JP5903611B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、巻回型の固体電解コンデンサに関する。
図11に示す様に、この種の固体電解コンデンサは、巻回素子80と、該巻回素子80が収容される有底筒状の外装ケース85と、該外装ケース85の開口850を封止するゴム製の封口部材86とを備えている。従来、図12に示す様に、巻回素子80は、陽極箔811と陰極箔812とを重ね合わせて巻回することにより構成された巻回体81と、陽極箔811に電気的に接続された陽極リードタブ端子83と、陰極箔812に電気的に接続された陰極リードタブ端子84とを有している(例えば、特許文献1参照)。そして、陽極リードタブ端子83と陰極リードタブ端子84はそれぞれ、図11に示す様に、それらのリード部830,840が、封口部材86を貫通して外装ケース85の外部へ引き出されている。
ここで、陽極箔811の表面には、該表面に化成処理を施すことによって誘電体被膜が形成されている。又、図12に示す様に、陽極箔811と陰極箔812との間には紙製のセパレータ813が介在しており、該セパレータ813に電解重合液を含浸させて重合させることにより、陽極箔811と陰極箔812との間に固体電解質層が形成されている。
上記固体電解コンデンサは、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置から生じる高周波ノイズを除去するノイズフィルタとして機能させることが出来る。
特開2002−83750号公報 特開2007−180404号公報
近年、電子機器の小型化に伴い、固体電解コンデンサにおいて、それが小型であるにも拘わらず大容量であるものが求められている。又、CPU等の処理装置は、その動作速度が高速化しており、このため、処理装置に供給される電流量が増大し、又、ノイズの帯域が高周波側へシフトする傾向にある。従って、固体電解コンデンサにおいて、その低ESR(等価直列抵抗)化が求められている。
大容量化の実現には、次の様な手法が考えられる。例えば、陽極箔811の表面にエッチングを施して微細な凹凸を形成することにより、陽極箔811の表面積を増大させる。或いは、陽極箔811の表面に化成処理を施す際、陽極箔811に印加する電圧を小さくすることにより、陽極箔811の表面に形成される誘電体被膜の厚さ寸法を小さくする。しかしながら、これらの手法によれば、固体電解コンデンサの静電容量が従来のものに比べて増加する一方で、漏れ電流が増大し易くなる。
又、陽極箔811と陰極箔812の巻回量を増やしてこれらの対向面積を増大させることにより、固体電解コンデンサの大容量化を実現することが出来る。しかしながら、これでは固体電解コンデンサが大型化することになる。
固体電解コンデンサの大容量化と小型化の両方を実現するべく、次の構成を有した固体電解コンデンサが提案されている(例えば、特許文献2)。即ち、この固体電解コンデンサは、表面に誘電体被膜が形成された1枚の陽極箔を巻回して構成された巻回体と、陽極箔に電気的に接続されると共に巻回体の巻回端面から引き出された1本の陽極リードタブ端子と、巻回体の内部及び外部に形成された固体電解質層と、巻回体の外部にて固体電解質層上に形成された陰極層と、巻回体の外部に設けられると共に陰極層に電気的に接続された1本の陰極リードとから構成されている。ここで、巻回体には陰極箔は巻回されていない。
上記固体電解コンデンサによれば、その製造過程において陰極箔を巻回する必要がない。従って、陰極箔がない分を陽極箔に置き換えて陽極箔の巻回量を増やすことが出来る。よって、上記固体電解コンデンサよれば、該固体電解コンデンサの大容量化と小型化の両方を実現することが可能である。
その一方で、上記固体電解コンデンサにおいては、従来の固体電解コンデンサに比べて陽極箔の長さ寸法が大きくなる。このため、一本の陽極リードタブ端子が担う陽極箔の長さ寸法が大きくなる。従って、陽極箔自体に生じる電気抵抗が大きくなり、その結果、固体電解コンデンサのESRが増大することになる。
固体電解コンデンサの低ESR化を実現するべく、巻回体から引き出される陽極リードタブ端子の本数を増やすことにより、各陽極リードタブ端子が担う陽極箔の長さ寸法を小さくし、これによって陽極箔自体に生じる電気抵抗を小さくすることが考えられている。
しかしながら、陽極リードタブ端子の本数を増やした固体電解コンデンサにおいては、陽極リードタブ端子の本数が増加した分、固体電解コンデンサの外部に引き出される陽極端子の数が増加することになる。このため、該固体電解コンデンサを基板に搭載する場合、従来の2端子(陽極端子と陰極端子)の固体電解コンデンサを搭載するために基板上に形成されていたランドパターンをそのまま用いることができず、ランドパターンの設計を変更しなければならない。
