JP6415339B2 - 粘接着組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、粘接着組成物に関する。特に、各種製品の表面を保護するために製品の表面に貼合される表面保護シートの粘接着層に用いられるのに適した粘接着組成物に関する。
一旦接着させ、後に剥離させるという場面で使用される粘接着剤としては、種々知られている。例えば、特許文献1には、自動車の塗装の際に用いられるマスキングテープ用の接着剤組成物として、ポリイソブチレン、天然ゴムおよびスチレン/ブタジエン共重合体を含有する組成物が提案されている。
また、特許文献2には、フィルムを貼り付けることによって表面を保護する表面保護フィルムとして、ポリオレフィン層にスチレン/共役ジエンランダム共重合体の水素添加物を含む粘接着剤が記載されている。
また、特許文献3には、ポリイソブチレン、ブチルゴム、共役ジエンの二重結合のうち95mol%以上水素添加したスチレン系ブロック共重合体から選ばれる1種のポリマーと高極性の添加剤を含むゴム系粘着剤が開示されている。
また、特許文献4には、スチレン/イソブチレンブロック共重合体を含有する粘着剤が開示されている。
特開平05−86341号公報 特開平07−241960号公報 特開平09−3420号公報 国際公開第2006/075745号パンフレット
しかしながら、上述した特許文献1〜4に開示されている粘接着組成物は、粘接着組成物に要求される諸特性が不十分であり、なお一層の改善が要望されていた。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、組成物の製造時には高い耐熱老化性を有し、接着時には室温と低温において高い接着力、高い保持力を有し、接着経時後には高い剥離性、低い接着昂進、高い耐変色性を有し、さらに剥離時には糊残りの少ない粘接着組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の部分水添ブロック共重合体および特定の重合体を特定比率で含有する粘接着組成物を用いれば、上述した従来技術の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]下記成分(a)を30質量%以上90%質量%以下、および下記成分(b)を10質量%以上70質量%以下含む粘接着組成物であって、
成分(a)ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位を有する部分水添ブロック共重合体
成分(b)ポリイソブチレン、ブチルゴムおよびポリブテンから選ばれる重合体
前記成分(a)のビニル芳香族単量体単位の含有量が10質量%以上20質量%以下であり、
前記成分(a)中の共役ジエン単量体単位に基づく二重結合の水素添加率が、15mol%以上80mol%未満である、
粘接着組成物。
[2]前記成分(a)が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAを含み、
該ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAの含有量が、前記成分(a)100質量%に対して、10質量%以上20質量%以下である、[1]に記載の粘接着組成物。
[3]前記成分(a)が、成分(a−1)部分水添ブロック共重合体と成分(a−2)部分水添ブロック共重合体を含み、
成分(a−1)がビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAを2つ以上と、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBを1つ以上含有し、
成分(a−2)がビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAを1つと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBを1つ以上含有し、
前記成分(a)中の成分(a−2)の含有量が80質量%以下である、
[1]あるいは[2]に記載の粘接着組成物。
[4]前記成分(b)がポリブテンを含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の粘接着組成物。
[5]前記成分(b)が、さらに、ポリイソブチレン及び/又はブチルゴムを含有する、[4]に記載の粘接着組成物。
[6]前記成分(b)が数平均分子量が200〜5,000であるポリブテンを含有する、[4]あるいは[5]に記載の粘接着組成物。
[7]更に、水素添加前の共役ジエン単量体単位に基づく全二重結合の97mol%以上が水素添加されているスチレン系ブロック共重合体を含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の粘接着組成物。
[8]更に、酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤を含有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の粘接着組成物。
[9]少なくとも基材の片面に[1]〜[8]のいずれかに記載の粘接着組成物の層を有する粘接着シート。
本発明によれば、組成物製造時には高い耐熱老化性を有し、接着時には室温と低温において高い接着力、高い保持力を有し、接着経時後には高い剥離性、低い接着昂進、高い耐変色性を有し、剥離時には糊残りの少ない粘接着組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔粘接着組成物〕
本実施形態の粘接着組成物は、
下記成分(a)を30質量%以上90%質量%以下、および、下記成分(b)を10質量%以上70質量%以下含む組成物であって、
成分(a)ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位を有する部分水添ブロック共重合体
成分(b)ポリイソブチレン、ブチルゴムおよびポリブテンから選ばれる重合体 前記成分(a)のビニル芳香族単量体単位の含有量が10質量%以上20質量%以下であり、
前記成分(a)中の共役ジエン単量体単位に基づく二重結合量の水素添加率が、15mol%以上80mol%未満である。
〔成分(a):部分水添ブロック共重合体(a)〕
ここで、重合体を構成する構成単位のことを「〜単量体単位」といい、重合体の材料として記載する場合は「単位」を省略し、単に「〜単量体」と記載する。
