以下、本発明の一実施形態に係る中間転写ユニット及び画像形成装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。画像形成装置1は、装置本体2に、操作部47、画像形成部120、定着部13、給紙部14、原稿給送部6、及び画像読取部(ISU;Image scanner unit)5等を備えて構成される。
画像形成装置1が画像読取動作を行う場合、原稿給送部6により給送されてくる原稿、又は、コンタクトガラス(原稿載置ガラス)161に載置された原稿の画像を画像読取部5が光学的に読み取り、画像データを生成する。
画像形成装置1が画像形成動作を行う場合は、上記の画像読取動作により生成された画像データ等に基づいて、画像形成部120が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙Pにトナー像を形成する。
画像形成部120の画像形成ユニット12M、12C、12Y、及び12Bkは、感光体ドラム122と、感光体ドラム122の表面を均一に帯電させる帯電装置と、感光体ドラム122の表面を露光して、その表面に静電潜像を形成する露光装置(LSU;Laser scanning units)123と、感光体ドラム122の表面の静電潜像をトナー像に現像する現像装置と、一次転写ローラー126とをそれぞれ備えている。
カラー印刷を行う場合、画像形成部120のマゼンタ用の画像形成ユニット12M、シアン用の画像形成ユニット12C、イエロー用の画像形成ユニット12Y、及びブラック用の画像形成ユニット12Bkにおいては、感光体ドラム122の表面を均一に帯電させてから露光して、その表面にカラーの色成分の画像に対応する静電潜像を形成し、感光体ドラム122の表面の静電潜像をその色成分のトナーにより現像して、感光体ドラム122上にトナー像を形成し、トナー像を一次転写ローラー126により、駆動ローラー125A及び従動ローラー125Bに張架されている中間転写ベルト125上に一次転写させる。
中間転写ベルト125は、その外周面にトナー像が転写される像担持面が設定され、感光体ドラム122の周面に当接した状態で駆動ローラー125Aによって駆動される。中間転写ベルト125は、各感光体ドラム122と同期しながら、駆動ローラー125Aと従動ローラー125Bとの間を無端走行する。
中間転写ベルト125上に転写される各色のトナー画像は、転写タイミングを調整して中間転写ベルト125上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。2次転写ローラー210は、中間転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像を、中間転写ベルト125を挟んで駆動ローラー125Aとのニップ部Nにおいて、給紙部14から搬送路190を通じて搬送されてきた記録紙Pに2次転写させる。この後、定着部13が、記録紙P上のトナー像を熱圧着により記録紙Pに定着させる。定着処理の完了したカラー画像形成済みの記録紙Pは、排出トレイ151に排出される。
次に、中間転写ベルト125、駆動ローラー125A、従動ローラー125B、及び各一次転写ローラー126等を一体化してなる中間転写ユニットについて、詳しく説明する。
図2は、中間転写ユニットを示す斜視図であり、中間転写ベルト125を透視して示す図である。図2において、中間転写ユニット17の本体筐体(図示せず)は、駆動ローラー125Aの軸、第1バックアップローラー22の軸、及び駆動部23の駆動軸24をそれぞれの定位置に支持している。
また、上記本体筐体は、図2において前側と奥側に配置された一組の変位フレーム20を、中間転写ベルト125の周回移動方向Yに沿って往復移動可能に支持している。
各組のローラーハウジング25〜28によりそれぞれの一次転写ローラー126の軸の両端部が回転可能に軸支されている。また、別の1組のローラーハウジング29により第2バックアップローラー31の軸の両端部が回転可能に軸支されている。
各組のローラーハウジング25〜29は、変位フレーム20に係合している。また、一組の支持フレーム21は、従動ローラー125Bの軸を回転可能に支持している。
中間転写ベルト125は、駆動ローラー125A、従動ローラー125B、第1バックアップローラー22、第2バックアップローラー31、及び各一次転写ローラー126に架け渡されている。各支持フレーム21は、一端が従動ローラー125Bの回転軸の長さ方向両端部に取り付けられた各押しバネの他端側に取り付けられ、これにより、従動ローラー125Bが駆動ローラー125Aとは反対方向に付勢され、中間転写ベルト125にテンションが付与されている。