そこで本発明の目的は、固体電解コンデンサにおいて、その大容量化と低ESR化を実現しつつ、該固体電解コンデンサが搭載される基板上に形成すべきランドパターンの設計変更を不要にすることである。
本発明に係る固体電解コンデンサは、巻回素子と、該巻回素子が収容される外装ケースと、陽極引出し部と、陰極引出し部とを備える。ここで、前記巻回素子は、表面に誘電体被膜が形成された陽極部材を巻回して構成された巻回体と、該巻回体の内部及び外部に形成された固体電解質層と、前記陽極部材に電気的に接続されると共に前記巻回体の同じ巻回端面上に突出した第1陽極タブ及び第2陽極タブと、該第1陽極タブと第2陽極タブの突出部分どうしを互いに電気的に連結する導電部材とを有している。前記陽極引出し部は、前記第1陽極タブと第2陽極タブの内、第1陽極タブの突出部分に電気的に接続されると共に、前記外装ケースの外部に引き出されている。前記陰極引出し部は、前記固体電解質層に電気的に接続されると共に、前記外装ケースの外部に引き出されている。
より具体的には、前記巻回体は、前記陽極部材を、該陽極部材に陰極部材を重ねずに巻回して構成されたものである。
上記固体電解コンデンサにおいては、第1陽極タブと第2陽極タブの2本の陽極タブが設けられているにも拘らず、外装ケースの外部には、第1陽極タブに接続された1つの陽極引出し部が引き出されているに過ぎない。よって、外装ケースからの陽極引出し部と陰極引出し部の引出し位置をそれぞれ調整することにより、上記固体電解コンデンサを基板に搭載する場合、従来の2端子の固体電解コンデンサを搭載するために基板上に形成されていたランドパターンをそのまま用いることが出来、従って基板上に形成すべきランドパターンの設計変更が不要となる。
更に、巻回体を構成する陽極部材には、第1陽極タブと第2陽極タブとが電気的に接続されており、又、陽極引出し部には、第1陽極タブが電気的に通じているだけでなく、第2陽極タブが導電部材を介して電気的に通じている。従って、巻回体が1つの陽極部材で構成されていて且つ該陽極部材に1本の陽極タブだけが電気的に接続されているに過ぎない従来の固体電解コンデンサに比べて、陽極タブの本数が増加した分、各陽極タブが担う陽極部材の長さ寸法が小さくなる。よって、陽極部材自体に生じる電気抵抗が小さく、その結果、固体電解コンデンサの低ESR化が実現されることになる。
上記固体電解コンデンサにおいては、その製造過程において陰極箔等の陰極部材を巻回する必要がない。従って、陰極部材がない分を陽極部材に置き換えて陽極部材の巻回量を増やすことが出来る。よって、上記固体電解コンデンサによれば、該固体電解コンデンサの大容量化を実現することが可能である。
尚、上記固体電解コンデンサにおいて、第1陽極タブと第2陽極タブの総本数は、2本に限らず、3本以上の複数本であってもよい。この場合、第1陽極タブの本数に応じて陽極引出し部の本数を変更することにより、固体電解コンデンサの端子構造を容易に変更することが出来る。
上記固体電解コンデンサの具体的構成において、前記導電部材は、第1陽極タブ又は第2陽極タブを構成する部材とは別の部材によって構成されている。
上記具体的構成によれば、固体電解コンデンサの製造過程において、第1陽極タブと第2陽極タブとを互いに電気的に連結する際、溶接等の手段によって第1陽極タブと第2陽極タブに導電部材が取り付けられることになる。従って、固体電解コンデンサの製造過程において、第1陽極タブや第2陽極タブに折り曲げ加工等の加工を施さなくて済む。よって、固体電解コンデンサの製造が容易である。又、第1陽極タブや第2陽極タブに対して不要なストレスが生じることがなく、その結果、巻回体の強度や特性等に悪影響が及び難い。
上記固体電解コンデンサの他の具体的構成において、前記陽極引出し部は、前記外装ケースの開口の中心位置とは異なる位置から該外装ケースの外部へ引き出される一方、前記陰極引出し部は、前記外装ケースの開口の中心位置に対して前記陽極引出し部の引出し位置とは反対側の位置から該外装ケースの外部へ引き出されている。
上記具体的構成によれば、固体電解コンデンサを基板に搭載する場合、従来の2端子の固体電解コンデンサを搭載するために基板上に形成されていたランドパターンをそのまま用いることが出来、従って基板上に形成すべきランドパターンの設計変更が不要である。
上記固体電解コンデンサの更なる他の具体的構成において、該固体電解コンデンサは、前記外装ケースの開口を封止する封口部を更に備え、該封口部は、樹脂材を外装ケース内で固化させることにより形成されたものである。
外装ケースの開口をゴム等の材質から形成された封口部材によって封止する場合、封口部材に対して、陽極引出し部や陰極引出し部を貫通させるための貫通孔や、陽極タブの突出部分や導電部材を収容するための凹部を形成する必要があり、製造過程が煩雑となる。上記具体的構成によれば、その様な煩雑さがない。
より具体的な構成において、前記外装ケースの開口端部には、該外装ケースの内側へ突出した鍔部が形成されている。
