」のことを、単に「表面濡れ張力」として表記する場合がある。
本発明によれば、熱溶着層において、層間接着層と接する面の表面濡れ張力が所望の値以上であることから、低温環境下においてガスバリア層、層間接着層、および熱溶着層の各層間で剥離が生じにくくなり、本発明の真空断熱材用外装材は高い耐久性を示すことができる。
上記発明においては、JIS K6854−3に基づいて測定される上記熱溶着層と上記層間接着層との層間剥離強度が1N/15mm以上であることが好ましい。本発明の真空断熱用外装材が、低温環境下における耐久性と高い層間接着性を示すことが可能となるからである。
また、本発明は、芯材および上記芯材を覆うように対向して配置される外装材を有し、対向する上記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、対向する上記外装材の少なくとも一方が、ガスバリア層、上記ガスバリア層の一方の面上に形成された層間接着層、および上記層間接着層の上記ガスバリア層が配置された側と反対側の面上に形成された熱溶着層を少なくとも有し、上記熱溶着層は、上記層間接着層と接する面のJIS K6768に基づいて測定される表面濡れ張力が35dyn/cm以上であることを特徴とする真空断熱材を提供する。
本発明によれば、芯材を覆う外装材として、層間接着層と接する面の表面濡れ張力が所望の値以上を示す熱溶着層を含む真空断熱材用外装材を用いることから、低温環境下において真空断熱材用外装材を構成する層間で剥離が生じにくくなる。これにより、真空断熱材内部を長期間、高真空状態に維持することができるため、高い耐久性を示す真空断熱材とすることができる。
本発明の真空断熱材用外装材においては、低温環境下において層間剥離が生じにくくなり、高い耐久性を示すことが可能であるといった作用効果を奏する。
本発明の真空断熱材用外装材の一例を示す概略断面図である。 本発明の真空断熱材の一例を示す概略斜視図および断面図である。
以下、本発明の真空断熱材用外装材および真空断熱材について説明する。
A.真空断熱材用外装材
まず、本発明の真空断熱材用外装材について説明する。本発明の真空断熱材用外装材は、芯材および上記芯材を覆うように対向して配置される外装材を有し、対向する上記外装材の周縁が封止された真空断熱材に用いられる真空断熱材用外装材であって、上記真空断熱材用外装材は、ガスバリア層、上記ガスバリア層の一方の面上に形成された層間接着層、および上記層間接着層の上記ガスバリア層が配置された側と反対側の面上に形成された熱溶着層を少なくとも有し、上記熱溶着層は、上記層間接着層と接する面のJIS K6768に基づいて測定される表面濡れ張力が35dyn/cm以上であることを特徴とするものである。
本発明の真空断熱材用外装材について図を参照して説明する。図1は本発明の真空断熱材用外装材の一例を示す概略断面図である。本発明の真空断熱材用外装材10は、真空断熱材に用いられるものであって、少なくともガスバリア層1、ガスバリア層1の一方の面上に形成された層間接着層2、および層間接着層2のガスバリア層1と接する面と反対側の面上に形成された熱溶着層3が積層された層構成を有する。
ここで、熱溶着層3の層間接着層2と接する面S1は、JIS K6768に基づいて測定される表面濡れ張力が35dyn/cm以上を示す。
本発明によれば、真空断熱材用外装材を構成する熱溶着層、層間接着層およびガスバリア層のうち、上記熱溶着層について層間接着層と接する面の表面濡れ張力が所望の値以上であることから、低温環境下においてガスバリア層、層間接着層、および熱溶着層の各層間で剥離が生じにくくなり、高い耐久性を示すことができる。
熱溶着層について、層間接着層と接する面の表面濡れ張力を所望の値以上とすることで、本発明の真空断熱材用外装材において層間剥離が生じにくくなる理由としては、以下の理由が推量される。すなわち、層間接着層は、接着剤の塗布および硬化により形成されるところ、上記層間接着層と熱溶着層とを接着させる際に、上記層間接着層の接着剤成分が上記熱溶着層の接触面に入り込み固化することで、熱溶着層と層間接着層との間にアンカー効果が生じる。このため、本発明の真空断熱材用外装材は、低温下で長期間曝露される場合であっても、上記アンカー効果により上記熱溶着層と上記層間接着層との層間において強固な接着強度を有することができ、その結果、剥離の発生が抑制されると推量される。
なお、本明細書内における「低温環境(下)」とは、本発明の真空断熱材用外装材およびそれを用いた真空断熱材において、少なくとも層間接着層と熱溶着層との層間接着性に不具合が生じない程度の温度環境をいい、例えば−100℃以下、中でも−150℃以下、特に−196℃以下の温度となる環境を意味する。具体的には、「低温環境(下)」とは、液体水素、液体ヘリウム、液化天然ガス(LNG)、液体酸素、液体窒素、液化石油ガス等の液化ガスの液化温度以下をいう。
以下、本発明の真空断熱材用外装材の各構成について説明する。
1.熱溶着層
本発明における熱溶着層は、層間接着層の上記ガスバリア層が配置された側と反対側の面上に形成され、層間接着層と接する面のJIS K6768に基づいて測定される表面濡れ張力が35dyn/cm以上である層である。
