JP6413644B2 - 鋼の連続鋳造方法および連続鋳造鋳片 - Google Patents

鋼の連続鋳造方法および連続鋳造鋳片 Download PDF

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Description

本発明は、内部品質が良好な鋼鋳片を製造するための連続鋳造方法、およびその連続鋳造方法で製造した連続鋳造鋳片に関する。
連続鋳造方法によってスラブやブルームなどの鋳片を鋳造する場合に、鋳片の中心部にリンやマンガン等の成分が偏析する、いわゆる中心偏析が発生することがある。中心偏析は、鋼材の靱性低下や水素誘起割れの原因となることがあるので、可能な限り抑制することが必要である。
連続鋳造中の凝固末期において、溶鋼の凝固収縮に伴って未凝固溶鋼が最終凝固部の凝固完了点に向かって流動する。溶鋼流動に際して、固液界面の不純物濃化溶鋼が最終凝固部に集積する。これが中心偏析の原因となる。従って、中心偏析を軽減するためには、最終凝固部付近において、溶鋼の凝固収縮量に見合った分だけ凝固シェルを圧下することにより、最終凝固部付近の溶鋼流動を抑えることが有効となる。このような考え方に基づき、連続鋳造の二次冷却帯においてサポートロールによって鋳片を圧下する軽圧下技術が用いられている(例えば特許文献1)。
鋳片厚み中心部の性状が製品の品質に影響を及ぼす因子として、上記のような中心偏析部のリンやマンガンなどの成分の偏析のみならず、鋳片厚み中心部の結晶粒径も影響を及ぼす。特許文献2には、炭素鋼の連続鋳造鋳片において、鋳片凝固後に成長する結晶粒(凝固二次組織)に着目し、鋳片の厚さ方向中心における結晶粒径をdとし、圧下しないで鋳造した連続鋳造鋳片の厚さ方向中心における結晶粒径をd0とした場合に、dとd0の比の値d/d0が0.1〜0.8となるように鋳片の厚さ方向中心部が凝固した直後に圧下することを特徴とする技術が開示されている。これにより、鋳片の厚さ方向中心における凝固組織及び凝固二次組織が微細であるため、機械的特性が良好であり、大型構造物に用いられる極厚鋼板用の素材として好適なものを得ることができる。
鋼の焼入れ性の向上を目的に微量のBを含有させた連続鋳造鋳片の製造が行われている。Bを鋼中に含有させると変態温度が低下するため、熱延鋼板においては仕上げの圧延温度を下げることができ板厚の薄い鋼板の製造が容易になる。また、自動車用の部品をプレス加工により製造する際に、Bが添加されることでNの時効が抑制される。極低炭素鋼の場合には結晶粒界の結合力を向上させて二次加工時の脆性を抑制させるといった微量B添加の効果が知られている。しかしながら、Bを含有する鋳片を連続鋳造する際には、BNが結晶粒界に沿って列状に析出し、これが原因で鋳片表面に割れが生じることが明らかになっている。鋳片の厚み中央領域ではミクロ偏析およびこれに伴って生成するマクロ偏析により溶質元素が濃化するため粗大なBNが析出し、鋳片の内部割れの起点となる。このような現象は、TiN、AlNのような窒化物にも見られる。
特許文献3には、BNの析出を抑制するためにBの添加量に応じてNを低減し、あるいはTiを添加してBNの析出を抑制して、鋳片の割れを抑制する方法が開示されている。
以上のように、鋳片中の窒化物が品質に及ぼす影響としては、鋳片表面割れや内部割れとの関係については知られているものの、鋳片中心部に析出する窒化物が製品品質、例えば靱性に及ぼす影響については何ら知見が存在しない。
特開昭63−252655号公報 特開2012−200783号公報 特開昭56−80354号公報
本発明では、BN、TiN、AlNなどの窒化物を、以下単に「介在物」という。
厚板用鋼材を製造する場合には、素材となる連続鋳造鋳片も厚くなり、連続鋳造鋳片の凝固組織および結晶粒(特許文献2に記載の凝固二次組織)は鋳片表層から厚さ方向中央部に向かうに連れて冷却速度が小さくなるため粗大化する。そして、Al、Ti、Bを含有する鋼の連続鋳造においては、鋳片の結晶粒界に析出するBNをはじめとする介在物の大きさも、鋳造中の冷却速度が小さくなる厚さ方向中央部の方が大きくなり、粗大化した結晶粒界に析出するBNのサイズが大きくなり、個数も増える。このように大きなサイズのBNが鋳片の厚み中央領域に析出すると、製品の靭性が低下することがわかった。従って、窒化物に起因する靱性の低下を防止するためには鋳片厚み中央領域のBNを微細分散させることが必要である。TiN,AlNなどの窒化物も同様な挙動を示す。
