JP2014159243A - 車両の窓部材固定構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】窓部材に隠蔽層を設けずに車両構造体と窓部材とを接着する接着材を隠蔽し、窓部材の製造コストを低減しつつ窓部材が固定された車両構造体の見栄えを向上させる。
【解決手段】ウインドパネル(41)の外周縁部(45)を、車両構造体(1)を構成するインナーパネル(3)の窓用開口周縁部(14)とアウターパネル(21)の窓用開口周縁部(21a)との間に位置させ、これらインナーパネル(3)及びアウターパネル(21)の各窓用開口周縁部(14, 21a)に接着材(51, 53)で接着する。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両構造体を構成する樹脂製インナーパネル及び樹脂製アウターパネルに固定されてこれら両パネルに形成された窓用開口を塞ぐ窓部材の固定構造に関する。
特許文献1には、車両構造体として、ドアインナーパネルとドアアウターパネルとが接合されてなる車両用バックドアが開示されている。ドアインナーパネル及びドアアウターパネルには窓用開口が互いに対応する位置に形成され、窓用開口は窓部材としての板状のウインドガラスにより塞がれている。このウインドガラスは、その外周縁部がアウターパネルの窓用開口周縁部に車外側から接着材で接着されることでバックドアに固定されている。
このような窓部材の固定構造では、ドアアウターパネルとウインドガラスとを接着する接着材が車外側から視認されることを防止してバックドアの見栄えを向上させる目的で、従来からウインドガラスの外周縁部に隠蔽層と呼ばれる遮光性の高い膜が形成されている。
特開2006−116993号公報
しかしながら、ウインドガラスの外周縁部に隠蔽層を形成するためには、ウインドガラス表面に遮光性塗料を塗る工程が必要になる。また、ウインドガラスに代えて樹脂製のウインドパネルを採用する場合にも、ウインドパネルの外周縁部に隠蔽層を形成するためには、同じく遮光性塗料を塗る工程や、ウインドパネルを成形する際に二色成形により隠蔽層を形成する工程が必要となる。このため、窓部材(ウインドガラスやウインドパネル)の製造には手間がかかり、その分だけ窓部材の製造コスト、ひいては窓部材の固定構造を有するバックドアなどの車両構造体の製造コストがアップする。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、窓部材に隠蔽層を設けずに車両構造体と窓部材とを接着する接着材を隠蔽し、窓部材の製造コストを低減しつつ窓部材が固定された車両構造体の見栄えを向上させることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、インナーパネル及びアウターパネルにおいて窓用開口周縁部の間に窓部材の外周縁部を挟み込む構造を採用するようにした。
具体的には、本発明は、互いに対応する位置に窓用開口がそれぞれ形成された樹脂製インナーパネル及び樹脂製アウターパネルを備える車両構造体に、インナーパネル及びアウターパネルの窓用開口を塞ぐ板状の窓部材が固定された車両の窓部材固定構造を対象とし、以下の解決手段を講じたものである。
すなわち、第1の発明は、上記車両の窓部材固定構造において、窓部材の外周縁部が、インナーパネルの窓用開口周縁部とアウターパネルの窓用開口周縁部との間に位置し、これらインナーパネル及びアウターパネルの各窓用開口周縁部に接着材で接着されていることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明の車両の窓部材固定構造において、窓部材が、当該窓部材の外周縁部に対し車外側に離間した本体部を備える。この本体部は、窓部材の主体をなすものである。窓部材の本体部と窓部材の外周縁部とは、車内外方向に延びる段部により一体に連結されている。そして、第2の発明は、窓部材の段部が、アウターパネルの窓用開口周縁部と近接又は当接した状態で対峙していることを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明の車両の窓部材固定構造において、窓部材の本体部における車外側の表面が、アウターパネルの窓用開口周縁部における車外側の表面と同一平面上に位置することを特徴とする。なお、ここで言う「同一平面上」とは、完全に同一の平面上だけを意味するのではなく、僅かに高低差がある状態も含む。
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つの車両の窓部材固定構造において、インナーパネル及びアウターパネルのうち少なくとも一方のパネルの窓用開口周縁部には、他方のパネルの窓用開口周縁部に向かって突出する突条部が当該窓用開口周縁部に沿って形成されていることを特徴とする。
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれか1つの車両の窓部材固定構造において、窓部材の外周縁部には、車内外方向に突出する突条部が当該窓部材の外周縁部に沿って形成されていることを特徴とする。
