JP6414108B2 - 熱延コイルの払出方法 - Google Patents

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本発明は、高強度パイプの素材となる高強度厚肉熱延鋼帯や建設用機械や産業用機械の構造部材用に用いられる建機用高強度熱延鋼帯などのコイルを払い出す方法に関するものである。
パイプラインでの原油や天然ガス等の資源の輸送には、効率化を目的に、API規格にしてX70〜100といった大径厚肉高強度パイプ材が使用されつつある。これらは、資源を効率的に輸送するため、パイプ内部には高い内圧がかけられており、かつ寒冷地での使用や地震による地殻変動なども考慮し、高靭性、高強度といった特性がパイプ材にとって重要になっている。これらのパイプラインに使用されるパイプは肉厚が12〜25mm程度、外径が20インチ程度以上と大径であり、厚板ミルにより製造される長手方向に縦長形状である厚鋼板の短辺側を円形に成形した後、突合せ部を長手方向に溶接してパイプとする方式が多用されている。
これに対し、近年、厚鋼板を薄板圧延用の熱間圧延(ホットストリップミル)ラインにて圧延してコイル状に巻き取って熱延コイルとした後、コイルを巻きほどいて所定の長さに切断した熱延鋼帯を成形して溶接を施して製造される電縫鋼管やスパイラル鋼管の需要が高まっている。電縫鋼管はコイルから巻き戻された熱延鋼帯をパイプ状にロール成形して継ぎ目部を電縫溶接してパイプに製造するものであり、スパイラル鋼管も同様に巻き戻された熱延鋼帯を長手方向にらせん状に成形すると同時に板幅端部の突合せ部を溶接しながらパイプに製造するものである。
厚鋼板をホットストリップミルで圧延して製造した熱延コイルを処理ラインでアンコイラーから払い出して電縫鋼管やスパイラル鋼管を製造することにより、厚板ミルで製造される厚鋼板からこれらの鋼管を製造する場合に比べ、連続して長いパイプを製造することができ、また生産性も向上する。
他方、近年の建築物の高層化に伴って、クレーン・トラック等の建設用機械も大型化され、また、産業用機械も大型化する傾向にあり、機械の自重を軽くすることが必要とされていて、これらの構造部材用としても降伏強さが960MPa以上となる高強度薄鋼板の需要が高まってきている。それらの板厚は4〜12mmと、通常の熱延鋼帯としては比較的厚いものが求められている。
このような状況の中で、熱延(ホットストリップミル)ラインにおいて比較的板厚が厚い高強度の熱延鋼帯の熱延コイルを製造しようとする場合には、熱延ラインにおいてスプリングバックによるコイルの巻きほぐれが発生しやすいという問題がある。これに対して、特許文献1に記載されているように、高強度厚肉鋼帯を巻き取った後に、複数のラッパーロールをコイルに押し付けた状態で、コイル外周部を冷却する方法が開示されており、これによって熱間圧延ラインからの熱延コイルの取り出し・搬送等の取り扱いが容易になる。
しかし、高強度熱延鋼帯を熱間圧延ラインにおいて熱延コイルとして製造した後も、熱延コイルの内部には残留応力が生じており、アンコイラーから払い出される(巻き戻される)熱延鋼帯を、電縫鋼管やスパイラル鋼管に成形加工する処理工程や建機用高強度鋼板としてシート状に切断する処理工程において、再びスプリングバックに起因した問題が生じてくる。
例えば、高強度厚肉熱延鋼帯を電縫管に成形する際に、処理ラインの入側のアンコイラーに装入された熱延コイルを払い出す際に、コイルにスプリングバックによる巻きほぐれが発生すると、コイルの層間に隙間が生じ、成形加工する処理ラインでの通板時に層間の相対すべりによって鋼帯にスリ疵が発生するという問題が生じる。また、建機用高強度鋼板のシートカットラインの入側のアンコイラーに装入された熱延コイルを払い出す際にも同様に、スプリングバックによる巻きほぐれが発生してコイルの層間に隙間が生じ、同様にスリ疵が発生するという問題がある。
