JP6415151B2 - 紅茶製造用発酵装置 - Google Patents
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Description
このような国内産茶葉としては緑茶用茶葉が用いられることが多く、このような茶葉はタンニンの含有量が少なく、また酸化酵素の活性が低い。このため発酵手法の良否が品質決定の大きな要因となるものであって、本出願人も既に特許第3546312号「紅茶等の製造工程における茶葉の発酵方法」(特許文献1)を開発・実施し、高品質の紅茶を市場に提供している。
この手法は図5に示すように、密閉環境とすることのできる筐体2′内に、上下多段に茶葉を並べられるようにトレー状の茶葉ケース3′を配し、筐体2′内にシャワーノズル4′から温水を噴出させ、筐体2′内を適切な温度・湿度の環境として茶葉Lの発酵を促すものである。
すなわち上記手法では、茶葉Lを上下に棚状に載せていたこともあって、筐体2′内の上下方向において温度・湿度の状況が完全に均一化し難く、そのため発酵の加工途中で茶葉ケース3′を上下入れ替えることにより、結果的に均等な状況を作り出していた。
当然ながらこのような状況は、作業工程を過重なものとし、更には作業タイミングのずれや茶葉の個体差等により、発色具合が異なったりして、品質低下を招きがちであった。
もちろん本発明者の開発に係る前記特許の手法によれば、筐体2′内の加工環境の均一化がかなりの程度向上し、十分満足できるものの、従来技術と同様、下段近くの茶葉は、わずかながら発酵状況が異なり、高品質な紅茶を製造するためには、茶葉ケース3′の入れ替え作業を行うことが好ましいものであった。
前記シャワーノズルは、筐体内部周壁面と茶葉ケースとの間に上下多段に配設されるものであり、更に、筐体内周壁面における最下段の茶葉ケースよりも下方の部位には、支援シャワーノズルが配設されているものであり、この支援シャワーノズルは、複数の壁面から中心に向かうように噴出方向が設定され、且つ各面毎の噴出方向は上下方向において異ならせていることを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の手段をもって前記課題の解決が図られる。
また、噴出される温水が互いにぶつかりあってしまうことがなく、より効果的に筐体底部付近の雰囲気を、所望の高温高湿状態とすることができる。
なお茶葉ケース3は、ケース受22が多段状に具えられたラック21に収容されるものであり、この実施例では一例として茶葉ケース3がラック21に七段で収容されるようにした。
また筐体1の底部には、シャワーノズル4から噴出される温水を貯留するためのパン23が具えられており、このパン23の底部にドレン口24が形成されている。
なお前記ラック21は一例としてステンレス等の金属素材から成る鋼材を組み合わせて構成されるものであり、各段のケース受22の間は開口状態とされている。なおこの開口部を、通気性を有するラックカバー25によって塞ぐようにしてもよい。
なお前記シャワーノズル4としては、温水または蒸気を噴霧状に噴出するものあるいは滴下するもの等を適用することもできる。
また前記支援シャワーノズル5は、筐体2の複数の内周壁面に沿って設けられるものであり、この実施例では一例として図3(a)に示すように、三壁面に沿って管路が設けられるとともに、各管路に噴出口51が形成されるようにした。
更にこのような噴出口51は、最下段の茶葉ケース3の下面側に向かうように噴出方向が設定されており、且つ各面毎の噴出方向が上下方向において異なるように設定されることにより、噴出される温水が互いにぶつからないように設定されている。
なお前記支援シャワーノズル5を、図3(b)に示すように筐体2の四面の内周壁面に設けたり、任意の二面あるいはいずれか一面に沿って設けるようにしてもよい。
