JP6413082B2 - 電解コンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、巻回タイプの電解コンデンサに関する。
電解コンデンサは、コンデンサ素子と、該コンデンサ素子が収容された有底筒状の外装ケースと、該外装ケースの開口部を封止する封口部材とを備えている(例えば、特許文献1参照)。コンデンサ素子は巻回体を有し、該巻回体は、陽極箔、陰極箔、及びセパレータを含んでいる。陽極箔の表面には、誘電体被膜が形成されている。巻回体において、陽極箔及び陰極箔は、陽極箔に陰極箔が重ねられた状態で巻回されている。又、セパレータは、巻回体において陽極箔と陰極箔との間に介在する様に、陽極箔及び陰極箔に重ねられている。セパレータには電解質が含浸されている。
従来、陰極箔の長手方向についての長さは、陽極箔の長手方向についての長さより大きく、且つ、陽極箔全体に陰極箔が重ねられていた。この様に、従来の電解コンデンサおいては、陽極箔と陰極箔とを互いに対向させることによりコンデンサ成分を生じさせていた。
実開昭61−75124号公報
近年、電子機器の小型化及び高性能化に伴い、電子機器に搭載される電解コンデンサとして、単位体積あたりの静電容量が従来よりも大きいものが求められている。単位体積あたりの静電容量を増大させるための手法として、例えば、陽極箔の表面に形成される誘電体被膜の厚さを小さくすることが考えられる。しかし、この手法では、漏れ電流が増大する虞がある。又、従来の電解コンデンサにおいて、陽極箔及び陰極箔の巻回数を単に増やしただけでは、静電容量の増大に伴って電解コンデンサのサイズも大きくなり、従って単位体積あたりの静電容量は大きくならない。
そこで、本発明の目的は、単位体積あたりの静電容量を増大させることが可能な電解コンデンサを提供することである。
本発明に係る電解コンデンサは、巻回体を備えている。巻回体は、陽極部材と、陰極部材とを有し、陽極部材の表面には誘電体被膜が形成されている。巻回体において、陽極部材及び陰極部材が、陽極部材の一部に陰極部材が重ねられた状態で巻回されている。又、陽極部材の長手方向についての長さが、陰極部材の長手方向についての長さより大きく、且つ、陽極部材は、陰極部材を介さずに互いに対向する陽極対向部を含んでいる。
本発明に係る電解コンデンサによれば、単位体積あたりの静電容量を増大させることが出来る。
図1は本発明の実施形態に係る電解コンデンサを示した断面図である。 図2は実施形態に係る電解コンデンサが備えるコンデンサ素子を、その一部を分解して示した斜視図である。 図3はコンデンサ素子の巻回体を構成する陽極箔、陰極箔、及びセパレータについて、巻回前の形状を示した図である。 図4は巻回体の上面図であって、陰極箔の巻き終わりの位置及びその周辺の領域を拡大して示した図である。 図5は第1変形例に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。 図6は第2変形例に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。
図1は、本発明の実施形態に係る電解コンデンサを示した断面図である。図1に示す様に、電解コンデンサは、コンデンサ本体40と、該コンデンサ本体40が搭載された座板50とから構成されている。コンデンサ本体40は、コンデンサ素子41と、該コンデンサ素子41が収容された有底筒状の外装ケース42と、該外装ケース42の開口部421に嵌挿された封口部材43とから構成されている。
図2は、コンデンサ素子41を、その一部を分解して示した斜視図である。図2に示す様に、コンデンサ素子41は、巻回体1と、陽極リードタブ端子2と、陰極リードタブ端子3とを有している。巻回体1は、陽極箔11、陰極箔12、並びに2枚のセパレータ13及び14を含んでいる。陽極箔11及び陰極箔12はそれぞれ、アルミニウム、タンタル、ニオブ等の弁作用金属から形成されている。陽極箔11の表面には、誘電体被膜(図示せず)が形成されている。巻回体1において、陽極箔11及び陰極箔12は、陽極箔11の一部に陰極箔12が重ねられた状態で巻回されている。又、セパレータ13及び14は、巻回体1において陽極箔11と陰極箔12との間に介在する様に、陽極箔11及び陰極箔12にそれぞれ重ねられている。尚、巻回体1は、箔に限定されない様々な形態の陽極部材及び陰極部材が巻回されたものであってもよい。