特許文献1に記載された発明は、熱延コイルの外周部のスプリングバックを防止して、コイルの巻きほぐれを防止するための手段であり、熱延コイルの内周部のスプリングバック自体を低減するものではない。そのため、熱間圧延ラインにおける高強度厚肉熱延鋼帯の製造上及び搬送上の問題点を解決できるものの、前述の電縫管やスパイラル鋼管の成形ライン等の入側においてアンコイラーから払い出す際に発生するスリ疵の問題点を解決するものではない。
これに対して、特許文献2ではプレスラインのアンコイラーから鋼板を払出す際に、鋼板に張力を加えることでスプリングバックによるコイルの層間に隙間が生じるのを防止する方法が開示されている。
しかし、特許文献2に記載された発明は、熱延コイルを処理するラインの入側で張力を付与するものであるが、ラインパイプ素材に用いられるような極厚材や建機用鋼板のように降伏強さが非常に大きなものに対しては、より大きな張力を付与する必要があるため、張力を付与するための付帯的設備が大型化し経済的ではない。
さらに、特許文献3ではスパイラル鋼管の製造ライン入側に配置されたアンコイラーに、コイル上部から押付けを行う押さえロールを配置することにより、コイルの層間に隙間が生じるのを防止する方法が開示されている。
特許文献3で開示された押さえロールは、図2に示すものと同様に、熱延コイルの回転軸に平行な回転軸を有する1本の押さえロール3cが上部から熱延コイル1を押し付ける構造になっている。この従来技術では、図4に示すように、コイルの外周面に対して垂直方向の力を付与することで、コイルの層間での摩擦抵抗を増加させる効果により、コイルが巻き緩むときの層間のすべりを低減して、コイルの巻きほぐれを防止している。この方法は設備構成が比較的簡易であり、板厚が薄く、降伏強さが低い鋼板に対しては有効である。なお、図4では、押さえロール3cにより下から押し付けるように描いている。
しかし、熱延コイルの鋼帯の降伏応力が400MPa以上になるとコイルのスプリングバックが大きくなり、コイルの巻きほぐれが発生し、アンコイラーからの払い出し時にスリ疵が発生しやすくなる。
ラインパイプ素材となる熱延鋼帯は、主としてAPI規格にてX65以上、製品厚としては12mm以上のものである。また、建機用高強度鋼板としては、主として降伏応力が980MPa以上、製品厚としては4〜12mmであり、通常の熱延鋼帯としては比較的板厚が厚いものである。鋼帯の降伏応力が高いほどスプリングバックが大きくなり、また、降伏強度が比較的低いものであっても、板厚が厚いほどスプリングバック時の曲げモーメントが大きくなって、そのために成形ラインのアンコイラーで鋼帯を払い出す際に巻きほぐれが顕著になり、スリ疵が発生しやすくなるからである。
降伏応力が400MPa未満の比較的軟質な熱延鋼帯では、スプリングバック時の曲げモーメントが小さいため、特許文献2に開示されているように成形ライン等において一定の張力を付与しながら払い出せば、たとえコイルにスプリングバックが存在していても、コイルの巻きほぐれを防止して、払い出し時のスリ疵を防止できる。
特開2010−162594号公報 特開2012−228708号公報 特開2008−212950号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、極厚熱延コイルや建機用高強度熱延コイルなどの降伏強度が400MPa以上の熱延鋼帯コイルをアンコイラーから払い出す際に、鋼帯に発生するスリ疵を防止するコイルの払出方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために以下の手段を採用する。
[1]降伏応力400MPa以上の熱延鋼帯のコイルをアンコイラーから払い出すに際し、2本で一対の押さえロールを、下記の式(1)で表されるP(kN)以上の押付け力でコイルの外周部から押し付けながら払い出すことを特徴とするコイル払出方法。