本発明における熱溶着層は、本発明の真空断熱材用外装材を真空断熱材に用いる場合に、芯材と接する層であり、対向する外装材で上記芯材を覆い密閉する際に、対向する上記外装材の周縁を接着する機能を有する。
熱溶着層は、層間接着層と接する面のJIS K6768に基づいて測定される表面濡れ張力が35dyn/cm以上であればよいが、中でも40dyn/cm以上、特に45dyn/cm以上が好ましい。また、上記表面濡れ張力の上限としては、70dyn/cm以下が好ましく、中でも65dyn/cm以下が好ましい。熱溶着層の、層間接着層と接する面の表面濡れ張力が上記範囲よりも小さいと、低温環境下において熱溶着層および層間接着層間で層間剥離が生じやすくなるからである。
熱溶着層の材料としては、加熱によって溶融することで所望の接着性を示すことが可能な樹脂であればよく、例えば、熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、ポリプロピレン(PP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンとアクリル酸との酸コポリマー、エチレンとアクリル酸エステルとのエステルコポリマー等の酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレンープロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー等が挙げられる。中でも、低温での収縮率が小さく、界面剥離が生じにくいことから、熱溶着層の材料としては、ポリブチレンテレフタレートが好適である。
熱溶着層は、上記樹脂の他にアンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、有機充填剤等の他の材料を含むものであってもよい。
熱溶着層の融点としては、本発明の真空断熱材用外装材の使用環境下において、熱溶着層による接着面が剥離しない程度の接着力を示すことが可能な温度であることが好ましく、熱溶着層の組成に応じて適宜設定することができるが、例えば80℃〜300℃の範囲内、中でも85℃〜250℃の範囲内であることが好ましい。
熱溶着層の厚さとしては、所望の接着力を発揮可能な厚さであればよく、例えば20μm〜100μmの範囲内、中でも25μm〜90μmの範囲内、特に30μm〜80μmの範囲内が好ましい。熱溶着層の厚さが上記範囲よりも大きいと、熱溶着層の側面からガスが侵入しやすくなり本発明の真空断熱材用外装材のガスバリア性が低下する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、熱溶着層に要求される所望の接着力が得られない場合がある。
熱溶着層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、本発明の真空断熱材用外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
熱溶着層は、通常、表面処理を施すことで、所望の表面濡れ張力を示すことができる。
具体的な表面処理方法としては、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、紫外線照射処理等の、層表面の濡れ性を調整する際に用いられる一般的な方法や、プライマ―層を塗布する等の易接着コート処理等を挙げることができる。
なお、上記表面処理は、熱溶着層の表面のうち、少なくとも層間接着層と接する面に対して行えばよく、中でも両面に対して行うことが好ましい。
2.層間接着層
本発明における層間接着層は、ガスバリア層の一方の面上に形成される層である。また、上記層間接着層は、ガスバリア層が形成された面と反対側の面上に熱溶着層が形成されることで、ガスバリア層と熱溶着層とを貼合させる機能を有する。
層間接着層を構成する接着剤は、通常、主剤および硬化剤を含む2液硬化型の接着剤であるが、これに限定されない。例えば、主剤および主剤と混合しても反応しないように公知の方法でブロック化した潜在性硬化剤を混ぜ合せた1液硬化型接着剤や、硬化剤および混合しても反応しないように公知の方法でブロック化した潜在性主剤と硬化剤を混ぜ合わせた1液硬化型接着剤であってもよい。
層間接着層を構成する接着剤としては、ガスバリア層と熱溶着層とを安定して接着することが可能な接着剤であればよく、ガスバリア層および熱溶着層の組成等に応じて適宜選択することができる。具体的には、エポキシ系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、無機ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケートや低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を用いることができる。
層間接着層を構成する接着剤は、硬化促進剤、触媒、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤等の任意の材料を含有していてもよい。