各一次転写ローラー126の下方には、それぞれの感光体ドラム122(図1に示す)が配置されており、中間転写ベルト125を挟んで、各一次転写ローラー126と各感光体ドラム122とが対向する。
ここで、各組のローラーハウジング25〜29は、一組の変位フレーム20に係合しつつ、変位フレーム20に対して相対的に上記方向Yにスライド移動可能となっている(詳細は後述)。さらに、一組の変位フレーム20は、駆動部23により上記方向Yに往復移動される。各変位フレーム20の当該往復移動に伴い、各組のローラーハウジング25〜29が上記スライド移動を変位フレーム20に対して行う。各変位フレーム20は、上り傾斜を有する移動傾斜部35b,36b,37b,38bを有している。各変位フレーム20が方向Yにおいて移動すると、各組のローラーハウジング25〜29は、当該移動傾斜部35b,36b,37b,38bに沿って上り下りしつつ変位フレーム20に対してスライド移動する。このため、各組のローラーハウジング25〜29は、変位フレーム20の方向Yへの移動に応じて上下位置を異ならせる。このように、変位フレーム20の方向Yへの移動に応じて、各組のローラーハウジング25〜29が上下位置を異ならせることによって、各組のローラーハウジング25〜29に軸支されている各一次転写ローラー126及び第2バックアップローラー31も上下位置を異ならせる。
各一次転写ローラー126が下方向に移動されると、各一次転写ローラー126が中間転写ベルト125を介してそれぞれの感光体ドラム122に押圧され、中間転写ベルト125が各感光体ドラム122に接触する。この状態で、駆動ローラー125Aが回転駆動されると、中間転写ベルト125が周回移動しつつ各感光体ドラム122に接触して、各色のトナー像が各感光体ドラム122から中間転写ベルト125に転写可能な状態となる。
次に、各一次転写ローラー126及び第2バックアップローラー31を上下方向に移動させるための機構について更に詳しく説明する。図3は、変位フレーム20、各一次転写ローラー126の軸の端部及び第2バックアップローラー31の軸の端部を支持するそれぞれのローラーハウジング25〜29を概略的に示す側面図である。
図3に示すように変位フレーム20は、中間転写ベルト125の周回移動方向Yに沿って往復移動可能に支持されている。変位フレーム20の下側には、ラックギア32が固定されており、駆動部23の駆動軸24(図2)に固定されたピニオンギア33がラックギア32に歯合している。駆動部23の駆動軸24が往復回転すると、ピニオンギア33も往復回転し、ラックギア32が方向Yに往復移動され、変位フレーム20も周回移動方向Yに沿って往復移動する。
また、変位フレーム20には、ブラック用の感光体ドラム122と対向する一次転写ローラー126を支持するローラーハウジング25に係合するガイドレール35、イエロー用の感光体ドラム122と対向する一次転写ローラー126を支持するローラーハウジング26に係合するガイドレール36、シアン用の感光体ドラム122と対向する一次転写ローラー126を支持するローラーハウジング27に係合するガイドレール37、及びマゼンタ用の感光体ドラム122と対向する一次転写ローラー126を支持するローラーハウジング28と第2バックアップローラー31を支持するローラーハウジング29とに係合するガイドレール38が設けられている。
イエロー、シアン、及びマゼンタに係る3つのガイドレール36、37、38は、略同一形状であり、それぞれの押圧水平部36a、37a、38aと、それぞれの移動傾斜部36b、37b、38bと、それぞれの離間水平部36c、37c、38cと、を有している。各押圧水平部36a、37a、38aが同一高さにあり、各移動傾斜部36b、37b、38bが同一傾斜角度で傾斜し、各離間水平部36c、37c、38cが同一高さにあって、この高さが各押圧水平部36a、37a、38aよりも高くされている。
また、ブラックに係る1つのガイドレール35は、上記押圧水平部36a、37a、38aと同一高さの押圧水平部35aと、押圧水平部35aよりも僅かに低い単独押圧部35dと、移動傾斜部35bと、押圧水平部35aよりも高い離間水平部35cとを有している。
各ローラーハウジング25〜28は、同一構成であり、その下端側に一次転写ローラー126の軸の端部を回転自在に支持し、その内側にコイルバネ41を有し、このコイルバネ41により一次転写ローラー126の軸の端部を下方(感光体ドラム122に接近する方向)に付勢している。また、ローラーハウジング29も、同一構成であり、その下端側に第2バックアップローラー31の軸の端部を回転自在に支持し、その内側にコイルバネ41を有し、このコイルバネ41により第2バックアップローラー31の軸の端部を下方に付勢している。