=0.001×h×W×Y/L・・・(1)
ここで、hは熱延鋼帯の板厚(mm)、Wは熱延鋼帯の板幅(mm)、Yは熱延鋼帯の降伏応力(MPa)、Lは2本で一対の押さえロールのロール軸心間距離(mm)である。
[2]降伏応力400MPa以上の熱延鋼帯のコイルをアンコイラーから払い出すに際し、コイルの払い出し開始の外周部から全巻き数の少なくとも1/4まで、2本で一対の押さえロールを、下記の式(1)で表されるP(kN)以上の押付け力でコイル外周部に押し付けながら払い出すことを特徴とするコイル払出方法。
=0.001×h×W×Y/L・・・(1)
ここで、hは熱延鋼帯の板厚(mm)、Wは熱延鋼帯の板幅(mm)、Yは熱延鋼帯の降伏応力(MPa)、Lは2本で一対の押さえロールのロール軸心間距離(mm)である。
[3]前記2本で一対の押さえロールを前記コイルの最上部から押し付けることを特徴とする[1]又は[2]に記載のコイル払出方法。
[4]前記2本で一対の押さえロールを前記コイルの最下部から押し付けることを特徴とする[1]又は[2]に記載のコイル払出方法。
本発明によれば、降伏応力400MPa以上の熱延鋼帯のコイルをアンコイラーから払い出すに際し、コイルのスプリングバックに起因したスリ疵の発生を防止することができる。
本発明の一実施形態を模式的に示す。 従来技術の実施形態を模式的に示す。 2本で一対の押さえロールがコイル外周部を押さえている状態を模式的に示す。 1本の押さえロールがコイル外周部を押さえている状態を模式的に示す。 本発明の異なる実施形態を模式的に示す。 板幅1900mmの鋼帯について、板厚、押付け力の変化とスリ疵の発生状況を示す。 板幅1650mmの鋼帯について、板厚、押付け力の変化とスリ疵の発生状況を示す。
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には高強度熱延コイルの処理ラインの入側に設置されたアンコイラーが示されている。
ここでの処理ラインは、熱延コイルを処理する工程のアンコイラーから払い出して、熱延鋼板を処理するラインが対象となるが、具体的には、スパイラル鋼管の造管ライン、建機用高強度材のシートカットラインが挙げられる。ただし、これらに限定されるものではなく、熱延コイルの巻換えラインや調質圧延を行うスキンパスライン、短冊状にコイルのせん断を行うスリッターライン、酸洗ラインのアンコイラーの他、プレス成形ライン入側のアンコイラーにも適用できる。
熱延コイル1は、熱延コイルの中心部に装入されたアンコイラーのマンドレル2で支持されている。アンコイラーから払い出されたコイルの鋼帯は、通常、ピンチロール7を通過して、レベラー8で矯正されて、処理ラインの下流に送られる。
マンドレル2は、半径方向に拡縮可能であり、縮小させた状態でコイルを受け入れ、拡大させた状態でコイル内周面をチャックすることができる。
熱延コイルの払い出し(巻き戻し)には、マンドレルを駆動装置(不図示)により回転させながら行う場合と、マンドレルを熱延コイルと共に従動回転させながら行う場合とがある。本発明は熱延コイルの払い出し方式は問わず、いずれの方式にも適用できる。
いずれの場合にも、本発明では回転する熱延コイルの外側に2本で1対の押さえロール3a、3bが配置される。
押さえロール3a、3bは、互いに平行に遊転可能に支持ユニット4に支持されている。押さえロール3a、3bのロール長はコイル幅(鋼帯幅)以上である。
そして、ハウジング6などに設けた伸縮可能なシリンダー5により、支持ユニット4を介して、押さえロール3a、3bが熱延コイルをその外周部から押し付けることが可能な構造になっている。押さえロール3a、3bは、そのロール軸がコイルの回転軸(マンドレル2の回転軸)と平行になるようコイルに押し付けられる。
押さえロール3a、3bと支持ユニット4とシリンダーとは、後述するように、コイル外周部の鋼帯に曲げモーメントを付与する手段を構成している。