層間接着層を構成する接着剤の融点としては、接着剤の種類にもよるが、200℃〜600℃の範囲内であることが好ましく、中でも250℃〜500℃の範囲内であることが好ましい。接着剤の融点を上記範囲内とすることにより、熱溶着層およびガスバリア層への層間接着層の濡れ性が良好となるため、熱溶着層およびガスバリア層に対して高い接着力を示すことができる。このため、本発明の真空断熱材用外装材が低温環境下で長期間曝されても、層間接着層および熱溶着層間、ならびに層間接着層およびガスバリア層間での層間剥離の発生を抑制することができる。また、ヒートサイクルが生じる環境下においても、同様に各層間での剥離の発生を抑制することができる。なお、上記接着剤の融点は、示差操作熱量測定(DSC)によって測定された値である。
層間接着層の接着力としては、ガスバリア層および熱溶着層を安定して接着することが可能な大きさであればよく、例えば、1N/15mm以上、中でも1.5N/15mm以上、特に2N/15mm以上であることが好ましい。層間接着層の接着力を上記範囲内とすることにより、低温環境下において長期間曝されることで層間接着層の接着力が低下する場合であっても、層間剥離の発生を抑制することができるからである。なお、上記接着力はJIS Z1707に準拠して測定された値である。
層間接着層の厚さとしては、所望の接着力を示すことが可能な厚さであればよく、層間接着層の組成等に応じて適宜設定することができる。通常、乾燥状態で0.1g/m〜10g/m程度となる厚さであることが好ましい。
層間接着層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、本発明の真空断熱材用外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
層間接着層は、上述した接着剤により形成されたシートやフィルムを用いてもよく、上述した接着剤を所望の溶媒に混ぜた塗布液を準備し、熱溶着層またはガスバリア層の一方の面に直接塗布し、乾燥および硬化させて形成してもよい。
3.ガスバリア層
本発明におけるガスバリア層は、一方の面上に層間接着層を有する層である。
ガスバリア層の、層間接着層と接する面のJIS K6768に基づいて測定される表面濡れ張力については特に限定されず、後述するようにガスバリア層の種類に応じて適宜選択することができるが、例えば25dyn/cm以上70dyn/cm以下が好ましく、中でも30dyn/cm以上65dyn/cm以下が好ましい。ガスバリア層の、層間接着層と接する面の表面濡れ張力が上記範囲よりも小さいと、低温環境下においてガスバリア層および層間接着層間での層間剥離が生じやすくなるからである。
ガスバリア層としては、所望のガスバリア性を発揮可能なものであればよく、一般に真空断熱材で使用されるガスバリア層やガスバリアフィルムを用いることができる。例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタニウム等の金属箔(表面濡れ張力:ツヤ面=30dyn/cm、ケシ面=56dyn/cm)、樹脂フィルムを基材として、アルミニウム等の金属、酸化珪素等の無機化合物、酸化アルミニウム等の金属酸化物を上記基材の片面に蒸着した無機蒸着フィルム(表面濡れ張力:蒸着面=44dyn/cm、基材面=41dyn/cm)、上述の無機蒸着フィルムにポリビニルアルコールや塩化ビニリデン等のガスバリア性組成物からなるガスバリア性塗布膜を設けた複合ガスバリアフィルム(表面濡れ張力:塗布面=44dyn/cm、基材面=44dyn/cm)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルムやMXDナイロン等のガスバリア性を有するガスバリア性樹脂フィルム(表面濡れ張力:41dyn/cm)等を用いることができる。中でも、ガスバリア性に優れるとともにその経時劣化が少なく、また、本発明の真空断熱材用外装材を真空断熱材に用いた際に、熱伝導性が低く高い断熱性能が得られるという観点から、無機蒸着フィルムが好適である。
これらの層は単体で用いても良く、同一または異なる種類の層を複数併用することでガスバリア層を多層体としてもよい。
ガスバリア層の厚さとしては、その種類に応じて適宜設定することができる。ガスバリア層として金属箔を使用する場合、金属箔の厚さとしては5μm〜40μmの範囲内であることが好ましい。また、金属箔以外のガスバリア層の厚さとしては、9μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。ガスバリア層の厚さが上記範囲よりも小さいと、ピンホール等が生じやすくなり、ガスバリア性が低下する場合があり、一方、上記範囲よりも大きいと、本発明の真空断熱材用外装材を真空断熱材に用いた際にヒートブリッジが生じやすくなり、断熱性能が低下する場合があるからである。
ガスバリア層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、本発明の真空断熱材用外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
ガスバリア層のガスバリア性としては、酸素透過度が0.5cc・m−2・day−1以下、中でも0.1cc・m−2・day−1以下であることが好ましい。また、水蒸気透過度が0.2cc・m−2・day−1以下、中でも0.1cc・m−2・day−1以下であることが好ましい。ガスバリア層の酸素および水蒸気透過度を上記範囲内とすることにより、本発明の真空断熱材用外装材が高いガスバリア性を示すことができる。