また、本明細書において、「主体とする」とは、重合体ブロック中、所定の単量体単位の含有量が、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、よりさらに好ましくは95質量%以上であることをいう。
(部分水添ブロック共重合体(a)の構造)
本実施形態に用いる成分(a)は、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位を有する部分水添ブロック共重合体(a)であり、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAを含むことが好ましい。 さらに、本実施形態で用いる部分水添ブロック共重合体(a)は、粘接着組成物の高い耐熱老化性、高い保持力、接着経時後の高い剥離性、低い接着昂進、少ない糊残りの点で、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAを2つ以上と、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBを1つ以上含有する部分水添ブロック共重合体(a−1)を含有し、且つ、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAを1つと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBを1つ以上含有する部分水添ブロック共重合体(a−2)を含有することが好ましい。
このとき、部分水添ブロック共重合体(a−1)と部分水添ブロック共重合体(a−2)の重量平均分子量は、(a−1)の重量平均分子量>(a−2)の重量平均分子量であることが好ましい。
部分水添ブロック共重合体(a)の重量平均分子量は5万以上、40万以下が好ましく、10万以上、35万以内がより好ましく、15万以上30万以内が最も好ましい。
部分水添ブロック共重合体(a−1)の重量平均分子量は10万以上45万以下が好ましく、15万以上35万以下がより好ましく、18万以上30万以下が最も好ましい。
部分水添ブロック共重合体(a−2)の重量平均分子量は5万以上23万以下が好ましく、7万以上18万以下がより好ましく、9万以上15万以下が最も好ましい。
重量平均分子量は後述する実施例記載の方法で測定することができる。
部分水添ブロック共重合体(a−1)の水素添加前の構造としては、特に限定されないが、例えば、下記の式(i)〜(vi)で表される構造が挙げられる。
(A−B)n+1 ・・・(i)
B−(A−B)n+1 ・・・(ii)
A−(B−A)n ・・・(iii)
A−(B−A)n−X ・・・(iv)
[(A−B)km−X ・・・(v)
[(A−B)k−A]m−X ・・・(vi)
上記式(i)〜(vi)中、Aは、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックを表し、Bは、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックを表し、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表し、mは2〜6の整数であり、n及びkはそれぞれ独立して1〜4の整数である。(i)〜(vi)のm、n及びkの値は同じであっても異なっていてもよい。
部分水添ブロック共重合体(a−1)中にブロックA及びBが複数存在している場合には、各々の分子量や組成等の構造は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
なお、各ブロックの境界や最端部は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えば、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位との共重合体ブロックが存在してもよい。
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックA中のビニル芳香族単量体単位や、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックB中にビニル芳香族単量体単位を含有する場合には、ビニル芳香族単量体単位の分布は、ビニル芳香族単量体単位の含有量が60質量%以上であれば特に限定されず、均一に分布していても、テーパー状、階段状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。また、重合体ブロックB中に、結晶部が存在していてもよい。ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックA中には、ビニル芳香族単量体単位の含有量の異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
上記式(iv)〜(vi)中、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表す。ブロックの分子量制御の点で、Xはカップリングの残基であることが好ましい。
カップリング剤は、特に限定されないが、例えば、四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化合物、ポリハロゲン化炭化水素化合物、カルボン酸エステル化合物、ポリビニル化合物、アルコキシシラン化合物、ハロゲン化シラン化合物、エステル系化合物等が挙げられる。部分水添ブロック共重合体(a−1)や(a−2)は、Xがカップリング剤の残基であるカップリング体と、Xを有しないブロック共重合体との混合物であってもよい。
粘接着組成物の製造時のブロック共重合体の耐熱老化性の点で、Xが、アルコキシシラン化合物やエポキシ化合物の残基であることが好ましく、エポキシ化合物の残基であることがより好ましい。
アルコキシシラン化合物やエポキシ化合物中のアルコキシシリル基やエポキシ基の数は、粘接着組成物の製造時の高い耐熱老化性、表面保護シート製造性、低い接着昂進の点で、1分子当たり2〜5個が好ましく、2〜4個がより好ましく、3〜4個がさらに好ましく、4個が特に好ましい。
各重合体ブロックの端部には異なる種類の短いブロックが存在してもよいが、その大きさは隣接する重合体ブロックの分子量の40質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に用いる部分水添ブロック共重合体(a−2)の部分水添ブロック共重合体(a)の総質量における割合は、粘接着組成物の高い保持力、接着経時後の高い剥離性、低い接着昂進、少ない糊残りの点で、80質量%以下が好ましい。60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