また、粗大な窒化物の生成を抑制するには、溶鋼中のN濃度を低減すればよいが、溶鋼中のN濃度を低減するには操業上の負荷が大きくなるとともに、コストも増大することになり、従来から溶鋼中のN濃度を低減せずに窒化物の生成を低減する方法が望まれていた。
本発明は、Al、Ti、Bを含有する鋼の連続鋳造において、鋳片厚さ中央部の窒化物のサイズを小さくして、製品の靱性を向上することを目的とする。
本発明は、質量%で、C:0.02%〜0.25%、Si:0.005%〜3.0%、Mn:0.2%〜5.0%、P:0.02%以下、S:0.0005〜0.03%、Al:0.0005〜2.0%、Ti:0.005〜0.2%、B:0.0002〜0.005%、N:0.002〜0.010%、O:0.0001〜0.015%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる連続鋳造鋳片を対象とする。
鋳片の中央領域が固液共存状態で鋳片を圧下率5%以上で圧下すると、凝固組織の形成に伴うミクロ偏析を低減するとともに、凝固組織であるデンドライト・アーム間隔を減少させることができる。このように狭まったアーム間隔内で介在物(窒化物)を生成させると、凝固過程で晶出する介在物を微細化することができる。即ち、鋳片を固液共存状態で圧下率5%以上で圧下することが必要である。
鋼の連続鋳造鋳片内において、粗大なBNなどが析出する場所は、鋳片厚みの中央領域における凝固組織であるデンドライトのアームの間隙である。結晶粒は冷却速度が小さいと粗大となるだけでなく、鋳片厚み中央領域のように冷却速度が小さく、高温状態で長時間保持される場合は、結晶粒はさらに粗大化が進むことになる。これにともなって、介在物も粗大化する。
デンドライトのアームの間隙に溶質元素が濃化するため、析出のための溶解度積が飽和溶解度を超え易くなり、結果として介在物が生成し易くなる。また、デンドライトのアームの間隔は冷却速度が小さいほど大きくなり、アーム間隔が大きいほどアームの間隙で生成する介在物のサイズも大きくなる。凝固が完了する前のデンドライト・アーム間隔を低減させれば、アーム間隙で生成する介在物を小さくすることができる。
鋳片中心部において粗大な介在物の生成を抑制するには、鋳片の厚み中央の凝固が完了する前、具体的には鋳片厚み中央部の固相率(以下「中心固相率」という。)が0より大きく0.8より小さい範囲において、鋳片を圧下してデンドライトのアーム間隔を小さくすればよい。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、その要旨は、下記の(1)(2)に示す連続鋳造方法、および(3)に示す連続鋳造鋳片にある。
(1)質量%で、C:0.02%〜0.25%、Si:0.005%〜3.0%、Mn:0.2%〜5.0%、P:0.02%以下、S:0.0005%〜0.03%、Al:0.005%〜2.0%、Ti:0.005%〜0.2%、B:0.0002%〜0.005%、N:0.002%〜0.01%、O:0.0001%〜0.015%、残部Fe及び不可避的不純物である溶鋼を鋳造し、中心固相率が0より大きく0.8より小さい範囲において、圧下率5〜50%で鋳片を圧下することを特徴とする連続鋳造方法。
(2)圧下の際の鋳片の表面温度が1300℃〜600℃であることを特徴とする上記(1)記載の連続鋳造方法。
(3)質量%で、C:0.02%〜0.25%、Si:0.005%〜3.0%、Mn:0.2%〜5.0%、P:0.02%以下、S:0.005%〜0.03%、Al:0.005%〜2.0%、Ti:0.005%〜0.2%、B:0.0002%〜0.005%、N:0.002%〜0.01%、O:0.0001%〜0.015%、残部Fe及び不可避的不純物であり、鋳片の厚み1/4位置に対して±25mmの範囲における窒化物BN、TiN、AlN(介在物)のサイズdQ(円相当直径)に対して、鋳片厚み中央の±25mmの範囲における介在物のサイズdCの比(dC/dQ)が1.0〜2.0であることを特徴とする連続鋳造鋳片。