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれか1つの車両の窓部材固定構造において、窓部材の外周縁部が、当該窓部材の内側に位置する第1縁部と、この第1縁部に対して当該窓部材の外側に位置すると共に第1縁部と車内外方向に離間した第2縁部とを備える。そして、第6の発明は、これら第1縁部と第2縁部とが、車内外方向に延びる段部により一体に連結されていることを特徴とする。
第1の発明によれば、窓部材の外周縁部がインナーパネルの窓用開口周縁部とアウターパネルの窓用開口周縁部との間に位置しているので、インナーパネル及びアウターパネルと窓部材との接着部分はこれら両パネルによって隠蔽される。すなわち、インナーパネルと窓部材との接着部分はインナーパネルによって、アウターパネルと窓部材との接着部分はアウターパネルによってそれぞれ隠蔽される。これにより、窓部材に隠蔽層を設けなくても、インナーパネル及びアウターパネルと窓部材とをそれぞれ接着する接着材を隠蔽することができ、これら両パネルと窓部材とを接着する接着材が車内側からも車外側からも視認されることがない。したがって、窓部材の製造コストを低減しつつ窓部材が固定された車両構造体の見栄えを向上させることができる。
さらに、第1の発明によれば、窓部材の外周縁部をインナーパネル及びアウターパネルにおける窓用開口周縁部の間に挟み込んだ状態でこれら両パネルに接着材で接着するので、窓部材が車両構造体に強固に固定される。これにより、窓部材が固定された車両構造体における窓用開口周縁の剛性を高めることができる。
第2の発明によれば、窓部材の本体部と外周縁部とが車内外方向に離間し、これら窓部材の本体部と外周縁部とが段部により一体に連結されているので、この段部が補強リブとして作用し、窓部材の曲げや捩りに対する剛性を高めることができる。そして、窓部材の段部はアウターパネルの窓用開口周縁部と近接又は当接した状態で対峙しているので、当該窓部材が固定された車両構造体における窓用開口周縁の剛性をより一層高めることができる。
第3の発明によれば、窓部材の本体部とアウターパネルの窓用開口周縁部とにおける車外側の表面同士が同一平面上に位置しているので、車両走行時において段差などに起因する空気流の乱れを小さくすることができ、これによって空気抵抗を低減できると共に風切り音の発生を抑制できる。また、窓部材の本体部とアウターパネルとの間の段差が目立たなくなるので、窓部材が固定された車両構造体の見栄えを向上させることができる。
第4の発明によれば、インナーパネル及びアウターパネルの少なくとも一方のパネルに他方のパネルに向かって突出する突条部がこれら両パネルの窓用開口周縁部に沿って形成されているので、この突条部の突出高さ分だけ車両構造体における窓用開口周縁の厚さが増す上に、その突条部が補強リブとして作用し、車両構造体における窓用開口周縁の剛性をより一層高めることができる。
第5の発明によれば、窓部材の外周縁部に車内外方向に突出する突条部が当該窓部材の外周縁部に沿って形成されているので、この凸部が補強リブとして作用し、窓部材における外周縁部の曲げや捩りに対する剛性を高めることができ、ひいては窓部材が固定された車両構造体における窓用開口周縁の剛性をより一層高めることができる。
第6の発明によれば、窓部材の外周縁部において当該窓部材の内側に位置する第1縁部と当該窓部材の外側に位置する第2縁部とが車内外方向に離間し、これら第1縁部と第2縁部とが段部により一体に連結されているので、この段部が補強リブとして作用し、窓部材における外周縁部の曲げや捩りに対する剛性を高めることができ、ひいては窓部材が固定された車両構造体における窓用開口周縁の剛性をよりいっそう高めることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用バックドアを示す斜視図である。 図2は、本発明の実施形態に係る車両用バックドアを示す分解斜視図である。 図3は、図1のIII−III線における断面図である。 図4は、図3に対応する箇所の断面構造を示す分解斜視図である。 図5は、本発明の実施形態に係る変形例の図3に相当する箇所の断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る車両の窓部材固定構造を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
この実施形態では、本発明に係る車両の窓部材固定構造を適用した車両用バックドア(以下、単にバックドアという)について説明する。
−バックドアの構成−
図1に、本実施形態のバックドア1の概略斜視図を示す。このバックドア1は、ハッチバック式の車両(不図示)の後端部に設けられた開口部を上下方向に開閉するための車両構造体である。バックドア1の上部は、車幅方向に延びる軸を有するヒンジ(不図示)を介して車両の上部に取り付けられるようになっており、車両に取り付けられた状態で、ヒンジの軸を中心として上下に回動することで開閉動作を行うようになっている。