なお前記温度調整機8は、蒸気発生機、ヒーター、温水器等、前記シャワーノズル4及び支援シャワーノズル5から噴出させる流体に応じて適宜の装置が用いられるが、この実施例においては温水を循環させるため温水器が採用される。
まず作業開始にあたっては茶葉ケース3に茶葉L(緑茶用茶葉)を40mm〜70mm程度の厚さに均一に敷き詰めるものであり、この茶葉Lは、一例として摘採後、冷風により5時間以上萎凋させた後、1時間30分程度揉捻処理を施し、玉解き・篩分け処理の済んだものとする。
なお緑茶用茶葉は、タンニンの含有量が少なく、また酸化酵素の活性が低いため、紅茶の従来製法(オーソドックス製法等)における発酵方法では葉温が上がらず、発酵は進行しにくいものであり、紅茶特有の香味、水色などの発現は困難なものであった。
そして茶葉Lが収容された茶葉ケース3を、ラック21に多段状(この実施例では七段)に設置し、扉20を閉じて筐体2内を密閉空間とする。
温水はシャワーノズル4によって筐体2内に供給されると、筐体2内の雰囲気を加熱、加湿した後、筐体2の底部に位置するパン23に溜まる。
またパン23に溜まった温水は、パン23の底部に形成されたドレン口24から再び温度調整機8へと至り、ここで再度加熱された後、再びシャワーノズル4及び支援シャワーノズル5から筐体2内に供給されることとなる。
特に発酵装置1の立ち上げ運転時には、図4にグラフで示すように、図5で示した支援シャワーノズル5が具えられていない装置と比較して、短時間で所望の高温高湿状態となっていることが確認されている。
なお前記シャワーノズル4及び支援シャワーノズル5の噴出量・噴出温度は、開始から30分以内に筐体2内の雰囲気の湿度が80%となるように設定される。このため、紅茶製造用発酵装置1による茶葉Lの発酵を高効率で実施することが可能となる。
そして前記のような温水の循環により、発酵条件を2時間程度保持することで、タンニンの含有量が少なくまた酸化酵素の活性が低いため、従来紅茶製茶に適していなかった緑茶用茶葉の発酵がなされ、ひいては紅茶特有の香味、水色などを具えた紅茶が製茶できるのである。
また前記パン23内に防水性を有するヒータを配して、温度調整器8に送られる温水の温度低下を防ぐようにしてもよい。
更にまた適宜蒸気発生器とエゼクタを具えることにより、蒸気並びに温水を筐体2内部へと供給するように構成することもできる。
更にまた上記実施例においては、原料茶葉Lとして緑茶用茶葉を用いて紅茶を製茶したが、紅茶同様その製茶工程において発酵がなされる半発酵茶(ウーロン茶、包種茶)の製茶に、本発明の発酵装置1を適用することも可能である。
2 筐体
20 扉
21 ラック
22 ケース受
23 パン
24 ドレン口
25 ラックカバー
3 茶葉ケース
4 シャワーノズル
5 支援シャワーノズル
51 噴出口
6 配管
7 循環ポンプ
8 温度調節器
9 ファン
L 茶葉
Claims (2)
- 内部を密閉空間とすることができる筐体と、この筐体内部に多段に配置される茶葉ケースと、筐体内に配設されるシャワーノズルとを具え、前記茶葉ケースに加工する茶葉を載せ、前記ノズルから温水をシャワー状に噴出させるとともに、筐体内部を発酵に好適な状況とする装置において、
前記シャワーノズルは、筐体内部周壁面と茶葉ケースとの間に上下多段に配設されるものであり、更に、筐体内周壁面における最下段の茶葉ケースよりも下方の部位には、支援シャワーノズルが配設されているものであり、この支援シャワーノズルは、複数の壁面から中心に向かうように噴出方向が設定され、且つ各面毎の噴出方向は上下方向において異ならせていることを特徴とする紅茶製造用発酵装置。
- 前記シャワーノズルから噴出される温水または蒸気の量、温度は、開始から30分以内に筐体内の雰囲気の湿度が80%となるように設定されることを特徴とする請求項1記載の紅茶製造用発酵装置。
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