また、部分水添ブロック共重合体(a−2)の部分水添ブロック共重合体(a)の総質量における割合は、粘接着組成物の製造時の高い耐熱老化性の点で、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上が最も好ましい。
同様に本実施形態に用いる部分水添ブロック共重合体(a−1)の部分水添ブロック共重合体(a)の総質量における割合は、粘接着組成物の高い保持力、接着経時後の高い剥離性、低い接着昂進、少ない糊残りの点で、20質量%以上が好ましい。40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
また、部分水添ブロック共重合体(a−1)の部分水添ブロック共重合体(a)の総質量における割合は、粘接着組成物の製造時の高い耐熱老化性の点で、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下が最も好ましい。
部分水添ブロック共重合体(a)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、粘接着組成物の高い保持力、接着経時後の高い剥離性、低い接着昂進、少ない糊残りの点で、10質量%以上が必須である。11質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、13質量%以上がさらに好ましい。
また、部分水添ブロック共重合体(a)のビニル芳香族単量体単位の含有量は、粘接着組成物の室温と低温の高い接着力、高い耐変色性の点で、20質量%以下が必須である。18質量%以下が好ましく、17質量%以下がより好ましく、16質量%以下がさらに好ましく、15質量%以下が最も好ましい。
部分水添ブロック共重合体(a)中のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAの含有量は、粘接着組成物の高い保持力、接着経時後の高い剥離性、低い接着昂進、少ない糊残りの点で、10質量%以上であることが好ましい。11質量%以上がより好ましく、12質量%以上がさらに好ましく、13質量%以上が特に好ましい。
また、部分水添ブロック共重合体(a)のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAの含有量は、粘接着組成物の室温と低温の高い接着力、高い耐変色性の点で、20質量%以下であることが好ましい。18質量%以下がより好ましく、17質量%以下がさらに好ましく、16質量%以下が特に好ましく、15質量%以下が最も好ましい。
なお、部分水添ブロック共重合体(a)が、部分水添ブロック共重合体(a−1)及び部分水添ブロック共重合体(a−2)の成分を含む、複数の成分からなるときは、全成分の平均値をもって部分水添ブロック共重合体(a)中のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAの含有量とする。
部分水添ブロック共重合体(a)中のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAの含有量は後述する実施例記載の方法で測定することができる。
本実施形態で用いる部分水添ブロック共重合体(a)中の共役ジエン単量体単位に含まれる二重結合の水素添加率は、粘接着組成物の製造時の高い耐熱老化性、高い保持力、接着経時後の高い剥離性、低い接着昂進、少ない糊残り、高い耐変色性の点で、水素添加前の共役ジエン単量体単位に基づく全二重結合量に対して、15mol%以上が必須である。20mol%以上が好ましく、25mol%以上がより好ましく、30mol%以上がさらに好ましく、35mol%以上が最も好ましい。
また、部分水添ブロック共重合体(a)中の共役ジエン単量体単位に含まれる二重結合の水素添加率は、粘接着組成物の室温と低温の高い接着力、低い接着昂進、経済性の点で、水素添加前の共役ジエン単量体単位に基づく全二重結合量に対して、80mol%未満が必須である。74mol%以下が好ましく、65mol%以下がより好ましく、60mol%以下がさらに好ましく、58mol%以下が最も好ましい。
なお、部分水添ブロック共重合体(a)が部分水添ブロック共重合体(a−1)及び部分水添ブロック共重合体(a−2)の成分を含む、複数の成分からなるときは、全成分の平均値をもって部分水添ブロック共重合体(a)中の共役ジエン単量体単位に含まれる二重結合の水素添加率とする。
また、本明細書においては、共役ジエン単量体単位は水素添加した後も、共役ジエン単量体単位と称する。
水素添加率は後述する実施例記載の方法で測定することができる。
部分水添ブロック共重合体(a)の水素添加前の共役ジエン単量体単位中のビニル含有量は、高い接着性の点で、15mol%以上が好ましい。25mol%以上がより好ましく、35mol%以上がさらに好ましい。
また、部分水添ブロック共重合体(a)の水素添加前の共役ジエン単量体単位中のビニル含有量は、粘接着組成物の製造時の耐熱老化性、少ない糊残りの点で、70mol%以下が好ましい。60mol%以下がより好ましく、50mol%以下がさらに好ましく、45mol%以下が最も好ましい。
ここで、「ビニル含有量」とは、水素添加前のブロック共重合体に1,2−結合、3,4−結合、及び1,4−結合の結合様式で組み込まれている共役ジエン単量体単位の総mol量に対し、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれている共役ジエン単量体単位の割合とする。
なお、ビニル含有量は、NMRにより測定でき、具体的には後述する実施例に記載の方法により測定できる。共役ジエン単量体単位を主体とするブロック中のビニル含有量の分布は限定されない。
なお、部分水添ブロック共重合体(a)が部分水添ブロック共重合体(a−1)及び部分水添ブロック共重合体(a−2)の成分を含む、複数の成分からなるときは、全成分の平均値をもって部分水添ブロック共重合体(a)の水素添加前の共役ジエン単量体単位中のビニル含有量とする。