各ローラーハウジング25〜29の上端側には、上下方向に対向する滑り案内部42、43が設けられており、各滑り案内部42、43が互いに離間され、各滑り案内部42、43の隙間にそれぞれのガイドレール35〜38が通されている。各滑り案内部42、43は、各ガイドレール35〜38を挟むそれぞれの位置で、該各ガイドレール35〜38によりそれぞれの高さを規制される。これにより、各ローラーハウジング25〜29、各一次転写ローラー126、及び第2バックアップローラー31の高さが調節される。
ここで、図3の状態では、各ローラーハウジング25〜29が各ガイドレール35〜38の押圧水平部35a、36a、37a、38aの位置にある。この場合、ブラック、イエロー、シアン、及びマゼンタに係る各ローラーハウジング25〜28が最も下方に位置して、各コイルバネ41によりそれぞれの一次転写ローラー126が下方に付勢され、各一次転写ローラー126が中間転写ベルト125を介してそれぞれの感光体ドラム122に押圧され、中間転写ベルト125が全ての感光体ドラム122に押圧される。
また、ローラーハウジング29がローラーハウジング28と共に最も下方に位置して、第2バックアップローラー31が中間転写ベルト125を下方に押下げ、これにより第2バックアップローラー31と第1バックアップローラー22(図2)との間で中間転写ベルト125が略平坦にされる。
このように全ての感光体ドラム122が中間転写ベルト125に押圧された状態を、以降、第1状態と称する。
この第1状態では、全ての色のトナー像をそれぞれの感光体ドラム122から中間転写ベルト125に一次転写して、カラーのトナー像を形成することができる。
次に、変位フレーム20が、駆動部23により駆動ローラー125Aに向かって周回移動方向Yに移動されると、イエロー、シアン、及びマゼンタに係る各ローラーハウジング26〜28が各ガイドレール36〜38の移動傾斜部36b、37b、38bにより上方向に案内されて移動して行く。該各ローラーハウジング26〜28のいずれについても、各滑り案内部42、43がガイドレールに接触しつつ滑動するので、各ローラーハウジング26〜28が上方向に滑らかに移動される。そして、該各ローラーハウジング26〜28が各ガイドレール36〜38の離間水平部36c、37c、38cに到達する。このとき、イエロー、シアン、及びマゼンタに係る各ローラーハウジング26〜28が最も上方に移動されて、該各ローラーハウジング26〜28の一次転写ローラー126がそれぞれの感光体ドラム122から離間し、イエロー、シアン、及びマゼンタに係る各感光体ドラム122については、中間転写ベルト125に押圧されていない状態となる。
また、ローラーハウジング29がローラーハウジング28と共に最も上方に移動されて、第2バックアップローラー31が中間転写ベルト125から離間する。
同時に、ブラックに係るローラーハウジング25がガイドレール35の単独押圧部35dに到達する。ガイドレール35の単独押圧部35dは、その押圧水平部35aよりも僅かに低くされているため、ブラックに係るローラーハウジング25が僅かに下方に移動されて、該ローラーハウジング25の一次転写ローラー126が中間転写ベルト125を介して感光体ドラム122に押圧され、ブラックに係る感光体ドラム122のみが中間転写ベルト125に押圧された状態となる。
このようにイエロー、シアン、及びマゼンタに係る各感光体ドラム122が中間転写ベルト125に押圧されず、かつブラックに係る感光体ドラム122のみが中間転写ベルト125に押圧された状態を、以降、第2状態と称する。
この第2状態では、ブラックのトナー像を感光体ドラム122から中間転写ベルト125に一次転写して、モノクロのトナー像を形成することができる。また、イエロー、シアン、及びマゼンタに係る各感光体ドラム122が中間転写ベルト125に押圧されていないため、該各感光体ドラム122の寿命の低下が防止される。
更に、各変位フレーム20が駆動ローラー125Aに向けて周回移動方向Yに移動されると、イエロー、シアン、及びマゼンタに係る各ローラーハウジング26〜28については、各ガイドレール36〜38の離間水平部36c、37c、38cに位置し続ける。従って、イエロー、シアン、及びマゼンタに係る各感光体ドラム122が中間転写ベルト125に押圧されていない状態が維持される。ローラーハウジング29は、ローラーハウジング28と共にガイドレール38の離間水平部38cに位置し続ける。