固体電解コンデンサに対してリフロー半田付け等の処理を実施した場合、該固体電解コンデンサの内圧が上昇し、これにより、封口部には、これを外装ケースの外部へ押し出さんとする押圧力が生じることになる。上記具体的構成によれば、固体電解コンデンサの内圧が高まって封口部が外装ケースの外部へ押し出されそうになった場合でも、封口部が鍔部に引っ掛かり、これによって封口部への押圧力が鍔部によって受け止められることになる。よって、上記具体的構成によれば、封口部が外装ケースの外部へ押し出されることがなく、従って固体電解コンデンサは破損し難い。
本発明に係る固体電解コンデンサによれば、その大容量化と低ESR化を実現しつつ、該固体電解コンデンサが搭載される基板上に形成すべきランドパターンの設計変更を不要にすることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサを示した斜視図である。 該固体電解コンデンサの下面図である。 図2に示されるA−A線に沿う断面図である。 上記固体電解コンデンサの製造方法の内、巻回工程の説明に用いられる斜視図である。 該製造方法の内、連結工程の説明に用いられる斜視図である。 該製造方法の内、切断工程の説明に用いられる斜視図である。 該製造方法の内、組み立て工程の説明に用いられる斜視図である。 上記固体電解コンデンサの他の例を示した断面図である。 上記固体電解コンデンサの第1変形例について、その巻回素子を示した斜視図である。 上記固体電解コンデンサの第2変形例を示した断面図である。 従来の固体電解コンデンサを示した断面図である。 該従来の固体電解コンデンサについて、その巻回素子を示した斜視図である。
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサを示した斜視図である。又、図2は、該固体電解コンデンサの下面図である。図1及び図2に示す様に、該固体電解コンデンサは、コンデンサ本体1と、該コンデンサ本体1を搭載する座板2と、該座板2の下面2bに露出した陽極端子3及び陰極端子4とを備えている。
図2に示す様に、座板2の下面2bには、座板2の縁21まで延びた第1溝部201と、該縁21とは反対側の縁22まで延びた第2溝部202とが凹設されている。そして、第1溝部201には陽極端子3が収容される一方、第2溝部202には陰極端子4が収容されている。
図1に示す様に、コンデンサ本体1は、巻回素子10と、該巻回素子10が収容される有底筒状の外装ケース5と、該外装ケース5の開口50を封止する封口部6とから構成されている。ここで、外装ケース5は、アルミニウム等の金属材料から形成されている。又、封口部6は、樹脂材を外装ケース5内へ流し込んで固化させることにより形成されたものである。尚、外装ケース5は、金属材料に限らず、電気絶縁材料を含む種々の材料から形成されていてもよい。
巻回素子10は、図4に示す如く巻回体11を有している。ここで、図4は、後述する製造方法の内、巻回工程の説明に用いられる斜視図である。図4に示す様に、巻回体11は、2枚の陽極箔111,111を、各陽極箔111にセパレータ112を重ね合わせて巻回することにより構成されている。一方、2枚の陽極箔111、111には何れにも陰極箔が重ねられておらず、従って巻回体11には陰極箔が巻回されていない。そして、各陽極箔111は、アルミニウム、タンタル、ニオブ等の弁作用金属から形成されている。又、図示していないが、各陽極箔111の表面には誘電体被膜が形成されている。尚、巻回体11は、陽極箔111に限らず、種々の陽極部材を用いて構成されていてもよい。又、各セパレータ112は、金属メッシュ等、導電性を有したものであってもよいし、紙製のもの等、非導電性のものであってもよい。
図示していないが、巻回体11には固体電解質層が形成されている。ここで、固体電解質層は、巻回体11の内部及び外部に形成されている。具体的には、各セパレータ112に電解重合液を含浸させて重合させることにより、巻回体11の内部に存在する隙間(主に2枚の陽極箔111,111間に形成される隙間)を埋めた状態で、固体電解質層が形成されている。又、固体電解質層は、巻回体11の外周面上にも形成されている。
図示していないが、巻回体11には更に陰極層が形成されている。ここで、陰極層は、巻回体11の外部にて固体電解質層上に形成されたカーボン層(図示せず)と、該カーボン層上に形成された銀ペースト層(図示せず)とによって構成されている。そして、固体電解質層と陰極層とは互いに電気的に接続されている。
図3は、図2に示されるA−A線に沿う断面図である。図3に示す様に、巻回素子10は更に、第1陽極タブ31と、第2陽極タブ32と、導電部材33とを有している。ここで、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32は何れも、平坦部311と円柱形状を呈するボス部312とから構成されている。又、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32の内、第1陽極タブ31のボス部312の先端にはリード部310が一体に形成されている。そして、第1陽極タブ31とリード部310とによって陽極リードタブ端子30が構成されている。