本発明の連続鋳造方法及びそれを用いた連続鋳造鋳片によれば、鋳片の厚み中央領域の介在物が微細で内部品質が良好な鋳片の製造が可能になる。
本発明の連続鋳造方法及びそれを用いた連続鋳造鋳片について以下にさらに詳細に説明する。
凝固組織はデンドライト形態をしており、溶質元素の平衡分配係数が1.0より小さい場合は、デンドライトの樹間部に溶質元素が濃化してミクロ偏析を形成する。このデンドライトの樹間に濃化した液相が、デンドライトの樹間部に浸入した溶鋼によりデンドライト前方に排出されることでマクロ偏析が形成される。結晶粒の成長がより低温でも進行し、結果的に結晶粒が粗大になる。
デンドライトの大きさは冷却速度に依存して変化し、冷却速度が大きいほど小さくなる。鋳片厚み中央領域の冷却速度は小さく、冷却は凝固シェルの熱伝導律速で決まることから、この位置のデンドライトは粗大であり、デンドライト樹間部のミクロ偏析も著しい。また、ミクロ偏析が顕著であることからマクロ偏析も著しくなり、粗大なデンドライト・アーム間隙で生成する介在物も粗大になる。介在物の粗大化を抑制するには、介在物の生成過程で、凝固に伴い生成したミクロ偏析およびマクロ偏析を拡散により低減することが重要である。
ミクロ偏析およびマクロ偏析の拡散促進効果については無次元数であるフーリエ数Foで評価することができる。このフーリエ数Foが大きいほど拡散の効果が大きい。フーリエ数Foの定義式は、Fo=(拡散係数D(T)×時間t)/(拡散距離λ)2である。このうち拡散係数D(T)は温度Tの関数であり、一般に温度の高いほどこの値は大きい。この式を基に、操業での変更因子について以下で検討した。
拡散距離λは、連鋳鋳片で見られるミクロ偏析およびマクロ偏析の領域の長さに相当する。拡散係数Dは温度Tの関数で、温度を高めDを増大させることが拡散の促進が可能になる。
連続鋳造工程において、Foを大きくするには拡散距離λを低減する方法が考えられる。拡散係数Dは温度Tの関数であり、温度を高めることで拡散係数を大きくすることができる。しかし、連続鋳造においては、生産効率を上げるために鋳片の最終凝固位置が機長限界に達するまで鋳造速度を上昇している。この間の鋳片の温度は連鋳機の機長で決まってしまい、操業上変えることは困難である。
また、時間tについても同様で、鋳造速度と連鋳機の機長で決まってしまい、変化させることは困難である。
そこで本発明者らは、連続鋳造工程で、鋳片の厚み中央部の凝固が完了する前に鋳片を圧下して鋳片内部に歪を付与し、デンドライトを変形させてミクロ偏析およびマクロ偏析の距離を短くすればよいことを発案した。凝固完了前で厚さ中心部が固液共存している領域で鋳片を圧下すると、鋳片厚み中央領域には固相の周囲には液相が残存しているとともに、温度も高いことからデンドライトに効率よく歪を付与することができ、拡散距離を低減することができる。
デンドライト・アーム間隙に濃化した溶鋼中から介在物が生成し、拡散が促進されるまでの間に介在物が生成するが、凝固完了前に鋳片を圧下することにより、これらはいずれも微細になる。
本発明では、鋳片の厚み中央で品質を改善すべき領域として、厚み中央領域±25mmの範囲を対象とする。また、当該領域の品質改善状況を比較する対象として、鋳片の厚み1/4位置±25mmの範囲に着目する。
鋳片の厚み中央領域±25mmにおける介在物を微細化するには、デンドライト樹間部でミクロ偏析により濃化した液相中から介在物が晶出することから、デンドライトの凝固状態を示す鋳片厚み中央部の固相率(中心固相率)が0より大きく0.8未満において、鋳片を圧下してデンドライト樹間部を変形させてデンドライトの間隔を低減させて、介在物が生成する領域を減少させることが有効である。中心固相率が0では固液共存状態ではないので、圧下しても効果を発揮できない。また、中心固相率が0.8以上であると、いったん結合した隣接するデンドライト・アーム同士が破断することになり、鋳片内部に割れが発生することがあるので、中心固相率が0.8未満で圧下することとした。