そして、ブラックに係るローラーハウジング25は、ガイドレール35の移動傾斜部35bにより上方向に案内されて移動して行き、該ローラーハウジング25がガイドレール35の離間水平部35cに到達する。このとき、該ローラーハウジング25が最も上方に移動されて、該ローラーハウジング25の一次転写ローラー126が感光体ドラム122から離間し、ブラックに係る感光体ドラム122が中間転写ベルト125に押圧されていない状態となる。従って、全ての感光体ドラム122が中間転写ベルト125に押圧されていない状態となる。この状態を、以降、第3状態と称する。
尚、駆動部23により各変位フレーム20が周回移動方向Yに駆動ローラー125Aから離れる方向に移動されると、第3状態から第2状態へと移行し、更に第2状態から第1状態へと移行する。
次に、各変位フレーム20を周回移動方向Yに沿って往復移動させる駆動部23について説明する。図4は、駆動部23を中間転写ユニット17の外側から見て拡大して示す斜視図である。また、図5は、駆動部23を中間転写ユニット17の内側から見て更に拡大して示す斜視図である。更に、図6は、駆動部23を中間転写ユニット17の内側から見て示す側面図である。
駆動部23は、駆動モーター51、駆動モーター51の出力軸の回転を駆動軸24に伝達するギアユニット52、駆動軸24に挿入されたカップリング53、駆動軸24に固定されたピニオンギア33、及び変位フレーム20の下側に固定されたラックギア32を有している。
駆動軸24は、ギアユニット52から一方の変位フレーム20を経て他方の変位フレーム20に及ぶ長さを有しており、この駆動軸24に、各変位フレーム20のラックギア32に歯合するそれぞれのピニオンギア33が設けられている。
また、駆動軸24は、カップリング53の部位で内側駆動軸24Aと外側駆動軸24Bとに分割されており、内側駆動軸24Aと外側駆動軸24Bとがカップリング53で結合されて、駆動軸24が構成されている。
カップリング53は、内側駆動軸24Aの端部に固定された内側嵌合部53Aと、外側駆動軸24Bと結合する外側嵌合部53Bと、外側駆動軸24Bに通されたコイルバネ54とを備えている。外側駆動軸24Bの断面形状がD型であって、外側駆動軸24Bが挿入される外側嵌合部53Bの孔の形状もD型であり、これにより外側嵌合部53Bが、外側駆動軸24Bの長手方向に移動自在にかつ外側駆動軸24Bと共に回転するように設けられている。コイルバネ54の付勢力により外側嵌合部53Bが内側嵌合部53Aに接近する方向に移動されて該内側嵌合部53Aに嵌合して、内側駆動軸24Aと外側駆動軸24Bとが結合される。
ここで、中間転写ユニット17は、画像形成装置1の本体に対して着脱自在に設けられている。このため、内側駆動軸24A、内側嵌合部53A、ピニオンギア33、及びラックギア32を中間転写ユニット17の本体に設け、また外側駆動軸24B、外側嵌合部53B、コイルバネ54、ギアユニット52、及び駆動モーター51を画像形成装置1の本体に設けている。
中間転写ユニット17を交換のために取外すときには、カップリング53の内側嵌合部53Aと外側嵌合部53Bとを分離させて、中間転写ユニット17の本体を取外す。このとき、中間転写ユニット17の本体側に設けられた内側駆動軸24A、内側嵌合部53A、ピニオンギア33、及びラックギア32を取外すこととなるが、画像形成装置1の本体側に設けられた外側駆動軸24B、外側嵌合部53B、コイルバネ54、ギアユニット52、及び駆動モーター51を取外す必要がなく交換することもない。このため、中間転写ユニット17に設けられる部品の数を低減することができ、中間転写ユニット17の大型化やランニングコストの上昇が抑えられる。
図7は、カップリング53を示す断面図である。また、図8は、カップリング53の内側嵌合部53Aを拡大して示す斜視図であり、図9は、カップリング53の外側嵌合部53Bを拡大して示す斜視図である。図7乃至図9に示すように外側嵌合部53Bの内側向き端部には、大扇形凸部53b1、小扇形凸部53b2、及び2つの扇形凹部53b3が形成され、また内側嵌合部53Aの外側向き端部には、大扇形凹部53a2、小扇形凹部53a3、及び2つの扇形凸部53a1が形成されている。互いに、大扇形凸部53b1と大扇形凹部53a2とが、小扇形凸部53b2と小扇形凹部53a3とが、2つの扇形凹部53b3と2つの扇形凸部53a1とが嵌合する。このため、内側嵌合部53Aの一回転(360°)における回転角度と外側嵌合部53Bの一回転(360°)における回転角度とを互いに対応させなければ、内側嵌合部53Aと外側嵌合部53Bとを嵌合させることができず、よって内側駆動軸24A(ピニオンギア33)と外側駆動軸24Bとの互いの回転角度の関係が特定される。