巻回体11を構成する2枚の陽極箔111,111にはそれぞれ、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32とが電気的に接続されており、該第1陽極タブ31と第2陽極タブ32は、図3に示す様に、それらのボス部312,312が巻回体11の同じ巻回端面11a上に突出している。又、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32は、巻回体11の巻回軸110に対して片側(図3において左側)へ偏在している。具体的には、第1陽極タブ31は、巻回軸110とは異なる位置に設けられ、又、第2陽極タブ32は、第1陽極タブ31と巻回軸110との間の位置にて該第1陽極タブ31の近傍に設けられている。
そして、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32の突出部分であるボス部312,312どうしが、巻回体11の外部にて、導電部材33によって互いに電気的に連結されている。ここで、導電部材33は、第1陽極タブ31又は第2陽極タブ32を構成する部材とは別の部材によって構成されている。即ち、導電部材33は、第1陽極タブ31又は第2陽極タブ32の一部に折り曲げ加工等を施すことによって形成されたものではなく、第1陽極タブ31や第2陽極タブ32とは別に用意された部材である。本実施形態においては、導電部材33として銅板が用いられている。尚、導電部材33には、銅板に代えて、種々の金属材料から形成された金属板や金属片を用いてもよい。
図3に示す様に、巻回素子10には、陰極リードフレーム40が取り付けられている。ここで、陰極リードフレーム40は、フレーム部41と、該フレーム部41に一体に形成されたリード部42とから構成されている。そして、フレーム部41は、銀を含む導電性接着剤43によって巻回素子10の陰極層上に密着固定されている。これにより、陰極リードフレーム40のリード部42は、フレーム部41と導電性接着剤43とを介して巻回素子10の陰極層に電気的に接続されている。
又、陰極リードフレーム40のリード部42は、巻回体11の巻回端面11a上にて、巻回体11の巻回軸110に対して陽極リードタブ端子30のリード部310とは反対側の位置に配置されている。尚、本実施形態においては、リード部42の根本部分に、円柱形状を呈するボス部が更に形成されている。
図3に示す様に、陽極リードタブ端子30のリード部310と陰極リードフレーム40のリード部42は何れも、封口部6を貫通して外装ケース5の外部へ引き出されている。即ち、本実施形態に係る固体電解コンデンサにおいて、陽極リードタブ端子30のリード部310は、第1陽極タブ31の突出部分(ボス部312)に電気的に接続されると共に外装ケース5の外部に引き出された陽極引出し部を構成している。又、陰極リードフレーム40のリード部42は、巻回素子10の固体電解質層に電気的に接続されると共に外装ケース5の外部に引き出された陰極引出し部を構成している。
ここで、図3に示す様に、巻回体11の巻回軸110は、外装ケース5の開口50の中心位置52に略一致している。従って、陽極リードタブ端子30のリード部310は、外装ケース5の開口50の中心位置52とは異なる位置から外装ケース5の外部へ引き出される一方、陰極リードフレーム40のリード部42は、外装ケース5の開口50の中心位置52に対して陽極リードタブ端子30のリード部310の引出し位置とは反対側の位置から外装ケース5の外部へ引き出されている。一方、第1陽極タブ31のボス部312、第2陽極タブ32のボス部312、並びに陰極リードフレーム40のボス部は、封口部6内に埋設されている。
図2及び図3に示す様に、座板2には、該座板2をその上面2aから下面2bに貫通する2つの貫通孔20,20が形成されており、該2つの貫通孔20,20はそれぞれ、座板2の下面2bに設けられている第1溝部201と第2溝部202とに通じている。
そして、陽極リードタブ端子30のリード部310は、これに対応する座板2の貫通孔20を通過した後、該貫通孔20の出口近傍で屈曲し、その後、第1溝部201に沿って第1溝部201内を座板2の縁21まで延びている。そして、該リード部310の内、第1溝部201に沿って第1溝部201内を延びている部分は平坦形状を有しており、該平坦部分によって固体電解コンデンサの陽極端子3が構成されている。