部分水添ブロック共重合体(a)のメルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)は、粘接着組成物の製造性、室温と低温での高い接着力、接着経時後の高い剥離性の点で、0.1g/10分以上が好ましい。0.2g/10分以上がより好ましく、0.3g/10分以上がさらに好ましく、0.4g/10分以上が最も好ましい。また、部分水添ブロック共重合体(a)のメルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)は、粘接着組成物の低い接着昂進、少ない糊残り、高い耐変色性の点で、30g/10分以下が好ましい。15g/10分以下がより好ましく、8g/10分以下がさらに好ましく、5g/10分以下が最も好ましい。
部分水添ブロック共重合体(a)は、粘接着組成物の高いタック性、他の組成物との高い相溶性の点で、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる少なくとも一つの官能基を有しても良い。この中でもN基を含有する官能基がより好ましい。さらに、部分水添ブロック共重合体(a)分子中にN基を2mol以上含有することが好ましく、O基とN基を共に含有することがさらに好ましい。
〔部分水添ブロック共重合体(a)の製造方法〕
本実施形態で用いる部分水添ブロック共重合体(a)は、例えば、炭化水素溶媒中、リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体を重合させて重合体を得る重合工程、得られた重合体の共役ジエン単量体単位中の二重結合に水素添加する水素添加工程、重合体を含む溶液の溶媒を脱溶剤する脱溶剤工程を順次行い、製造することができる。
共役ジエン単量体は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。共役ジエン単量体としては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。このなかでも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。また、粘接着組成物の保持力改良の観点から、1,3−ブタジエンがより好ましい。共役ジエン単量体は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ビニル芳香族単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられる。このなかでも、経済性の点から、スチレンが好ましい。ビニル芳香族単量体は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
部分水添ブロック共重合体(a)は、ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を含んでもよく、重合工程においては、ビニル芳香族単量体及び共役ジエン単量体の他、当該単量体と共重合可能な他の単量体を用いることができる。
部分水添ブロック共重合体(a)の製造方法における、重合工程で実施する重合方法としては、特に限定されず、公知の方法を適用できる。公知の方法としては、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。
(水素添加工程)
水素添加工程は、重合工程で得られたブロック共重合体の共役ジエン単量体単位中の二重結合の一部に水素添加する工程である。水素添加反応に使用される触媒としては、特に限定されないが、例えば、Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒;Ni、Co、Fe、Cr等の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機Al等の還元剤とを用いるいわゆるチーグラー型触媒;Ru、Rh等の有機金属化合物等のいわゆる有機錯触媒、或いはチタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒が挙げられる。このなかでも、経済性、重合体の着色性あるいは接着力の観点で、チタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒系が好ましい。
水素添加方法としては、特に限定されないが、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報に記載された方法や、好ましくは特公昭63−4841号公報及び特公昭63−5401号公報に記載された方法が挙げられる。具体的には、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加して水添ブロック共重合体溶液を得ることができる。
水添反応は、特に限定するものではないが、高い水添活性の観点で、上述する重合体の活性末端を失活する工程後に行うことが好ましい。
水素添加工程において、ビニル芳香族単量体単位の共役結合が水素添加されてもよい。全ビニル芳香族単量体単位中の共役結合の水素添加率は、好ましくは30mol%以下であり、より好ましくは10mol%以下であり、さらに好ましくは3mol%以下である。また、全ビニル芳香族単量体中の共役結合の水素添加率の下限は、特に限定されないが、0mol%以上が好ましく、1mol%以上が好ましい。全ビニル芳香族単量体中の共役結合の水素添加率が上記範囲内であることにより、保持力や接着性がより向上する傾向にある。
部分水添ブロック共重合体(a)の耐熱老化性やゲル化の抑制の観点で、水添反応後に酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ラジカル補捉剤等のフェノール系酸化防止剤、過酸化物分解剤等のリン系酸化防止剤やイオウ系酸化防止剤が挙げられる。また、両性能を併せ持つ酸化防止剤を使用してもよい。これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。このなかでも、部分水添ブロック共重合体(a)の耐熱老化性やゲル化の抑制の観点で、フェノール系酸化防止剤を添加することが好ましい。
〔成分(b):ポリイソブチレン、ブチルゴムおよびポリブテン〕
本実施形態の粘接着組成物は、ポリイソブチレン、ブチルゴムおよびポリブテンから選ばれる重合体を含む。
ここで、ポリイソブチレンとは、イソブテンの重合体である。ポリイソブチレンは、イソブテン以外のモノマーが共重合されていてもよいが、イソプレン及びノルマルブテンは重合成分に含まれない。ポリイソブチレンの製品には、例えばエクソンモービル・ケミカル社製のビスタネックスなどがあるが、ポリイソブチレンを含む製品であれば前記製品に限定されない。
