JP6416843B2 - ドアシール構造 - Google Patents
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Description
たとえば、特許文献1では、ホイールアーチ部に面したドア内面の端部に、ホイールアーチ部と対向するようにアーチモールをドア内面に配置しつつ、ホイールアーチ部にシール部材を設置している。そして、ドアを閉めた際に、シール部材がアーチモールに弾接することで、シール性を発揮している。
このような構成の場合、異物を受け止める面と、アーチモールに弾接する面とが、同一面となるため、飛散する量や速度によっては、異物が、シール構造をくぐり抜けて、車内に侵入するおそれがある。
また、異物を受け止める面が表出しているため、乗員が乗降する際に、シール部材に触れた場合には、シール部材に付着している異物によって、乗員の衣服や荷物などを汚損してしまうおそれがある。
これによって、ドアと車体との隙間に飛び込んでくる異物を受け止める際に、リップ部に掛かる力を、他方の部材に対して、より強く当接する方向に掛けることができる。
つまり、異物の飛散速度が早くなればなるほど、異物の車内への侵入が、より困難になり、異物の飛散速度を問わず、高いシール性を発揮することができる。
さらに、このような構成とすることで、ドアと車体の間の隙間の入口部分にラビリンス構造を形成して、異物の侵入を妨げる必要もなくなるため、より単純な構造でシール性を向上することができる。
加えて、このような構成とすることで、片持ち梁形状のリップ部が撓むだけで十分なシール性を発揮するため、ドアを閉める際のシール部材による撓み反力が低下する。
これによって、ドアを閉める際に必要な力が低減されて、丁寧な扱いが可能になり、商品性を高めることができる。
図1に示すように、車両100には、その車体101の側面後方に、乗員が車両100に乗降するための後席開口部101a(開口部)が開口している(図6参照)。そして、後席開口部101aには、後席開口部101aを開閉可能に、後席ドア102(ドア)が設置されている。
また、後席ドア102が開いた状態における後席開口部101a周辺の外観形状は、アウタパネル107(アウタ部材)によって構成される。つまり、後席開口部101aは、アウタパネル107に開口している。
インナパネル108(インナ部材)は、車体101内部の骨格構造を構成する強度部材で、アウタパネル107を車内側から補強している。
アウタ接合しろ107aとインナ接合しろ108aとは、それぞれが、ホイールハウス105の円弧形状に倣って、車内外方向に沿って車内側に折曲げられている。
そして、アウタ接合しろ107aとインナ接合しろ108aとが一致するように重ねられるとともに、重ねられた部位が、スポット溶接等の接合手段によって接合され、接合部109を構成する。
また、接合部109には、接合カバー110が被せられている。
弾接条110aは、U溝110bの前側内面に、接合カバー110の長尺方向に沿って平行に立設される2本の突条で構成されている。
弾接条110aは、接合部109に弾接し、弾接条110aの撓み反力によって、接合カバー110を円弧の径方向の内側から外側に付勢しつつ、接合部109に保持する。
ドアシール構造1は、図2に示すように、後席ドア102を閉じた状態で、後席開口部101aと後席ドア102との間を密閉するもので、ドアモール10(モール)とシール部材20とを備えている。そして、ドアシール構造1は、弾性材からなるシール部材20が、後席ドア102を閉めた状態で、後席ドア102と車体101との間に狭持されることで、後席ドア102と車体101との間を密閉する。
また、ドアモール10は、モール本体11と、モール密接部12と、モール取付手段13とを備えており、モール取付手段13を介して、ドア内面側周縁部102aに固定されている。
いる。
平滑部11aは、車内側に面した内面に、平らで、滑らかな平滑面11cを備えるとともに、板面に沿って円弧状に湾曲している。そして、平滑部11aの平滑面11cに、後述するリップ部22cが弾接する。
湾曲部11bは、平滑部11aの後縁から、後席ドア102の円弧湾曲部106の円弧形状に倣って湾曲しつつ、円弧湾曲部106に向かって立設している。
モール側ネジ孔部14aは、モール本体11の板面を貫通するモール固定孔14aaと、モール本体11の車内側に面する内面における、モール固定孔14aaの周囲に円環状に突出する環状突部14abとで構成されている。
モール固定孔14aaには、モールネジ14cのネジ軸部14caが挿通する。
環状突部14abは、図4に示すように、モールネジ14cのネジ頭部14cbの周囲を囲みつつ、ネジ頭部14cbよりも高くなるように、形状、及び寸法が設定されている。