また、第1状態から第3状態への移行に要するラックギア32(変位フレーム20)の移動量は、ピニオンギア33の一回転未満の回転角度範囲に対応し、同様に第3状態から第1状態への移行に要するラックギア32(変位フレーム20)の移動量も、ピニオンギア33の一回転未満の回転角度範囲に対応する。
従って、内側嵌合部53Aと外側嵌合部53Bとを嵌合させたときには、内側駆動軸24A(ピニオンギア33)並びに外側駆動軸24Bの回転角度に対応する移動位置に変位フレーム20があり、よって該回転角度と第1乃至第3状態とが常に対応していることとなる。
また、中間転写ユニット17が画像形成装置1の本体に装着されるときには、内側嵌合部53Aの一回転(360°)における回転角度(位相)と外側嵌合部53Bの一回転(360°)における回転角度(位相)が互いに対応しないことがあり、この場合は、内側嵌合部53Aと外側嵌合部53Bとが嵌合しない。このため、外側嵌合部53Bが中間転写ユニット17から離れる方向に移動し、コイルバネ54が短縮されて、コイルバネ54により外側嵌合部53Bが内側嵌合部53A側に付勢され、外側嵌合部53Bの大扇形凸部53b1、小扇形凸部53b2が内側嵌合部53Aの各扇形凸部53a1に押圧された状態となる。
この状態で、画像形成装置1側の駆動モーター51が駆動されると、外側駆動軸24B及び外側嵌合部53Bが回転し、また内側駆動軸24A及び内側嵌合部53Aが停止し続けて、コイルバネ54の付勢力を受けつつ、外側嵌合部53Bの大扇形凸部53b1、小扇形凸部53b2が内側嵌合部53Aの各扇形凸部53a1に摺接しつつ回転する。
そして、外側駆動軸24B及び外側嵌合部53Bの回転に伴い、外側嵌合部53Bの大扇形凸部53b1及び小扇形凸部53b2が内側嵌合部53Aの大扇形凹部53a2及び小扇形凹部53a3に重なって一致し、外側嵌合部53Bの回転角度が停止中の内側嵌合部53Aの規定の回転角度に対応したときに、コイルバネ54の付勢力により外側嵌合部53Bが内側嵌合部53Aに嵌合して、内側駆動軸24Aと外側駆動軸24Bが連結される。この状態では、各扇形凸部53a1、大扇形凸部53b1及び小扇形凸部53b2が互いに係止し合って結合し、内側駆動軸24A及び外側駆動軸24Bが一体的に回転可能となる。
こうして内側駆動軸24Aと外側駆動軸24Bが連結された後では、内側嵌合部53Aの一回転(360°)における回転角度(位相)と外側嵌合部53Bの一回転(360°)における回転角度(位相)とが常に互いに対応する状態となり、内側駆動軸24Aと外側駆動軸24Bが共に回転し、内側駆動軸24A並びに外側駆動軸24Bの回転角度と変位フレーム20の移動位置とが対応することとなる。
このため、中間転写ユニット17を交換のために脱着しても、内側駆動軸24A並びに外側駆動軸24Bの回転角度と変位フレーム20の移動位置との対応関係、つまり該回転角度と第1乃至第3状態との対応関係が変化したりずれたりすることはない。なお、外側嵌合部53Bの内側向き端部の凹凸形状及び内側嵌合部53Aの外側向き端部の凹凸形状は、外側駆動軸24Bの回転角度が停止中の内側駆動軸24Aの規定の回転角度に対応するときにのみ互いに嵌合すれば、如何なる凹凸形状であっても構わない。
一方、ギアユニット52は、駆動モーター51の出力軸に固定されたウォームギア55、ウォームギア55に歯合されたウォームホイル56、ウォームホイルの軸に固定された小ギア57、及び小ギア57に歯合された駆動ギア58を有しており、駆動モーター51の出力軸の回転が駆動ギア58に伝達されて、駆動ギア58に固定された外側駆動軸24Bが回転し、外側駆動軸24Bと共に、カップリング53、ピニオンギア33、内側駆動軸24Aが回転する。
また、中間転写ユニット17側に向く駆動ギア58の片面には、9つの突起部58a〜58iが設けられている。これらの突起部58a〜58iは、外側駆動軸24Bを中心とする円周上に一定の間隔をあけて配列されており、駆動ギア58と共に回転する。
更に、駆動ギア58の近傍に、透過型光センサー(フォトインタラプタ)59が設けられている。この透過型光センサー59は、発光素子及び受光素子を備えており、駆動ギア58の回転に伴い、該駆動ギア58の各突起部58a〜58iが該各素子の間を順次通過するように該透過型光センサー59を配置している。