ブチルゴムとは、イソブテン単独の重合、あるいはイソブテンとイソプレンとの共重合により得られる合成ゴムをいい、イソブテンとイソプレン以外のモノマー(例えば、カルボン酸基、水酸基等の架橋性官能基を持ったモノマー)をさらに共重合成分として含有していてもよく、また、塩素化したりされていても構わない。ブチルゴムの製品としては、例えばJSR(株)製のブチル065などがあるが、ブチルゴムを含む製品であれば前記製品に限定されない。
ポリブテンとは、ノルマルブテン単独の重合、あるいはノルマルブテンとイソブテン等の他のモノマーとの共重合体である。ポリブテンは、ノルマルブテンとイソブテン以外のモノマーが共重合されていてもよいが、イソプレンは重合成分に含まれない。
ポリイソブチレン、ブチルゴムおよびポリブテンから選ばれる重合体であれば、1種または2種以上を用いても良い。
接着経時後の高い剥離性の観点からは、本実施形態の粘接着組成物が成分(b)として、ポリブテンを含むことが好ましい。
低い接着昂進、少ない糊残りの観点からは、本実施形態の粘接着組成物が成分(b)としてポリイソブチレン及び/又はブチルゴムを含むことが好ましい。
粘接着組成物の室温と低温の高い接着力、接着経時後の高い剥離性、低い接着昂進、高い耐変色性の点で、数平均分子量が200〜5,000のポリブテンを粘接着組成物に含有することが好ましい。
数平均分子量が200〜5,000の低分子量ポリブテンの製品には、例えば出光興産(株)製の出光ポリブテン、新日本石油化学(株)日石ポリブテンHV100、HV300などがある。
組成物の製造時の高い耐熱老化性、室温と低温の高い接着力、高い保持力、接着経時後の高い剥離性、低い接着昂進、少ない糊残り、高い耐変色性の点で、粘接着組成物に、数平均分子量が5万〜80万のポリイソブチレン及び/又は数平均分子量が5万〜80万のブチルゴムを含有することが好ましい。
組成物の製造時の高い耐熱老化性、室温と低温の高い接着力、高い保持力、接着経時後の高い剥離性、低い接着昂進、少ない糊残り、高い耐変色性の点で、数平均分子量が200〜5,000のポリブテンと、数平均分子量が5万〜80万のポリイソブチレン及び/又は数平均分子量が5万〜80万のブチルゴムを併用することが好ましい。
〔粘接着組成物〕
室温と低温の高い接着力、高い保持力の点で、粘接着組成物中の部分水添ブロック共重合体(a)量は、30質量%以上90質量%以下が必須である。40質量%以上85質量%以下が好ましく、45質量%以上80質量%以下がより好ましい。粘接着組成物の製造時の高い耐熱老化性、室温と低温の高い接着力、高い保持力、接着経時後の高い剥離性、低い接着昂進、少ない糊残り、高い耐変色性の点で、粘接着用組成物中の重合体(b)量は、10質量%以上70質量%以下が必須である。20質量%以上60質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がより好ましい。
粘接着組成物は、成分(a)の部分水添ブロック共重合体(a)以外に、その他のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックを有するブロック共重合体を含んでもよい。その他のブロック共重合体としては、特に限定されないが、例えば、SIS、SBS、SEBS、SEPSが挙げられる。
また、粘接着組成物は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックを有する上記ブロック共重合体以外にも、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエン共重合ゴム、エチレンプロピレン共重合体等のオレフィン系エラストマー;クロロプレンゴム、アクリルゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体等の共重合体を含んでもよい。
これらの部分水添ブロック共重合体(a)以外に用いることのできる重合体は、粘接着組成物の製造時の高い耐熱老化性、少ない糊残り、高い耐変色性の点で、不飽和基量が少ない方が好ましい。
本実施形態の粘接着組成物には、さらに、高い耐熱老化性、高いタックの点で、水素添加前の共役ジエン単量体単位に基づく全二重結合の97mol%以上が水素添加されているスチレン系ブロック共重合体(以下、高水添率のスチレン系ブロック共重合体)を含有することが好ましい。
高水添率のスチレン系ブロック共重合体の好ましい例としては、SEBSやSEPSが挙げられる。高い接着性の点で、高水添率のスチレン系ブロック共重合体中のスチレン含有量は、高い保持力の点で10質量%以上、高い接着力や高いタックの点で30質量%以下が好ましい。11質量%以上25質量以下がより好ましく、12質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。
本実施形態の粘接着組成物中の高水添率のスチレン系ブロック共重合体の含有量は、高い耐熱老化性、高いタックの点で5質量%以上、高い接着力や接着昂進の抑制の点で40質量%以下であることが好ましい。8質量%以上、30質量%以下がより好ましく、9質量%以上、20質量%以下がより好ましい。
その他、本実施形態の粘接着組成物には、必要に応じて、粘着付与樹脂やオイルを併用しても良い。
本実施形態の粘接着組成物には、酸化劣化による粘着剤の粘着力の変化および凝集力の低下を防ぐため、酸化防止剤を添加することが好ましい。
酸化防止剤には、例えばフェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等などが挙げられる。
酸化防止剤を添加する場合、添加量は0.1質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.3質量%以上3.0質量%以下がより好ましい。
本実施形態の粘接着組成物には、紫外線を吸収して光酸化劣化を防止するため、紫外線吸収剤を添加することが好ましい。
紫外線吸収剤には、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、或いは微粒子酸化セリウム等の無機紫外線吸収剤等が挙げられる。
本実施形態の粘接着組成物には、紫外線安定剤を添加しても良い。
紫外線安定剤には、例えばヒンダードアミン(HALS)系紫外線安定剤、ベンゾエート系紫外線安定剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤を添加する場合、添加量は0.1質量%以上3.0質量%以下が好ましく、0.3質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