ここで、連続鋳造中の鋳造長手方向における中心固相率の算出方法について説明する。鋳片の伝熱シミュレーションプログラムを用いて、予めミクロ偏析による溶質元素の濃化を考慮した凝固解析を行い、鋳片厚み中央部の温度と固相率の関係を求め、さらに操業中においても測定可能な鋳片の表面温度と鋳片厚み中央の固相率の関係を求めることができる。ここでは、鋳造中の鋳片表面温度を実測し、実測した鋳片表面温度を代入して計算機にて凝固解析を行い、鋳造長手方向各部位の中心固相率を算出した。ここで、密度ρは、ρ=7.27+0.25×固相率(g/cm3)とした。(鉄と鋼、vol.94(2008)、p.507:水上英夫、山中章裕)
鋳片の表面温度が600℃より低いと、鋳片厚み中央部の固相率が0.8以上になり、本発明から外れることとなる。また、鋳片の表面温度が1300℃を超えると、中央領域の温度が液相線温度を超える場合があり、中心固相率が0となり、この場合はデンドライトを形成させることができないことから、中央領域のデンドライト・アーム間隔を低減させることができない。そこで、圧下の際の鋳片の表面温度を600℃以上、1300℃以下とした。尚、中心固相率が0より大きいとは0は含まないものとする。
本発明は、鋳片の厚みが厚いほど、より一層効果を発揮することができる。厚みが厚いほど、鋳造中における厚み中央部の冷却速度が遅くなり、介在物が粗大化しやすくなるため、固液共存層を圧下して介在物を微細化する本発明の効果が顕著になるからである。鋳片の厚みが100mm以上であると好ましい。鋳片の厚みが150mm以上であるとより好ましい。鋳片の厚みが200mm以上であるとさらに好ましい。
圧下の際の鋳片の表面温度を変えるには、二次冷却帯の冷却条件を一定にした場合に、鋳造速度を変えることが考えられる。鋳造速度が大きいほど、同一鋳造長さ位置における鋳片の表面温度は高くなる。例えば、厚み250mmのスラブを連続鋳造するに際し、メニスカスからの鋳造長さ位置が35m付近に圧下ロールを配置した場合、鋳造速度を0.5m/分より小さいと、圧下位置での表面温度が600℃より低くなる。また、鋳造速度が1.6m/分をより大きくなると圧下位置での表面温度が1300℃を超えてしまう。そこで、このような条件であれば鋳造速度の範囲を0.5〜1.6m/分とする。
鋳片の圧下率が5%より小さいと、鋳片の厚み中央領域のデンドライト・アーム間隔の低減比が小さくなり、靭性指数の向上および介在物の粗大化抑制を行うことが困難になる。また、圧下率が50%を超えると、圧下に要する力が大きくなり、設備費が高くなる。このため鋳片を圧下するに際しての圧下率は5〜50%とした。ここで、圧下率の定義は、(圧下前の鋳片厚み−圧下後の鋳片厚み)/圧下前の鋳片厚み×100%である。圧下に際し、1対の圧下ロールで5〜50%の圧下率を実現しても良い。あるいは、複数対の圧下ロールを連続して配置し、複数対の圧下ロール合計で5〜50%の圧下率を実現しても良い。
本発明の連続鋳造鋳片において、鋳片の厚み1/4位置に対して±25mmの範囲における窒化物BN、TiN、AlN(介在物)のサイズdQ(円相当直径)に対して、鋳片厚み中央の±25mmの範囲における介在物のサイズdCの比(dC/dQ)が1.0〜2.0であれば、鋳片中心部の介在物起因の靱性低下を大幅に改善することができる。
本発明の成分組成を有する鋳片について、中心固相率が0より大きく0.8より小さい範囲において、圧下率5〜50%で鋳片を圧下することにより、介在物サイズ比(dC/dQ)を1.0〜2.0の範囲とすることができる。
鋳片の成分組成の限定理由および好ましい範囲(質量%):
C:0.02%〜0.25%
Cは、鋼の強度向上に寄与する元素である。極厚鋼板を大型構造物用として十分な強度にするには、C含有率を0.02%以上とする必要がある。しかし、C含有率が0.25%を超えると、鋼の溶接性が劣化する。これらのことから、本発明では、C含有率を0.02%〜0.25%とする。
Si:0.005%〜3.0%
Siは、鋼の曲げ性をさほど劣化させることなく強度の向上に寄与する元素である。しかし、Si含有率が3.0%を超えると、化成処理性が低下する。このことから、本発明では、Si含有率を0.005%〜3.0%とする。
Mn:0.2%〜5.0%
Mnは、鋼の強度向上に寄与する元素である。厚鋼板を機械構造物用として十分な強度にするには、Mn含有率を0.2%以上とする必要がある。しかし、Mn含有率が5.0%を超えると、製造コストが上昇する。これらのことから、本発明では、Mn含有率を0.2%〜5.0%とする。