このように、2本で一対の押さえロールにより熱延コイルの外周部を押し付けるので、図2に示した1本の押さえロールと同様にコイル層間の摩擦抵抗を高めつつ、図3に示すように、2本の押さえロールによって鋼帯に曲げモーメントを付与することができる。このことにより、外周部の鋼板がスプリングバックによって変形しようとする動きを拘束して巻きほぐれを防止することができ、コイルの払い出し時に鋼帯のスリ疵が発生することを防止することができる。
押さえロール3aと押さえロール3bとのロール軸心間距離Lは、図3からも分かるように、短すぎると大きな曲げモーメントを鋼帯に付与することができない。また、ロール軸心間距離Lが長いと大きなモーメントを付与できるが、コイルの払い出し(巻き戻し)にしたがってコイル径が小さくなるので、軸心間距離Lにはおのずと限度がある。
本発明が対象とする熱延鋼帯のコイル径やマンドレル径などを考慮して、ロール軸心間距離は250mm以上とすることが望ましい。なお、払い出し開始時のコイル径はおよそ1800〜2200mm、マンドレル径は600〜800mmである。
本発明の実施の形態では、熱延コイルから熱延鋼帯が払出される間、押さえロールによってコイル外周部から押し付け力を付与することができるが、必ずしもアンコイラーから払出されるコイルの全長にわたって押付けを行う必要はなく、スプリングバックが大きく層間でスリ疵が発生しやすい外周部寄りの部位にのみ適用してもよい。例えば、コイルの払い出し(巻き戻し)開始の外周部からコイル巻き数の1/4程度までは押付けロールにより押付け力を付与しても良く、スリ疵の発生の仕方によって熱延コイル全長の内で適用すべき巻き数を決定すればよい。本発明者らの経験からは、熱延コイルの払い出し開始の外周部から全巻き数の少なくとも1/4から1/3程度まで、押さえロールによる押付けを行えば概ね層間のスリ疵は防止できる。したがって、本発明の実施の形態としては、必ずしも熱延コイルの尾端まで押さえロールによる押付けを続ける必要はない。
押さえロールにより付与する押付け力は、鋼帯のスプリングバック力の大きさに応じて、コイルの巻き緩みが発生しない程度にスプリングバックによる曲げモーメントとは逆方向の曲げモーメントを付与できる大きさでなければならない。
鋼板にスプリングバックを生じさせようとするモーメントは、熱延コイルの曲率によっても変化するが、概ね板厚の2乗に比例して、かつ板幅と降伏応力に比例するから、このモーメントと逆方向のモーメントを付与することでスプリングバックを発生させる曲げモーメントの影響を解消して、払い出し時に発生するするスリ疵を確実に防止することができる。
したがって、押さえロールの軸心間距離をL(mm)として、押付け力を以下の式(1)で示すP(kN)以上とすればよい。ここで、hは熱延鋼帯の板厚(mm)、Wは板幅(mm)、Yは降伏応力(MPa)である。

=0.001×h×W×Y/L・・・(1)
上記のことを確認するために、降伏力が約600MPa、板幅が約1900mm、板厚が約12〜25mmの範囲内の鋼帯の熱延コイルについて、スパイラル鋼管の造管ラインの入側に設けられたアンコイラーからの払い出し時に図1に示す2本で一対の押さえロール(ロール軸心間距離Lが500mm)でコイルを押付け力の値を変えて押さえ、スリ疵の発生状況を以下の基準で評価して調べた。結果を図6に示す。図中には式(1)で表されるPを実線で示している。
〇:コイル全長でスリ疵が発生しなかった場合
Δ:コイル全長でスリ疵が1〜5個発生した場合
×:コイル全長でスリ疵が6個以上発生した場合
図6から分かるように、押付け力をP以上にしてコイルを払い出すと、スリ疵の発生は皆無であったが、押付け力がP未満であると、ほとんどのコイルにおいてスリ疵が発生した。