又、陰極リードフレーム40のリード部42は、これに対応する座板2の貫通孔20を通過した後、該貫通孔20の出口近傍で屈曲し、その後、第2溝部202に沿って第2溝部202内を座板2の縁22まで延びている。そして、該リード部42の内、第2溝部202に沿って第2溝部202内を延びている部分は平坦形状を有しており、該平坦部分によって固体電解コンデンサの陰極端子4が構成されている。
次に、上記固体電解コンデンサの製造方法について、具体的に説明する。該製造方法では、箔作製工程、巻回工程、再化成処理工程、電解質層形成工程、陰極層形成工程、連結工程、切断工程、及び組み立て工程が順に実行される。
箔作製工程では先ず、陽極箔111となる金属箔を用意し、該金属箔の表面にエッチング加工を施して複数の微細な凹凸を形成し、これによって金属箔の表面積を増大させる。次に、金属箔の表面に対して化成処理を施すことにより、該表面に誘電体被膜を形成する。その後、金属箔に切断加工を施して該金属箔を長尺状の所定形状に裁断する。これにより、表面に誘電体被膜が形成された複数の陽極箔111〜111が作製される。尚、作製された陽極箔111においては、その切断面(端面)に、該陽極箔111を構成する金属の一部が露出することになる。
巻回工程では先ず、各陽極箔111に陽極リードタブ端子30を取り付ける(図4参照)。ここで、陽極リードタブ端子30は、平坦部311と、ボス部312と、リード部310とから構成されており、各陽極箔111には、陽極リードタブ端子30の平坦部311を接触させて固定する。
その後、図4に示す様に、2枚の陽極箔111,111を、各陽極箔111にセパレータ112を重ね合わせて巻回し、これにより、巻回体11を作製する。このとき、2枚の陽極箔111,111には何れにも陰極箔を重ねない。又、2本の陽極リードタブ端子30,30が巻回体11の同じ巻回端面11aから突出することとなる様に、更には、2本の陽極リードタブ端子30,30が巻回体11の巻回軸110に対して片側(図4において左側)へ偏在することとなる様に、2枚の陽極箔111,111を巻回する。そして、陽極箔111,111の巻回後、巻回体11の型崩れを防止するべく、図4に示す如く巻止めテープ113によって陽極箔111の終端部を巻回体11の外周面に固定し、又は、巻止めテープ113によってセパレータ112の終端部を巻回体11の外周面に固定する。これにより、巻回体11が完成し、該巻回体11の同じ巻回端面11a上に、2本の陽極リードタブ端子30,30のボス部312,312及びリード部310,310が突出することになる。尚、巻回工程では、各陽極箔111への陽極リードタブ端子30の取付けや陽極箔111,111の巻回によって誘電体被膜にストレスが生じ、これにより誘電体被膜が損傷する虞がある。
再化成処理工程では、巻回体11を化成液に浸漬させ、この状態で、各陽極リードタブ端子30を通じて各陽極箔111に電圧を印加する。ここで、化成液には、例えばアジピン酸アンモニウム水溶液が用いられる。これにより、巻回体11に対して再化成処理が施され、その結果、各陽極箔111の露出面(切断面)に酸化被膜(誘電体被膜)が形成され、又、誘電体被膜の損傷した部分が修復され、これによって、各陽極箔111の表面全体が誘電体被膜によって覆われることになる。
電解質層形成工程では、固体電解質層を形成するための化学重合液、具体的には導電性高分子等の化学重合液を用意し、該化学重合液に巻回体11を浸漬させる。これにより、各セパレータ112に化学重合液が含浸して重合し、これによって巻回体11の内部に存在する隙間(主に2枚の陽極箔111,111間に存在する隙間)に、該隙間を埋めた状態で化学重合膜が形成される。又、巻回体11の外周面上にも化学重合膜が形成される。これにより、これらの化学重合膜によって固体電解質層が構成される。
陰極層形成工程では先ず、巻回体11をカーボンペーストに浸漬させて、巻回体11の外部にて固体電解質層上にカーボン層を形成する。その後、巻回体11を銀ペーストに浸漬させて、カーボン層上に銀ペースト層を形成する。これにより、カーボン層と銀ペースト層とによって陰極層が構成される。
図5は、連結工程の説明に用いられる斜視図である。図5に示す様に、連結工程では、2本の陽極リードタブ端子30,30のボス部312,312にそれぞれ、導電部材33の両端部を溶接する。これにより、2本の陽極リードタブ端子30,30のボス部312,312どうしが、導電部材33によって互いに電気的に連結されることになる。
図6は、切断工程の説明に用いられる斜視図である。図6に示す様に、切断工程では、2本の陽極リードタブ端子30,30の内、1本の陽極リードタブ端子30に切断加工を施すことにより、該陽極リードタブ端子30からリード部310を取り除く。これにより、巻回素子10が完成し、切断加工が施されなかった陽極リードタブ端子30の内、その平坦部311とボス部312とによって第1陽極タブ31が構成され、又、切断加工が施された陽極リードタブ端子30の内、リード部310が取り除かれて残った部分(平坦部311とボス部312)によって第2陽極タブ32が構成されることになる。尚、本実施形態においては、巻回軸110に近い方の陽極リードタブ端子30に切断加工が施されている。