駆動ギア58の回転に伴い、透過型光センサー59により駆動ギア58の各突起部58a〜58iを順次検出すれば、駆動ギア58並びに外側駆動軸24Bの回転角度を求めることができる。そして、先に述べたように外側駆動軸24Bの回転角度に対応する移動位置に変位フレーム20があって、該回転角度と第1乃至第3状態とが常に対応しているため、駆動ギア58並びに外側駆動軸24Bの回転角度に基づき第1乃至第3状態のいずれが設定されているかを判定することができる。すなわち、透過型光センサー59の検出出力に基づき第1乃至第3状態のいずれが設定されているかを判定することができる。
次に、画像形成装置1の構成について詳しく説明する。図10は、画像形成装置1の主要内部構成を示す機能ブロック図である。
画像形成装置1は、制御ユニット60、画像読取部5、原稿給送部6、定着部13、画像形成部120、操作部47、画像メモリー62、HDD63、ファクシミリ通信部64、及びネットワークインターフェイス部66等を備えて構成される。なお、図1を用いて説明した構成要素と同じものには同じ番号を付している。
制御ユニット60は、CPU(Central Processing Unit)、RAM、ROM及び専用のハードウェア回路等から構成される。制御ユニット60は、制御部61を備える。
制御部61は、制御ユニット60、画像読取部5、原稿給送部6、定着部13、画像形成部120、操作部47、画像メモリー62、HDD63、ファクシミリ通信部64、及びネットワークインターフェイス部66等と接続され、これらの制御を行って、画像形成装置1の全体的を制御する。
画像形成部120は、中間転写ユニット17、及び露光装置123等を備えている。中間転写ユニット17は、中間転写ベルト125、各一次転写ローラー126等を備え、画像形成装置1の本体側に設けられた駆動部23の駆動モーター51、透過型光センサー59等を用いて駆動制御される。
制御部61は、駆動部23の駆動モーター51を制御して、1組の変位フレーム20を適宜変位させ、透過型光センサー59の検出出力に基づき第1乃至第3状態のいずれかを判定して設定する。
次に、透過型光センサー59の検出出力に基づく第1乃至第3状態の判定について詳しく説明する。
例えば、図11に示すように駆動ギア58の9つの突起部58a〜58iは、3.2mmという一定の間隔sをあけて配列されている。また、8つの突起部58a〜58hの幅w1を同一の3.2mmに設定し、更に最も端に配置された1つの突起部58iの幅w2を6.4mmに設定している。これらの数値は、あくまでも一例である。
ここで、図12(a)に示すような回転位置に駆動ギア58が位置し、図12(d)に示すような[1]番目の突起部58aの隣の空きスペースsp1に透過型光センサー59が位置するときには、各ローラーハウジング26〜28が変位フレーム20の各ガイドレール36〜38の離間水平部36c、37c、38cに位置し、イエロー、シアン、及びマゼンタに係る各感光体ドラム122が中間転写ベルト125に押圧されていない状態となっている。
同時に、ブラックに係るローラーハウジング25が変位フレーム20のガイドレール35の離間水平部35cに位置し、該ローラーハウジング25の一次転写ローラー126が感光体ドラム122から離間し、ブラックに係る感光体ドラム122が中間転写ベルト125に押圧されていない状態となっている。
すなわち、透過型光センサー59が[1]番目の突起部58aの隣の空きスペースsp1に位置するときには、第3状態が設定されている。
そして、図12(b)に示すように駆動ギア58が反時計周り方向に回転されて、変位フレーム20が周回移動方向Yとは反対方向に移動され、図12(d)に示すような[2]番目の突起部58bと[3]番目の突起部58cとの空きスペースsp2に透過型光センサー59が位置するようになったときには、各ローラーハウジング26〜28が変位フレーム20の各ガイドレール36〜38の離間水平部36c、37c、38cに位置し続けており、イエロー、シアン、及びマゼンタに係る各感光体ドラム122が中間転写ベルト125に押圧されていない状態が維持されている。
また、ブラックに係るローラーハウジング25は、変位フレーム20のガイドレール35の単独押圧部35dに到達している。このため、該ローラーハウジング25の一次転写ローラー126が中間転写ベルト125を介して感光体ドラム122に押圧され、ブラックに係る感光体ドラム122のみが中間転写ベルト125に押圧された状態となる。
すなわち、透過型光センサー59が[2]番目の突起部58bと[3]番目の突起部58cとの空きスペースsp2に位置するときには、第2状態が設定されている。