モールネジ14cは、タッピングネジで構成されている。
そして、モールネジ14cが、モール側ネジ孔部14aを貫通しつつ、パネル側ネジ孔部14bに螺着することで、ネジ頭部14cbがモール本体11に係合し、モール本体11がドア内面側周縁部102aに配置される。
また、環状突部14abを設けることで、モールネジ14cのネジ頭部14cbがシール部材20に接触する可能性がさらに低くなるため、シール部材20や周囲と、モールネジ14cとの干渉を防止するとともに、外観性を向上している。
そして、モールクリップ15cは、その基部がクリップ台座15aに挿嵌され、その先端側がパネル側クリップ孔15bに係脱可能に保持される。
また、シール部材20は、ゴム等の可撓性を有する弾性材からなり、下縁シール部20aと、連結角部20bと、アーチシール部20cとを備えている。
島当接部21は、アーチシール部20cの上端部に配置される。押出成形されるアーチシール部20cは、切り出したそのままの形態では、切り口が露出し、見栄えが悪い。そこで、島当接部21をアーチシール部20cの上端に設けて、形状を整え、見栄えを良くしている。また、島当接部21は、ホイールアーチ部112と、加硫時に接合する等によって一体に形成される。
ベース部22aは、後席ドア102を閉めた状態における、対向するドア内面側周縁部102aに沿って延びる帯形状を有している。また、ベース部22aは、ベース固定手段23を介して、後席開口部101aの周縁に固定される。
ベース固定手段23は、ベース固定部23aと、パネル側ベース固定孔23bと、シールクリップ23cとで、構成される。
ベース固定部23aは、ベース固定孔23aaとクリップ凹部23abとで構成される。
ベース固定孔23aaは、ベース部22aの帯形状の幅方向中央部に配置され、
ベース部22aを板厚方向(車内外方向)に貫通する貫通孔で構成される。
クリップ凹部23abは、ベース部22aにおける、他よりも薄肉な部位からなり、ベース固定孔23aaの周囲を円形に囲むように設定されている。
シールクリップ23cは、円盤状のクリップ頭部23caがクリップ凹部23ab内に収まりつつ、クリップ軸部23cbがベース固定孔23aaを貫通し、パネル側ベース固定孔23bに対して係脱可能に係合する。
クリップ頭部23caは、クリップ凹部23abが他の部位よりも薄肉に設定されていることで、ベース部22aの表面から突出せずにベース部22aを固定することができる。
また、リップ部22cは、可撓性を有し、後席ドア102を閉じた状態で、ドア内面側周縁部102aに配置されたドアモール10に弾接する。
なお、リップ部22cの基部には、くびれ部22dが設けられている。
くびれ部22dは、図2、図10に示すように、リップ部22cの他の部位よりも薄肉に設定され、くびれ部22dで撓み易いように設定されている。
リップ部22cは、その先端部22eがネジ固定手段14の後縁側(湾曲部11b側)の部位に弾接する。
これによって、ドアと車体101との隙間に飛び込んでくる異物を受け止める際に、リップ部22cに掛かる力を、ドア内面側周縁部102aに対して、より強く当接する方向に掛けることができる。
つまり、異物の飛散速度が早くなればなるほど、異物の車内への侵入が、より困難になり、異物の飛散速度を問わず、高いシール性を発揮することができる。
これに対して、従来のシール構造では、異物がシール構造をくぐり抜け難くするために、ドアと車体の間の隙間の入口部分にラビリンス構造を形成するアーチモールをドアに設けて、隙間に異物が入りにくくする等の対策が必要になる。
これによって、後席ドア102を閉める際に必要な力が低減され、丁寧な扱いが可能になり、商品性を高めることができる。
これに対して、従来のシール構造では、シール性を高めるためには、シール部材の弾性力を高めなければならない。ところが、シール材の弾性力を高めると、ドアを閉める際に大きな力が必要になるため、勢いをつけてドアを閉める等、雑な扱いの要因となって、商品性が低下してしまう。
これによって、凹凸の少ない滑らかな外観を構成することができるため、後席ドア102を開いた状態における外観性(見栄え)を向上することができる。
これによって、リップ部22cの撓み量を適切な寸法に設定できるため、必要以上に撓ませることがなくなり、後席ドア102を閉める際に要する力を低減することができる。
また、設置されたドアモール10によって、リップ部22cが弾接する部位の表面の凹凸が覆われるため、弾接する部位の表面とリップ部22cとの密接度が増し、シール性をさらに向上することができる。