なお、酸素透過度は、JIS K7126Bに基づき、温度23℃、湿度90%RHの条件下において酸素透過度測定装置(米国モコン(MOCON)社製、オクストラン(OXTRAN))を用いて測定した値である。 また、水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、水蒸気透過度測定装置(米国モコン(MOCON)社製、パ−マトラン(PERMATRAN))を用いて測定した値である。
上述した各種ガスバリア層は、一般に表面処理等を施さなくても所望の表面濡れ張力を示すことが可能であるが、さらに表面処理を施すことで、表面濡れ張力を向上させるように調整してもよい。具体的な表面処理方法としては、ガスバリア層の種類にもよるが、ガスバリア層が金属箔や金属蒸着膜等を有する場合は「1.熱溶着層」の項で説明した易接着コート処理法を用いることができる。また、ガスバリア層がガスバリア性樹脂フィルム等の有機層である場合は、「1.熱溶着層」の項で説明した各種方法を用いることができる。
なお、上記表面処理は、ガスバリア層の表面のうち、少なくとも層間接着層と接する面に対して行えばよく、中でも両面に対して行うことが好ましい。
4.任意の層
本発明の真空断熱材用外装材は、上述した、ガスバリア層、層間接着層、および熱溶着層を少なくとも有するものであるが、他に任意の層を有していてもよい。
(1)保護層
一般に、真空断熱材用外装材は、ガスバリア層側の最表面に保護層を備えることから、本発明の真空断熱材用外装材においても、ガスバリア層側の最表面に保護層を有することが好ましい。
保護層は、本発明の真空断熱材用外装材を用いて芯材を覆い、真空断熱材を形成する際に、内部を保護する機能を有し、真空断熱材の表面を担う層となる。
保護層を構成する材料としては、熱溶着層よりも高融点の樹脂であればよく、例えば、ナイロン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。
保護層はシートでもよく、一軸延伸または二軸延伸されたフィルムでもよい。また上記保護層は、単層であってもよく多層であってもよい。
保護層の表面濡れ張力は特に限定されないが、層間接着層と接する熱溶着層やガスバリア層の表面濡れ張力と同様であることが好ましい。保護層と他の層との密着性が向上するため、保護層および他の層間における剥離の発生を抑制することができるからである。
保護層は、所望の表面濡れ張力を示すように表面処理が施されていてもよい。表面処理方法については、「1.熱溶着層」の項で説明した表面処理方法と同様とすることができる。
保護層の厚さとしては、熱溶着層およびガスバリア層を保護することが可能な厚さであれば特に限定されず、例えば5μm〜80μmの範囲内とすることが好ましい。
保護層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、本発明の真空断熱材用外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
保護層は、ガスバリア層の熱溶着層を有する側と反対側に配置される。保護層とガスバリア層とは、通常、接着層を介して積層され、上記接着層としては上述の層間接着層を用いることができる。
(2)その他の任意の層
本発明の真空断熱材用外装材は、アンカーコート層、耐ピンホール層等を有していても良い。
5.その他
本発明の真空断熱材用外装材は、ガスバリア性の向上や、強度や耐傷性等の向上の観点から、ガスバリア層や保護層を複数有していてもよい。
本発明の真空断熱材用外装材は、JIS K6854−3に基づいて測定される上記熱溶着層と上記層間接着層との層間剥離強度が1N/15mm以上であることが好ましく、中でも1.5N/15mm以上であることが好ましく、特に2N/15mm以上であることが好ましい。本発明の真空断熱用外装材が、低温環境下における耐久性と高い層間接着性を示すことが可能となるからである。このとき、層間接着層とガスバリア層との層間剥離強度については、低温曝露により剥離が生じない強度であれば特に限定されないが、上記熱溶着層と上記層間接着層との層間剥離強度と同様の値を示すことが好ましい。
なお、上記層間剥離強度は、JIS K6854−3「接着剤―はく離接着強さ試験方法 第3部:T形はく離」に基づき、インストロン・ジャパン株式会社製電気機械式万能試験機(型式:5565)を用いて、一部を予め層間剥離させた15mm幅の試験片を、常温環境下にて引張速度300mm/分でT形剥離することにより測定される。ここで常温環境下とは、25℃、50%湿度下をいう。
また、本発明および本明細書内において、熱溶着層と層間接着層との層間剥離強度とは、すなわち、「層間接着層を介した熱溶着層とガスバリア層との層間剥離強度」を意味する。