本実施形態の粘接着組成物には、静電気の発生を防止するため、帯電防止剤を添加しても良い。
帯電防止剤には、例えば界面活性剤、導電性樹脂、導電性フィラーなどが挙げられる。
本実施形態の粘接着組成物には、プラスチックの成型加工時および成型加工後の製品表面の滑り性を向上させるため、滑剤を用いても良い。
滑剤には、例えばステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
〔表面保護シートの製造方法〕
本実施形態の表面保護シートは、少なくとも基材の片面に、粘接着組成物を有する。基材の種類に限定はなく、例えば、熱可塑性樹脂からなるフィルムや、紙、金属、織布、不織布等の非熱可塑性の基材を用いることもできる。 基材の材料には剥離剤を添加しても良い。剥離剤としては、長鎖アルキル系剥離剤、シリコン系剥離剤などが挙げられる。また、紫外線による粘接着組成物の劣化を抑制するため、基材の紫外線透過率は低い方が好ましく、1%以下がより好ましい。
本実施形態における粘接着組成物の基材への塗工方法に限定はなく、公知の各種方法によって製造することができるが、例えば押出し塗工(熱溶融塗工)法または溶展塗工法が好ましい。
本発明の粘接着組成物を混練する場合、以下に限らないが1軸押出機、2軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練装置を使用できる。
押出し塗工法(熱溶融塗工)としては、以下に限らないが、単層或いは多層の基材樹脂と共押出しによる製法や、基材フィルム(シート)に押出し溶融塗工する製法等が挙げられる。例えば、当業者には周知であるフィードブロックダイまたはマルチマニホールドダイ等の多層ダイ付きの30mmφ押出機を用い、本実施形態の粘接着組成物を、予め溶融混練した後、上記基材樹脂と溶融共押出しすることによって同時に製膜して表面保護シートを製造することができる。
溶展塗工法としては、以下に限らないが、例えばトルエン、ヘキサンなどの溶剤に本実施形態の粘接着組成物を5〜45質量%、好ましくは10〜30質量%の濃度で溶解し、当業者に周知の塗工法で塗工し、乾燥させることによって表面保護シートを製造することができる。
本実施形態の粘接着組成物は、高い耐熱老化性、低い溶融粘度のため、経済性の高い押出し塗工法に適している。
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔ブロック共重合体およびブロック共重合体組成物の製造方法〕
(水添触媒)
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1Lを仕込み、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mmolを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200mmolを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ、水添触媒を得た。
(部分水添ブロック共重合体1)
ジャケット付き槽型反応器を用いて、所定量のシクロヘキサンを反応器に仕込んで、反応器内を温度60℃に調整した。その後、n−ブチルリチウムを、全モノマー(反応器に投入するブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の100質量部に対して、0.06質量部となるように反応器の底部から添加した。さらに、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンのシクロヘキサン溶液を、n−ブチルリチウム1molに対して0.4molとなるように添加した。その後、1ステップ目の重合反応として、スチレン7.5質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度15質量%)を約10分間で供給し、反応器内温度を60℃に調整した。供給停止後、15分間反応器内温度を70℃に調整しながら反応させた。
次に、2ステップ目の重合反応として、ブタジエン85質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度15質量%)を50分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、その間の反応器内温度を60℃になるように調整し、供給停止後、10分間反応器内温度を50℃に調整しながら反応させた。
次に、3ステップ目の重合反応として、スチレン7.5質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度15質量%)を約10分間で供給し、反応器内温度を60℃に調整した。供給停止後、15分間反応器内温度を70℃に調整しながら反応させ、ポリスチレンブロック−ポリブタジエンブロック−ポリスチレンブロック(a−1構造)を得た。得られたブロック共重合体のスチレンおよびポリスチレンブロックの含有量は15質量%であり、ブタジエン単位中のビニル含有量は40mol%であった。
その後、上記水添触媒を用いて、80℃で重合体を水素添加し、部分水添ブロック共重合体を得た。反応終了後に、安定剤(オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を部分水添ブロック共重合体100質量部に対し、0.25質量部を添加し、部分水添ブロック共重合体1を得た。部分水添ブロック共重合体1の水素添加率は55mol%であった。
(部分水添ブロック共重合体2)
ジャケット付き槽型反応器を用いて、所定量のシクロヘキサンを反応器に仕込んで、反応器内を温度60℃に調整した。その後、n−ブチルリチウムを、全モノマー(反応器に投入するブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の100質量部に対して、0.10質量部となるように反応器の底部から添加した。さらに、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンのシクロヘキサン溶液を、n−ブチルリチウム1molに対して0.4molとなるように添加した。その後、モノマーとして、1ステップ目の重合反応として、スチレン15質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度15質量%)を約10分間で供給し、反応器内温度を60℃に調整した。供給停止後、15分間反応器内温度を70℃に調整しながら反応させた。