バックドア1の分解斜視図を図2に示す。バックドア1は、図2に示すように、車内側に位置するドアインナーパネル3と、車外側に位置するドアアウターパネル21とが組み合わされた構造を有する。これらドアインナーパネル3及びドアアウターパネル21は、共に一枚物の樹脂製パネルである。
ドアインナーパネル3は、例えば、ガラス繊維入りポリプロピレン(PP−GF;Polypropylene Glass Fiber)や炭素繊維入りポリプロピレン(PP−CF;PolypropyleneCarbon Fiber)などの繊維補強材を含む熱可塑性樹脂からなる。ドアインナーパネル3の上半部分には、車幅方向に延びる矩形状の窓用開口5が形成されている。
ドアインナーパネル3の下半部分で窓用開口5の下方に位置する部分には、車体前方に向かって凹む凹部6が一体に形成されている。また、ドアインナーパネル3の車幅方向における両側には、切欠部7がそれぞれ形成されている。これら切欠部7は、車両後部に取り付けられるコンビネーションランプ(不図示)に対応したものである。
ドアインナーパネル3の外縁に沿う部分には、外側立ち壁8がドアアウターパネル21側に立ち上がるように全周に亘って一体に突設されている。この外側立ち壁8の突出端には、接合用の外側フランジ9が外側方に張り出すように一体に設けられている。この外側フランジ9は、外側立ち壁8の全周に亘って形成されていて、ドアインナーパネル3の外周縁部9を構成している。
さらに、ドアインナーパネル3の窓用開口5周りには、内側立ち壁13がドアアウターパネル21側に立ち上がるように全周に亘って一体に突設されている。この内側立ち壁13の突出端には、接合用の内側フランジ14が窓用開口5の内方に張り出すように一体に設けられている。この内側フランジ14は、内側立ち壁13の全周に亘って形成されていて、ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14を構成している。
ドアアウターパネル21は、例えば、タルク入りポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂からなる。ドアアウターパネル21の上側部分には、車幅方向に延び、且つ車両後方に向かって突出する中空構造のリヤスポイラー部23が一体に設けられている。ドアアウターパネル21の下側部分でドアインナーパネル3の凹部6に対応する箇所には、ナンバープレートを取り付けるためのナンバープレート取付部31が車両前方に向かって凹んだ状態に一体に形成されている。また、ドアアウターパネル21の車幅方向における両側にも、ドアインナーパネル3の切欠部7と同一形状の切欠部34がドアインナーパネル3の切欠部7に対応する位置にそれぞれ形成されている。
このドアアウターパネル21にも、ドアインナーパネル3の窓用開口5に対応する位置に窓用開口35が形成されている。すなわち、窓用開口5,35は、ドアインナーパネル3及びドアアウターパネル21の互いに対応する位置にそれぞれ形成されて、バックドア1を車内外方向に貫通している。これらドアインナーパネル3の窓用開口5とドアアウターパネル21の窓用開口35とは、同じ寸法及びサイズであり、その周縁同士が互いに一致している。
そして、バックドア1は、ドアインナーパネル3及びアウターパネル21の窓用開口5,35を塞ぐ樹脂製のウインドパネル41が窓部材として当該バックドア1に固定された窓部材固定構造を有する。ウインドパネル41は、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS;AcrylonitrileButadiene Styrene)樹脂、ポリフェニルエーテルなどの透明性を有する樹脂からなる。なお、このウインドパネル41には、曇り止め用熱線及びアンテナ線(共に不図示)が形成されているが、隠蔽層は設けられていない。
図1のIII−III線における断面構造を図3に示す。また、この図3に対応する箇所の断面斜視図を図4に示す。なお、図4では、ドアインナーパネル3とドアアウターパネル21とを接着する接着材51,53,55の図示を省略している。ウインドパネル41は、図2〜図4に示すように、当該ウインドパネル41の主体をなす本体部43と、この本体部43の外周に位置し当該ウインドパネル41の外縁を構成する外周縁部45とを備えている。
ウインドパネル41の本体部43は、ウインドパネル41の外周縁部45に対し車外側に離間している。そして、ウインドパネル41の本体部43における外周端とウインドパネル41の外周縁部45における内周端とは、車内外方向に延びる段部47により一体に連結されている。すなわち、ウインドパネル41は、本体部43と段部47と外周縁部45とが断面クランク状に連結された形状を有している。このようなウインドパネル41では、段部47が補強リブとして作用するので、ウインドパネル41の曲げや捩りに対する剛性が高められる。
ウインドパネル41の本体部43は、ドアインナーパネル3及びドアアウターパネル21の窓用開口5,35の開口サイズと同一か又はそれよりも若干小さいサイズに形成されている。このウインドパネル41の本体部43は、ドアアウターパネル21の窓用開口5に内嵌し、両パネル3,21の窓用開口5,35を略全体に亘って塞いでいる。