また、本発明の真空断熱材用外装材は、低温環境下で長期間曝露されても層間剥離が生じにくく、耐久性に優れるという特長を有する。具体的には、本発明の真空断熱材用外装材を−196℃の液体窒素雰囲気下で5時間曝露させた後の、JIS K6854−3に基づいて測定される上記熱溶着層と上記層間接着層との層間剥離強度が1N/15mm以上であることが好ましく、中でも1.5N/15mm以上であることが好ましく、特に2N/15mm以上であることが好ましい。このとき、層間接着層とガスバリア層との層間においても、同様の層間剥離強度を示すことが好ましい。
なお、曝露後の層間剥離強度は、上述した常温環境下での層間剥離強度の測定と同一の試験方法により測定される。
本発明の真空断熱材用外装材は、高いガスバリア性を有する。具体的なガスバリア性については、上述の「1.ガスバリア層」の項で説明したガスバリア性と同様とすることができる。
本発明の真空断熱材用外装材は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、本発明の真空断熱材用外装材が用いられる真空断熱材の用途に応じて適宜設定することができる。真空断熱材用外装材の透明性については、厳密な透過率で規定されず、用途等に応じて適宜決定することができる。
本発明の真空断熱材用外装材が透明性を有する場合、真空断熱材に用いることで真空断熱材の内部の視認が可能となることから、真空断熱材の内部に検知剤を入れることで、検知剤の変化から内部の真空状態を目視で確認することが可能となる。
6.製造方法
本発明の真空断熱材用外装材の製造方法としては、それぞれ所望の表面濡れ張力を示すガスバリア層および熱溶着層を用い、ガスバリア層、層間接着層、および熱溶着層をこの順で積層させることが可能な方法であれば特に限定されない。例えば、ガスバリア層の一方の面上に層間接着層を構成する接着剤を所望の塗布量で塗布し乾燥させて層間接着層を形成し、別途準備した熱溶着層を、所望の表面濡れ張力を示す面が層間接着層側となる様にして積層させる方法を用いて製造することができる。
7.用途
本発明の真空断熱材用外装材は、電化機器、建築、保冷保温貯蔵タンク、自動車等に用いられる真空断熱材の外装材として用いることができる。中でも、本発明の真空断熱材用外装材は、低温環境下で長期間曝露されても層間剥離が生じにくく、高い耐久性を示すという特長を有することから、内部または外部が低温環境となる物品、例えば、液体水素、液体ヘリウム、液化天然ガス(LNG)、液体酸素、液体窒素、液化石油ガス等の低温液化ガスを貯蔵する貯蔵タンク等に使用される真空断熱材の外装材として好適に用いることができる。
B.真空断熱材
次に、本発明の真空断熱材について説明する。本発明の真空断熱材は、芯材および上記芯材を覆うように対向して配置される外装材を有し、対向する上記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、対向する上記外装材の少なくとも一方が、「A.真空断熱材用外装材」の項で説明した真空断熱材用外装材であることを特徴とする。
本発明の真空断熱材について図を参照して説明する。図2(a)は本発明の真空断熱材の一例を示す概略斜視図であり、図2(b)は図2(a)のX−X線断面図である。
図2(a)および(b)に例示するように、本発明の真空断熱材20は、対向する2枚の外装材10Aおよび10Bの周縁が熱溶着されて封止されており、外装材10Aおよび10Bにより密閉された空間内部に芯材11が収納され、内部が減圧されて真空状態となっている。外装材10Aおよび10Bの周縁の封止部分は、真空断熱材20の端部12となる。
対向する外装材10Aおよび10Bは、芯材11側から熱溶着層3Aおよび3B、層間接着層2Aおよび2B、ガスバリア層1Aおよび1Bを有し、さらにガスバリア層1Aおよび1B上に層間接着層2A’および2B’を介して保護層4Aおよび4Bを有する。
なお、図2においては、対向する外装材10Aおよび10Bは、共に「A.真空断熱材用外装材」の項で説明した真空断熱材用外装材10であり、熱溶着層3Aおよび3Bは、層間接着層2Aおよび2Bと接する面が所望の表面濡れ張力を示す。
本発明によれば、芯材を覆う外装材として、層間接着層と接する面の表面濡れ張力が所望の値以上を示す熱溶着層を含む真空断熱材用外装材を用いることから、低温環境下において真空断熱材用外装材を構成する層間で剥離が生じにくくなる。これにより、真空断熱材内部を長期間、高真空状態に維持することができるため、高い耐久性を示す真空断熱材とすることができる。
以下、本発明の真空断熱材の各構成について説明する。
1.外装材
本発明における外装材は、芯材を覆うように対向して配置されるものであり、対向する上記外装材の少なくとも一方が、「A.真空断熱材用外装材」の項で説明した真空断熱材用外装材である。
本発明における外装材は、通常、ガスバリア層、層間接着層、および熱溶着層を少なくとも有し、芯材側から真空断熱材の表面に向けて、熱溶着層、層間接着層、およびガスバリア層がこの積層順となるよう配置される。
本発明における外装材は、「A.真空断熱材用外装材」の項で説明した真空断熱材用外装材である「第1の外装材」と、それ以外の「第2の外装材」との2つの態様に分けられる。
(1)第1の外装材
第1の外装材は、「A.真空断熱材用外装材」の項で説明した真空断熱材用外装材である。
第1の外装材の詳細については、上述の「A.真空断熱材用外装材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)第2の外装材