更に、図12(c)に示すように駆動ギア58が反時計周り方向に回転されて、変位フレーム20が周回移動方向Yとは反対方向に移動され、図12(d)に示すような[9]番目の突起部58iの箇所に透過型光センサー59が位置するようになったときには、各ローラーハウジング25〜28が変位フレーム20の各ガイドレール35〜38の押圧水平部35a、36a、37a、38aに到達して、該各ローラーハウジング25〜28の一次転写ローラー126が中間転写ベルト125を介してそれぞれの感光体ドラム122に押圧され、ブラック、イエロー、シアン、及びマゼンタに係る全ての感光体ドラム122が中間転写ベルト125に押圧された第1状態となる。
すなわち、透過型光センサー59が[9]番目の突起部58iの箇所に位置するときには、第1状態が設定される。
尚、駆動ギア58が時計周り方向に回転されて、変位フレーム20が周回移動方向Yに移動され、透過型光センサー59が空きスペースsp2に位置するようになると、第2状態が設定され、更に透過型光センサー59が空きスペースsp1に位置するようになると、第3状態が設定されている。
次に、制御部61による制御について詳しく説明する。ここでは、画像形成装置1の起動時には第3状態が設定されており、モノクロコピーやカラーコピーの実行が指示されたときに、第3状態から第2状態又は第1状態に移行され、以降、1つの状態から他の状態に移行されるものとする。
まず、第3状態では、透過型光センサー59が[1]番目の突起部58aの隣の空きスペースsp1に位置する。従って、図12(e)に示すように透過型光センサー59の検出出力がハイレベルHになっている。制御部61は、透過型光センサー59による検出信号が、いずれの突起部もないこと(空きスペースsp1)を予め定められた時間(例えば、1秒)以上示したとき、ここではハイレベルHが当該予め定められた時間続いたとき、各一次転写ローラー126が第3状態にあると判定する。このように判定することで、制御部61は、各一次転写ローラー126を第3状態に移動させる制御を行うことが可能になる。
制御部61は、透過型光センサー59による検出信号が、上記いずれの突起部もないことを上記予め定められた時間以上示す状態から、予め定められた数の突起部を検出したことを示す状態となったときに、各一次転写ローラー126が第2状態にあると判定する。このように判定することで、制御部61は、各一次転写ローラー126を第2状態に移動させる制御を行うことが可能になる。例えば、上記第3状態で、利用者により操作部47が操作されて、モノクロコピーの実行が指示されると、制御部61は、駆動モーター51を駆動して、駆動ギア58を反時計周り方向に回転させて、変位フレーム20を駆動ローラー125Aから離れる方向に、周回移動方向Yに移動させる。このとき、制御部61は、透過型光センサー59の検出出力を監視しており、図12(e)に示すように透過型光センサー59の検出出力がハイレベルHからローレベルLにとなった後、2回目のハイレベルHのタイミング、つまり透過型光センサー59が[2]番目の突起部58bと[3]番目の突起部58cとの空きスペースsp2に到達したタイミングで、駆動モーター51を停止させる。これにより、第2状態が設定される。
また、第3状態で操作部47の操作によりカラーコピーの実行が指示された場合、制御部61は、駆動モーター51を駆動して、駆動ギア58を反時計周り方向に回転させて、変位フレーム20を駆動ローラー125Aから離れる方向に周回移動方向Yに移動させる。そして、制御部61は、透過型光センサー59による検出信号が、幅の広い[9]番目の突起部58iが検出されたことを示す場合に、各一次転写ローラー126が第1状態にあると判定する。このように判定することで、制御部61は、各一次転写ローラー126を第1状態に移動させる制御を行うことが可能になる。
例えば、制御部61は、図12(e)に示すような透過型光センサー59の検出出力のローレベルLの継続時間を計時し、この計時時間が一定時間を超えたタイミングで、駆動モーター51を停止させる。駆動ギア58の回転速度が略一定に維持されており、また[1]番目〜[8]番目までの各突起部58a〜58hの幅w1が3.2mmと狭く、[9]番目の突起部58iの幅w2が6.4mmと広くされている。このため、透過型光センサー59による[1]番目〜[8]番目までの各突起部58a〜58hの検出に際しては、検出出力のローレベルLの継続時間が一定時間未満となり、透過型光センサー59による[9]番目の突起部58iの検出に際しては、検出出力のローレベルLの継続時間が一定時間を超える。従って、透過型光センサー59が[9]番目の突起部58aに到達した後のタイミングで、駆動モーター51が停止される。これにより、第1状態が設定される。制御部61は、これと同様の制御を、第2状態から第1状態への移行のときにも行う。