ウインドパネル41の本体部43における車外側の表面は、図3に示すように、ドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aにおける車外側の表面と同一平面上に位置している。これにより、車両走行時において段差などに起因する空気流の乱れが小さくなるので、空気抵抗を低減できると共に風切り音の発生が抑制される。また、ウインドパネル41の本体部43とドアアウターパネル21との間の段差が目立たなくなるので、ウインドパネル41が固定されたバックドア1の見栄えも良くなる。なお、ここで言う「同一平面上」とは、完全に同一の平面上だけを意味するのではなく、僅かに高低差がある状態も含む。
ウインドパネル41の段部47は、ドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21a(具体的には後述する第1の突条部38)と近接又は当接した状態(図3では近接した状態を示す)で対峙している。このように補強リブとして作用する段部47がドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aの近傍に配置されていることで、ウインドパネル41自体だけでなくウインドパネル41が固定されたバックドア1における窓用開口5,35周縁の剛性までも高められる。
ウインドパネル41の外周縁部45は、平坦な枠状に形成されている。このウインドパネル41の外周縁部45は、ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14とドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aとの間に位置し、これらドアインナーパネル3及びドアアウターパネル21の各窓用開口周縁部14,21aに周知の接着材51,53で接着されている。これによって、本実施形態では、ウインドパネル41に隠蔽層を設けずにバックドア1とウインドパネル41とを接着する接着材51,53を隠蔽し、ウインドパネル41の製造コストを低減しつつウインドパネル41が固定されたバックドア1の見栄えを向上させることができる。
つまり、ウインドパネル41の外周縁部45がドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14とドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aとの間に位置していることで、ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14とウインドパネル41の外周縁部45との接着材51による接着部分はドアインナーパネル3によって、ドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aとウインドパネル41の外周縁部45との接着材53による接着部分はドアアウターパネル21によってそれぞれ隠蔽される。これにより、ウインドパネル41に隠蔽層を設けなくても、ドアインナーパネル3及びドアアウターパネル21とウインドパネル41とをそれぞれ接着する接着材51,53を隠蔽することができる。これにより、これらドアインナーパネル3及びドアアウターパネル21とウインドパネル41とを接着する接着材51,53は車内側からも車外側からも視認されることがない。したがって、隠蔽層を形成しなくて済む分だけウインドパネル41の製造コストを低減でき、その上、接着材51,53が視認されないのでバックドア1の見栄えを向上させることができる。
ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14には、ドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21a側に向かって突出する2つの内側突条部15,16が形成されている。ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14の張出し端側に位置する部分は、ドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21a側に向かって曲げ起こされた形状を有する。第1の内側突条部15は、このドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14における曲げ起こされた部分で構成されている。他方、第2の内側突条部16は、第1の内側突条部15と間隔をあけてドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14を構成する内側フランジ14の基端側に設けられている。これら2つの内側突条部15,16は、ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14に沿って互いに平行に延び、このドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14の全周に亘って環状に形成されている。