第2の外装材は、ガスバリア層、上記ガスバリア層の一方の面に形成された層間接着層、および上記層間接着層の上記ガスバリア層が配置された側と反対側の面上に形成された熱溶着層を少なくとも有するものである。
第2の外装材は、熱溶着層について、層間接着層と接する面の表面濡れ張力が特に限定されない点を除いて、上述の「A.真空断熱材用外装材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(3)その他
本発明における外装材は、第1の外装材であるか第2の外装材であるかを問わず、通常、ガスバリア層側の最表面に保護層を有する。その理由については、上述の「A.真空断熱材用外装材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明においては、芯材を覆うように対向して配置される外装材は、少なくとも一方が上述の第1の外装材であればよい。すなわち、対向する外装材の一方が第1の外装材であり他方が第2の外装材であってもよく、対向する外装材の両方が第1の外装材であってもよい。中でも、対向する外装材の両方が第1の外装材であることが好ましい。本発明の真空断熱材が低温環境下において長期間曝されても、対向する外装材の層間剥離の発生が抑制されるため、本発明の真空断熱材の内部を長期間にわたり高真空状態に維持できるからである。
本発明の真空断熱材において、外装材は透明性を有していてもよく、有さなくてもよい。ここで、「透明」または「透明性」とは、特段の断りがない限り、真空断熱材の内部の視認が可能な程度の透明性をいう。したがって、透明は、無色透明および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で規定されず、本発明の真空断熱材の用途等に応じて適宜決定することができる。
2.芯材
本発明における芯材は、対向する外装材により覆われて内包されるものである。
芯材の材料としては、一般に真空断熱材の芯材に使用される材料を用いることができる。例えばシリカ等の粉体、ウレタンポリマー等の発泡体、グラスウール等の繊維体等の多孔質体が挙げられる。なお上記多孔質体は、空隙率が50%以上、中でも90%以上であることが好ましい。熱伝導率の低い芯材とすることができるからである。
芯材は、外部から侵入する微量のガスを吸着するためのゲッター剤を含んでいても良い。ゲッター剤としては、例えばシリカ、アルミナ、ゼオライト、活性炭等の真空断熱材に使用される一般的な材料が挙げられる。
芯材の厚さとしては、所望の断熱効果を発揮できる厚さであれば特に限定されず、例えば、減圧後の状態で1mm〜10mmの範囲内であることが好ましい。
3.その他
本発明の真空断熱材は、対向する外装材の少なくとも一方が透明である場合に、内部に検知剤を含むことが好ましい。検知剤の変化から真空断熱材の内部の真空状態を確認することができるからである。ここで、検知剤とは、酸素、水分等のガスの存在や温度変化を検知すると、変色、変形が起こるものであり、例えばガスを検知する気体検知剤、温度変化を検知する温度検知剤等がある。
気体検知剤としては、例えば、シリカゲルなどの吸湿剤が挙げられる。上記吸湿剤は、酸素、水分等のガスを吸湿することで、変色、変形等が起こることから、真空断熱材の内部の真空状態を目視で確認することができる。なお、上述の「2.芯材」の項で説明したゲッター剤が、気体検知剤の役目を果たしてもよい。
また、温度検知剤としては、例えば一般に市販される示温剤等が挙げられる。示温剤は、温度の変化を検知し、所定の温度に達すると変色を生じることから、真空断熱材内部の真空度の低下に伴い異常な温度になっていないかを目視で確認することができる。
検知剤は真空断熱材の内部に分散されていてもよく、所望の位置に固定配置されていてもよく、外部から視認可能な位置にあればよい。
本発明の真空断熱材の内部の真空度としては、5Pa以下であることが好ましい。真空断熱材内部の空気の対流を遮断し、断熱性能を向上させることができるからである。
本発明の真空断熱材の熱伝導率(初期熱伝導率)としては、例えば25℃環境下で15mW・m−1・K−1以下、中でも10mW・m−1・K−1以下、特に5mW・m−1・K−1以下であることが好ましい。真空断熱材が熱を外部に伝導しにくくなることから、高い断熱効果を奏することができるからである。なお、上記熱伝導率はJIS A1412−3に従い熱伝導率測定装置オートラムダ(英弘精機製 HC−074)を用いた熱流計法により測定された値である。
本発明の真空断熱材は、外装材として上述した第1の外装材を用いることで、低温環境下で長期間曝露されても外装材において層間剥離が生じにくいことから、真空断熱材内部を長期間にわたり高真空状態に維持することができるという特長を有する。
すなわち、本発明の真空断熱材は、−196℃の液体窒素雰囲気下で5時間曝露させた後の外装材におけるJIS K6854−3に基づいて測定される上記熱溶着層と上記層間接着層との層間剥離強度が、「A.真空断熱材用外装材 5.その他」の項で説明した強度を示すことが好ましい。このとき、層間接着層とガスバリア層との層間においても、同様の層間剥離強度を示すことが好ましい。