次に、第1状態で操作部47の操作によりモノクロコピーの実行が指示されると、制御部61は、駆動モーター51を駆動して、駆動ギア58を時計周り方向に回転させて、変位フレーム20を駆動ローラー125Aに向けて周回移動方向Yに移動させる。このとき、制御部61は、図12(e)に示すように透過型光センサー59の検出出力が7回目にハイレベルHとなったタイミング、つまり透過型光センサー59が空きスペースsp2に到達したタイミングで、駆動モーター51を停止させる。これにより、第2状態が設定される。
また、第1状態で操作部47の操作により画像形成装置1の停止が指示されたり、画像形成装置1が待機状態になったりした場合、制御部61は、駆動モーター51を駆動して、駆動ギア58を時計周り方向に回転させて、変位フレーム20を周回移動方向Yに移動させる。そして、制御部61は、図12(e)に示すように透過型光センサー59の検出出力のハイレベルHの継続時間を計時し、この計時時間が一定時間を超えたタイミングで、駆動モーター51を停止させる。各突起部58a〜58iの間隔sが3.2mmと一定に保たれ、突起部58aの隣の空きスペースsp1には突起部が設けられていない。このため、透過型光センサー59が各突起部58a〜58iの間隔sを通過するときには、検出出力のハイレベルHの継続時間が一定時間未満となり、透過型光センサー59が空きスペースsp1に到達すると、検出出力のハイレベルHの継続時間が一定時間を超える。従って、透過型光センサー59が[1]番目の突起部58aの隣の空きスペースsp1に到達した後のタイミングで、駆動モーター51が停止される。これにより、第3状態が設定される。制御部61は、これと同様の制御を、第2状態から第3状態への移行のときにも行う。
このように本実施形態では、単一の透過型光センサー59の検出出力に基づき第1状態、第2状態、及び第3状態を判定して設定することができる。従って、第1状態、第2状態、及び第3状態の判定のために必要なセンサーの個数を最小限に抑えることでき、部品点数の増加や配線処理の複雑化を招くことがない。
また、中間転写ユニット17を交換のために取外すときには、カップリング53の内側嵌合部53Aと外側嵌合部53Bとを分離させるため、画像形成装置1の本体側に設けられた外側駆動軸24B、外側嵌合部53B、ギアユニット52、及び駆動モーター51を取外す必要がなく交換することもない。このため、中間転写ユニット17に設けられる部品の数を低減することができ、中間転写ユニット17の大型化やランニングコストの上昇が抑えられる。
更に、中間転写ユニット17を交換のために脱着しても、カップリング53の内側嵌合部53Aと外側嵌合部53Bとを嵌合させるため、内側駆動軸24A(ピニオンギア33)並びに外側駆動軸24Bの回転角度と第1乃至第3状態との対応関係が変化したりずれたりすることはない。従って、中間転写ユニット17の交換が、単一の透過型光センサー59の検出出力に基づく第1乃至第3状態の判定に影響を及ぼすことはない。
すなわち、上記実施形態では、駆動モーター51や透過型光センサー59を、中間転写ユニット17とは別体として設け、中間転写ユニット17と駆動モーター51や透過型光センサー59を接離可能としているが、カップリング53の内側嵌合部53Aと外側嵌合部53Bとの嵌合により、中間転写ユニット17の装着時に、感光体ドラム122に対して接離する方向における一次転写ローラー126の位置が不特定となったり、駆動モーター51や透過型光センサー59による一次転写ローラー126の位置制御が不可能となるといった事態が生じない。上記実施形態によれば、中間転写ユニット17を着脱自在に設けながらも、中間転写ユニット17における一次転写ローラー126の位置制御を確実に行うことが可能である。
なお、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一実施形態として画像形成装置(カラー複合機)を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、他の電子機器、例えば、プリンター、コピー機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置でもよい。
更に、図1乃至図12を用いて説明した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。