P:0.02%以下
Pは、一般には鋼に不可避的に含有される不純物であるものの、固溶強化元素でもあり鋼板の強化に有効であるため、積極的に含有させてもかまわない。しかしながら、P含有率が0.02%を超えると靭性が劣化する。そのため、本発明では、P含有率を0.02%以下とする。より確実に鋼板を強化するには、P含有率を0.003%以上とすることが好ましい。
S:0.0005〜0.03%
Sは、鋼に不可避的に含有される不純物であり、曲げ性および溶接性の観点からは、含有率は低いほど好ましい。そのため、本発明では、S含有率を0.0005〜0.03%とする。
Al:0.005%〜2.0%
Alは、鋼を脱酸させるために添加される元素であり、Ti等の炭窒化物形成元素の歩留まりを向上させるのに有効に作用する元素である。しかし、Al含有率が2.0%を超えると、酸化物系介在物のサイズが大きくなるため、鋼板の表面性状も劣化する。これらのことから、本発明では、Al含有率を0.005%〜2.0%とすることが好ましい。
Ti:0.005〜0.2%
Tiは、主として炭窒化物を析出し、その析出強化作用により母材強度の向上に寄与する有効な元素である。Ti含有率が0.005%未満では、炭窒化物の析出強化作用により母材強度を向上させる効果が充分ではなく、一方、Ti含有率が0.2%を超えて高くなると、鋼中に粗大な介在物を形成して、鋼の靭性を低下させる。上記の理由から、Ti含有率の適正範囲を0.005〜0.2%とした。
B:0.0002〜0.005%
Bは、含有させれば焼入れ性を増大させるとともに、BNを生成することで固溶Nの含有率を低下させ、HAZの靭性を向上させる効果がある。ただし、B含有率が0.0002%未満では、焼入れ性の増大効果およびHAZの靭性向上効果が明確では無い。しかしながら、B含有率が0.005%を超えて高くなると、鋼中に粗大な硼化物が析出し、これにより鋼の靭性が劣化する。上記の理由から、Bを含有させる場合のB含有率の範囲を0.0002〜0.005%とした。
N:0.002〜0.010%
Nは、鋼に不可避的に含有される不純物であり、鋼板の曲げ性の観点からは、含有率は低いほど好ましいが、窒化物を活用するには0.002%以上必要である。そのため、本発明では、N含有率を0.002〜0.010%とすることが好ましい。
本発明の効果はNが0.004%以上の鋼板でより顕著である。
O:0.0001〜0.015%
Oは、鋼に不可避的に含有される不純物であり、鋼中に粗大な介在物を形成して鋼の靭性を低下させるため、含有率は低いほど好ましいが、酸化物を活用するには0.0001%以上必要である。そのため、本発明では、O含有率を0.0001〜0.015%とすることが好ましい。
本発明の鋳片の連続鋳造方法の効果を確認するため、以下に示す試験を実施して、その結果を評価した。表1において、本発明範囲を外れる数値にアンダーラインを付している。
(1)鋳造条件
溶鋼成分:C:0.02%〜0.25%、Si:0.005%〜3.0%、Mn:0.2%〜5.0%、P:0.02%以下、S:0.0005%〜0.03%、Al:0.005%〜2.0%、Ti:0.005%〜0.2%、B:0.0002%〜0.005%、N:0.002%〜0.01%、O:0.0001%〜0.015%であって表1に示す成分
溶鋼温度:1570℃(タンディッシュ内溶鋼温度)
鋳型サイズ:幅1400mm×厚さ250mm
鋳造速度:0.5〜1.6m/分
圧下ロール対:1対(フラットロール)
圧下用ロール径:直径500mm
圧下を行う部位の中心固相率:表1に示す(本発明例は0より大きく0.8より小さい範囲)
圧下率:表1に示す(本発明例は5〜50%)
圧下時の鋳片表面温度:表1に示す(本発明例は600〜1300℃)
圧下後の鋳片厚さ:238〜125mm
(2)評価方法
連続鋳造方法の効果は、介在物BN、TiN、AlNのサイズで評価した。介在物の測定用の試料は、鋳片幅中央部で、厚み1/4位置と厚み中央位置から採取した。1/4位置からは、1/4位置を中心に厚み方向に±25mm、鋳造方向に50mmのサイズの試料を採取し、この50mm×50mmの面を分析した。中央部からは、厚み中央から±25mm、鋳造方向に50mmのサイズの試料を採取し、50mm×50mmの面を分析した。