本発明の真空断熱材の製造方法は、少なくとも一方の外装材に上述した第1の外装材を用いて芯材を封入し、内部を脱気して真空状態にして密閉することが可能な方法であれば特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
本発明の真空断熱材は、電化機器用真空断熱材、建築用真空断熱材、保冷保温箱体用真空断熱材、自動車用真空断熱材等として、断熱を必要とするあらゆる場所に用いることができる。中でも、内部または外部が低温環境となる場所、例えば、液体水素、液体ヘリウム、液化天然ガス(LNG)、液体酸素、液体窒素、液化石油ガス等の低温液化ガスを貯蔵する貯蔵タンク等に好適に用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
以下の手順で真空断熱材用外装材を得た。
なお、実施例における表面濡れ張力および層間剥離強度は、以下の測定方法により測定した値とする。
(表面濡れ張力の測定方法)
JIS K6768に準拠する方法を用いた。
(層間剥離強度の測定方法)
JIS K6854−3「接着剤―はく離接着強さ試験方法 第3部:T形はく離」に基づき、インストロン・ジャパン株式会社製電気機械式万能試験機(型式:5565)を用いて、熱溶着層とガスバリア層との間の一部を予め剥離させた15mm幅の試験片を、常温環境下(25℃、湿度50RH%環境下)にて引張速度300mm/分でT形剥離を行った。
(層間接着剤Aの調製)
層間接着剤Aとして、ポリエステルを主成分とする主剤と脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤、および酢酸エチルを、重量配合比が主剤:硬化剤:酢酸エチル=10:1:10となるように混合し2液硬化型接着剤を調製した。
(熱溶着層の表面処理)
熱溶着層Aとして、L−LDPEフィルム(三井化学東セロ社製 製品名:TSC、厚さ50μm)を用い、一方の面に対して春日電機社製コロナ処理機で表面処理を行った。熱溶着層Aの処理面における表面濡れ張力は35dyn/cmであった。
(真空断熱材用外装材の積層)
第1保護層として、両面に易接着処理が施された厚さ25μmのナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製 製品名:ONM)の易接着面に、上述の配合比で調製した層間接着剤Aを塗布量3.5g/mとなるようにダイコーターを用いて塗布し乾燥させて層間接着層を形成した。
次に、層間接着層上に、第2保護層として両面を易接着処理された厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ株式会社製 製品名:PET)をラミネートした。
次に、得られた2層フィルムの第2保護層面に、同様の方法で層間接着剤Aを塗布量3.5g/mで塗布し乾燥させて層間接着層を形成し、上記層間接着層上にガスバリア層として、厚さ6μmのAl箔(住軽アルミ箔株式会社製 製品名:1N30、表面濡れ張力:ツヤ面=30dyn/cm、ケシ面=56dyn/cm)をラミネートした。続いて、ガスバリア層のツヤ面に同様の方法で層間接着剤Aを塗布量3.5g/mで塗布し乾燥させて層間接着層を形成し、上記層間接着層上に、先に表面処理を施した熱溶着層Aの表面処理面がガスバリア層側に位置するようにしてラミネートし、真空断熱材用外装材Aを得た。なお、得られた真空断熱材用外装材Aにおいて、熱溶着層Aとガスバリア層との層間剥離強度は10N/15mmであった。
[実施例2]
熱溶着層Bとして、L−LDPEフィルム(三井化学東セロ社製 製品名:HZR−2、厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外装材Bを得た。熱溶着層Bの処理面における表面濡れ張力は35dyn/cmであった。また、真空断熱材用外装材Bにおいて、熱溶着層Bとガスバリア層との層間剥離強度は11N/15mmであった。
[実施例3]
熱溶着層Cとして、CPP(三井化学東セロ社製 製品名:RXC−22 、厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外装材Cを得た。熱溶着層Cの処理面における表面濡れ張力は35dyn/cmであった。また、真空断熱材用外装材Cにおいて、熱溶着層Cとガスバリア層との層間剥離強度は10.4N/15mmであった。
[実施例4]
熱溶着層Dとして、L−LDPEフィルム(三井化学東セロ社製 製品名:HCE、厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外装材Dを得た。熱溶着層Dの処理面における表面濡れ張力は38dyn/cmであった。また、真空断熱材用外装材Dにおいて、熱溶着層Dとガスバリア層との層間剥離強度は7.4N/15mmであった。
[実施例5]
熱溶着層Eとして、表面濡れ張力が41dyn/cmのPBTフィルム(オージーフィルム社製、厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外装材Eを得た。なお、熱溶着層Eについては、表面処理は行わなかった。また、真空断熱材用外装材Eにおいて、熱溶着層Eとガスバリア層との層間剥離強度は8N/15mmであった。