ドアインナーパネル3の各内側突条部15,16の突出端は、ウインドパネル41の外周縁部45における車内側の表面に当接している。また、これら2つの内側突条部15,16は、内側フランジ14に環状の内側溝部17を構成している。この内側溝部17には接着材51が配置されていて、この接着材51によりドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14とウインドパネル41の外周縁部45とが接着されている。
また、ドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aにも、ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14側に突出する2つの突条部38,39が形成されている。ドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aの窓用開口35側に位置する部分は、ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14側に向かって曲げ起こされた形状を有する。第1の突条部38は、このドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aにおける曲げ起こされた部分で構成され、ウインドパネル41の段部47と近接又は当接した状態で対峙している。他方、第2の突条部39は、第1の突条部38と間隔をあけてドアインナーパネル3における内側フランジ14の基端側に対応する位置に設けられている。これら2つの突条部38,39は、ドアインナーパネル3の内側突条部15,16に一対一で対応し、ドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aに沿って互いに平行に延び、このドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aの全周に亘って環状に形成されている。
ドアアウターパネル21の各突条部38,39の突出端は、ウインドパネル41の外周縁部45における車外側の表面に当接している。また、これら2つの突条部38,39は、ドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aに環状の溝部40を構成している。この溝部40にも周知の接着材53が配置されていて、この接着材53によりドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aとウインドパネル41の外周縁部45とが接着されている。
ドアインナーパネル3側の接着材51及びドアアウターパネル21側の接着材53は、ペースト状の接着剤を塗布した後に固化させることで設けられる。また、これら接着材51,53には、両面が接着面になっているテープ状の接着材(両面テープ)を採用することも可能である。このことは、後述するドアインナーパネル3及びドアアウターパネル21の外周縁部9,21b同士を接着する接着材55についても同じである。
上記の如く、ウインドパネル41の外周縁部45は、ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14に形成された2つの内側突条部15,16とドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aに形成された2つの突条部38,39との間に挟み込んだ状態で、これらドアインナーパネル3及びドアアウターパネル21の各窓用開口周縁部14,21aに接着材51,53で接着されている。これにより、ウインドパネル41をバックドア1に強固に固定することができ、且つバックドア1における窓用開口5,35周縁の剛性を高めることができる。しかも、ウインドパネル41を挟み込む各内側突条部15,16及び各突条部38,39は補強リブとして作用するので、ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14の剛性及びドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aの剛性がそれぞれ高められ、これによってバックドア1における窓用開口5,35周縁の剛性をより一層高めることができる。
また、ドアインナーパネル3の外周縁部9には、ドアアウターパネル21の外周縁部21b側に向かって突出する2つの外側突条部10,11が形成されている。ドアインナーパネル3の外周縁部9の張り出し端側に位置する部分は、ドアアウターパネル21の外周縁部21b側に向かって曲げ起こされた形状を有する。第1の外側突条部10は、このドアインナーパネル3の外周縁部9における曲げ起こされた部分で構成されている。他方、第2の外側突条部11は、第1の外側突条部10と間隔をあけてドアインナーパネル3の外周縁部9を構成する外側フランジ9の基端側に設けられている。これら2つの外側突条部10,11は、ドアインナーパネル3の外周縁部9に沿って互いに平行に延び、このドアインナーパネル3の外周縁部9の全周に亘って環状に形成されている。