次に、2ステップ目の重合反応として、ブタジエン85質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度15質量%)を50分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、その間の反応器内温度を50℃になるように調整し、供給停止後、10分間反応器内温度を60℃に調整しながら反応させて、ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体を得た。
得られたブロック共重合体に、カップリング剤として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのエピクロロヒドリンによるジグリシジルエーテル化変性物と、フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物のエピクロロヒドリンによるジグリシジルエーテル化変性物と、の重量比1/1の混合物を添加し、重合体をカップリングした。
これにより、ポリスチレンブロック−ポリブタジエンブロック−ポリスチレンブロック(a−1構造)とポリスチレンブロック−ポリブタジエンブロック(a−2構造)を、質量比=70%/30%で含む重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体のスチレンおよびポリスチレンブロックの含有量は15質量%であり、ブタジエン単位中のビニル含有量は40mol%であった。また、a−2構造の共重合体の重量平均分子量は10万であり、カップリングしたa−1構造の共重合体の重量平均分子量20万であった。
その後、上記水添触媒を用いて、80℃で得られたカップリング重合体を水素添加し、部分水添ブロック共重合体を得た。反応終了後に、安定剤(オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を部分水添ブロック共重合体100質量部に対し、0.25質量部を添加し、部分水添ブロック共重合2を得た。部分水添ブロック共重合体2の水素添加率は55mol%であった。
(部分水添ブロック共重合体3、4、5および7、完全水添ブロック共重合体6)
上記部分水添ブロック共重合体1や部分水添ブロック共重合体2の製造方法において、スチレン量、ブタジエン量、カップリング剤量、水素添加率を変更し、部分水添ブロック共重合体3、4、5および7、完全水添ブロック共重合体6を製造した。部分水添ブロック共重合体3、4、5および7、完全水添ブロック共重合体6の構造を表1に示す。
Figure 0006415339
(粘接着組成物および表面保護シートの製造方法)
表2に示す組成で、ブロック共重合体組成物;ポリイソブチレン及びポリブテン;酸化防止剤、紫外線吸収剤を含む粘接着組成物を180℃20分混合後した後に、白色のポリプロピレン(基材用)と共に共押出製膜を行い、基材の厚さ50μm、粘接着組成物層の厚さ10μmの表面保護シートを得た。
これを黒色アクリル系自動車用塗料塗装板にラミネートした。
なお、使用したポリイソブチレン、ポリブテン、酸化防止剤及び紫外線吸収剤は以下の通りである。
・ポリイソブチレン:MML−120(トーネックス株式会社製、商品名、数平均分子量30万)
・ポリブテン:HV300(新日本石油化学製、商品名、分子量200以上5,000以下)
・酸化防止剤:アンテージW500(川口化学工業株式会社製、商品名、フェノール系)
・紫外線吸収剤:チヌビンP(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名、ベンゾトリアゾール系)
〔評価方法〕
後述する実施例1〜6及び比較例1〜4において得られた重合体の構造の測定方法、及び評価方法について以下に示す。
(ビニル含有量と水素添加率)
部分水添ブロック共重合体1〜5、7及び完全水添ブロック共重合体6中のビニル含有量及び共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率を、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により、下記の条件で測定した。
水添反応後の反応液に、大量のメタノール中に沈澱させることで、部分(完全)水添ブロック共重合体を沈殿させて回収した。次いで、部分水添ブロック共重合体をアセトンで抽出し、抽出液を真空乾燥し、1H−NMR測定のサンプルとして用いた。1H−NMR測定の条件を以下に記す。
(測定条件)
測定機器 :JNM−LA400(JEOL製)
溶媒 :重水素化クロロホルム
測定サンプル :ポリマーを水素添加する前後の抜き取り品
サンプル濃度 :50mg/mL
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数 :64回
パルス幅 :45°
測定温度 :26℃
(ビニル芳香族単量体単位(スチレン単位)の含有量)
一定量の部分水添あるいは完全水添ブロック共重合体をクロロホルムに溶解し、紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を用いて、溶解液中のビニル芳香族化合物成分(スチレン)に起因する吸収波長(262nm)のピーク強度を測定した。得られたピーク強度から、検量線を用いてビニル芳香族単量体単位(スチレン単位)の含有量を算出した。
(ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAの含有量)
I.M.Kolthoff,et al., J.Polym.Sci.,1946,Vol.1,p.429に記載の四酸化オスミウム酸法で、下記ポリマー分解用溶液を用いて、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAの含有量を測定した。
(測定条件)
測定サンプル :ブロック共重合体を水素添加する前の抜き取り品
ポリマー分解用溶液:オスミウム酸0.1gを第3級ブタノ−ル125mLに溶解した溶液
(部分水添ブロック共重合体の重量平均分子量)
部分水添ブロック共重合体の重量平均分子量は、下記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
(測定条件)
測定装置 :LC−10(島津製作所製)
カラム :TSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm)、2本
溶媒 :テトラヒドロフラン