これによって、後席ドア102を閉める際に掛かる力によるドアモール10の変形を抑制するとともに、ドアモール10の取付けが不安定になることを抑制することができる。
開口部101aの開口面積が小さくなることで、乗員が乗降しづらくなる。また、乗員が車両100に乗降する際に、シール部材20に触れ易くなり、シール部材20に付着している異物が、乗員の衣服や荷物などを汚損する可能性が高まる。
これに対して、接合部109が車内外方向に沿って設定されることで、接合部109を設けることにより、開口部101aが狭くなる割合を小さくすることができる。
これによって、乗員が車両100に乗降する際に、乗員の衣服や荷物を汚損する可能性をさらに低下させることができる。
前述の実施形態のリップ部22cは、その先端部22eが、図2、図10に示すように、真っ直ぐな形状であることから、リップ部22cが捲れにくいという特徴を備えている。
また、別態様のリップ部22cは、その先端部22eaが、図11に示すように、車内側に折れ曲がった鉤爪形状であることから、リップ部22cとベース部22aとで形成されるV溝内に、ゴミが入りづらいという特徴を備えている。
さらに、前述の実施形態のカバー部22bと比較して、図11に示す別態様のカバー部22baは、カバー部22bよりも薄肉に設定され、接合カバー110との間に隙間が形成されている。
そして、カバー部22bを厚肉に設定することで、変形に強く、頑丈であるという特徴を備え、カバー部22baを薄肉に設定することで、使用する材料が削減され、製造コストの低減と、重量の軽減を図ることができるという特徴を備える。
加えて、シール部材20を配置する位置で比較すると、シール部材20を車体側に配置した場合には、車体とシール部材20の隙間から車内への異物侵入をより強く抑制することができるという特徴を備えている。
10 ドアモール(モール)
11c 平滑面
11a 平滑部
13 モール取付手段
20 シール部材
22a ベース部
22b カバー部
22c リップ部
23a ベース固定部
101 車体
101a 開口部
102 後席ドア(ドア)
102a ドア内面側周縁部
107 アウタパネル(アウタ部材)
108 インナパネル(インナ部材)
109 接合部
Claims (5)
- 車体の開口部を開閉するドアのドア内面側周縁部と、該開口部を閉じた状態の該ドアにおける該ドア内面側周縁部と対向する車体側の部位と、の間に狭持されるシール部材を備えたドアシール構造において、
前記シール部材は、
前記車体側に配置されるベース部と、
可撓性を有し、該ドア内面側周縁部に向かいつつ、前記ドアの板面の中央部側から該ドア内面側周縁部側に向かって、該ベース部から立設する片持ち梁形状を有し、且つ該ドアを閉じた状態で、該ドア内面側周縁部に弾接するリップ部と、
該ドアを閉じた状態で、該リップ部が弾接する部位にモールと、
を備え、
該モールは、
該リップ部に面した部位に、平滑面からなる平滑部と、
該モールの後縁に配置され、該ドアの端縁を覆うモール密接部と、
を備えた
ことを特徴とするドアシール構造。 - 前記ベース部は、
帯形状を有しつつ、帯形状の幅方向中央部に、車体側に固定される固定部を具備し、
前記リップ部は、
該ベース部のドア中心側端縁から立設され、
前記シール部材は、
該ベース部と該リップ部とで断面略V字形状を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のドアシール構造。 - 前記モールは、
前記ドアを閉じた状態で、車両の車内側から車外側へ向かう方向に沿った車内外方向において、前記シール部材と重なる部位に、モール取付部を備え、
該モール取付部を介して、前記ドア内面側周縁部に設置される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドアシール構造。 - 前記車体側の部位は、
前記車体の外形形状を構成するアウタ部材と、
該アウタ部材の車内側に位置し、接合部を介して、該アウタ部材に接合されるインナ部材と、
で構成され、
該接合部は、
車両の内側から外側へ向かう方向に沿った車内外方向に沿って設定され、
前記シール部材は、
前記ベース部から延設され、前記接合部の外周面を覆うカバー部を備えた
ことを特徴とするに請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のドアシール構造。 - 前記モール密接部は、
前記平滑部より軟質な樹脂材からなる
ことを特徴とするに請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のドアシール構造。
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