ドアインナーパネル3の各外側突条部10,11の突出端は、ドアアウターパネル21の外周縁部21bにおける車内側の表面に当接している。また、これら2つの外側突条部10,11は、ドアインナーパネル3の外周縁部9に環状の外側溝部12を構成している。この外側溝部12にも接着材55が配置されていて、この接着材55によりドアインナーパネル3の外周縁部9とドアアウターパネル21の外周縁部21bとが接着されている。
このように、ドアインナーパネル3とドアアウターパネル21とは、窓用開口周縁部14,21a同士がウインドパネル41の外周縁部45を介して接合されると共に、外周縁部9,21b同士が直接に接合されていることで、ドアインナーパネル3の外側立ち壁8と内側立ち壁13との間に形成される空間sを密閉している。この密閉空間sには、図示しないが、上記曇り止め用熱線やアンテナなどへの給電用のハーネス及びコネクタが収容される。
−実施形態の効果−
この実施形態によると、ウインドパネル41の外周縁部45が、ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14とドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aとの間に位置し、これらドアインナーパネル3及びドアアウターパネル21の各窓用開口周縁部14,21aとに接着材51,53で接着されているので、ウインドパネル41に隠蔽層を設けずにバックドア1とウインドパネル41とを接着する接着材51,53を隠蔽し、ウインドパネル41の製造コストを低減しつつウインドパネル41が固定されたバックドア1の見栄えを向上させることができる。
さらに、この実施形態によると、ウインドパネル41の外周縁部45を、ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14に形成された内側突条部15,16とドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aに形成された突条部38,39との間に挟み込んだ状態で、これら両パネルの窓用開口周縁部14,21aにそれぞれ接着しているので、ウインドパネル41をバックドア1に強固に固定することができる。しかも、ウインドパネル41の外周縁部45の両側に位置する内側突条部15,16及び突条部38,39の突出高さ分だけバックドア1における窓用開口5,35周縁の厚さが増す上に、ウインドパネル41を挟み込む各内側突条部15,16及び各突条部38,39が補強リブとして作用するので、バックドア1における窓用開口5,35周縁の剛性を高めることができる。
−実施形態の変形例−
この変形例のバックドア1について、図5を参照しながら説明する。図5は、本変形例のバックドア1における図3に対応する箇所を示す断面図である。上記実施形態では、ウインドパネル41の外周縁部45が平坦であるとしたが、本変形例のウインドパネル41の外周縁部45は、凹凸を呈する形状に形成されている。
具体的には、本変形例のウインドパネル41の外周縁部45は、図5に示すように、当該ウインドパネル41の内側に位置する第1縁部61と、この第1縁部61に対して当該ウインドパネル41の外側に位置する第2縁部63と、この第2縁部63に対して当該ウインドパネル41の外側に位置する第3縁部65とを備えている。
第1縁部61の内周端は、ウインドパネル41の段部47に一体に連結されている。第2縁部63は、第1縁部61に対し車外側に離間している。これら第1縁部61の外周端と第2縁部63の内周端とは、車内外方向に延びる第1の段部62により一体に連結されている。
第3縁部65は、第2縁部63に対し車内側に離間し、ウインドパネル41の厚さ方向において第1縁部61と同じ位置に形成されている。そして、これら第2縁部63の外周端と第3縁部65の内周端とは、車内外方向に延びる第2の段部64により一体に連結されている。
このように、ウインドパネル41の外周縁部45は、断面凹形をなすように折り曲げられた形状を有している。そして、ウインドパネル41の外周縁部45には、第2縁部63、第1の段部62及び第2の段部64によって凹条部67が構成されている。
この凹条部67の開口が臨むドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14には、2つの内側突条部15,16の中間に、ドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21a側に向かって突出する内側突条部18がもう1つ設けられている。この中間の内側突条部18も、他の2つの内側突条部15,16と同じくドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14の全周に亘って環状に形成されている。