図7は、組み立て工程の説明に用いられる斜視図である。図7に示す様に、組み立て工程では先ず、巻回素子10に対して陰極リードフレーム40を取り付ける。このとき、陰極リードフレーム40のフレーム部41を、銀を含む導電性接着剤43(図3参照)によって巻回素子10の陰極層上に接着する。
次に、外装ケース5内に巻回素子10を収容する(図3参照)。このとき、巻回素子10を、外装ケース5の開口50から陽極リードタブ端子30のリード部310と陰極リードフレーム40のリード部42とが引き出されることとなる姿勢で維持する。又、外装ケース5の開口50の中心位置52に、巻回体11の巻回軸110を略一致させる。その後、外装ケース5内へ樹脂材を流し込んで該樹脂材を固化させることにより、外装ケース5の開口50を封止する。これにより、巻回素子10が外装ケース5内に固定されて、コンデンサ本体1(図1参照)が完成する。
組み立て工程では更に、座板2上にコンデンサ本体1を搭載する(図1〜図3参照)。このとき、陽極リードタブ端子30のリード部310を、座板2の貫通孔20,20の内、第1溝部201に通じる貫通孔20に挿入する。又、陰極リードフレーム40のリード部42を、座板2の貫通孔20,20の内、第2溝部202に通じる貫通孔20に挿入する。
その後、これらのリード部310,42についてそれぞれ、座板2の下面2bから突出した部分にプレス加工を施し、これによって該部分を平坦形状に変形させる。そして、陽極リードタブ端子30のリード部310を貫通孔20の出口近傍にて折り曲げることにより、該リード部310の平坦部分を第1溝部201内に収容する。又、陰極リードフレーム40のリード部42を貫通孔20の出口近傍にて折り曲げることにより、該リード部42の平坦部分を第2溝部202内に収容する。その結果、リード部310,42の平坦部分によって、座板2の下面2bに露出した陽極端子3と陰極端子4とが構成されることになる。
斯くして、本実施形態の固体電解コンデンサが完成することになる。
上記固体電解コンデンサにおいては、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32の2本の陽極タブが設けられているにも拘らず、外装ケース5の外部には、第1陽極タブ31に電気的に接続された1本のリード部310(陽極端子3)が引き出されているに過ぎない。又、陽極リードタブ端子30のリード部310が、外装ケース5の開口50の中心位置52とは異なる位置から外装ケース5の外部へ引き出される一方、陰極リードフレーム40のリード部42が、外装ケース5の開口50の中心位置52に対して陽極リードタブ端子30のリード部310の引出し位置とは反対側の位置から外装ケース5の外部へ引き出されている。よって、上記固体電解コンデンサを基板に搭載する場合、従来の2端子の固体電解コンデンサを搭載するために基板上に形成されていたランドパターンをそのまま用いることが出来、従って基板上に形成すべきランドパターンの設計変更が不要である。
又、巻回体11を構成する2枚の陽極箔111,111にはそれぞれ、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32とが電気的に接続されており、又、陽極端子3には、第1陽極タブ31が電気的に通じているだけでなく、第2陽極タブ32が導電部材33を介して電気的に通じている。従って、巻回体が1枚の陽極箔で構成されていて且つ該陽極箔に1本の陽極タブだけが電気的に接続されているに過ぎない従来の固体電解コンデンサに比べて、陽極タブの本数が増加した分、各陽極タブが担う陽極箔111の長さ寸法が小さくなる。よって、陽極箔111自体に生じる電気抵抗が小さく、その結果、固体電解コンデンサの低ESR化が実現されることになる。
上記固体電解コンデンサにおいては、その製造過程において陰極箔を巻回する必要がない。従って、陰極箔がない分を陽極箔111に置き換えて陽極箔111の巻回量を増やすことが出来る。よって、上記固体電解コンデンサよれば、該固体電解コンデンサの大容量化を実現することが可能である。
本願発明者は、静電容量について本実施形態の固体電解コンデンサと従来の固体電解コンデンサとを比較する実験を行っている。ここで、従来の固体電解コンデンサとして、図11及び図12に示される固体電解コンデンサを採用した。具体的には、従来の固体電解コンデンサにおいては、1枚の陽極箔811と1枚の陰極箔812とが、これら間に紙製のセパレータ813を介在させて巻回されており、陽極箔811に1本の陽極リードタブ端子83が電気的に接続され、又、陰極箔812に1本の陰極リードタブ端子84が電気的に接続されている。そして、本実験においては、固体電解コンデンサの外寸を本実施形態のものと従来のものとで同じにし、又、静電容量の測定周波数を120Hzとした。