陽極リードタブ端子2は、その平坦部21が陽極箔11に加締められることにより、陽極箔11に取り付けられると共に、陽極箔11に対して電気的に接続されている。又、陰極リードタブ端子3は、その平坦部31が陰極箔12に加締められることにより、陰極箔12に取り付けられると共に、陰極箔12に対して電気的に接続されている。
図3は、陽極箔11、陰極箔12、並びにセパレータ13及び14について、巻回前の形状を示した図である。図3に示す様に、陽極箔11は、その長手方向についての長さL1が、陰極箔12の長手方向についての長さL2より大きい。又、セパレータ13は、陽極箔11と同程度の長さを有し、セパレータ14は、陰極箔12と同程度の長さを有している。
巻回体1を作製する際(図2参照)、陰極箔12及びセパレータ14を巻芯(図示せず)に仮留めし、この状態で巻芯を回転させる。これにより、陰極箔12に対してセパレータ14が内側になる様に、陰極箔12及びセパレータ14を巻芯に巻き付けていく。そして、これらの巻回途中で、既に巻回された部分とこれから巻回される部分との間に、陽極箔11及びセパレータ13を、陽極箔11に対してセパレータ13が内側になる様に差し込む。この様にして、巻芯に、陽極箔11及びセパレータ13を更に巻き付けていく。尚、巻回体1の作製方法は、この態様に限定されるものではない。例えば、陽極箔11及びセパレータ13を巻芯に仮留めし、陽極箔11及びセパレータ13の巻回途中で陰極箔12及びセパレータ14を差し込んでもよい。或いは、陽極箔11、陰極箔12、並びにセパレータ13及び14を全て巻芯に仮留めし、この状態で巻芯を回転させることにより、これらを巻芯に巻き付けてもよい。
図4は、巻回体1の上面図であって、陰極箔12の巻き終わりの位置及びその周辺の領域を拡大して示した図である。尚、図4には示されていないが、巻回体1の中心である巻回軸1b(図1又は図2参照)は、図4に示された領域の上方に存在している。巻回体1において、陽極箔11は、陰極箔12を介さずに互いに対向する陽極対向部111(図4においてハッチングが施された部分)を有している。よって、巻回体1は、陽極対向部111が巻回された陽極巻回部10を有している。換言すれば、巻回体1は、陽極箔11の一部が陰極箔12と重ならずに巻回されている部分を有している。
本実施形態においては、陽極対向部111は、巻回軸1bを中心とした径方向において、陰極箔12の最外周面12aの外側に設けられている。又、陰極箔12の最外周面12aの外側において、陽極箔11の一部が、巻回軸1bを中心として2周以上巻回されており、これにより陽極対向部111が構成されている。更に、本実施形態においては、陰極箔12は、巻回軸1bを中心として1周以上巻回されている。
上述した様に、本実施形態においては、セパレータ13の長さは陽極箔11の長さL1と同程度であり、セパレータ14の長さは陰極箔12の長さL2と同程度である。よって、図4に示す様に、陽極対向部111の対向面間には、2枚のセパレータ13及び14のうち一方のセパレータ13のみが介在している。例えば、セパレータ14の長さが陽極箔11の長さL1と同程度に設定された場合、陽極対向部111の対向面間には、2枚のセパレータ13及び14が介在することになる。この様な構成に比べて、本実施形態の構成によれば、陽極対向部111の対向面間の距離が小さくなり、その結果、巻回体1の体積が小さくなる。
巻回体1において、セパレータ13及び14には、固体又は液体の電解質が含浸されている。ここで、セパレータ13は、陽極箔11と陰極箔12との間に介在するだけでなく、陽極対向部111の対向面間にも介在している。従って、巻回体1の陽極巻回部10(陰極箔12の最外周面12aより外側の部分)の内部には、電解質が存在している。よって、陰極箔12に重なる陽極箔11の表面だけなく、陽極対向部111の対向面も、コンデンサ成分を生じる電極表面として機能することになる。尚、セパレータ13及び14はそれぞれ、電気絶縁性のセパレータであってもよいし、導電性のセパレータであってもよい。
図1に示す様に、陽極リードタブ端子2及び陰極リードタブ端子3は、巻回体1の下端面1aから引き出されている。尚、陽極箔11に取り付けられている陽極リードタブ端子2の本数は、1本に限らず複数本であってもよい。又、陰極箔12に取り付けられている陰極リードタブ端子3の本数は、1本に限らず複数本であってもよい。
陽極リードタブ端子2及び陰極リードタブ端子3は、封口部材43を貫通している。これにより、コンデンサ素子41が封口部材43に固定されると共に、陽極リードタブ端子2のリード部22と陰極リードタブ端子3のリード部32とが、外装ケース42の外部へ引き出されている。リード部22及び32はそれぞれ、座板50を貫通すると共に、先端部分が座板50の下面50aに沿う様に屈曲している。この様にして、リード部22及び32のうち、座板50の下面50aに存在する部分により、電解コンデンサの外部端子が形成されている。