上記中間の内側突条部18は、その両側に位置する2つの内側突条部15,16よりも突出高さが若干高くなっている。そして、これら3つの内側突条部15,16,18のうち両側の2つの内側突条部15,16の間に配置された接着材51は、中間の内側突条部18を覆った状態で、ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14とウインドパネル41の凹条部67とを接着している。
また、ウインドパネル41の第2縁部63の両端部分には、車外側、つまりドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21a側に向かって突出する突条部71,73がそれぞれ形成されている。これら2つの突条部71,73は、ウインドパネル41の第2縁部63に沿って延び、この第2縁部63の全周に亘って環状に形成されている。各突条部71,73の突出端は、ドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aにおける車内側の表面に当接している。
また、これら2つの突条部71,73は、第2縁部63に環状の溝部75を構成している。この溝部75には接着材53が配置されていて、この接着材53によりドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aとウインドパネル41の第2縁部63とが接着されている。
−変形例の効果−
この変形例によると、ウインドパネル41の第2縁部63に形成された2つの突条部71,73が補強リブとして作用すると共に、第1縁部61及び第2縁部63を連結する第1の段部62と第2縁部63及び第3縁部65を連結する第2の段部64もそれぞれ補強リブとして作用するので、ウインドパネル41における外周縁部45の曲げや捩りに対する剛性を高めることができ、ひいてはウインドパネル41が固定されたバックドア1における窓用開口5,35周縁の剛性をよりいっそう高めることができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、ドアインナーパネル3及びドアアウターパネル21が共に一枚物の樹脂製パネルであるとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、ドアインナーパネル3及びドアアウターパネル21は、上下方向の略中央部で2分割された上側部と下側部とで構成されていてもよい。
上記実施形態では、ドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14に2つの内側突条部15,16が、同パネル3の外周縁部9に2つの外側突条部10,11がそれぞれ全周に亘って環状に形成され、ドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21aに2つの突条部38,39が全周に亘って環状に形成されているとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、内側突条部15,16、外側突条部10,11及び突条部38,39のうちいずれか又はこれら全部が、切れ目を有していてもよく、複数に分割されてもよい。また、これら内側突条部15,16、外側突条部10,11及び突条部38,39は、必要に応じて3つ以上設けられていても構わない。また、これら内側突条部15,16、外側突条部10,11及び突条部38,39は、1つだけ設けられていてもよく、必ずしも設けられていなくてもよい。
上記実施形態では、本体部43と段部47と外周縁部45とが断面クランク状に連結された形状を有する樹脂製のウインドパネル41が窓部材としてバックドア1に固定された形態を例に挙げたが、本発明はこれに限らない。例えば、ウインドパネル41は、平坦な平板状に形成されていてもよい。また、バックドア1には、樹脂製のウインドパネル41に代え、無機ガラス製のウインドガラスが窓部材として固定されていても構わない。
上記変形例では、ウインドパネル41の外周縁部45にドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14側に開口する凹条部67が設けられているとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、ウインドパネル41の外周縁部45に形成された凹条部67は、ドアアウターパネル21の窓用開口周縁部21a側に開口していてもよい。すなわち、ウインドパネル41の外周縁部45は、第2縁部63が第1縁部61及び第3縁部65に対し車内側に離間し、第1縁部61の外周端と第2縁部63の内周端とが第1の段部62により、第2縁部63の外周端と第3縁部65の内周端とが第2の段部64によりそれぞれ連結された構造であってもよい。
さらに、上記変形例では、ウインドパネル41の第2縁部63に車外側に向かって突出する2つの突条部71,73が全周に亘って形成されているとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、これら2つの突条部71,73は、車内側、つまりドアインナーパネル3の窓用開口周縁部14側に向かって突出していてもよい。また、これら2つの突条部71,73のうち少なくとも一方が、切れ目を有していてもよく、複数に分割されていてもよい。また、これら突条部71,73は、1つだけ形成されていていてもよく、3つ以上形成されていても構わない。