実験の結果、従来の固体電解コンデンサにおいて静電容量が568μFとなったのに対し、本実施形態の固体電解コンデンサにおいて静電容量が2275μFとなった。これにより、本実施形態の固体電解コンデンサは、従来の固体電解コンデンサに比べて静電容量が4倍程度にまで著しく増加することが確かめられた。
又、上記固体電解コンデンサにおいては、導電部材33が、第1陽極タブ31又は第2陽極タブ32を構成する部材とは別の部材によって構成されている。このため、該固体電解コンデンサの製造過程において、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32とを互いに電気的に連結する際、溶接等の手段によって第1陽極タブ31と第2陽極タブ32に導電部材33が取り付けられることになる。従って、固体電解コンデンサの製造過程において、第1陽極タブ31や第2陽極タブ32、或いはリード部310に折り曲げ加工等の加工を施さなくて済む。よって、固体電解コンデンサの製造が容易である。又、第1陽極タブ31や第2陽極タブ32に対して不要なストレスが生じることがなく、その結果、巻回体11の強度や特性等に悪影響が及び難い。
更に、上記固体電解コンデンサにおいては、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32が、巻回体11の巻回軸110に対して片側へ偏在している。よって、上記固体電解コンデンサによれば、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32間の距離が小さくなり、従って、該固体電解コンデンサの製造過程において、導電部材33による第1陽極タブ31と第2陽極タブ32との連結が容易となる。
更に又、上記固体電解コンデンサにおいては、封口部6が、樹脂材を外装ケース5内へ流し込んで固化させることにより形成されたものであり、該封口部6によって外装ケース5の開口50が封止されている。一方で、図8に示す様に、上記固体電解コンデンサは、外装ケース5の開口50がゴム製の封口部材61によって封止された構成を有していてもよい。この構成の場合、外装ケース5には金属製のものを用い、又、該外装ケース5の開口端部に横絞り加工及びカール処理を施すことにより、外装ケース5に封口部材61を固定する必要がある。又、封口部材61には、リード部310,42をそれぞれ貫通させるための貫通孔611,611、並びにボス部312,312及び導電部材33を収容するための凹部612を形成する必要がある。このため、製造過程が煩雑となる。ところが、本実施形態の如く樹脂材を用いて外装ケース5の開口50を封止することにより、その様な煩雑さが解消されることになる。
図9は、上記固体電解コンデンサの第1変形例について、その巻回素子を示した斜視図である。図9に示す様に、導電部材33が金属ワイヤによって構成され、該金属ワイヤの両端部がそれぞれ、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32のボス部312,312に溶接されていてもよい。尚、金属ワイヤの形成材料には、金等、高い導電性を有する種々の金属を用いることが出来る。
本願発明者は、第1変形例に係る固体電解コンデンサについても、その静電容量を上述した条件と同じ条件で確かめている。その結果、本変形例に係る固体電解コンデンサにおいては静電容量が2234μFとなり、上記実施形態に係る固体電解コンデンサ(図3)と同程度になることが確かめられた。
図10は、上記固体電解コンデンサの第2変形例を示した断面図である。図10に示す様に、上記固体電解コンデンサにおいて、外装ケース5の開口端部には、該外装ケース5の内側へ突出した鍔部51が形成されていてもよい。本変形例においては、外装ケース5に金属製のものが用いられ、該外装ケース5の開口端部を内側へ屈曲変形させることにより、鍔部51が形成されている。
ここで、固体電解コンデンサに対してリフロー半田付け等の処理を実施した場合、該固体電解コンデンサの内圧が上昇し、これにより、封口部6には、これを外装ケース5の外部へ押し出さんとする押圧力が生じることになる。第2変形例に係る固体電解コンデンサによれば、その内圧が高まって封口部6が外装ケース5の外部へ押し出されそうになった場合でも、封口部6が鍔部51に引っ掛かり、これによって封口部6への押圧力が鍔部51によって受け止められることになる。よって、上記固体電解コンデンサによれば、封口部6が外装ケース5の外部へ押し出されることがなく、従って固体電解コンデンサは破損し難い。