検量線用サンプル:市販の標準ポリスチレン(東ソー社製)、10点測定
(製造時耐熱老化性)
粘接着組成物を、180℃40分間保管の後、熱劣化の程度を、上記のGPCでピーク高さの変化で評価した。評価は、良い順から○、△、×とした。
高さ変化≦30% :○
30%<高さ変化)≦50% :△
50%<高さ変化) :×
(室温と低温の接着力)
塗装板にラミネートした表面保護シートを用いて、引き剥がし速度200mm/minで180°剥離力を、室温の評価として25℃と低温の評価として−20℃で測定した。得られた剥離力に基づいて下記の基準により粘接着組成物の粘着力を評価した。評価は、良い順から○、△、×とした。
1.5<剥離力(N/15mm) :○
1.0<剥離力(N/15mm)≦1.5 :△
剥離力(N/15mm)≦1.0 :×
(保持力)
塗装板にラミネートした表面保護シートを用いて、40℃において1kgの荷重を与えて表面保護シートがずれ落ちるまでの時間を測定した。得られた時間に基づいて、下記の基準により粘接着組成物の保持力を評価した。評価は、良い順から○、△、×とした。
200<保持力(分) :○
100<保持力(分)≦200 :△
保持力(分)≦100 :×
(接着昂進)
塗装板にラミネートした表面保護シートを用いて、ラミネート直後と、ラミネート後40℃10日間保管後に、上記室温の接着力と同じ試験を実施し、ラミネート直後から保管後の接着力の増大度合いを測定した。評価は、良い順から○、△、×とした。
接着力の増大度合い<30% :○
30%≦接着力の増大度合い<50% :△
50%≦保持力(分) :×
(糊残り)
表面保護シートを塗装板にラミネートした状態で、スガ試験機株式会社製サンシャインウエザーメーターを使用して、雰囲気温度43℃、50%RH、ブラックパネル温度63℃、降雨12分/1時間の条件で、200時間と500時間処理後に剥離したときの塗装板剥離面の状態を目視で評価した。
評価は、良い順から○、△とした。
500時間後でも糊残りが無い : 〇
200時間後のみ糊残りが有る : △
(耐変色性)
表面保護シートを塗装板にラミネートした状態で、スガ試験機株式会社製サンシャインウエザーメーターを使用して、雰囲気温度43℃、50%RH、ブラックパネル温度63℃、降雨12分/1時間の条件で、100時間と200時間処理後に粘接着組成物の端部の色を目視で評価した。評価は、良い順から○、△とした。
200時間後でも色の変化無し : 〇
100時間後のみ色の変化無し : △
〔実施例1〜7〕、〔比較例1〜5〕
表2に、実施例1〜6及び比較例1〜5の粘接着組成物および表面保護シートの評価結果について、それぞれ示した。
下記表1より、本発明の粘接着組成物および表面保護シートは、組成物の製造時の高い耐熱老化性、室温と低温の高い接着力、高い保持力、接着経時後の高い剥離性、低い接着昂進、少ない糊残り、高い耐変色性を有することが分かる。
Figure 0006415339
本実施形態の粘接着組成物および粘接着シートは、各種用途の接着に使用することができ、建材、電子材料、自動車等の各種の表面保護シートとして、好適に用いることができる。特に、自動車のトランクやルーフあるいはボンネット等の上に貼り付けて長期間屋外に暴露して塗膜を汚染や傷から防止するための自動車塗膜表面保護シートとして好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. 下記成分(a)を30質量%以上90%質量%以下、および下記成分(b)を10質量%以上70質量%以下含む粘接着組成物であって、
    成分(a)ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位を有する部分水添ブロック共重合体
    成分(b)ポリイソブチレン、ブチルゴムおよびポリブテンから選ばれる重合体
    前記成分(a)のビニル芳香族単量体単位の含有量が10質量%以上20質量%以下であり、
    前記成分(a)中の共役ジエン単量体単位に基づく二重結合の水素添加率が、15mol%以上80mol%未満である、
    粘接着組成物。
  2. 前記成分(a)が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAを含み、
    該ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAの含有量が、前記成分(a)100質量%に対して、10質量%以上20質量%以下である、請求項1に記載の粘接着組成物。
  3. 前記成分(a)が、成分(a−1)部分水添ブロック共重合体と成分(a−2)部分水添ブロック共重合体を含み、
    成分(a−1)がビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAを2つ以上と、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBを1つ以上含有し、
    成分(a−2)がビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAを1つと、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBを1つ以上含有し、
    前記成分(a)中の成分(a−2)の含有量が80質量%以下である、請求項1あるいは2に記載の粘接着組成物。
  4. 前記成分(b)がポリブテンを含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘接着組成物。
  5. 前記成分(b)が、さらに、ポリイソブチレン及び/又はブチルゴムを含有する、請求項4に記載の粘接着組成物。
  6. 前記成分(b)が数平均分子量が200〜5,000であるポリブテンを含有する、請求項4あるいは5に記載の粘接着組成物。
  7. 更に、水素添加前の共役ジエン単量体単位に基づく全二重結合の97mol%以上が水素添加されているスチレン系ブロック共重合体を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘接着組成物。
  8. 更に、酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘接着組成物。
  9. 少なくとも基材の片面に請求項1〜8のいずれか一項に記載の粘接着組成物の層を有する粘接着シート。
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