同様に、降伏力が約1200MPa、板幅が約1650mm、板厚が約5〜10mmの範囲内の建機用高強度鋼板の熱延コイルについて、シートカットラインの入側に設けられたアンコイラーからの払い出し時に図1に示す2本一対の押さえロール(ロール軸心間距離Lが300mm)でコイルを押付け力の値を変えて押さえ、スリ疵の発生状況を調べた。結果を図7に示す。図中には式(1)で表されるPを実線で示している。スリ疵の評価基準は上記と同じである。なお、コイル長は250〜600mの範囲であった。
図7から分かるように、スリ疵の発生状況は、図6と同様であり、押付け力をP以上にしてコイルを払い出すと、スリ疵の発生は皆無であったが、押付け力がP未満であると、わずかな例を除いて、スリ疵が発生した。
このような押付け力は、アンコイラーのハウジングなどに設けたシリンダー5の圧力や荷重検出器による測定に基づいて、所定の押付け力になるよう制御することができる。
押付け力の上限については特に制約はないものの、押付け力が過大になるとマンドレル2を駆動するための動力が増加してしまう。また、引張力によって鋼板を搬送させる場合には、より大きな引張力が必要となるため、実用上は式(1)から求まるPの2倍程度を上限にするのが望ましい。
押さえロールを押し付ける際の押し付け位置は、図1ではコイルの最上部から押し付けた例を示しているが、熱延コイルの外周部からであれば特に問わない。また、押し付けのための動力源についても油圧、空圧等、所定の荷重を付与できるものであればその種類は問わない。
したがって、熱延コイルの下側に押さえロールを設置してもよく、図5に示すように、コイルの最下部から押し付けてもよい。
図5に示す押さえロールは、コイルを搭載して回転させるクレードルロールと同様の形式である。しかし、通常のクレードルロールは熱延コイルの自重を支えながら、コイルを回転させるものであり、押付け力としてはコイルの自重以上が負荷されることはない。一方、本発明の実施の形態では、所定の荷重P以上が必要である点で異なる。熱延コイルの自重自体は、極めて板厚が厚く、降伏応力が大きい鋼帯を除いては、前記Pよりも大きくなる場合が多いものの、熱延コイルの処理工程では、コイルを払い出している途中段階でもコイルの巻き緩みを抑制する必要があり、払出の途中段階では必然的には自重よりも前記Pが大きくなる状況が生じる。そのような場合でも押さえロールから熱延コイルに対して所定の押付け力を付与することで本発明の効果が得られる。
以上説明した通り、本発明のコイル払出方法によれば、熱延コイルの処理工程におけるアンコイラーで、鋼板に所定の曲げモーメントを付与することでスプリングバックを防止することができるので、払い出しの過程においてコイルの巻きほぐれが発生することがなく、鋼管の処理ラインなどにおいて発生しやすいスリ疵を防止し、高品質な製品の製造が可能になる。
熱延鋼帯のコイルは、通常、加熱炉、粗圧延機、仕上圧延機、冷却装置および巻取り機(コイラー)から構成されるホットストリップミルラインで製造されるが、これに限るものではなく、ステッケルミルのようにレバース式の熱間圧延機により製造された熱延鋼帯のコイルでもよい。
(実施例1)
降伏応力が400MPa以上の熱延鋼帯のコイルに対して、2本で1対の押さえロールによる押付け力の値や押さえロールの軸心間距離を変えて、アンコイラーから熱延鋼帯の払い出しを行い、払い出された鋼帯のスリ疵評価を行った。
押さえロールは、支持ユニットを介して、ハウジングに設けたシリンダーにより、コイルの最上部から押し付けた。
鋼帯は板厚が5〜24.5mm、板幅が1650〜1900mm、降伏応力は540〜1200MPaの範囲である。
スリ疵の評価を以下の基準で行った。その結果を表1に示す。なお、表1におけるP(kN)は式(1)により求めた値である。
〇:コイル全長でスリ疵が発生しなかった場合
Δ:コイル全長でスリ疵が1〜5個発生した場合
×:コイル全長でスリ疵が6個以上発生した場合
表1から分かるように、本発明例では、押付け力がP以上であり、スリ疵は観察されず、評価は〇(良好)であった。