外装ケース42は、アルミニウム等の金属材料から形成されている。外装ケース42の開口部421には、これに横絞り加工を施すことにより、外装ケース42に封口部材43を固定するための絞り部422が形成されている。本実施形態においては更に、外装ケース42の開口端部にカール処理が施されている。尚、外装ケース42は、金属材料に限らず、電気絶縁材料を含む種々の材料から形成されていてもよい。
封口部材43は、ゴム等の弾性材料から形成されている。絞り部422は、封口部材43をその周囲から内側へ向けて圧縮している。これにより、封口部材43は、弾性変形すると共に、その側周面43aが外装ケース42の内周面42aに密着している。この様にして、外装ケース42の開口部421が、封口部材43により封止されている。尚、外装ケース42の開口部421は、封口部材43の嵌挿に代えて開口部421に樹脂材が充填されることにより、この樹脂材によって封止されていてもよい。
本実施形態においては、上述した様に、陽極対向部111の対向面間には陰極箔12が存在しない。よって、陽極対向部111を持たない従来の構成と本実施形態の構成とを同じ寸法で比較した場合、本実施形態の電解コンデンサの方が、陽極箔11の巻回数が多くなる。よって、本実施形態の電解コンデンサによれば、コンデンサ成分を生じる電極表面の総面積が増大し、その結果、単位体積あたりの静電容量が増大することになる。
巻回体1において、陽極箔11が巻回される位置が巻回軸1bから径方向へ離れる程(陽極箔11の巻回径が大きくなる程)、陽極箔11の1周分の長さが大きくなる。ここで、本実施形態においては、陽極対向部111が、巻回軸1bを中心とした径方向において、陰極箔12の最外周面12aの外側に設けられている。よって、陽極対向部111の1周分の長さは大きく、従って、電解コンデンサにおいて単位体積あたりの静電容量を増大させ易い。
単位体積あたりの静電容量を効率良く増大させるという観点からは、本実施形態の様に、陰極箔12の最外周面12aの外側において、陽極箔11の一部(陽極対向部111)が、巻回軸1bを中心として2周以上巻回されていることが好ましい。この構成によれば、陽極対向部111の1周目の部分の外周面全体を、コンデンサ成分を生じる電極表面として有効に機能させることが出来る。これに加えて、陽極対向部111の2周目の部分の内周面全体が、コンデンサ成分を生じる電極表面として有効に機能する。
更に、本実施形態においては、陰極箔12が、巻回軸1bを中心として1周以上巻回されている。陽極箔11と陰極箔12とを巻回する過程において、巻回軸1bを中心として陰極箔12が1周以上巻回されれば、製造過程及び完成品において陽極箔11からの陰極箔12のずれが生じ難くなる。
図5は、上記電解コンデンサの第1変形例を示した断面図である。第1変形例においては、巻回体1の内部及び最外周面1cに固体電解質層15が形成されている。尚、図5では、固体電解質層15のうち、巻回体1の最外周面1cに形成された部分だけが模式的に示されている。この様な構成において、固体電解質層15の最外周面15aのうち陽極対向部111の最外周面(陽極巻回部10の最外周面)上に存在する領域Rの少なくとも一部に、陰極層16が形成されていることが好ましい。陰極層16は、例えば、固体電解質層15の最外周面15aに形成されたカーボン層(図示せず)と、該カーボン層上に形成された銀ペースト層とから構成されている。尚、図5に示す様に、固体電解質層15の最外周面15aにおいて、陰極層16の一部が、領域R以外の領域に形成されていてもよい。又、陰極層16は、固体電解質層15の最外周面15a全体に形成されていてもよい。
第1変形例の電解コンデンサによれば、陽極巻回部10の陰極部分に生じる抵抗成分が、陰極層16によって低減される。よって、電解コンデンサにおいて、巻回体1に陽極巻回部10を設けたことによるESRの増加が抑制されることになる。
図6は、上記電解コンデンサの第2変形例を示した断面図である。図6に示す様に、陽極巻回部10は、巻回軸1bを中心とした径方向において、陰極箔12の最内周面12bより内側に設けられていてもよい。この構成においては、陽極対向部111が、陰極箔12の最内周面12bの内側に設けられることになる。