本願発明者は、リフロー時の不良発生数について上記実施形態の固体電解コンデンサ(図3)と第2変形例に係る固体電解コンデンサ(図10)とを比較する実験を行っている。ここで、上記実施形態に係る固体電解コンデンサにおいては、外装ケース5の開口端部に鍔部が設けられていないのに対し、第2変形例に係る固体電解コンデンサにおいては、外装ケース5の開口端部に鍔部51が設けられている。そして、本実験においては、リフローの条件として、固体電解コンデンサを、260℃の温度下に10秒間晒した後、更に230℃の温度下に90秒間晒した。又、リフロー時に外装ケース5から巻回素子10が飛び出したものを不良品として、その数を不良発生数とした。
実験の結果、上記実施形態に係る固体電解コンデンサにおいては、不良発生数が20個中7個であったのに対し、第2変形例に係る固体電解コンデンサにおいては、不良発生数が20個中0個であった。これにより、鍔部51を設けることによって不良発生数が著しく低下することが確かめられた。
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記固体電解コンデンサにおいて、巻回体11は、2枚の陽極箔111,111を巻回したものに限らず、1枚の陽極箔111を巻回したものであってもよいし、2枚に限らない複数枚の陽極箔111〜111を巻回したものであってもよい。
又、上記固体電解コンデンサにおいて、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32の総本数は、2本に限らず、3本以上の複数本であってもよい。この場合、第1陽極タブ31の本数に応じてリード部310(即ち、陽極端子3)の本数を変更することにより、固体電解コンデンサの端子構造を容易に変更することが出来る。
上記固体電解コンデンサにおいて、外装ケース5が金属製のものであって、陰極端子4が、該外装ケース5の開口端部から引き出されたものであってもよい。この場合、巻回素子10の陰極層と外装ケース5とは、導電性ペースト等の導電材料によって互いに電気的に接続される。
又、上記固体電解コンデンサにおいて、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32にはボス部312はなくてもよく、第1陽極タブ31と第2陽極タブ32の内、巻回体11の同じ巻回端面11a上に突出した部分どうし、又は該巻回端面11a上に露出した部分どうしが、導電部材33によって互いに電気的に接続されていればよい。
10 巻回素子
11 巻回体
11a 巻回端面
110 巻回軸
111 陽極箔
112 セパレータ
3 陽極端子
30 陽極リードタブ端子
31 第1陽極タブ
32 第2陽極タブ
310 リード部
311 平坦部
312 ボス部
33 導電部材
4 陰極端子
40 陰極リードフレーム
42 リード部
5 外装ケース
50 開口
51 鍔部
52 中心位置
6 封口部

Claims (5)

  1. 表面に誘電体被膜が形成された陽極部材を巻回して構成された巻回体と、該巻回体に含浸された固体電解質層と、前記陽極部材に接続された陽極リードタブ端子と、前記巻回体の外側に取り付けられた陰極リードフレームとを有する巻回素子と、前記巻回素子が収容される外装ケースと、を備えた固体電解コンデンサであって、
    前記陽極リードタブ端子の陽極リード部は、前記巻回体の第1巻回端面から突出し、
    前記陰極リードフレームは、前記第1巻回端面と接続される第1フレーム部と、前記巻回体における前記第1巻回端面の反対側に位置する第2巻回端面に接続される第2フレーム部と、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部の間に連結される第3フレーム部と、前記第1フレーム部に接続された陰極リード部とを有した、固体電解コンデンサ。
  2. 前記固体電解質層の上に陰極層が形成され、前記第1フレーム部および第2フレーム部は前記陰極層を介して前記固体電解質層と接続されている、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記陽極リード部は、前記外装ケースの開口の中心位置とは異なる位置から該外装ケースの外部へ引き出される一方、前記陰極リード部は、前記外装ケースの開口の中心位置に対して前記陽極リード部の引出し位置とは反対側の位置から該外装ケースの外部へ引き出されている、請求項1又は請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記外装ケースの開口を封止する封口部を更に備え、該封口部は、樹脂材を外装ケース内で固化させることにより形成されたものである、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記巻回体は、前記陽極部材を、該陽極部材に陰極部材を重ねずに巻回して構成されたものである、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の固体電解コンデンサ。
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