介在物の分析は、SEM−EDAXを用い、倍率1000倍で1μm以上のサイズの介在物(BN、TiN、AlN)の個数とサイズを測定した。介在物のサイズは円相当直径とし、1/4位置の円相当直径の平均値dQで、厚み中央部の平均値dCを割り(dC/dQ)規格化して、介在物径比と定義した。試料の分析面は、エメリー・ペーパーおよび研磨剤(粒径が6μmおよび1μmのダイヤモンドの砥粒)を順に使用して研磨して仕上げた。
介在物の微細化による効果を検討するため、シャルピー試験を行った。靭性の測定用の試料は、上記条件で作製した連続鋳造鋳片に、1250℃で90分保持する熱処理を行った後、制御圧延・制御冷却法、焼入れ・焼戻し法、および直接焼入れ・焼戻し法のいずれかの製造方法によって圧下率20%で圧延して鋼板を製造した。厚み中央部から採取した。試料の形状は、縦10mm、横10mm、長さ100mmの角柱状とした。鋳片の厚み方向を試料の長手方向とし、鋳片の厚み中央部を試料の長手中央部とし、当該中央部をノッチ位置とした。この試料を用いて再現HAZ試験およびシャルピー試験を行なった。
再現HAZ試験は、高周波誘導加熱装置を用いてArガス雰囲気中で行い、試料の長さ方向の中心の幅10mmの領域を加熱した。加熱は室温から1450℃まで30秒間で加熱し、60秒間保持した後、Heガスを用いて加熱部を急速冷却した。
再現HAZ試験を行った試験片の長さ方向の中心部にノッチを入れ、温度0℃の雰囲気中においてシャルピー試験を行い、吸収エネルギーを求めた。ここで、圧下をしない比較例1の吸収エネルギーを基準とした吸収エネルギーの比を靭性指数と定義した。
Figure 0006413644
表1に示すように、連続鋳造工程で鋳片を圧下して、鋳片の厚み1/4位置±25mmに対する厚み中央領域±25mmにおける介在物の円相当直径比(dC/dQ)が1.0〜2.0の範囲にあれば靭性の良好な鋳片の製造が可能である。また、中心固相率が0より大きく0.8より小さい範囲において、圧下率5〜50%で鋳片を圧下することにより、介在物サイズ比(dC/dQ)が1.0〜2.0の範囲となっている。
圧下を行わない比較例1は介在物サイズ比が5.52と大きく、靱性は本発明例に比較して低位であった。圧下位置の中心固相率が0.91と本発明範囲を外れる比較例2についても、比較例1と同様の成績であった。
本発明の連続鋳造方法によれば、介在物が微細に分散した圧延用鋼材を製造することができる。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.02%〜0.25%、Si:0.005%〜3.0%、
    Mn:0.2%〜5.0%、P:0.02%以下、
    S:0.0005%〜0.03%、Al:0.005%〜2.0%、
    Ti:0.005%〜0.2%、B:0.0002%〜0.005%、
    N:0.002%〜0.01%、O:0.0001%〜0.015%
    残部Fe及び不可避的不純物である溶鋼を鋳造し、中心固相率が0より大きく0.8より小さい範囲において、圧下率5〜50%で鋳片を圧下することを特徴とする連続鋳造方法。
  2. 圧下の際の鋳片の表面温度が1300℃〜600℃であることを特徴とする請求項1記載の連続鋳造方法。
  3. 質量%で、C:0.02%〜0.25%、Si:0.005%〜3.0%、
    Mn:0.2%〜5.0%、P:0.02%以下、
    S:0.005%〜0.03%、Al:0.005%〜2.0%、
    Ti:0.005%〜0.2%、B:0.0002%〜0.005%、
    N:0.002%〜0.01%、O:0.0001%〜0.015%
    残部Fe及び不可避的不純物であり、
    鋳片の厚み1/4位置に対して±25mmの範囲における窒化物BN、TiN、AlN(以下単に「介在物」という。)のサイズdQ(円相当直径)に対して、鋳片厚み中央の±25mmの範囲における介在物のサイズdCの比(dC/dQ)が1.0〜2.0であることを特徴とする連続鋳造鋳片。
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