また、上記実施形態及びその変形例は、バックドア1を例に挙げて本発明に係る車両の窓部材固定構造について説明したが、本発明の適用対象とする車両構造体はバックドア1に限らない。例えば、本発明に係る車両の窓部材固定構造は、車両に樹脂製のフロントウインドパネル又は無機ガラス製のフロントガラスを固定する構造にも、オープンカーの開閉式屋根(リトラクタブルルーフ)に窓部材を固定する構造にも適用することが可能である。
以上説明したように、本発明は、車両構造体を構成する樹脂製インナーパネル及び樹脂製アウターパネルに固定されてこれら両パネルに形成された窓用開口を塞ぐ窓部材の固定構造について有用であり、特に、窓部材に隠蔽層を設けずに車両構造体と窓部材とを接着する接着材を隠蔽し、窓部材の製造コストを低減しつつ窓部材が固定された車両構造体の見栄えを向上させることが要望される車両の窓部材固定構造に適している。
1 バックドア(車両構造体)
3 ドアインナーパネル
5 ドアインナーパネルの窓用開口
14 ドアインナーパネルの窓用開口周縁部
15,16 内側突条部(突条部)
21 ドアアウターパネル
21a ドアアウターパネルの窓用開口周縁部
35 ドアアウターパネルの窓用開口
38,39 突条部
41 ウインドパネル(窓部材)
43 ウインドパネルの本体部
45 ウインドパネルの外周縁部
47 ウインドパネルの段部
51,53 接着材
61 第1縁部
62 第1の段部
63 第2縁部
71,73 突条部

Claims (6)

  1. 互いに対応する位置に窓用開口(5, 35)がそれぞれ形成された樹脂製インナーパネル(3)及び樹脂製アウターパネル(21)を備える車両構造体(1)に、前記インナーパネル(3)及びアウターパネル(21)の窓用開口(5, 35)を塞ぐ板状の窓部材(41)が固定された車両の窓部材固定構造であって、
    前記窓部材(41)の外周縁部(45)は、前記インナーパネル(3)の窓用開口周縁部(14)と前記アウターパネル(21)の窓用開口周縁部(21a)との間に位置し、これらインナーパネル(3)及びアウターパネル(21)の各窓用開口周縁部(5, 21a)に接着材(51, 53)で接着されている
    ことを特徴とする車両の窓部材固定構造。
  2. 請求項1に記載された車両の窓部材固定構造において、
    前記窓部材(41)は、当該窓部材(41)の外周縁部(45)に対し車外側に離間して当該窓部材(41)の主体をなす本体部(43)を備え、
    前記窓部材(41)の本体部(43)と前記窓部材(41)の外周縁部(45)とは、車内外方向に延びる段部(47)により一体に連結され、
    前記窓部材(41)の段部(47)は、前記アウターパネル(21)の窓用開口周縁部(21a)と近接又は当接した状態で対峙している
    ことを特徴とする車両の窓部材固定構造。
  3. 請求項2に記載された車両の窓部材固定構造において、
    前記窓部材(41)の本体部(43)における車外側の表面は、前記アウターパネル(21)の窓用開口周縁部(21a)における車外側の表面と同一平面上に位置する
    ことを特徴とする車両の窓部材固定構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載された車両の窓部材固定構造において、
    前記インナーパネル(3)及びアウターパネル(21)のうち少なくとも一方のパネル(3, 21)の窓用開口周縁部(14, 21a)には、他方のパネル(3, 21)の窓用開口周縁部(14, 21a)に向かって突出する突条部(15, 16, 38, 39)が当該窓用開口周縁部(14, 21a)に沿って形成されている
    ことを特徴とする車両の窓部材固定構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載された車両の窓部材固定構造において、
    前記窓部材(41)の外周縁部(45)には、車内外方向に突出する突条部(71, 73)が当該窓部材(41)の外周縁部(45)に沿って形成されている
    ことを特徴とする車両の窓部材固定構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載された車両の窓部材固定構造において、
    前記窓部材(41)の外周縁部(45)は、当該窓部材(41)の内側に位置する第1縁部(61)と、該第1縁部(61)に対して当該窓部材(41)の外側に位置すると共に前記第1縁部(61)と車内外方向に離間した第2縁部(63)とを備え、前記第1縁部(61)と前記第2縁部(63)とは、車内外方向に延びる段部(62)により一体に連結されている
    ことを特徴とする車両の窓部材固定構造。
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