[実施例6]
実施例5で用いた熱溶着層Eの一方の面に対してコロナ処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外装材Fを得た。熱溶着層Eの処理面における表面濡れ張力は56dyn/cmであった。また、真空断熱材用外装材Fにおいて、熱溶着層Eとガスバリア層との層間剥離強度は11N/15mmであった。
[実施例7]
熱溶着層Gとして、HDPEフィルム厚さ50μmを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外装材Gを得た。熱溶着層Gの処理面における表面濡れ張力は56dyn/cmであった。また、真空断熱材用外装材Gにおいて、熱溶着層Gとガスバリア層層との層間剥離強度は7.2N/15mmであった。
[実施例8]
熱溶着層Hとして、超高分子PEフィルム厚さ40μmを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外装材Hを得た。熱溶着層Hの処理面における表面濡れ張力は56dyn/cmであった。また、真空断熱材用外装材Hにおいて、熱溶着層Hとガスバリア層との層間剥離強度は6.5N/15mmであった。
[比較例1]
熱溶着層Aの表面に対してコロナ処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外装材Iを得た。なお、表面未処理の熱溶着層Aの表面濡れ張力は30dyn/cmであった。また、表面未処理の熱溶着層Aとガスバリア層との層間剥離強度は0.2N/15mmであった。
[比較例2]
熱溶着層Bの表面に対してコロナ処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして真空断熱材用外装材Jを得た。なお、表面未処理の熱溶着層Bの表面濡れ張力は30dyn/cmであった。また、表面未処理の熱溶着層Bとガスバリア層との層間剥離強度は0.3N/15mmであった。
[比較例3]
熱溶着層Dの表面に対してコロナ処理を行わなかったこと以外は、実施例4と同様にして真空断熱材用外装材Kを得た。なお、表面未処理の熱溶着層Dの表面濡れ張力は30dyn/cmであった。また、表面未処理の熱溶着層Dとガスバリア層との層間剥離強度は0.3N/15mmであった。
[比較例4]
熱溶着層Gの表面に対してコロナ処理を行わなかったこと以外は、実施例7と同様にして真空断熱材用外装材Lを得た。なお、表面未処理の熱溶着層Gの表面濡れ張力は32dyn/cmであった。また、表面未処理の熱溶着層Gとガスバリア層との層間剥離強度は0.4N/15mmであった。
[比較例5]
熱溶着層Hの表面に対してコロナ処理を行わなかったこと以外は、実施例8と同様にして真空断熱材用外装材Mを得た。なお、表面未処理の熱溶着層Hの表面濡れ張力は32dyn/cmであった。また、表面未処理の熱溶着層Hとガスバリア層との層間剥離強度は0.2N/15mmであった。
[評価]
実施例1〜8および比較例1〜5で得られた真空断熱材用外装材を、液体窒素(−196℃)中に5時間浸漬させて低温曝露を行い、低温曝露後の真空断熱材用外装材について、熱溶着層とガスバリア層との間において剥離が発生しなかったものを○、剥離が発生したものを×とした。
結果を表1に示す。
1、1A、1B … ガスバリア層
2、2A、2A’、2B、2B’ … 層間接着層
3、3A、3B … 熱溶着層
4A、4B … 保護層
10、10A、10B … 真空断熱材用外装材(外装材)
11 … 芯材
20 … 真空断熱材

Claims (3)

  1. 芯材および前記芯材を覆うように対向して配置される外装材を有し、対向する前記外装材の周縁が封止された真空断熱材に用いられる真空断熱材用外装材であって、
    前記真空断熱材用外装材は、ガスバリア層、前記ガスバリア層の一方の面上に形成された層間接着層、および前記層間接着層の前記ガスバリア層が配置された側と反対側の面上に形成された熱溶着層を少なくとも有し、
    前記熱溶着層は、前記層間接着層と接する面のJIS K6768に基づいて測定される表面濡れ張力が35dyn/cm以上であることを特徴とする真空断熱材用外装材。
  2. JIS K6854−3に基づいて測定される前記熱溶着層と前記層間接着層との層間剥離強度が1N/15mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材用外装材。
  3. 芯材および前記芯材を覆うように対向して配置される外装材を有し、対向する前記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、
    対向する前記外装材の少なくとも一方が、ガスバリア層、前記ガスバリア層の一方の面上に形成された層間接着層、および前記層間接着層の前記ガスバリア層が配置された側と反対側の面上に形成された熱溶着層を少なくとも有し、
    前記熱溶着層は、前記層間接着層と接する面のJIS K6768に基づいて測定される表面濡れ張力が35dyn/cm以上であることを特徴とする真空断熱材。
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