尚、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、陽極巻回部10は、巻回軸1bを中心とする径方向において、陰極箔12の最外周面12aと最内周面12bとの間に設けられていてもよい。又、上記実施形態においては、陰極箔12の最外周面12aの外側において、陽極箔11の一部が、巻回軸1bを中心として2周以上巻回されている。しかし、本発明はこれに限定されず、最外周面12aの外側での陽極箔11の巻回数は2周未満であってもよい。更には、上記実施形態において、最外周面12aの外側での陽極箔11の巻回数が1周以下であり、陽極対向部111が存在しないものの、陽極箔11の長さL1が陰極箔12の長さL2よりも大きいといった構成が採用されてもよい。
1 巻回体
1a 下端面
1b 巻回軸
1c 最外周面
2 陽極リードタブ端子
3 陰極リードタブ端子
R 領域
10 陽極巻回部
11 陽極箔(陽極部材)
12 陰極箔(陰極部材)
12a 最外周面
12b 最内周面
13、14 セパレータ
15 固体電解質層
15a 最外周面
16 陰極層
21、31 平坦部
22、32 リード部
40 コンデンサ本体
41 コンデンサ素子
42 外装ケース
42a 内周面
43 封口部材
43a 側周面
50 座板
50a 下面
111 陽極対向部
421 開口部
422 絞り部

Claims (5)

  1. 陽極部材と、陰極部材とを有し、前記陽極部材の表面には誘電体被膜が形成されており、前記陽極部材及び前記陰極部材が、前記陽極部材の一部に前記陰極部材が重ねられた状態で巻回されている、巻回体を備え、
    前記陽極部材の長手方向についての長さは、前記陰極部材の長手方向についての長さより大きく、且つ、前記陽極部材は、前記陰極部材を介さずに互いに対向する陽極対向部を含み、
    前記陽極部材と前記陰極部材との間にはセパレータが配される共に、前記陽極対向部の対向面間にもセパレータが配され、
    前記セパレータには電解質が含浸され
    前記巻回体の巻回軸を中心とした径方向における前記陰極部材の最外周面の外側において、前記陽極部材の一部が、前記巻回軸を中心として2周以上巻回されており、これにより前記陽極対向部が構成されている、電解コンデンサ。
  2. 陽極部材と、陰極部材とを有し、前記陽極部材の表面には誘電体被膜が形成されており、前記陽極部材及び前記陰極部材が、前記陽極部材の一部に前記陰極部材が重ねられた状態で巻回されている、巻回体を備え、
    前記陽極部材の長手方向についての長さは、前記陰極部材の長手方向についての長さより大きく、且つ、前記陽極部材は、前記陰極部材を介さずに互いに対向する陽極対向部を含み、
    前記陽極部材と前記陰極部材との間にはセパレータが配されると共に、前記陽極対向部の対向面間にもセパレータが配され、
    前記セパレータには電解質が含浸され、
    前記巻回体の巻回軸を中心とした径方向における前記陰極部材の最内周面の内側において、前記陽極部材の一部が、前記巻回軸を中心として2周以上巻回されており、これにより前記陽極対向部が構成されている、電解コンデンサ。
  3. 前記巻回体の内部及び最外周面に形成された固体電解質層を備え、
    前記固体電解質層の最外周面のうち、前記陽極対向部の最外周面上に存在する領域の少なくとも一部に形成された陰極層と、を更に備える、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  4. 前記セパレータは複数からなり、第1セパレータは第2セパレータより長手方向において長く、前記陽極対向部の対向面間には、前記第1セパレータが配されている、請求項1乃至請求項の何れか1つに記載の電解コンデンサ。
  5. 陽極部材と、陰極部材とを有し、前記陽極部材の表面には誘電体被膜が形成されており、前記陽極部材及び前記陰極部材が、前記陽極部材の一部に前記陰極部材が重ねられた状態で巻回されている、巻回体を備え、
    前記陽極部材の長手方向についての長さは、前記陰極部材の長手方向についての長さより大きく、且つ、前記陽極部材は、前記陰極部材を介さずに互いに対向する陽極対向部を含み、
    前記陽極対向部は、前記巻回体の巻回軸を中心とした径方向において、前記陰極部材の最外周面の外側に配され、
    前記陽極部材と前記陰極部材との間、前記陽極対向部の対向面間および前記陽極対向部の最外周面には、固体電解質層が配され、
    前記陽極対向部の最外周面に配された固体電解質層の外周面のうち、少なくとも一部の領域に形成された陰極層と、を更に備える、電解コンデンサ。
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