これに対して、押付け力がP未満である比較例では、いずれもスリ疵が観察され、スリ疵評価がΔ(やや不良)か×(不良)であった。
(実施例2)
降伏応力が400MPa以上の鋼板に対して、図1に示す2本で1対の押さえロールによる払い出しと図2に示す1本の押さえロールによる払い出しを行い、アンコイラーから払い出して鋼帯のスリ疵評価を行なった。
2本で1対の押さえロールおよび1本の押さえロールは、いずれも、支持ユニットを介して、ハウジングに設けたシリンダーにより、コイルの最上部から押し付けた。
スリ疵評価の基準は実施例1と同じである。結果を表2に示した。なお、表2におけるP(kN)は式(1)により求めた値である。
表2から分かるように、同一の押付け力であっても、2本一対のロールにより押付け力をP以上として曲げモーメントを付与した本発明例の実施例No.1、3、5、7、9、11ではスリ疵評価は良好(〇)であった。
これに対して、1本の押さえロールによる比較例の実施例No.2、4、6、8、10、12では、スリ疵が防止できず、スリ疵評価は不良(×)あるいはやや不良(Δ)であった。
例えば、実施例No.1(本発明例)と実施例No.2(実施例)の対象鋼帯は、板厚、板幅、降伏応力、押さえロールの軸心間距離および押さえ力がP以上でともに同じであるが、2本一対の押さえロールで押さえた実施例No.1のスリ疵評価は〇であり、1本の押さえロールで押さえた実施例No.2のスリ疵評価は×である。
実施例No.3(本発明例)とNo.4(比較例)、実施例No.5(本発明例)とNo.6(比較例)、実施例No.7(本発明例)とNo.8(比較例)、実施例No.9(本発明例)とNo.10(比較例)、実施例No.11(本発明例)とNo.12(比較例)についても同様である。
本発明により、電縫鋼管やスパイラル鋼管の鋼管製造の処理ラインや建機用高強度鋼板のシートカットラインなどの処理ラインにおいて、アンコイラーでの熱延コイルの巻きほぐれに起因したスリ疵を防止して、高品質な鋼管や建機用シート材を製造することができる。
1:熱延コイル
2:マンドレル
3a、3b、3c:押さえロール
4:押さえロール支持ユニット
5:シリンダー
6:ハウジング
7:ピンチロール
8:レベラー

Claims (4)

  1. 降伏応力400MPa以上の熱延鋼帯のコイルをアンコイラーから払い出すに際し、2本で一対の押さえロールを、下記の式(1)で表されるP(kN)以上の押付け力でコイルの外周部から押し付けながら払い出すことを特徴とするコイル払出方法。

    =0.001×h×W×Y/L・・・(1)

    ここで、hは熱延鋼帯の板厚(mm)、Wは熱延鋼帯の板幅(mm)、Yは熱延鋼帯の降伏応力(MPa)、Lは2本で一対の押さえロールのロール軸心間距離(mm)である。
  2. 降伏応力400MPa以上の熱延鋼帯のコイルをアンコイラーから払い出すに際し、コイルの払い出し開始の外周部から全巻き数の少なくとも1/4まで、2本で一対の押さえロールを、下記の式(1)で表されるP(kN)以上の押付け力でコイル外周部に押し付けながら払い出すことを特徴とするコイル払出方法。

    =0.001×h×W×Y/L・・・(1)

    ここで、hは熱延鋼帯の板厚(mm)、Wは熱延鋼帯の板幅(mm)、Yは熱延鋼帯の降伏応力(MPa)、Lは2本で一対の押さえロールのロール軸心間距離(mm)である。
  3. 前記2本で一対の押さえロールを前記コイルの最上部から押し付けることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル払出方法。
  4. 前記2本で一対の押さえロールを前記コイルの最下部から押し付けることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル払出方法。
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